2024年「今日この頃」バックナンバー

5月30日「看護職員の養成に注力を」

 昨日の高知新聞に、看護師を目指し、県内の専門学校などに入学する生徒が近年、大幅に減少し、ピーク時の2015年度に800人を超えていた新入生は本年度435人と、9年でほぼ半減したとの報道がありました。

 そんな中で、昨日の出先機関調査で訪ねた「幡多けんみん病院」での人材不足の課題と「幡多看護専門学校」での受験者・入学者の定員割れの課題についても聴かせて頂きました。
 
 幡多は、地域内で完結しなければならない医療圏であるだけに、医療人材育成・安定確保は大変重要な課題であることを改めて考えさせられます。

 不足してしまってから手を打つのでは、遅すぎるのであり、今から打てる手を打っておくことが重要です。

 そのためにも、コロナ禍で顕在化した看護師をはじめとした医療従事者の過酷な労働条件や給与面での処遇改善や、県内でも遠隔地にある幡多看護専門学校では、学生のための寄宿舎の整備か借り上げなども検討してみる必要があるのではないでしょうか。

5月29日「憲法改悪先取りの地方自治法改悪は許せない」

 非常時に、国が自治体に必要な指示を出せるようにする地方自治法改悪案が、衆院総務委員会で与党や日本維新の会などの賛成で可決されました。

 国会への事後報告を義務づける修正が加えられたが、閣議決定を経れば指示できる仕組みは変わらず、恣意的な運用の恐れも消えていないし、多くの疑問は残されたまま、審議を打ち切りで採決されました。

 地方自治の在り方を大きく変えようとし、緊急事態条項改憲を先取りするような改悪法可決に対して、強く抗議せざるをえません。

 政府は、大規模災害や感染症などの際に個別の法律で想定しない事態が起きた場合、国民の安全を確保するために必要だと説明するが、武力攻撃事態対処法で想定しない事態も視野にあるかについては、あいまいな答弁を繰り返し、有事の際に一方的に国に従わせることを可能とするような危うい改正も視野にあるのではないかと思われます。

 特に、特定利用空港・港湾を全国で指定してきたこととも関連性があるのではないかと思わざるをえません。

 有事の際に港湾や空港などを使うには、例えば特定公共施設利用法で自治体が国の要請に意見を申し出る規定があり、可能な限り慎重な手続きを踏むこととされている が、今回の改悪案では、国は国会承認なしに自治体に網羅的に指示ができ、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」の「おそれ」の段階で、自衛隊のための道路開放や攻撃に備えた自治体職員の動員協力にまで道が開けることとなります。

 沖縄の基地移設で、埋め立て承認を県が拒否した際、政府は代執行までして工事を強行しており、自治体が思い通りに動かない時、民意を無視してでも国策を推進する意図が背景にあるのではないかと危惧します。

 コロナ禍で、突然一斉休校を要請し現場を混乱させたり、熊本地震の際に、屋内避難を政府が指示した避難所の天井が余震で落下し、政府の指示に従っていたら大きな犠牲者が出ていたことも想定されたこともあり、けっして国の考えが常に正しいとは限りません。

 地方の声を十分くみ取って審議が進んできたとはいえない中で見えるのは、自治体の現場重視の解決力や実情を軽視する国の姿勢が問われています。

 地域の問題は地域で考えるという、地方自治の理念を後退させる悪法は許せません。

5月28日「線状降水帯に警戒して」

 非常に激しい雨が同じ場所で降り続く線状降水帯が昨夜から28日日中にかけて、宮崎と鹿児島(奄美地方をのぞく)の両県で発生する可能性があると、気象庁が27日午前に発表しました。

 気象庁は、27日午前11時ごろ、線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけを実施しましたが、同庁は28日から従来の地方単位(全国11ブロック)での予測を県単位(同59ブロック)に狭める運用を始める予定でしたが、発生の可能性が高まったことを受けて運用開始を1日早めたものです。

 集中豪雨をもたらす線状降水帯は夜間に発生するケースがあり、明るいうちに避難に活用できるように、気象庁は2022年から半日前予測を始めましたが、予測精度はまだ十分ではなく、的中率は「4分の1程度」とされているが、線状降水帯が発生しなくても大雨となる場合もあり、警戒は必要です。

 高知県と徳島県でも、線状降水帯発生の恐れがあるとされており、災害発生も急に高まる可能性があり、今日一日十分注意をしなければなりません。

5月27日「ガザ・沖縄から考える構造的暴力」


 25日、26日と連続してパレスチナ問題に詳しい早稲田大学文学学術院の岡真理教授の「ガザとは何か」、沖縄戦の戦没者の遺骨収集を続ける「ガマフヤーの会」の具志堅隆松代表の「日本を戦場にさせない」ことについてのお話を聴かせて頂きました。

 そして、ガザと沖縄に通ずる「構造的暴力」について考える機会を頂きました。

▼具志堅代表は沖縄の洞窟(ガマ)に眠る戦没者の遺骨を掘り、家族の元に返す取り組みを30年以上継続しているが、あろうことかその遺骨が眠る戦地の土砂を米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設のための埋め立てに使おうとしていることは許されない。

▼まさに、このことは人の道に反しているし、遺族と戦友に対する裏切りである。

▼今の政府はアメリカの都合によって作り出された台湾有事によって、日本を中国と争わせようとしている。日本を守るための戦争ではなくて、アメリカを守るための戦争であり、日本を戦場にさせない闘いが今こそ求められている。

▼我々には、戦争を起こさない責任がある。沖縄戦の実態を語る遺骨を埋め立てに使ってなきものにしようとしている。危機感が抗議になり、抗議が行動になることを願っていると訴えられました。

 岡真理氏(早稲田大学文学学術院教授)からは、次のようなことに触れて、「ガザで今、何が起きているかを知りながら何もしないことは、加害者に加担することと同じだ」と指摘されました。

▼イスラエルによる電気や水、食料などの封鎖により、230万人のガザの市民生活は崩壊の淵に瀕している中で、ジェノサイドとも言える蛮行を繰り返しており、これを看過してはならない。

▼1948年のイスラエル建国はパレスチナ人に対する民族浄化であり、それから今日まで、イスラエルによる軍事攻撃は繰りかえされてパレスチナ人への暴力は日常的なものになっており、この歴史をふりかえれば、イスラエルはパレスチナ人を非人間化するアパルトヘイト国家だとわかる。

▼イスラエルによる攻撃開始から1か月で死者1万人超、うち子どもが4000人以上で、ウクライナでは2年間で死者10582人のうち子どもは587人を桁違いに上回っており、5月25日現在、死者35903人、負傷者80293人という実態を放置して、日本のメディアは日本人大リーガーの結婚報道などに終始し、爆撃のみならず栄養失調や劣悪な衛生環境が原因で日々、多くの子ども達が死んでいる現実をほとんど報じていない。

▼これはガザの人たちの命など取るに足らないといメタメッセージを発しているようなものである。

▼「民族浄化」「入職者植民地主義」「占領(ガザに生はない)」「封鎖(生きながらの死)」「アパルトヘイト」ということが報道から消し去られることに対して、我々はガザで今何が起きているのかを知り、そのような惨劇が起きている歴史的な背景を知った上で、日本が、そしてわれわれ一人一人が何をすべきかなどについて、考えるべきである。

▼アメリカはイスラエルのジェノサイドの共犯者であり、「日本はアメリカとともにある」などという日本も共犯者である。

▼占領、封鎖、貧困、飢餓、差別などという「構造的暴力」に徹底的に無関心なこの国であってはならない。

▼ 沈黙することはジェノサイドの共犯者になる。そうならないために、即時停戦を訴え、停戦になったら、イスラエルのアパルトヘイト廃絶のために声をあげよう。

 ガザや沖縄、全ての不条理に無関心でいると自分の不条理に直面することになるということをしっかり肝に銘じて、我々は声を挙げていきたいものです。

5月25日「沖縄・ガザ問題で私たちに何ができるのか」

 昨年10月7日のハマスによるイスラエルの抵抗以降、ガザにおけるジェノサイドは、もはや「皆殺し」状態をつくりだしています。

 そして、沖縄では反対の県民世論を無視した総基地化が進められています。

 そのような中で、パレスチナ問題が専門の岡真理さんと「亡くなられた方たちを家族のもとに帰したい」「二度と戦争を起こしてはいけない」との思いで、ガマで遺骨を掘る人(ガマフヤー)となり遺骨収集を始めて41年の、ボランティア団体「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんをお招きした勉強会があります。

 今回は、より深く掘り下げるためにということで今日、明日の2日連続で「徹底討論:私たちには何ができるのか~パレスチナ・ガザ、自由、平和沖縄と日本~」という討論会だそうです。

 5/25(土)17:30~岡真理さん@かるぽーと9階第3学習室
 5/26(日)14:00~岡真理さん・具志堅隆松さん@人権啓発センター

 それぞれ参加費は1000円ですが、両日参加頂く方は1500円となります。

 ぜひ、ご参加ください。

5月23日「袴田さんも石川さんも無実だ」


 1966年に静岡県で起きた強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さんの裁判をやり直す再審公判が22日、静岡地裁でありました。

 検察側は改めて袴田さんが犯人だと主張、死刑を求刑し、弁護側は無罪を主張、結審しました。

 判決は9月26日に言い渡されることとなります。

 死刑が確定した事件の再審は戦後5件目で、過去の4件でも検察側は死刑を求刑したが無罪となっており、袴田さんも無罪となる公算が大きいと言われています。

 裁判の最大の争点で、袴田さんの逮捕から約1年後に見つかった「5点の衣類」について、検察側は「被告の犯行時の着衣だ」と改めて主張したが、「捏造は実行不可能で非現実的だ」と述べるなど、従来の主張を繰り返したにすぎません。

 一方の弁護側は、再審公判での審理で「5点の衣類」が捏造であることはよりはっきり確認され、血痕のDNA型鑑定などの結果からも「袴田さんのものでない」と改めて主張しています。

 昨日の再審公判で、検察は改めて死刑を求刑しましたが、刑事訴訟法は再審について「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」を新たに発見したときに開くと定めています。

 再審はたんなる裁判のやり直しではなく、誤判を受けた人の救済手続きであり、88歳の袴田さんの「人間らしい生活を取り戻すため」、これ以上の先送りは許されません。

 そして、東京高裁の「袴田事件」の再審開始を決定以来、「次は狭山だ!」を合言葉に、狭山事件における東京高裁に事実調べを実現させ再審を開始を決意しあってきた運動の集約である5.23狭山中央集会が今日開催されます。

5月22日「ドン・キホーテ高知進出に地域の声は届くのか」

 ドン・キホーテの高知進出について、今朝の高知新聞で、「来年1月オープン計画 高知県に届け出 24時間営業」との見出しで、出店に関する届け出書を県に提出し、21日告示されたたことが報じられていました。

 それによると、同市東雲町と知寄町3丁目にまたがる用地に、鉄骨平屋建ての店舗を整備し、名称はドン・キホーテ高知店(仮称)、新設予定日は2025年1月20日で、24時間営業を行う計画となっているとのことです。

 下知地区内で、すぐ近隣だけに、地域内の皆さんの関心は高く、昨年11月15日に地域と良好な関係を築くためにということで、事前説明会を開催され、多くの参加者からの質問、要請に対して、当時次のような考え方が示されていました。

 「北側出入り口は、西進の入庫、東進の出庫となる。」「西側出入口からは、職員と搬入用に使う4トン車が出入りするが、搬入時間は住民に迷惑がかからないようにしていきたい。」「治安の悪化については、警察と連携しているのでそういう事は無い。」「睡眠時間帯にマイナスの影響を出さないように配慮していく。」「駐車場台数については、他の店舗規模から考えても、これ以上は増えない。」などとの説明があり、狭隘な北側道路からの出入り口はやめてほしいとの意見などが多数ありました。

 その後、大規模店舗法に基づいて、3月中に届け出て、2ヶ月以内に説明会をする予定とのことでしたが、届け出自体が4月30日となったことから、説明会は6月下旬位になることが想定されます。

 公示された書類を本日県経営支援課に行って、見せて頂いたところ、昨年の説明会で出された意見に対して改善対応をしたようには思えず、6月下旬の説明会では、周辺地域の声をしっかりと反映させていくことが必要になってくると思われます。

5月20日「喰われない自治体になるために」

 「地方創生が叫ばれて10年。実現できたという自治体はそう多くない。では、政府が流し込んだ膨大な『地方創生マネー』はどこへ溶けていったのか。」ということで、「週刊東洋経済」5月11日号は「喰われる自治体」との特集をしています。

 記事の冒頭は「自治体向けのコンサルティングを手がける会社社長が社外で語った音声データがある。『ちっちゃい自治体って(うちが)経営できるんですよ』『財政力指数は0.5以下(の自治体)って、人もいない。ぶっちゃけバカです。そういうとき、うちは第2役場。行政の機能そのものを分捕っている』」とワンテーブルの島田昌幸前社長の音声データの紹介から始まっています。

 2014年の増田リポートで、当時の安倍政権が「地方創生」を煽って全国の自治体に地方版総合戦略の策定を要請し、策定費用として各市町村に1000万円ずつ予算措置したが、自治体によっては、その策定をコンサルに丸投げしたことが、当時から問題になっていました。

 そして、受注したコンサルの実態が、その後いろいろと明らかにされ、この記事にも出てくる「ワンテーブル」の島田前社長は、「超絶いいマネーロンダリング」と言って行政機能を分捕ってきた結果として、島田氏は昨年5月末に社長を辞任し、総務省もアドバイザーの名簿から同氏を削除しました。

 記事にもある「喰われた自治体」と「喰ったコンサル」との事例などについて、検証する中で、お仕着せでない地方創生、真に住民主体のまちづくりをするために「喰われない自治体」を住民と一緒になって築いていくことから始めなければならないかもしれません。

5月18日「自転車の悪質交通違反にも厳罰」

 自転車安全利用5則が守れないなど自転車乗りのマナーが悪い傾向が続き、自転車が絡む交通事故も多いことから、自転車の悪質な交通違反に「青切符」を交付し、反則金を納付させることを新たに規定する改正道路交通法が17日、参院本会議で可決、成立してしまいました。

 車の違反には、警察官に青切符を切られ、反則金を納めれば刑事罰を科されない仕組みがあるが、そこに対象外だった自転車も加えられ、公布から2年以内の2026年までに施行されることとなります。

 自転車で反則金となる取り締まりの対象は16歳以上で、運転免許証の有無は関係なく、反則金は原付きバイクと同程度の5000~1万2000円の見込みで、今後決められるようです。

 反則金の対象は113種類だが、自転車に当てはまらないものは除き、信号無視や指定された場所で一時停止をしないなど事故の原因になりやすい9種類程度になる見通しです。

 酒酔い運転や妨害運転(あおり運転)などは、これまで通りに刑事罰を科す赤切符で取り締まり、自転車の酒気帯び運転にも罰則を新たに設け、車と同じ3年以下の懲役または50万円以下の罰金とし、自転車の運転中にスマートフォンを使用する「ながら運転」も新たに禁止されます。

 私たちも交通安全指導の際に、自転車安全利用5則遵守について啓発してきましたが、自転車は免許が必要ないため、ルールを正しく知らない利用者が多いことを痛感してきました。

 警察庁が2023年に実施したアンケートでは、自転車のルールを守らない理由について「ルールをよく知らない」との回答が4割を占めているとのことです。

 結局、違反者に対する罰則を厳しくしたとしても、周知されなければ「知らなかった」ですまされる違反運転による事故が減少しないのではないかと懸念されます。

 これから、交通安全教育の中で、安全運転のマナー・ルールの周知が互いの命を守ることになることにつながる命の教育として行われることを期待します。

5月17日「出先機関調査で見える現場のご苦労」


 毎年、5月連休明けから、議会常任委員会による出先機関調査が行われます。

 今年度は、危機管理文化厚生委員会に所属しており、昨日までに「精神保健福祉センター」「衛生環境研究所」「文学館」「統合制御所」「発電管理事務所」「高知声と点字の図書館」「高知城歴史博物館」「いの町保健福祉課農福連携」事業、就労継続支援B型こうち絆ファーム「TEAMいの」、「消費生活センター」「高知男女共同参画センター」「小動物管理センター」「女性相談支援センター」「高知難病相談支援センター」を訪問し、聞き取り調査、施設視察をさせて頂きました。

 昨日は、高知県社会福祉協議会からスタートして、県立大学・工科大学の永国寺キャンパス、県立大学池キャンパス、高知医療センターと調査に伺いました。

 それぞれに課題は、多くありますが、「県民誰もが安心して暮らし続けることができる地域共生社会の実現に向け」多様な地域福祉活動支援の取組をされている県社協の報告をしておきます。

 取組の柱1「地域における福祉教育の推進」、取組の柱2「地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制の強化」、取組の柱3「南海トラフ地震等の災害に備えた支援体制づくり」、取組の柱4「あらゆる福祉人材の確保・育成・定着と質の向上」、取組の柱5「高知県社協の組織力・専門力の強化」を軸に、生活困窮者をはじめ多様な生きづらさを抱えた方々、災害時の支援などに取り組まれています。

 そのような中で、新たな取組として災害ケースマネジメントの支援体制や孤独・孤立対策推進法にもとづく取組などにも積極的に取り組んで頂きたいことを要望させて頂きました。

 県社協は市町村社協と災害時の広域支援に具体的に取り組んでいけるよう進めていることなどについても報告頂きました。

 福祉交流プラザ内の福祉機器展示エリアの障害者の自転車競技用の自転車や認知症の疑似体験をさせて頂きました。

 VR認知症疑似体験では、レビー小体型認知症の特徴でもある「幻視」体験もできます。私も、母がレビー小体型認知症でよく「〇〇さんが玄関に来ていた」とか話していた時の状態がよく分かりました。

 「もっと生活しやすくなる用具はないか」「介護負担を少なくする用具はないか」などお困りの方はぜひ相談されるとよいと思います。(088-844-9271)

