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12月定例会を終えて(12月19日) |
「出せば良い」だけでなく公的責任による県民サービスを明確に
県議会12月定例会は12月6日に開会し、14日間の会期を経て閉会しました。
17年度一般会計補正予算案は、アウトソーシング関連予算の一部を修正の上、可決し、県有8施設の指定管理者を指定する議案を継続審査とした他は、執行部提出45議案を全会一致または賛成多数で可決、承認、同意し、閉会しました。
今議会での予算案や議案では、県民クラブの代表質問に立った坂本茂雄県議もとりあげたように、「県として果たさなければならない公的責任によるサービスは何なのか、明らかにならないまま出せるものから出していくのでは心配される」とするアウトソーシング関連や指定管理者関連の債務負担行為予算(27件、47億9057万3千円)を含む予算・議案さらに駅前複合施設構想に議論が集中した面がありました。
指定管理者で継続審査
とりわけ、指定管理者の関連議案では17議案のうち、継続審査になった8施設(牧野植物園、こうち男女共同参画センター、人権啓発センター、森林研修センター研修館、同センター情報交流館、高知公園(駐車場)、県民体育館、武道館)については、今回の指定管理者制度における候補団体を指定することについて、県施設の管理運営業務を委託する先の財団などに知事をはじめ県の幹部職員が要職に就いていることは、その公募過程や審査過程において公平性や公正性への疑念が生じるので、好ましくないとのことで、その在り方について充分な検討をするために継続審査が申し出られたものでした。
しかし、このことは、本来は指定管理者の条例制定過程で議論されているべきはずのものであって、選定審査も終わり、いざ決定するという段階でのこの議論は、手続き的にもなじまないし、また、必ずしも県の幹部職員が要職に就いている財団が受け皿となってはいけないものではないとの考え方で、継続審査には反対しました。ところが、文化厚生委員会では執行部原案を可決したものの、本会議では原案そのものが否決される可能性が高かったため、一旦委員会に差し戻した上、執行部からの申し出もあり、継続審査としたものです。
今後、各施設の指定団体の要職に県幹部が就任している状況について、県の関与の在り方について検討されることとなっています。
なお、本会議の代表質問でも取り上げた県立総合看護専門学校を20年度末で廃止する議案については将来の看護師、助産師の確保が明確でないとの判断から反対しましたが、賛成多数で可決されてしまいました。
このほか、夜須町夜須川地区に民間業者が計画する産業廃棄物処理施設について設置反対の請願を全会一致で、また、「地方交付税等の確保に関する意見書」「医療制度改革大綱の撤回を求める意見書」など5件については全会一致で可決しました。しかし、県民クラブなどが提出した「食料・農業・農村基本計画に基づく施策に関する意見書」「WTO農業交渉での新しい貿易ルールを求める意見書」は委員会で不一致となりました。
県業務のアウトソーシングは慎重議論を
○アウトソーシングは、将来への基本的な考え方が不透明であり、サービス内容の品質管理やリスクマネジメントの面について、いつの段階で明確にし、公共サービスの品質低下を来たした時のフォローや責任の取り方はどうするのか。また、「出せるものから出していく」ということでよいのか。
答弁:適正な業務の履行が確保されるように、民間との責任分担を明らかにした上で、提供されるサービスの品質を評価し、チェックする仕組みのガイドラインを作成している。ガイドラインの素案をもとに有効性の検証を行っているので、検証結果を反映させたガイドラインを19年度から全ての業務に適用する。
また、品質が低下したときのフォローや責任については契約の中で明確にし、その契約を補完するガイドラインに基づき管理する中で、必要に応じて、是正措置を命ずる。
最後まで、県が直接担わなければならない仕事は何かを今一度見つめ直していくことが、まず大切であるが、今の時点は「出せるものから出していく」ということでよい。
○アウトソーシングの際の県民サービスの向上面や受け皿で働く労働者の労働条件の水準確保について来年度想定されるものについて、どうなっているのか。また、来年アウトソーシングしようとしている守衛部門の現委託先の勤務態勢に労働基準法違反の実態はないのか。
答弁:発注側として、複数年での契約締結や労働基準法など関係法令の遵守などを契約条項に盛り込んでいる。
守衛業務については、労働基準監督署への必要な手続きを行うなど、適正に勤務が行われている。(再質問で、具体事例をあげて質したところ、「そこまでは知らない」と答弁を避けたが、その後の調べで法違反の実態があることが、明らかになり、業者への是正指導がなされた。)
入札・契約制度改善で談合防止を
○今回の談合情報対応マニュアルで定めた「指名停止等」の措置の談合に対する抑止効果は期待できるか。また、談合がやりにくいシステムとして、総合評価方式による入札方式の導入については、将来的な導入時期などの目途も含めてどのように検討されているか。
答弁:本県での、指名停止措置は他県と比較しても、2ヶ月ほど重く、指名回避も全国的にあまり例を見ない措置であり、談合を未然に防ぐ措置として相当有効なものと考えている。総合評価方式は、平成16年度に1件の実績があるが、「高知県入札・契約制度に関する検討委員会」からも積極的に取り入れるよう、提言されていることや「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が施行となったことから、導入に向けた検討を進めている。
南海地震対策では復興制度の検討も
○南海地震対策の条例化議論の進捗状況と現状考えられるスキームはどのようなものか。
答弁:地震条例の策定方法などを検討するチームで11回の検討を重ね、報告書案を取りまとめてきた。「なぜ条例が必要なのか」「条例作りに参画するメリットは何か」「どのような条例をつくるのか」「どのようなプロセスでつくるのか」という県民の抱く疑問に応える形で、議論を進め、年明けから条例作りの準備に取りかかる予定。
○「南海地震に備える基本的な方向」において、「生きる(復旧)」の先に「暮らす」とでも言うべき「復興の姿」が描かれるべきだが、条例化の中で、もとの暮らしを再建するための「復興」が盛り込まれるべきでないか。
答弁:復旧の後にくる復興については、その姿は描き切れていない。今後、検討し、復興の部分を充実させていく。条例の策定過程の中では、応急対策や復旧・復興対策についても、条例作りの中で検討していく。阪神・淡路大震災や新潟中越地震での教訓も情報提供しながら、県民の皆さんとともに、どのような復興の姿を描くべきか討論していく。
「こども、高齢者、障害者が安心して暮らせる」施策の強化を
○看護師等の今後の配置見込みと将来の県内での看護師等の確保は可能か。社会人入学や看護師を目指しながら学費が高い専門学校に行けない人たちの進路保障は可能か。
答弁:将来、県民の医療に影響するような大幅な看護師不足にはならないと考えている。就業環境の改善や人材バンクの充実など、離職防止や再就業を促進する取り組みを進める。高校生にとって看護師資格取得の道が狭められる影響は否定できない。
○「子どもを産み育てやすい環境づくり」の中で果たす助産師の位置付けは。県内産科病院及び診療所における助産師の配置状況はどうか。総合看護専門学校の廃止による将来の県内助産師の配置状況は。総合看護専門学校が担ってきた助産師養成の役割は維持されるか。
答弁:重要な役割を担っており、ますます助産師の活躍は期待される。産科・産婦人科で助産師が配置されていない病院が一、診療所が九となっている。高知女子大学での助産師養成だけでなく、高知大学医学部看護学科でも、助産師養成が検討されており、ほぼ同程度の配置が見込まれ、総合看護専門学校の担ってきた役割は維持される。
○児童虐待及びDV対策(家庭内、高齢者、障害者)などの強化のため、児童相談所、女性相談所などこそ充実強化すべき組織であり、十分な職員配置の中で専門性を高め、体制の拡充を図るべきではないか。
答弁:仕事を通じて経験を積むよう在任期間を長くすることで職員の専門性を高めたり研修の充実を図っていく。また、それぞれ体制の整備を図っていく。
○療育福祉センターの機能の充実と民間との役割分担をどう果たしていくのか。
答弁:来年4月には、「発達障害支援センター」を設置するとともに、自閉症の幼児を対象にした通園事業を充実する。肢体不自由児施設をはじめ難聴幼児通園施設や相談所の機能などの在り方について検討する際に、県立施設として担うべき役割を明確にした上で、見直しを行う必要がある。
