県政報告のページ1
12月定例会を終えて(12月30日) |
まだまだ厳しい来年度予算編成
12月定例会は知事選挙の結果を受けたなかで開催されました。本会議では、知事の政治姿勢を問う質問や三位一体における県財政の危機対応に関する質問など交わされました。
知事の政治姿勢の中に、今後の県政運営において議会と力を合わせ、是の部分をできるだけ前に進めたいという意欲が感じられましたが、その前提となる議会との信頼関係を回復するための基本的スタンスに少し乖離が見られるように思えます。また、長期不在の出納長の空白に加えて、今議会冒頭に辞職して不在となった副知事の人選なども先送りとなっています。このことについても、真剣に人選作業が行われているのだろうかと疑問を持たざるをえません。
また、三位一体による本県の財政危機対応についての議論も多くなされたが、依然として来年度予算編成における多額の財源不足を解消するには至っていませんが、地方の一般財源が本年並みに確保されることで取りあえず来年度予算は編成できるとのことです。しかし、その影には、県民に対するサービス低下と受益者負担の強化、職員への給与カット、基金の取り崩し、財政健全化債の増発などのしわ寄せがあってのことであることを忘れてはなりません。それだけに、県民合意の不要不急の事業の見直しを急ぐ必要があります。
定例会では、職員給料を05年度から3年間3%削減する特例条例や04年度一般会計補正予算87億3242万円(累計4984億7516万円)など27議案と議員報酬減額を05年4月からの現任期中一律2万円を減額する特例条例など議員提出の2議案が全会一致または賛成多数で可決されました。
意見書は、私たちも賛成した国の責任による国民皆保険の維持などを求める「国民健康保険への都道府県負担の導入に反対する意見書」、所得税や住民税の「定率減税の縮小・廃止を行わないことを求める意見書」はいずれも賛成少数で否決されましたが、その他3件の意見書は全会一致または賛成多数で可決されました。
議会と知事の関係は
知事が九月定例会後に明らかにした説明文書の中で、坂本ダム談合疑惑については「もし坂本ダムの入札に談合があったとすれば、私が知事をしていた執行部の側も責任は免れませんが、当時、談合情報などがあったにもかかわらず、十分な調査を行わないまま、坂本ダムの工事の予算を通した議会の側にも、一端の責任があることになります。」と述べています。
しかし、予算を通した県議会に責任の一端があるとの指摘は、問題のある指摘だと思います。予算を認めた上で、執行するのが手順であって、坂本ダム本体工事について言えば、平成五年二月議会で予算措置を認め、平成六年一月に入札が行われており、予算審議の段階では談合情報もなかったと言うことになります。予算の執行権限は知事にあり、入札は予算の執行であり、知事の権限・責任に属するものであります。
また、議会には、大きな契約などを議決する権限と責任はありますが、議会として、執行機関は不正をしないことを前提として、自ら適正として提出された議案が審議されるものであると考えます。
その前提を抜きにした「議会側の責任」論には問題があると言えます。
また、橋本知事が再選された知事選挙後の地元新聞の投稿欄に、県議は「知事のサポート役に回れ」と言う趣旨が見受けられたりして、知事と議会の関係が県民のみなさんに正しく理解されていない面があるではないかと思います。
今後も議会における厳しい論議がなされた場合に、誤解に基づく議会批判が展開されるようになってはいけませんので、議会と知事の関係について今一度ご理解頂くために、整理をさせて頂きたいと思います。
議会の本来的機能は、立法権を中心とするとともに、執行機関に対する監視的権限を有しており、住民の代表機関として、地方公共団体の行政の執行に対して監視する立場にあるのです。議会は立法機関、地方公共団体の意思決定機関としてだけでなく、むしろ時に独善に走る可能性のある知事の行政権に対する民主的牽制、監視、統制の役割によって、県民の権利利益の擁護の機能を果たすものであることをまず理解していただきたいものです。
鳥取県の広報紙「とっとり県政だより 99年8月号」には「知事と議会の関係」として「皆さんは、知事が「こうしたい」と決めたら何でもできると思っていませんか?たしかに、議院内閣制を採用している我が国の内閣総理大臣に比べれば、住民から直接選挙で選ばれた県知事の立場は「大統領」に近いと言えます。しかし、我が国の地方自治制度では、選挙で選ばれた議員の集まりである県議会が県民を代表する機関であり、知事と議会は「車の両輪」の関係です。いやむしろ、執行機関である知事は、議決機関である県議会で決定された「県民の意思」に従って行政を執行しなければならない立場にあるのです。」とあります。
今後とも、ともに住民から直接選挙で選ばれた知事と県議会議員が活発に率直に議論するとともに、切磋琢磨し合い「県民のため」の県政を進めていかなければと思います。
常任委員会報告
補正予算などについて、付託議案を審査した各常任委員会の概要は次のとおりです。
産業経済委員会
「高知県が当事者である訴えの提起に関する議案」について
グリーンピア土佐横浪に関する昭和五十七年に締結された県と土佐市、須崎市との三者での確認書については、年金福祉事業団のバイパス方式の受け入れを検討する過程で確認書を締結し、経営責任について取り決めた上で受け入れたものであり、これをもって金融機関への債務を負担する意味ではないとのことです。県としては、県と財団は別法人格であり、包括監査でも、経営責任に関する確認書は三者の協力関係を確認したもので、例えば、赤字の際にそれを補てんする負担金を財団に支出するなどの、法的な義務づけはないと報告されていることなどから、三者以外の金融機関に対して効力は及ばないと考えられています。
総務委員会
「知事等及び職員の給料等の特例に関する条例議案」について
一般職員に対する給与カットは、三年間で終え、さらなる財源不足が生じた場合、一層給与に切り込むことになるのかという懸念に対して、できる限り収支均衡に近づける予算編成を行うよう、全力で取り組む。また、国に対して、地方の努力が報われるような制度になるよう訴えていくとの姿勢が示されました。
また、人事委員会委員長は、委員会に与えられている責任を考えた場合、勧告制度の基本を優先的に考えるとの姿勢を示しました。
文化厚生委員会
9月定例会で私たちの修正案の提出にもかかわらず、山内家の国宝「高野切本」等の7億円での購入を決定したことを受けて、山内家から寄贈を受けた約五万点の資料を保存していくため、資料の劣化防止対策、及び、四月から文学館で展示を行うための事前準備に必要となる経費が補正予算として計上されました。
高野切本の購入が決まった以上は、観光客の誘致など、目に見えた経済効果が発揮できるよう最大限に活用していくことが必要であり、さらに、今後、恒久的な施設についての基本構想づくりに着手するとの前提で予算化されているだけに、今後どれだけ増加していくのか不安な面が多いと言わざるをえません。
「高知県立交通安全こどもセンター」については、施設の老朽化や利用者の約八割が高知市民であり、さらに、近年、県内の交通事故は高齢者の死亡事故が増加をしていることなどを理由に、平成十七年度中に廃止する方針であることが明らかにされる中で、存続を求める県民の請願書が提出されました。
同センターは、牧野植物園に匹敵する年間約十万人の利用者があり、県内では数少ない親子で楽しむことができる施設でもあり、地元での運営意向という動きもあり、いきなり廃止ではなく、運営体制の検討等をさらに行うことが求められました。
企画建設委員会
「公共土木施設災害復旧事業費」について
今年多発した台風災害等により被災した、室戸市の菜生海岸等の復旧を図るための経費を補正予算に計上しました。
また、「菜生海岸災害調査検討委員会の中間報告」及び「海岸保全施設等総点検の結果について」の報告もされました。
台風二十三号による高波で、室戸市菜生海岸の堤防が倒壊したことにより、住民が死亡するという災害を受け、原因究明に当たるとともに、県内堤防の総点検を行い、その調査結果をまとめた。補修を必要とする危険な個所については、検討委員会が来年二月に出す予定の報告を踏まえ、補修方法などについて検討するとのことです。市町村には、沿岸市町村への説明会を開催し、今後、調査結果も示していくこととしています。なお、今回倒壊した同タイプの堤防も調査されており、予算を伴うことではあるが、科学的な方法による調査に基づいた対策の検討も要望されています。
「高知県立大学のあり方(提言)」について
県立大学改革検討委員会において、高知女子大学の男女共学化や社会科学系学部の創設、高知短期大学の廃止など、県立大学のあり方を根本的に見直す内容の提言がまとめらました。今後、大学自体も、改革案をまとめている中、この提言をもとに、大学との協議の上、具体的な改革プランを練っていき、議会には、県立大学の予算、条例関係の審議も含め、改革プランについても、判断を仰いでいくとの報告がされました。
全国の自治体が悲鳴をあげている「三位一体」って
三位一体の改革の本来の趣旨は、税や財政面における地方分権を進め、地域住民の本来のニーズに根差した行政を進めることです。
しかし、今年度は、多くの地方自治体の予算編成において、大幅な財源不足が生じる結果を招いたことでも明らかなように、国の財政負担を自治体に転嫁して、あらゆる住民サービスを切り捨てるという本質に多くの県民が気がつき始めています。
平成十七年度地方財政対策が明らかになる中で、来年度の地方交付税、あるいは、地方交付税に地方税や臨時財政対策債を加えた、地方の一般財源の総額は、いずれも前年度並みの額を確保できました。また、三位一体の改革の推進として、財政力格差の拡大への確実な対応等が盛り込まれましたが、これらは、本県にとって、来年度予算が組めないといった最悪の事態が回避されたということに過ぎません。
地方交付税の具体的な配分や三位一体の改革に伴う国庫補助金の見直しも未だ不透明な状況にあり、本県への影響は予断を許さない面もあることから、今後の予算査定については、警察本部の捜査費などに見られるような不透明な根拠に基づく予算要求に対しては、厳しい査定が必要です。いずれにしても、厳しい財政状況下にふさわしい予算のあり方が問われていると言えます。ゼロベースからの事務事業の見直しということで、「廃止・休止」となっている事務事業などが公表されていますが、詳細が必要な方は県財政課のホームページでご覧頂くか、私にご連絡下さい。
