県政報告のページ2003年4月〜
7月定例会 産業振興、学力向上関連補正予算を可決
○大学改革、精神医療体制の拡充へ県民の声を
県議会7月定例会では、学力向上対策などを盛り込んだ教育関連予算案や原油高騰対策、産業振興のための「こうち農商工連携基金」造成などを含む08年度一般会計補正予算案を執行部原案通り全会一致で可決しました。
しかし、教育関連分(寄付による図書館活動費十万円を除く)の全削除を求めた修正案については、執行にあたっては問題が生じないよう、現場の声の生かし方などに条件をつけるなどの必要はあるかもしれないが、全ての事業を認めることができないとする修正には、無理があると思われ、県民クラブとしては反対したところです。今後は、数値目標に向けて期限を定めて追い立てるような進め方で、現場の混乱やこどもたちのとまどいを生じさせることのないよう十分チェックしていく必要があります。
意見書議案は、我が会派から提出した地域医療を守ることを求める意見書など12件は全会一致で可決、揮発油税等の税収を道路整備等に充当することを求める意見書など3件は県民クラブとしては反対し多数可決、後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書は県民クラブ、共産党と緑心会、西風の賛成少数で否決されました。
○予算執行にあたっては効果の検証も大切
今回5億2883万円が計上された補正予算で取り組まれる事業としては主に次のような事業が予定されています。
「鳥獣被害緊急対策事業費」77,487千円、「中央児童相談所費」3,497千円、「ジオパーク推進事業費」36,664千円、「施設園芸原油高騰緊急対策事業費補助金」1億円、「算数・数学学力定着事業費」7,666千円、「学力向上のための目標設定と課題を有する学校への重点支援事業費」76,375千円、「学校支援地域本部事業費」25,447千円、「児童虐待・いじめ等に関する支援事業費」8,454千円など緊急な取り組みが主なものとなっています。
また、経済活性化と雇用を作り出すために「こうち農商工連携基金造成資金貸付金」21億円を特別会計で計上し、本県の農林水産業者と中小企業者等の連携を図り、研究開発の成果を活用した新たな事業化や経営革新を促すため、産業振興センターに基金を設置し、産業の転換と県内産業の浮揚を目指すため、こうち農商工連携基金総額25億円のうち高知県が1億円を負担することとしています。
その他に、小児救急医療を確保するために「救急医療施設運営費補助金」、障害者の実践的な就労能力の向上を図るという目的で「障害者委託訓練実施企業開拓業務委託料」や「家庭支援相談等事業費」などが予算化されました。
今定例会では、議案以外にも「大学改革問題」や「県立安芸・芸陽病院の整備構想」など9月議会を控えての事前議論となりましたが、それぞれにもっと継続的な議論を深めていかなければなりません。
また、「産業振興計画」も多岐にわたる課題を掘り下げ、将来への目標を明確にするには、スピード感は求められるにしても多少心配な面も伺える指摘もあり、中間とりまとめまでの間も十分注視していかなければならないと思います
○県立大学改革、精神医療体制の拡充や産業振興〜県民との合意形成を第一に〜
県立大学改革について
県立大学改革については、従前の提案を整理する形で新たな構想が示されました。しかし、この構想も、学内や県民の合意が図られて、学生と真摯に向き合い、これから県立大学で学ぼうとする者に目を向けているのかは、今後の議論となるところです。
県は、「保健・医療・福祉の分野を早急に整備することの必要性に加え、新たに、5つの視点に立脚して検討すること」としており、5つの視点とは次の通りです。
@県立大学と公立大学法人化を目指す高知工科大学との連携をも視野に入れた見直し。A県内に教育の場が少ない社会・人文科学系の学部の整備が必要。B社会人教育の場を充実する必要。C高知市が進めるコンパクトシティの理念や中心市街地の活性化についても加味しながら、県と高知市が連携して取り組む。D大学の改革に伴う財政負担を徹底して軽減する。
その上で、キャンパスのあり方については、「池キャンパス」においては、「保健・医療・福祉の連携による『健康長寿の拠点』として、隣接する高知医療センターと連携し、日本一の健康長寿県づくりに必要な人材の育成を目指す」「永国寺キャンパス」においては、「『社会貢献をする知の拠点』として、人文科学や社会科学系の学部と社会人教育、生涯教育の充実を図り、経営能力の高い人材の輩出を目指す」「香美市キャンパス」においては、「高知工科大学のこれまでの実績と成果を踏まえた『工学、産業振興の拠点』として、産業の浮揚につながる研究開発や人材の育成を目指す」としています。その上で、池キャンパス整備拡充補正予算が9月定例会に提出予定となっています。
現時点で、合意さえされていない一法人二大学から、さらに踏み込む位置づけも含まれたこれらの構想に、県民合意を取り付けることが果たしてこの短期間でできるのかどうか、議論の手順は丁寧に行って欲しいものです。
所管の企画建設委員会では、「高知工科大学の公立大学法人化について」は、そもそも公設民営の私立大学の公立大学法人化のあり方や交付税措置をはじめとした収支見通しの是非など議論が充分でない点も踏まえて、県立大学関連及び公立大学法人化を目指す高知工科大学関連の議案が提案される予定である9月定例会の開会までに、両大学の問題を審査する臨時の委員会を開催し、議論を深めることとしています。
県内精神科医療体制の拡充と安芸・芸陽病院の整備について
県は、県立安芸・芸陽病院について、@安芸保健医療圈の中核的病院として、2次医療をほぼ完結できる医療体制構築を目指す。A救急医療、周産期・小児医療を強化し、地域で必要とされるがん医療等の充実を図る。B特殊専門的な医療については、中央保健圈域の医療機関や大学病院との機能連携で対応する。C精神科医療についても地域の医療機関との連携のもと、安芸保健医療圈全体で完結できる医療提供体制を整備し、政策医療は中央保健医療圈において整備し、新安芸・芸陽病院の整備を進めていくこととしています。
その上で、精神科医療の整備については、@芸陽病院を病床数縮減の上、存続し、安芸保健医療圈域での適切な精神科医療を提供するため「新安芸・芸陽病院(仮称)」として経営を統合した上で、院内組織として「芸陽こころの医療センター(仮称)」を設置し、医療や看護については独立した運営を行う。A芸陽病院で提供が困難な精神科にかかる政策医療については、高知医療センター敷地内に精神科病棟を整備し、高知医療センターの精神科として運営するなど中央保健医療圈で対応するという方針を明らかにしました。
この前提に立って、さまざまなメリット・デメリットを検討した上で「安芸・中央分散整備」の方向で、議会においても議論がされ始めています。安芸、芸陽病院の改築と体制の整備ということは時間的な制約もある中で、県東部の医療体制の確保が求められていること、高知医療センターの経営状況の厳しさから来る慎重論も踏まえつつ、真摯な議論を早急に行わなければなりません。
産業振興計画策定の進捗状況について
県経済が活力を取り戻し、将来に一層の希望を持って暮らせる高知県とするために、県内の各界、各層が共通の目的を持って共に取り組めるような、県勢浮揚の指針となる「産業振興計画」を本年度中に策定するため、精力的な議論が積み重ねられています。
「産業振興計画」は、産業別(農業・林業・水産業・商工業・観光)の「産業成長戦略」、地域別(県内を7つのブロックに区分)の「地域アクションプラン」から構成されることとなっており、産業成長戦略と地域アクションプランに関して、それぞれ委員会やワーキンググループで議論を深めて、統一的な産業振興につながるようなものにしていくこととされています。
今定例会では、企画建設委員会や産業経済委員会で現在の進捗状況について報告がされましたが、現状に対する分析の不足や克服すべき課題についてもさらに掘り下げた検討を必要とする議論の叩き台や進め方の問題、そしていかに実効性のある計画にできるかどうかということなどについて危惧する指摘が多くありました。
10月の中間とりまとめに向けて、計画づくりにかなりの労力を費やしており、本来向かい合うべき県民との間に意識のズレが生じたり、できあがったときに、トップダウンの余り、一体感が持てないようなものにならないように十分に配慮されたものとして策定される必要があります。
教育における「5つ」の改革について