○身体障害者リハビリテーションセンターの見直しで、設置運営主体を民間と判断した理由は。また、今後、授産施設、更生施設としての機能を後退させる事にならないのか。
答弁:サービス内容や職員の体制の変更などに柔軟に対応できることや利用者の受け入れやサービスの質の向上に積極的に取り組んでいることから民間に移管することが適当である。また、地域生活への移行や一般就労に向けた支援などに加えて、利用者のニーズに応じた幅広い支援が展開されるよう取り組む。
○障害者自立支援法による利用者の負担の増大によって、県内の障害者は、これからの経済的負担に耐えられると考えているのか。
答弁:原則1割の定率負担や施設の実費負担など大きくなるが、低所得者への軽減措置が図られる。このことによって、施設を退所したり、これまでのサービスが利用できなくなるといった影響はないと考える。市町村に対して軽減措置など制度の仕組み等について周知する。
産業振興と雇用拡大について
○平成17年度予算における32億円余りの「産業の振興と雇用の拡大」関連予算による、雇用効果及び経済波及効果はどうなっているか。
答弁:事業の中には、直ちに雇用効果を把握することが難しいものもあるが、例えば「頑張る企業総合支援事業」では、5年後には売上高39億7千2百万円、272名の雇用の増加、また「コールセンター等立地促進事業」では、4社で最終的には400名近い雇用創出が見込まれる。
○「ジョブカフェこうち」の支援メニューの充実はどうなるか。今年から行われている若年者就職支援事業による成果はどうなっているか。
答弁:職場体験事業や就職支援セミナーの実施、一週間連続の地域へ出向いての移動相談、高等学校や大学への出張相談の回数増加などを検討。また、若年就職支援事業は、県内三箇所で5クラス92人が受講し、78人が修了。11月末現在23名の就職決定に至っている。
駅前複合施設構想について
○駅前広場のあり方や拠点街区のまちづくり、さらには中心街に向けた南北の町並みの整備と中心街の活性化など、まず全体の絵を描くべきであり、そのための県と市の連携を具体的にどのように取っていくのか。
答弁:・駅前広場のあり方については、04年度より整備主体の高知市が駅前広場基本設計検討委員会を設置し検討してきており、オブザーバーとして土木部長が参加。今後、県、市が連携して駅前広場のあり方を検討していく。
・拠点街区のまちづくりは、地権者である4者の会を設けて、情報・意見交換をしてきた。来年早々、4者の会が連携して「高知駅周辺拠点街区まちづくりアイデア募集」を実施し、広く県民、市民から意見を募集する予定である。
・高知市全体の中心街の活性化と駅周辺整備との関係については、平成11年に高知市が「中心市街地活性化基本計画」を策定している。この中で、駅周辺地区は、はりまや橋や帯屋町を含む中心商業地、県庁市役所を含む高知城周辺、カルポートや菜園場を含む九反田周辺とともに4つの都市拠点の一つと位置づけられ、それぞれが都市機能を補完・分担しあうことで、賑わいのある一体的な中心市街地形成を目指すこととされている。
・平成17年10月に高知市に「高知市中心市街地活性化推進懇話会」が設置され、県からは企画振興部長、商工労働部副部長が委員として参加しており、庁内には「中心市街地活性化情報連絡会」を設置し、情報の共有と支援のあり方の検討を行うこととしている。
○県と市の連携を円滑に進めるためにも庁内検討プロジェクトチームの議論を先行すべきではないが、どのような姿勢で臨んでいるのか。また、立ち止まる勇気を持った慎重な議論を進めていくつもりなのか。
答弁:「知事を交えた庁内協議の中で、企画の段階からオープンにし、関係者や県民の皆様のご意見を頂きながら進めていく。また、後戻りもあり得るというスタンスを持つ」ことを確認している。庁内プロジェクトチームは、複合施設全体として、これら三つの施設の機能を高める連携のあり方や、財政負担をできるだけ抑えることのできる整備手法と運営方法の検討などを行い、青写真を作成することとしている。
知事は県内の実情をしっかりと見据えた県政運営を
坂本議員以外にも質問で取り上げられましたが「知事は県外出張や県外での休暇が多いが、県内に腰を落ち着けて県政の舵取りをすべきでないか」ということについて、「今後とも県内と県外の仕事のバランスをとって働きたい」と意に介していませんが、県民の皆さんから見たときに、出張や休日を県外で過ごしている日が昨年は105日、今年は昨年を上回る141日という日数をどのようにお感じになりますか。
近隣住民の住環境保障のための中高層建築物の建築規制強化は
命よりも競争・効率性が優先された耐震強度偽装事件の発覚によって、阪神淡路大震災後の規制緩和の中で飛躍的に伸びてきた「民間指定確認検査機関」による建築確認の在り方がクローズアップされており、今定例会でも取り上げられました。
今後このようなことが二度と起きないためのシステム作りの議論が国のレベルで行われていくこととなりますが、最低基準しか定めていない建築基準法の在り方の中で、建築確認の段階でのトラブルとしての日照権の問題についても改めて真剣に考えなければならない時期にきているように考えます。
「中高層建築物の許可にあたっては、先住の近隣住民の住環境を保障し、日照権を資源循環型社会のシステムに組み込むという観点からも、建築規制を強化できないか。」と執行部を質しましたが「様々な土地利用の実態があり、一律に建築規制を行うことは困難。地域住民のコンセンサスを得た上で、話し合いで策定する建築協定などにより、地域の実情に応じた建築規制を行うことなどが望ましい。」との答弁にとどまっています。
県・市病院企業団議員協議会(10月18日) |
10月18日に開院後半年が過ぎた高知医療センターの企業団議会議員協議会が開催されました。
診療実績そのものは、外来患者数及び収益が当初見込みの6割程度にとどまる一方、入院患者数はほぼ当初見込みを確保しながら、診療単価が見込みより高単価で推移しているため、入院収益は見込みを14%上回っている状況にあります。
病床利用率も90%台で推移し、患者の平均在院日数は急性期病院の指標とされる「14日間」をほぼ達成し、救命救急センターはほぼ1000人弱/月の外来でそのうち3割の即日入院に対応しています。また、周産期母子医療センターのNICU(新生児集中治療室)もほぼ満床状態が続いているなど、急性期・高度医療の病院としての位置づけが早い段階で進んでいるようです。
一方、決算見込みや収支見込みの面から見ると、材料費が予算額を約8億円上回る見通しとなり、収益構造を圧迫する要素となっていることが明らかになりました。本来、民間のノウハウを活用してコスト削減を図るPFI事業の導入が、この医療センターの「メリット」であるにもかかわらず、現時点では十分な成果を挙げずに、負担にさえなつているのではないかと思わざるをえません。
材料費の見込みは、高知医療ピーエフアイが事業契約時に設定した「医業収益に対する材料費の割合23・4%」を大きく上回る29・9%となり、高知医療ピーエフアイ副社長は、安価な材料への転換などで「18年度はまず27%台を確保する」との改善案を示しましたが、それほどの実現性も見込めるものでなく、不安視されます。
材料費などのコスト縮減は、PFI事業導入の前提条件であるだけに、議員協議会では複数の議員から問題点の指摘がされ、私も「PFIの総括にある医事業務の混乱とか露呈した問題。請求データに信憑性を欠く事態。企業団に対し多大なる迷惑をかけたことなどが改善されたのか」「院長は前回の議会の際に要求水準の達成度合いに問題があれば、SPCには直接即刻改善を求めていくと答弁していたが、現状はどうなのか。」などSPC
に対する指導性を求めるとともに、SPCにも説明を求めました。
院長は「前人未踏の分野」であるとか「不慣れな面もあった」と言い訳をしていましたが、言い訳で済ますのではなく、いかに実効性をあげるのかが、問われています。
企業長も「材料費は病院事業の重要な要素。SPCと協働で収益構造を高めるとともに材料費への対策を講じる」との考え方を示しましたが、今後の病院運営面でのチェックポイントとなります。
また、紹介状のない初診外来患者が負担する特定療養費を12月から1050円引き上げて県内最高額の2630円(消費税込み)とする方針を決めたことが報告されました。
9月定例会を終えて(10月13日) |
9月定例会(9月20日開会10月7日閉会)では、台風14号の災害復旧費として19億7700万円を盛り込んだ一般会計補正予算案をはじめ保護区の指定などで絶滅危惧種を守る希少野生動植物保護条例案や新市町村合併特例法に沿った県の新たな合併構想策定に向けた市町村合併推進審議会の設置条例案、これまで使途が限定されていた特定目的の基金から一般会計への現金繰り入れを可能にする条例議案、さらに議員提出の「食の安全・安心推進条例」などが全会一致または賛成多数で可決、承認されました。