財政危機のもとで県民に向き合う組織とは
県庁組織のあり方として、三位一体改革という厳しい財政状況のもとで、なおかつ住民と向き合う県庁組織を確立していくということで、さまざまな組織の見直しが、急速に行われています。
例えば、本年四月には、農業改良普及センターと耕地事務所を統合して「農業振興センター」としてスタートしました。
また、県下市町村に「地域支援企画員」として五十人が派遣されていますが、その活動状況が見えにくいとか、効果が上がっているかという声が聞こえる中で、今後については、地域のニーズや市町村の意見も踏まえ、適正な規模等についての検討がされることとなっています。
その意味では、これまでの取り組みが、本当の意味で県民と向き合う組織として機能しているのかどうかを常に検証し、注視していく必要があります。
本定例会においても「高知県福祉保健所の設置等に関する条例議案」並びに「県税事務所設置条例の一部を改正する条例議案」が提出され、いずれも可決されましたが、これらについても懸念があり、それらの懸念を払拭できるような説明責任を果たすことと、体制の整備がなされなければと思っているところです。来年四月から行われる大幅な組織改革についての報告をしておきます。
県税事務所の再編
現在の南国県税事務所を高知市大津に移転し、事務の集中化による専門性の向上や事務の効率化等を図るため、所管区域と事務所長に対する知事の委任事項を変更し、あわせて、移転等に伴う経費約五千万円を増額補正することとなりました。
しかし、このことによって次のような疑問が生じることになります。@県民にどのようなメリットがあるのか。A厳しい財政状況の中、既存施設の活用でなく、五千万円の費用をかけて、運輸支局の近くに移転する理由やメリットB管轄区域が広域化されることで、徴収率は上がらないのではないか。C高知市を分割するような区域変更を行う理由は。D税目ごとに県税事務所の所管が分かれるのは非効率ではないか。
これらの疑問に対して、執行部は次のような効果を期待しています。@特定の税目の課税権限を集中させることにより職員の専門性や調査能力の向上が期待できること。また人員配置を効率的に行い、人員削減が可能となる。現行体制では、これらのメリットを生み出せない。A施設は、現在の南国県税事務所は狭隘であり、近傍の既存施設を検討したが、施設を新設する必要があるとの結論に達した。その際、新たに土地を求めるのであれば、自動車関係諸税に係る県民サービスの向上の観点から、運輸支局の近くが最適だと判断。B自動車税については、広域化しても事務効率は変わらない。C区域変更については、大津に事務所を移転することを前提に見直したもの。D課税権限を集中させる税目のうち、自動車税以外は、全県下を一本化するものであることから、特に混乱はない。などの考え方が、明らかにされていますが、四月から混乱のない徴税業務が行われるのか不安もあり、県民の皆さんへの周知などが徹底されることを期待しておきます。
福祉・保健所への統合
県民ニーズの多様化に対応し、保健と福祉のサービスを一体的に提供するため、福祉事務所と保健所を統合して福祉保健所として設置されることとなります。
中央西福祉保健所については、現在、いの町と佐川町にある福祉事務所と保健所を統合し、佐川町に設置することとなります。福祉事務所の業務は、市町村を経由するものが多く、住民が直接来所するケースは比較的少ないことから、市町村との連携により県民に不便をかけることはおおむね防ぐことができると考えられており、組織体制については、支障を生じることがないよう、現場の声も聞きながら、執行体制を構築していくこととされています。
しかし、福祉事務所と保健所を統合することのメリットが、行政組織の効率化だけではなく、県民へのサービスの質の向上につながらなければなりません。
これに対し、県民の保健・福祉サービスに対するニーズの多様化や、ひとりの方が持つ複合的なニーズに対応するため、県としては市町村が行っている保健・福祉サービスとの連携が今後の重要な課題であり、市町村との連携強化で、実効ある事業の組み立てが期待されますが、市町村との連携についての注視が必要です。
「効果のある学校」に学ぶ(11月26日) |
「協働研究概要」より
取り組みの背景には、松原第三中学校区の協働の取り組みは、松原市立布忍小学校(以下布小)、同松原第三中学校(以下三中)の長年にわたる人権教育の実践がその底流にあります。
布小では、1967年の越境根絶と不就学解消の取り組み、三中では1970年のいわゆる「三中問題」に見られる校内暴力克服の取り組みを契機に、人権教育が出発しました。そして、「低学力と非行の克服」を具体的な教育課題として位置づけ、地域と連携した「地域ぐるみ」の取り組み、また、教師集団の組織的な指導いわゆる「教師ぐるみ」の実践として、人権教育が同和教育として展開されてきたとのことです。
その後、両校は、
ア.学級経営の基本に「集団づくり」を据えること
イ.同和問題を始め人権課題を柱に人権学習のカリキュラム化を図ること
ウ.聞き取りやフィールドワーク等、地域人材とのジョイントや体験的な学習方法を導入すること
エ.授業改革、補充学習、家庭学習を、低学力の克服と学力向上を目指す課題とすること
オ.家庭訪問による保護者連携と地域の保護者組織との協働した活動カ.小、中連携を重要な教育 活動として位置づけること。
キ.人権を柱とした学校づくりと教職員の参画等を大切にした人権教育の実践への取り組み。
以上のことを基底に据えながら、1970年代当初、三中校区の学力向上取り組みは低学力の克服を目指すことを目標に、布忍小学校の算数科での学力診断テストから始まりました。そして、布小・三中の抽出促進指導、補充学習や布小の算数科の「内容創造」、三中の「最低必修事項」の取り組みに引き継がれました。さらに布忍小学校を出発に、1970年半ば学習内容の習熟と定着及び家庭教育の確立を目的に家庭学習運動が始まりました。
1980年代当初、算数科の取り組みは国語科にも広がり、学力診断テストを出発にその取り組みが始まりました。そして、診断テストによる児童の学力実態分析を踏まえ、「説明的文章の読解力」をねらいとする国語科の取り組みが本格的に始まります。
一方、1980年代半ばより取り組まれた布小・三中合同授業研を基盤に、1994年府より「同和教育研究協同推進校」の研究委嘱を受け、学力向上を目指す三校合同授業研をフィールドに、学習指導方法の改善を研究課題として、初めて授業改革が中学校区として取り組まれました。そして、1990年代半ば、布小を出発に従来の学力に課題を有する児童生徒を中心とする抽出促進指導から、学級分割による少人数指導への転換が図られ、それに対応した学習指導方法の研究実践が取り組まれ、合同授業研を発信拠点として三中校区に広がりました。さらに2002(平成14)年、中央小学校が「学力向上フロンティア」事業の指定を受け本格的に三中校区として取り組まれ、基礎基本の学力の向上のための「総合的な学習指導」として今日に至っています。
まさに、人権教育の取り組みの成果で学校を変えてきた実践例といえると思います。
「公開授業」に学ぶ
見学した公開授業も、今までに何度か布小を見たことのある人に言わせれば、確かに授業に臨む態度はすばらしいものがあるが、少し元気がなくなっているのではないかとの苦言も呈されてはいましたが、私にとっては、よく遊んでいる休み時間と授業の切り替えによる「聞く姿勢」はすごいものがあるなあと感心させられました。教師集団の力の入れようもすごいものがあるのですが、家庭・地域との連携なども含めて高知でも習うべき点は多いのではないのかなあと思いました。
会場で購入した「私たちがめざす集団づくり」にある集団づくりのポイントとして
1 こどもの良さを見つめる
良さの見えにくい子こそ、学級集団の中心に据えることの必要性
2 集団を読む
「集団の中の矛盾」や「ゆがんだ関係」が学級を支配することのない指導
について、述べられているが、「集団を読む」ということが、すごく大事なことであるとともに、教師集団に求められる資質でありながら、自覚的に把握し、計画的に育成することの難しさがあるのだと思います。
分散会「学力実態分析と効果測定」に学ぶ
(以下、報告書からの抜粋)
1.松原第三中学校区取り組みの概要
(1)取り組みの経過
・校区における学力実態把握・分析は、低学力の克服をめざした取り組みの中で始まる。
・1970年代に布忍小学校で算数科の学力診断テストの取り組みがスタート。
算数科における児童のつまずきや指導の課題を明らかにし、指導の改善を図ることがその狙い。
・1980年代には国語科にも拡大され、継続的な取り組みとして約30年を重ねる。
・その後、松原第三中学校においても、数学科、ついで国語科、英語科で学力診断テスト開始。
・2002年度に中央小学校が「学力向上2002フロンティアスクール」の指定を受けた。
学力診断テストによる学力実態把握の取り組みは中学校区全体に拡大。
・各校において年度ごとの学力実態を把握し、経年的な分析により一人ひとりの子どもの学力の伸びや課題とあわせて指導方法やカリキュラムの改善に係る学校としての課題を明らかにした。
・昨年度には、松原第三中学校区3校が大阪市立人権問題研究センターによる学校効果調査の協 力校となり、学力と生活実態のクロス調査を実施。
・中学校区としての学力実態や指導の課題を明らかにすることを目的として、松原市教育課程研 究推進協議会の作成によるものを活用した学力診断テストに加えて「生活・学習アンケート」の クロス調査を実施。
(2)学力診断テストの目的
学力診断テストの目的として以下の3点を設定。
@一人ひとりの子どもの学力実態把握・分析による個に応じた指導の充実。
全体の正答率のみならず、領域別や問題別に分析を行い課題を明確にすることで、個に応じた指導の一層の工夫に生かすことが重要。また、問題を基礎的・基本的な学習内容に係るものとし、その定着の状況をきめ細かく把握することに努めている。
A指導の効果測定を踏まえた指導方法およびカリキュラムの工夫改善。
学力診断テストを単年度ではなく、経年的に実施・分析することで、少人数指導をはじめとする指導の効果測定を行い、次年度における指導方法やカリキュラムの改善等に役立てることができる。
B「生活・学習アンケート」とのクロス分析をもとにした「総合的な学習指導」の充実。