県は、本県の教育を大きくレベルアップさせるための本格的なスタートとして「5つの改革」に緊急に取り組むとしていますが、「学校・学級改革」「教員指導力改革」「幼児教育改革」「心の教育改革」「放課後改革」が学校現場、地域、家庭との間で、「こどもを中心に据えるのはこの方法しかない」という合意が図られるのかも、議論が尽くされるべきだと思うところです。
これら5つの改革は、それぞれに必要なステージではあり、それぞれのステージで主体となる担い手の県教育委員会、市町村教育委員会、学校現場、PTA、地域などがこどもと向き合う形で進めていけるような改革内容にしていく必要があります。県は、教育版「対話と実行」座談会を行っていきながらその方向性を見定めるとのことですが、決して形式的に終わらせるのではなく、教職員がいきいきと子どもと向き合い、子どもの自発的な学習意欲が向上するような取り組みが図られるよう十分な意見交換がなされることを求めておきたいと思います。
また、「南国市における児童虐待死亡事件」については、検証委員会からの報告書が提出される中、児童相談所を始め、かかわった関係機関の対応や体制について、数多くの問題点や課題を指摘され、具体的な方策についての提言を受け、児童相談所において体制の整備等のために要する経費について補正が行われましたが、各関係機関の連携や不十分さの克服が急務であることが確認されています。
○皆さんの声で今後の県政主要施策に優先順位を
財政収支見込みの試算が改めて行われる中で、2011年度までの短期においては、435億円にのぼる大規模事業も控えながら、一定の見通しもついたとされています。しかし、これ以外にも、ソフト事業などにおける施策の拡充においても急がれるものがあり、限られた財政状況の中で優先順位をつけながら進めていくことが求められています。
ここでは財政収支見込みをご報告しますので、参照のうえ、同封の「県政アンケートはがき」において皆さんのご意見を聞かせて頂きたいと思います
財政収支見込み
昨年の今頃、県立女子大学の池移転事業の財政的裏付けの議論のために、財政収支の試算が示されて以降、08年度予算編成にあたっての財政的努力などがなされる中で、現時点における試算を求めてきました。7月定例会を前に、「県民サービスの確保」と「財政健全化の推進」の両立を図るための財政収支試算が明らかにされましたので、県財政課の作成資料をもとに報告しておきます。
試算の結果
〈2011年度までの短期の財政運営〉
▼前回の2月推計後、起債の効果的な発行を実施したことなどにより、財政調整的な基金の残高の増加を図ることができた。
▼この結果、先々発生する財源不足に対して、徴収率の向上や事務事業見直し、執行管理の徹底などを図ったうえで、特定目的基金をタイミング良く取り崩すなどの対応により、県民サービスを確保しつつも11年度までの財政運営に一定の目途を立てることができた。
▼これにより前回の推計と比べ、収支が赤字になる時期が10年度から11年度と財政事情が一定改善する見通しとなった。
〈2012年度以降の財政運営〉
▼12年度以降の動向は「歳出・歳入一体改革」や抜本的な税制改正の論議、あるいは地方分権改革の動向に大きく左右されることになり、国において「骨太の方針2008」に基づき、財政力格差の是正に向けた交付税の傾斜配分や税財政制度の抜本的な見直しが着実に行われる必要があることなどから、試算の見通しが不透明となっている。
◎財政再生団体への転落が予想される場合には、さらに緊急的に様々な対応を図らざるを得ないが、試算ではこの点は反映していない。
08年度予算で少しでも県民生活の向上へ
子どもをまもる教育・福祉・医療の充実を
2月22日から3月19日までの2月定例会では、08年度予算議案をはじめとした執行部提出の73議案と議員提出の3議案が全会一致または賛成多数で可決、同意、承認されました。
予算案は9年連続マイナスとなる、4135億7千万円(対前年度比▲2.3%)となっています。定数削減や給与カットの効果、事務事業の見直し、公債費負担の平準化などで125億9200万円歳出抑制の工夫もされましたが、199億円の財源不足に対して、基金の取り崩しで100億円、県債発行で99億円を調達したところです。その予算案の中に、尾ア知事は県政の「5つの基本政策」として、@経済の活性化(産業振興と雇用の創出)、Aインフラの充実と有効活用、B教育の充実と子育て支援、C県民の安全・安心の確保に向けた地域の防犯・防災の基礎づくり、D日本一の健康長寿県づくりの施策を盛り込んだものです。これらの詳細について触れることは困難ですが、今後の執行段階で、その効果について議会としても充分チェックしていかなければなりません。
視覚障害者の採用にかかわる請願 全会一致で採択
請願については、「視覚障害者の採用にかかわる請願」を全会一致で、「県立芸陽病院の移転に反対する請願」と「青少年を守り育てるための有害情報規制に関する請願」については賛成多数で採択、「警察署再編計画案の再考を求める請願」については賛成少数で不採択となりました。
意見書については、「医師不足対策の一層の充実に関する意見書」をはじめとした9本の意見書が全会一致で可決され、県民クラブなどが提出した「在沖米海兵隊員による女子中学生暴行事件に関する意見書」と「自衛隊イージス艦衝突事故の原因究明と再発防止を求める意見書」は賛成少数で否決されました。
また、自民党などが提出した「道路特定財源の暫定税率の維持を求める意見書」案については、私も含めた県民クラブの4名と日本共産党と緑心会の5名が反対しましたが、賛成多数で可決されました。この問題の本質は、「道路特定財源という飴によって、国交省が地方や国会を牛耳っており、地方分権とは相反する」制度の根幹を見直すことでありながら、地方の道路整備が遅れるということだけが強調されています。
暫定税率が、これまでも30年間にわたって継続し、これからも将来にわたって続くのであれば、それは暫定とは言えないという矛盾は解消するしかありません。そして、その特定財源が、本来の目的を逸脱した使途に対して充当されている問題点も枚挙にいとまはありません。
国民から信頼を得られない税制度・税構造を抜本的に見直し、一般財源の中で道路整備に真に必要な財源の確保と内訳を明確にするなどの検討がなされるべきであり、今後の道路整備については、真に「命・生活の道」として必要な路線の優先計画を国民合意のもとに策定した上で、早急な整備が図られることが望ましいと思われます。
◆ 代表質問から ◆
坂本議員が県民クラブを代表して行った質問は、概ね次のとおりでした。
1、県政運営の姿勢について
・「対話と実行」のあり方
・今後の財政運営の見通しと来年 度予算
・職員の給与カットと査定昇給
・民間活力利用の形態と課題
2、トータルな視点でのまちづく り
・はりまや町一宮線事業の見直し を行い、新堀川の水辺空間を活 かしたまちづくりへの転換を
・中心市街地活性化とまちづくり の関係
3、南海地震条例の実効性と地震 対策
4、消防広域再編と消防救急無線 のデジタル化について
5、児童虐待と発達障害の支援
特徴的なものについては、いくつか報告しておきます。
格差解消の県政運営姿勢を求めて
知事の「4年間で本県を上向きにしていく」という基本姿勢の中で、格差を解消しようとする意欲と姿勢を根底に据えた県政運営に臨んで頂きたいという思いから、「勝ち組のためだけの政治を続けていてはいけない」という知事の言葉の真意を確かめました。
その基本的な考え方としては、「商工業、農林水産業、県土の多くを占める中山間地域の方々から頂いた不安の声に応えることが責務である。例えば、産業別・地域別の振興計画を策定する際にも、単に先進的な企業や地域のみを対象とするのではなく、地域経済の底上げを図るといった視点を基本に据える。また、教育の問題にしても、すべての子供たちが、将来、自分たちの個性を生かし切れるよう、基礎的な学力を十分に身につけさせる。このように、厳しい状況下でも、県民の切実な思い、その幸せのために、将来に希望の持てる高知県づくりに取り組んでいく」という考えであることが示されました。
「高知県南海地震による災害に強い地域社会づくり条例」を県土づくりにいかそう
議会ごとに取り上げてきた地震対策については、「高知県南海地震による災害に強い地域社会づくり条例」が策定されたことで、一歩前進することを期待しています。南海地震による災害から県民の生命、身体及び財産を守ることを目的とする自助・共助・公助の取り組みなど、今後いかに実効性のあがるものとして県民の間に周知させていくかが問われます。