 今朝からは、須崎市方面に回りますが、後25機関・施設が残っており、30日まで続きます。

5月16日「孤独・孤立死に至らない社会・地域を」

 政府は13日、孤独・孤立問題への対策をめぐり、今年1~3月に自宅で亡くなった一人暮らしの人が全国で計2万1716人(暫定値)確認され、うち65歳以上の高齢者が約1万7千人で8割近くを占める現状を明らかにしました。

 年齢が上がるほど死者数は増え、今回の3カ月分のデータを単純に年間ベースに置き換えると、65歳以上の死者数は約6万8千人と推計されます。

 内閣府は、「誰にもみとられることなく死亡し、かつ、その遺体が一定期間の経過後に発見されるような死亡の態様」を「孤独死」と定義し、今後も実態把握を進めていく予定だと言います。

 今年4月には孤独・孤立対策推進法が施行され、政府は、実態把握に加え、相談体制の整備や居場所の確保などの対策に取り組んでいるが、自治体段階でそのことが具体化されるには、まだ時間がかかりそうです。

 「令和5年版高齢社会白書」によれば、令和3年現在、65歳以上の者のいる世帯数は2,580万9千世帯(全世帯の49.7%)にのぼり、夫婦のみの世帯及び単独世帯がそれぞれ約3割を占めていることが指摘されています。

 また、1980年には65歳以上の男女それぞれの人口に占める一人暮らしの割合は男性4.3%、女性11.2%だったのが、2020年には男性15.0%、女性22.1%と増加していることが指摘されました。

 様々な実態の中から、なぜ孤独死・孤立死に至ったのか、公的支援・地域社会や人とのつながりがどう途絶えてしまったのか、問題の背景をより正確に理解した上で、さまざまな見守り体制から漏れ落ちる方がいないような仕組みが求められています。

5月15日「改悪地方自治法の『指示』が自治体へ服従を強いる恐れ」

 沖縄が、戦後27年間の米国の占領・統治を経て本土に復帰した1972年5月15日から52年が経過しました。

 しかし、日本にある米軍基地の7割がなお沖縄県に集中するとともに、沖縄県民の意思は蔑ろにされ続け、政府は県の権限を奪う代執行までして、普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事を強行しています。

 そんなことが当たり前のように行われるのではないかと懸念される地方自治法の改悪が、今国会で行われようとしています。

  恣意的な解釈で物事を強引に進めていくのが安倍政権以降の自民党の特徴であり、その権力の下で、これまでの個別法で規定された指示と違い、一般法である地方自治法で規定される「指示権」は、その対象があらゆる地方行政の業務に広がるので、明らかに恣意的な運用の余地も広がるとの懸念が多くの自治体から出されています。

 非常時に、最後は国が指示を出すことになると、自治体は、国からの指示権を待ち、国任せになり、国と自治体の対等の関係は一気に崩されてしまうことになることが、想定されます。

 さらに、法改正で「指示待ち」の自治体が増え、岸本聡子杉並区長は、「非常時に自主的に動こうとする自治体が減る一方、自ら動く自治体への評価が厳しくなる恐れがある」と懸念しています。

 国の「助言・勧告」や、情報提供を求める「資料提出の要求」には、いずれも法的拘束力はなく、自治体は従わなくても構わないが、「指示」には法的拘束力があり、自治体が従わなければ「違法行為」と判断される可能性があり、国が沖縄に対して行った代執行のようなことが、「想定外」の事態を大義名分にして濫用されるかもしれません。

 この悪法が成立すれば、自治体は平時から国の顔色を伺い、「それは違う」と思っても反論しなくなり、ますます国と自治体の「対等な関係」は崩れてしまいます。

 地方自治は、国から独立した団体によって運営されるべきだという憲法の趣旨にももとることがされようとしていることを看過してはならないし、こんなことが沖縄には復帰後52年間強いられてきたことを我が事として考えなければなりません。

5月14日「6割が不支持の内閣による政治資金規正法改正は8割が評価せず」

 共同通信社が11〜13日に実施した全国電話世論調査で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正の与党案を「評価しない」との回答は79.7%に上り、政党から党幹部らに支出される政策活動費の扱いは「使途を細かく公開」52.0%、「廃止」26.8%と続いています。

 政治資金パーティーの規制強化策については、「収支報告書への不記載・虚偽記入の厳罰化」42.7%が最多で、「開催禁止」は24.7%、「企業や団体による券購入禁止」は15.9%、「券購入者の公開基準引き下げ」は8.9%と続きました。

 また、内閣支持率は24.2%で4月の前回調査比0.4ポイント上昇の横ばいでした。

 同じく昨日公表されたNHKの世論調査では、岸田内閣を「支持する」と答えた人は4月の調査より1ポイント上がって24%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は3ポイント下がって55%でした。

 支持率は、共同通信もNHKもほぼ同率で1/4にも満たない状況が続いています。

 政治資金規正法の改正についての評価は、「大いに評価する」が2%、「ある程度評価する」が13%、「あまり評価しない」が38%、「まったく評価しない」が39%で、こちらも「あまり・まったく」をあわせて「評価しない」との回答は77%で、共同通信とほぼ同じく8割近い人が評価していません。

 これらの世論と真摯に向き合えば、このような政治資金規正法改正の与党案でお茶を濁して終わりにするようなことはできないはずです。

 いずれにしても、自公政権の終わりの始まりとも言える闘いに野党と国民は団結して闘う時を迎えていると言えます。

5月12日「成立しても、経済秘密保護法の危険性を批判し続けて」

 2月末に国会に提案されたいわゆる「経済秘密保護法案」(=重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案)は、私たちの反対の声にもかかわらず、4月8日に衆院本会議で可決され、5月10日参議院で可決成立してしまいました。
 
 これは特定秘密保護法を経済と学術の分野に拡大し、軍事研究・軍需生産・武器輸出をすすめるのためのものだとも言われています。

 秘密保護法対策弁護団が10日に「経済秘密保護法の成立に強く抗議し、同法と特定秘密保護法の廃止を求める声明」を出し、「法案は、特定秘密保護法を改正手続きによらず拡大するものであること」「秘密指定に関する監督措置が不十分であること」「法案による秘密指定の範囲は限定されていない」「コンフィデンシャル級の秘密指定は欧米では廃止されていて、法案は周回遅れのアナクロだ!」「数十万人の民間技術者・大学研究者が徹底的に身辺調査されプライバシーを侵害される」との理由で、反対してきたことを明らかにしています。

 特に、特定秘密保護法の適性評価は主に公務員が対象であったが、経済秘密保護法では広範な民間人が対象となることが想定され、適性評価の調査は、政府委員は、どのような事項について調査しているかも、敵につけ入る隙を与えるので答えられないと答弁しています。

 この点は、2013年に特定秘密保護法が成立した後の運用基準では、「評価対象者の思想、信条及び信教並びに適法な政治活動、市民活動及び労働組合の活動について調査してはならない。」と定められていたにもかかわらず、政府委員の頭からは、自らの定めたこの運用基準すら飛んでしまっていることが明らかです。

 それで、特定秘密保護法の時と同様に「何が秘密か、それは秘密です」という代物になってしまっています。

 戦争への道を開く経済秘密保護法の成立に強く抗議する悪法を止めるための活動は、仮に制定を止められなくとも、反対運動が盛り上がることによって、政府による法の濫用に対する歯止めとなります。

 5月5日公表の産経新聞による調査では、主要企業110社から調査回答によると、「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」制度創設に賛成の企業は3割に届かず、プライバシー侵害などの懸念が根強いことが示されています。

 5月8日の東京新聞では、福島国際研究教育機構(FREI)と、アメリカの核・原子力研究機関PNNLの協定締結の動きを取り上げ、法案が成立すれば、武器開発・核開発につながる先端技術の研究が秘密のベールで覆われる危険性も指摘しています。

 今後予定される運用基準の制定過程で、成立した経済秘密保護法が真の悪法として猛威を振るうことのないよう、継続して粘り強く監視を続けるだけでなく、今回成立した法と特定秘密保護法の両法について、廃止を目指して闘い続けていく必要があります。

5月10日「実質賃金24か月連続マイナス」

 厚生労働省が9日公表した3月分の毎月勤労統計調査(速報)で、物価変動を加味し生活実感により近い実質賃金は、前年同月より2.5%減り、24カ月連続のマイナスとなったことが明らかになりました。

 比較可能な1991年以降で、過去最長を記録したこととなります。

 労働者が実際に受け取った「名目賃金」にあたる現金給与総額は、0.6%増の30万1193円で、一方、実質賃金の計算に使う3月の消費者物価指数は3.1%上がり、この物価上昇分を差し引いた実質賃金は2.5%減となり、減少幅も今年2月のマイナス1.8%(確定値)から拡大しました。

 厳しい人手不足や賃上げ機運の高まりを受けて名目賃金は27カ月連続で前年を上回り、過去最長を更新しているが、その一方で、コロナ禍からの経済の回復やロシアのウクライナ侵攻により、原油や食料などの価格が高騰、歴史的な円安も輸入物価の上昇に拍車をかけ、物価は上がり続け、名目賃金が伸びているものの物価の上昇に追いつかない状況が続いています。

 今年の春闘の賃上げ率は33年ぶりの高水準と言われていますが、給与への反映には数カ月の遅れが生じ、実質賃金への影響が出るのは先になる見通しで、非正規労働者の賃上げは一部に過ぎないとも言われています。

 今、毎日新聞社会部の東海林智記者の新著「ルポ・低賃金」が明らかにする実態こそから、実感できる賃上げを闘いとる必要があるのではないでしょうか。

5月9日「言語道断、水俣病患者の訴え打ち切り」

 5月1日、水俣市で開催された水俣病犠牲者慰霊式後の伊藤環境相と患者団体との懇談の場で、発言時間に1団体3分という制限を設けた上で「時間なのでまとめてください」とせかし、発言者の男性のマイクの音を一方的に切った対応に、当事者・患者団体をはじめ多くの国民から批判の声が高まっています。

 伊藤環境相は就任後、水俣を訪れるのは今回が初めてで、訪問を控えた記者会見では、「地域の声を拝聴し、政府としてできる限りのことをしたい」と語り、懇談の冒頭に「みなさまのお話をうかがえる重要な機会だ」と語ったと言います。

 その上でのこの対応に対して、患者団体側は「苦しみ続ける被害者たちの言論を封殺する許されざる暴挙」と抗議する文書を伊藤環境相宛てに送付しています。

 昨年来、大阪と熊本、新潟の各地裁が水俣病と新潟水俣病に関して示した三つの判決は、今なお多くの被害者が救済から取り残されている現状を突きつけているだけに、このような対応を取る環境省の姿勢が改めて問われています。

 岸田政権の「聞く力」の綻びがあちこちに生じているのは、まさに今の自民党政権とそれを支える官僚組織の本質であることが露呈したものだと思わざるをえません。

5月6日「『ケアラー』でも、学び続け、働き続けられるために」


 朝日新聞では、4日付一面で「ビジネスケアラー」についてとりあげ、今朝の一面では「ヤングケアラー」について取り上げています。

 2030年には家族を介護する833万人のうち、約4割の約318万人が働きながら介護をする「ビジネスケアラー」になるとの予測のもと、経済産業省は「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」をまとめ、現状のままだと、両立の難しさに起因する経済損失額は、30年に約9兆円に上ると試算し、両立支援の必要性を訴えています。

 そして、今朝の記事では、大人に代わって家族の世話や家事を担う「ヤングケアラー」について、相談窓口などを整備している自治体が1割に届かず、実態把握に乗り出す自治体は3割あるが、ヤングケアラー当事者が利用してよかったとの回答が多かった相談支援の取り組みは、まだ十分ではないことが、こども家庭庁の調査で明らかになっています。

 相談支援体制の推進は、都道府県57%、政令指定市25%に対し、一般市町村4%など、実施状況にばらつきがみられ、相談支援の手法は、電話と対面がそれぞれ8割超で、支援団体への調査で、「効果的」との回答が目立ったアウトリーチ(訪問)は43%。元当事者による相談支援は19%で、ヤングケアラー本人への調査では、利用してよかったと一番に感じる支援は「家族や、自分自身のことについての相談」が最多。「家事やお世話の代行、手伝い」「居場所、サロン」などが続いています。

 「ビジネスケアラー」にしても、企業の労働力確保の面だけでなく、家族の介護をしながら生きやすく、働きやすい雇用環境を創出し、「ヤングケアラー」の相談支援体制の充実も含めて、家族の介護によって学びや労働、生きがいが奪われることなく、困ったときは「助けて」といえる家族・地域・社会・職場を築いていけるような環境こそが、求められています。

5月5日「50年で半減した子どもたちを大切にする社会を」

 総務省が、人口推計から算出した子どもの数を4日に公表しました。

 15歳未満の男女は4月1日時点で前年より33万人少ない1401万人で、43年連続で減少し、比較可能な1950年以降の最少記録を更新し、総人口に占める比率は0.2ポイント低下の11.3%で過去最低となりました。

 1950年に子どもの数は総人口の3分の1を超えていましたが、その割合は75年から50年連続で低下し、過去最低となり、その一方、65歳以上の高齢者の割合は29.2%で最も高くなっています。

 都道府県別にみると、2023年10月1日時点で子どもの数は47都道府県すべてで前年より減少し、子どもの割合が最も高かったのは沖縄県の16.1%で、滋賀県の13.0%、佐賀県の12.9%が続き、最も低かったのは秋田県で9.1%で、本県は10.5%で、子どもの数は7万人でした。

 子どもの権利尊重をうたった「こども基本法」が施行され1年余りが過ぎましたが、政府が目指す「こどもまんなか社会」実現への取り組みは緒についたばかりです。

 昨年12月に策定した「こども大綱」で、子どもが「権利の主体」であると明記し、貧困や虐待を防ぐ対策のほか、学童期・思春期における心のケアや居場所作りなども盛り込まれていますが、これらがいかに実効性を持つようなを施策の具体化が図られるかが、問われています。

5月4日「地震が今年特に多いわけではなく、いつ起きても不思議でないとの備えを」

 今朝も、最大震度3の余震が南予や高知県西部でおきました。

 1月1日の能登半島地震や4月17日の豊後水道を震源とするマグニチュード6.6の地震で、南予と宿毛市で震度6弱を観測したことによる余震などからも、最近地震多くない?との声が高まっています。

 今朝の朝日新聞によると、確かに地震は相次いでいるが、地震学者や気象庁の担当者は「統計的には普通の頻度」と口をそろえているそうです。

 気象庁によると、今年1~4月末に、「ほとんどの人が驚く揺れ」とされる震度4以上の地震を全国で89回観測しているが、直近3年の同期間で、震度4以上の地震は2023年は9回、22年は22回、21年は21回とのことです。

 これをみると、24年の89回は突出していますが、元日の能登半島地震に関連する66回を除くと、おおむね横ばいになり、政府の平田直地震調査委員会委員長(東大名誉教授)は4月の会見で、「統計を見れば、今が非常に多いということはない」と答えています。

 直近10年間(14年5月~24年4月末)をみると、震度4以上の地震は717回で、その前の10年間(04年5月~14年4月末)は831回、さらにその前の10年間(1994年5月~04年4月末)は701回と、おおむね横ばいだが、なぜ多いと感じるのでしょうか

 高知に馴染みが深く、地区防災計画でもご指導頂く矢守克也・京大防災研究所教授は「人々が社会現象として地震を体験するようになっているからではないか」との見方を示されています。

SNSが一般化し、ニュースサイトや防災アプリも充実し、「遠地の地震情報に触れる機会が増え、自然現象として体感するだけでなく、社会現象としての地震を経験するようになった」とことから、「最近地震が多い」の実態は、「最近地震に関する話題や投稿が多い」ということなのだと指摘されています。

南海トラフ巨大地震に限らず、大地震はいつどこで起きてもおかしくないとされている中、気象庁の原田智史・地震津波監視課長は「地震が多い気がするとなんとなく怖がるのではなく、日頃の備えを充実させるきっかけにしてほしい」と話されており、我々も肝に銘じておく必要があります。

5月3日「現行憲法理念を国民目線で実現してこそ」

 日本国憲法は今日、1947年の施行から77年を迎えました。

 その憲法を9条を中心に変えたくてたまらない人たちがいる中で、世論は平和と人権と民主主義を守るために抗ってきました。

 今年のマスコミ調査などによるその動向に、注視したいと思います。

 読売新聞社の全国世論調査では、憲法を「改正する方がよい」との回答が63%と、3年連続で6割台、「改正しない方がよい」は35%でした。

 毎日新聞の全国世論調査では、岸田首相在任中の憲法改正について「賛成」は27%で、「反対」の52%を下回り、22年4月の調査以来、2年連続で「賛成」が減少する一方、「反対」が増加しています。

 共同通信社の世論調査では、岸田首相の任期中の憲法改正の国会議論に関し「急ぐ必要がある」は33%にとどまり、「急ぐ必要はない」の65%と差が開いており、9条改正の必要性は「ある」51%、「ない」46%と賛否が拮抗しています。

 朝日新聞では、「戦争放棄や交戦権の否認などを定めた憲法9条」改正の是非は「変えるほうがよい」が32%、「変えないほうがよい」が61%です。

 この質問は2013年から毎年の調査で聞いており、「変えるほうがよい」は13年の調査で39%と比較的高かったが、14年以降は30%前後で推移しています。

 そのような中で、3日付けの神戸新聞では、「憲法は、戦後復興の険しい道を照らす光となった。人権が危機にさらされる災害時にこそ、その理念を追求し、実践する意義があるはず」と「社説」で述べています。

 私たちが、日頃ご指導頂いている兵庫県弁護士会の津久井進さんは、相次ぐ災害の被災地で法律相談に取り組んでこられた中で、復興のさまざまな壁にぶつかり、あるべき法制度を研究するうち「憲法はこの国の復興を目指してつくられた。復興基本法は憲法だ」との考えに至ったと言われています。