また、「アスベスト対策の強化を求める意見書」「違法伐採問題への取り組みの強化を求める意見書」や「私学助成制度の堅持及び充実強化に関する意見書」は全会一致で可決されましたが、我が会派も賛成した「義務教育費国庫負担制度を堅持し教育の機会均等を求める意見書」は賛成少数で否決されました。
今議会で、集中して議論された課題や私の所属する予算委員会での質疑及び所属する文化厚生委員会での議論課題などについて報告します。
津波浸水予想地域の中高層マンションは津波避難ビルへの指定を
沿岸市町村の津波避難対策における避難場所の在り方として、国の示す「津波避難ビル等に係るガイドライン」を適用する際に、浸水予想地域における中高層マンションを避難ビルとして市町村が指定することを基本方針として取り組むことについて、執行部の考え方を質しました。
【危機管理担当理事答弁】
@「津波避難ビルガイドライン」が新耐震基準に沿う建物や耐震診断で安全性の確認された建物を指定要件としているが、新築マンションが新耐震基準に沿ってることは確かであり、指定は有効な方策だと考える。
A指定を進める上では、建築確認申請の段階での要請が効率的であり、ビルが建設されるまでの間に効果的に所有者に働き掛ける仕組みづくりを考えたい。
B既存の施設を活用する際に、管理者が鍵を開けることが困難な場合、揺れたら自動的に解錠するという装置について、市町村に交付しいる防災総合補助金の中で使えるよう検討していきたい。
災害救助犬育成で被災時救命体制の強化を
新潟県中越地震における長岡市の土砂崩れ現場で、皆川優太君が救助犬レスター号によって生存確認がされ、ハイパーレスキューによって救出された場面は多くの皆さんもご記憶のことだと思います。
ところが、この救助犬の多くは、民間ボランティアで養成されているのが現状で、全国でも出動可能な頭数は215頭にすぎず、県内では一頭だと言われています。南海地震の際は、被災県も広域に拡がり、陸・海・空路のそれぞれが絶たれる可能性がある中で、県内に災害救助犬を育成しておくことが安心の提供にもなるのではないかと考えています。そこで、応急救助面の行政支援の在り方として、県として、何らかの形で災害救助犬育成を位置づける考え方や救助効率を高めるためのレスキューグッズの製造・普及などについて質問し、執行部の考え方を質しました。
【危機管理担当理事答弁】
@災害救助犬というのは災害現場で非常に有効だが、県が直接育成するというよりは、災害救助犬を育成している団体に働きかけて連携をとっていきたいと考えている。
A災害救助犬については、例えば防災訓練とかで一緒に訓練させていただくとか、災害時に出動していただけるような協定を結んでいただくとかの形で考えていきたい。その際に臭いグッズについてもどうすればいいのかということを研究していきたい。
資源循環、危機管理のための雨水利用を
私は、今年度に入って、東京墨田区の雨水資料館を見学したり、雨水国際会議に参加してくる中で、本県の資源循環型社会の先進県と防災の県づくりをめざす施策に反映できないか検討してきました。
そして、降雨の二極化に伴い災害をもたらす短時間の大雨も増加する中、早明浦ダムの利用水量が11年ぶりに底をついたという状況を見るにつけ、水をとりまく都市のリスク管理・リスク分散と健全な水循環のシステム化のために、雨水利用を真剣に考えなければならないと言うことを痛感してきました。そこで、今までの「流すシステム」から「貯めるシステム」へと切り替えていくための意識変革が「雨水利用を日常化」することになるのだと考える中で、「雨水利用」について質問をし、執行部の考え方を質しました。
【文化環境部長】
@平成12年度から雨水・湧水利用を開始した本庁舎や県警本部でも多くの節減効果をあげ、雨水利用施設の導入の成果はあった。しかし、以降はタンクの設置スペースの問題等もあり、県立施設での設置の事例はなく、県が行った公共事業でも実績や、今後の設置予定は把握はできていない。
A水を大切にするということは省資源・省エネルギーにもつながるので、資源循環型社会、それから地球温暖化対策といった視点からも、関係部局と連携し、雨水利用といったようなことを啓発していきたい。その成果を資源循環型社会づくり等にも生かしたい。
日高村エコサイクルセンター
日高村に建設予定のエコサイクルセンターに関しては、高知市での2月議会の議論を受け、産業廃棄物の受入量の再調査を実施したり、財団法人エコサイクル高知の理事会での議論が行われながら9月定例会での方向性の確認が求められていました。
県議会としても、文化厚生委員会で改めて、香川、徳島の民間の管理型最終処分場の状況を視察したり、受入量再調査結果についても審議してきました。そして、定例会直前にも、高知市によつて提案された「まずは、管理型の最終処分場のみの整備を進める」という縮小案について検討してきました。
文化厚生委員会としては事業計画の縮小によって、多岐多額の振興策についても見直し協議もされることなども踏まえて、@管理型最終処分場の必要性A長い日高村との経緯があることB高知市提案が他市町村からも理解が得られやすいという三点の執行部説明に一定の理解が示されています。
今後は、10月末に開くエコサイクル高知の理事会で計画見直しが正式審議された後、知事自身が直接日高村に出向いて、ここに至る経緯や振興策について県の考え方を説明することとなっています。
駅前複合施設構想は慎重な議論と計画性を持って
9月定例会直前の降って湧いたようなJR高知駅前の県有地に県民文化ホール、県立図書館、高知女子大を移転・複合施設化する構想について、県民の皆さんからは賛否の声が上がっています。
同構想は、3施設がそろって改築整備などに迫られる中で、知事は「財政状況は厳しく、今後の見通しも不透明なままで、多額経費を要する事業を検討することへの慎重な声も不思議ではない。また、文化ホールは、一旦は改修での対応を決めていたので、大きな方向転換となる。ただ、本県の将来を考えれば、財政的には苦しくとも、文化や教育など人づくりに投資を惜しんではならないし、全国的に経済が持ち直しつつあるというタイミングもはずしてはならない。」ということで、今後は、関係の方々や県民の声を聞きながら、実現に向けた検討を進めると述べています。
一方で、知事は「学生や一般県民の鉄道利用が増えることが予想される」と構想の実現による波及効果や土佐くろしお鉄道の利用増もにらんでいますが、県財政は危機的状況のため、整備手法については「負担軽減へ県が上限金額を提示して業者に投げ掛ける方法もある」とするなど、将来への期待と不透明さが混在しているのが現状です。
質問戦の中で知事は、施設の完成時期を「仮に20年度の着工を前提とすると、22年4月にはオープンできる」などとする一方、複合施設の具体的な規模や内容、周辺「拠点街区」との調整、経費の見込みなどについては、明らかにされていません。
私たちは、厳しい財政状況であるからこそ、県の構想ありきで、検討に入るのではなく、真の意味での駅周辺の交流と賑わいの場づくりと南北のまちづくり、はりまや橋周辺から中心街のまちづくりなどトータルで検討される中で、拠点街区の開発のあり方が議論されるべきだと考えています。
警察捜査費
6月定例会で、県議会と知事によって双方から、県警の捜査費不正問題に対する特別監査請求が行われて以降、監査事務局は「監査には誠実に対応する」という県警の姿勢に基づいて監査を進めているが、県警の捜査員が「捜査協力者」と接触したとする飲食店などの領収書の全面開示を拒否するという事態は極めて問題です。
定例会でも、代表監査委員の県警に対する厳しい批判の姿勢と県警・公安委員会の「協力者を守る」という大義による監査協力の消極姿勢の対立が浮き彫りになりました。
一方で、橋本知事は「監査を請求した立場としてどう対応するのか」との質問に、「監査結果を踏まえて判断していきたい」と、都合の悪い質問には、はぐらかし答弁しかしないといういつもの姿勢にとどまりました。このような事態の中で、代表監査委員は「監査委員の中には『不十分なままで監査報告するより、万全の調査と分析に基づいた報告をすべきだ』との意見もある」として12月定例会までの報告の困難性が強調されていることを知事はどのように受け止めて、先のような答弁をしているのでしょうか。
残された期間も僅かになっていますが、監査報告の延期も視野に置きながら、県警本部の一層の真摯な協力を求めておきたいと思います。
アスベスト対策