また、新年度事業の中で、県民の防災対策にかかるものとして防災行政無線システム更新等約40億円の事業費は、@優れた災害耐性を持つ通信基盤であること、A災害時に速やかな対応ができる機能を有すること、Bデジタル化が予定されている市町村の消防救急無線の通信基盤として活用できること、の3条件を満たす地上系の防災行政無線を基幹とするシステムで08、09年度の2カ年で整備することとしています。
アウトソーシング落札率の悪影響を懸念
12月議会でもとりあげた試験研究機関のアウトソーシングについては、落札率が県の予定価格の50〜70%という極めて低い結果になっています。このしわ寄せは、業務従事者の賃金に影響し、人材の確保や従事者の生活の安定にも悪影響を及ぼしかねず、そのことが業務の品質確保に悪影響をもたらしかねないことを危惧し、今後の注視が必要となっています。
自然、景観、歴史、水辺空間を活かしたまちづくりへ
中心市街地のまちづくりのあり方については、はりまや町一宮線事業と新堀川の水辺空間を活かしたまちづくりとの整合性をどのように図るのかが問われています。坂本議員は、新堀川の水辺空間を活かしたまちづくりへの転換を図るため、事業の見直しを行うべきであることを主張してきました。
それに対し県は、「追手筋弥生町線から南の区間につきましては、水辺や掘り割りという歴史的な資産を活かしたまちづくりの観点から、広く県民や関係者のみなさまのご意向も伺いながら、今後の方向性を検討してまいります。具体的には、平成21年度末の北側区間の完成以降、一旦工事を止めて、実際の交通の流れや、新堀川の自然環境の復元の推移を県民に示しながら検討していく」との考えが示されました。
質問の趣旨と答弁については掲載しきれませんので、別冊子を作成しています。必要な方は、ご連絡頂ければ届けさせて頂きます(事務所TEL 088・861・4495)。なお、ホームページにも掲載してありますから、そちらからもご覧になれます(アドレスは1面下欄)
児童虐待をはじめとした教育問題
2月4日に亡くなった南国市大篠小5年生の藤岡和輝君の虐待死事件以降、二度とこのようなことを起こしてはならないとの思いが、県下で沸き起こっています。SOSの発信が頻繁にされている中で、小学校の対応、児童相談所の対応、警察の対応、いずれかがもう一歩踏み出していたらと残念でなりません。
昨年4月、児童虐待防止法が改正された背景には、その一歩を踏み出すことが求められていて、それを法律で促そうとしたのではなかったのでしょうか。昨年4月27日付の高知新聞社説には、「一人の犠牲も出すまい」と題して「児童相談所はこれまで、保護者との信頼関係に基づくかかわりを重視してきた。子どもの安全が危ぶまれれば踏み込んだ対応が必要になるが、県外では保護者の言い訳をうのみにしたり、対応が及び腰だったことによる悲劇が相次いだ」と書かれていました。「県外」のことでない「県内」で「犠牲」を出してしまったことを深く反省し、行政機関、地域、おとなの責任として今後の取り組みを強化していかなければなりません。
【県内の虐待の状況】
中央、幡多両児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数が、02年度の117件から06年度は242件へと5年間で倍増しています。また、児童相談所での05年度の児童虐待の受付件数は、前年より27件の増加となっていますが、対応件数は前年より73件増加し、対前年比1.8倍で、増加率は全国最高となっています。
今回の事件をうけて、児童虐待あるいは児童虐待と疑われるような事例について調査を行い、331件の事例が報告されたうち、関係機関が対応しているものの何らかの対応が必要ではないかと思われるもの27件を抽出し、市町村教育委員会、福祉事務所等から個別の状況・考え方の聞き取りを行い、関係機関が何らかの支援を始めていることの確認がされています。
【県内の相談・協議体制】
児童相談所における体制、人員配置、職員の経験年数や専門性、また、専門性を高めるための研修制度などにそれぞれの課題がある中で、新年度には新たに増員をすることとなっています。しかも、その際には専門性、経験、熱意などが念頭に置かれた人事配置が求められています。
そして、事故直後に発足した高知県児童虐待死亡事例検証委員会の結果も踏まえて柔軟な対応がとられることとなっています。
市町村窓口の強化については、05年4月から、児童福祉法の改正で、市町村に児童相談の窓口が設置されることとなりましたが、07年4月の配置状況では、児童相談担当職員は73名で、専任職員は27名となっており、児童福祉士と同様の資格と能力を有する専門職員は、5名という状況にすぎません。
また、要保護児童対策地域協議会の設置状況は、08年1月末現在で18市町村、虐待防止ネットワークを加えても27市町村にすぎないことが、坂本議員の質問で明らかになりました。
今後は、市町村窓口の体制強化とともに、市町村に設置される要保護児童対策地域協議会において、虐待ケースの進行管理台帳の作成や関係者との情報共有、処遇方針の確認などを行い、地域の実情に即して協議会が実際に機能するよう、児童相談所として積極的にかかわり、学校などの関係機関との連携を強化し、児童虐待防止に全力で取り組まれなければなりません。
【教育委員会の責任と対応】
教育委員会としては、児童虐待防止のための虐待把握システム、啓発及び研修体制の見直しを行い、具体的な対策を検討する「児童虐待防止」ワーキンググループを立ち上げ、その中では国へ制度改正を求めていくようなものも含めた検討や、従来のものと違ったマニュアルを策定することとしています。
また、教育委員会の責任として、教育長の処分の検討に際し参考とした弁護士の見解である「本事案は学校教育の範囲を超える事案であり、法的な責任は認められない」との見解に対して、教育委員長は「教育に関する全ての責任は委員会にある」として、「検証委の結果を待つのでは主体的でないということで教育長の処分の判断をしたもので『学校教育の範囲を超える事案』だとは思っていない」との考えが示されました。
県の教育行政が現場に信頼されるために、信頼関係の構築に全力を挙げなければならないという課題が大きく横たわっており、県をあげた取り組みが求められています。
高知県の医師確保をはじめとした医療機能強化を
高知県の医療を取り巻く状況の厳しさは、医師の確保はもちろん、地域の拠点病院としての高知医療センターや県立病院の経営状況の悪化、分娩を取り扱う産婦人科の中央部への集中や小児科救急輪番体制の維持の困難さ、救急医療体制の綱渡り的な運営維持など課題が山積しています。
先日も、高知市医師会勤務医連絡協議会が実施した市内の勤務医へのアンケート結果として、69%が「勤務加重との自覚」があり、そのうち半数が限界と感じ、「限界を超えて危ない」「退職を考えている」が13%にものぼっていることが明らかにされました。医師養成策の不十分さや過酷な勤務実態を強いている背景に国の医療費抑制策があることももちろんですが、医療機関の役割・機能分担をもっと明確にし、患者の受診意識の確立を図ることも求められています。
新年度予算は、「医師確保対策事業費」「へき地保健医療対策事業費」「助産師、看護師等養成奨学貸付金」「小児医療支援事業費」「周産期医療体制整備事業費」などさまざまな事業化が行われていますが、これらの事業が、地域の医療の安心を確保できるための実効をあげることが求められています。
経営的に不安視されている高知医療センターに対して財政的支援を行っている「高知県・高知市病院企業団負担金」については、地方公営企業法の繰り出し基準に基づく算出であって、赤字部分の上積みなどは行っていないものの、今後は、特定目的会社の提案どおりの材料調達やマネジメント効果を発揮させ、PFI効果を経営改善につなげることが求められています。県は構成団体としての責務があるため、県、市と医療センターで経営改善に取り組むこととしています。
また、県立芸陽病院については、第五期保健医療計画案では、芸陽病院の建てかえを機に、県立精神科病院としての機能強化や、その機能を県下全域を対象に発揮していくため、中央保健医療圏への設置も含めて検討する必要があるとされており、県東部からは、懸念の声もあがっています。
利用間伐の促進を条例に規定
議員提案された「高知県緊急間伐推進条例の一部を改正する条例議案」は、本県におけるさらなる森林の多面的機能の持続的な発揮と、県民生活の安定・向上を図ることを目的としており、総合的、計画的、かつ、緊急に実施している間伐の一層の推進に向けて、その施行期限を5年間延長するものです。そして、森林が持つ地球温暖化防止機能の重要性を考え、あわせて森林組合等の責務や利用間伐の促進についても新たに規定するなど、必要な改正をしようとするもので、全会一致で可決されました。