 津久井弁護士は「災害法制は被災者の生活と幸せを回復するためにある。その理念に沿って運用すれば、これほど悲惨な状況は生じないはず。行政は細かい基準にとらわれ憲法の理解が欠けている」と指摘されていますが、「支援制度の線引きからこぼれる人がいないよう関係機関が連携し、一人一人の困難さに応じて支える災害ケースマネジメント」に取り組む上でも、憲法理念をより具体化していくことこそが求められています。

5月2日「前年度政務調査活動報告を県民と共有」

 毎年のゴールデンウィークは、政務活動の前年度実績報告まとめに追われる日々を過ごしています。

 昨年も、高知新聞で、政務活動費の公開について、使途への疑問や活動実績報告の濃淡の問題などが取り上げられ、その中で、私の報告書が66頁もあるとのご紹介がありましたが、今年も結局67頁となりました。

 時間と関心のある方は、こちらからご覧いただけたらと思います。

 今年は、何とかGW前半で、まとめることができましたので、後半は地域活動の中でも最もウエィトの大きい防災・減災活動の昨年度の実績報告と今年度事業計画を作成しなければなりません。

5月1日「増え続ける空き家、『住宅過剰社会』放置のままでよいのか」

 総務省が昨日発表した2023年10月1日現在の住宅・土地統計調査結果(速報値)によると、全国の空き家数は900万戸と増え続けている実態が明らかになりました。

 前回18年から51万戸増え、過去最多を更新しており、30年前の1993年(448万戸)から倍増しています。
 
 総住宅数は、世帯数の増加により261万戸増の6502万戸で、このうち空き家が占める割合(空き家率)は13.8%と、いずれも過去最高となっています。

 総務省統計局は、過去最多となった要因について「単身高齢者世帯の増加に伴い、亡くなったり施設に移ったりした後、空き家になるケースが増えていると考えられる」としており、今後は団塊の世代の高齢化が進み、空き家は更に増えるとみられています。

 空き家のうち、賃貸用や売却用、別荘などに該当せず、使用目的のない物件は前回から37万戸増え385万戸で、空き家全体に占める割合は42.8%と、03年から増え続けています。

 中でも、使用目的のない空き家の割合に限ると、高知は鹿児島(13.6%)に次いで、12.9%となっています。

 数年前に、高知で講演して頂いた明治大学野澤千絵教授は、新築や中古住宅のリフォームには税制上の優遇措置があるにもかかわらず、家を解体して更地にすると固定資産税が高くなることも空き家の解消が進まない理由にあげており、「家を作るばかりでなく、住まいの『終活』を支援する制度がもっと必要ではないか」と指摘されています。

空き家問題は、野澤教授が著書「老いる家 崩れる街」の中でも指摘されているように「人口減少社会」に「住宅過剰社会」という流れに歯止めがかからない限り、空き家は増加し、資源の無駄遣いや倒壊の危険性増大、防犯上の問題を引き起こすことになり、活用できる不動産でさえ「負動産」になってしまいます。

 少子高齢化社会では、誰にでも降りかかってくる明日は我が身の問題であり、今能登半島地震の被災地で進まない公費解体の問題にも通じるだけに、南海トラフ地震対策の視点も取り入れ、さらに県の施策も拡充させていく必要があるのではないかと思います。

4月30日「ひきこもり支援は本人目線で寄り添って」

 ひきこもりの人や家族の支援のため、厚生労働省が自治体向けに初めて策定する指針の骨子が昨日明らかになりました。

 支援の指針では、ひきこもりは生活困窮やいじめ、リストラといった問題から身を守ろうとして、誰にでも起こり得る社会全体の課題だと指摘し、「人としての尊厳」を守り、本人の視点に立った対応を求めるなど、支援のポイントを盛り込み、2024年度中に完成させた上で、全国の相談窓口で活用してもらうとのことです。

 最近は、「8050問題」と言われ、長期のひきこもりによって80代の親と50代の子が孤立するなど深刻化し、家族が自治体に相談しても無理解や偏見から窓口をたらい回しにされたりすることもあり、本人や家族の当事者目線で、支援することが求められていました。

 指針の名称は「ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤」とされ、対象は「何らかの生きづらさを抱え、他者との交流が限定的」「生活上の困難を感じ、支援を必要とする状態」の人や家族としています。

 ひきこもり期間は問わず、支援者自身も思うような成果が出ずに悩むことがあり、ケアの対象に加えており、当事者に対して自立を強いるような風潮に対し、「人として尊厳ある存在」と強調し、就労などを一方的に押しつけず「本人の意思を尊重し、自律の力を中心に置いた支援が求められる」とされています。

 ひきこもり当事者や御家族、支援者の方々と関り始めて20年近くになりますが、全国ひきこもり KHJ 親の会の故奥山初代代表や高知県支部「やいろちょう」の坂本代表などに教えて頂くことの多かった中、当事者、家族の皆さんのご尽力でここまで来たのかなと思います。

 厚労省は今後、相談からの流れ、アウトリーチ(訪問支援)、他機関との連携など具体的なポイントを盛り込み、指針を完成させるとのことですが、当事者や関わる皆さんの目線で寄り添えるきめ細かな相談・支援体制ができることを期待しています。

4月29日「戦争を回避することに尽力した時代があった」

 昨日は、午後2時からの憲法講演会で、テレビでもおなじみの田中優子法政大学前総長・名誉教授の「歴史から学ぶ『戦争しない国づくり』」を聴講のため、カルポートに行ってきました。

 会場に300人、サテライト会場・オンラインで200人と合計500人の皆さんが、熱心に耳を傾けました。

 「約250年間、内戦も国外との戦争も回避した江戸時代」は、「循環システムの整備により、持続可能性社会を作り上げた時代」であり、「周辺諸国との外交関係、ヨーロッパとの通商関係を樹立し、世界中の情報を得ることで、輸入依存から国産技術へ転換し、大量の職人を輩出し、『ものづくり日本』を創造した時代」であったと述べられました。

 「明の国から40年間で10回余り援軍が求められたが、応じたら戦争に巻き込まれるということで、全て断った」ことや万民を救済する「経済」の一例に、納得させられました。

 それは、1657年の「明暦の大火」の後に、将軍家綱の補佐役・保科正之が、米倉を開いて庶民に粥を配り、16万両を幕府から拠出して類焼被害にあった人々を助けたり、江戸城消失の再建は執務・住居部分として、戦争のない時代に天守閣は必要ないとして再建せず、玉川上水の江戸への引き込みをより重視したことでした。

 まさに、今能登半島地震の災害復興を急ぐためには、万博を中止するとの声に応えない今の政府との違いにも通ずることを指摘されていました。

 いろいろと問題はあった江戸時代ではあったかもしれませんが「戦争を回避する」ために、大変な努力を続けられたことに対して、我々の時代は、「いかなる人であっても生きて人生をまっとうする人権」を真ん中においた闘いで、憲法の精神を実現することだと強調されました。

 「自民党が改憲せずとも、閣議決定や法律で空洞化させてくるのなら、我々は憲法を変えずに、よりその精神を実現していくことを目指すこと」や「憲法精神を具体化・実現していく上で、共感を広げていくことの大切さ」なども含めて 、貴重なお話が聞けました。

4月28日「人権侵害に苦しむ外国人、歴史から学ぶ戦争しない国へ」

 昨日は、ドキュメンタリー映画「ワタシタチハニンゲンダ!」(2022年公開・高賛侑監督)を鑑賞し、高賛侑監督のお話を聞かせて頂きました。

 監督が、映像として、描くことが難しかったと言われていましたが、日本政府と在日朝鮮・韓国国籍の方々の歴史に始まって、朝鮮学校の高校授業料無償化対象からの除外、ヘイトスピーチ、難民認定、入管における収容や処遇等の様々な外国人の人権にかかわる問題が多くの当事者、支援者、弁護士等からの取材に基づいて明らかにされていました。

 名古屋入管に収容中であったスリランカ国籍の女性ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった事件によって大きくクローズアップされた国人の人権保障の実態と日本政府の外国人人権の認識の問題ではあるが、監督に言わせれば、諸外国と比べてその差別性は異常であるとのことでした。
 人権侵害に苦しみ、不当な扱いを受けている外国人たちの「私たちは動物ではない。人間だ!」との訴えと、「国家が率先して差別していることを描き、観た人たちに何かをしてもらいたいと思っている」監督の思いを広げていくために、少しでも多くの人たちにこの映画を観てもらいたいものです。

 今日は、午後2時からの憲法講演会でテレビでもおなじみの田中優子前法政大学総長の「歴史から学ぶ『戦争しない国づくり』」を聴講のため、カルポートに向かいます。

4月26日「世代間の結び目」

 4月22日付高知新聞で、連載が始まった「自治のかたち 高知市・地域活動の現場から」では、「町内会って何ですか?会長の苦悩分割?合併?」から始まり、「ごみ当番、広がる外注 町内会未加入者へ募る不満」「やれるもんがやるしか 高齢者見守り、誰が担う」「官製でコミュニティー再生 小学校区で再編、温度差も」と続き、今朝の「世代間の結び目探して 探る電子化、子ども見守り」で最終回となりました。

 まさに、このタイミングは、町内会をはじめとして地域組織、団体の総会時期でもあり、関わっているものにとっては、考えさせられる記事ばかりでした。

 私も、連日のように地域の各種団体の総会に出席しているが、同じメンバーが顔を揃えることも多く、昨夜の交通安全会議の総会後に、この記事のことを話題にしたが、最もこの課題に関心を持って頂きたい役員の中でも「若い」とされる層の方は「新聞取ってない」という状況も浮き彫りになりました。

 これまで、地域組織・団体をになって頂いた方の高齢化で、その担い手をどのように世代交代していくのか、どこの地域でもご苦労されていることだとは思いますが、最終回の「世代間の結び目探して 探る電子化、子ども見守り」は、少なからずヒントになるのではと、思ったことでした。

 結び目から関わってくれた人たちが、LINEグループでつながり、また次の世代のことを考えながら、可能なきっかけから無理をしない関りを探っていくことが求められているのかもしれません。

 地域で「防災」に取り組むために「わがこと」化することの大切さを訴えるが、地域で抱える課題や個人毎の困りごとが、どんな拍子で「わがこと」として直面するかもしれないのですから、平時から「つながる」ことにも、少し関心を持っていただくお隣さんがいたら、「あいさつ」のひと声から「結び目」ができることを期待したいものです。

4月25日「『消滅可能性』に抗う自治体の元気を」

 10年前に、増田リポートが出されたとき「896の市町村が消える『地方消滅』」と言われ「消滅可能性自治体」が名指しされました。

 そして、今回は「744自治体に消滅の可能性」と名指しされました。

 前回と比べ、消滅可能性自治体から脱した自治体は239に上り、一方で、新たに該当した自治体は99に上っています。

 だとしたら、この10年間で消滅可能性自治体から脱した自治体は、何をして脱したのか、逆に新たに該当した自治体では、手をこまねいていたのか。

 これまでの10年を総括しながら、これからの自治体のあり方が議論されることになるとは、思うが、移住促進という人口の「奪い合い」をこれからも、継続するのか。

 競って奪い合いをするだけでなく、むしろ、じっくりと地方で少子化対策を中心に、暮らしやすく働きやすく、子育てしやすい地域社会や自治体がつくられていくことで、人口減少に歯止めをかけていくことが、求められているのではないでしょうか。

 そして、多少人口が減って「机上の消滅可能性」が高まったとしても、地域住民、移住者、関係人口がいい関係性を築き、地域内での経済循環が促されるような施策に力を入れる中で、国全体の底上げにつなげて行くことになればと思ったりしています。

 しかし、むやみな自治体間競争や「選択と集中」による自治体切り捨てなどということだけは、させないようにしていかなければと思います。

4月23日「自民党は本気で政治資金規正法を改正できるか」

 朝日新聞社の直近の全国世論調査(電話)によると、自民党の派閥の裏金問題について、実態が「解明されていない」と答えた人は92%に達し、「解明された」という人は5%でした。

 自民党が関係議員に行った処分に「納得できない」は67%にのぼり、「納得できる」は24%、党総裁である岸田首相の処分見送りに「納得できない」は66%、「納得できる」は24%だったことも、含めて関係議員の処分などで、問題の幕引きはできそうにもありません。

 そのような中で、自民党自らが迫られていた政治資金規正法改正案の概要では、政治資金収支報告書への虚偽記載などがあった場合、議員本人が罰金刑となる要件を拡大し、悪質な不記載があった場合は不記載額を国庫に納付させることなども盛り込まれるとのことです。

 党関係者によると、議員が会計責任者の「選任」か「監督」のいずれかで相当の注意を怠った場合、議員を罰金刑の対象に含めることで罰則を厳しくし、収支報告書を提出する際、議員による「確認書」の添付を義務づける制度も検討しているとのことで、今日にも党政治刷新本部の全体会合を開いてとりまとめられます。

 26日に初開催される衆院政治改革特別委員会で各党が法改正に向けた考え方を表明することとなっているが、国民に理解される政治資金規正法の改正案となるのか、注視していきたいと思います。

4月22日「これも防災 復活『おしゃべりカフェ』」


 21日(日)に、コロナ禍で休止していた小倉町東丸池防災会とアルファステイツ知寄II防災会共催の「おしゃべりカフェ」が4年ぶりに再開しました。

 当時と同じく20人ほどの参加者が五目チラシとミニソーメンのセットに舌鼓をうちました。

 ミニソーメンは市販のものですが、五目チラシは町内会防災会の皆さんで作って下さったものです。

 物価高騰ではありますが、価格据え置きの500円ワンコインです。

 さらに、今までの食後のインスタントコーヒーが、今回からは、日の出弥生町防災会の助っ人による挽きたてコーヒーでさらに話も弾みました。

 この取り組みは、「下知地区防災計画」にある日常から地域コミュニティの活性化を図ることで、災害に「も」強い、災害時に助け合える街にしていくことを目指して、「地域の交流を深める」ために「津波避難ビルに住んでいる人と、津波避難ビルに逃げるかもしれない人が顔見知りになるようにする。」計画の具体化として、スタートしました。

 地区防災計画全体で多くのアイデアが出された中から、効果や実現可能性を考えた「下知ベスト10」とし、優先項目として、その中の「地域コミュニティの活性化、近所同士が顔なじみになるようにする。地域コミュニティ活性化のための様々な行事を行い、住民同士が顔見知りになり、いざというときに助け合える関係構築。」の一つです。

 今日も、久しぶりの開催ということもあって、約一時間半のランチタイム、コーヒータイム、おしゃべりタイムで賑わいました。

4月21日「マイナ保険証利用消極医療機関を通報」


 厚生労働省は、「マイナ保険証」の3月の利用率が5.47%だったと発表し、前月(4.99%)からわずかに増えたが依然低迷しており、医療機関に最大20万円を支給して患者への働きかけを促すとしています。

 上限は病院が20万円、診療所と薬局は10万円で、今後は利用者数の増加状況に応じて支給額を決め、患者にマイナ保険証の利用を呼びかけることなどを条件としています。

 そのような中で、河野デジタル相が自民党所属の国会議員に対し、マイナ保険証を受け付けない医療機関の報告を呼びかける文書を出していたことが判明し、政府のなりふり構わず普及を促進する姿勢が露骨になっています。

 河野氏の署名が入った「マイナ保険証の普及促進と行政のデジタル化へのご協力のお願い」と題した文書で、河野氏側が19日までに配布したということです。

 河野氏は、政府が医療機関にマイナ保険証の受け付けを義務づけている中、「受付をしていない病院や、患者が受付をしようとしているのに従来の保険証の提示を求める医療機関がある」と指摘し、各議員の地元の医療機関に対し、マイナ保険証の受け付けを働きかけるよう呼びかけています。

 さらに、受け付けをしていない医療機関があれば政府の窓口に連絡するよう求め、「必要に応じ、厚労省から医療機関に事実関係の確認などを行う」とも訴えており、いくら、マイナ保険証の利用が政府の思惑通りに進んでいないとはいえ、自民党政治家を利用した医療機関への圧力で利用促進を促すなどというのはいかがなものかと言わざるをえません。

 マイナンバーをめぐっては、昨年、健康保険証や公金受取口座とのひもづけの誤りが約1万6千件見つかったほか、今年に入ってもマイナ保険証がカードリーダーで読み取れない事例が報告され、本県などでも、保険医協会は、県内医療機関対象のアンケートで129の医療機関の約6割でマイナ保険証の使用によるトラブルがあったことを公表しています。

 マイナ保険証の都道府県別の利用率が初めて公表された際には、最も高い鹿児島県でも8.4%、最も低い沖縄県では2.3%にとどまり、全国平均では4.6%で、それを下回る高知県は、下位から10番目の4.16%でした。

 マイナ保険証の利用促進のために、自民党を使った監視通報の仕組みを求める強権さに恐ろしさすら感じます。

4月20日「災害ケースマネジメント」

 17日の危機管理文化厚生委員会の本庁業務概要調査で、「災害ケースマネジメントの実施体制に係る市町村向け手引き(Ver.1)」の出来上がりについて、質問をしました。
 
 令和2年9月議会で、初めて「災害ケースマネジメント」の導入について取り上げ、南海トラフ地震対策行動計画に盛り込み、取り組んで頂いていた市町村向けの手引きができあがり、17日にホームページにアップされたばかりでした。

 17日の質問でも尋ねた平時の重層的支援体制整備事業等、福祉施策との連携についても少し触れて頂いています。

 しかし、コンパクト感が強いかなと思っていたら、手引きの中に、「県の取組、また市町村の今後の取組状況を踏まえ、本手引きを随時改定し、取組方針で示した中期・最終目標に向けた取組内容を追加していく。」とありました。

 バージョン1であって、随時バージョンアップしていきたいとの考え方を示しています。

 私も、これまで以上に「災害ケースマネジメント構想会議」の皆さんにご指導頂き、現場に生かせる手引きとなるよう意見反映もしていきたいものです。

 公表された日の深夜に、高知で震度6弱の地震とは、何かこの手引きの持つ意義を余計に感じさせられた気がします。

4月19日「県西部地震被害を教訓に」

 四国で6弱を観測したのは、現在の震度階級が導入された1996年10月以降初めてであり、最大6弱の宿毛市をはじめ、県西部を中心に強い揺れに見舞われました。

 家屋倒壊情報はないものの、土佐清水市の民家の軒先が落下する一部損壊が1件、宿毛市では民家の窓ガラスが割れたり、天井の一部が崩落するなどの被害が相次いで発生しました。