クロス分析の結果から、自尊感情が高いと考えられる子どもたちは相対的に学力が高い傾向が見られる。逆に「やる気がおきない」「学習に自信が持てない」と答えている子どもたちもいる。また、家庭学習が定着しにくい子どもたちもいる。こうした子どもたちの学力向上を図るためには、授業改革とあわせて自尊感情を高めることや学習の動機付け、基本的な生活習慣の確立等の「総合的な学習指導」が求められる。クロス分析により、こうした課題を一層明確にすることが可能となると考えられる。
(3)中学校区としての学力実態把握の意義
3校の協働のもとに中学校区として、子どもたちの学力実態把握・分析を進めてきた、その意義として以下の3点があげられる。
@小中9年間を通した学力実態を把握することにより、中学校区全体としての子どもたちの学力向上のための課題を明らかにする。
A子どもたちの学力実態にもとづいた小中9年間のカリキュラムづくりをはじめとする指導の系統化のための課題を明らかにする。
B各学校における学力向上の成果と課題の交流を通して、学校間・校種間で学び合い、成果を中学校区全体のものとする取り組みの推進を図ること。
3校の学力診断テスト分析の結果から、算数・数学では「文章題」「数量関係」領域を、国語では説明文の読み取りを重点課題として設定し、その指導の改善に取り組むとともに、9年間の指導の系統化をめざしたカリキュラムづくりを進めてきた。
(4)松原第三中学校校区の学力診断テストの特色
a)実施教科及び領域
学力診断テストは、小学校では算・国の2教科、中学校では、英・数・国の3教科における基礎的・基本的な学習内容を精選して実施している。算数・数学科では全領域から国語科は「言語事項」と説明文の「読みとり」、英語科は「コミュニケーション」「語彙」「文法」「読解」「表現」について出題。
b)生活・学習アンケートの概要
生活・学習アンケートは「あなたは、今受けている算数の授業を全体としてどれだけ、満足していますか」「あなたはどんなときに勉強をやる気になりますか」といった学習に対する満足度や少人数指導、学習意欲等を尋ねる「学校生活や勉強に関する質問」、「朝、自分で起きていますか」「家庭学習をどれぐらいしていますか」といった家庭学習の時間や通塾状況、家庭での生活等を尋ねる「家庭生活や勉強に関する質問」、中学卒業後の進路や自尊感情等を尋ねる「自分に関する質問」の3つの分野で構成。
c)分析の観点
分析の観点と方法についても校区全体で論議を重ね、松原第三中学校区全体としての分析を進めてきた。分析は校区全体としてや学校・学年別教科別・単元・領域別等様々な切り口で行った。さらに学力実態調査結果から正答率の上位・中位・下位、各層における傾向についても分析を行うことで具体的な課題の明確化をめざした。
こうした分析を通して基礎的・基本的な学習内容がどれだけ子どもたちに定着したか、また今後の課題は何であるのか、さらには学力実態と生活・学習アンケートのクロス分析から、学力向上のための「総合的な学習指導」の課題についても研究を進めてきた。
(5)学力実態把握・分析の充実をめざして
子どもたちの学力実態の適切な把握と分析を行い、正答率から見た層ごとの特徴や課題に応じた指導方法の工夫、学ぶ意欲や自尊感情を高める取り組みなどを充実させていきたい。協働の取り組みを一歩一歩進めることで、松原第三中学校区のすべての子どもたちの学力向上を図っていきたいという共通の思いを新たにしている。そのために、学力診断テストや生活・学習アンケートの充実はもとより、分析方法等についても協働の研究や取り組みを今後一層推進していくこととしている。
参考文献「公立小学校の挑戦」(岩波ブックレット)
「学力低下の実態」(岩波ブックレット)
「私たちがめざす集団づくり」(解放出版社)
知事選の疑問に答えて(11月9日) |
Q 橋本さんの疑惑について13年も前のことを持ち出すのはおかしいのではないですか。
A この問題は、前知事の最初の選挙に絡んだ選挙資金疑惑とその資金調達に関連した坂本ダム工事談合疑惑に端を発しています。このことが、政治家の政治倫理の問題である以上、政治倫理の問題には「時効」はないのです。解明の努力をしないことのほうがむしろ問題です。
Q 橋本さんは関わってもいないし、知らないことだと言っているのだから責任は問えないと思いますが。
A いくら知らないことであっても、関わっていなくても、自分が知事という職を得るために行なわれたことであると、内部から、それもその選挙すべてを仕切ったと言われる人物からの公表である以上、知らない・関わっていないということで、責任は回避できません。それだけ、政治家の責任の重いものであり、このような橋本さんの発言は、まことに無責任と言うしかなく、それだけでも政治家失格です。
Q 立派に県政を進めている橋本さんを邪魔に思う勢力の追い落としなのだから、そこまで追求するのは無理があると思いますが。
A この事件を内部告発した人物は、その際において、橋本さんの四選を阻止するためとも発言しています。もしそのような意図をもった人々が周辺にいたとしても、事件が明るみになった以上、その真偽は解明されなければならず、そのことを理由に事件の解明をしなくてもいいということにはなりません。
Q「辞職勧告決議」は県政を混乱に落とすものでありやり過ぎだと思いますが、県議会に問題はないのですか。
A 橋本さんは九月定例会において、この疑惑の解明を求める質問に対して、説明はするが解明するとは明言してきませんでした。自分に降りかかった疑惑は自らが解明する努力を行うというのが、政治倫理の土台です。それを「やらない」と議会で堂々と発言される以上、橋本さんにまともな政治倫理はないと判断するしかありません。これ以上知事を続けていただくわけにはいかないということで、「辞職勧告決議」が出されるのは、ごく自然のことです。
高知新聞が、「辞職勧告決議」等の問題について、議会各派代表に意見を求めていますが、そのなかで「市民の声」の代表は「罪を功で隠すことはいけない」と指摘していますが、正にそのとおりだと思います。
Q 辞職勧告さえしなければ、橋本さんは辞職する必要はなかったし、一年後に選挙をしなくても良かったのではないですか。
A 橋本前知事は、拘束力のない「辞職勧告決議」が可決されたからといって、直ちに辞職する必要はありませんでした。むしろ、自らの正当性を主張するならば、知事の職にとどまり、不名誉を晴らす疑惑解明に全力を挙げるべきでした。もし、信を問うなら自らが自らの費用で「県民の意識調査」をして信頼が得られているのか調査でもすればすれば済むことです。それで信頼を得られていないとなれば潔く職を辞して再出馬などしなければ良いのです。橋本さんが辞職する際に言った「議会の意思を尊重して」というのであれば、再出馬すべきではないのです。
しかし、そのようなこととは相反する暴挙に出ておきながら、責任回避、責任転嫁の姿勢に終始する橋本さんの姿勢は選挙に勝利すれば、疑惑に蓋をしてしまうという政治的堕落の見本のようなものであると言わざるをえません。
Q 橋本氏の追い落としにより、県政を以前のようなしがらみの県政に戻してしまうことになりませんか。
A このことは、相手候補に対する言われのない誹謗中傷と言えるのではないでしょうか。知事は県政上の頂点に居り、権力ももっているから、いろんな人物が、いろんな意図をもって近づいてくることは、当然予想されることではあります。橋本さんについても新たな「しがらみ」が出来ていることを指摘する人も、多くいます。だから、多選の弊害ということは常に意識されなければならないのです。
相手候補に対してのこのような批判は、ためにする批判であり、この度の選挙の真の焦点である、橋本前知事の政治倫理が問われるこの選挙の争点を隠したいがための、極めて姑息な主張のように思えます。
Q 橋本さんに対して、無責任だということがよく言われますが、節目で報酬の減額などもしているし、それなりの責任はとっているのではないでしょうか。
A 橋本さんの報酬の減額は個人の責任ではなく、組織としての責任の取り方であり、政治責任の果たし方ではないと思います。
例えば、今回の説明文書の中でも坂本ダム談合疑惑については「もし坂本ダムの入札に談合があったとすれば、私が知事をしていた執行部の側も責任は免れませんが、当時、談合情報などがあったにもかかわらず、十分な調査を行わないまま、坂本ダムの工事の予算を通した議会の側にも、一端の責任があることになります。」と述べています。この言葉にも責任回避・転嫁の姿勢が良く現れています。
例えば、「私が知事をしていた執行部の側」と言い、私ではなく、執行部ということを前面に出しています。談合情報が流れたときも、副知事以下土木部任せにしていたことからも自らの責任回避姿勢は顕著です。そして、予算を通した県議会に責任の一端があるとの指摘は、地方議会制度を無視した説明であると言わざるをえません。談合情報は執行部で調査し、その結果を議会へ報告すべきものであり、議会には通常捜査的調査権はないのです。執行機関は不正をしないとか、議会との間で当然とも言うべき最低の信頼関係を確保した上で、議会審議は行われるものであり、議会に責任転嫁をしていることも明らかです。
また、選挙資金疑惑についても草の根の方たちに責任を転嫁するような発言があります。週刊「日経ビジネス」の「敗軍の将、兵を語る」の中で「開き直りといわれてもいいですが.....中略 .....自分で望んで知事になるのであれば、そこまでの管理監督責任があると思いますが、草の根運動で、これからの時代の選挙を変えていくのであれば、市民がその点まで責任を持って行かなきゃいかんなと思います。」この発言を聞けば無責任と言われても仕方ないのではないでしょうか。 県闇融資事件においても、当時の部下たちは「背任罪」という汚名を着せられようとしている時、「私は報告を受けていない」と責任逃れをしてきました。当時の副知事のいごっそうぶりを巧みに利用して、絶対口を割らないだろうとのことで「知らぬ存ぜぬ」を決め込んでいるのかもしれません。
このような責任の取り方に問題のある県政リーダーに、高知県の将来を託することができるのかよく考えてみる必要があると思います。
知事説明文書(11月1日) |
10月25日に橋本氏が「一連の疑惑とされることへの説明」と題した説明文書を公表しましたが、極めて疑問点の多い内容でしたので、ここにその疑問点を掲載しておきたいと思いますので、考慮の参考にしていただいたらと思います。