県民には唐突な高知工科大学の公立大学法人化
高知工科大が、09年春の公立大学法人化を目指して検討がされていることについては、これまでにも議会で、一部議員によって提案されていましたが、定例会前にそのことを工科大学内部で検討していることが明らかになりました。
工科大は97年4月の開校で、土地代や建設費など計約268億円を県が提供し、開校後の運営費用は大学法人が負担してきましたが、最近では、定員割れが生じるなどの課題を抱えているところです。そこに、04年度から可能となった「公立大法人化」の議論が一気に浮上したように思えてなりません。
県立化すれば、本年度約11億円あった国からの私学助成がなくなる一方、本年度の学生数をベースに試算すれば、約38億円の交付税措置が見込まれるとの試算がされています。
しかし、同様の課題を抱える鳥取県では「交付税はそれほど見込めない。半分以上の公立大学は交付税措置以上を持ち出しているのが現実だ」と懐疑的で、公立化が先行する議論にも違和感を覚えるとのコメントも報道されています。
また、高知女子大学の法人化については、高知工科大学の公立大学法人化とのセット論ではなく、県内の高等教育機関をどうするかということを踏まえた慎重な議論も必要と思われます。
議員報酬は4月から削減額を拡大
議員に関することとしては、議員報酬を削減する議員提出の特例条例議案を全会一致で可決しました。これで4月からは3万円を削減して75万円となります。
坂本議員の所属する県民クラブでは、5%(3万9千円)の削減を主張していましたが、全体の合意事項として3万円の削減額となりました。
産業経済委員会で経済活性化と雇用拡大の議論を
坂本議員は、新年度は「産業経済委員会」に所属し、「少子化対策・子育て支援特別委員会委員」と「県・市病院企業団議会議員」は引き続きその任にあたることとなっています。
厳しい財政状況のもと、県民目線で優先施策を
尾崎知事となって初めての12月定例会は12日開会、27日閉会の日程で開会されました。平成19年度一般会計補正予算案は、試験研究機関のアウトソーシング関連債務負担行為予算について減額する修正案が県民クラブなどから提出しましたが、少数否決となり、平成19年度一般会計補正予算案は原案通り可決されました。
追加提出された人事案件(副知事、選挙管理委員、土地収用委員)については、十河清氏を副知事に起用する選任同意議案をはじめ全て全会一致で同意しました。
また、議員提案の「清潔で美しい高知県をつくる条例議案」は全会一致で可決したものの、高知県立総合看護専門学校の助産学科の廃止を平成27年度末まで延期しようとする「高知県立総合看護専門学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する等の条例の一部を改正する条例議案」は少数否決となりました。
なお、開会日には、報第10号平成18年度高知県一般会計歳入歳出決算をはじめ18会計決算を全会一致で認定しました。
森林環境税は5年間継続
森林環境税は「高知県税条例の一部を改正する条例議案」として、審議されました。森林環境の保全を図ることを目的に、平成15年度から5年間導入してきた森林環境税を、これまでの成果や県民の意見、森林の現状などを踏まえ、引き続き5年間延長するものです。
第一期の整備は、主に水源かん養の機能などを持った水土保全林の保全型の人工林や身近な里山林などを対象とし、約2,500ヘクタールを整備してきました。また、森林環境税による雇用としては、ほとんど切り捨て間伐であり、約25,000人役ぐらいと試算されているとのことです。今後、5年間の延長で、この期間に若齢林の間伐を進めることで、森林の持つCO2の吸収効果を高めていくこととしています。
また、税額は、国でも環境税の議論もされており、状況によっては見直しの可能性もあり得ることや、企業の負担を多くすることは、景気動向や厳しい経済状況を考えると難しい面もあるとして、これまで同様500円に据え置くこととしました。しかし、森林環境保全基金に対して意思のある企業・個人からの寄付金を受け入れることができるよう条例を改正しました。
全日空ボンバルディア事故修理機の就航復帰に怒り
請願に関しては、「警察署再編計画案の再考を求める請願について」は、全会一致、継続審査とし、「後期高齢者医療制度にかかわる障害者施策に関する請願について」は、全会一致で、採択しました。また、「すべての子供に行き届いた教育を進めるための請願について」「授業料助成の実施など、私学助成の拡充を求める請願について」は、不採択となりました。
意見書に関しては、「地方議会議員の位置付けの明確化に関する意見書」をはじめとして12件の意見書を可決し、「高知医療センターの経営改善を求める決議」と「事故修理機の運航に関する決議」を全会一致で可決しました。これは、ボンバルディア事故機を08年1月1日より、高知―伊丹路線から復帰させるという全日空の表明に対して、県民感情として到底容認できるものではないとの強い意思表示を行ったものです。
「警察署」「消防署」再編は県民合意で
警察署分庁舎化の影響は
警察本部からは、警察署再編計画(案)に対して、10月以降、各市町村への説明や地元説明会、警察署協議会の開催など県民への説明、パブリックコメントなど県民から寄せられた意見や要望等を踏まえ、修正等を加え、警察署再編計画が取りまとめられたことが報告されました。
再編計画では、現行の16署を12署5分署とするもので、新中村署、高吾署への集約、高知東署と新南国署新築などの一方、清水、いの、本山、香美、香南を分庁舎化することとなっています。
該当住民のみなさんからは、分庁舎化に対する不安の声があがっています。警察本部としては、小規模警察署の統合によって、捜査力は強まり、事件の早期解決に結びつく。また、事件の初動措置対策として分庁舎にもそういった警察官は配置すること。さらに、駐在所の警察官の看守勤務等が抑制されるなど、制服警察官としての本来の活動に専念でき、駐在所の警戒力、パトロール活動が強化されるなど、分庁舎としての機能も強化して地域に残ることになどを説明し、理解を求めることとしています。
今後とも、地域の方々の理解が得られるよう十分に説明することとし、合意のもとに進めていくことが求められます。
市町村消防 一ブロック再編で消防力はあがるのか
消防本部及び消防署は、時代の進展、社会生活の複雑多様化にあわせて、順次設置されてきました。
しかし、管轄人口が10万人未満の小規模な消防本部においては、出動体制、保有する消防車両、専門要員の確保等に限界があり、消防の体制としては必ずしも十分でない場合があります。そのため、国は、常備消防体制の充実強化のためにも、市町村毎で行っている消防を広域化することにより、スケールメリットを具体化しようと、都道府県に対して消防広域化の枠組みなどを定める「消防広域化推進計画」を平成19年度中に策定するよう求めています。
高知県では、この「消防広域化推進計画」の策定にあたって、広く各方面から検討する中、人口減少による財政力の低下により、将来にわたる消防サービスの体制維持が困難になることから、広域化の必要性を初め、広域化の組み合わせとして、1ブロック化の方向性を視野に入れた議論がされています。
しかし、高知市にとっては、出動範囲が広くなることにより、足元が手薄になるということが懸念される、一方、人口や都市機能が集積しており、災害が大規模化した場合には、統一的な指揮下のもとに近隣から迅速な応援が得られるなど多岐にわたるメリット・デメリットが想定されます。今後、各市町村・消防本部・消防団、住民の声も踏まえて、県民の安全、安心に応える消防サービスの体制をつくることが求められます。
「学力」これほど全国と開いていいのか
本県の中学生の基礎学力が全国平均を大きく下回っている状況が明らかになった「全国学力・学習状況調査結果」について説明がされました。
これまでにも毎年、各市町村で到達度把握検査を実施しており、平成17年度の土佐の教育改革の検証と総括の作業において分析をした際に、小学校ではほぼ全国並み、中学校では大きく落ち込むという状況は把握されていました。
そのことも踏まえたとき、土佐の教育改革の取り組みが中学校現場へは届かず、学校現場から十分な信頼を得られていなかったし、その努力も足りなかったと言わざるを得ない。これからは、中学校現場への対策を確実に進めることの説明がありました。
この結果だけで、子どもへの評価や学校全体の評価をするべきではないが、子どもたちの基礎学力は子どもが自分の進むべき道を切り開いていく生きる力のためにはどうしても必要な力である。そのため、これほど全国との開きがあってはならないとの考え方が示されました。