 宿毛高校東側では、コンクリート製の橋が崩落し、西町3丁目では水道管が破損し、修復のため周辺の約20世帯が一時断水になったり、給水管破損の相談が市に60件ほど寄せられたとのことです。

 しかし、市には給水車がなく、要請を受けた高知市と四万十市、国土交通省土佐国道事務所が派遣して対応しています。

 また、梼原町松谷では落石と倒木で町道がふさがれ、5世帯10人が一時孤立しました。

 避難所開設は宿毛市のみで10か所最大23人の避難者が身を寄せています。 

 これが、県内全域に及ぶ震度6強以上の揺れの後に、津波が襲っていたらと思うと、現時点の備えで対応できていたのかと思います。

 まだ、被害の全容が判明しているわけではないので、教訓を引き出し、備えにどう反映していくのかは、これからの検討となります。

 「直接、巨大地震発生の可能性が高まったとは言えない」としても、いつ起きても不思議でない南海トラフ地震への備えが、迫られていることだけは確かです。

4月18日「高知、愛媛で最大震度6弱」

 昨夜、11時14分ごろ、豊後水道を震源とするマグニチュード6.6の地震があり、愛媛県愛南町と高知県宿毛市で震度6弱を観測したほか、中部地方から九州地方にかけて震度5強から震度1の揺れを観測しました。

 地震による津波がなかっただけでも、皆さん落ち着いた対応ができたようです。

 私は、居住しているマンションの大規模修繕工事中で足場に異常などないか周辺を点検して回りましたが、大きな変化はなかったようでした。

 それでも、愛媛県と高知県で震度6弱以上の揺れを観測したのは、現在の震度階級が導入された1996年以降初めてのことでしたので、皆さん驚かれたようです。

 私も、最大震度を記録した愛媛県愛南町と高知県宿毛市に在住の知人の安否を確認したことでした。

 気象庁によると、今回の地震は南海トラフ巨大地震の想定震源域の中で起きたものの、フィリピン海プレートの内部で発生したもので、想定されるプレート境界の地震とはメカニズムが異なるほか、地震の規模が小さいことから、南海トラフ巨大地震の発生の可能性が高まったとは考えていないとしています。

 そして、多くの皆さんが心配した伊方原発のある愛媛県伊方町は震度4の揺れを観測しましたが、四国電力では運転中の3号機の出力がおよそ2%低下していることが確認されたものの、運転に影響はないとして、周辺の放射線量を測定するモニタリングポストの値にも変化はないとしています。

 地震が頻発するこの国で、原発立地周辺住民がその都度心配を繰り返さなければならないことはいい加減やめにしてもらいたいものです。

 震度6弱を観測した宿毛市では電柱が倒れたほか、水道管から水が漏れ出したり。震度4を観測した梼原町では、町内松谷地区では地震による落石や倒木で道路が通行止めとなり、5世帯が孤立状態になっていますが、今朝から本格的な被害状況の把握がされると思いますが、大きな被害が出ないことを願うばかりです。

 気象庁は、揺れの強かった地域では地震発生から1週間程度、最大震度6弱程度の地震に注意してほしいとのことですが、皆さん改めて備えのチェックをしておきましょう。

4月16日「地元同意なしに再稼働に突き進む東電柏崎刈羽原発」

 新潟県柏崎刈羽原発の再稼働に向け、地元・新潟県の同意が得られる見通しが立たない中、東京電力は15日、7号機の原子炉に核燃料を入れる装塡に着手しました。
 
 能登半島地震では避難計画の実効性が問われ、原発から30キロ圏内の自治体からは同意対象の拡大を求める声も出ていますが、課題は置き去りのまま、再稼働への地ならしが進んでいる現状が突きつけられています。

 地元の同意がそろう前に燃料を入れるのは異例であり、2013年に新規制基準がつくられて以降に再稼働した他社の12基の原発はすべて、同意後に作業しており、燃料装荷を同意を待たずにやるなんて考えられないとの批判が高まっています。

 東電に原発を運転する事業者としての適格性があるのかどうかさえ問われた東電が、それでも作業を急ぐのは、同意後すみやかに動かして経営再建につなげたいだけでなく、早く作業を始めないと、またトラブルが起きるのを恐れているのではとの声も出ています。

 「原発を続けるということは、事故が起きる可能性を抱え続けることを意味する。福島第一原発事故では、その影響の大きさを私たちは思い知った。事故をひとたび起こせば取り返しのつかない事態を招くにもかかわらず、原発はなぜこうも優先されるのか。どうして、何のために必要とされているのか。」と青木美希氏は自著「なぜ日本は原発を止められないのか?」の中で、問いかけられています。

 地元同意も得られない中で、再稼働に突き進もうとする東京電力に改めて、「原発を運転する適格性はない」と言い続けたいと思います。

4月14日「熊本地震の教訓を備えに生かして」


 熊本、大分両県で計276人が犠牲となった2016年4月の熊本地震は14日、最初の激震「前震」から8年となりました。

インフラ復旧は大きく前進し、地震の約2カ月後に創設された熊本県の復旧・復興本部会議は今月5日付で廃止されたそうです。

 被害の大きかった益城町では4月14日夜の前震、16日未明の「本震」で、観測史上初めて震度7を2回記録しました。

 熊本、大分両県で計約4万3千棟の住宅が全半壊し、最大時には計約19万6千人が避難し、両県の犠牲者のうち、約8割に当たる221人が災害関連死だったのも大きな特徴の震災でした。

2021年3月時点の災害関連死の内訳状況は、以下のとおりとなっています。
 
 性別では男性が115人(約53%)、女性が103人(約47%)と、大きな差はなく、年代別では最も多いのが80歳代の75人(34.4%)で、70歳代以上の方は計169人(約78%)でした。

 既往症があった方は218人中190人(約87%)と大きな割合を占めていましたが、疾病では「呼吸器系の疾患」が63人(28.9%)と「循環器系の疾患」が60人(27.5%)と多く、「自殺」も19人(8.7%)となっています。

 原因区分別では「地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担」が112人(40%)と最も多く、「避難所等生活の肉体的・精神的負担」の81人(28.9%)、「医療機関の機能停止等(転院を含む)による初期治療の遅れ(既往症の悪化及び疾病の発症を含む)」の14人(5%)、「社会福祉施設等の介護機能の低下」の9人(3.2%)が続きました(複数回答のため計280件)などとなっています。

 災害関連死が直接死の4倍だった熊本地震から、復興過程で「誰一人取り残さない復興」は、8年が経った今、まさに正念場であり、地震前の住まい、暮らしを再建できず、孤立や苦労を強いられる住民をどう支えるのか。

 初期フェーズで災害ケースマネジメントに取り組まれたこともあったが、地域や住民間の復興格差が広がりかねない中、県や市町村がこれからも被災者に長期的に寄り添うとともに、地域社会の見守りも重要になっていることが、平時から求められることになろうと思います。

 我々が向き合わざるをえない南海トラフ地震、首都直下地震への警戒に加え、今年3月以降に宮崎県などで震度5弱が相次いで観測されている今、熊本だけでなく、全国で油断することなく備えたいものです。

4月12日「緊急事態条項改憲先取りの地方自治法改正に異議あり」

 政府は3月1日の閣議で、大規模災害や感染症のまん延といった非常時に国が自治体へ必要な指示ができる仕組みを盛り込んだ地方自治法改正案を決定しました。

 改正案では、事態が全国規模だったり、局所的でも被害が甚大だったりする場合などに指示権の発動を認めるもので、想定外の事態が発生しても、国民の安全確保へ迅速な対応を取れるようにすることが目的とされています。

 能登半島地震の対応を受けて、緊急時により迅速にとあたかも言いたげな今回の法改正は、これまで緊急事態条項改憲が進まないなら、地方自治法改悪によって、地方から地ならしをしようとの狙いが見え見えではないかと言いたくなります。

 災害時の緊急事態は現行の「災害対策基本法」の第105条にもありますし、第108条の3には、国は緊急事態の時、国民に協力を要求できると書いてあるにも関わらず、後手後手に回っているのは国の災害時対応の不十分さ以外の何物でもありません。

 日本弁護士連合会は、3月13日に「地方自治法改正案に反対する会長声明」で、次のように指摘しています。

 「大規模災害及びコロナ禍については、災害対策基本法や感染症法などの個別法で国の指示権が規定されているのであるから、さらに地方自治法を改正する必要性があるのかが疑問であり、その点が法案提出に際して、十分に検討された形跡はない。また、法案は、現行法の国と地方公共団体との関係等の章とは別に新たな章を設けて特例を規定するとして、この点において法定受託事務と自治事務の枠を取り払ってしまっている。さらに、法案は「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合」、「地域の状況その他の当該事態に関する状況を勘案して」など曖昧な要件で指示権を認め、「緊急性」の要件を外してしまっており、濫用が懸念される。そして、2000年地方分権一括法が「対等協力」の理念のもと法定受託事務と自治事務とを区別して、自治事務に関する国の地方公共団体への指示権を謙抑的に規定した趣旨を没却するものであり、憲法の規定する地方自治の本旨から見ても問題である。」

 また、最近は国に対して、物言う姿勢を後退させている全国知事会でも、この法案の閣議決定を受けて「法案上必ずしも明記されていないと考えられる点もあることから、国の補充的な指示が地方自治の本旨に反し安易に行使されることがない旨が確実に担保されるよう、事前に適切な協議・調整を行う運用の明確化などが図られるよう強く求める。」との会長コメントを出しています。

 今国会に提出されている、大変問題の多い緊急事態条項改憲先取りの地方自治法改正案は、安易に成立させてはならないものであると思います。

4月10日「万博会場建設現場で、ガス爆発」

 日本国際博覧会協会は8日、公式ホームページで「みんなで『大阪・関西万博開幕1年前』を盛り上げましょう!」と呼びかけ、公式キャラクター「ミャクミャク」と「くるぞ、万博。」と書かれたイメージ画像をダウンロードしてSNSに投稿するよう訴えかけています。

 そして、政府も万博盛り上げに躍起で、機運醸成につぎ込まれる国費は約40億円だと言われています。

 そこまでしなければならない大阪・関西万博会場建設現場で3月28日、地中の廃棄物から出たメタンガスが原因とみられる可燃性ガスに、工事中の火花が引火して爆発する事故が発生しました。

 現場は、会場西側の「グリーンワールド」工区の屋外イベント広場横のトイレ1階部分で、溶接作業中に発生した火花が、地面と床の隙間にある配管ピット内にたまったガスに引火し、爆発し、1階床が破損したが、けが人はなかったとのことです。

 この工区は計155haの会場のうち西側の43haを占めており、広場の他に店舗などが入る営業施設などが建てられる予定で、廃棄物処分場だった所で可燃性ガスが発生しているとのことです。

 メタンガスは生ごみなどが廃棄された埋め立て地でも発生することが知られているため、今回事故が起きた現場も以前から危険性が指摘されており、昨年11月の参院予算委員会では、社民党の福島瑞穂議員が「現場でメタンガスが出ている。どういう状況か。火がついたら爆発する」と質問し、自見万博担当相は「関連省令に基づき配管施設を設置し、ガスを大気放散していると聞いている。万博の開催時に危険はないと考えている。」と答弁しています、

 工区には約80本のガス抜きをする管が設置されているというが、名古屋大名誉教授竹内恒夫氏(環境政策論)も「ごみが捨てられたことは分かっているのだから、ガスが発生することも分かっているはず。発酵が終わるまで危険性がなくなることはない」と指摘しており、事故現場は会場に不適当でなことは明らかであり、このままの開催には無理があります。

4月9日「ダブルケアで離職する前に」

  安倍政権は2015年に策定した「女性活躍加速のための重点方針」で、子育てと介護を同時に担うすダブルケア問題を取り上げ、負担軽減の対策を進めると明記しました

 そして、内閣府は翌年、ダブルケアラーが全国に25万3000人いるとした初の推計値を公表し、16年版の厚生労働白書には「乗り越えなくてはならない課題」と明記されたが、子育てと介護の担当部署が異なる縦割り行政の弊害などを背景に有効な支援が広がっていないと言われています。

 「ダブルケア問題の実態について調査を行い、負担軽減の観点から対策の検討を進める」と政府の文書で触れられてから9年が経った今、子育てと介護を同時に担うダブルケアラーの支援法案が、野党から国会に提出されることになり、重い負担や悩みに直面する担い手たちの切実な声が、政府・与党に届くことを願うばかりです。

 ジェンダー格差や孤立、社会の無理解など、ダブルケアには多くの問題が潜んでおり、特に深刻な課題として貧困につながる離職の問題があります。

 毎日新聞が国の統計を基にした推計29万3700人のダブルケアラーのうち、20万3700人が過去に離職を経験し、この35%は原因に育児や介護だと独自集計で明らかにしています。

 ダブルケアによって離職する前に、「ちょっと助けてと言いやすい、優しい社会になってほしい」との思いが実現できる支援法となることが期待されます。

4月8日「種子・農業守ってこその国防」


 先日、「4・4タネを守る、院内集会」に、ZOOM参加し、現在国会に提出されている「食料・農業・農村基本法」改正案と、食料危機時の対応の枠組みを定めた「食料供給困難事態対策法案」など関連法案の危険性と「みつひかり」不正事件から考える種子の自給など日本の種子問題についての議論を聴かせて頂きました。

 私も含めて3月20日現在、47都道府県141自治体の議員252 名が参加している「食料自給の確立を求める自治体議員連盟は3月21日、国会内で基本法に関する政府への要請を行っており、今回も会場参加300人弱、ZOOM参加200人以上の仲間とともに参加していました。

 東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授鈴木宣弘先生の「基本法と日本の種子問題」に関しての提起で、農業の憲法とも言える「食料・農業・農村基本法」の25年ぶりの改定で、種の自給どころか食料自給率そのものが入っていなかったことをはじめ、現状の農業・農家の疲弊状況、種が自給できなければ実質自給率9.2%に過ぎない我が国の農業で、これ以上他国に依存することにでもなれば、国民の命を守れないと指摘されました。。
 
 有事には、命令して農業生産を高めさせるといっても、そのようなことはできるはずはなく、また、種子法が改悪されて以降、外国からの種を止められたら野菜の自給率は8%に留まることなどからも種を守ることこそが国防であり、このような状態を放置するのではなく、自分の命の問題として、法改正に種を守ることが入れられるべきだとも言及されました。

 そして、何よりも、力点を置くべきは苦しんでいる農家を支えて、今度こそ自給率を向上させ、水田をフル活用し、国内生産を守り、国の責任で買い取り備蓄と援助に回すことこそ食料安全保障であり、「武器は命を奪うもの、食料が命を守るもの。食料を守ることが国防である。」との言葉で締めくくられました。

 また、民間の育種技術が向上したことから全国一律に都道府県に種子の供給を義務づける必要がなくなったとして、種子法が廃止された際の錦の御旗であった「みつひかり」の不正事件から考える種子の自給について、岩月浩二弁護士からの報告も頂きました。

 種子法廃止の錦の御旗であった「みつひかり」は、三井化学が種子生産・販売事業については、技術的、経済的、人材的要因から本事業を継続することは困難な状況にあり、令和8年以降に向けては別の品種への切り替えを検討して頂きたいと栽培農家に対して撤退予定の旨を昨年暮れに通知しています。

 まさに、民間に任せて種子を自給することは不可能であったことが、明らかになっています。

 とにかく、「食料・農業・農村基本法」改正案や農業関連法案をこのままで、成立させるわけには、いきません。

 抜本的な改正を求めて、国民の皆さんに関心を持っていただくことこそが大事です。

4月5日「今年度は危機管理文化厚生委員会で頑張ります」

 昨日は、組織委員会ということで、今年度の常任委員会の委員長、副委員長などの選任が行われました。

 私は、今年度は危機管理文化厚生委員会に所属し、所管する部局は、危機管理部、健康政策部、子ども・福祉政策部、文化生活部、公営企業局となります。

 本県における喫緊の課題である少子化対策や南海トラフ地震対策をはじめとした多様かつ重要な課題について、審議することとなりますが、私にとってはライフワークの南海トラフ地震をはじめとした災害対策と福祉政策をフェーズフリーの取り組みとして、県政の柱にしていけるよう頑張りたいと思っています。

 16日から3日間で、本庁業務概要調査を行い、5月には8日から9日間かけて、所管の出先機関を調査させて頂きます。

 その際には、またそれぞれの出先機関の抱える課題や成果などについても随時報告させて頂きたいと思います。

 なお、私たち「県民の会」会派の各議員の所属委員会は次のとおりとなっています。
 
 橋本敏男議員「産業振興土木委員会」、田所裕介議員「総務委員会」、岡田竜平議員「商工農林水産委員会」で、田所議員は議会運営委員会の副委員長に就きました。

 新年度も、県民の会で連携を取りながら、県民の皆さんに寄り添う議会活動を行っていく決意です。

 よろしくお願いします。

4月4日「被災地の断水で考える水道インフラの事前整備」

 能登半島地震から3カ月が過ぎ、未だに被災地の断水が継続していることが、報道されています。

 元日の震災で、断水は一時、16市町の約11万戸に及び、3月1日時点で7市町の約1万8千戸まで減り、知事は珠洲市も一部地域を除き「3月末までに復旧できる」との見通しを示していました。

 しかし、県の今月2日の発表では、残り4市町の約6680戸まで復旧したものの、このうち珠洲市だけで契約戸数の8割超にのぼる約4250戸となっています。

 県は、「想像以上に浄水場や配水管の被害が大きかった」と説明しているが、水道管1キロあたりの損傷は、熊本地震の熊本市で0.03カ所、東日本大震災の仙台市で0.07カ所で、能登半島地震では、珠洲市に比べれば復旧が進んでいる隣の輪島市でも2.63カ所に達しています。

