県政報告のページ2006年1月〜12月


06年12月定例会報告(12月6日〜12月19日)

ますます議会のチェック機能が重要に
 12月6日から19日までの会期で開かれた定例会では、人件費が14億余円減額され、総額で4億近く減額された補正予算7件、「認定こども園」条例や部局再編に関する設置条例の改正など条例議案18件、その他議案5件がそれぞれ全会一致及び賛成多数で可決されました。
 今定例会では、よこはま水産闇保証疑惑についての県漁業信用基金協会への出資金支出が裁量権を逸脱、濫用した違法不当な公金の支出であるとの住民監査請求監査報告を受けての議論がなされました。結果として、今後は百条委員会による調査が継続されることとなりました。また、観光コンベンションの経理の杜撰さと今年5月に中国・青島市への出張の際、同協会が私費で同伴した知事夫人の旅費の一部約4万4000円余りを知事分の旅費として計上、公費支出していたことが判明するなど疑惑関連の課題も議論がされました。

県警捜査費の不透明な幕引きは認められない
 03年に県警捜査費の不正疑惑が浮上して以来、調査や議論を重ねてきた県警の捜査費の内部調査結果が9月定例会に続いて、平成12―16年度の国費分を含めた県内全部署の捜査費執行について報告され、その内容は、捜査員の会計処理上の手続きミスなど、相変わらず県監査委員が指摘した組織的不正疑惑をあらためて否定するものとなっていました。また、議会中には、知事や県議会の判断を待たずに113人の処分を行い、事実解明がなされないままの幕引きを強行した県警の姿勢は残念でなりません。私たち県民クラブでは、不透明な幕引きはさせないために「県警捜査費の組織的不正執行疑惑の解明を求める決議案」を提出しましたが、議会決議までには至りませんでした。一方、自民党など四会派で共同提出した「捜査報償費の適正な執行と明確な説明を求める決議案」は賛成多数で可決されましたが、「捜査員の告白などを基に組織的不正を指摘した県監査委員の特別監査結果報告と現場の捜査費執行ミスだけを列挙した県警の内部調査結果報告のどちらに信憑性があるのか、県民の疑念はいまだに晴れていない。」としながらも、県警の反省を促すとともに「説明責任」を求めるものに止まるものでした。

県政の重要課題をチェック
 他にも坂本議員の所属する企画建設委員会では駅前複合施設構想や県立大学改革、市町村合併推進審議会答申などの議論、総務委員会では、部局再編や総務事務センターの計画変更に伴うアウトソーシング問題など、文化厚生委員会では高知市を対象から外した障害者自立支援事業費の補正予算化への疑問などなどさまざまな議論がなされました。また、「難病の公費負担医療制度の慎重な検討を求める意見書」など6件の意見書については決議しましたが、県民クラブが提出した「不公平な税制を是正するための意見書」については賛成少数で否決されました。

駅前複合施設構想はバックギアに入れること
県民世論調査で支持する声は14.5%

   駅前複合施設構想が浮上してから、一年以上を過ぎる中、批判的な意見が多い中で、不十分な内容によるパンフレットで世論調査が実施されました。しかし、回収率は50%にも満たない状況で、定例会中の委員会で中間報告が示され、別掲の通り県有地の活用方法として県の構想を支持する声は多くを占めるものではありませんでした。県の考え方を示した上で構想の是非について聞いたところ、支持は46.5%となりましたが、回答者全体に占める三施設複合構想の支持者は14.5%にとどまるものでした。これらも、後に示された建設費用の試算(別掲)などが示されていれば、数字はもっと低くなったのではないかという見方が圧倒的でした。
 また、できるだけ広い意見を聞きたいということで開催されたブロックごとの県民説明会でも参加者は極めて                                少なく、しかも出される意見は反対意見ばかりという状況です。関係団体に意見を聞く場合も、最初から反対意見を抑制し、「作るとしたらどのような活用がされるのか」といったような一面的な意見交換のありかたに不満の声も出されていました。
 JR高知駅前複合施設構想案は判断材料として不十分
 11月も押し詰まって示された「JR高知駅前複合施設構想案」は「決まったものではなく、次の段階に進むための判断材料」として位置づけられて示されましたが、次に進むための判断材料たり得るのかというと極めて疑問点の多いものでした。「事業化に向けた考え方」の項で別掲のような費用試算が示されたものの、類似施設の平均単価から試算されたもので、地盤などを考慮した固有の要素などは考慮されていなかったり、資金調達方法としての具体が示されなかったり、三施設の位置の組み合わせには無理が散見されたりと委員会でも疑問視されるものでした。
企画建設委員会では「勝負あった」の声
 企画建設委員会では、示されていた「JR高知駅前複合施設構想案」に加えて、県民世論調査の中間報告を踏まえて議論がされました。中間報告の結果やさまざまな議論を踏まえると、構想を進めるには厳しい数字ばかりで、これ以上この構想案で議論するより他の活用方法を検討した方が生産的であるとの意見が多く出され、「これは勝負あった。この構想は完全にバックギアがかかったという気がする。新たな視点で再検討していく時期ではないか」との意見集約がなされましたが、執行部は最終判断を2月定例会まで先送りし、なお検討することとなりました。
 いずれにしても、190〜220億円かけて複合施設を駅前に作る一方で、市内中心部で県民に親しまれ、十分に活用されている県民文化ホールはなくなり、文化・教育の拠点としての図書館や県立大学がなくなるということを今一度十分に検討してみる必要があります。



 障害者自立支援事業への補助に市町村差別が
 高知市が障害者自立支援法施行に伴う利用者一割負担の市独自軽減策を実施することによって、県内の市町村間に格差が生じるので、それを解消するために、県として軽減策を講じるために補正予算が計上されました。これは、9月定例会における「障害者自立支援制度に関する負担軽減策を求める決議」の成果でもありますが、特段の合理的な理由がないまま、先行した高知市を対象から外していたことについては了解しがたく、高知市も対象とするための予算修正を求めましたが、少数否決されました。高知市議会では、このことに対して全会一致の決議を決定しているだけに来年度予算の中では対象とさせる措置を求めていかなければなりません。

組織機構は県民に分かりやすく、職員には仕事をしやすく
県は「職員数の削減」「団塊の世代職員の大量退職」「業務のアウトソーシング」「財政状況の悪化」などの背景がある中、現在の部局編成にも問題があるとして来年4月に大幅な部局再編をすることと
なりました。
県は「職員数の削減」「団塊の世代職員の大量退職」「業務のアウトソーシング」「財政状況の悪化」などの背景がある中、現在の部局編成にも問題があるとして来年4月に大幅な部局再編をすることとなりました。 そのための基本的な考え方として、@県民から見て分かりやすい組織機構とA組織や人員をスリム化し、効率的な体制を構築するB権限・責任の明確化、意思決定の迅速化、新たな行政課題への迅速な対応を維持するC職員にとっても仕事のしやすい組織機構とする。などを掲げて検討の上、提案されました。
しかし、前回(平成15年)の大幅改正の際の評判の悪さは充分に総括されていないことや知事任期中最後の年に何故あえて今再編なのかなどをはじめとして、当初提案内容では全体の合意が得られず、一旦取り下げ、最終日に修正提案することなどによって可決されました。
 結果的には、当初案の森林局と海洋局を統合し森林海洋部とするのではなく、本県一次産業の林業・水産業のそれぞれ抱えた課題を対外的にも重点的に捉えていく姿勢を示すためにも現行の体制を維持した形で、森林部、海洋部とすることとしました。
また、併せて県の役割は、広く県民の生命や財産を守り、県民の福祉を推進するものであり、いたずらに組織のスリム化や効率性のみを追求すべきでなく、今回の組織改編が県民にとって分かりやすく、かつ有効に機能するよう求めた「組織改編が有効に機能することを求める決議」を行いました。

06年9月定例会報告(9月20日〜10月6日)

女子大改革、警察捜査費内部調査で紛糾の九月定例会
 9月20日に開会した県議会9月定例会は、10月6日県立大学改革に関連する高知女子大キャンパス統合の設計委託料などを含む一般会計補正予算案を可決し、「高知県税条例の一部を改正する条例議案」など執行部提出11議案、意見書及び決議計7件を全会一致または賛成多数で可決、同意し閉会しました。
 今定例会で、議論が集中した県立大学改革では企画建設委員会報告で「補正予算議案に関連して執行部から報告のあった『高知県立大学改革基本計画』については、男女共学化と法務総合学部をはじめとする県と大学との間の相違点について、両者の真摯な話し合いの結果を待った上で、別途、判断すること」とまとめ、補正予算は認めるが、基本計画の承認は先送りとしました。私たち県民クラブでは、両者の真摯な話し合いをより協力に促すために、その間は補正予算の当面の執行見合わせを求める附帯決議案を提出しましたが、賛成少数で否決されました。
 また、県警捜査費問題では県警の内部調査は特別監査結果と大きく懸け離れており、特別監査を求めてきた議会として、特別監査にもとづく返還を求めるべきだとする決議を提出しましたが、これも賛成少数で否決されました。
 この間、産経委員会で集中的に議論がされてきた「よこはま水産」に関連して、「疑念が払拭されない」限り、県漁業信用基金協会に対する本年度の出資金900万円の執行凍結を求める決議は賛成多数で可決されました。
 なお、6月定例会でも施行後の障害者自立支援法による障がい者の負担割合の増大を懸念する声が随分出されてきましたが、今定例会では「障害者自立支援制度に関する負担軽減策を求める決議」を全会一致で可決したことは、今後の取り組みの前進につながることになると思います。
 私は本会議で代表質問を行うとともに、企画建設委員会副委員長として県立大学改革の審査に積極的に参加しました。詳細は以下の通りです。