試験研究機関のアウトソーシングには問題あり
「平成十九年度高知県一般会計補正予算」には、農業大学校、農業技術センター、果樹試験場や茶業試験場など出先機関の業務の一部を08年4月から外部委託するため、12件1億7千711万7千円の債務負担行為が計上されていました。しかし、アウトソーシング推進関連委託料の債務負担行為は、問題点の多いことから、県民クラブとしては日本共産党と緑心会とともに修正案を提出しました。
第一次産品の付加価値化に不安
これらのアウトソーシングについては、本県基幹産業である第一次産業を支える教育・研究という重要な機関の円滑な業務遂行に悪影響をもたらさざるをえないものであることから、所管の産業経済委員会でも多くの委員から次のような懸念の声が出されました。
人材の問題
試験研究機関では、研究員とともに技能職、非常勤職員との連携の中で研究業務が円滑に行われています。本来、研究課題を踏まえた研究員の考察や指示、ベテランの技能職・非常勤職員の知識と経験によって一体的に行われることで安定的に研究が進められ、その成果が本県1次産業等に活かされるものです。しかし、アウトソーシングされた場合には、人材派遣や請負委託で経験と技術を持った人材がが確保できず、研究水準の低下等が危惧されます。このことから、知事も、本会議で、アウトソーシングを行った上で「うまくいかない場合があれば、直営に戻す選択もあり得る」と答弁せざるをえませんでした。
派遣・請負手法の問題
派遣・請負による人材確保の方法は、研究員との連携において支障を生じ、場合によっては「偽装請負」という法違反が懸念されます。これらの懸念を払拭するためには、直雇いで確保することが最適であると言わざるをえません。
コストの問題
アウトソーシングによる経費削減効果があると言われる試験研究機関でも、他の職場に配転となる技能職員の人件費はダブルコストとなり、実質的にはコストアップにつながります。また、茶業試験場などのように、現行の非常勤職員の経費よりコストアップになるものもあります。そのため、従来からの職員の能力と経験をフルに活用した方がダブルコストを避けることもできるのです。
非常勤職員の雇用打ち切り問題
月13万円足らずの報酬でも家計を支えながら、業務の継続性から10年、20年と働き続け、試験研究業務を通じて県政の発展に尽くしてきた非常勤職員の雇用を打ち切って、一層の不安定雇用労働者をつくりだす単なる雇用の移動は認めがたいものがあります。これは、県としての労働政策のあり方としても問題が多いと言わざるをえません。
以上のことなどから、試験研究機関におけるアウトソーシング推進関連補正予算案については、9件を削除し、3件にするとともに予算を減額修正し、22,089千円とする修正案を提出しましたが、少数否決となりました。
県民のみなさんのお宅に配布された「さんさん高知」08年1月号では、試験研究機関の特集が行われており、表紙には、過去10年間の研究成果のうち「一般に普及された」と評価されたものが253件に及んでいることが数字で表されています。ナスの新品種「土佐鷹」をはじめとした野菜や果樹、花卉の新品種の開発、はちきん地鶏、土佐ジローをはじめとした農林水産資源の高度利用高付加価値化、土着天敵を活用した総合的病害虫管理技術の確立などを図ってきた試験研究機関の取り組みは、今後の本県一次産業の振興にも欠かせないだけに、アウトソーシング後への不安を抱かざるをえません。
県営住宅への暴力団員の入居は認めず
県営住宅及び特定公共賃貸住宅の入居者や周辺住民の生活の安全と平穏を確保するため、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員を県営住宅及び特定公共賃貸住宅に入居させないよう、必要な改正をするため「県営住宅及び特定公共賃貸住宅の設置及び管理に関する条例」の一部を改正する条例も成立しました。
総合看護専門学校助産学科の存続かなわず
全国的にも、また、県内でも産婦人科の休止をはじめとしたお産の危機が指摘される中、助産師の確保は喫緊重要な課題であることは県民共通の認識です。
しかし、高知県立総合看護専門学校助産学科の廃止決定の前提となっていた高知女子大学での八名と高知大学医学部看護学科での六名の助産師養成の開始の目途は、現時点でついていません。そこで、県内における助産師の安定的な養成及び確保を図るため、平成21年4月とされている総合看護専門学校助産学科の廃止を平成27年度末まで延期するため「高知県立総合看護専門学校の設置及び管理に関する条例改正議案」を県民クラブ、日本共産党と緑心会、ふぁーまー土居氏の11名の議員で提出しました。
これに対して、県は、高知女子大学と高知大学での十分な養成態勢が整うまでの助産師確保に全力で取り組むことで学科存続には難色を示し、総看廃止に理解を求めました。議論のポイントとしては、執行部の言う両大学での養成については目処がついていないこと。また、養成を行う際の分娩介助の実習例の確保の問題。大学での養成の態勢が整うまでの間の奨学金制度拡充と潜在助産師の活用の問題などがありました。
県として助産師養成・定着に責任を持てるのか
これらの課題については、大学4年間で看護師、保健師資格などとあわせて助産師資格をとることの困難性と卒後に助産師としての就労率の低さなどから、本県での安定的な定着の見通しがつかないこと。また、分娩介助実習例の確保に向けた調整を図る努力がなされていないこと。奨学金制度によって他県の助産師養成所で学ぼうとする看護師の確保と本県への定着の見通しや、潜在助産師の活用についても見通しが立たないことなどが支障となっていることが指摘されました。
争点において、異論が残されたまま、この条例案は少数否決となりました。
しかし、今後の少子化対策の中でも、安心できる命の誕生を保障するための態勢を確立することは今まで以上に求められており、県として責任ある対応を進めていかなければなりません。新しい命を育もうとする県民誰もが県下でそのことを保障されるような施策の充実が求められます。
財政健全化法に基づく指標は
12月7日に総務省から示された地方公共団体財政健全化法に基づく4つの指標を県財政にあてはめた場合、4つの指標のうち、「実質公債費比率」と「将来負担比率」については、国が示した基準を既に下回っており、今後も改善していく見込みであるため問題はない。また、「実質赤字比率」と「連結実質赤字比率」については、今後、赤字を出さない財政運営を行うことによりクリアすることが可能であると考えられているとのことです。特に「実質赤字比率」には、充分留意する必要があり、収支の赤字を出さないよう財政運営を行わなければならず、さまざまな工夫によって歳入に見合った形の歳出構造に転換していく必要があります。
なお、4つの指標の数値について、財政健全化団体あるいは財政再生団体となるかどうかの判定は、平成20年度以降の決算に基づく指標について適用されることになります。
女子大関連予算修正、計画の慎重合意を求める
県議会九月定例会(9月19日〜10月10日)では、補正予算案に盛り込まれた高知女子大学の池キャンパス移転統合に伴う新規造成費などの関連予算を全額削除する議員提出の修正案が賛成多数で可決され、関連予算を除く補正予算議案とそれ以外の執行部提出の議案は全て全会一致で可決されました。
また、知事の「退職金の返上を求める決議」も賛成多数で可決した他、「高知からCO2±0宣言」決議は全会一致、「教科書検定意見書」は賛成多数その他の意見書は全会一致で採択されました。
教科書検定意見書は「体験者による数多くの証言や、歴史的事実を否定しようとするものである限り、これは、悲惨な戦争を体験し、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられてきた沖縄県民の心情を察すると、到底容認できるものではない」との立場で、全会派一致の方向で調整して提出したものの、本会議で一部議員の反対で、賛成多数によって採択しました。
知事の目線は全て県民の目線か
今定例会では、橋本県政の16年間の総括と6月定例会で関連予算が削除された平成21年4月の池キャンパスへの移転統合を目指す女子大整備関連事業、そして、財政収支見通しなどを中心に議論がされました。
橋本県政の総括については、知事の政治姿勢、政治手法、県民満足度、自己評価に対する賛否などがさまざまな側面から指摘されました。しかし、知事自身の総括は、自画自賛的なものが多く、中でも、議場を最も驚かせたのは「県民を見る目」についての知事の答弁についてでありました。