 水道の復旧のために全国から派遣された自治体職員らは延べ3万人を超えていますが、金沢大の宮島昌克名誉教授(ライフライン地震工学)は「断水が長引くほど地元で事業や生活の再建を望む人が減り、被災地以外に転出する可能性が高まる」と指摘し、「復興の活力を失わないよう全国の自治体による復旧支援に加え、損傷部分を簡単に把握できる新たな技術の導入など、復旧を早める手法も検討すべきだ」と言われています。

 そのようなことが、今後の水道インフラ整備に求められる中、安倍政権のもとで2017年に水道法が改悪され、水道の運営権を民間企業に売りやすくしました。

 日本は世界一の水道技術と、蛇口から出る水を安全に飲める数少ない国ですが、実は、日本中を走る74万キロの水道管のうち2割が耐用年数超で上水道で300㌔以上、下水道で100㌔以上を、今すぐ直さなければならないと言われています。

 「今、能登が直面していることは、全国どこでも起こってもおかしくないのです。水道管の劣化について、政府もマスコミも「財政難」と「人口減」を理由に、できるだけ民間企業に委託するよう、自治体をプッシュしてきましたが、自然災害だらけの日本で、世界一の技術を伝承させず、地方を非常時に弱い民間委託にさせておくのは、自分の首を絞めているようなもの。」と、堤未果氏は著書「国民の違和感は9割正しい」で指摘されています。

 改めて、この国の水道インフラの事前再整備こそが事前復興の最重要課題だとも考えさせられます。

4月3日「7道県16施設の軍事化への一歩」

 政府は1日、総合的な防衛体制強化の一環で、有事に備え平時から自衛隊や海上保安庁が使用できる「特定利用空港・港湾」の第1弾として、本県の3港をはじめ7道県16施設を選定しました。

 南西有事などをにらみ、平時でも活用可能にすることで対応能力の向上を図上で、2024年度予算に関連費約370億円を計上しました。

 政府は昨年秋ごろから候補として挙げた空港や港湾がある自治体に協力を求めてきたが、その際、「民間の大型のクルーズ船も入れるし、国による災害派遣も効率的に行えるようになる」などと「アメ」をちらつかせるとともに、「軍事」のイメージを拭うため、調整の過程で表現を変更したりもしています。

 当初は軍民両用を意味する「デュアルユース」という言葉を使っていたが、自治体からは「攻撃目標にされるのでは」といった指摘があったことから、「民生利用」へと切り替え、枠組みの名称も「特定重要拠点空港・港湾」という仮称を用いていたが、「特定利用空港・港湾」としています。

 そのような中でも、沖縄県では、新石垣空港や与那国空港は沖縄県が管理しており、「一番の懸念は日米の共同使用。安易な運用にはクギを刺しておかなければ」との慎重姿勢から、同意せず、特定利用空港に指定されていません。

 また、鹿児島県は2空港6港が調整対象に挙がっていたが、「国からの説明を十分にいただけていない段階で、判断する材料が整っていなかった」として指定に同意していません。

 さらに、福井、熊本県からも「施設が所在する自治体への説明不足」などを理由に了解が得られませんでした。

 このような姿勢で対応してきた県がある中、高知などは県民に十分な説明も行われず、有事の際の国民保護や避難計画なども検討されないままに、拙速に同意しています。

 下記のように、予算が配分されていますが、これからもこのような「アメ」に釣られた軍事化が進んでいくのでしょうか。

 県名 空港 予算額(億円)
 福岡県  北九州 63
 長崎県  長崎 19
       福江 2
 宮崎県 宮崎 27
 沖縄県  那覇 72
 道県名 港湾 予算額(億円)
 北海道  留萌 3
       石狩湾港 19
      釧路  26
      苫小牧 24
      室蘭 2
 香川県 高松 5
 高知県  高知 18
      須崎 8
       宿毛湾港 2
 福岡県  博多 17
 沖縄県  石垣 25

(注)福江空港以外の空港は維持管理費39億円を別途計上

4月2日「39人の処分で自民裏金プール・キックバック事件の幕引きはさせない」

 自民党は昨日、派閥の裏金プール・キックバック事件をめぐり、過去5年間の政治資金収支報告書への不記載・不適正記載総額が500万円以上の議員らと、「『派閥』の幹部の立場にありながら適切な対応を取らず大きな政治不信を招いた者」一部の安倍派幹部を含む計39人を処分対象とする一方で、党総裁の岸田首相と二階元幹事長に対する処分を見送ることを決めました。

 「大きな政治不信を招いた者」とされる安倍派座長の塩谷立元文部科学相、下村博文元文科相、西村康稔前経済産業相、同派参院側トップの世耕弘成前党参院幹事長の一部に対し、処分で2番目に重い「離党勧告」とする方向で調整しているとされています。

 しかし、首相自身の処分見送りは、自身で責任回避を試みたと映るため、党内外から批判が噴出する可能性が高いし、4日に正式に処分を下し、これで幕引きを図るのであれば、許されるはずはありません。

 「1994年政治改革」が、派閥の裏金事件を含め政治とカネ事件の発生を防止できなかったことからも、衆議院の選挙制度を中選挙区制から小選挙区比例代表制にし、税金を原資にした政党助成金導入は明らかな失敗であったことを踏まえた抜本的な政治改革を本気でやらない限り、真の政治改革は果たせませんし、政治の信頼は取り戻せません。

4月1日「『住まい』の確保の遅れが復興の遅れに」

 能登半島地震から3か月、月命日の4月1日を迎えました。

 3月29日の石川県発表では死者244名、内災害関連死が15名にのぼり、75、441棟の住家被害、未だに8千人を超える人が避難生活を続けられています。

 石川県では、応急仮設住宅(建設型)のこれまでの入居申請が少なくとも約8300件に上る中3月末の完成戸数は約1600戸で需要に追いつかない状況が続いています。

 安定した住まいの確保が困難で、生活再建や復興に向けた過程の中で、元の住まいのあった被災市町村からの人口流出が大きな課題になっています。

 私たちが、おたずねしたり、来ていただいたりする中で、東日本大震災の復興から学ばせて頂いた宮城大の阿部晃成・特任助教は3月、輪島市議会の勉強会で「被災者が避難所から2次避難所、みなし仮設とどんどん移動していく。地域への思いを維持するのは難しい」と訴えられたことが、今朝の朝日新聞にも出ていました。

 東日本大震災では、地域の仮設住宅にわずかな住民しか入れなかったことが影響し、地域の復興が滞って人口減少が加速した例もあったと記事にはありますが、下知地区で聴かせて頂いた京大防災研の牧先生も仮設住宅が早期に確保できないことが復興の遅れに繋がることを強調されていたことを思い出します。

 石川県が3月28日、能登半島地震からの「創造的復興」に向けた計画の骨子案を示した際に、29日付朝日新聞で、石川県災害危機管理アドバイザーを務めてきた神戸大名誉教授の室崎益輝先生は、「被災地の風景はほぼ震災直後のまま。がれきの撤去すら終わっていない。東日本大震災や熊本地震と比べ、遅すぎます。前例のない地震が起き、前例のない被害が出ました。ならば、前例のない対策が必要です。」と述べられ、「骨子案をまとめるのに、これまで被災者の意見はどれほど聞き取ったのでしょうか。これから案を見直し、深めていく作業が必要です。原形がなくなるほど手を入れ、復興への道筋を考えてほしい。そうすれば、描いた絵に向かって後は走り出すだけです。」と結ばれています。

 災害前から、このようなことを考えておくだけでも、災害後の復興の着手が早くなるようにとの思いで、粘り強く事前復興について考え、議論し、可視化を図っていきたいものです。

3月30日「子どもの自殺を防ぐためにも寄り添えるおとなが身近に」

 1月28日に、ここで2023年の自殺者数の暫定値を2万1818人、小中高生は過去最多に次ぐ507人であったことを報告させて頂きました。

 昨日、確定値が公表され2万1837人で、前年より44人(0.2%)減少しています。
 
 自殺者の総数は、03年の3万4427人をピークに、19年には2万169人まで減少したものの、コロナ禍以降は再び増加傾向に転じていました。

 昨年は、70歳以上で減少幅が大きかった一方で、小中高生の自殺者数は、過去最多だった22年の514人に次ぐ513人で、コロナ禍以降、子どもの自殺者数が高止まりしている状況にあります。

 厚労省によると、小中高生の原因・動機別の分析では、「学校問題」が最も多く、261件で、「健康問題」が147件、「家庭問題」が116件と続いており、さらに詳しく見ると、学校の問題のうち、「学業不振」が65件、「進路の悩み」が53件、「いじめ以外の学友との不和」が48件となっています。

ネットで若年層の相談を受け、自殺防止に取り組むNPO法人「OVA」の伊藤次郎代表によると、子どもがほとんどの時間を過ごす家庭と学校では、親も教員も多忙で、時間も気持ちにも余裕がなく、「地域社会から、子どもの居場所となり得る『中間共同体』が失われ、相談できる大人が近くにいない」と話されています。

 そして、「積極的な支援をうまく受け取れない子どもも多く、学校の教職員など身近な大人が、変化に気づいて声をかける「ゲートキーパー(門番)」の役割を果たすことが重要」とも指摘されており、今こそ課題や悩みを抱えた子どもたちにしっかりと寄り添える環境を作り出すためにも、おとなのゆとりも必要になっていると言えます。

3月28日「特定利用港湾指定撤回に向けて」

 昨日、政府は防衛力強化の一環として、有事の際の自衛隊や海上保安庁による使用に備えて整備する「特定利用空港・港湾」に、本県の3港湾をはじめ7道県計16カ所を指定する方針を固めたことが、報じられています。

 部隊展開や国民保護活動、訓練の拠点を確保するためのもので、2024年度に整備事業を始める初年度の予算は計350億円程度となる見通しとのことです。

政府は22年末に策定した国家安全保障戦略に、台湾有事の懸念を念頭に、国民保護や有事の際の円滑な利用・配備を目的として「有事の際の対応も見据えた空港・港湾の平素からの利活用に関するルール作りを行う」と盛り込んでいるだけに、何よりも中国の海洋進出や台湾有事への懸念が県民に生ずるのは当然です。

 それを無視して、災害時に活用できることなどをメリットとして、有事に軍事拠点と見なされ攻撃目標となる危険など整備の必要性とリスクの丁寧な説明のないまま、「指定受け入れ」を判断した浜田県政のやり方に、県民の怒りは高まっています。

 そのような状況の中で、港湾管理者の県が合意したことを受け昨日、「郷土の軍事化に反対する県連絡会」と「高知憲法アクション」主催の抗議集会が県庁前で開かれ、約200人が参加しました。
 
 私も県民の会の同僚議員らとともに参加し、「県民の不安、怒りの声が届いているなら、今からでも合意を撤回すべき」と訴え、県議会6月定例会に、受け入れ撤回を求める請願書の提出を目指す取り組みに協力していくことを確認しあいました。

 さすがに、沖縄県などは、国の意図をしっかりと見極めているからこそ、最多の12カ所を候補とされながらも、県管理施設は同意せず、、国管理の那覇空港など2カ所にとどまっています。

 そのような動きを高知県でも作っていくためのスタートとする集会となりました。

3月26日「不登校要因の受け止めに乖離」

 今朝の共同通信の配信記事で、2022年度に不登校を経験した小中高生や担任らに要因を尋ねた調査結果に関する記事がありました。

 要因として、「いじめ被害」「教職員への反発」の項目に該当すると回答した割合が、学校側は子ども側より20ポイント以上低く、認識に大きな差があることが文部科学省の委託調査で分かったとのことです。

 この調査では、教員1424人と児童生徒239人に、複数回答で不登校のきっかけを質問したところ「いじめ被害」は子ども側26.2%、学校側は4.2%、「教職員への反抗・反発」「教職員とのトラブル、叱責」は、子ども側がそれぞれ22.0ポイント、32.4ポイント、14.7ポイント高く出ています。

 調査報告書は「教員の態度や指導方法が要因の可能性がある」と指摘するとともに、学校が子どもの状況を十分に把握できていない実態が浮かび、重大ないじめを見逃している可能性もあるとのことです。

 文科省が学校のみを対象に毎年度実施している「問題行動・不登校調査」では、「無気力・不安」が要因の過半数を占めるなど、実態との隔たりが指摘されており、文科省は今回の結果を受け、問題行動・不登校調査の手法を見直す方針とのことです。

 「体調面の不調」は子どもの7割が挙げたのに対し、学校側は2割にとどまっており、報告書は、1人1台配備の学習端末を活用し、心身の変調の早期把握が重要だとしています。

 鳴門教育大の阪根健二特命教授(学校教育学)は、「教員がいじめではないと判断したことでも、子どもがいじめだと感じていることは少なくない。今回の調査結果からは、そういった教員の認識の甘さが子どもとの隔たりを生んでいる可能性が見えてくる。確かな数値でこうした乖離を示した意義は大きく、教員が不登校に関して考え直す良いきっかけになるだろう。」と指摘されています。

 先生方と子どもたちの間での認識の隔たりを改善するのは、どのような方法が最も良いのか、そしてそれを実践するためには、何よりも先生方が子どもたちとしっかり向き合える環境を作っていくしかないのではないかと考えさせられます。

 新年度を迎える中、それぞれの学校で先生方と子どもたちがしっかりと向き合えることのできる環境ができればと思います。

3月25日「公共交通こそ我々の社会インフラ」

 昨日から、高知新聞で、「明日の足 高知の公共交通を考える」連載第4便が始まりました。

 そして、県内市町村が、路線バスや鉄道に加え、コミバスや福祉タクシーなどで高齢化する地域の移動手段を確保するのに、いかに苦労しているのか、公共交通維持に向けた自治体の課題と苦悩が描かれようとしています。

 そんな矢先の23日に、私も理事をしている高知県自治研究センターの主催で「どうする?どうなる?私たちの公共交通~大切な社会インフラのいまとこれから」のテーマで公共交通について考えるシンポジウムが開催されました。

 戸崎先生からは、「コロナ禍が示した公共交通の位置づけ」「高齢社会における公共交通の役割」「公共交通の経営難」「運転手不足への対応、労働力の充実に向けて」「2024年問題」「街づくりと公共交通」「公共交通が活かせるようなまちづくり」「公共交通における今日的評価と社会的認知の向上促進」などの課題について、お話しいただきました。

 また、戸崎先生も交えた交通事業者らとのパネルディスカッションでもフロアーとのやりとりも含めてパネラーの皆さんのお話は貴重なものでした。

 特に、印象に残った点を下記に記しておきます。

▼公共交通を費用対効果で考えるだけではダメであって、社会的効果を評価しなければならない。そして、交通は社会生活の基盤として、何が成果か見えるようにしなければならない。

▼マイカー中心の道路・交通行政が、今の交通行政の弱体化を招いた。自治体のトップがその気にならなければならない。その熱量によって変わる。

▼公共交通は、高齢化社会を支えるインフラになっているという社会的認知の向上促進が求められている。

▼路面電車という基盤があるメリットを捨てる必要はない。

 また、自治研究センターでは、昨年、「高知市における公共交通のクロスセクター効果試算及び利便性向上による利用促進政策」の提言書を高知市に提出し、路線バスと路面電車を乗り換えできるよう、結節点を整備することなどを提案しており、今後さらにこの提言をブラッシュアップすることのアドバイスなども頂きました。

 いずれにしても、高知新聞の連載記事も含めて「明日の足 高知の公共交通」を考えていきたいものです。

3月23日「特定利用港湾指定に見る県の強硬姿勢」

 「県民の安心・安全を蔑ろにしかねない課題に対して結論を出すには、あまりに拙速でないですか。」

 そんな声が、高まっています。

 それを「安保法制反対」の声と一括りにして、十分に声を聴き、理解を求めようとしない姿勢に終始することでよいのでしょうか。

 県は、昨日県庁ホームページ「特定利用港湾の指定の受け入れについて」に次のように報告しています。

○県では、高知港・須崎港・宿毛湾港に係る特定利用港湾の指定の受入れについて合意する旨、令和6年3月22日に国へ文書回答を行いました。  

○国におけるこの取組みは、国家安全保障戦略(令和4年12月16日閣議決定)に基づき、平素から、必要に応じて自衛隊・海上保安庁が民間の空港・港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との間で「円滑な利用に関する枠組み」を設け、これらを「特定利用空港・港湾」とし、その上で、それらの空港・港湾について、あくまで民生利用を主としつつも、自衛隊・海上保安庁の航空機・船舶の円滑な利用にも資するよう、必要な整備や既存事業の促進を図るという内容のものです。

 こんな紋切り型の報告で、県民が納得するとでも思っているのでしょうか。
 
 そして、国への回答文書は次の通りです。

 「総合的な防衛体制の強化のための公共インフラ整備について(回答)」との表題に続いて、「令和6年3月8日付けで依頼のあったうえのことについて、「高知港・須崎港・宿毛湾港における港湾施設の円滑な利用に関する確認事項」を確認しました。」

 ここには、県民の思いは何も感じられません。

 県民の思いを切り捨てるような、こんな県の棄民姿勢に県民の気持ちが離れ、県政への諦め感が生ずるのを危惧するばかりです。

3月22日「『特定利用港湾』にはリスクを上回るメリットがあるのか」


 19日に、「特定利用港湾」の候補になっている高知港(新港含む)、須崎港、宿毛湾港がある高知、須崎、宿毛3市と県は、公開で意見交換会(こちらから画像も資料も公開されています)を開催しました。
 
 自衛隊艦船による訓練などを通じた防災面での利点を挙げた一方、県民の不安払拭に向けた丁寧な説明を県に求める中、県港湾・海岸課が特定利用港湾の概要やこれまでの経緯を説明し、3月末までに政府と合意文書を取り交わしたいとの方針を了承しました。

 県は、12項目の「県版Q&A案」を提示し、高知新港開港時(1997年)に県議会が全会一致で可決した「港湾の非核平和利用に関する決議」は船舶に非核三原則の順守を求めるもので、自衛隊艦船はこれを順守しているため、「今回の指定同意は決議に反しない」とか「自衛隊艦船の利用実態の変化は年数回の訓練増加程度と微小で、攻撃目標とみなされる可能性を有意に高めるものではない」などとしています。