尼崎市の「クボタ」で、そこに働く労働者が10年間で51人が死亡し、近隣住民5人も中皮腫で死亡したとの新聞報道がされて以来、あまりにも身近な課題でありながら、関心を持ち得ていなかった多くの県民にアスベストに対する不安の渦が巻き起こりました。
アスベストは、以前から「静かな時限爆弾」「殺人粉塵」などとその危険性が指摘され、使用禁止が求められてきました。にもかかわらず、実態を知ったまま放置してきた政府と製造・使用してきた企業によって石綿肺や肺ガン、中皮腫などの健康障害と死者が作り出されてきました。
本県でも、アスベスト問題では、副知事を本部長とする対策本部を設置して、県内の公共的施設の吹き付けアスベストなどの使用状況の調査を行い、アスベストの使用が確認をされた施設に対しては、状況に応じ、使用の制限、飛散防止などの必要な対策を講じたりしていますが、その取り組みは緒についたばかりだと言わなければなりません。また、検査体制の不十分さから検査待ちの状況もある中で、県としては、工業技術センターと環境研究センターの検査機器を緊急に増強するとともに、公共施設での安全対策の推進や情報の提供などを通じて、県民の不安の解消と、健康被害の防止に取り組んでいくこととなっています。国に対しては、総合的な対策を講じるよう全国知事会などを通じて働きかけを強めることとなっていますが、県議会としても、さらに政府に対する対策の強化を求める意見書を全会一致で可決しました。
閉会日に厚生労働省によって公表された人口動態統計によって、95年〜04年の10年間で中皮腫による死亡者が7013人にものぼっていることが明らかになりました。本県では41人となっており、ここ3年間で約半数の20人にのぼっていると言うことは、潜伏期間の長さから今後も増加傾向になるという心配はあります。
原発に関する講演二題(7月16日) |
講演は高知大学名誉教授岩田裕先生から「原子力発電はほんとに安いの?」と高知大学理学部教授岡村眞先生から「活断層から起きる地震の長期予測」と題してのお話でした。
まず、岩田先生からは、原発優先のエネルギー政策を見直さなければならないということが声高に主張されていました。その理由として推進派のいう次の4点「安全」「コストが低い」「安定供給」「枯渇することのない電力源」の理屈は破綻しているということです。
核燃料サイクルは確立されていないし、安全性は担保されていない。コストが低いと言うが、耐用年数や為替レートをどのように見るかによって、全く違うし、稼働率を上げれば安全性は無視されることになる。耐用年数を延ばしながら稼働率を上げることはできないことであるし、廃棄物処理のコストが莫大であり、そのためのリスクは孫子の代まで負わなければならないのである。さらに、事故対策費や国の一般会計や特別会計組み込まれている対策予算などもコストとして計上していく決して安いとは言えないということに国民は早く気づき、原発優先のエネルギー政策を早急に見直さなければなりません。
次に、岡村先生からは、「日本の西南地域が活動期に入った今、四国を東西に横断している日本最大の中央構造線のズレが生じて大きな地震が起こらないとは言えない。」ということから、原発震災の可能性が述べられました。四国の高速道路はこの中央構造線に沿って走っているし、その構造線から約6q南に伊方原発がある。阪神大震災では1.7mのズレが生じたのだが、この断層は8mのズレが生じると言われている。この中央構造線がずれると原発周辺は震度7クラスになると見られている。
通常原発は地震の揺れ(加速度)を375ガルに耐えれる設計となっているが、静岡県の浜岡原発は東海地震の想定震源域の真ん中にあるため最大600ガルに耐えれる耐震設計となっている。しかし、1号機と2号機の耐震設計は、最大450ガルまでを想定しているだけに、今後は1000ガルに耐えられる補強をするとのことであるが、果たしてそれで安心できるのか。
原発震災とは、巨大地震が原因で原発が深刻な事故を起こし、地震災害と放射能災害が同時に起こるという、人類がいまだ経験したことのない、想像を絶する災害のことであり、この危。険性をもってしても原発優先のエネルギー政策は直ちに見直されなければならないのです。
6月定例会を終えて(7月7日) |
県議会6月定例会は昨日、05年度一般会計補正予算案など36議案を可決または承認。請第一号「がん医療の充実を求める請願」や意見書議案3件を可決するとともに、今定例会で議論が集中した県警捜査費疑惑解明に関しては、地方自治法98条第2項に基づき、県監査委員に特別監査を請求する「監査請求に関する動議」を全会一致で可決して閉会しました。
特別監査の対象は02、03両年度に県警本部、高知署が執行した捜査費で、違法、不当な行為の有無について、12月定例会までに監査結果の報告を求めることになっています。
監査請求については、自民党県議が動議の提案理由説明に立った後、私は提出会派の一つとしての県民クラブを代表して賛成討論を行いました。発言内容は下記のとおりとなっています。
今回の議会による特別監査請求は実施は初めてのことですが、知事の特別監査請求と併せて、捜査費疑惑の解明が一日も早くなされるように期待しています。
なお、知事は、私が賛成討論の中でも問題視した、本会議答弁の変更について閉会の挨拶で
「議会答弁のすぐ後に答弁とは異なる意思の表明を記者会見という形で行ったことで、不快感や不信の念を抱かれた点は率直におわびする」と陳謝しました。
橋本知事も特別監査請求で追随
橋本知事も議会が監査請求をした翌日、県警の捜査費に関して特別監査を請求する書面を県監査委員事務局に提出しましたが、その監査対象は県警本部と高知署とし、期間は2000〜2003年度としています。また、報告期限は、12月12日となっています。
それぞれの常任委員会では付託議案以外にも様々な審議がなされましたが、特徴的なものについて報告しておきます。
企画建設委員会では6月末をもって廃止となった「フェリーの大阪航路の再開について」議論がされました。現在は、地元の企業による後継会社の立ち上げや船体の確保、県と関係市町村による支援の枠組みづくりなど、一日も早い航路の再開に向けて精力的に取り組まれています。六月議会終了後には、後継会社の立ち上げの準備会を急ぎ開催し、会社が立ち上がり次第、支援の枠組みが報告されることとなっていますが、本県の産業や観光にとって、必要不可欠な交通インフラであるとの認識に立ち、航路再開を最重要施策と考えるのであれば、知事の政治的判断を積極的に示すことが求められていると言えます。
文化厚生委員会では、環境保全の関連として、高知駅周辺整備事業の関連工事である一宮はりまや線と新堀川の環境保全について質疑がされました。新堀川に生息する絶滅危惧種TAのシオマネキの保護について、土木部主体でなく、文化環境部が主体となった取り組みをすべきではないかとの意見があり、執行部からは、文化環境部の方針、考えを関係部局に伝えながら、連携していきたいとの答弁がありました。
総務委員会では「高知県税条例の一部を改正する条例議案」について、県民税の均等割及び所得割について、一定所得以下の六十五歳以上の者に係る非課税措置を段階的に廃止するために必要な改正をするものであること、またこれにともない、新たに県民税の均等割が課税される者には、森林環境税が超過課税されることについて、高齢者の負担増につながることや、森林環境税の使途が充分に検討されることが指摘されています。
教育委員会が補正予算で提案した学校保健安全推進費は、学校現場に係わる衝撃的な事件が後を絶たない中で、子供の安全を守るため、ボランティアのスクールガードの養成や、防犯の専門知識を持つ警察官OBを、スクールガード・リーダーに委嘱することを内容としています。これらの事業を通じて、地域の方々との協力によって学校の安全が守られる環境を少しでも改善していくことが求められています。
監査請求に関する動議の賛成討論(7月7日)
私は、ただいま議題となりました議発第2号「監査請求に関する動議」について、ともに提出させて頂いた会派の一つである県民クラブを代表して賛成の立場から討論を行います。
私たちは、ただいま提案説明があったように、本会議での知事及び警察本部長の答弁を踏まえて、県警捜査費の疑惑解明を求める県民のみなさんの声に、議会として応えていくためにも地方自治法第98条第2項の規定により監査請求を求めることの動議提出を行いました。
今定例会では、捜査費開示請求訴訟の地裁判決が「相当に具体的だ」とか、あるいは「疑惑がなかったとまでは言えない」とした状況なども受けて、多くの県民の付託を受けた各会派代表の同僚議員によって県警捜査費の不正疑惑の事実解明に向けた質問がなされました。しかし、知事をはじめ警察本部長の答弁たるや何らの疑惑解明姿勢が示されることもなく、ましてや現時点では特別監査請求の意思がないことも知事は、繰り返し答弁されてきましたので、議会として監査請求を求めるに至ったものであります。