代表質問で、地震対策や子育て支援、公契約条例など提言
  私は、大きくは知事の県政運営姿勢やアウトソーシングと自治体公契約条例の制定、子育て支援、地震対策、警察捜査費などについて質問や提言をしました。ここでは、特徴的なもののみ報告させていただきます。
南海地震対策 家具転倒防止の支援策の検討も
●災害救助犬の県内育成及び災害時における県と社団法人ジャパンケネルクラブとの災害時救援協定の締結について聞く。
(危機管理担当理事)災害救助犬は、南海地震においても有効であることから、その育成については、関係者とも十分意見交換をする。また、災害時救援協定の締結については、現在協定締結に向けて、検討を行っている。
●家具転倒防止について、担い手の養成や高齢者独居世帯や障害者世帯など自分では取り付け困難な世帯などに対しての取り付け支援制度創設について聞く。
(危機管理担当理事)平成17年3月の県民意識調査では、家具の固定をしたものの割合は20%と遅れている。今後は、市町村との協議の場を活用して、多くの先進取り組み事例を共有し、担い手の育成や高齢者世帯などへの支援を広げていくことにより、家具転倒防止対策を進めていく。
●自主防災組織の活動における、今後の災害時要援護者の把握についての方向性を示せ。 
(健康福祉部長)今年度、自主防災組織や町内会における要援護者への支援ネットワークづくりの手引きを作成する。その中で、市町村が主体となって、住所、氏名といった基本情報に限定した台帳を作成した後、地域で本人の同意をもとに詳細な情報を収集することにより、個別に詳細な支援計画を定める「高知県方式」を含む複数の手法を示したい。
●自主防災組織の組織化と活動の促進に向けて、自主防災組織の先進事例集を作成し、活用方法を検討してはどうか。
(危機管理担当理事)市町村課題検討会などで、様々な事例の検討を進め、先進事例集を作成し、自主防災組織の設立や、活動の活性化に活用したい。
消防広域化は現場の対応力の強化を
●広域化議論は、広域化によって体制縮小を図るものではなく、より一層現場住民に近いところの対応力を強化するために議論していくこと。
(危機管理担当理事)消防力を低下させることなく、増加する緊急消防への対応など、県民のニーズにこたえるためには、広域化による体制の整備充実が必要だと考える。来年度立ち上げ予定の消防広域化検討会(仮称)には消防団などの参加も願い、議論をしたい。

アウトソーシング 契約書の労働関係法令遵守を明記しているのはたった4%

●アウトソーシングに関する契約書等で、労働関係法令の遵守を明記したものがどれだけあるか。仕様書や労働関係法令が守られていない実態が、見受けられるが把握しているか。
(総務部長)本年度、既に発注したアウトソーシング推進関連事業は69件で、労働関係法令に関する受託者の責任を明記しているものは3件。業務の履行当初には想定外の事由により、十分な体制が整わず、問題となる事例も見受けられた。

公契約条例の制定で委託労働者の労働基準の確保を
 
●談合防止の意味合いからだけでなく、高知県の全ての入札制度においても、様々な要素を盛り込んだ総合評価・政策入札制度の導入はできないか。
(知事)総合評価落札方式は、価格以外に性能と機能や技術力を加えた総合的な判断で、落札業者を決定できる点で、評価できるシステムだと思う。一方、評価項目は何がよいのか、客観的に判断する評価基準など、難しい課題があるが、検討する価値があると考える。
●社会的価値を実現するための「政策入札」に転換していくため、自治体がどのような社会的価値を追求するのかを基本条例で宣言する、いわゆる「公契約条例」の制定は考えないか。
(知事)公契約条例を制定することの意義は、質問を聞いて同感できる点もあるが、直ちに条例で企業等に取り組みを求めるのではなく、公共工事で施行している総合評価落札方式を充実した上で、それを他の入札にも拡充していく方向で検討したい。
●公契約条例によって、一定の労働条件基準を義務付け、委託費を予算化するなどして公正労働基準を確立しないか。
(知事)労働条件の確保は、労働基準法や最低賃金法等の法律によって、最低の基準が確保されており、使用者との間の契約で労働条件が決定されるもので、県が条例で義務づけるという手法はなじまない。

子どもの育ちへの支援を
 児童虐待防止策の強化を

●本県における児童相談所の受付件数の伸びに比べ、対応件数の増加率が全国最高の1.8倍となっていることの原因などの認識を聞く。
(健康福祉部長)虐待の相談や通報があった場合に、判断が微妙な時には、虐待として積極的に対応し、子供と親の見守りを行い、事故の防止につなげるという取り組みを進めていることによるのものではないか。昨年4月から児童相談の窓口が市町村に拡充されたが、本県ではすべて、児童相談所で初期対応するなど、積極的に対応している。
●厚生労働省が来年度導入する方針の「こんにちは赤ちゃん事業」についての取り組みと県の役割について聞く。
(健康福祉部長)国が導入しようしている生後4カ月までの乳児がいる全ての家庭を訪問する「こんにちは赤ちゃん事業」は、子育て不安を解消できることや、児童虐待の予防につながる意義のある取り組みであると考えている。県としては、この事業を活用し、全ての乳児の訪問活動が実施できるよう、市町村に積極的に働きかけ、福祉保健所や児童相談所などの専門機関と市町村が相互に連携して、子育て支援ができるよう取り組んでいく。

発達障害への支援策強化を

●発達障害のある児童、生徒らへの支援を拡充するために、小中学校などから要望があれば医師等専門家を派遣したり、卒業後の就労対策などを拡充することが必要だが、本県での対応はどうなっているのか聞く。
(健康福祉部長)県では、発達障害者支援センターを設置し、保護者からの相談はもとより、学校への支援や就労の支援などに取り組んでいる。センターでは、学校から相談があった場合、専門的な助言を行い、学校での研修会にも職員が積極的に出向いている。また、センターでの、診療や相談などの多くは就学前児童に関するもので、早い段階での支援を中心に充実した対応ができている。今後とも発達障害のある人と、その家族への支援をさらに充実したい。
●本県の目指す特別支援教育の在り方と、現場でまだ十分に浸透しきれていない問題点はどのようなものがあると考えるか。
(教育長)すべての障害のある子供の支援は、教職員の理解や指導力の向上、保護者、関係機関と連携した適切な対応など、学校全体の課題として取り組む必要がある。中でも小中学校の通常学級に多く在籍するLD、ADHD等の発達障害のある児童、生徒の支援については、周囲の環境によって状態が変化することも多いため、全ての教職員が参加する校内の支援体制を作り、一人一人の実態に応じた適切な指導や支援をしていくことが大切。現状、各学校での取り組みに差異があるが、特別支援教育として、全ての教職員が携わることになるため、管理職や教職員に対する理解啓発を一層進めたい。医療、保健、福祉等の関係機関が連携する特別支援連携協議会の設置などのネットワークづくりや、LD、ADHD等の児童、生徒に対する指導内容、指導方法に関する指導や助言を行う巡回相談も実施しており、専門的な対応のできる総合的な支援体制づくりを実りあるものにしていく。

大学改革、駅前構想などをはじめとした県政運営手法について
 この間、2月定例会以来議論が錯綜した「室戸海洋深層水施設タラソテラピーへの補助金予算」をはじめとして、様々な県政課題における県議会での議論と知事の県政運営の姿勢の差が、大きくなりつつあるのではないかと考えられます。
 その背景にあるものとしては、様々考えられますが、今定例会を通じて議論されたいくつかの課題から考えてみたいと思います

県立大学改革関連で基本計画承認できず
 県が九月定例会開会直前に発表した「高知県立大学改革基本計画」には、平成二十一年四月を目途とした既存学部の再編、キャンパスの整備、男女共学化、法務総合学部の新設などの考え方が盛り込まれていました。また、この基本計画に基づいて、現在の看護学部棟の改修工事を行う経費や池キャンパスでの新棟建設に係る設計委託経費と、平成十九年度までの債務負担行為の補正予算案が計上されていました。
 本来、基本計画が設置者たる県と運営者の大学によって合意され、ともに改革を進める姿勢が確認された上で、議会の承認も得て、その計画の具体化として関連予算が提出されるべきものであると考えられます。
 ところが、いくら話し合っても、男女共学化や法務総合学部など学部再編をはじめとした相違点の一致が見られないとのことで、見切り発車的な提出をしたところに大きな問題があったと思われます。法務総合学部以外の四学部の再編は、平成二十一年四月を予定しているので、何とか関連予算を認めて欲しいという姿勢は、あまり説得力を持つものではありませんでした。
 今後数年、年間百億円を超す財源不足が続く中で、法務総合学部も含めると学部再編、キャンパス整備統合で約65億円が必要とされる中、財源の調達も大変だし、それだけの事業を実施するには基本計画そのものが県民に理解されるものでなければならないと考えています。企画建設委員会では「補正予算議案に関連して執行部から報告のあった『高知県立大学改革基本計画』については、男女共学化と法務総合学部を初めとする県と大学との間の相違点について、両者の真摯な話し合いの結果を待った上で、別途、判断する」こととしました。
 私たち県民クラブでは、その真摯な話し合いを担保するために、基本計画が承認されるまでの間、予算執行を見合わせるべきという附帯決議案を提出しました。しかし、少数否決という残念な結果となりました。予算が可決したことで、知事は閉会後に「大きな一歩を踏み出せたと思う」とコメントしているだけに、一気に走り出しそうな心配が生じています。