一連の疑惑とされることへの説明
説明文書本文 | 疑問や考え方 |
【T】説明責任を果たすにあたって (1)この文書で明らかにしたいこと この文書で説明をしたい主なテーマは、3点あります。 一つは、そもそも、10数年もたった今、なぜこの問題が出てきたのかという点です。その背景には、自分たちの言うことを聞かない知事を、何としてもかえたいという、私の4選阻止を目指した動きがあったと受けとめています。 二つ目は、13年前に、初めて知事になって以来、自分たちの利益のために県政をゆがめようとしてきた人たちに対して、私が、どう立ち向かってきたかです。そのことが、4選を阻止したいとの思いの、裏側にある理由の一つだと思うからです。 そして三つ目は、13年前の選挙の際の活動の実態を、出来る範囲で明らかにすることです。 (2)調査の内容 知事職を退いて以来、13年前の選挙に関わった人をはじめ、県の元幹部や現役の職員など18人の方に、直接間接に話を聞きました。 また、知事公邸の荷物をかたづける中で、偶然、選挙に関わる資料なども見つかりました。 【U】今回の一連の出来事の背景 1)建設業者の不当な要求を拒否 昨年7月8日に、県内の建設業者、和住工業の横矢社長が知事室を訪れ、県との間に見解の相違がある、高知市国分川の土地の問題に関して、知事の力で、自分が有利になるように県の考え方を変えてほしい、との申し出を受けました。 このことは、担当部と協議の上に決定したことですので、「今時、知事に働きかけて、県の決定を覆すようなことは出来ません」と、申し出を断りますと、クリアファイルに入れた手書きのメモを取りだして、「これは、私がまとめたものですが、12年前の選挙の時に、こんなことがあったのを知っていますか。もし、私の言うことを聞いてもらえないのなら、4期目の選挙は考え直してもらわないといけない」と言います。 メモをゆっくりと見る時間はありませんでしたが、その後笠さんが、メモとして提出をしたものと、ほぼ同様の書式で、企業名や金額などが綴られていましたので、笠さんのメモの原点は、ここにあると思っています。 こうした威嚇に、おびえる理由もありませんので、ご随意にどうぞと、そのままお帰りを願いましたが、この経緯は、秘書課長も同席をして、その一部始終を見聞きしています。 また、昨年6月16日には、知事室に依光県議会議員が訪れて、横矢社長が経営する企業が所有する土佐山田町内の土地を、産業廃棄物処理場の用地にどうかという働きかけを受けたこともありましたし、同じ頃に、横矢社長の国分川の土地に関して、県の土木部の幹部が、元木県議会議員らから、県の見解を変える考えはないかと指摘されたこともありました。 (2)4選阻止に向けたその後の動き その後、横矢社長が、東京の笠さんを訪ねて、このメモをまとめたうえ、それを自民党の依光議員のもとに持ちこみました。 それをもとに依光議員が、昨年9月30日に県議会で、初めてこの問題をとりあげました。その前々日の昨年9月28日に、依光議員、笠さん、横矢社長と城西館で懇談をしました。 その懇談をセットした方から私は、「横矢社長も、ここまで話が進むとは思わなかったと、困っているようだ。そこで、是非、依光議員と会って話を聞いてほしいと言っている」との話を聞かされました。 その席で、横矢社長からは、「知事さん、4選出馬を取りやめませんか。と言っても、知事さんも生活があるだろうから、向こう4年間の生活費は、私が出しますよ」という話がありました。4選阻止に向けて、ここまであけすけな話をするのかと驚くと同時に、ベテランの議員が、こうした暴言を、諫めることもなく聞き流している姿に、強い違和感をおぼえました。 【V】私がおこなった県政改革 では何故、4選阻止に向けての動きが強まったのかといえば、私が知事として、13年間取り組んできた県政改革の結果、昔に比べて何かとやりにくくなった、と感じている人たちの反発も、大きな理由の一つだと思います。 (1)「天の声」をなくす ▽中内県政時代の幹部職員の話(16年10月19日) 「県が発注する土木工事を、どの業者に落札させるかを調整する、天の声は確かに存在したし、業者にとっては、足を向けては眠れない存在だった」 ▽元県幹部の話(16年10月16日) 「平成元年頃、当時の知事が、自分の後援会長のもとに、業者の訪問が相ついでいる。このままだと、わしも(責任を)かぶらんといかんことになるので、(後援会長を)降りてもらおうかと思うと話していた」 ▽橋本県政のもとの元幹部の話(16年10月20日) 「橋本知事になってから、天の声がなくなったため、業界が混乱している。何とかならないかと相談を受けた」 私は13年前、初めて知事になって以来、談合などの、不正の温床になる仕組みは、その根を絶たなくてはいけないと考えて、天の声の存在を求める話には、一切耳を貸しませんでした。 これに対して、終始一貫、「天の声」を設けてほしいと、繰り返し求めてきたのは、他ならぬ横矢社長で、その役回りにふさわしい人として、笠さんの名前をあげたこともありました。 (2)談合をなくす 今回、百条委員会では、坂本ダムの談合問題が取り上げられましたが、私は、談合を疑われかねない状況は、改善しなければならないと考えましたので、入札手続きの透明性と競争性の確保を目指して、制度を次々と改善してきました。 その結果、平成11年11月からは、1億円以上の工事では、工事価格の下限を定めていた、最低制限価格制度も廃止した結果、入札金額も大幅に下がってきています。 しかし、今では逆に、工事の品質の低下や、下請けの方へのしわ寄せなど、制度の悪影響も、心配されるようになっていますので、業界の代表にも入っていただいて、それに対する改善策を検討していますが、私が初めて知事になった当時に比べて、談合が極めて起きにくい状況になっていることは間違いありません。 こうした流れに対して、再び最低制限価格制度を復活させてほしいと、繰り返し働きかけてきたのも、これまた横矢社長でした。 去年の夏、横矢社長が笠さんの自宅を訪ねた時にも、知事をかえたい理由のひとつとしてこの問題を挙げていたと、笠さんは証言しています。 (3)特定の個人からの働きかけなどの排除 従来の県政には、役所の小さなミスなどにつけ込んで、自分の利益をはかろうとする、特定の個人や団体によって、県政がゆがめられる危険がしばしばありました。 これに対して、私は、県の体育協会や観光業界に大きな影響力を持っていた、特定の個人の力を排除したことに象徴されるように、こうした圧力に毅然として立ち向かうことを、県政改革の柱の一つに位置づけてきました。 あわせて、そうした不当な力の裏づけになっていた、念書や覚え書きを公開したほか、外部からの口利きを含む、県政への働きかけの公開にも務めてきました。 ▽高知県の現役幹部の話 「横矢社長と親しい、元代議士(他県選出)に呼ばれて、高知市内の土地の問題に関して、横矢社長の話を聞いてやってくれと、働きかけられた」 繰り返しになりますが、こうした圧力や口利きに毅然と対抗してきたのが、私の13年間の県政ですし、そのことへの不満が、今回の出来事を引き起こした主な原因だと受けとめています。 【W】百条委員会の報告に関すること (1)坂本ダムの入札に談合はあったか 坂本ダムの談合があったかどうかは、関係者が否定していますので明確ではありませんが、百条委員会が談合を疑う根拠としていることは、いずれも、坂本ダムにまつわる談合情報が出た当時、調べればわかったことばかりですし、究明しようと思えばいつでもできたことです。それが昨年になって、私の4選目の選挙の直前に取りあげられたことに特別の意味があると思います。 しかも、もし坂本ダムの入札に談合があったとすれば、私が知事をしていた執行部の側も責任は免れませんが、当時、談合情報などがあったにもかかわらず、十分な調査を行わないまま、坂本ダムの工事の予算を通した議会の側にも、一端の責任があることになります。 (2)笠さんは坂本ダムの話をいつ知ったか 笠さんは、昨年10月1日付けの新聞のインタビューに答えて、「坂本ダムの工事で(中略)金を出させることにした」と話しています。 また、今年1月15日の百条委員会では、「坂本ダムの発注について、熊谷組に発注するように書いたメモを(私に)渡している」と証言したうえ、「坂本ダムの談合によって、資金を調達するということが、分かる内容になっているのか」との、委員の問いに対しても、「そうだ」と答えています。 しかし、その後、資金提供を受けたとされる時には、「坂本ダムということは出てないですね」(今年8月5日の百条委員会での証言)と、証言内容をひるがえしました。 ▽笠さんの話(16年10月13日) 「資金の提供を受ける話があった時に、坂本ダムで決着をつけるということだったのか」との私の問いに対して、「ぜんぜんない。そんなことはね」。また、「何か取り引きがあったのか」との質問にも、「聞いてない。全然言ってない」との返事でした。 その上で、坂本ダムのことを聞いたのは、入札に絡んだ談合情報が流れて、当時の副知事が、何か心当たりはありませんかと、電話で尋ねてきた時のことで、この時はじめて、坂本ダムの名前を耳にしたとのことです。 この百条委員会は、坂本ダムとの関わりがあって、初めて開かれたものですので、この証言の変遷とそのあいまいさは、見過ごしにはできません。 (3)坂本ダムに関しての相談と報告 この件に関して、笠さんが、私に報告をしたという事実はありません。 この点に関して、百条委員会の資料には、「町田さんからの1億円の返済方法は、知事も知っている。こういうふうに(坂本ダムの工事を熊谷組に発注することで)返すということを書いたメモを渡した」と、笠さんの証言がまとめられていますが、ご本人が、聞いたこともなかったと明言されている坂本ダムに関して、どうして、私にメモを渡すことが出来るのかと思います。 (4)坂本ダム関連以外の資金の相談と報告 ▽笠さんの話(16年10月13日) 「これは、表に出てない話だけど」と前置きをしたうえで、「パチンコ屋が5千万貸すからと、使ってくれと、それは、大ちゃんにやめてくれと言われたんで、断ったんだけどね」、「大ちゃんに相談したところが、大ちゃんが即座にやめろということで・・・」という話を紹介されました。私も、そのことは記憶にあります。 この話を聞いていて、パチンコ業者からの5千万円の資金提供を、即座に断った私が、別のパチンコ業者からの3千万円の借り入れや、建設関連企業からの資金提供の相談や報告を受けて、首を縦に振ることがあり得るだろうかと感じました。 ▽町田後援会長の話(16年10月15日) 「橋本さんの選挙のためということで、名義を貸したのだろうけど、今もって全く記憶にない」 去年、この問題が初めて出てきた時にも、「そのようなことはない」との話でしたので、その事実が指摘された時には、「正直なところ、驚いている」というコメントを出しました。 ただ、後援会長に当座の資金を借りることは、決しておかしなことではないと思いますので、当時このことについての、相談や報告があっていたとしたら、その事実を私が隠す理由はありません。 (5)笠さんの記憶 ▽選挙事務所の会計担当者の話(16年10月16日) 「昨年10月2日に、何の事前の連絡もなく、笠さんと依光議員が連れ立って勤め先を訪ねて来た際、笠さんは、僕は、何にも覚えていないんだよと話していた。このため、その後、百条委員会で証言をする笠さんをみて、何にも覚えていない人が、どうして色々な証言が出来るのだろうかと感じた」 また、笠さんの記憶に関して、一つ具体的な誤りをあげますと、1月15日と8月5日の百条委員会の証言を通じて、笠さんは、収支報告書に記載されている、自らが経営する東京の会社からの貸し出しについて、「(会社からは)一銭も出していないです」と明言をしています。 しかし、今回見つかった資料の中には、私の後援会から返済された400万円に対する、「左慶」(笠さんの経営する会社)の印の入った笠さんの領収書がありますので、このことは、証言のあいまいさを示す、一つの証だと思います。 【X】百条委員会の総括に対して (1)坂本ダムと資金との関わり 関係する企業は否定をしていますので、企業からの資金の提供そのものが、立証されていませんが、笠さん本人が、坂本ダムのことは、工事の入札に絡んで談合の噂が流れたとき、初めて聞いたと証言しているのですから、そのことをもってしても、私の初めての選挙と坂本ダムの工事との間には、直接の関係はないことになります。 あわせて、もし笠さんが、坂本ダムの入札と資金疑惑とは、関係がないというご自身の証言内容を、はじめから明らかにされていたら、「選挙資金疑惑は、坂本ダム本体工事の談合疑惑に密接に関連しており」といった、百条委員会の調査の視点や方針にも、影響を与えたのではないかとさえ感じます。 (2)なぜ笠さんを訴えないのか このことは、すでに昨年の選挙の際にも、はっきりと考え方をお話していますが、笠さんは、私が子どもの頃から、わが家に出入りをしていた間柄ですし、もう80才をこえたお年寄りです。 そうした古くからの知人が、自分の利益だけを考えるような人に乗せられて、私と対立をしたとしても、このような政治的な背景を持つ動きに、これ以上、笠さんを巻きこむつもりはありません。 【Y】13年前の選挙経費 (1) 事務所経費 知事の辞職後に知事公邸を片づけるなかで、13年前の選挙に関する資料が見つかりました。 この資料によって、政治資金規正法(当時)にもとづく、3つの支援団体の支出が8528万円余り、また公職選挙法に基づく支出が888万円余りで、あわせて9400万円余りの報告内容が裏付けられています。 もちろん、企業・団体や個人からの献金など、それに見合う収入も報告されています。 ただ、笠さんが保管していた名刺のなかから「(仮)領収書。¥15,000,000− 上記の金額を正に領収しました。平成3年11月22日」と書かれた名刺が出てきましたが、それと符合する資料は今回の調査では見つかりませんでしたので、正直なところ、この点だけでも不適正な経理があったのではないかとの疑問が生じます。 (2)事務所経費以外の「活動資金」なるもの (イ)市町村支部の活動資金 笠さんは、市町村の支部の活動費や、政党への資金提供といった「各種団体への工作費」に建設業者からの多額の費用をあてたと言っています。 では、「市町村の人で、資金を要求してきた人は」と、笠さんに問いますと、「ほとんどそうです」などと答えるものの、具体的に名前があがるのは、室戸市の人だけで、他にはただの一人も名前は出ません。 (ロ)政党への資金提供 笠さんは、県議会で政党に資金提供したと証言していますが、どの政党かは忘れたの一点張りです。ですから、この10月13日にお会いした時にも、この点を、繰り返し問いただしましたが、「わからない」、窓口が誰かも「わかんない」という答えしか返ってきませんでした。 【Z】今、振り返って (1)13年前の選挙 13年前の、私の初めての選挙は、草の根型で戦われた、初めての本格的な知事選挙で、その後の選挙の在り方や、地方自治の新しい流れに、大きなきっかけを作ったと自負しています。 自分自身、多くの県民の皆さんに支えられて、心おきなく戦うことが出来ましたし、今回のことで、あらためて話を聞いた当時の仲間たちも、そろって、あれほど、わきたつような経験はなかったと言ってくれます。 ただ、選挙に関わるのは初めてという方がほとんどでしたし、私が、8月の半ばに高知に来てから選挙の告示まで、3ヶ月しかないという、極めて短期間の運動でしたから、事務所の経費の流れを、きちんと管理できなかった面は否定できません。 (2)笠さんの動き 草の根には、様々な意見の方がいますので、当初は、仲間うちでも、連日夜遅くまで、意見の対立が続く状態でした。 このため、誰かまとめ役がいないだろうかという、支援者の声を受けて、笠さんに来てもらいましたが、そのおかげで、事務所も、ようやくまとまって動き始めるようになりました。 しかし、9月から10月と日がたつにつれて、流れは完全に私の方を向きましたので、このままでは、従来からの仕事の枠組みや、自分たちの権益が危うくなると不安を感じた人たちが、次に「天の声」を出す役を担うのは笠さんだと考えて、笠さんのもとを訪れるようになったと思われます。 ▽当時の選挙担当記者の話 「その頃、ある人が借りた、はりまや橋の電鉄ターミナルビルの一室を、橋本事務所が使っていたが、笠さんがその部屋に入った後、半日ほど、ビルの前で人の出入りをチェックした。そうすると、それらしい背広姿の人が次々と入っていったので、笠詣でが始まったかなと感じた」 こうした状況に、笠さんも自分の力を錯覚した面があるのでしょう。知事になってから、笠さんの周囲を見まわすと、業界の方とのつきあいが激しくなっていて、良からぬ評判も耳に入るようになりました。 その象徴的な出来事が、笠さんが中心になって作った、「誠橋会」という名の会で、平成4年1月に、賀詞交換会の名で開かれたパーティーに出席しますと、会場を埋めた業界の人たちを前に、笠さんが、「これからは、私が橋渡し役になって」といった、自らが「天の声」を目指していると受けとれるあいさつをしたので、私は深い危惧を覚えました。 ▽笠さんの名刺ホルダー その頃、笠さんが整理した名刺のホルダーが、3冊残っていますが、およそ1200人分の名刺を見ると、笠さんのまわりに、色々な人が近づいてきていたことがわかります。 そうした中で、金銭的なつながりもあったのではないかと疑いましたし、そのままでは、必ず問題が起きると考えましたので、早々に高知を引き取って、東京に戻ってもらいました。 しかし、私の選挙に関わった人が、このような疑いを持たれるようになったことを大変申し訳なく思います。 (3)まとめ 今回の問題には、二つのポイントがあります。 その一つは、13年前の選挙の際に何があったのか、 もう一つは、去年から1年余りの間に起きた、私を知事の座から引き下ろそうとする動きです。 このうち、13年前の私の初めての選挙については、事務所の経費をはじめ資金の出入りに、曖昧でずさんな点があったことを率直に認めて、県民の皆さまにお詫びしなければなりません。 しかし、その一方で、自分の利益のためには手段を選ばず、お金の力も使って県政をゆがめようとする動きは、13年前のことではなく、今も根深く残っている現実です。 いずれにしても、県民のみなさんには大変ご迷惑をおかけしました。しかし、私は、今回指摘された一連の出来事には一切関知していないことを、あらためて断言できます。 あわせて、古いしがらみや利権にからんだ県政への逆戻りを許さずに、県政改革をさらに前進させていきたいと思います。 2004.10.25 橋本大二郎 |
前提としてのこの3点については、当初から、政治的意図を持って浮上した疑惑であることとは言え、本会議場で指摘された以上、談合疑惑とそれに関連する選挙資金疑惑は調査しなければならなかったのである。 このような背景があるのだからと言って、疑惑を放置することの方が県民に対して無責任と言うことになる。 笠氏を除く17名が特定されていないことと、事情聴取が中立的な第三者の立ち会いもないままに、行われていることについては信憑性の担保が確保されていない。笠氏への事情聴取についても、核心部分についてはなぜ聞かなかったのか。「偶然、見つけた」とは調査する意識の希薄さを露呈するとともに、なぜ、名刺をはじめとした関係資料を公表しないのか理解しがたい。 このようなことは、あってはならないことだし、毅然とした態度で臨むのは当然のことである。しかし、このことが事実だとして、それを排除してきたのだから、過去の疑惑について、自身の「不関知・不関与」を立証することとはならないし、関知・関与していれば免罪されるものでもない。 H15.2月の時のことなら、百条委員会の中で土木部からは、働きかけの受け止めではなかったとの10/31の陳述がなされている。 同席した人物の発言要旨を明らかにしながら、全体の会話内容が明らかにされるべきである。 存在した天の声とは誰のことで、当時土木部はどのような対応をしていたのかを明らかにさせることが、より談合体質の改善につながるのではないか。 また、平成元年頃のこのような動きは、どうなったのかも、聞くべき。橋本県政になって、直ちに解消されたのか。その残滓は、しばらく伺えたのかなども聞いてないのか。 いずれにしても、この引用部分は極めて都合の良い断片的引用と指摘されても仕方がない。 談合が起きにくい状況を作ってきたことの努力は評価できるが、業界代表を入れた検討会についても、支援業者が多々参加していることへの中小業者の不満が生じている。しかし、これも努力実績と疑惑が相殺されるものではない。 このことをもってして、全てのしがらみを断ち切ったとは評価しがたい。むしろ、橋本氏に都合の良い新しいしからみが13年間の間に築かれたと言わざるをえない面が生じつつあることを反省すべきである。 いつの時期なのか、それへの県の対応はどうなったのか。