しかし、その舌の根も乾かぬ内に、議会に対しては総務部長を通じて「特別監査請求の意思表示のための記者会見の開催」のみを通知し、本会議場での答弁を翻すというその豹変ぶりに、我々議員だけではなく、県民の誰もがその目をその耳を疑ったものです。
また、その記者会見コメントなるペーパーや会見内容は、知事の捜査費疑惑解明姿勢に一層の疑問を生じさせるものであり、私どもの下に知事の豹変ぶりについて県民からの疑問の声が寄せられています。
そこで、今後の県警捜査費疑惑の事実解明に関して大きく影響すると思われる知事の記者会見については、動議に賛成する背景の一つとして触れておかざるをえません。
私たちは、知事の特別監査請求の決断を否定するものではありませんが、この知事コメントは、次のような不信や疑問を抱かせるものとなっています。
まず、第一に本会議における知事答弁の趣旨を大きく変更する場合、議会開会中であるにも関わらず、記者会見の前に何らの議会手続き等も踏むことなく、行うなどということは議会軽視も甚だしいと言わざるをえません。そのような議会軽視をしてまで、何故記者会見しなければならなかったのか、理解に苦しむところです。
第二に本会議では、捜査費の使途に不適切な処理があったと信じるに足る具体的な心証を受けていないと答弁しておきながら、コメントでは「明らかに不適切な処理があったことは間違いないとの心証を得た」と断じています。一体いつの段階で、何によって心証を得たのか。そして、コメントの後段に記載している「費目毎の証言」が監査請求の判断をした7月2日までの一晩でまとまったものとは思われず、すでに本会議以前にこれらの情報は一定収拾されていたとしか思えません。さらに、「県民も納得してこの問題を明らかにしていく手法がないか悩み続けてきた」とのことであれば、なぜ、複数の関係者と接触しているということや思い悩んでいることが本会議で披瀝されなかったのかという点です。
第三に複数の関係者からの事情聴取はいつから始まっていたのかということについて、一昨日の記者会見では、今までの記者会見における関係者との接触における記者とのあいまいなやりとりを指して「はぐらかしてきた」と述べていたそうですが、これは議会を始め県民に対する愚弄以外の何ものでもないし、議会答弁においても「はぐらかす」意図があるのかと思うと、今後真摯な議論ができないという不信感を生じさせた責任は極めて大きいと言わざるをえません。
第四に「もう少し時間がほしかったと言う正直な思いもあるが、県議会でのご意見を踏まえて、県民の皆さんの思いをくむ時、みずからが、これまでの態度を改め、一歩踏み込んだ取り組みをすべきだ」と判断し、緊急の記者会見をされましたが、本会議であそこまでの答弁をしているのですから、議会終了後にでも納得するまで時間を取り、知事の言う「もう少し具体的な証言を手に入れ」さらに確証を得てから、記者会見すれば良かったのではないでしょうか。にもかかわらず、何故、監査対象なども特定できないままに、出張日程を大きく変更してまで記者会見しなければならなかったのか。一体この数日の間に何があったのかと、いぶかしく思わざるをえません。
いずれにしても、今後は、特別監査請求をやると決めた以上、知事自らが記載しているように、警察本部から警察署までの幅広い範囲で、捜査費だけでなく、過去、“裏金”づくりに使われたことがあると指摘された費目「報償費」「旅費」「交際費」「需用費」「食糧費」全てについて監査請求するぐらいの気概を持って、臨んでいただきたいと思います。
最後に、私たち議員一同は、今回の議会による監査請求が、県民の安全と安心を守るために現場で汗して奮闘されている警察職員の皆さんが、県民のために思い切り働けるような県民との信頼関係や環境の再構築が図られるとともに、一日も早い真実の解明につながることを確信しながら、この動議に議員各位の賛同を頂きますようお願いいたしまして賛成討論を終わります。
「災害復興の在り方について」調査報告 (6月16日〜17日) |
1 関西学院大学COE災害制度研究所調査報告
この間、南海地震対策の条例化を提言するときの私は、その問題意識として、「高知県としての防災力を高める。そして、被災時のいのちと財産をどのように守るのか。被災後どのように社会機能を回復させるのか。そして、生活と社会をどう再建・復興するかまでを見通した柱を条例化することが求められている。」(03.9月定例会)また、「条例化する際には、是非、高知県らしさを盛り込んだ条例としていただくことを要望しておきたいと思います。例えば『揺れと津波への予防と避難と復興までを見通す』『行政の責任と地域の支え合いと県民・事業所の自覚と努力の連携』『防災産業の育成』『高齢県という状況の中で要援護者への支援』『日頃の台風災害予防との連携』など課題は多くある」(05.2月定例会)と「災害復興」への視点を持っていました。
そこで、本年一月、私の母校でもある関西学院大学に災害復興制度研究所が開設され、「災害復興−阪神・淡路大震災から10年」なる中間的報告書が発行されたこともあって、本県においても検討作業に入る南海地震対策条例に「復興」のあり方がどのように謳われるべきかを研究するための調査を行ってきましたので報告しておきます。
この研究所では、
(1)阪神淡路大震災およびその前後の大震災(雲仙普賢岳、三宅島など)の教訓に学び、今後の災害復興への知的貢献を目指し、災害復興制度に関する研究および提言をおこなう。(2)人文・社会科学を中心とし、当面は@「復興」理念の検討およびA「くらし」「住宅」「まちづくり」における教訓を中心に復興制度の検討をおこなう。将来的には、「産業」「地域」などの分野に視野を広げる。
(3)兵庫県(阪神・淡路大震災記念協会)を中心に、各地の被災自治体やNPO・NGOの経験に学び、全国的・実践的な研究・提言を行う。
(4)実績ある研究者・有識者・実務家をを招聘し、災害復興に関する人文・社会系の全国的拠点を形成する。
以上のことを研究目的として、「復旧・復興を巡る概念を整理し、瓦礫の中から産声を上げた理念の萌芽を育て上げ、新たな政策・制度を提唱、できうれば個人を、地域を対象にした災害復興基本法(仮称)を世に問いたい」との考えの基に研究が重ねられています。
被災地から見えてきた被災者支援や復興に関わる現行法は、個別の災害に対応してつくられた対処療法的処方箋で、つぎはぎだらけで全体を貫く思想がないといわれている。その特徴は「特例主義」「現物主義」「救貧主義」「私有財産自己責任」の4つであり、それぞれの矛盾を克服する形の、自力再建への足場づくりであり、法的安定性をもたらすものとして、法整備が検討されています。
研究会の最終的到達点である「災害復興基本法」提案までの作業過程と研究課題の概要については、「理念・法システム」「住まい」「暮らし、なりわい、こころ」「財務」の4部会で下記の課題について、研究を重ね、5年以内に提案する事を目途としている。
それぞれの部会の研究課題は下記の通り。
「理念・法システム」
基本法の枠組み、公共性の問題、既存法、自治体の取り組み、災害弱者、在日外国人、被差別部落
「住まい」
公的支援、共済制度、公営住宅、複線支援、地震保険、マンション
「暮らし、なりわい、こころ」
県外避難、災害保護、支援金、食事供与、入会権、財産区、剥奪感、個人再生法、雇用
「財務」
復興基金、義援金、保険など
この研究所では、復興研究のノウハウの蓄積がないために、毎回ゼロからのスタートで対応していたが、対応事例の蓄積も行うこととしています。その上で、復興の在り方について複数の選択肢が必要になっています。
そこで、特に、私が関心を持っているのは、次の点です。
@災害後の「復興」は、自力再建だけでなく、最低のベースは公的責任で行われるべきである。そして、単一的な援助しか行われていない単線型に対して複線型の復旧・復興などきめ細かな制度設計が必要で、例えば、現物、現金給付の選択など起きる時代によっても違う復興の在り方が検討されなければならない。
A研究の中で、「災害による物理的被害と剥奪感は、社会が成熟するにつれて高まる」という仮説と物理的被害ではなく精神的被害が大きくなる「相対的剥奪」感を指数化していきたいという目標が据えられている。
B被災後、2年間で生き方が決まると言われる被災者の生存権をどう保障するのかという問題について、自力・一部公費・公費再建ででも元の住んでいた場所に帰していくという点である。