否定的な意見ばかりで「高知駅前複合施設」の青写真ができるのか
 そして、これに関連して昨年の秋以降県民の心配をよそに、バックギアもありうるといいながら、進み続けてきた駅前複合施設構想に関して、それぞれの施設の規模や機能のあり方の検討を行うなど、熟度を高める取り組みを進めてきたとして、今定例会委員会に報告がなされました。
 これまで、大学キャンパスが駅前複合施設では、学究の静穏な環境や校舎キャンパスの広さなど確保できないのではないかということから否定的な意見が多くありましたが、今回の議論の中で、県立図書館、県民文化ホールにしても否定的な意見が各委員会で出されていたようです。
 今後、青写真を示した上で、十月下旬に予定をしている県民世論調査や地区別の説明会などを通じて、県民の意見を聞き、十二月議会で今後の方向性を判断していくこととなっていますが、県民・市民を巻き込んだ真剣な議論が必要だと思います。

「旧佐賀町大型水産加工共同作業施設」の県の責任は
 経営破たんした水産加工会社「よこはま水産」への県の闇保証的な金融支援疑惑を調査してきた産業経済委員会では、開会日に審査結果を報告しました。内容としては、少数意見を踏まえ「両論併記」となりましたが、「経営危機にひんした同社を県が裏支えした構図を否定する執行部の考えを正当化できない」とする見解も多く、平成11年に県信用漁業協同組合連合会が同社に5000万円を緊急融資した背景には、融資に保証を付けた県漁業信用基金協会に県が見返りで出資する計画の「組織決定」があったとする見方で、「出資は基金協会の体力強化」とする執行部の説明も「後から考えられた表向きの理由」とみなしたものとなりました。
 さらに、公務として要請し、公文書である念書を提出していながら、そのこと自体が適切でないからとして、県が責任を負わないという行政責任のあり方は、不信感を抱かせるものです。このことについても、多くの批判的意見が出されました。

華フェスタ基本計画策定業務委託に係る業者選定に問題有り
 土佐二十四万石博覧会に引き続く、観光県高知の大きな取り組みとなる「華フェスタ」について、フェスタのイメージが充分に県民・市町村の理解が得られないままに、進んでいることも問題なのですが、ここに来て、基本計画策定の委託にあたっての業者選定において、トラブルを生じていることで産業経済委員会で、その選定のあり方について議論がされました。
 結局、全国に招請公告を行い、プロポーザル方式により実施したものであるが、審査委員会で最高得点を獲得した県外企業との契約直前に、一転して二位の県内企業と契約していました。その過程において、知事、副知事に正確な情報が伝えられないまま、判断が覆されたことに問題があり、組織の意思決定のあり方として批判されても仕方のないようなことになっていました。

職員の勤労意欲も大切にした県庁組織を

 来年4月に県庁組織の改編をするということで、議論がされていますが、県民の皆さんが利用しやすい県庁組織とすることとあわせて、県庁に働く職員の皆さんが意欲を持って、県民のみなさんのためにサービスを提供できるような体制を築くことも求められていると思います。
 橋本知事在任期間の15年間で教育委員会、警察などを除いて約2割の職員が削減される中で、仕事の密度は高まり、メンタル疾患による病休者や定年前退職者の増加が顕著になっています。また、職員の専門性や意欲が生かされる人事配置となっていないことや引き下げられるばかりの給与など士気を高める手だてのない中では、県民に目を向けた仕事ができないのではないかと心配します。もっと、職員の処遇にも目を向けた県庁運営が求められているのではないかと思います。

このままでは心配な県政運営

 今定例会委員会で、坂本議員も取り上げたり、特に議論が集中した課題について報告しました。しかし、これらの課題については、もっと取り組みの進め方を改め、組織的に判断すれば一定の方向性が見えるものもあるのではないでしょうか。
あるアンケート調査では、有権者は自治体の財政破綻の責任者として首長と議会をほぼ同等に見ているという結果があります。それだけに、議会の意見にも耳を傾けてもらわなければなりません。事が動き始める前に、情報を提供することを、「根回しをする時代ではない」というような姿勢で否定し、議会と対峙することで、議論の方向性が見いだせるものとは思われません。自らの手に余ると、大学改革基本計画のように議会に判断の丸投げをしたり、県庁内の組織決定のあり方に不手際があっても責任をとらずに、情報が正確に上に伝わらず、勤労意欲を後退させるようなことを職員に強いても、改めもしないような組織で円滑な運営ができるとは決して思えません。
 このような、県政運営が積み重ねられていくとしたら、県政発展に対する不安を抱えることになるのではないかと心配の声もあがっています。

内部調査で警察捜査費疑惑は晴れず
 定例会開会日に、警察本部はこれまで監査委員から捜査費執行の一部を「違法・不当」などとする指摘を受け、内部調査を続けていた調査結果を報告しました。内部調査結果では、組織的な不正をあらためて否定した上で、平成12―16年度に県警本部と高知署で執行した県費捜査費のうち約347万円(「問題執行」が861件、計約293万円、「自主的返還分」約54万円)を、個々の捜査員の手続き上の誤りがあったなどとして県に返還することとしました。
 いずれも、「(多くの捜査員に)公金を扱っているとの認識がおろそかになっている」「指導・教養の配慮が欠けた」と一線の現場捜査員に責任を押しつけるだけでなく、監査委員の特別監査報告をも真っ向から否定し、知事が言うような自浄作用を果たしたものとは言えず、県民に対して一層の不信感を募らせるものとなりました。
 監査委員としても、「支出先の捜査協力者などへの直接的な確認を行うことができず、また多くの支払証拠書類がマスキング(黒塗り)されている中での、再監査をする意思がないこと」と「両方を比べた上で、県民に判断してもらうしかない」と明らかにしている以上、現時点における議会としての態度を明らかにする必要があると考えました。
議会と知事は特別監査報告を支持すべき
 そのため、本会議中の質問戦でも、知事が、警察本部の返還を受け取る意思が示される中で、県民クラブとしては、「現状で、疑惑の解明がされず県民の不信が払拭されない限り、これまで、厳しい監査環境のもとでの監査委員の努力を評価してきた県議会としては、監査報告にもとづく捜査費の返還を警察本部に求めるものである。また、知事も、疑惑だらけの警察本部の申し出金額を受け取ることなく、特別監査を求めた立場からも監査報告にもとづく返還を求めるべきである。」との主張をする中で、「県警捜査費の特別監査にもとづく返還を求める決議」を提出しましたが、少数否決されました。
ブラックボックスを開けるのは司法判断のみか
 今回の内部調査を通じて、「捜査員との信頼関係に基づき、情報提供などをしてもらっている。警察であっても協力者に当たれば、誰かに知られるんじゃないかという不安や懸念を与えることになる」として、協力者への調査をしなかったことなどが明らかになるにつれ、捜査協力者というのは、その存在すら明らかにされることのないブラックボックスであることが、改めて判明しました。
 このことは、どのような不正が行われようが、警察の手による事実解明のしようのないものであることが明らかになったわけです。
 一方で、今定例会中には、高松高裁が文書開示訴訟控訴審判決で、県警捜査費の一部支出を「違法・不当」と認定した監査委員の特別監査結果をもとに「広く県警本部で組織的不正経理に対する疑惑が存在していた」と指摘し、一審・高知地裁判決を変更し、捜査一課に加え、同二課、暴力団対策課の文書も一部開示を命じ、「非開示により保護される利益に明らかに優越する公益上の理由がある」と結論付けました。
 このことから言えるのは、不正を不正として認めることもできない警察組織は判決によって風穴をあけながら、正す以外方法はないのかもしれません。

はりまや町一宮線のはりまや工区の工事について
 これまでも、問題提起をしてきた都市計画道路はりまや町一宮線と新堀川を中心とした自然環境や歴史的資産との共存をどう図るのかについても、定例会の質問で取り上げました。県としては、工期は変えないものの、追手筋弥生町線までの工区における階段護岸の保存方法の検討や追手筋弥生町線から国道32号までの区間については水辺や掘り割りという歴史的な資産を生かしたまちづくりの視点から、広く県民や高知市の意向も踏まえて、今後の方向性を検討する考えが示されました。これから、改めて広く県民・市民の皆さんのご意見を聞きながら、より良い方向性を求めていかなければなりません。

6月定例会報告会(6月20日〜7月6日)

タラソ補助金補助率をさらに削減 修正案など可決

 県議会6月定例会は、室戸市のタラソテラピー施設への補助率を執行部再提案の25%から20%に引き下げ、補助額を1億5100万円とする18年度一般会計補正予算案の修正案とそれを除く原案、補助金の執行の在り方などについての付帯決議案を賛成多数で可決するなどして閉会しました。条例等については、消費者の権利を守り、消費者からの相談や苦情への対応の強化などを図る「高知県消費者保護条例の一部を改正する条例議案」等は可決したものの、高知城の管理を指定管理者に委託できるようにする県立都市公園条例改正案は継続審査としました。
 私たち県民クラブでは、次の点から補助率を20%に引き下げる補正予算に対する修正案及び付帯決議案に賛成しました。それは、@このような企業誘致の在り方として、「戦略的プロジェクトの誘致」ということで、通常の企業誘致優遇制度の補助上限を超える場合は、公益上の必要性、補助率や金額及びその執行の時期について、事前に議会において審議し、議会の承認を得ておくことA「誘致企業の建設発注工事」については、指令前着工を慎むとともに、随意契約ではなく、透明性の確保と対象事業費を抑制するための努力を欠いていたことB補助率についても、本県と同じような状況にある類似の他県の状況を踏まえて、20%とすることは妥当であるとの理由によるものでした。
 請願につきましては、私も紹介議員となった「高知県における助産師養成の充実について」の請願他1件は全会一致で継続審査とし、「障害者自立支援法等障害者施策に関する請願について」他1件は全会一致で採択されました。
 一方、県警捜査費については、県監査委員が特別監査で「問題支出」と指摘した1791万円余りの返還を求める「県警捜査費の返還を求める決議」案と「日本郵政公社の『集配拠点再編計画』の撤回を求める決議」案を共同提出しましたが、賛成少数で否決されました。また、「地方財政の充実・強化を求める意見書」をはじめとした意見書3件は全会一致で可決されました。