また、元代議士の氏名は明らかにすべきでないのか。 談合情報が流れたときの、知事本人の対応がいっさい明らかになっていない、副知事以下土木部任せで、自らの責任回避姿勢と県議会への責任転嫁姿勢が顕著である。 予算を通した県議会に責任の一端があるとの指摘は地方議会制度を無視した説明である。談合情報は執行部で調査し、その結果を議会へ報告すべきものであり、議会には捜査的調査権はない。執行機関は不正をしないとか、議会との間で当然とも言うべき最低の信頼関係を確保した上で、議会審議は行われるものである。今後は県議会の監視機能を強めるためにも、議案に詳しい説明資料を添付するなどの予算審議の方法に改めるべきである。 笠氏が坂本ダム談合で、業者が資金調達をするということを仮に知らなかったとして、公共工事であることの証言の変更はない。笠氏は小島手帳などにより、記憶を呼び戻そうと努力した結果であり、当然変更はありうる。 また、これが事実でなければ、なぜ、秋山さんの日記にそれを匂わせることが書かれてあったのか。知事は、秋山さんには事情聴取をしなかったのか。 時系列的な記憶の不確かさは否めないが、「この証言の変遷とその曖昧さ」のみを金科玉条とすることには疑問がある。「時間の壁」を理由に当初から調べない人に指摘する資格があるのか。 時期的なズレとメモの手渡しについては、「矛盾点」であるのに、自らが確信しているからと言って、笠氏に質問しないのは疑問が残る。 この話一つをもってして、他のことを全否定する論法には無理がある。 100条委員会における樋口発言にあるように、町田氏の方から提供の申し入れがあったとすれば、今もって町田氏は嘘を言っていることになる。 また、この工面方法について笠氏は橋本氏の耳に入れていると言うことについて、なぜ笠氏に事実確認をしないのか。 事実を隠す理由がなければ、何故収支報告の借入金として記載しなかったのか疑問は残る。 この日以降に、電子手帳や小島手帳が出てくる中で、笠氏自身の記憶を辿る作業がされたものと思われるが、会計担当者の話の一部分を引用したり、「左慶」からの借入金の存在などによって笠氏の証言の曖昧さを強調することで、自らの正当性を主張しようとしている。 また、「小島氏は百条委の中で極めて細かく話していると思う。」ということで小島氏には事情聴取することもなく、済ませているのなら、小島氏の証言には信憑性を認めているのか。 仮に、笠氏の記憶違いでタイムラグを生じていたとして、資金提供を行ったとされる熊谷組をはじめとした建設業者の意図は公共工事(坂本ダム建設工事)をターゲットとしていたことについては、疑いのないものである。そして、資金提供の時期に、坂本ダム工事の目途は明らかであったことは明白である。談合の有無については、報告書にある客観的事実によっても「認定せざるを得ない」ことに反論せず、選挙資金疑惑との関連性についてのみの反証も笠証言の「あいまいさ」のみを根拠としており確証はない。 笠氏と橋本氏の個人的関係や笠氏の年齢など個人的事情で訴えないのは、理解しがたい。不明な疑惑部分を本気で解明する意志があるのならば、訴えるべきであるし、公人としての前知事の責務である。 司法の判断にゆだねることが、自らに不利となるので法的手段に訴えないのだと批判されかねない。 まず、知事公邸のどこに保管されていたかが問題である。以前に調べようという気があれば、見つけることが可能であった場所にあったとすれば、不作為の事実隠蔽と言われても仕方がないのではないか。 収支報告上のものは残っていたということは、逆に、それ以外の収支報告に載せられないものは、処分されていたことが図らずも立証されたのではないか。 収支報告上の関連資料であれば、公開されてしかるべきである。 橋本氏自身も報告にあげられないものもあったと証言している以上1億円を超す費用が生じていることは明らかである。 これについては、小島氏の証言にもあることなので、笠氏よりも小島氏に事情聴取するべきである。また、具体的な室戸市の人については、橋本氏はどのような見解を持っているのか。 また、事務所の会計担当者に笠氏の記憶問題だけを尋ねて、その他の使途などについては聞き取り調査をしていないのか。 当時の支持政党をはじめとした政党関係者に聞き取り調査をすることは可能なはずなのに、なぜ笠氏だけにしか聞かないのか。 地域活動などを草の根によって、担うという手法においては、画期的な闘いであったといえるかもしれないが、選挙資金調達においては、旧来型の方法が取られていたと考えられる。「梅原が三千万円は集まると豪語したカンパは、わずか三万七千円しかなかった。大きなカンパ箱を振ると、いつもカラカラと軽い音がした。投入口から中をのぞけば、十円と百円がほとんど。一枚の千円札が地主のように大きな顔をして、寝そべっていた。」(「大二郎は勝った」より)とあり、個人からの寄附も報告義務のない小口寄付では8,846千円調達しているに過ぎない。このことからも、草の根に支えられた選挙資金とは言い難い。 この時期のこととして、危惧される内容が明らかにされるべきである。そして、証言された「知事の職を辞さなければ」と考えるような内容とは何だったのかは、明らかにされるべき。 この名刺ホルダーは絶対明らかにすべき。橋本氏は記者会見で「金のやりとりにかかわるもの、選挙にかかわるものはそれ(仮領収)だけだ」「建設業者も多数(笠氏に会いに)来ているので、その中に今回名前が出てきた人の名刺があっても不思議ではないと思う」と言っているが、新たな事実解明につながるものが存在するかもしれないため、公表すべき。 また、名刺ホルダーは今回初めて見たのであれば、「そうした中で」「考えた」時期とズレを生じるが、どうなっているのか。 13年前の選挙の際に行われたことは、不明朗な選挙資金によって賄われたことと、その資金調達と関連したと思われる公共工事の談合が行われたと認定せざるを得なかったと言うことである。 そして、そのことに橋本氏自身が関知・関与していたのではないかとの疑いが残っていることである。 その背景として、自らの利権・利益獲得の対象として県行政に関わろうとする一部の動きは過去でも現在でも許されるものではなく、その時々の県政責任者は根絶に向けて努力することは当然のことである。 しかし、そのことで一定の実績を上げたからと言って、過去の疑惑に蓋をするやり方は政治家の姿勢としては許されない。 透明性に欠けた立証方法による「説明」では、「一連の出来事には一切関知していないことを、あらためて断言する」という結びを県民は、にわかに信じがたいものとして受け止めざるを得ない。 そして、新しいしがらみや利権にからんだ県政をこれ以上続けることも断ち切らなければならないと考える。 |
左右の多少のズレはお許しください。
9月定例会(10月8日) |
県議会9月定例会は、山内家の国宝「高野切本」を7億円で購入するための減額修正を否決した上で、補正予算など執行部提出の18議案と15年度企業会計決算3議案、「郵政事業の国民の合意なき民営化に反対する意見書」など意見書案10件、「知事に対する辞職勧告決議」など決議案2件を可決または認定し、橋本大二郎知事からの退職の申し出に賛成多数で同意し、閉会しました。
今議会は、財政危機宣言対応方針が発表されたことや、その財政危機の下での山内家の国宝「高野切本」を7億円で購入することを含む補正予算案、さらにはおよそ1年間に及ぶ「坂本ダム等調査特別委員会」報告がなされたことなどの課題を抱える中での定例会でした。
そして、本会議を通じた知事の疑惑に関する質問戦でも「議会が終わって10月末までに説明をする」というのみで、それ以外はこれまでの答弁の繰り返しに終始しました。
私たちも、このような議論を繰り返すのではなく、事実解明の方法としては、知事としての嫌疑は県民に対する嫌疑でもあるので、「根も葉もないでっち上げであるなら」笠氏を「名誉毀損」で告発し司法に判断を委ねるべきであるという姿勢で臨みましたが、それにも答えようとしないに至っては職を辞して頂くしかないとの判断で「辞職勧告決議」を共同提案しました。
結果的には、採決前日の知事の「可決されれば辞職して出直し選挙に打って出る」との記者会見なども受け、22対15の賛成多数で決議案を可決しました。
知事は、「県のために残念なこと。辞職勧告を受けた立場では(三位一体改革などで)地方の声を経済界などにぶつけていく活動に全力を傾けられない。私には不名誉でもあるが、辞職勧告の理由が県民に不信感を与えているのであれば、不信の大きさがどれほどかを自ら県民に問うしか道はない。」などとコメントしていますが、このような事態を招いたことの一つの原因として「事実解明の努力」をしてこなかったことについては、「忙しさ」や「時間の壁」や「あったことを証明するのは易しいが、ないことを証明するのは難しい」とかで理由付けしてきたことは県民にとっても理解しがたいことであります。
今後の出直し選に臨む姿勢についても「公約は去年から内容的に変わらないので、不信に対する答えとして、今回の出来事を今月末までに自分なりにまとめて説明したい。」ということで行われるとすれば、なおさら事実解明なしの説明だけでは、有権者に「私を信用してください」などということのみが争点になるという極めて異常な選挙になるのではないかと思います。
私は、知事がこれから行うであろう説明は、経過からして疑惑への事実解明とは言い難いものになるだろうと思います。知事が言う高知県にとって大変な時であるからこそ、人心一新の県政リーダーで難局を乗り切るべきだと思います。そして、知事自らが言っているように県政運営や政策を争点としない信任のみを問う出直し選挙のあり方には問題があり、これまでも指摘してきたように多選弊害も含め再出馬すべきではないと考えています。
高野切本購入のための補正予算に関しては、我が県民クラブの田村輝雄議員が「県が財政危機を訴える中での購入には疑問が多く、県民の理解や共感は得られない」として購入予算の減額修正を提案しましたが、採決の結果、県民クラブ4人、自民党7人、21県政会1人の賛成12、反対27の賛成少数で否決され、執行部原案が可決されました。
この後、「地籍調査費負担金の存続を求める請願」を賛成多数で採択。意見書は10件を全会一致または賛成多数で可決し、我が県民クラブなどが提出した「自衛隊のイラクからの撤退と沖縄普天間基地の早期撤去を求める意見書」は賛成少数で否決されてしまいました。
総務委員会
「旅費システム構築委託料」