「私が県民を向いている限り、職員が私を見ることはそのまま県民を見ること。公約を掲げて選出される知事の姿勢を見ながら仕事をするのは民主主義のルール」とまで言い切った知事の姿勢には、首を傾げざるをえない県民のみなさんは多かったことだと思います。
知事が本当に県民を向き続けていたのなら、何故県民によって否定される「駅前複合施設化構想」などという課題が浮上したのでしょうか。決して県民に目線が向いていたとは言い難い面も多くあったのではないでしょうか。
県民を二分したままで、強行できる整備計画ではない
県立大学整備費9、790万2千円、債務負担行為(県立大学整備事業費)49億1、065万1千円については、全額減額修正するという女子大関連予算の修正案は、所管の企画建設委員会では少数否決されながらも、再提出した本会議では20対18という僅差で可決されました。これは、現時点で県民、学内・学生の意見を二分したままで強行するのではなく、女子大整備計画の再検討と学内・県民合意を促すことや永国寺キャンパス・短期大学のあり方なども関係者と協議を重ねた上での方向性が示されるべきとの考え方によるものでした。
知事退職手当の返上を求める
また、知事の退任に際して支払われる退職手当今期分2,750万円については、元副知事らの実刑が確定した闇融資事件などに対する「トップの責任は免れない」として、返上を求める決議が賛成多数で可決されました。知事にはこれまでにも、任期ごとの退職金として、すでに合計約1億5,000万円の退職金が支給されています。
しかし、橋本知事は返上に応じない姿勢を明らかにしており、今後どのような対応をするのか注視していく必要があります。
予算委員会での質疑から
予算委員会で一問一答の機会を得ましたが、答弁時間を含めて40分間と制約されている中で、充分な回答は引き出せていませんが、抜粋してご報告しておきます。
知事4期目の公約総括はこれから
【質問】4期目の公約の総括、現時点での進捗状況は。
【答弁】任期満了までの間に、取りまとめて、県民に公表する。182項目のうち、進行中が半分近くに減り、対応済みが増えている。職員の知恵と努力で進んだものもある。
【質問】雇用対策に充てた予算合計額と、雇用人数はどれだけ創出できたか。
【答弁】16年度からの4年間で174億5,000万円。これに伴う雇用人数として、数値としては示せないが、例えば、企業誘致、企業立地などでの雇用人数としては、16年度からおよそ2,400人。
【質問】若者の就職対策として、五年十年後にどのような職種が必要で、不足するかの調査と、その結果の活用と成果は。
【答弁】公約に掲げた形での調査は実施していない。途中で軌道修正した。
【質問】折り返し点の中間報告の段階で付加された防災学習センターについて、公約としてどのように評価しているか。
【答弁】防災学習センターは、地震に対する知識、また、備えというものを継続的に身につけるため大切な施設だが、運営方法など課題が多い。南海地震対策の中での優先順位は不明。女子大の再編統合、改革の問題とは同じ土俵で比較できるような熟度ではない。
【指摘】今回、公約についてきちんと検証して、それを示した上で、この議会に臨んでいただきたかった。と言うのは、知事が本会議での質問に答えて、私が県民を向いている限り、職員が私を見ることは、そのまま県民を見ること。公約を掲げて選出される知事の姿勢を見ながら仕事をするのは、民主主義のルールだと言われたわけですから、公約に対する検証について議論されるべきである。
財政見通しは本当に心配ないのか
【質問】職員の給与カット、県庁組織の3,000人体制について。
【答弁】給与カットの継続については、期間や検討の方法も含めて、次の知事にゆだねる。
人数を減らしても、県庁の基本的なサービスは、変わることなく、本来やるべきことをやれる体制で進めていきたい。
【質問】財政健全化法との関係について聞く。
【答弁】実質赤字比率と、連結実質赤字比率に関しては、26年度には、赤字をゼロにするので指標はゼロとなる。実質公債費比率は、現在の16.9から、14.0になる見込み。将来負担比率は、不透明な部分もあるが、将来負担は毎年減っており、心配はしていない。
4つの指標についての心配より、この四、五年間に赤字を出さない運営をしていく。
【質問】新知事が考える「県民の安全安心を求める立場」がある中で、厳しい財政状況が、選択の余地を狭めるのではないか。
【答弁】一般論として、新しい知事の就任後、いろんな事情の変更には、柔軟に対応することは当然。熟度として高まって、計画に上げ、必要と判断されるものを進め、また、新しい知事は、次の課題に向け調整を進めていくことになる。
女子大移転統合整備の問題点解消しきれず
女子大池キャンパス移転統合整備については、本会議でも多くの議論がされましたし、予算委員会では私も質問しましたが、結果的に、修正案を提出しての議論となりましたので、修正理由のポイントだけご報告しておきます。
○今回の執行部提出の補正予算案は、議会側が6月定例会で促した議論を踏まえることなく、看護学部の拡充整備を先行させるための検討も行われず、議会の意志を尊重した対応となっていない。
○現時点で、池キャンパスへの移転統合整備計画について、県民はもちろん学生、教職員など学内においても理解と合意が得られないまま進められようとしている。分離キャンパスの解消を言いながら、分離キャンパスを固定化する駅前複合施設への新学部設置構想が一昨年前から提起されるなど一貫性がない。
○永国寺キャンパスの存続や活用のありかた、短期大学のあり方議論が先送りされる中で、「永国寺キャンパスは売らないという一貫した考え」が説得力を持たず、高知市、同市議会、周辺地域住民の懸念にも応え切れていない。
○不確実性の高い前提と130億円の財源不足解消策の不透明さを孕んだ財政見通しと財政健全化の再生判断比率の財政再生基準が不明なまま将来への不安がないとは言い切れない。
○看護・助産師不足の解消を言いながら、目途も立たないまま総合看護専門学校の廃止を決定した反省もうかがえない。真に看護・助産師不足の解消策を抜本的に示すべき。
○女子大問題は塾度が高まっていると言われるが、県民との合意については決して塾度が高いとは言えない。県立大学の将来のあり方が明確にならないまま、学生も含めた大学関係者や県民世論、議会を二分してまで押し切るべき事業ではない。
産業振興、雇用拡大に期待
産業振興策、雇用拡大、観光振興などについての補正予算も審議されました。
宿毛湾港工業流通団地の応募が始まれば、造船関係での雇用は百人が見込まれ、将来的なドックについては、雇用が五百人ぐらいを見込めるとのことです。
また、県と南国市及び県と香南市とが共同で新たな工業団地の開発を行い、企業誘致を推進する補正予算についても、知事が当初公約を転換してまで行うものであり、失敗は許されないものです。
さらに、「産業振興ビジョン」に描く五年後の製造品出荷額等を七千億円の目標をどう達成していくのかや、「花・人・土佐であい博」の成功に向けた取り組みは今後の大きな課題となります。
森林環境税の継続は次期定例会で
今年度で終了予定の森林環境税を継続するかどうかについて議論がされており、「次期森林環境税検討プロジェクトチーム報告書」についての説明がなされています。税額については従来どおり年額五百円に据え置く考えがしめされていますが、一律定額についての意見や使途目的などについては、常々県民からも寄せられている意見ですので、今後も慎重に議論を重ねることとします。
はりまや町一宮線の工事は
これまでも、随時報告してきた都市計画道路はりまや町一宮線工事に関して、「新堀川現状保存のための都市計画道路工事中断について」の請願が出され、追手筋弥生町線から北側の区間は、引き続き整備を進めて平成二十一年度に供用し、南側の区間は、当初の計画からいったん立ちどまり、水辺や堀割りという歴史的な資産を生かしたまちづくりの視点から、広く意見を聞き、今後の方向性を検討するとの執行部の考え方が示されました。しかし、委員からは、いろいろな課題がある中で、繰り越しまでして予算をつけなくても、もう一度立ちどまって、地域の住民や関係者とも話をして、合意の上で事業は進めるべきなどの意見も出されています。請願書は一旦取り下げられましたが、今後、新しい知事のもとでの議論もされるよう声が出されることになると思います。
所属する総務委員会で
問題抱える若者にサポートを