県は議会の指摘を真摯に受け止めるべき

 今定例会では、タラソ施設への補助金問題が議案として提案されていただけに、その議論ばかりがクローズアップされました。しかし、質問戦の中では、障害者自立支援法の四月施行にもとづく現場からの問題点の把握や療養病床再編に対する県の対応が、まだまだ不十分なことなど福祉と医療の課題の深刻さから目を背けるわけにはいかないとの現実を突きつけられました。
 さらに、アウトソーシングにおける社会福祉施設の給食現場や新旅費システムの運用混乱など問題点の噴出は、2月定例会での我が会派の修正案提案の際に指摘したとおりになっています。今後、引き続き注視していかなければなりません。
 所属している企画建設委員会では、県立大学改革問題や県道はりまや町一宮線の四車線化整備における生態系保護や史蹟との共存の問題など報告事項として審議されました。

タラソ施設誘致への補助における問題点と今後の企業誘致について

 第一号「平成十八年度高知県一般会計補正予算」の海洋深層水体験施設整備事業費についての議論経過等は、一面で報告したとおりですが、ここでは、今回のタラソ施設誘致への補助金を巡る議論から、いくつかの教訓が導かれるのではないかと考えますので、意見を述べておきたいと思います。

企業誘致における補助金の在り方について
 まず、第一に付帯決議を行う原因ともなった補助金のあり方についてであります。
 今回の補助金は奨励的補助金であり、企業が立地する際の初期投資の軽減を目的としています。また、企業誘致を優先して考えてきたので、手続きの部分では反省もあり、今後は事前に予算案を提案する方向で検討を進めることとされました。さらに、これまでは補助事業者の契約形態にまで立ち入らなかったが、今後、事業者には競争入札などの実施を要請していくとともに、随意契約による場合はその理由を把握することに努めていきたいなどの姿勢が示されました。
 これらを踏まえて、今後は補助金制度の基本的な在り方や議会の権能に関わって、付帯決議が行われたことによって、企業誘致に伴う補助金のあり方に透明性や手続きの是正が図られるなどの改善がされることになりました。

戦略的プロジェクトにも必要な透明性
 第二に、議会に対して説明責任を果たす際のキーワードとして再三登場した「戦略的プロジェクト」は、錦の御旗なのかということです。
 6月定例会において、この事業は戦略的プロジェクトであり、「地域振興の一つの新しい形態」としての事業としてのモデル事例だから、通常の企業誘致優遇制度の補助上限を超えても良いとの判断で提案されたが、判断のための手続きは充分ではありませんでした。今後の議論において、戦略的プロジェクトの優越性は、議会・県民による合意のもとで進められるべきであると考えます。公益上の必要性、補助率や金額及びその執行の時期について、事前に議会において審議し、議会の承認を得ておく必要があります。

企業誘致に必要な補助金プラスアルファ
 第三に、企業誘致のための補助金は多ければ良いのかということです。確かに、企業誘致の際には、21世紀政策研究所の「企業誘致に向けた地方自治体の取り組み」という報告でも、「立地地域の選定理由」において、「地元自治体の支援・協力体制」の重要性が高まりつつあると報告されています。しかし、この要因はあくまでも重要な要因のひとつとなってはいるが、誘致を決定づけるためにはさまざまな要素が深く関連しあっているはずです。
 国内に工場を新設・増設した実績や今後の計画がある企業に対する「都道府県の企業誘致に関する調査」(日経産業消費研究所調べ)では、都道府県側ではトップセールスの次に補助金の新設・上積みを図ろうとしているが、企業側が新設・増設する際に重視するポイントとしては補助金・助成金は9番目に位置するなど要因の複雑さが垣間見られます。
 これまでの道路状況も悪い条件不利地域ということも踏まえた時に、他県との誘致競争において、横並びでは駄目だとする理屈でいけば、際限のない補助金の増額や地方税の減免といった財政的な支援措置が、行き過ぎると自治体間での「財政支援合戦」の泥沼に陥り、結果として自治体財政の疲弊につながりかねない危険性を伴うことになるのではないでしょうか。また、地元企業に対する支援との面で、公平性を欠くなどの問題も惹起しかねません。むしろ、いかにして知恵と工夫で誘致するのかということが問われているのだと思います。

矛盾だらけの障害者自立支援法に悲鳴

 この4月に施行された「障害者自立支援法」は、想定されたとおりの問題点が、障がい者のみなさんの暮らしや訓練や就労の場で、日々顕在化しています。我が会派の江渕議員の質問に答えて、「今の制度が全く問題がないとは思っていない。三月から五月までの本県の状況では、入所施設では三名の方が退所されているし、通所施設では十一名が退所されている。全体の率でいうと、入所施設で〇・二%、通所施設では一・六%になっている。」と、県も答弁せざるを得ない状況になっています。
 今回の法律の最大の問題点は、障がい者が人間らしく生活をし、その能力を生かして訓練し、就労するということに対する支援を「応益負担」によってサービスに要する費用の1割に相当する「定率負担」を導入したことに尽きます。
 応益負担という重石がのしかかる介助などをより多く必要とする重度の人、就労がよりいっそう困難な人たちをどんどん切り捨てようとするこの制度は、「住みたい場所で住む」、「働きたいところで働く」、「受けたいサービス」を障がい者本人自らが選択できず、「住みたい、なれ親しんだ入所施設」を出され、年老いた親の元に帰ることを余儀なくされるという現実を作り出していることを理解していただきたいと思います。

「障害者自立支援法等 障害者施策に関する請願」は全会一致で採択
県は本気で今の制度の不備を正すべき
 

請願項目
@「住む場所」、「働くところ」、「介護や支援のサービス」を障害程度区分によって決めるのではなく、障害者自身が選択し決定できることを原則とすること。
A福祉・医療サービスに対する利用者負担を応益ではなく、負担できる能力に応じた「応能負担」を原則とすること。
B障害者が住みたい場所で生活し、受けたいサービスを受けられるために、障害基礎年金の見直しや生活保護を受けやすくすることにより、所得保障の確立を早急に行うこと。
C障害者が働ける場所の確保のため、社会雇用制度(保護雇用制度)の創設を含めた就労支援を拡充すること。
D他の地方自治体が行っている「定率負担」、「食費等実費負担」の障害者の負担軽減に対する補助金制度を創設すること。

 今議会で、さまざま指摘された問題点について、県は真剣に受け止め、早急な実態把握を行うとともに、退所者を出さないための支援、障害者施設への運営支援、利用者負担に対する負担軽減への県の支援など様々な対応をしなければならないと思います。さらに、全会一致で採択した「障害者自立支援法等障害者施策に関する請願」をしっかりと踏まえた施策の充実を求めていきたいと思います。

現場から 「障害者自立支援法で遠ざかる自立」
           (高知県社会就労センター協議会会長田村輝雄県議・さくら福祉事業所)
 望まぬ障がいを持ち、生きること働くことに選択肢のない障がい者の方たちは、唯一たどり着いた作業所で働いた月三千円から二万円程度の工賃に対して、支払う自己負担が食費を含んで14,700円から27,000円という不条理に泣いています。全盲の女性の仲間は、座って手作業をしていますが、「移動の介助やトイレ介助をしてもらわなければ動くことができない格子のない『空気の牢屋』にいるようなものです。」と非情な制度を嘆いています。
 在宅で重度の人たちも、「自己負担するお金がなければ、トイレや食事を控えなければならないという実態が、本当に人間の生存権を保障していると言えるのでしょうか。むしろ、国が生存権や生きがいの場を制度でもって奪っているのではないでしょうか。」と憤っています。
 私たちの血税は、社会を支え、行政の基盤とも言うべき社会保障など対人行政サービスにこそ使われるべきだと思って、納めているにもかかわらず、格差拡大社会の中で不要不急の公共事業や勝ち組優遇施策ばかりの財政支出が医療や介護や障がい者に対するサービスを後退させることとなっており、社会保障制度のあり方が誠に貧弱であることに怒りさえ感じます。
 この自立支援法の負担に耐えかねた人たちは「我慢してじっと息をしておれ」「生きることをやめなさい」と言わんばかりの仕打ちに対して、人らしく生きていけるような自立支援制度として再生できるような請願署名運動を展開していく決意です。

駅前複合施設をみんなで真剣に考えましょう
 昨年9月定例会で浮上した「駅前複合施設」については、これまでにも「県政かわら版」11、12号で概要や県民アンケートはがきによる結果などについてご報告してきましたが、所管の企画建設委員会に所属していることもありますので、改めて現状をご報告させていただきます。