この事業は、二月定例会で当初予算が減額修正されていたものですが、そのの議論を踏まえ、旅券等の手配については登録制度を設けて、職員が旅行業者を選べる仕組みに見直すとともに、旅費制度についても見直してシステムを構築するものとして再提出されました。
現在、県に参入している旅行業者にとっても、登録要件を満たし、受注可能なシステムとなるようにシステム変更などがなされています。
「生活安全対策費」
警察本部は、交番に警察官が不在の際にもテレビ電話により警察署と連絡ができるシステムを、高知署及び高知南署管内の十六の交番すべてに整備するとして予算化しています。
このシステムは高齢者でも容易に操作できることを前提にしており、ボタン一つとマイクで、画面を見ながら本署の警察官と会話ができるものです。
なお、空き駐在所の問題は、今後の課題として受け止めているが、約半数の駐在所には配偶者がいるので、一定対応はできていると考えているが、今後、駐在所の状況も見て検討がされます。
報告事項
「財政危機への対応指針等」について
今回の指針は、見直しの具体案が固まっていないものも含めて、一定の方向が出たものについて、できるだけ早期に明らかにするよう取りまとめたものであり、今後は、各部局の進捗状況を見ながら、来年度の当初予算の提案前に、議会とも議論していきたいとのことです。
歳出削減だけでなく、歳入増の対策など前向きな部分の検討が十分でないことは認識しており、今後は、産業育成など、歳入増に向けた視点で取り組んでいくとの考え方も示されました。
企画建設委員会
「港湾防災安全対策事業費」
高知港における放置艇の対策として、高知市仁井田の水面貯木場に、浮き桟橋方式による係留施設を整備するための経費が計上されましたが、当初のPFI導入については、想定される係留料では受け入れる民間企業がいなかったとのことです。浮き桟橋には、木材の使用、特に県産材の使用予定は、歩道となる桟橋部分には、木材が使えると考えており、VE提案の中で県産材の使用があれば、検討したいとの考え方が示されました。
報告事項
「高知県入札・契約制度に関する検討委員会について」
新たな入札・契約制度の構築に向けた検討を行っている委員会において、格付け認定基準の見直しについての検討が行われ、平成十七年度から導入する地域点数の審査項目、算定方法などが取りまとめられたとの報告がされました。工事成績評定点数の付け方について、完成検査の段階で、一次、二次、三次による三段階の評定を行い、評定結果は施工業者に知らせるようにしており、その上で、疑問点があれば評定を行った土木事務所に聞くことができるシステムになっているとの考え方が示されました。
「宿毛佐伯フェリーについて」
今年一月末に運航停止となった宿毛市と大分県佐伯市を結ぶフェリー航路について、大分県の運送会社など数社によって設立された新会社によって、本年十二月中の運航再開を目指した取り組みが行われていることの報告がありました。航路再開に向けて、補助金を交付することになっているが、事業計画や資金計画については、十二月中の再開を目指しているので、近いうちに提出がされることになるとの考え方が示されました。
文化厚生委員会
第一号「平成十六年度高知県一般会計補正予算」
第十五号「県有財産(山内家歴史資料)の取得に関する議案」
山内家の所有する歴史資料のうち、山内家から購入要請があった、国宝「高野切本」を購入しようとするものであるとの説明があり、知事が財政危機を宣言し、県民サービスを低下させるような非常に厳しい財政状況の中で、なぜ今、購入しなければいけないのか。この高野切本の購入と、三万六千点の資料の寄贈はセットになっているのかなど多くの疑問が出されました。執行部からは、購入と寄贈については、条件つきで寄贈を受けたものではないが、先代の山内豊秋氏が昨年亡くなられ、相続の問題が起きたこの機に山内家のすべての歴史資料を散逸させることなく、高知に残すためにはどうするかを山内家と協議してきた中での結果であるとの答弁がされました。
さらに、購入の話ばかりで、具体的な活用策がない。保管場所の問題に加え、保管にあたって設備工事や警備費など新たなコストが必要になってくるのではないか。また、国宝は一年間で展示できる日数に制限があると聞いているが、そうしたことについてはどうなっているのかとの質疑があり、執行部からは、高野切本の展示に当たっては、設備やセキュリティーも整っている文学館や美術館を想定しており、保管については、基本的には現在も重要文化財を保管している歴史民俗資料館を想定している。また、十二月議会には、山内会館に展示スペースを設置するための設備工事費等の補正予算を計上することを予定していることからも、こうした費用も含め、今後、国宝を適切に展示・保管していくために必要な経費の試算を行うとともに、具体的な活用策の検討も行い十二月議会には示したい。さらに、国宝の展示に関する制限については、文化財保護法では、所有者が展示することについては、制約はないが、文化庁の内規である取扱要領では、資料の劣化を防ぐため、国宝の展示は年間で二回、延べ日数六十日以内とされており、これも参考にして展示等をしていくとの答弁がありました。
このほか、委員から、高知県の今の財政状況を考えたとき、あるにこしたことはないが、買わないという判断の方が分相応ではないか。また、山内家歴史資料を散逸させないとのことだが、高野切本にしろ、寄託を受ける太刀にしても、これらは、誰が所有するにしてもその所在ははっきりしており、高知県にないからと言って散逸であるというのは認識が誤っているのではないか。さらには、購入資金についても、県民からの寄附を募るなどさまざまな方法が考えられることや、県民の意見を聞いてから判断する必要がある、とのさまざまな意見が交わされた後、我が会派などから、第一号議案に対する修正案が提出されるとともに、第十五議案に対しても継続審査を求める意見が出されました。
修正案の内容は、第一号議案のうち、高知県文化基金繰出金を削除するものであります。
委員から、修正案に対して、十二月まで継続審査にしてその間に何を解明するのか。また、十二月まで継続しても財政状況が厳しいことには変わりはなく、今議会で判断すべきであるとの意見も出されましたが、高野切本の価値は理解するが、活用方策をどうするのか、これらを維持していくためにランニングコストがどれくらい必要になるのか、世論調査をした結果はどうなのか、さらには、十二月になれば来年度の予算の状況も見えてくるであろうから、そういうことも踏まえて判断をする必要がある、との提案理由が説明されました。
以上の質疑、討論を踏まえ、採決を行った結果、修正案は賛成少数で否決されました。
報告事項
「エコサイクルセンターの焼却炉の規模等の見直しについて」
焼却炉は連続運転で日量三十トンの能力のものが適当であり、最終処分場の使用期限も当初の予定の十五年から四年程度延びる予定であるとの報告がありました。委員から、液状廃棄物や混合廃棄物の受け入れ量がふえている要因は何かとの質問があり、液状廃棄物については、追加ヒアリングをした中で、これまで県外で処理していたものを、県内で処理したいとの要望があったものである。混合廃棄物については、日高村民から、一般廃棄物を受け入れて欲しいとの要望があり、その分を追加したものであるとの答弁がされました。
さらに、燃やす量を確保するための計画という側面もあるのではないか。県内のセメント工場でも対応ができるのではないか。県内で焼却が可能なところへアプローチするなど、マスタープランそのものの見直し作業も必要ではないかなどの意見に対して、執行部からは、県内では、小規模なものを除くと、セメント工場を除いて二社しかない。いずれも固定床炉であり、液状廃棄物の処理には向かないことや、建設廃材を対象としたものであり、焼却体制としては脆弱である。セメント工場については有望なものと考えており、これまでも交渉を重ねてきたところであり、セメント工場で受け入れられないものを積み上げた結果である。また、焼却するものをできるだけ少なくするということを原則に据えて見直しをかけてきたが、最終処分場を持つ以上、焼却炉で減容してから埋め立てるということでないと非効率になってしまう側面がある。管理型最終処分場をインフラと考えて、産業界、環境面に貢献していくことを考えたら、できるだけ長く持たせる必要があり、リサイクルをした上で、なお残ったものについては、焼却して、減容した上で埋め立てをするというコンセプトはどうしても外せないとの答弁がなされました。
産業経済委員会
「海洋深層水体験施設等整備事業費」
室戸市が、海洋深層水体験施設や公園の整備に要する経費の一部を室戸市に補助するための予算が措置されました。事業の概要としては、室戸海洋深層水のブランド力や室戸のイメージの向上、県東部地域の活性化を目的とし、室戸の海洋性気候や豊かな自然環境、深層水や海藻といった海の資源を活用し、健康づくりのための室戸市の健康増進施設や株式会社シュウウエムラのタラソテラピー施設などを設置するリラクゼーション機能を持つ自然環境を生かした緑地公園の整備であり、室戸市の施設と民間施設が相互に連携しながら運営していくものとなります。
この事業については、タラソ福岡の破産の例もあるが、グリーンピアのこともあるので、相当シビアな計画を立てることとの要望があり、執行部からは、室戸のものは、海洋性気候とか豊かな自然環境の中につくり、直接、海から海洋深層水を供給するという、本格的なタラソテラピー施設であるので、直接比較はできない。室戸市の施設は、基本計画を作成し、現在設計・運営事業者を公募している。一方、民間施設の方は、事業評価を行って採算がとれると聞いている。実施設計の内容が固まった時など、節目節目に委員会に報告をするとの考え方が示されました。
「新規参入農業生産法人支援モデル事業費」
この事業は、建設業の緊急雇用対策、農業の担い手の確保及び園芸農業の振興等の観点から、新たに創設するもので、施設園芸用レンタルハウスや農業用設備・機械の整備など初期投資に係る経費の一部を補助するものとなっています。今回、支援を考えている農業生産法人は、地域の基幹品目であるニラの栽培を開始する予定であるが、新規参入農業生産法人支援モデル事業費で支援する法人について、地域の農家や農協と将来にわたって協力しあい、地域の農業の振興につながるよう十分な指導の必要も求められます。
「近海かつお一本釣漁業振興対策事業費」