C突発的な外傷性ストレスが被災者の「こころ」に負の影響をもたらしたことに対する「ケア」の復興における位置づけについて、医療面だけでなく、施策の有り様によっても、ケアできるということである。
D災害に対する脆弱性は、社会の中のすべての人たちに平等に分配されているわけではない。特に、脆弱性が顕著なのはマイノリティ住民であることが明らかになっている。なぜなら、より危険で、災害に弱い住環境で生活しているし、その地域には災害支援の機関の数が少ない、さらに災害による被害からの回復するための経済的、社会的資源が限られており生活再建が困難であることなど理由は一定明らかになっているので、これらの、課題を事前に克服する条件整備をしておくことが、政治・行政の役割でもあると思う。
E「災害に強い社会」と「被災者に優しい社会」の両立について、耐震化推進策と住宅再建支援策が補完しあえるような「包括的地震防災基金」のような提案がされようとしている。
以上のような問題意識を踏まえたとき、高知県における災害復興制度は、策定予定の南海地震対策条例(仮称)に、復興を見据えた制度として盛り込まれるべきであって、「復興のまちづくりのコンセプトまで見通す」べきであって、県外避難者の追求システムやマイノリティへの県独自の支援策や手続き論は最低必要なことであると思う。今後これらのことを踏まえて、さらに議論を深めていきたいと考えています。
2 復興のまちづくりについて
もう一つの復興として、まちづくりについて視察してきました。阪神大震災から10周年の1月17日付の高知新聞にも紹介されていた記事「阪神大震災あの日から10年−協議会設け復興に奔走」に詳細が報じられている神戸市兵庫区松本地区です。
この地区は私の弟が被災した地区で、被災後の松本地区の姿を見ていただけに、その様変わりぶりに驚かされました。その後の復興にあたっては、「松本地区まちづくり協議会」を軸に、神戸市の土地区画整理事業、まちづくり計画の策定にまちの人たちがどのように参加・協力してもらうかということでは随分苦労も多かったようです。
長田区と同様多くの家が火災で消失していただけに、「あの震災の時に、近くに水があったら」という言葉をヒントに「せせらぎ」の整備が図られることとなりました。そして、地区計画によって沿道建物の誘導を図るなど、せせらぎと一体となったゆとりと潤いのあるまちなみが形成されています。
また、せせらぎを地域の手で維持管理する活動を通して、地域の美化とともにコミュニティの活性化が図られていることも大きな副産物であると言えるでしょう。このコミュニティの活性化がいつまで続くことを祈るばかりです。
「せせらぎ」はまちの潤いととともに防火用水の役割も果たしており、各所に防火用具が収納されたベンチが点在しています。また、流れる水は、山間部に位置する鈴蘭台処理場で処理された高度処理水を、約60mの高低差を利用して、麓のポンプ場で小水力発電の電気エネルギーに変換し、高度処理水は河川の維持用水、震災復興区画整理地区のメインストリートにあるせせらぎ用水に再利用され、河川や大阪湾の水質改善と温室効果ガスの削減に寄与して、地球規模の大きな水循環サイクルにも位置づけられています。
復興のまちづくりは、災害に備えるまちづくりのヒントにもなるのではないかと感じさせられました。
雨水利用調査報告(5月31日) |
5月31日、東京都墨田区の雨水資料室を視察の上、雨水博士の村瀬誠係長に面会し、雨水利用について調査してきましたので報告します。
1 コンセプト
基本は都市のリスク管理・リスク分散と健全な水循環のシステム化のために、雨水利用が提唱されていると言うことである。そして、今までの「流すシステム」から「貯めるシステム」へと切り替えていくための意識変革が「雨水利用を日常化」することになるのだと感じさせられた。
2 導入のきっかけ
墨田区は、1982年頃から豪雨になると下水道から下水が逆流して都市型洪水が起きやすくなっていたことや、毎年のように夏になると水不足に悩まされていたことから、都市型洪水と渇水防止のための雨水利用が考えられ、両国国技館に1,000tの雨水タンクを備えて本格的な雨水利用システムが導入されました。
以降、区の施設への雨水利用システム、地域、個人住宅、事業所へと広がり、現在では10,231tの総貯留槽が備えられている。区では、この1万tを防災水源として位置づけている。
3 雨水利用の役割
墨田区が、雨水利用をまちづくりの中に積極的に取り入れてきた際に「雨水利用の三つの役割」として次の三点を掲げている。
@まちに小さなダムをつくる
墨田区の水源は上流の巨大なダムにほとんど依存している。区内に降る雨を自前の水源として見直し、できるだけ水源の自立を図る必要がある。
A都市の洪水防止につながる
建物の屋根に降った雨水を貯めると、雨水が一挙に流れ出るのを防ぎ都市型洪水の防止につながります。
B災害からまちを守る
貯めた雨水は消化に役立ち、また災害で水道がストップしたときなど、非常時の生活用水にも利用できる。
4 区の雨水利用推進施策
以上の役割を果たすため、行政としてのガイドラインを策定し、開発手法に取り入れている。事業区域面積500u以上の事業や公共的事業には、雨水利用の積極的な活用に努めることを「良好な建築物と市街地形成に関する指導要綱」にうたっている。
雨水利用推進施策では、普及と啓発の二つの柱の具体化のために、「雨水利用推進指針」「雨水利用促進助成制度」「開発指導要綱と雨水利用」が今から10年前に整備されている。
5 雨水利用装置について
取水器や雨水タンクは、それぞれの容量や性能に応じて様々なものがあり、雨水利用事業者の会に参加している企業や墨田区紹介の事業所で購入できることになっている。墨田区の場合はタンクの購入にあたって、容量に応じた助成制度が整っている。
これらの製造はものづくりの技術も活かされる地域の産業振興や環境ビジネスの起業につながるものでもあるのではないかと思う。
6 高知県での雨水利用は
我々の発想の中に、雨水利用というのは、水道水を節約するための節水の一環としてだけ捉えている面があったように思う。県庁においても、平成13年2月から本庁舎において雨水・湧水利用が開始され、トイレに利用してきている。昨年度はトイレ水の使用実績のほぼ99.3%を雨水・湧水によってまかなっている。そして、上水の節約費用は年間300万円となっている。導入年度の13年度からの4年間では43,159tの使用実績となり約1510万円と、ほぼ工事費に相当する節約となっている。
しかし、その後、県の施設が新たに雨水利用のシステムを導入したという実績はないし、最も広大な集水面積を擁する「高知医療センター」でも取り入れられていない。
新潟県では豪雨災害の後にこの雨水利用を災害対策として、取り組んでいるという話も聞くにつけ、高知県として、雨水利用は今後の大きな課題になるのではないかと考えさせられている。
94年の異常渇水、95年の阪神・淡路大震災、98年の高知豪雨をはじめとした頻発する短時間集中豪雨などの災害によって水の危機管理の必要性が問われている。
雨水タンクをまちの中に多数配置するということは、まちなかにミニダムをつくることだと言われる。ミニダムは都市型洪水を防止し、貯めた雨水は生活用水として利用し、災害時の代替水源にもなるということを考えれば、雨水利用は21世紀における水危機管理の処方箋であるということを学ばされたような気がする。
年間平均2,000oを超える雨量の本県では、雨水利用についてもう一度真剣に考えるべきではないかと考えさせられた。
本県の四つの重要課題の内の「南海地震に備える」「資源循環型社会の先進地域を目指す」という二つの課題の重要な施策として研究・検討に値するのではないか。今後の政策提言の課題として調査を継続していきたい。
もっと雨水利用について知りたい方は下記のホームページを訪問してみてください。
墨田区環境保全課 http://www.city.sumida.lg.jp/sumida_info/kankyou_hozen/index.html
墨田区環境ふれあい館 http://www.city.sumida.tokyo.jp/%7Ekankyou/fureai/fueaitop.htm
雨水市民の会 http://www.skywater.jp/index_j.html
雨水利用事業者の会 http://www.rainwater.jp/
参考図書 「雨を活かす」(岩波アクティブ新書)
「ムラセ係長、雨水で世直し」(岩波書店)
県・市病院企業団議会議員協議会(5月25日) |