女子大改革問題は学部再編議論の結論が先
 現在、駅前複合施設の議論と並行して女子大改革の議論がなされています。とりわけ、駅前複合施設の在り方の中で、県民や関係者の中からも複合施設に移転入することについて、反対意見が最も多いのが、県立女子大学であると思われます。
 県立大学の移転議論の背景として、県当局は@全国的な少子化や新設大学の増加による大学間競争の激化、また国公立大学の再編統合、独立行政法人化など、大学を取りまく環境が大きく変化していく中、平成15年より県立大学改革検討委員会において県立大学のあり方に関して総合的な検討を行い、平成16年10月に提言を受けた。A提言による再編案を適切に実現するためには、永国寺キャンパスの現状を考えると施設整備が不可欠であると整理しています。
 さらに、複合施設の方向性として設置者としての改革案を検討、策定中であり、これを踏まえて、複合施設構想を検討することとなっています。当然、施設整備をする際には「良好な教育環境を確保するための対応」は必要なわけで、このキーワードを巡る議論は慎重にされるべきだと思います。
 ただし、この議論が具体化されるためには、県立大学改革の改革方向が定まらなければなず、現在の議論状況では学内合意に多少時間がかかるものと思われます。
 しかし、校舎移転の課題については、多くの県民の方からは機会ある毎に、「駅前への移転反対」の声が多く届けられていますし、「良好な教育環境を確保するための対応」を図れば、自ずと方向性が見えてくるのではないかと思われます。

県民文化ホール、図書館にもメリットばかりではない

 複合施設の駅前立地のメリット・デメリット

◇駅前への移転(立地条件)の評価
《サービス・利便性の向上、効率化等》
・県内外からのアクセス条件が向上する。
・JR、土佐くろしお鉄道、電車、バス等の利用者の増加が見込める。
・通学、通勤時間を読書の時間に結びつけることができる。
・公共交通機関の待ち時間を有効に活用できる。
・社会人教育・生涯教育の利便性が向上する。
・大学と地域社会との交流がより活発となる。
《予測される課題、配慮すべき事項等》
・静かな環境が失われる。
・自家用車を利用して来館される方の利便性の確保。
・終演時間帯の公共交通機関の確保。
・建物内での教育環境の確保。・体育館やグラウンドの確保。
・キャンパスの分離が解消されない。
・大型バスでの来館(コンクール、コンベンション等)の対応。
《課題や配慮すべき事柄への対応方策》
・駅前広場や他の街区を含めた、うるおいとくつろげる空間の創出。
・街区全体で十分な駐車場を確保できるよう地権者会で議論する。
・附置義務駐車場については、敷地内または近傍で確保。
・パークアンドライドの促進。
・終演時間に合わせた公共交通機関の運行の検討。
・リフレッシュスペース、屋上庭園などを設けることにより、学生にとって過ごしやすく、ゆったりとした空間を確保する。
・体育館を施設内に設置し、グラウンドは別途確保する。
・県有地の北側への大型バスなど乗降場所の確保。
◇中心市街地活性化との関係
《サービス・利便性の向上、効率化等》
・中心商業地のイベントや情報PRコーナーを設置し、利用客を中心商業地に誘導することができる。
・中心市街地活性化を進めるための拠点の一つである駅周辺の活性化に結びつく。
・鉄道を利用して周辺部から人が集まることが予想され、移動可能な 中心商店街への集客効果が期待できる。
・若者が滞留するため、周辺地域が活性化する。
《予測される課題、配慮すべき事項等》
・現在の女子大、図書館から中心商店街へ足を運ぶ人の流れが小さく なる懸念。
《課題や配慮すべき事柄への対応方策》
・駅と中心商店街との連携の方策の検討。
・複合施設内で観光情報案内を実施することにより、誘導効果を狙う。
・歩行者空間の整備などの方策の検討。
(06年6月5日企画建設委員会説明資料より抜粋 )

 県民文化ホールの施設は1976年の開館から既に30年近くが経過し、耐震改修及び各種設備の大規模更新が必要との背景から、2,000席、500席規模の多目的ホールを有する施設とすることで、機能面からの県民サービスの向上面として、演劇、演奏会等様々な公演に備えた舞台機能の充実、「快適な鑑賞環境の整備」「コンベンション的機能」を提供できるとしています。
 また、図書館については、1973年の開館から既に30年以上が経過し、耐震改修及び各種設備の大規模更新が必要となっており、予定蔵書数30万冊を大幅に超過した50万冊の蔵書を収蔵するために、会議室などを書庫として転用している現状を改善するためとしています。そのため、大学図書館との一体化や蔵書スペース100万冊の確保を可能にすることで、「幅広い年齢層の県民が楽しめるゆとりのある読書空間」「県民生活全般にわたるレファレンス(調べもの、相談への対応)機能」「生涯学習、社会教育をサポートする機能」「地域の図書館への支援機能」などのサービスが向上することとしています。
 メリット・デメリットが想定される中で、今後は施設の在り方の整理などそれぞれの施設の熟度を高める取り組みを行い、秋頃に構想案を示し、地域別説明会や県民アンケートなどを通じて方向性を定めていくこととなっています。
 私も、県政報告会や県政アンケートで頂いた意見を踏まえて審議に臨んでいきますので、引き続きいろいろなご意見を頂けるようお願いします。








駅周辺整備事業の一環
「はりまや町一宮線」は生態系保護・史蹟保存との共生を

 県政かわら版10号で御報告して以降、県道「はりまや町一宮線」のはりまや工区の四車線化については、県の絶滅危惧TA類に指定されているシオマネキやアカメ、コアマモなどが生息する生態系の保全と史蹟の保存などに配慮したときに、本当に不要不急の事業なのかということを考えるとともに、機会を捉えて委員会などで取り上げてきました。
 しかし、執行部は、「この路線の整備は必要であり、予定どおり工事を実施する」が、生態系については専門家の意見も聞きながら、できる限り配慮するとの報告にのみ終始しています。7月7日に開催された地元説明会でも、現状における交通量推計の持つ意義や生態系保護に関するミティゲーション(マイナスの環境影響を緩和するために事業者に課せられる保全行為)についても十分な説明もできないままに終わっています。

 今、韓国ソウル市では総工費を約360億円かけて清渓川復元事業を完成させ、多くの観光客と市民の集う場となっています。わざわざ多額の費用をかけて都市河川の再生と水辺環境の復元を図っている都市がある中で、110億円かけて、金では取り返せないかもしれない新堀川を桟橋で塞いでしまうということについて、慎重な議論が必要なときではないでしょうか。

カルポート側から見た完成予測図と工区図


南海地震条例づくり検討会が始動
 私が、初登壇以来提言してきた南海地震対策のための条例化の作業が始まっています。今年度に入って高知県南海地震条例づくり検討会が設置され、これまでに、2回の検討会が開催されるとともに、高知市を皮切りに県民参加のワークショップが開催されています。私も、これまでの検討会を傍聴しておりますが、今後も全て傍聴する決意で頑張ります。
 県危機管理課では「南海地震に備え、この長期的な政策を継続して行っていくことを法的に担保していくためには、南海地震条例が必要です。条例は、どういう課題を、どういう考え方(理念)で、どの程度まで解決するのか(目標)を明らかにし、それを民主的な合意形成の過程を経て、県民の総意として最も尊重されるべきものとして位置づけ」ていますので、県民参加の良さを生かした条例作りを期待します。

少子化対策はまず産む安心から
 昨年、県人口80万人割れが公表されて以降、少子化対策について今まで以上に議論がされるようになりました。私は、「今後の少子化対策において産業の振興と雇用の拡大を一番の柱に、次世代育成支援など、子どもを産み育てやすい環境づくりにも、引き続き粘り強く取り組む」という県の姿勢に対して、子どもを産み育てやすい環境づくりというのはさまざまなステージにおいて考慮されなければならないと指摘してきました。
 とりわけ、12月議会において、「安心して産む」ということに着目し、他の教育機関に引き継ぐからということで、総合看護専門学校を廃止するという方向性に対して、反対を訴えてきました。賛成多数で廃止は決定されたものの、将来の助産師不足への不安に対して、子育て中の母親や助産師の皆さんからまざまな意見を頂きました。さらに、産婦人科医の地域的な偏在がクローズアップされる中で、「産む安心への危機」も報道されるようになる中、改めて総合看護専門学校の助産学科だけでも存続させて欲しいとの声が「高知県における助産師養成の充実について」の請願となって提出され、議論される中で、引き続き審査されることとなりました。
 是非、これを機会に、全国でも助産師さんの配置数の少ない県としてその体制が心配されている本県において、助産師さんの養成における総合看護専門学校助産学科の廃止は合理的なのか、県民のみなさんにも考えていただきたいと思います。

「南国土佐への移住促進事業」の可能性
 県は、07年から始まる団塊の世代の退職ラッシュをにらみ、県外の方に、本県をセカンドライフの地として選択していただくことで、人口増加、経済の拡大を図り、移住者の方々の豊富な知識や経験、技術をさまざまな場面で発揮していただくことで、地域の活性化にもつなげることを目的として「南国土佐への移住促進事業」を本格化させようとしてしています。
 例えば、四国の「団塊の世代層」は、単純計算で、約21 万5 千人が、他地域への流出を中心として、四国からいなくなったと推計されています。この方たちが、退職後、どのような行動をとるのかということに注目して、各自治体等の移住やショートステイ、観光誘致などを中心にした取り組みが展開され始めているのです。
 国土交通省の「団塊世代の地方回帰にかかる傾向調査」によれば、「どのようなところに住みたいのか」という設問に対して「海に近いところ」「地方中小都市」「山に近いところ」が上位を占めており、高知県には適当な要素が期待されるところであるし、大阪圏では四国地方を希望する傾向も強いなど一定の可能性を示す傾向はあるように思われます。