先の議会で、九月議会での減額補正とあわせて、新たな支援策の予算を提案したいと考えていたが、その後、検討した結果、来年二月の漁期当初から新船を投入するためには建造期間が不足することや、漁期途中からの乗り換えはリスクが大きすぎることから、十八年二月の漁期当初での新船投入を目指して、来年度の当初予算で新たな支援策について提案させていただきたいとの結論になった。また、新たな支援策については、制度資金の拡充を基本に検討中だが、二度と今回のようなことがないように、関係団体とも十分意思疎通を図るなど、当初予算に向けて慎重に検討していきたいとの説明があり、委員からは、財政危機の折、よっぽど慎重に対応していかないと、県の予算をつぎ込むことはできない。県民にきちんと説明し、理解が得られるように提案をしてほしいとの要請がされました。
100条委員会(8月18日) |
今日から、報告の取りまとめ作業に入ることとなりました。8月末までに、委員としての補強意見を述べた上で、9月から3回に亘って審議することとしています。昨年10月の100条委員会での調査開始以来、23回にわたる委員会、そして知事をはじめ延べ36人に及ぶ証人尋問を終えたわけですが、選挙資金として町田後援会長からの1億円を借り入れ、返済のため建設業者から裏金を調達し、見返りとして県発注の坂本ダム建設工事を談合で受注させたという構図の中で証拠によって事実確認された部分と傍証のみにとどまっている部分など濃淡があります。
そのような中でも、私は、ポイントとなるのは次の三点ではないかと思っています。
第一は坂本ダム工事をめぐる談合の認定についてであります。
これについては、物証も少なく、証人尋問でも関係業者が全面否定しているという状況にあります。私としては、これは当初から予定されたことであり、建設業者の内部告発でもない限り確証はえられないものと思っています。しかし、過去の裁判例でも「談合の直接的な証拠がなくとも間接的な事実を総合することによって、談合の事実を照明する方法を認めている」ことから、同様の手法による作業を積み上げることで、談合の事実を推定することは可能ではないかと思っています。
第二は、町田後援会長と貸借関係にあった1億円の問題についてであります。
知事は町田後援会長から借りた1億円が選挙のために使われたかどうかについて、口を濁していますが、橋本大二郎氏の政治団体、及び選挙収支報告の内容からも選挙目的のために使ったことは明らかだと思います。@収支報告上に表れている支出だけでも合計で約9400万円ですが、実際の支出は1億円をはるかに上回るものであったことは、様々の証言や当時の記録から、容易に推測できます。A収支報告上の収入部分に、虚偽の記載が多く(このことは、過去の証言で明らかになっている)、表に出せない収入が多々あったことが推定されます。Bと虚偽の証言をした町田後援会長は、「二期目には500万円を貸し、三期目には1000万円貸している。さらに四期目には550万円の貸与と、150万円の寄附」(「県公報・収支報告」より)をしており、一期目のみ「小銭以外寄附していない」ということはありえません。
第三は、上記の二点に知事が関知・関与していたことについてであります。
知事は、一連の資金捻出や処理方法について「笠氏から相談も報告も受けていない」と関与を全面否定をし、「支援の輪の中で応援してくれるものと受け止めていた」と、証言しています。しかし、少なくとも町田後援会長の1億円については、笠氏の一存で貸借できるものではなく、町田証人の偽証告発捜査とともに知事の関与が解明できるものと考えます。
次に、平成四年当時、笠氏と業者の関係に強い懸念を持っていたことを明らかにしました。状況によっては「職を辞すべきだとも考えた」との証言にあるように資金調達の経緯の疑問などについて承知していた部分が皆無とは言えず、知事の関知・関与は全面的に否定しうるものではありません。
以上、委員の一人としての私なりの見解です。
県民が納得できる結論を導き出すのは相当の困難を伴うかもしれませんが、これまでの一年間の調査を無にしないためにも、真摯な議論で報告をまとめあげたいと思います。
7月定例会(7月13日〜7月26日) |
県議会7月定例会は、7月13日に開会し、執行部案を一部修正した県こども条例案をはじめ、執行部提出議案では16年度一般会計補正予算など15議案を全会一致で、市町村合併に関する条例など17議案を賛成多数で可決し、また、議員提出の「あったか高知観光条例議案」と「障害のあるすべての子供たちの豊かな発達を保障する教育条件整備を求める請願」は全会一致で可決または採択して 26日に閉会しました。
議員提出の意見書のうち5本は全会一致で採決したものの、「年金『改革』法の実施を中止し、年金制度の充実を求める意見書」は残念ながら賛成少数で否決されました。
特に、今定例会は三位一体改革のもとでの財政運営の厳しさが強調されているにも関わらず、知事には自治体切り捨てを許さず、地域の声を必死になって政府に届ける姿勢が見えません。その一方で、財政再建団体にならないために、「できればあった方が良い」といったレベルのものは、原則として断念するか、凍結をした上で、県が行う仕事は、「県民生活の根幹を支えるもの」「県の発展のために不可欠なもの」に限定するくらいの覚悟が必要だと県民サービスの切り捨てやサービスの担い手である職員給与の引き下げなどに大きくシフトしようとしています。このような判断をする前に、知事は自ら実施してきた政策の中に過ちはなかったのか、今からでも中断すべき施策はなかったのかなどを県民に明らかにすべきだという声も多くあります。
いずれにしても、これからは、県民や職員に負担を強いる以上は、知事の必死の姿勢を県民に示すことが求められると思います。
2月定例会以降、継続審査となっていたこども条例は、一部修正の上成立しました。
審査における議論の過程では、「子どもの権利」を巡って様々な議論がされましたが、本質的には
審議直前に県議会に提出された「こども条例議案の制定反対について」とする陳情書に記されているような「戦後教育荒廃の原因である教育基本法の見直しを多くの親たちは願っている」というところにあると思います。
また、複数の会派が、審査の中で問題視していた7条「こどもは(中略)ありのままの自分でいられるように、ゆっくり休んだり、遊んだりすることができる」を削除。8条の「有害な環境から逃れる権利がある」を「有害な環境に直面している場合は、その環境から守られることができる」に、また20条の「こどもの意見が大人と同等に尊重される」を「こどもの意見が適切に尊重される」にそれぞれ修正した修正案についても、心から賛同できるものではありませんでしたが、修正案を否決すれば原案そのものも否決されることになりかねず、修正案に賛同し、条例制定を目指しました。結果的には修正案が委員会、本会議でも賛成多数によって成立しました。
いずれにしても、今後は、大人が本気でこどもたちと向き合い、学校、家庭、地域でこどもたちの育ちを支えながら、条例が社会に根付くような取り組みを進めていきたいと思います。
100条委員会(7月1日) |
第19回百条委員会では1日、橋本大二郎後援会長の町田照代氏が経営する会社「笛」の元事務職員ら2人の証人尋問と熊谷組の元四国支店長、元高知営業所長、橋本事務所の元事務員らに再尋問を行いました。
当時の町田会長の運営する病院の経理担当者は、「「笛」を通じて貸付を行ったのは、病院の口座を使うといろいろと規制があるからではなかったか。しかし、「笛」の調べをしなかった点は反省している。」との証言をし、意図的に笛の口座を使ったことを伺わせています。
そして、当時「笛」の経理を担当していた事務員は、「笠氏への1億円貸与の手続きを町田氏の指示で行ったものであり、使途は聞いていなかった。」と明言しました。また、「退職後も、町田院長との電話連絡はしているが、一億円の貸付に関しては疑惑が出た時に一度話しただけで、思い出せないと言うことでそれ以上の話はしていなかった」ということですが、証言する際の所作を見ていて、私はその証言が必ずしも真実ではないような感じを受けました。
当時の熊谷組元四国支店長は5年4月から14年3月まで熊谷組四国支店の営業部長(高知駐在)に県のOB(元土木事務所長)を採用したのは、「営業強化の目的で、各県のOBを採用したいという思いがある中で、当時の高知営業所長の推薦を受けたので決めた。県から(再就職の)要請があったわけではない。市町村に顔が利くだろうということが目的で、OB1人を取ったからダムが取れるような甘いものではない。坂本ダム工事の受注や建設との関わりはない。」と証言し、ゼネコンの意図は見えたものの、坂本ダムとの関連に結び付けるには至っていません。
元熊谷組四国支店高知営業所長は、県職員OB(元土木事務所長)を高知駐在の営業部長として採用したのは、「数年前から、県の土木部にOB紹介のお願いしていたが、適当な人がなく、旧知の間柄の元土木事務所長の退職情報をえて、アプローチし入社してもらった。笠氏に頼んだものではない。」と証言したものの、にわかには信じがたいものがあります。また、「熊谷組高知営業所の銀行口座に4年4月28日、熊谷組から800万円が振替入金され、同30日に振替出金されているという、営業所では通常考えられない金額の動きについては、即答ができない。」と否定はされませんでした。
元橋本事務所事務員は、前回の尋問(3月23日)以降、思い出したこととして、4年2月27日に「笛」に4000万円を振り込んだ時は、(橋本陣営の経理担当者)小島盛治氏と一緒で、翌28日には、小島氏から現金1000万円を預かって一人で振り込みに行った。また選挙後、残務処理をしていた旅館代や後援会の支払いで、四国銀行帯屋町支店に預金を引き出しに行ったこと。そして、笠氏関係や証人名義など、百条委が入手した伝票は証人が作成したものだが、一部数字は自分の筆跡ではないものもある。笠氏の言う「知事選中、旅館に預けている金を証人に取りに行ってもらった」と言うのも事実であった。また、笠氏の会話に「熊谷組」の名前が出ていたのは、耳にしたことはあると思う。と、これまでの笠証言を裏付ける証言もされました。
今後は8月5日には橋本知事を証人として招致、尋問し、笠誠一氏をはじめ残る証人や日程を今月13日の委員会で正式決定することとしており、7月定例会を挟んで100条委員会は、ヤマ場へと向かっていきます。
6月14日付けの高知新聞では、約7割の人が知事の説明責任や結果責任を求めていることが明らかになっていますので、引き続き事実解明に全力を挙げていきたいと思います。