七月に開所した「こうち若者サポートステーション」と連携して非行等の問題を抱える青少年の立ち直りを支援するために、地域の団体や企業と連携、協力して、社会奉仕活動や体験活動、スポーツ活動などを行うことができる継続的活動の場づくりを推進するための増額補正が行われることとなりました。「こうち若者サポートステーション」には、開所以来、ニート、引きこもりなどで悩む当事者や保護者のさまざまなケースの相談などが寄せられていますが、新たな分野への対応も含めて今後の利活用がのぞまれています。
その他にも、財政見通しに対するさまざまな視点からの議論が行われましたが、今後、改めて来年度予算などと合わせて報告する機会を作ります。
また、「モード・アバンセ事件に係る退職手当の返納について」、元副知事と元商工労働部長が、在職期間中の行為に係る刑事事件に関し禁錮以上の刑に処せられたため、両名に対し退職手当の返納が求められたこと。
そして、警察本部における「警察署再編計画(案)について」の報告がされましたが、地元から強い反対のある土佐清水署など地域住民の不安を招かない説明や慎重な議論が求められていることなどが報告されました。
なお、本庁舎の耐震対策については、これまでの調査研究と議論を踏まえて、本庁舎等耐震改修事業費の執行保留を解除すべきものと判断しました。
高知医療センター前院長贈収賄事件
事実究明と医療の信頼確保
本会議及び文化厚生委員会で若干触れられたこの事件については、全国初のPFI事業として注視されていることもあり、県は構成団体であるという立場で、医療センターと情報を共有し、的確な対応を求める要望が委員から出されました。
私は、県・市病院企業団議会議員として、贈収賄事件の発生以降、自らのホームページなどでコメントを発表してきました。県・市病院企業団議会は10月13日に議員協議会を開催し、事件の概要や前院長の権限などについて報告の上、質疑も行われましたが、今後は、高知医療ピーエフアイ会社前社長西名氏の出席を求めるとともに、高知医療ピーエフアイの透明性の確保策や資料提出を求めた上で、事実とその背景の解明を図ることとしています。 いずれにしても、これまでも指摘してきたようにSPC内部のことがブラックボックス化していることに背景の一つがあると考えていますが、企業団ともども透明性を図ることが事実の解明と信頼を図ることになるのではないかと思われます。
財政収支見込みの厳しさに補正予算案も修正へ
6月定例会は、高知女子大学の池キャンパスへの移転統合に伴う造成費など約1億900万円と来年度の債務負担行為3億1900万円を削除する修正案を、賛成多数で可決するとともに、それ以外の補正予算案を全会一致で可決しました。また、県税条例の一部改正案をはじめとしたその他の議案も可決し、マンション建設計画が進んでいる高知城北・土佐荘跡(北曲輪地区)の史跡化などを求める請願は、賛成多数で採択しました。さらに、六月定例会では「経済活性化・雇用対策特別委員会」と「少子化対策・子育て支援特別委員会」が設置されましたが、坂本議員は「少子化対策・子育て支援特別委員会」に所属することとなりました。
女子大の移転再編統合は慎重に
「平成十九年度高知県一般会計補正予算」の中に、池キャンパスの造成工事にかかる予算として「県立大学整備費」が提案されていたが、橋本知事の方向性の定まらない発言に、議会での審議が極めて慎重な審査を行うこととなりました。
本会議でも、知事の考え方の真意を質す質問も出されましたが、委員会議論では今後の財政収支試算が示されて以降、厳しい財政状況の背景のもとで、100億円事業に対するゴーサインとなる造成予算に合意しかねるという異論が多く出されました。
執行部の説明要旨は、@高齢化社会を支える人材を県内大学から輩出するという特色ある大学づくりに向け、既存学部の再編統合、医療センターとの連携のために池キャンパスに統合するということが一つの大きな目的である。A社会科学系学部は、県内高校生の受け皿となり、企業誘致以上の人口増、人口定着効果がある。B県立大学改革は最もプライオリティーの高い、重要な政策の一つであり、平成21年4月に目標を達成するためには、今定例会でないと間に合わない。C事業費は財政当局の確約のもと予算提案をしているので、中止はあり得ない。というものでした。
県民の意思を反映した合意形成が必要
しかし、この説明に対する疑問点として次のことが挙げられます。@優先度合いが高く、重要なものでありながら、知事は開会前に、高知女子大の池キャンパス統合計画について、県の財政指標が悪化した場合に統合計画を中止する可能性もあり得ることを明らかにする一方で、議会終了後には、マスコミの取材に対して「秋に何らかの基準が出ても判断が大きく変わるものではない」と答えるなど一貫性がありません。A本来なら、執行部は6月12日の各会派に対する議案説明の際に、統合に伴う移転・新校舎整備費関連が約百億円にのぼることや財源には一般単独事業債(全額県負担)を充てる考えを示しておくべきものを、本会議の質問戦ではじめて明らかにするなど説明責任を果たしていると言えません。B今後の財源不足の状況や、財政健全化基準が不明確な時点で、409億円もの大規模事業が見込まれる中で、大学改革の当初構想全ての優先順位が真に高いのか。C永国寺キャンパスの存続や既存学部の現在地再編整備への可能性、社会科学系学部の不透明性などを考慮したときに、看護学部の拡充だけで当面対応することなども選択肢となりうる。などは、県民の皆さんが率直に抱く疑問点だと思われます。
最終的には、企画建設委員会と総務委員会で「平成十九年度高知県一般会計補正予算」のうち、「高知女子大学池キャンパス施設整備に係る造成事業費」に関連する補正予算及び債務負担行為については削除するという修正案を賛成多数で可決し、本会議でも賛成21票、反対17票で修正案を可決したところです。
今後は、財政面や、既存学部だけでない大学の方向性、永国寺キャンパスの存続などの内部議論を継続する一方で、看護学部の21年4月拡充の手法の検討を行い、いかにして県民の合意を図っていくのかが問われています。
赤字転落を避けるためのチェックに県民の視点で
本庁舎の免震・耐震改修に関する議論をする際に、今後の財政収支の見込みがどのようになっているか試算が総務委員会で示されました。
成立した「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」など、地方財政を取り巻く状況の変化がどのように影響していくのか。また、新しい制度のもとで、財政健全化なり、財政再生団体となることを避けるためにも、歳入歳出全般にわたる見直しをしなければならないことの報告がされました。
この試算では平成21年に基金も枯渇し、手をこまぬいていれば赤字に転落してしまうという試算となっています。試算の前提として定数削減計画により平成26年には3000人体制を想定するとともに、県債は発行することとなっています。また、歳出には14事業・約409億円の大規模事業も見込まれていること、さらに財政収支の試算には見込まれていない事業もある中、どこにしわ寄せがくるのか不透明な中でどのような優先度合いをつけるのか問われてきます。今定例会において、一部の障害者にとっては自動車税の一部税負担を強いることとなる「高知県税条例の一部を改正する条例議案」についても、さまざまな危惧のある中、試算で約1,300万円の税収見込みのために、可決せざるをえない状況にある中で、今後の大規模事業のあり方は慎重に優先順位をつける必要があります。
本庁舎・議会棟の耐震対策は防災拠点となりうる改修で
2月定例会において、設計委託料46,797千円、債務負担行為87,799千円の「本庁舎等耐震改修事業費」に対して「他県で県庁本庁舎等と同程度以上の延べ床面積を持ち、充分な耐震性を有した庁舎が県試算の建設費を大きく下回る金額で建設されている事例もあり、他県の実例を調査し、再検討を行うことが重要である。」とのことで再検討の結果が得られるまでの間、事業予算の執行を保留することを求める決議がされたことをうけて、再検討結果が総務委員会で報告されました。
耐震性の程度や機能面の向上、工事に伴う波及効果などさまざまな視点からの議論はありますが、最もネックとなるのは財政面ということになります。基礎免震構法の耐震改修による場合と別敷地での新築工事の場合のコストと県費による負担の比較は別表のとおりです。他県の実例の低コストで新築された場合のコストを反映したものも参考に示されています。総務委員会では、議論を踏まえてさらに調査を進めるため、
引き続き、本庁舎等耐震改修事業費の予算執行の保留を求めることとされました。