高知県は何をアピールするのか
 しかし、問題はこれらの傾向、ニーズとどうマッチさせた取り組みを進めていくかということです。県は、今後のとりくみとして@受け入れ環境の整備A情報発信・PRB相談・推進体制の充実
C誘導策の実施などを具体化させていくこととしているが、高知県に移住してもらうために団塊の世代にどう、何をアピールするのかが問われてくることになるのではないでしょうか。
 先日、私が開催した県政報告会の中では、参加した県民の方から「人にやさしい高知県」を売り出してはどうかとの提案がありました。県は、「恵まれた自然環境や四国八十八カ所に代表される癒しとおもてなしの心、高齢期になっても元気でゆったりと生き甲斐を持って暮らせる地域として全国に誇れる資源がたくさんある」とコンセプトの一つに掲げていますが、このことをどう具体化していくかで、「人にやさしい高知県」はセールスポイントになるのではないでしょうか。
 また、このコンセプトは県政の柱ともなるべきものだと思いますが、今後も県民のみなさんとともに考えていきたいと思います。

2月定例会報告(2月22日〜3月17日

 説明不足で提案予算を訂正
    他にはないかと心配の声


厳しい財政状況で慎重審議
 
 2月定例県議会は2月22日から3月17日までの間、開催されました。
 06年度予算案をはじめとして91議案が提案される中で、本会議、予算委員会、各常任委員会で審議するというのは、事前の調査をはじめとして相当の日数がかかります。県民の皆さんから見たときに、十分な慎重審議で期待に応えることができたかどうかは分かりませんが、県財政の状況が厳しいときだけに、それぞれの委員会でも厳しい目で審査がされたのではないかと思っています。
総務、文化厚生、産業経済、企画建設委員会の合計審査時間が延べ5116分となっており、前年比で526分(11%)延びているということからも、そのことが言えるのではないでしょうか。
 当初提案の予算額は430,363,654千円でしたが、執行部の説明不足などを理由に室戸市に建設中の海洋深層水を使ったタラソテラピー施設への補助金3億円分を削除した430,063,654千円に訂正されることとなりました。訂正後の平成18年度一般会計当初予算案に対して、私たち県民クラブは、アウトソーシング関連の「総務事務集中化システム構築委託料」関連経費100,014千円と療育福祉センター、身体障害者リハビリセンター、中央児童相談所一時保護所、希望ヶ丘学園4施設の「給食・調理業務委託料」計6,130万円を減額修正し、新たな体制で行うための追加修正6,346万円を計上することによって最終的には全体で97,854千円の減額につながる修正案を提出しましたが賛成少数で否決され、執行部提出の当初予算案が賛成多数で可決されました。
 そのほか91議案が、全会一致または賛成多数で可決、承認され、「捜査費の違法・不当な支出等の解明を求める特別決議」(4面参照)や意見書8件を可決、正副議長を選任の上、定例会は閉会しました。

三位一体改革で相変わらずの緊縮予算   

借金と貯金の取り崩しで来年も

 地方と弱者にしわ寄せばかりを押しつけてきた「三位一体改革」は、補助金の削減の一方で地方交付税の削減のみを先行させ、税源移譲によっての財源確保はそれらの足元にも及ばないという状況で06年に向けた一定の方向性がつけられました。
その結果が、本県予算においては7年連続マイナスの前年度比4・8%、217億円減の4303億6400万円でありました。三位一体改革に伴う地方交付税・臨時財政対策債の縮減、県税収入の伸びが全国平均の半分程度という状況の中で、県は財政再建団体への転落回避へ、県債の借り換えで償還期間を延長し、単年度の公債費を圧縮するとともに基金の大幅取り崩しと行政改革推進債と、昭和60年度以来となる退職手当債の発行などで財源不足をしのぐこととしました。

三位一体改革は県民のためならず

 「『三位一体改革』は地方分権を旗印に、地方でできることは地方に任せる。そして、これまで国に依存していた地方の自立を促し、それにより行政の効率化が図られる」ことを謳い文句にしていましたが、「三位一体改革」が意図したとおりに進めば進むほど、実態としての分権から遠ざかるとともに、行政リストラにより、社会保障体制はズタズタにされ、国民は「弱肉強食のるつぼ」に投げ出されることとなりました。
 そして、「三位一体改革」が当初から指摘された国民生活破壊、自治体行政サービスの切り捨てであることが、やっと誰の目にも明らかになってきたのです。
 だからこそ、知事もここに至って、「私は、これまでの三位一体の改革は、本来の趣旨からは遠くかけ離れている上、国と地方をおしなべたマクロの議論が先行した結果、本県のように財政力の弱い自治体への影響が真剣に検討されてこなかったことなどから、一旦立ち止まって見直す必要がある」と明言し始めました。
 予算審議についても相当厳しい目で審議がされ、一部事業については、予算が執行部の手によって訂正されたり、修正案が提出されたり、その執行について厳しい注文がつけられたりしたのも、このような状況だからではないでしょうか。

室戸海洋深層水タラソテラピー施設等立地促進事業費補助金の削減訂正について

 室戸市に、本年七月にオープンする海洋深層水を活用したタラソテラピー施設やホテルが、シュウウエムラにより建設される計画について、議会説明が不十分とのことで補助金3億円が予算から削除されました。
委員会審議において、観光や産業に寄与する施設として企業誘致を図ってきたが、補助率の算定根拠や補助のあり方、また、施設運営見通しに、疑義や不安があるとの指摘に対して、執行部の説明不足により、議会側の十分な理解を得ることができませんでした。また、最終的に、企業側に対しても、迷惑をかけないようにするため、この補助金については、取り下げる旨の訂正願いが提出され全会一致で、承認されました。
 今後、執行部は、六月議会への再提出に向け、今回示された疑義や不安に適切な対応をしていくこととなっています。
した。

アウトソーシングありきの事業見直しでよいのか

修正案でアウトソーシング議論

 これまでも知事が、「出せるものから出していく」ということで、アウトソーシングを推し進めてきましたが、来年度予算編成において、「県庁のスリム化」「仕事のやり方を変える」という大義名分のもと、県が公の責任において果たすべき役割や業務を明確にしないままでのアウトソーシングありきの編成となっている点を、私たち県民クラブでは危惧しています。そのため、今回のアウトソーシング関連予算73件、767,986千円の中には、問題点をはらんだ事業内容は多々あるものの、極めて特徴的なものについて修正案を提出しましたが、賛成少数で否決されました。
 その概要は、先に記載してあるとおりですが、ここではその提案理由に触れておきます。

庁内電子化は公務の特性を踏まえて

 まず、「アウトソーシング推進関連総務事務集中化システム構築委託料」関連経費の修正については、これまでの県庁電子化の反省に立ったとき、もう少し慎重な判断がされるべきではないかということからでした。というのも、来年度予算において、平成13年度途中から運用された「文書情報システム」が当初の効果を期待できず、来年度において新システムに変更すべくその開発費16,630千円が予算化されています。ペーパレスの決裁システム化を謳い、平成11年の開発着手以来8億円余という巨額を投資した事業であるにも関わらず、電子決裁率は年々下降し、運用開始後5年間で本来目的が達成できず、システム変更をせざるを得ないという現状に至ったのです。県民のみなさんは、文書情報システムへの8億円余の投資額や電子決裁率がわずか6%にまで低下していることなどをご承知でしたでしょうか。この文書情報システムについては、開発当初から危惧する声が多かった中で、強行してきた結果がこのような結果だけに、慎重にならざるを得ないの当然だと思います。
 さらに、この4月に一部スタートする「新旅費システム」も、4月には完成しておかなければならないはずのものが、12月に向けて基本設計に沿って、システムを再構築しなければならないという事態に至るとともに、その初期における混乱は避けられないとの声も出されています。だからこそ、現在開発中の総務事務集中化システムについては一旦立ち止まって、後年不具合が生じることがないような対応をすることがのぞましいと考えたからであります。

給食調理も大事な訓練・教育 写真有り

 次に、健康福祉部の社会福祉施設における「アウトソーシング推進関連給食業務委託料」については、予算原案の委託料の積算根拠からは、極めて劣悪な勤務ローテーションでないと対応できない調理体制となることが想定され、そのことから給食内容の低下を招きかねないことが懸念されました。そして、委託条件の中には、調理業務従事者に対する労働条件の確保など一切触れられておらず、今までにも指摘してきた委託労働者の最低労働条件すら守られないのではないかと危惧するものです。これらの施設における給食の持つ有用性は療育、訓練、教育などの面からも極めて重要なものであり、そのためにも、給食内容の低下を招かないような提供体制が確保されなければならないと考えています。
 また、アウトソーシング先の予定雇用者数では雇用の縮小・移動に過ぎないにもかかわらず、「雇用創出」という美名のもとに、業務そのものは継続するのに委託先労働者に行わせて、非常勤職員の解雇を強行するという手法を取る給食業務のアウトソーシングは認めがたいものでした。県民クラブの修正案は、アウトソーシングするよりも2,160千円増額することで、アウトソーシングの場合よりも11名の新たな雇用が生み出されるとともに、懸念される給食内容の低下を回避できるというものでした。