 しかし、これらについても疑問や懸念が解消されるものでなく、Q12に対する回答として示された、「県としては、これまでの国との協議の結果、「特定利用港湾」の指定受け入れに関しては、これに伴って想定されるリスクを上回る、十分なメリットが認められるのではないかとの心証を得ている。」などと言い切れるものでしょうか。

 該当3市の首長は、不安を抱いている市民・県民に対する責任がどこまで果たせるのか、また、県としても浜田知事が掲げる目指すべき高知県像の一つとしての「安全・安心な高知」は「南海トラフ地震対策やインフラ整備」によるものだけでなく、平和であることこそが大前提であることが、確認されるべきではないかと思われます。

 19日には、県内の平和市民団体や政党などでつくる「郷土の軍事化に反対する県連絡会」が、政府が防衛力強化のため整備する「特定利用港湾」の受け入れに反対する署名4260筆を浜田知事宛てに提出する場に、県民の会や共産党会派の議員とともに、立ち会わせて頂きました。

 そして、夕方の19日行動では、3市と県の意見交換の中で、いずれも「県の意向を尊重する」と表明し、指定を受け入れる県の方針を了承したことに対する抗議の行動が行われました。

 県民の声を十分聞かず、理解をえないままの余りに拙速な進め方に、県民の怒りが高まっていますし、「防災のための重要な整備」との大義を優先していますが、災害時に救援活動が行われるのも平和であればこそです。

 有事の際の武力攻撃のターゲットにされる可能性を、「防災」という隠れ蓑で覆い隠して強行することがあってはなりません。

 寺田寅彦は、「天災と国防」の中で、「今度の風害が『いわゆる非常時』の最後の危機の出現と時を同じゅうしなかったのは実に何よりのしあわせであったと思う。これが戦禍と重なり合って起こったとしたらその結果はどうなったであろうか、想像するだけでも恐ろしいことである。」「戦争はぜひとも避けようと思えば人間の力で避けられなくはないであろうが、天災ばかりは科学の力でもその襲来を中止させるわけにはいかない。」と述べられています。

 「戦禍」という有事は、「天災」の襲来と違って、「人間の力で避けられる」のである。

 そのために、全力を尽くすことこそが、政府・自治体には求められているのではないでしょうか。

3月18日「特定利用港湾の同意に反対を」

 私たちも、1月15日に平和憲法ネットワーク高知をはじめ、護憲連合高知県本部、高知県平和運動センターの三者で、防衛力の強化のため国が整備・拡充を予定している「特定重要拠点空港・港湾」について、高知県内での整備に反対するよう、県に申し入れていました。

 しかし、県は、政府が特定利用空港・港湾の考え方を26項目にまとめたQ&Aを公表したことから、浜田知事は県議会の質問戦でQ&Aをなぞる形での答弁に終始し、県民への説明を丁寧に行おうとせず、声を十分に聞くこともせずに3月中に合意を図ろうとしています。

 Q&Aでは、「有事の利用を対象としない」「施設の円滑な利用に関する枠組みを設けるが、そのことのみで攻撃目標とみなされる可能性が高まるとは言えない」「自衛隊は武器・弾薬を含む物資輸送や部隊の展開のため、海上保安庁は火工品や弾薬の積み降ろしのために利用することがある」などと記したものではあるが、これらの文面だけでは読み取れない疑問点は残っています。

 11日の県議会産業振興土木委員会委員に資料として配布された「特定利用港湾」確認案(写真)が明らかになりましたが、これまでも本会議で指摘されてきた「重要影響事態」(自衛隊として武力行使はできないが米軍の支援が可能)や「存立危機事態」(自衛隊が集団的自衛権に基づき、日本が攻められていなくても米国などと共に反撃できる事態)が、除かれていないことが確認できます。

 知事は、この間「民生利用を主とした平時の訓練の枠組み」と説明してきましたが、確認案では、敵地を攻撃する米軍への武器弾薬の補給や米軍とともに自衛隊部隊が出撃する事態にも用いられることも含んでいるものと思われます。

 「郷土の軍事化に反対する県連絡会」では、改めて12日に、県に受け入れに同意しないよう「本県港湾の特定利用拠点化に同意しないこと」「アジア諸国との平和外交を行うことで平和と善隣友好の機運を醸成する」「県民の合意を経ないまま拙速な判断をしないこと」の3点を申し入れています。

 明日19日14時から公開で、「特定利用港湾に関する意見交換会」が共済会館で開催されますが、高知港、須崎港、宿毛湾港がある3市は県民の声を踏まえて意見交換をして頂きたいものです。

3月17日「地方のけじめこそ求められているのではないか自民党」

 昨日の全国幹事長会議、そし今日は党大会を開催している自民党は、裏金問題を巡って地方組織がけじめを要求しているとのことです。

 しかし、その地方組織においても、政党から政治家個人に支給され、使途を明らかにする必要のない「政策活動費」と同様の制度が16道府県連に設置されていたことが、昨日共同通信の調査で分かったことが報じられています。

 派閥パーティー裏金事件を通じて政策活動費の不透明さが問題となり、野党が国会で制度廃止を提案されてもいますが、裏金事件で議員が逮捕された愛知県連は廃止を決めたが、他は廃止や使途の公開に後ろ向きのままで、政治資金のブラックボックス化が地方にも広く定着している現状が浮き彫りとなっています。

 31都府県では政策活動費と同様の制度が確認されなかったとのことですが、近畿ブロック青年局の不適切懇親会など、国民からの信頼を失うことばかりが露呈する自民党に政権を担う資格はあるのかとの声が高まっています。

  最新の共同通信の世論調査(3月9~10日実施)での政党支持率では、自民党が前回比7ポイント減の24.5%で、立民、維新、共産、国民、「れいわ」などオール野党の支持率を足した数値を比較すると、自民24.5%VS野党36.5%とオール野党が12ポイントもの大差をつけて自民を上回っています。

 この支持率をしっかりと定着させる野党の取り組みも求められています。

3月15日「仮の議事録ですが、ご覧ください」

 7日に一問一答で質問させて頂いた際の質問と答弁のテープ起こしができましたので、仮の議事録としてこちらにリンクを貼っておきますので、関心のおありの方はぜひご一読ください。

 今回は、予定していた「孤独・孤立対策」の質問まで足らずで行き届かず、災害対策関連の質問のみで終わっています。

 能登半島地震から見えてきた高知でも備えなければならない課題について質す中、少しでも加速化できたらとの思いで質問させて頂きました。

 各常任委員会では、付託議案についての採決が全て終わり、来週の18日にはとりまとめの常任委員会を開催し、21日に閉会となります。

 今議会では、議案ではありませんが、高知・須崎・宿毛港の「特定利用港湾」指定について、県民に対する十分な説類もなく、十分に声を聞くこともないまま、3月5日に国から示されたQ&Aを鵜呑みにし、知事が3月末には、同意する意向を示していることなど極めて大きい問題も残っています。

3月13日「震災直後から見続けてきた『震災遺構』」


 昨日の天声人語に「震災遺構の力」と題した、当時の門脇小学校の校長先生のお話がありました。

 ▼13年前のあの日、鈴木洋子さん(73)は小学校の校長だった。両手で机をにぎりしめて揺れに耐えたあとで、児童や教職員と学校裏の山へ。3階建ての校舎は、燃えながら津波に流されてきた家などから延焼し、炎に包まれた。宮城県石巻市の旧門脇(かどのわき)小学校である

 ▼黒く焦げた校舎はいま、震災遺構になっている。校長室の乾いた泥の上には、流れ着いた赤いランドセルが転がる。4年2組の教室には、焼けて骨組みだけになった椅子が並ぶ。窓の向こうに目をやると震災の傷痕はほとんど見あたらず、復興祈念公園の芝生が海まで続く

 ▼校舎を残すことに、住民の多くは「見るのがつらい」と反対した。その気持ちを受け止めつつ、鈴木さんは説いた。「地震があったら早く逃げる。校舎そのものが未来の子どもへのメッセージなんです」

 ▼震災の影響で閉校していなければ、今年度は開校150年を迎えたはずだった。毎朝通ってくる子どもたちの姿はない。だが校舎には新たな使命が吹き込まれた。

 私が、初めて門脇小を訪ねたのは、3.11から100日目の県議会の視察でした。

 その惨状の背景にあった諦めずに裏山に避難した過程の教訓を語り伝えることの大切さを学んだものでした。

 それからも、昭和小学校の先生方を引率して、門脇小学校を訪ね、当時の教頭先生からお話を聞かせて頂き、避難した裏山から校舎のどこから避難したのかも聞かせて頂きました。

 そして、一昨年訪ねた時には、震災遺構となった年でしたが、到着したのが閉館した後だったので、入館できず残念でした。

 鈴木先生の「地震があったら早く逃げる。校舎そのものが未来の子どもへのメッセージなんです」との言葉を受け止めて、やがて避難することに直面する高知の子どもたちに伝えていきたいものです。

3月12日「東日本大震災・能登半島地震の教訓で南海トラフ地震に備えて」


 昨日は、東日本大震災の発生から13年となる3月11日で、下知地区減災連絡会では「3.11東日本大震災を忘れない追悼の集いを」青柳公園で開催しました。

 10年目を節目に開催し始めて、今年で4回目となりますが、参加者20名余りが黙祷を捧げて、東日本大震災の教訓を南海トラフ地震への備えに生かしていくことを改めて決意しあいました。

 例年は、この集いの後に、東日本大震災の被災地とオンラインでつなぎ、被災時と復興の今についてお話し頂いていましたが、今回は元日の能登半島地震の被災地珠洲市で救援・支援活動を継続されているピースウィンズジャパンの橋本笙子さんとつなぎ、お話を頂きました。

 橋本さんでさえ「まだまだ備えが足りないぞと頭をガツンと叩かれた思いがした」という過酷な被災地の状況についてお話しいただきました。

 珠洲市は昨年の5月の地震に次いでの大地震で、阪神淡路、中越、東日本の被害を合わせた被害を受けたが、さらにその後の被害を大きくした課題として、①限られた交通網②断水③高齢化率52%➃子どもたちの教育を突きつけられています。

 東日本大震災から13年経つが、まだまだ被害の中で暮らされていることを思えば、能登でも復興には10年はかかるだろうし、20年かかるかもしれない。

 南海トラフ地震と向き合う皆さんは、今来るかもしれないと考えて、準備しなければならない。訓練したことでできることがあった。

 誰一人取り残さないよう頑張りましょうとのお話をされました。

 参加者からの質問に答えて、避難所での過酷な状況を踏まえて、「非常用トイレ、水、食べ物、電気と通信網の確保」「避難所の寒さ対策として、ダウンジャケットを中に着込んで、暖をとったり、寝袋は良いものを持っておこう」など下知の皆さんへのメッセージを頂きました。

 今の下知地区での取り組みをさらに、一段引き上げ、継続させていくことを改めて突きつけられた「被災地とつなぐ会」となりました。

3月10日「 道路寸断恐れ109市町村で、避難困難」

 明日13年目の3.11を迎えるにあたり、福島原発事故から未だ復興が果たせない帰還困難区域の課題が浮き彫りになる時期です。

 そして、元日の能登半島地震で志賀原発で事故が起きた場合の避難路が寸断されることによる避難すらできない課題も浮き彫りにされています。

 昨日の共同通信の配信記事が、建設中を含む国内19原発の30キロ圏にある自治体のうち18道府県計109市町村で、地震など災害時の緊急輸送道路が土砂崩れなどにより寸断される恐れがあることを報じていました。

 30キロ圏に含まれる21道府県計138市町村の79%に当たり、原発事故時の避難に支障が出る恐れがあるとされています。

 警戒区域は、がけの傾斜などに基づき、地震や豪雨で崖崩れや地滑りが起きるリスクのある場所を都道府県が指定するものですが、避難経路を事前に定める必要がある原発30キロ圏を調べた結果、国道、県道など109市町村で延べ約500本の緊急輸送道路が警戒区域を通っています。

 本県は、避難計画の策定義務のある原発から半径30kmの重点区域には入っていないが、万が一の事故に備えて避難計画を策定しているというが、その計画に実効性があるかどうかが問われています。

 2012年2月議会で、私は、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが、四国電力伊方原発付近で、原発事故時の放射性物質の拡散範囲を調べるために紙風船を飛ばした結果、南東に85キロ離れた四万十市竹島付近の四万十川河口で、同日午後6時頃に発見連絡があったことから、警戒区域だとか計画避難区域とかいうのは、あまり関係ないと思われる放射能汚染の拡大について、指摘したことがありました。

 避難計画の実効性が確保できない中、事故が絶対起きないと言えない以上、原発は人道上からも廃炉にすべきであります。

3月9日「生涯にわたる男女格差の解消へ」

 昨日3月8日は、国連が定める「国際女性デー」でした。

 女性の差別をなくし、地位向上について考え、行動する日として、各地で多様な取り組みがされていました。

 女性の就業率は上がっているにもかかわらず、働きにくい環境と、性差を理由に女性の昇進を阻む障壁が未だに存在していることも考えさせられます。

 英誌エコノミストは7日までに、先進国を中心とした29カ国を対象に女性の働きやすさを指標化した2023年のランキングを発表し、首位は2年連続アイスランドで、日本は順位を前年から一つ上げたが下から3番目の27位だったことが明らかになっています。

 先進国の中でも大きい日本の男女の賃金格差についての朝日新聞の分析では、女性の年収は20代後半から50代まで、正社員に限ってもすべての産業で男性を下回っているとのことです。

 政府は女性活躍推進法の省令を改正し、22年7月から301人以上の企業に対し、男女賃金格差の開示を義務づけており、厚労省によると1月19日までに対象1万7370社のうち1万4577社が公表し、正社員女性の平均の賃金水準は、75.2となっているとのことです。

 働いている世代においても男女間の賃金格差が継続する中で、さまざまなジェンダー格差が放置された末に、65歳以上の一人暮らしの女性の相対的貧困率が、44.1%にのぼることも分かりました。

 貧困問題を研究する阿部彩・東京都立大教授が、厚生労働省の国民生活基礎調査(2021年分)の個票をもとに独自に集計し、1月末に発表したもので、厚労省が同調査で発表している現役世代のひとり親世帯(44.5%)と同じ、深刻な水準だと指摘されています。

20年の国勢調査によると、高齢単身世帯は約672万人で、3分の2の約441万人を女性が占めており、国立社会保障・人口問題研究所は、40年には高齢単身女性は約540万人に達すると推計されており、このままでは、この層の貧困問題がさらに悪化する恐れがあると言われています。

 女性が働きづらさ・生きづらさを抱えさせられる社会を、このまま放置するわけにはいきません。

3月8日「議会質問は、南海トラフ地震対策だけで持ち時間終了」


 昨日の一問一答による議会質問は、結局最後の「孤独・孤立対策」の質問にまで、行き届かず終わってしまいました。

 あれも言いたい、これも言いたい。

 答弁を受けたら、また、一言いいたい。

 結局時間が足りなくなる。

 毎回反省できない私です。

 今朝の高知新聞には、「広域避難」と「避難所等のトイレ対策」について簡潔に記載して頂いていますが、テープ起こしができたら、こちらに仮の議事録を掲載しますので、来週になるかと思いますが、今しばらくお待ちください。

3月6日「明日、議会質問で登壇」

 今日で、本会議における一括質問は終わり、明日から一問一答方式による質問戦に入ります。 私は、答弁も含めた40分間の持ち時間で、明日の午後一時から質問を行います。

 お構いない方は、議場またはネット中継で傍聴下されば幸いです。

 質問予定項目は以下の通りですが、私の前の議員の質問次第で、重複する場合は省く場合がありますので、ご承知ください。

1 能登半島地震を踏まえた南海トラフ地震対策の強化における知事の姿勢ついて
(1)若い力を防災の担い手にすることについて
(2)「濵田が参りました」における意見交換について

2 長期浸水対策、津波火災対策について
(1)止水・排水対策の再検証が遅れている要因について    
(2)結果を公表できる目途について            
(3)タナスカ地区における津波火災対策について    
(4)中の島地区における津波火災対策について     

3 広域避難について
(1)長期滞在期間を想定した広域避難の必要性について
(2)広域避難先との事前交流について

4 避難所における生活環境の整備とトイレ対策について
(1)トイレ確保対策について
(2)津波避難ビルにおける便袋回収について

5 事前復興まちづくり計画の地区別計画具体化について

6 物資の備蓄について     
(1)津波避難ビルへの分散備蓄について
(2)集合住宅に対する公助の支援策について

7 災害対応ガバナンスのあり方について

8 福祉避難所について            
(1)福祉避難所の開設について
(2)災害関連死対策について

9 最悪の事態を想定した南海トラフ地震対策への決意について

10 孤独・孤立対策について             
(1) 窓口機能について
(2) 自立支援を行う団体等への対応について
 

3月5日「災害時のトイレ問題は人権問題」

 今議会での一問一答による議会質問が明後日に迫ってきました。

 南海トラフ地震対策で準備していた質問項目も、今回ばかりは多くの議員さんが取り上げられるので、重複した質問を順次省いて、今日の正午までには発言通告書を提出する段階を迎えました。

 そんな質問の中の一つで、避難所等におけるトイレ対策について予定しています。

 昨夜のオンライン・全国防災関係人口ミートアップで「令和6年能登半島地震vol.8〜命と尊厳を守る災害派遣トイレネットワーク〜」として、上下水道の破損によりトイレが使えない能登半島地震でも全国から集結したトイレトレーラー「災害派遣トイレネットワーク」について、助け合いジャパンの矢野さん、太田さん(富士市役所危機管理課)に話題提供頂き、被災地のトイレ事情と事前の備えについてお話を聞かせて頂きました。