県庁舎を新築移転することとなれば、さまざまな効果も期待されますが、行政機能・利便性・経済効果の維持の面から移転場所が限定されることや全体的な財政状況や県費負担額が4〜5倍必要とされることなどから、この選択肢は厳しいと思われます。むしろ、免震構法で30年間、また、メンテナンスを十分に行えば、それ以上長期にわたって機能を維持できるのであれば耐震改修で対応することが適当な選択肢ではないかと考えています。
地域中小企業応援ファンド事業で地域経済の活性化の一歩へ
産業振興、雇用拡大が求められる中、地域経済の活性化を図るため、今定例会では地域中小企業応援ファンド事業費が決定され、財団法人高知県産業振興センターに基金を創設し、その運用益を活用することで、「産業振興ビジョン」に沿った具体的な施策を実施することとなりました。
今後、中小企業基盤整備機構との調整などによって補助の基準や条件、補助率など事業全体の内容が決まることとなっています。県内の厳しい雇用情勢を考えると、全ての企業活動を対象とした中小企業の使いよいシステムの早期確立がのぞまれています。
また、「産業振興ビジョン」の具体化に向けた施策と十分な連携が図れるようなことも含めて着実な一歩が歩めるよう取り組んでいきます。
●「豊かな心を育む教育推進費」については、不登校やいじめの未然防止、早期発見・早期対応につながる効果的な取り組みについて、調査、研究を市町村とともに行う「問題を抱える子ども等の自立支援事業」及び、いじめ問題に悩む子供や保護者等が、夜間や祝日等を含めて、二十四時間いつでも電話相談ができる体制を整えるための「電話相談事業」についての増額補正予算が計上されました。
●「高知県南海地震に強い地域づくり条例の骨子案」については、これまでの検討状況や骨子案の構成を初め、パブリックコメントの募集、県内十カ所で開催する説明会、今後のスケジュールについての説明があり、総務委員会としても、今後、骨子案を初め条例案の策定に向けて、積極的に、検討、審議を行うこととしています。
●「高知県希少野生動植物保護条例に基づく県指定種の選定」については、昨年七月に施行された高知県希少野生動植物保護条例に基づき、高知県環境審議会の審議等を経て、八月中旬に植物四種、動物七種の指定候補種を選定するとともに、条例に基づく希少野生動植物保護専門員等の設置で保護監視体制の整備をし、県のホームページ等、各種メディアにより指定種の状況や取り扱いについての啓発を行うこととしました。今後は、この指定が、希少野生動植物の実効的な保護につながるのか十分な検証が必要です。
●「県立文化施設の次期指定管理者の選定」については、現在指定管理者制度を導入している県立美術館など五つの県立文化施設の平成二十一年度からの指定管理については、企画展などの事業実施のために一定の準備期間を要するため、平成十九年度中に次期の指定管理者を選定することとなっています。
方向性としては坂本龍馬記念館については、県を代表する観光地に立地する施設として民間団体からの提案も期待できるため、公募により選定すること、その他四施設については地域の芸術の振興や文化の継承という地域に根差した公共性の高い役割を担っており、地域や学校等とこれまでの継続的な信頼関係を保ち、業務を実施していく必要があることなどから、これまでどおり財団法人高知県文化財団を直指定することとし、各施設とも指定期間を五年間とすることとしています。
しかし、県民のみなさんからは、早速坂本龍馬記念館の民間公募に対する懸念の声が出されています。歴史的文献の管理や信頼性の確保などを考慮し、単に民間の参入しやすい環境にあるということだけの判断には疑義の残るところであり、今後の議論が必要です。
警察捜査費疑惑は晴れず
県は定例会開会日に、監査委員による特別監査の結果と県警の内部調査結果との違いについて明らかにするということで「県警捜査費の調査結果について」を公表しました。県警の内部調査の信用性に強い疑問を示すとともに、監査委員特別監査報告に次いで県警内部調査を否定したものとなりました。知事は、提案説明で「今回の調査では、今までの疑念を払拭するどころか、かえって、疑念が増す結果」となったと述べました。
一方、県警本部長は「(「県警捜査費の調査結果について」は)県警の内部調査結果を否定するもので、県警としては到底受け入れがたい内容である。県の調査結果について可能な限り速やかに検証を行った結果、県の調査は県警の調査結果を評価する根拠となった事実の確認が不十分であり、誤解に基づくと思われる事項が多数あることが判明した。」と述べ、大きな食い違いを示しました。
また、知事が県警本部長から「危うくなる。慎重にした方がいい。」と言われたことについては、本部長も「そういう言葉を使ったかもしれない」と認めながらも、問題発言をしたつもりはないとして、県民の受け止めとは大きな乖離を生じています。
執行部は県警本部の「事実に対する誤解がある、県警の説明に対する理解が不十分である。」との反論に対しては、否定する考え方を示し、理解が不十分だとも思っていないと述べ、今回の調査に関して協力をいただいたとは考えていないとの見解が示されています。
知事は、今後とも「さらに真相に迫る手だてがないか考え続けてみたい」と述べているが、このままでは県民の疑念は晴れないので、総務委員会の場などにおいて、知事はじめ執行部と警察本部との議論の機会を設け、委員の質問に応える場を設けるようとの申し入れに対して、「議会の意向があれば従う」との姿勢を県警本部長は示しました。今後、総務委員会としては、議論のあり方についても検討することとしています。
2006年12月以前の県政報告
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06年12月定例会報告(12月6日〜12月19日) |
06年9月定例会報告(9月20日〜10月6日) |
6月定例会報告会(6月20日〜7月6日) |
2月定例会報告(2月22日〜3月17日) |
フォーラム「語り合おう〜被災からの再生」報告(1月14日) |
12月定例会を終えて(12月19日) |
県・市病院企業団議員協議会(10月18日) |
9月定例会を終えて(10月13日) |
原発に関する講演二題(7月16日) |
6月定例会を終えて(7月7日) |
「災害復興の在り方について」調査報告 (6月16日〜17日) |
雨水利用調査報告(5月31日) |
県・市病院企業団議会議員協議会(5月25日) |
2月定例会(3月19日) |
海岸シンポ「Tsunamiきたるべきその一瞬に備えて」(1月19日) |
12月定例会を終えて(12月30日) |
「効果のある学校」に学ぶ(11月26日) |
知事選の疑問に答えて(11月9日) |
知事説明文書(11月1日) |
9月定例会(10月8日) |
100条委員会(8月18日) |
7月定例会(7月13日〜7月26日) |
100条委員会(7月1日) |
5月8日、4月29日県政報告会(県政報告会) |
5月7日100条委員会(100条委員会) |
4月9日100条委員会(100条委員会) |
3月19日(2月定例会報告) |
2月23日(県・市病院組合議会) |
2月13日(100条委員会) |
2月10日(100条委員会) |
1月29日(100条委員会) |
1月15日(100条委員会) |
12月24日(定例会報告) |
12月16日(決算特別委員会) |
12月12日(決算特別委員会2) |
12月5日(決算特別委員会) |
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10月1日(本会議・代表質問) |
9月10日(総務委員会・知事等三役の退職手当及び高校再編について) |
9月1〜4日(教育現場と地震対策について) |
8月27日(県警の捜査費問題その3) |
8月21日(県警の捜査費問題その2) |
8月8日(県警の捜査費問題その1) |
7月19日(6月定例会について) |
7月10日(知事等三役の退職手当について) |
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6月27日(定例会に向けて) |
6.18日〜20日(兵庫・三重県の地震対策に学ぶ) |
6月13日(政府予算等に関する提案及び要望について) |
6月12日(静岡県の地震防災対策に学ぶ) |
6月6日(県・市病院組合議会) |
6月4日(県総合防災訓練) |
5月14日〜16日(総務委員会) |
5月7〜9日(5月臨時会) |
4月30日(会派構成) |
4月26日(当選証書受理) |
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