「官から民へ」の矛盾は今後も拡大

 私は、これまでにも単純に「官から民へ」の流れで良いのかということを報告してきました。会派としては、必ずしも、全て官が行わなければならないと言っているのではなく、県が行わなければならない役割を明確にし、県の責任によって行われる県民サービスと県政運営は、高知県として県民に明らかにされなければならないと考えています。今、規制緩和ということで「官から民へ」と流れていった仕事によって、どのような事態を招いているか「耐震強度偽装事件」に象徴的に現れています。
 今定例会は、「『小さな政府』を口実にした行政の効率化によって住民の利便性や権利保障の後退があってはならない。市場化テストをはじめとする公共サービスの民間開放は安易に行わず、画一的な公務員の純減をやめて公共サービスの水準維持に必要な要員を確保するよう国に強く求める」という「公共サービスの安易な民間開放は行わず、充実を求める意見書」を全会一致で可決しておきながら、同趣旨の修正案に反対した議員さんのスタンスには理解しがたいものがあります。
 今後とも、次々とアウトソーシングが進められ、そして、「県庁には、何もなくなった」、県民が受けたいサービスは費用負担能力のある県民しか受けられなくなったとならないよう、慎重な本質議論がされなければならないと思います。

警察捜査費の真実解明へさらなる決議

特別監査報告では1/3強が違法・不当・不自然

 昨年6月定例会で県議会、知事がともに求めた県警捜査費に対する特別監査請求の結果報告が、今定例会でなされました。 
 報告書は、捜査員が「上司から領収書の作成を命じられ、電話帳で適当に名前を拾った」「私的な飲食を捜査協力者への接待に装った」などと証言した内容も具体的に列挙され、これらの証言と県警が開示した文書を照合し、矛盾点や不自然な支出状況から「違法・不当」を明らかにする構成になっています。
 特別監査の対象としたのは、平成12から16年度の県警本部と高知署で執行した県費捜査費1万3789件、5141万円で、そのうち85件・77万円(1・5%)を「支出の実体がない」、115件・69万円(1・3%)を「不適正な支出」とし、いずれも「違法・不当」と断定し、3178件・1645万円(32%)は「不自然な支出で疑念がある」と報告しています。
 一方で、執行件数の46%に領収書がなく、県警が協力者情報などの全面開示を拒否したため、「不透明さを残した」とも強調し、「報告書で指摘しなかった支出も、必ずしも適正な執行が立証されたものではない」と付け加えていることなども踏まえ、報告書は「県警の組織全体の問題として厳粛に受け止めるべきであり、とりわけ幹部職員の責任は極めて重大」と厳しく指摘しています。そして、県警を管理する県公安委員会には「捜査費を執行した全部署を調査し、結果を県民に明らかにすべきだ」と求めていまい。

捜査費解明への質問に明確な答弁なし 
 
 本会議や予算委員会での質問戦や総務委員会での集中審議において、多くの会派、議員から県警の姿勢などが糺されましたが、県民が納得できるような明確な答弁は示されませんでした。
 まず、県警本部長は「不適正などと指摘されたことは厳しく受け止めている。」と言いながらも、「不適正などと指摘されたものが特定されておらず、直ちに返還すべきか判断できない。監査結果の内容を現時点で評価を下すのも適当でない。厳正な調査を行い、不適正なものであれば返還も含め適切に対応したい。」と「内部調査」に逃げ込んでいます。
 また、改めてその姿勢が問われた公安委員長は「報告書には、違法支出などとする判断の根拠が示されていない。公安委員会として判断するには具体的な証拠や証明が必要だ。」と「直ちに100パーセント違法・不当である、不適正であるという結論をそのまま受け入れることには慎重にならざるを得ない」という姿勢に多くの反発を招きました。
 そして、橋本知事は監査結果報告に対して「県警に対する県民の信頼を損なうものだ。県警は組織全体の問題と重く受け止め、厳正に対処してほしい。信頼回復のため、きちんと説明責任を果たす必要がある」として「組織の問題は自らの力で調査し、改める自浄作用がないと組織の再出発につながらない」ということを強調されています。
 県警本部の「監査報告」に対するかたくなな反発姿勢の下での、内部調査に信憑性はあるのかとの疑問は議会同様県民のみなさんも抱かれていることであり、事実解明に真摯に取り組んでもらうためにも何らかの形で、議会としての決議をすることとしました。
 私たち県民クラブは調査への監査委員立ち会いを求めた上で、調査結果が判明するまで18年度当初予算案に計上した捜査費約900万円の執行凍結を要求。知事には特別監査報告が違法認定した分などの返還請求を促し、県警にも時効分も含めた捜査費の「自主返還」要求などを盛り込んだ会派案を提案しながらも、全会一致の調整には譲歩も考えていました。しかし、総務委員会では、調整が困難となり、後退した内容に不満は残るものの、できるだけの多数可決を行うため別記内容で決議せざるを得ませんでした。
 今後とも、引き続き議会としてのチェック機能を果たしていくための努力を続けていきたいと考えています。
捜査費の違法・不当な支出等の
      解明を求める特別決議(抜粋) 
  制約のある中、監査委員は県警組織全体の問題点を解明するとの視点に立って監査を行い、その監査結果報告書の内容や対応については、大いに評価する。
 特に、個々の捜査員の告発証言を追及するようないわゆる「犯人探し」は監査委員の指摘通り慎むべきと考える。
 今回、監査結果報告書が提出され、県民の県警捜査費の使途への疑惑や不信は、これまで以上に深くなっている。
 ついては県警に、県警組織全体の問題点を解明するとの視点に立って、監査結果報告書の監査の意見を踏まえた内部調査を求めるものであり、その調査結果を通じて、これまで以上に県民から信頼、支持される組織となるよう大いに期待する。
 併せて、県警を管理すべき公安委員会には、県警が行う内部調査について十分な指揮と管理を行い、必要な場合には、公安委員会の権限と責任において、県民や議会が信頼できる調査結果となるよう求める。

駅前複合施設化構想は慎重に 

 昨年、皆さんから頂いた駅前複合施設化構想に対する意見に関心の大きさを感じることができましたが、今定例会では、今後のすすめ方などについての議論がなされました。
 複合施設構想の機能面などについて、「コンベンション機能を含めて、二千席のホールとなると、駐車場の問題があり、高知市の条例によれば、百二十台前後の設置が義務づけられるが、半径二百メートル以内への設置でも構わないということなので、近傍での用地の活用も考えている」とのことですが、駐車場の在り方や周辺の交通混雑、三施設統合による管理面などの懸念も出されています。
 また高知市や関係団体とも十分に協議して、その調整や整合性は十分とれているのかということについては、高知市や関係団体とも意思の疎通を図ってきているとのことだか、今のところ不十分だとの認識が示されています。
 今後は、議論してもらえる青写真を早く出せるように、話を進めていくが、青写真を示す際には、駅前のイメージがわくものを複数案、たたき台として示すとともに、その建設費や建設手法について、広く意見を聞きたいとの考えが示されています。

高知県立大学の改革は複雑

 駅前複合施設との関係もある県立大学の改革についても、表面上は県の考え方がその都度示されているようには思えますが、執行部と大学側の考え方にズレが生じているのではないかと思われるなど、改革についての協議経過やその結果に疑念が生じています。
 高知県立大学の改革内容の決定は、県としてのプランを三月末を目途に示したいとしてきたが、既存学部については、大学と基本的な方向性について確認することができているが、社会科学系学部については、短大案が出たばかりで、まだ十分な議論ができていないため、できるだけ早期に示すことと先送りされています。
 この県立大学改革に関する議論は学部再編、総合看護専門学校の廃止に伴う助産師教育の機能移転問題、短大の存続問題さらに施設移転統合問題などがからみあって議論されているため、大変複雑な議論になっています。今年度から、企画建設委員会の所属となりますので、今まで以上に積極的に審議に参加していくこととしています。

フォーラム「語り合おう〜被災からの再生」報告(1月14日)

関西学院大学災害復興制度研究所開設一周年記念ムフォーラム報告
                「語り合おう〜被災からの再生」
                           
 私は、昨年6月、災害復興制度研究所を訪ねて「災害復興制度」の在り方について学ばせて頂いて以降、研究所の一年間の成果を聞くために参加してきました。
 全体は三部構成からなる密度の濃いフォーラムでありましたが、「災害を防ぐことはできません。しかし、被害を減らし、被災者・被災地の再起を手助けすることは可能なはずです。日本は今、官から民へを錦の御旗に急ピッチで構造改革が進められています。しかし、ネオリベラリズム・経済合理性・小さな政府への傾斜が『安全・安心』を損なうものであってはなりません。人々の再起への意欲を削ぐものであってもならないはずです。」という研究所主任研究員の山中茂樹さんの挨拶に思いを同じくしながら、各部門で学ぶことの多かったフォーラムでしたが、印象に残った部分を報告します。

■ 2006年1月14日(土)午前10時15分〜午後6時■神戸国際会議場国際会議室301
■ 主催:関西学院大学災害復興制度研究所■ 共催:21世紀COEプロジェクト

 学長あいさつ 平松一夫(関西学院大学学長)
  来賓あいさつ 井戸敏三(兵庫県知事)

【第一部】研究発表

@総括報告   宮原浩二郎(災害復興制度研究所所長・関西学院大学社会学部教授)
「復興制度」について
 ・「応急救助とインフラ復旧」を超えた部分が脆弱であり、ここをどう制度化していくのか。
 ・被災者生活再建支援法、自治体の試みなどの位置づけの検討。
 ・復興とは何を復興させるのか。「都市(地域)」「被災者個々の生活」「住宅(すまい)」の復興。
 ・復興とは「一度衰えたものが再び盛んになること」ではあるが、開発主義を呼び込むものではない。