 大変深刻な実態、そしてそれをどう変えていくのか、事前の備えとつながりについて貴重なお話を聞かせて頂きました。

 質問の際には、そこでの話も紹介させて頂きながら、高知で避難所のトイレ確保対策について、少しでも改善できるような取り組みを求めて行きたいと思います。

3月3日「地区防災計画は今後もさらにコミュニティ防災を強化する」


 昨日は、地区防災計画学会第10回大会「地区防災計画制度施行10年を迎えて―能登地震を受けた地区防災計画づくりの在り方―」について、終日オンラインで参加していました。

 今回は、2014年4月1日に地区防災計画制度が施行され、まもなく10年を迎える中で開催されるものでした。

 地区防災計画づくりは、全国7,000以上の地区で実施されるようになり、防災活動の主体も、伝統的なコミュニティだけでなく、マンション、企業、学校等多様な主体に広がり、その成果や教訓に毎年学びあう学会大会となっています。

 特に、今回は10年の節目であるとともに、元日の能登半島地震という大災害からの復旧・復興過程の中で迎えた大会でもあり、研究と実践の教訓が能登半島地震の教訓を繋いでいくことにもなるのではないかと思いながら、それぞれの発表を聞かせて頂きました。

 先生方から出された「災害の進化は、防災の進化、とりわけコミュニティ防災の進化、地区防災計画の進化を求めている」「地域自立圏の形成」「地区防災計画の目標の一つは、災害直後の急性期を乗り越えること。できれば難なく乗り越えること」「能登半島地震では、孤立という言葉が頻出したが、例え孤立したとしても自立していれば、急性期を乗り越えることは可能」との言葉を改めて考えていきたいものです。

 室崎名誉会長は、「言葉だけの防災教育から脱皮が求められている。被害想定をどう受け止めるか、ハザードマップをどう生かすのか。リスクマネジメントをコミュニティに根ざしたものにしなければならない。加えてクライシスマネジメントとしての被害把握や初動対応のあり方も問われた。前例のない被害は、前例のないコミュニティ防災を求めている。コミュニティ防災も、新しい技術を取り入れ、新しい仲間を招きいれ、変わらなければならない。想定外の事態が起きたときには、そこにあるコミュニティを含めた資源を活用して、急場をしのぐしかない。急場をしのぐにも、それなりの準備や計画がいる。いかなる事態にも対応できるようチームワークを磨いておく、想定外の条件を付与する訓練により応用力をつける、といった事前の研鑽や体質改善もいる。能登の経験に学んで、地区防災計画の番外編には「想定外に備える」計画を付け加えておこう。」と学会誌29号の巻頭言で述べられています。

 まさに、大会に寄せて述べられたことだと思ったところです。

 今から6年前の今日3月3日には第4回地区防災学会大会を高知で受け入れ、県立大永国寺キャンパスでの開催にあたっては、下知地区減災連絡会のメンバーが現地受け入れのスタッフとして汗を流したことを昨日のことのように思い出します。

 私も「下知地区防災計画と地区防災計画の水平展開ー地区防災計画策定による地域共助力の拡大」のテーマで報告をさせて頂きました。

 地区防災計画策定過程の3年間で、何よりも地域の人と人とのつながりコミュニティの大切さを学び、災害に「も」強いまちづくりに向けて、地域の皆さんと力合わせていくことを決意した大会でした。

 昨日の大会では、さらにそれをアップデートする「コミユニティ防災」の大切さを学んだことでした。

3月1日「政倫審で実態解明進まず」

 自民党派閥による裏金事件を受け、自民党内のドタバタ劇の末に岸田文雄首相が出席する衆院政治倫理審査会が昨日、開かれました。

 案の定、ただ出席しただけとも言えそうな内容で「確認できていない」の繰り返しで、裏金作りの実態解明は進みませんでした。

 ただ、「悪質な場面においては会計責任者のみならず、政治家本人も責任を負う法改正を行うことが重要である」と述べ、今国会中の法改正に意欲を示したとはいうが、果たしてどこまで本気の法改正が行われるかは問題です。

 首相に続き、審査会に出席した二階派事務総長の武田良太元総務相は、同派の政治資金収支報告書の不記載を「全く知らなかった」と繰り返すだけでした。

 そこで今日安倍派幹部の政倫審登場となるのだが、何と自民党は新年度政府予算案を今日の予算委で採決を強行し、可決すれば衆院本会議に緊急上程して同日中にも参院に送るための強行日程を小野寺委員長(自民党)の職権で決めたというのです。

 結局、政倫審開催は、予算強行採決のアリバイ作りであったとしか思えないような国会運営に、腹立たしい限りです。

2月28日「出生数、婚姻数の減少続く」

 2023年に生まれた子どもの数は、過去最少の75万8631人で8年連続減で、婚姻数は48万9281組で、戦後初めて50万組を割ったことが、厚生労働省が27日に公表した23年の人口動態統計(速報)で明らかになっています。

 出生数は前年に初めて80万人を下回ったが、減少スピードに拍車がかかっており、国立社会保障・人口問題研究所が昨年4月に公表した将来推計人口では、35年に76万人を割って75万5千人になると推計していたが、今回の出生数は、推計より12年も早い結果となりました。

 また、23年の婚姻数は、前年比3万542組減で減少率は5.9%、コロナ禍の20年に12.7%と大きく減った婚姻数は、22年に1.1%増となったが、再び減少に転じた形になっています。

 少子化に歯止めがかからないのは、コロナ禍で結婚する人が減ったことが一つの要因ではありますが、コロナ禍から「平時」に移りつつある2023年も婚姻数が大きく減ったことで、専門家は出生数も減少傾向が続くとみられています。

 お茶の水女子大永瀬伸子教授(労働経済学)は、背景の一つに女性に様々な負担が偏る現状を挙げており、「日本では子育ての負担も、仕事との両立の負担も、離婚した場合の貧困の負担も、女性にくる。若年層が子育ての魅力を感じられる社会の構築が、高齢化がすすむ日本の未来には必須だ」と指摘されています。

 また、日本総研の藤波匠上席主任研究員は、児童手当の第3子以降が月3万円に増額されたり、3人以上の子どもがいる世帯は大学授業料などが「無償化」されたりする施策に関して「多子世帯の優遇策は、少子化対策としてミスマッチの印象」であり、「経済的な理由から結婚や出産を控える『第1子にたどりつけない層』へのアプローチが重要だ」と強調されています。

 そのような中での、全国最少の子どもの出生数となった高知県で、待ったなしの少子化対策への施策が明日からの2月定例会質問戦で論議されることになります。

2月27日「逃げるな自民『政倫審』は全面公開で開催を」

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)の公開の可否を巡って与野党協議が紛糾しています。

 審査の全面公開を求める野党側に対し、自民は報道関係者への非公開を譲っていません。

 政倫審は、公開するか否かの判断が出席者の意思に委ねられるほか、会議録も原則非公開で事実上閲覧できないこととなっています。

 まさに、議員が説明責任を果たすべき場としては、制度面の限界が浮き彫りになっているとしか言いようがありません。

 自民は、政倫審での審査を申し出た5人の意向として、政倫審に所属しない議員や報道関係者の傍聴を認めない「完全非公開」での審査を主張しており、野党側は「国民に直接説明する審査会であるべきだ」と反発しています。

 しかも、政倫審の規程では、会議録が原則非公開とされ、議員以外が閲覧する場合は政倫審での決議が必要になるとされており、これまでも一般閲覧の例は「聞いたことがない」といわれています。

 昨日の衆院予算委員会では、立憲民主党の野田元首相から岸田首相自身が政治改革の障害になっているとまで迫られながらも、論点ずらしの曖昧答弁に終始する岸田首相に国民が不信感を募らせるのは当然のことでしょう。

 国民の誰もが、「この機会に全面公開のもとで、事実を明らかにし、国民の理解を求めることで、自民党に対する信頼を取り戻せる絶好の機会ではないか」と思うのでしょうが、そう判断しないのは、「全面公開」できない理由があるからだと思わざるをえません。

 このまま与野党合意に至らず非開催になったり、「全面非公開」で28、29両日の審査会を強行などすれば、政治不信はさらに高まるものと思われます。

2月26日「福祉避難所はいざという時に開設できるよう」

 以前にも、高知県における災害時要配慮者が避難可能な福祉避難所は、県全体で必要な17,184人分に対し、指定は令和5年9月末時点で10,500人分にとどまっており、特に高知市では、必要な12,544人分に対し、指定は5,265人分にとどまり、7,279人分が不足している状況にあることを報告しました。

 県も、能登半島地震を受け、未指定の施設に対する指定意向調査や理解を深めて頂く周知を図り令和6年度中に改めて、指定促進に向けた市町村の取組を後押ししていくとしています。

 福祉避難所として必要な施設確保も当然ですが、能登半島地震では、開設予定の福祉避難所施設の損壊や職員の被災で予定の2割しか開設できなかったことが、報じられています。

 石川県内全体の2次避難者は計7千人超に上ったが、大勢をホテルなどに避難させる調整に時間がかかり、支援が必要な高齢者や障害者の対応は後手に回ったと言います。

 輪島市で知的障害者向けのグループホームを運営する社会福祉法人は、入所者と家族、職員の約30人で金沢市などへの避難を県に要望したが、約1カ月にわたって行き先が決まらなかったそうです。

 まさに、今求められているのは「量の確保」とともに、いざという時に福祉避難所としての機能を維持し開設できる「質の向上」も求められていると言えます。

 高知における、その備えも重要な課題です。

2月25日「『県政かわら版』印刷中」


 本来なら、もっと早く発刊して皆さんのお手元に届けておくべき「県政かわら版」第73号なのですが、先週やっと印刷に発注したところです。

 自分の質問日(3月7日登壇予定13時~40分間の持ち時間)までに、皆さんのもとにお届けできるかどうかは、疑わしい限りです。

 納品されてから、郵送分の封筒詰めや手配り用の地域ごと区分などを行って、支援いただく皆さんのお手伝いで、なるだけ早い時期にお届けさせて頂きたいと思います。

 それまでは、ご関心ある方は、こちらからデータでお読み頂ければ幸いです。

2月23日「県議会二月定例会開会 人口減少対策柱に 地震対策強化の議論も期待」


 県議会2月定例会が21日開会し、2024年度一般会計当初予算案4655億6300万円など85議案を提出しました。

 浜田知事は提案説明で、「最重要課題である人口減少の克服に向けて道筋をつけ、未来を切り開いていく、その新しい一歩を踏み出す1年にしたい」と強調し、能登半島地震を踏まえ、住宅耐震化の促進など南海トラフ地震対策を強化する決意も示しました。

 知事は、人口減対策のマスタープラン「県元気な未来創造戦略」に基づき、若年人口の増加、婚姻数の増加、出生率向上の取り組みを総合的に進めることで「着実に出生数の増加につなげる」としており、県と市町村が方向性を合わせ、緊密に連携していくために、10億円規模で「人口減少対策総合交付金」を創設し、「地域の実情に応じた取り組みを財政面から強力に支援する」としています。

 また、南海トラフ地震対策では、住宅耐震化など建物倒壊対応、火災対策、道路被害や孤立地域への対応、受援態勢の整備、津波からの早期避難意識率の向上、水道管の耐震化や広域避難のあり方などの課題を挙げ、行動計画の見直しや補正予算での対応を含め、必要な対策を早急に講じるとしています。

 いつもの議会では、南海トラフ地震対策が本会議で議論されることは少ないですが、今回ばかりは登壇者すべてが取り上げるのではないかと思いますが、期待したいと思います。

 私も3月7日の一般質問で一問一答方式で質問しますので、しっかりと質していきたいと思います。(登壇予定13時~40分間の持ち時間)

2月22日「万博のデザイナーズトイレはトイレトレーラーに

 何かと物議を醸してきた大阪関西万博だが、ここにきて350億円もの巨額建設費が投じられた大屋根(リング)に続き、新たに「2億円トイレ」の問題が、浮上しています。

 斎藤経済産業相は20日の閣議後会見で、記者から聞かれて、会場内に約40カ所の公衆トイレの設置を計画し、そのうち8カ所は、若手建築家が設計し、デザイン性を考慮して仕様を決めた「デザイナーズトイレ」というものであり、その一部に約2億円で契約を行った施設があると認めたそうです。

 日本国際博覧会協会の契約情報によれば、デザイナーズトイレ8カ所のうち3カ所は入札が「取止め・不調」で、落札が決まった5カ所の設置費用は計6億6千万円に上り、うち2カ所が各2億円を占めているとのことです。

 斎藤大臣や自見万博相も、50~60台の便器を備えているとして「規模から考えれば必ずしも高額とは言えない」と言い訳をしており、大阪府の吉村知事も「平米単価にすると、一般の公共施設のトイレと値段は大きく変わらないというのが事実」などと主張しているそうです。

 しかし、これらのトイレを設置する万博会場は閉幕後に取り壊されるもので、その後のこのトイレの利活用も定かでないと言われています。

 能登半島地震を受けて、「大阪国際万博は中止を」の声は、今まで以上に高まっています。

 私も、このまま万博が開催されることには強い違和感を覚えているものです。

 その中で、このトイレ問題を突きつけられたら、いい加減にせよと言いたくなります。

 せめて、この「デザイナーズトイレ」を災害時に役立つ「トイレトレーラー」にして、万博後には、平時には各種イベントで活用し、有事には被災地に一気に派遣する形で大阪府が保管でもすれば、多少なりともの理解は得られるのだろうにと思わざるをえません。

2月21日「地震は止められないが、原発は止められる」

 1975年の原発誘致決議から2006年まで31年間に及ぶ長い闘いの結果、珠洲原発は断念されていましたが、先人の闘いに感謝するしかありません。

 そして、今回明らかとなったのは、志賀原発の避難計画がいかに絵に描いた餅であったのかということです。

 志賀原発から半径30キロ圏内に暮らす約15万人は、今の「志賀町原子力災害避難計画」では、原発北側の住民は重大事故時、山間部を抜けて半島の先端に近い能登町に避難することになっています。

 そして、「主たる移動手段は自動車。自家用車で避難できない人はバスを使う。避難ルートは国道、県道など。自衛隊車両や海上交通手段も使う」となっていますが、道路は各所でズタズタ、海路も使えない、避難しようにも動けない地区があちこちにあったのです。

 内閣府によると、石川県が30キロ圏外への基本的な避難ルートと位置づけた11路線のうち7路線が崩落や亀裂で寸断し、志賀原発の5~30キロ圏では、一時、輪島市と穴水町の計8地区が孤立状態となっていました。

 11路線のひとつでもある国道249号は「斜面の崩壊やトンネル内の崩落など、被災が極めて大規模な箇所がある。本格復旧には数年かかる見込み」と国土交通相も言及しています。

 まさに、避難計画の前提がいくつも崩れた中で、もし、地震や津波に原発事故が重なる複合災害になっていれば、大混乱が生じた可能性が高いことは明白です。

 もし志賀原発が稼働していて事故を起こしたら、原発周辺の人たちは逃げようにも逃げられませんでした。

 この避難計画は原子力規制委員会の審査対象外であり、専門家のチェックも入らない中で、明らかになったのは、地震の際の避難計画に実効性はないということです。

 地震は止められませんが、原発は止められます。

2月19日「8割超の政権不支持の怒りの声を結集して」

 毎日新聞の17、18日実施の世論調査では、岸田内閣の支持率は、1月の前回調査(21%)より7ポイント減の14%で2カ月ぶりに下落し、岸田政権発足以来最低となり、不支持率は前回調査(72%)より10ポイント増の82%となっています。

 調査方法の違いから単純比較はできませんが、内閣支持率14%は、2009年2月の麻生内閣(11%)以来の低い水準で、不支持率が80%を超えるのは、1947年7月以来、初めてのことだそうです。

 こんな状態の政権が継続していること自体理解に苦しみます。

 調査の中では、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り問題のあった自民議員を国税当局が「調査すべきだ」が93%を占めています。

 しかし、派閥からのパーティー券収入還流分などを政治資金収支報告書に記載してこなかった安倍派と二階派の議員・支部長計85人は、自民の党内調査に対し全員が不記載分を政治活動費以外に使ったことはないと答えています。

 そのような中で、政党から政治家個人に支給され、受け取った政治家は使い道を明らかにする必要がない「政策活動費」について、「使い道を明らかにすべきだ」と答えた人は90%にのぼっています。

 「政治とカネ」の問題に根本から取り組むなら、政治資金規正法の「抜け穴」となっている政策活動費の見直しこそか求められています。

 自民党では、政策活動費として2022年に党幹部へ計約14億円を支出しており、最多の茂木幹事長は約9.7億円で、二階元幹事長は在任中の5年間に約50億円を受け取ったとされています。

 だが、岸田首相は、公開すれば「党の活動と関わりのある個人のプライバシー、企業・団体の営業秘密を侵害する」と繰り返すばかりで、政策活動費の見直しには後ろ向きの姿勢に終始しています。

 政治資金を国民監視の下に置くのが規正法の趣旨であり、政治活動について国民が知る権利よりも、党の利益を優先し、不透明なカネの流れを断ち切る抜本改正に取り組まないのであれば、国民の政治不信は払拭されることはありません。

 今後、このようなことを招かないためには、今こそ抜本的な真相究明と政治資金規正法の改正抜きに、この問題を終わらせてはなりません。

2月16日「『共働き・共育ち』は安全高知での本気度を」


 県が昨日、2024年度当初予算案を発表しました。

 一般会計で4655億円(前年度比2・7%減)となっていますが、新型コロナウイルス関連費を除くと、浜田県政が19年に発足して以来続いている「積極型予算」は維持されています。

 22年の出生数は3721人で、過去最少かつ全国最少だったが、23年は3千人台前半にまで落ち込むと言われる中で、中山間対策を含めた人口減少対策を抜本強化したのが特徴となっています。

 特に、新年度予算には、市町村が地域の実情に応じて移住や定住の促進、子育て支援などを進められるよう「人口減少対策総合交付金」10億円を計上しています。

 この事業は4年間を想定しており、計40億円規模になる見通しで、4、5年後までに若年人口(34歳以下)の減少傾向に歯止めをかけ、おおむね10年後までに現在の水準まで回復させることを目指すとしています。