私は、開院前から、運営PFIについて心配をしており、2月定例会でも医療コアとSPCの連携について知事に質しました。知事は「病院のPFIは、医療の部門を公共が担うかわりに、その周辺の関連サービスを全て民間に委ねるという全国にも例のない取り組み。業務のあり方や仕事の進め方について、公共の側と民間の事業者とが知恵を出しあってより有効な対応策を構築していくことになる。その際にはお互いの意思疎通が円滑になされる必要があることは言うまでもありません。今後は病院組合と高知医療PFI株式会社との間で日常の業務から運営の全般に至るまで、様々なレベルでの連携や協議の場が持たれると聞いているので、それを通じて充分な意思の疎通が図られていくものと思う。」と答弁されましたが、今のSPCには、その期待に応えられる能力が備わっていないのではないかと思われてなりません。
何人かの議員からも、SPCの業務に関して不十分なために生じている不具合が指摘されましたし、私もその点について指摘しました。
患者さんの病院への苦情・苦言などを「宝物」として大事にするという瀬戸山院長の肝いりで開設している「宝箱」に届けられている苦情・苦言は5月9日時点で82件にのぼっています。しかも、その多くはSPC業務に関するものや、SPC業務が不十分なことが影響している医療コアに対する苦言が多いように思いました。
これらのことから、SPCの業務が要求水準を満たしているのかどうか、明らかにするとともに、どのように評価しているのか。特定事業のサービス水準確保のための業務の監視の基本的考え方に沿ってモニタリングが随時行われているのか。行っていれば、その結果を明らかにすべきでないのか。場合によっては業務改善勧告、サービス対価の減額支払いに該当するようなことがあるとすれば問題であるが、そのようなことはないのか。などについて尋ねました。
これらに対して、十分な答弁はえられませんでしたが、「SPC業務については、必ずしも充分ではないと思っている。水準を充分満たせるよう指導していくので経過を見て欲しい。」との考え方にとどまっています。その意味では、要求水準を満たしているのかどうかについては、充分なチェックができているのかどうか、又は、達成度合いに極めて問題があるのではないかと疑わざるをえません。
いずれにしても、SPCの業務が要求水準を満たしてこそ、医療コアの部分が患者のための医療の提供に専念できるのではないか。院長はどう考えるか。今後院長はどう指導していくのか。との問いに対して、院長は、「その通りで、SPCには直接即刻改善を求めていく」との決意がしめされました。
また、「宝箱」の苦言と回答については、ホームページでの公開を求めておきました。
さらに、安全管理面について、5月7日付け高新夕刊「話題」欄に掲載されていた「開院したばかりの高知医療センターで診察を受けた妻が別人と間違われたと苦笑していた。医師がなれない電子カルテの扱いを間違えたのか、ちんぷんかんなやりとりだったという」という事例を引用し、インシデント事例が多く潜在しているのではないか。これがアクシデントにつながったら大変なことであり、医療安全管理対策を充分講じるとともに、アクシデントになれば、当然公表されるのだろうが、インシデントについても、公表を求めました。
院長は個人情報保護に留意しながら、検討したいとしました。
※一般的に「インシデント」とは、患者に傷害を及ぼすことはなかったが、日常診療の場でヒヤリとしたりハッとした事象。「アクシデント」とは、事の大小や過失の有無を問わず、医療従事者が予想しなかった悪い結果が患者に発生した事象。
2月定例会を終えて(3月19日) |
トップページで経過はご報告したとおりですが、副知事選任同意議案に反対した理由と、「平成17年度一般会計予算案の編成替え動議」を掲載していますのでご覧ください。
副知事選任同意議案に反対した理由
昨年12月10日付で退任した吉良史子前副知事の後任に、経済産業省技官で石油公団に出向している中西穂高氏起用の打診を受けた後、検討を重ねて参りました。
検討結果については下記の理由を総合的に勘案して、副知事選任同意議案については反対の意思表示をしました。
@中西氏は96年5月からほぼ3年間、県商工労働部の副部長としての在任期間があります。この在任期間は「現在も、当時の中西氏の上司であったものが、被告とし公判中のモード・アバンセ社への闇融資や高知商銀問題が展開されていた時期と重なる」ものであり、県民に対して、「全く関与していないのか。また、判決も下っていないこの時期に、何故」という疑問に応えきれません。中西氏が協業組合モード・アバンセへの闇融資の要綱制定などの決裁に加わった事実には、執行部も「職に応じた責任はある」との見解を示しながらも、知事は「(中西氏が)この問題に実質的にかかわっていないのは明らかだ」と不関与を繰り返すのみでした。
私たちは、まず、職責に応じた決裁責任は当然あると考えます。もし、知事の言うとおり、不関与であったとすれば、副部長という職責にありながら、自ら不関与姿勢を貫いた責任感のなさに、副知事としての内政トップの責務を果たし得ない人物であると評価せざるを得ません。
Aまた、中西氏は知事の残任期間の任期のみを務めることが前提の割愛人事で、本省人事の6月発令までは着任もできず、帰る先は県外という副知事では県民に対する説得責任を果たしえません。。
第一号平成17年度高知県一般会計予算の編成替えを求める動議の提出について
第一号平成17年度高知県一般会計予算については、知事は下記の要領により速やかに編成替えを行うことを求める。
平成17年3月14日
高知県議会議長 森 雅宣 様
提出者 県議会議員 江渕 征香
田村 輝雄
浜田 嘉彦
坂本 茂雄
1 編成替えを求める理由
本県における南海地震への備えは、県政の重点施策であり、そのことを念頭に置いた予算編成が行われているものと認識している。
しかし、委員会審査において明らかとなった、県民の防災意識の喚起に大きな役割を果たすべき手段である「新規起震車導入」が見送られていることについては、厳しい財政状況における施策の優先度合いの判断を誤っているものと考えざるをえない。
よって、執行部は次の事項を追加するとともに、その財源確保のために優先度合いの劣る事項を削除し、県民の生命と財産を守るための重要課題である「南海地震に備える」施策の充実を図るべきである。
ただし、地域支援員増員分の削減定数については、県民の求める施策の拡充のために措置されるよう求める
2 予算編成替えの重点事項
(1)危機管理課・南海地震体験事業費の増額
・新規起震車の導入関係費等 60,268千円
(2)業務改革推進室・業務改革推進事業費の減額
・アウトソーシング業務調査分析委託料及び
総務事務集中化基本設計委託料関係費 ▲36,875千円
(3)危機管理課・国民保護対策経費の削除
・県国民保護協議会関係経費 ▲4,745千円
(4)地域づくり支援課・地域の元気応援事業費の減額
・地域の元気応援団長等活動費及び
地域づくり支援活動費の前年度比増額分 ▲12,615千円
・地域支援員増員分に相当する人件費
(5)環境農業課・有機農業支援事業費の削除
・有機農業研修施設開設事業費補助金等経費 ▲14,690千円
(6)警察本部・活動費の減額
・いわゆる犯罪捜査費としての報償費 ▲ 2,000千円
以上、措置すること。
(提案理由説明)
お許しを頂きましたので、ただいま議題となりました議発第一号「第一号平成17年度高知県一般会計予算の編成替えを求める動議」について、提出者を代表して、提案の理由を説明をさせていただきます。
本県にとって厳しい財政状況のもとで、平成17年度高知県一般会計予算の編成にあたっては知事をはじめ執行部の皆さんの真摯な姿勢に敬意を表しつつ、以下の理由により、別紙提出の動議にもとづき、知事は速やかに編成替えを行うことを求めるものです。
知事は、この間の予算編成にあたって、四つの県政の重点施策に力を注いでこられたわけですが、とりわけ南海地震への備えは、知事の言う「できればあった方が良い」と言ったレベルのものではなく、「県民生活の根幹を支えるもの」として予算編成が行われているものと認識しておりました。しかし、委員会審査において「新規起震車導入」予算が見送られていることなどが明らかになるなかで、施策の優先度合いの判断について疑義を感じざるをえません。とりわけ、起震車は揺れを実体験できる中で、南海地震に備えるための意識向上を図り、ひいては自主防災組織の組織化にも寄与する役割を果たしうるものです。このことこそ、南海地震に備える施策の中でも最も住民力を生かす施策につながることは県民の共通の認識だろうと思います。現状の起震車の稼働率は上限に達しようとしており、体験者は一昨年と比較して2.5倍にも伸びている状況を勘案しても、複数配置となる新規起震車の必要性は急を要していると思われます。