A「被災者の復興、地域の復興」田並尚恵(川崎医療福祉大学医療福祉学部助教授)
 ・被災者が被災直後はそれまで住んでいた場所に戻ることを考えるが、避難生活が長期化すると、元の場所に戻ることを諦める人が増えてくる。
 ・被災者は、避難先での生活と被災地に戻ったときの生活をさまざまな点から比較し、自分たちにとってより合理的だと思われる方を選択していく。
 ・阪神淡路大震災から得られる教訓として、「自治体は人口流出を食い止めるための政策を講じることが被災地域の復興につながると言うことである。それには、できるだけ早い時期から避難生活を送っている被災者の実態を把握し、その中で、被災地に戻る意思のある人がどのよう  な要望を持っているのか、公的な支援を検討することが重要である。」

B「『象徴的復興』とは何か」山泰幸(関西学院大学社会学部助教授)
 ・「復興」とは通常破壊された地域を元通り「復元」することではなく、それ以前よりも優れたものとして「再創造」しようという方向でプロセスは進む。
 ・「復興」の中味について、「ハード」だけでなく「ソフト」な面への配慮・工夫が必要だという認識が経験的には気づかれている。「ソフト」という言葉で曖昧に表現されている経験的な知を明確に概念化して理論的に根拠づける作業が必要。
 ・象徴的復興を生み出す「儀礼(制度)」への視点によって、それを創造・整備・操作するという道が開かれるということになる。
 
C「贈与経済と地域経済復興」永松伸吾(人と防災未来センター専任研究員)
 ・救援物資等によって被災地の消費は後退する。発注にしても被災地外への発注となるため周辺自治体の地域経済が停滞する。
 ・再開した商店に置いてある商品と同じ物が救援物資として届く。(商品が売れなくなり)経済復興に少なからぬ影響があることなどから、支援のあり方に工夫の余地がある。これらのことを含めて地元経済の回復との関係について研究が必要。

D「復興基本法に対する日弁連の取り組みについて」永井幸寿(弁護士)
 ・日弁連災害復興支援に関する全国協議会のワーキンググループとして復興基本法の検討を行っている。
 ・必要性  災害対策関連法・施策の体系性の欠如(法律間の整合性、施策の一貫性)
 ・「復興概念」「復興主体」「実施主体」「憲法上の根拠」「基金」「基本法だが実施法」
 ・予防対策、応急対応、復旧復興対策の関係

E「被災者支援制度-自治体における独自施策」山崎栄一(大分大教育福祉科学部講師)
 ・復興制度研究所による全国自治体アンケートから見えてきたのは、「独自施策」というが本当に独自の施策なのか。行政組織内部の問題点として復興施策についてどこの部門がカバーしているのか、不明な自治体がある。
 ・今後の課題として「被災者支援の地域格差の問題」「独自施策の発展」の課題がある。

特別報告
@「災害復興における経済的諸問題」豊田利久(神戸大名誉教授)
 ・阪神淡路大震災 震災関連事業費9.1兆円(そのうち追加的財政支出5.4兆円)
復興需要フロー額7.7兆円 そのうち民と公の割合7:3
私の試算では直接・間接合わせて26兆円以上。
 ・直接被害の復興は既存の財政支援策で早めになされたが、中小企業や市民生活など間接被害の立て直しに格差が生じた。
 ・50年から100年の震災の備えのために、巨費は投入しにくい、だとすれば臨時地域特別目的税の導入の提案をしたい。地域的限界のある大規模震災では、道州制を前提に被災しなかった住民からの税徴収で公的財源を確保し、国にとらわれない復興案を作成する。
A「中山間地域の復興の方向〜中越地震を通して考えたこと〜」中林一樹(首都大学東京教授)
 ・中越地震では直接死が阪神より少ない。逆に関連死が多いのは高齢社会のもろさを示している。
 ・阪神の教訓は中越で生かされている。ただ、雪国のため復興はプロセスが違ってくる。雪のため復旧工事が中断する。会計年度の特例など応じた措置が執られるべき。
 ・震災復興の基本的方向「連続復興」「複線復興」「総合復興」「地域こだわり復興」
 ・災害は高齢化社会の衰退を加速させる。それを防ぐには人口の交流と環流が必要。都市に流出した地元出身者を交え、地域の復興を考えていく場をつくるべき。
・村内で循環型経済を作り出す仕組みを考えていく必要がある。

【第二部】第2回被災地交流集会    司会:村井雅清(被災地NGO恊働センター代表)

稲垣文彦(中越復興市民会議事務局長)
 ・目標は弱者の声を制度や政策に反映させること。田舎では区長や町会長の声が強い。奥さんや子どもの声を拾い上げたい。

金子洋二(にいがたNPO協会常務理事・事務局長)
・災害ボランティア本部の中で、連携のもどかしさからか豪雪被害にあった地域への支援活動では個々にやっているNPOが多い。
 ・全国から5000万ほど集まったボランティア活動基金も運営している。現地で活動している団体の資金要請に即対応できた。

小川 茂(よしたー山古志代表)
・村を出るという人が1割、残る人が1割、残りは未定。村を出ても簡単には暮らせない。これからの暮らしをコーディネイトする人が必要で、人材育成がカギだ。

長崎 忍(ニューにいがた振興機構総務・地域支援担当課長代理)
・被災地支援のNPO活動で力になるのは、慣習にとらわれないよそ者、怖いもの知らずの若者、熱中するバカ者が必要。

宮下加奈(ネットワーク三宅島代表)
・現行の支援制度は自宅以外には適用されない。収入制限などで帰島をためらう人も少なくない。適用の条件を緩和して欲しい。
 ・人的、金銭的支援がなければ復興はない。

村上康(三宅村商工会経営指導員)
 ・商工業者に対する支援で有効に機能しているのは、国と東京都の災害貸付制度である。企業が抱える債務について、元金や利息の支払いが据え置かれるものだが、3月末で終了する。延期してもらいたい制度だ。

山下弘彦(日野ボランティアネットワーク)
・鳥取県西部地震の際、知事が住宅再建支援を打ち出したこともあり、人口減は自然減の範囲にとどまってきた。
 ・高齢者には「人様に迷惑をかけてはいけない」という意識が強い。自立を支える大事な考え方だが、必要なときに助けを求められるようにしていくことも大事。

矢野正広(とちぎボランティアネットワーク事務局長)
 ・災害ボランティアには住民自身の活動をよそ者が支援する広域的な連携が求められている。
 ・よそ者が去っても続けていけるような支援を成功させられる担い手を育てていく必要がある。

【第三部】シンポジウム「地方からの発信から〜被災思想を刻む
コーディネーター
山中茂樹(災害復興制度研究所)

コメンテーター
山中 漠(北海道・壮瞥町長)

パネリスト
平野康祐(三宅島三宅村村長)
・高濃度の二地区を立ち入り禁止区域として条例化した。高濃度地区に住みたくても住めない人がいると言うことを念頭に置くことが大事。帰村できない世帯への家賃の減免は継続。
 ・国は自治体に対して「自主性を持て」と、財源移譲などの改革を進めているが、災害時に困るのは、被災者に対して減免すると税収が減ることである。

青木 勝(山古志地域復興推進室長)
 ・今年9月に帰村する目標にしている。被災者に向けた約1千万円程度の一戸建てを建てる方針。100万円足らずの年金で暮らすには持ち家が必要。
 ・多額のお金をかけて住民を山に帰す必要があるのかとの声もある。だが、山に住んでいた人間にとって、帰るのは当たり前。現状は帰れるのか帰れないのか分からない。行政がどういう施策をするのか示さないといけない。山に人がいなくなっていい訳がない。中山間地の集落機能  を維持していくことが必要。
 ・中山間地では、大工さんは自分の造った家を一生メンテナンスし続ける。将来にわたって地域経済の中で維持できるよう建築業組合などとネットワークの在り方を協議している。

池田啓一(NPO都市生活コミュニティーセンター事務局長)
 ・95年暮れ住専の破綻処理に公金投入がされることとなって、被災者は「公的支援、個人補償」を口にし始めた。被災者生活再建支援法は政府が金を出す点を評価し「小さく生んで大きく育  てる」こととした。
 ・兵庫県の住宅再建共済制度の加入率は3%だが、加入を促す「営業経費」を見込むべき。いつ来るか分からない災害なので、積極的に加入されないが、背中を押すものが必要。

高坂健次(関西学院大学教授)
 ・研究テーマは@県外への避難者の研究A「関西に大地震は起きない」とい誤った「知識」の起源B復興と資産の問題。被災者生活再建支援法には収入条件が定められているが、誰が救われるべきなのか、もう一度考え直した方がよい。
 ・95年に西宮市から住民票を異動させた人が約2万人いたが、戻りたい人、戻らない人、決めかねる人が三分された。時間がたてば、生活上の条件や人間関係などのため、戻るのが難しくなる。
 ・阪神淡路大震災では、多くの人の住宅が全壊し、ローンだけが残ったという例がある。「中流」と言われる人たちは、何事もなければまずまずの生活を送っていたが、災害が起こればたちまち苦しい状況になっしまう。公助であれ共助であれ自助であれ制度を考え直さねばならない。制度は人間が作るものだから、様々な工夫で変えることができる。

まとめ  室崎益輝(総務省消防庁消防研究所理事長)
 ・災害には地域性・階層性があり多様な形態をとる。
 ・個人と被災地とそれぞれの復興の関係の在り方が問われる。住宅再建という落とし穴だけに陥ってもいけない。
 ・NPO、ボランティアの支援制度が確立されなければと思う。
 ・復興制度の基本として@被災者の立場に立つA被災地のことを考えるということである。

閉会挨拶 井上琢智(災害復興制度研究所副所長・関西学院大学副学長)
・私的には実験的立法という考え方が取り入れないかと考える。