そのためにも、危機管理課の南海地震体験事業費については60,268千円の増額を図り、新規起震車の導入関係費等に充て、県民の生命と財産を守るための重要課題である「南海地震に備える」施策の充実を図るべきであると考えます。
その一方で、財源確保の意味も含めて、施策の優先度から言っても減額が可能な事業については、減額または削除の措置を求めるものです。
まず、アウトソーシングに関連する経費の減額についてであります。来年度、新たに52課室を選定してアウトソーシング可能な業務を検討する事業については、8.2%も増額した検討委員会の皆さんの報償費628万円などの検討委員会の経費を活用して、検討を継続されればよいと考えます。(株)ABMによるABC方式でなければ、アウトソーシングを進めていくための作業はできないのでしょうか。また、内部管理業務をアウトソーシングする総務事務センター構想についても、先行県での効果やトラブルなどを見定めた上での、判断では遅きに失するのか疑問が残ります。知事も本会議で答弁されたように、「基本設計の検討を進める際には、すでに実施している府県の取り組み状況も参考にしながら、対象になる業務の絞り込みを行う。このような過程を通じて、集中化のメリットを明らかにしていきたいと考えている。」また、総務部長は「その検討において、総務事務の集中化の対象となる職員数や、事務にかかっているコストの削減効果についても、詳細な内容を精査した上でお示しをしたいと考えている。」と言われました。このように、とりかからなければ集中化のメリットも分からない中で、なぜアウトソーシングありきなのかが理解できません。今までも、様々な形でアウトソーシングは行われています。それらのことが、どのような形でメリットを生じさせ、県民サービスを向上させているのか、さらにはサービスの品質確保などについても検証した上で、分析や基本設計にふみこむことでもよろしいのではないでしょうか。
また、来年度予算で事業化される「有機農業研修施設開設事業費補助金」を見ても、折角これまで培ってきた県の環境保全型畑作振興センターや昨年四月に農大窪川校をリニューアルしたアグリ体験塾を活用しながら、民間で有機農業をめざす方々や団体と連携する方法を模索してこそ官民協働であり、丸々NPOに約1200万円もの補助金を出していくことなど、問題のある手法だと考えます。その研修施設の運営の見通しにしても、年間60万円という高額の授業料で受講生の確保の見通しなどあるのか。研修生が終了後就農が可能なのか。また、一朝一夕に有機農産物栽培に移行するとともに認証も受けられるのかなど不安定要素が多い中で、財政状況が厳しいこの時期だからこそ、既存の県の施設利用で可能だと思います。
以上のことから、業務改革推進室の業務改革推進事業費についてはアウトソーシング業務調査分析委託料及び総務事務集中化基本設計委託料関係費36,875千円の減額と環境農業課の有機農業支援事業費の有機農業研修施設開設事業費補助金等経費14,690千円の減額を求めます。
次に、今議会に於いて提案されている「高知県国民保護対策本部及び高知県緊急対処事態対策本部条例案」と「高知県国民保護協議会条例案」については、本会議で牧議員が指摘しましたとおり、高知県国民保護計画に作成期限もなく、計画の不作成は法令違反にはあたりません。例え作成されたとしても国民保護計画などでは、武力攻撃から県民が守られるものではありません。また、条例制定による条件整備を整えることなどが、戦争のできる体制に高知県民を組み込んでいくことになるということも認識して頂きたいと思います。むしろ、武力攻撃事態を招かないために何をしなければならないのかが今こそ求められているのです。そのためにも、提案条例の撤回とともに、危機管理課で計上している国民保護対策経費としての県国民保護協議会関係経費4,745千円については、当然削除すべきだと考えます。
さらに、16年度に50人でスタートした地域支援企画員は、「市町村からの配置要望もある」などとして17年度の10人増員の当初予算案が計上されています。しかし、県監査委員の意見書にもあるように、「市町村のニーズや活動実績、効果などを検証し、その是非を検討すべき」との指摘も含め、地域支援企画員についての「活動内容や成果、県の財政状況などから、その必要性が疑問視」されてきた中で、「10人増員」の必然性が明確になっていないと思われます。そのため、地域づくり支援課の地域の元気応援事業費については地域の元気応援団長等活動費及び地域づくり支援活動費の前年度と比べて増額されている12,615千円については減額されることを求めます。ただし、地域支援員の増員分に相当する人件費は予算上では不明確なので、計上しておりませんが、地域支援員増員分の削減定数については、県民の求める施策の拡充のための定数配置とされるよう求めておきます。
次に、警察本部の活動費、なかでもいわゆる犯罪捜査費としての報償費の減額についてであります。知事の説明では、「捜査費というものは、予算を組む際も毎年度の執行状況などを勘案して計上する形を取らざるを得ない。そうした中で今回県警が示してきた見積もりの額は、県の財政状況も踏まえた適正なものだと理解している。」とのことですが、第19号平成16年度高知県一般会計補正予算では、ほぼ800万円の減額補正をしており、今年度の執行状況は実質1000万円だったことが明らかになりました。つまり、当初の18ヶ月の実績による計上でなく、知事査定の時期に執行見込みをきちんと査定しただけでも、2,000千円の減額は可能でありました。
以上の理由により編成替えを行うことで、「第一号平成17年度高知県一般会計予算」が、より県民のための施策の拡充につながることとなるよう、この動議に同僚議員の賛同を頂きますようお願いいたしまして、提案説明とします。
海岸シンポジウム
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1月19日、国連防災世界会議の一環である海岸シンポジウム「Tsunami(つなみ) きたるべきその一瞬(とき)に備えて」(全国海岸事業促進連合協議会主催)が、神戸・ポートアイランドの神戸国際会議場で開かれたので傍聴してきました。
会議には、約650人が参加し、国際的な津波の研究者であるエディ・バーナード博士とローラ・コング博士からアメリカにおける津波災害軽減化プログラムについての報告がなされました。
次に、河田恵昭・人と防災未来センター長は基調講演の中で、二〇〇三年の三陸南地震で津波警報が出た地域の住民がごくわずかしか避難しなかったという調査結果を引用し、「南海地震が起きれば、神戸でも三メートル以上の津波が来る可能性がある。住民への防災教育を徹底しなければ、警報なんて意味がない」と強く指摘されました。
続くパネルディスカッションでは、東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター・今村文彦教授をコーディネーターとし、北海道奥尻町・雁原町長、気象庁地震津波監視課・永井章課長補佐、高知県危機管理課地震防災企画担当・酒井浩一チーフ、三重県熊野市新鹿町新鹿津波調査会・山本啓輔氏、富士常葉大学環境防災学部重川希志枝教授がパネラーとして出席する中で行われました。
気象庁地震津波監視課・永井章課長補佐は「三陸南地震では、住民の多くがテレビの前で津波予報を見ていたと聞き、ショックを受けた」と振り返り、「地震発生から三分以内の津波予報を目標にしているが、間に合わないこともある。揺れを感じたら、沿岸部の住民はまず避難行動を取るよう心掛けてほしい」と呼び掛けました。
また、酒井浩一・地震防災企画担当チーフも「防波堤や水門の整備に努めているが、海岸線が長過ぎてとても間に合わない」とし、避難誘導標識の設置や防災キャラクターによる啓発、さらに地域ごとの避難計画づくりなど「サイン//コ・サイン」の取り組みを紹介しながら、「(津波を)防ぐ対策より、住民が逃げるための対策を優先させている」ことを報告されました。
富士常葉大環境防災学部の重川希志依教授は「被害軽減に向けた災害現場の知恵を共有化する試み」として「災害は繰り返し起こるが、毎回、新しい形でやってくる。住民は自らの被災経験に頼るのではなく、最新のデータと過去の知恵を組み合わせ、対応してほしい」と主張されました。
最後に今村教授からパネラーの話をまとめて、「被害を繰り返さないために」@教訓・経験の伝承A専門家・防災担当者と一般住民の意識の差を埋めるB防災情報の活用(事前・事中)C人と社会の問題を解決する:住民主体・共通認識D自助・共助・公助の協力・連携の必要性が訴えられました。
いずれにしても、最善の津波対策は、いかに早く住民を避難させるかがカギであり、「住民自身の津波への認識を高めなければ、命は守れない」ということが改めて認識させられたシンポジュウムでした。