 人口最少県の鳥取県が「子育て王国とっとり」の取組を2010年に始めて、2022年の人口動態統計(概数)で、「合計特殊出生率」が1.60(前年1.51)となり、全国平均の1.26を大きく上回り、沖縄県、宮崎県に次いで、全国3位(前年10位)となっています。

 生まれた赤ちゃんの数(出生数)は、3752人と前年から44人増加し、全国で唯一増加しています。

 まさに「子育て王国とっとり」と銘打ち、10年かけて重ねた取り組みの成果が表れ始めています。

 高知県では「おおむね10年後までに現在の水準まで回復させることを目指す」と言われているが、今年の「人口減少対策総合交付金」の検証をし続け効果的であれば、規模増額も必要だし、期間の延長も必要であることを指摘しておきたいと思います。

 また、高知への移住者を増加させるなら南海トラフ地震をはじめとした自然災害リスクを減少させ、安心して暮らしてもらえる高知でなければなりません。

 観光キャンペーンのキャッチフレーズではなく、本当に暮らし続けたい環境を整えた安全な「極上の田舎・高知」で共働き・共育ちを体感できる本気の施策が求められていると思います。

 そんなことが、議論される2月定例会も21日から開会となります。

 私は、3月7日に一問一答による質問予定となっていますが、近づいてきたら質問内容などをお知らせしたいと思います。

2月15日「男女・正規非正規賃金格差の是正も春闘課題」

 今朝の高知新聞一面に「都道府県職員年収に男女差 22年度男性の7割台過半数」との見出し記事があります。

 都道府県などの自治体と中央省庁は女性活躍推進法に基づき、2023年度から前年度分の男女の賃金差公表が義務付けられており、これをもとに共同通信が、47都道府県が公表した2022年度の職員給与に関する男女格差の資料を集計分析したもので、平均年収は全てで女性が男性を下回り、半数を超える28府県では男性の7割台だったことが明らかになっています。

 図のとおり平均年収の差が比較的小さく女性が男性の9割台だったのは香川(93.7%)と東京(90.8%)だけで、83.1%の本県を含む12道県が8割台で、28府県は7割台、残る5県は6割台と格差が大きくなっています。

 47都道府県を単純平均した賃金格差は77.6%となっていますが、市町村職員なども含めた自治体職員全体となるとどうなのかも把握する必要があろうかと思います。

 また、公務労働に詳しい上林陽治立教大特任教授が地方公務員の賃金差を独自に試算したところ、男性正規一般行政職の平均時給を100%とした場合、女性正規は89%、男女別の資料が公表されていない非正規一般事務職は男女計で43%となっていることからも、この「男女差異公表」だけでは表れない実態があると思われます。

 民間企業の賃金の男女差は、従業員301人以上の企業に開示義務があり、厚労省による1万4577社の24年1月時点の状況では、女性の平均年収は男性の69.5%だったとのことです。

 いずれにしても、現場の実態を直視しながら、厳然として存在する男女格差、正規非正規格差の是正に向けた課題も春闘の大きな課題であろうと思います。

2月14日「自民党内裏金調査では実態解明は無理」


自民党は13日、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件に関して実施した、党所属国会議員らを対象としたアンケート調査結果を公表しました。

 パーティー券収入のキックバックや中抜きに関する政治資金収支報告書への不記載や誤記載があったのは85人で、総額は計5億7949万円に上っているが、新たな不記載の事例はありませんでした。

 アンケートの設問は2問のみの調査で、収支報告書への不記載の有無と、ある場合は18~22年の各年の不記載額の記入を求めるのみで、使途などに関する設問はない上に、個人や都道府県連のパーティーなどは含まれておらず、真相解明にはほど遠い状況です。
 
 裏金事件で逮捕・起訴されたりして党を除名されたり、離党したため調査対象外となった議員や元職も含めると議員側の不記載は総額約7.8億円とみられています。

 結局、今回の調査に限らず、旧統一教会との関係でも党内調査以降次々と新たな事実が浮上したりして、党内調査の限界が浮き彫りになっています。

 裏金が何に使われたのかという使い道も調査すらせず、国民の信頼を取り戻すなど到底無理なことであり、調査の名に値しない「調査結果」などで終わらせることなく、実態を明らかにするための徹底した追及が求められています。

2月13日「弱者に集中する『災害関連死』をなくすために」

 高知新聞2月11日付け一面トップの記事は「災害関連死、2割超が障害者 「救えた命」への対策急務」の見出しで、被災後の心身の負担が原因で亡くなる「災害関連死」のうち、発災時に障害者手帳を持っていた人の割合が、2011年の東日本大震災で21%、16年の熊本地震で28%だったことが、自治体への共同通信の調査で分かったと報じられていました。

 国の推計によると、障害者は人口の9%ほどとされ、リスクが際立っていますが、関連死は適切な支援があれば防げると言われます。

 能登半島地震の際にも、「一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会」からは、いち早く「災害関連死が懸念されますが、過去の災害関連死の事例でも、避難生活の肉体的・精神的負担を原因とするものが大きな割合を占めており、早期にその負担を軽減する支援が実施されなければ、救えたはずの命が失われかねません。」として、「早急な広域避難措置を講じること」と「災害ケースマネジメントの実施」を盛り込んだ「令和6年能登半島地震に関する緊急提言」が、発せられています。

 能登半島地震の8日時点の死者数241人のうち15人が災害関連死と言われる中で、劣悪な環境の避難生活が続くこれからさらに増えることが心配されます。

 南海トラフ地震が想定される高知県においても、障がい者や高齢者など災害時要配慮者が避難可能な福祉避難所は、県全体で必要な17,184人分に対し、指定は令和5年9月末時点で10,500人分にとどまっており、特に高知市では、必要な12,544人分に対し、指定は5,265人分にとどまり、7,279人分が不足している状況にあります。

 県も、能登半島地震を受け、未指定の施設に対する指定意向調査や理解を深めて頂く周知を図り令和6年度中に改めて、指定促進に向けた市町村の取組を後押ししていくとしています。

 さらに、避難行動要支援者の個別避難計画については、令和元年度末の作成率19%から令和5年9月末時点の65%まで上昇しているものの、引き続き、計画作成を着実に推進するとともに、訓練等による計画の実効性向上を図っていくとしています。

 守った命を「つなぐ」ために、要配慮者に集中する「災害関連死」に至らせないために、支援策を強化することが求められています。

2月12日「映画『雪道』、『建国記念の日に反対し日本の今と未来を考える集い』に学ぶ」


 一昨日は、朝の準備から後片付けに追われた昭和小防災オープンデーのため、疲労困憊でしたが、何としても見ておきたかった映画「雪道」の最終回上映を鑑賞するため、自由民権記念館に行きました。

 映画「雪道」は2015年、KBS韓国放送公社が制作したものを2017年に映画化された作品だそうで、他の韓国映画と同様、国際的に高い評価を受け、多くの賞を受賞しています。

 作品は、日本軍「慰安婦」がテーマで、そのエピソードは元慰安婦の方々の証言が元になっているそうで、当時の創氏改名や日本語教育など日本の植民地支配の様子が描かれていました。 

 軍の慰安婦とされた主人公のヨンエとジョンプンの強いられてきた生きざまに、改めて、日本軍が侵略先の国々で、いかなる暴虐の限りを尽くしてきたのか突きつけられました。

 しかし、それをなかったことにしようとする教育の中で、日本の教科書は改ざんされているのが、今の教科書検定なのではないかということを、昨日の講演会で、学ばされました。

 昨日は、「『建国記念の日』に反対し、日本の今と未来を考える集い」に参加し、「子どもと教科書全国ネット21」の鈴木敏夫事務局長による「戦争する国づくりと今~教育と教科書が狙われている」とのテーマで、そのことを実感させられる今の日本の教育と教科書の在り方について、120人の参加者の皆さんとともに、聴講させて頂きました。

2月11日「昭和小防災オープンデー『防災』で地域と学校をつなぐ」


 昨日の「昭和小防災オープンデー」では、午前中の「防災体験ブース」は、はしご車救助訓練で屋上から救出するという訓練を中心に、救助工作車、水難救助車などの展示や「プール放水体験」「煙体験」「電気自動車給電デモ」「起震車」なとが運動場で行われました。

 4年生以上の体験、お世話いただくPTA役員の皆さんや地域から参加された方などが見学した約2時間でした。

 地域からは、近隣の事業所の社長さんや医療機関の事務局の方も参加されるなど、これまでとは違った参加状況には、能登半島地震の教訓からの動機づけがあるものと思われました。

 午後の部は、地域住民も保護者や生徒の皆さんとともに、屋上への避難訓練を行しましたが、地域から参加してきた皆さんは、そのまま土足で屋上まで登りましたが、初めて屋上までのぼったという方もおられました。

 その後、地域の方は避難した後に過ごす北舎の待機室を見学してもらい、避難後のあり方などについても説明させて頂くと、「知らなかった。」との感想なども漏らされていました。

 体育館での5年生の防災学習の発表やいろんなブースでの体験も多様なものがあり、5年生のこの一年間の防災学習の成果を見せて頂きました。

 学習テーマを自分事にしながら、発表されていた5年生が今後も継続して、防災を自分事にしながら、成長し続けて、地域の防災訓練などにも参加し、地域防災の担い手になって頂くことを願うばかりです。

 さあ、13日には下知地区減災連絡会役員会を開催し、この間の取り組みを総括しながら、次年度につないでいく取り組みの議論をしていくこととなります。

 そのためのレジュメ作成にも取り掛からなければなりません。

2月9日「昭和小防災オープンデーで地域と学校の防災交流」

 いよいよ明日10日は、「昭和小防災オープンデー」。

 災害時には、昭和小学校に避難予定の地域住民の皆さんと生徒たちと参観日に出席された保護者の皆さんとともに、防災体験、避難訓練や5年生の防災学習の交流などを行います。

 午前中の「防災体験ブース」は、昨年人気を博した「災害救助犬コーナー」が、今年は能登半島地震のために参加できませんが、はしご車救助訓練で屋上から救出するという訓練が子どもさんにとっては関心あるものになるのではないかと思います。

 また、その他の防災体験では、「プール放水体験」「煙体験」「電気自動車給電デモ」「起震車」なとが運動場で行われます。

 そして、午後の部は、地域住民も保護者や生徒の皆さんとともに、屋上への避難訓練を行った後、体育館で5年生の防災学習の発表やいろんなブースで体験もして頂きます。

 学校の備蓄品・災害対策・防災グッズ・段ボールベッド・防災グッズをすごろくで学ぶ・避難所の一日・手作り防災グッズ・防災食・学校近くの避難ビル・防災クロスロード・避難所での生活・救助のしかた・技研REDHILL・防災アプリ・地震の歴史について・ハザードマップ・正しい避難の仕方などに加えて下知減災連絡会と高知市地域防災推進課の皆さんで、ロープワーク教室、段ボールベッドづくり、カエルポーズで揺れ体験なども行います。

 毎回、学びの多い防災イベントになっていますので、明日も期待されます。

 ご近所の皆さんは、どうぞお越しください。

2月8日「過去に蓋する自民党」

 宗教法人を所管する文科相として、旧統一教会の解散命令を請求した盛山大臣は、教団との関係は断ち切られていて当然のはずが、今頃になって2021年の前回衆院選で、教団系団体の世界平和連合から「推薦状」を受け取り、選挙支援を受けていたことが明らかになっています。

 さらに、国会での質疑を受け、事実上の政策協定にあたる「推薦確認書」も交わしていた疑いもあり、「確認できない」「はっきりした記憶はない」との釈明から、「報道があるまでは正直覚えていなかったが、薄々思い出してきた」と答弁せざるをえなくなりました。

 旧統一教会との関係についての22年の自民党の点検に対し、当選後に関連団体の会合で挨拶をしたことだけ申告し、選挙の経緯は伝えておらず、文科相就任時にも明らかにしていませんでした。

 教団の解散請求をめぐっては、今月22日、国と教団双方から意見を聞く審問が東京地裁で始まるが、盛山氏が教団への負い目を抱えたままで適切な立証を進められるのか、疑念を抱かざるをえないと国民の不信感は高まっており、岸田首相は、盛山氏を即刻解任すべきです。

 結局、このような調査しかしていなかったとなれば、今度の裏金問題の自民党所属議員を対象にしたアンケートなども、全く信頼できないのではとの声が高まるのも当然です。

 しかも、このアンケートに至っては、収支報告書への記載漏れの有無と、過去5年の不記載額の記入を求める2問だけで、不記載の経緯も、そのお金の使い道も尋ねていないことから、全員を対象に聴いたというアリバイ作りにすぎないと言われても仕方ありません。

 過去にふたをする姿勢に終始する自民党に、自浄作用を求めることは無理です。

 今度は、このままで放置させないという有権者の姿勢を示さなければなりません。

2月7日「高知の防災がカリブ、大洋州等の島嶼国にも生かされたら」


 昨日は、JICA課題別研修「島嶼国総合防災コース」の研修生を下知地区で受け入れての研修10時から16時半までの間、下知コミュニティセンターで開催しました。

 コロナ禍の時にはオンラインでしたが、4年ぶりの対面開催で、ミクロネシア、トンガ、バヌアツ、サモア、モーリシャスから8名の研修生と2名の高知大生が参加されました。

 この研修は、カリブ、大洋州等の島嶼国ではサイクロン起因の高波、土砂災害、洪水、また、地震・津波、火山噴火など日本と同様に多用な災害に悩まされている中で、予・警報とその伝達、コミュニティ防災、防災教育、啓蒙活動など自助・共助の役割、人的ロスを回避するための避難路の整備などの重要性が明らかになっていることから、各国の災害リスクを軽減するには、高知県を中心とした日本の防災の知見を学び、応用することが効果的であるということで取り組まれているものです。

 そのような中で、研修構成の一つの「自治体における防災対策及び地域住民の自主防災活動と、自治体による自主防災活動との連携・支援について理解する。」というものの一つとして、下知地区での受け入れが盛り込まれているものと思われます。

 それにしても、初めてJICA研修を受け入れたのは2015年でしたから、随分長くなりました。

 午前中は、高知市の地域防災推進課職員による「高知市の防災行政」についてのお話で、午後には、下知地区減災連絡会の取り組みとして「地区防災計画とコミュニティ防災」と題して、私の方から報告させて頂き、その後、コミュニティセンターの防災機能についての施設見学をした後、周辺を防災街歩きをしました。

 講義では、「下知地区防災計画への着手・検討について」「下知地区防災計画の特徴について①総合防災計画として②「事前復興」で描く街を、今からつくるため③事前復興計画(下知地区のめざす姿)と個別計画(事前復興計画の事前対策)➃量の拡大と質の向上を目指して⑤特徴的な事業計画」そして「地区防災計画の検討過程で明らかとなった「共助」の力と多様な人との繋がり」について、報告させて頂きました。

 また、街歩きでは、三重防護の第三ラインの内部護岸を見学してから、多様な津波避難ビル、老朽木造住宅の密集状況など案内して回りました。

 研修生からは、午前中の高知市に対するものも含めて下記のような質問が出されていました。
 ・高知市内各所に避難所はあるのか。
 ・避難所毎の活動をされていることに、感心する。
 ・防災倉庫の管理は誰がしているのか。
 ・住民の参加はどうなのか。その参加を促す工夫はどのようにされているか。
 ・地区防災計画を具体化することの難しさは。
 ・地域住民をその気にさせるのは難しいのではないか。
 ・私たちの国では、避難行動要支援者対策のような制度がなくても、若い人たちが何かあれば高齢者を助けに行くような文化がある
 ・私の国では、発災直後に初動で動くチームがある。
 ・個別避難計画については、同意確認書も含めて様式などを教えて欲しいなどのシステムに対する関心も示されていた。
 ・マンションなどを津波避難ビルに指定する際の合意形成などについて、難しさはないか。
 ・津波避難ビルの指定要件の中に、階段の広さなどはないのか。
 ・津波避難ビルを地域住民にどのように周知しているか。
 などなどの質問が出され、島嶼国の中でも、関心のある課題や疑問点が共通していたりすることを今回も感じさせられました。

 最後に、研修生の代表から、地区防災計画についての感想や避難ビルとして公共だけでなく民間のビルを活用していることは、母国に持ち帰りたいことなどの感想が述べられていましたが、研修を通じて日本での学びを自国の防災対策に対して、どのように適応可能か検討しようとする意欲を感じられ、少しでもお役に立てればと思ったことでした。

2月5日「高校生の考える『地域課題解決策』


 今日は、「県議会議員と高校生との意見交換会」の傍聴ため、県立小津高校に行ってきました。

 私たちは、高知市内が選挙区のため、傍聴という形になります。
 「県民の会」からは、吾川郡選挙区選出で小津高校OBの岡田竜平議員が意見交換されました。

 テーマは「高知県の地域課題解決策についての提案」ということで、学内では約80のテーマで研究されているが、その中から「高知県における公共交通機関の衰退原因とその解決策」と「学校の避難所について」という2つのテーマに絞って、プレゼンがされました。

 この意見交換会の目的は、「総合的な探求の時間で、個人またはグループで取り組んだテーマの成果を発表することによって、プレゼンテーション能力の育成や主体的・意欲的に学ぶ生徒を育成する。また、地域に貢献できる人材の育成に向けて、県議会議員と意見交換を行い、多様な見方・考え方に触れることで、現代社会の諸課題について、多面的多角的に考察し、構成に判断できる力や公共的な事柄に、自ら参画しようとする意欲・態度などを育む主権者教育の一層の推進を図るもの」であります。

 それぞれに、貴重な研究成果が報告され、議員からも新たな多様な視点の提案もされ、生徒たちも、この研究を通じて、社会に任せきりにするのでなく、それぞれが参画していくことの大切さを学んだとの感想も述べられていました。

2月4日「マイナ保険証トラブル継続、利用率8か月連続低下」

 国は健康保険証を12月に廃止し、マイナ保険証に一本化すると決定したが、全国保険医団体連合会は、全国5万5357カ所の医療機関に昨年11月下旬~今年1月上旬、アンケートを実施し、回答を得た8672カ所のうち約6割の5188カ所が、昨年10月1日以降にオンライン資格確認に関するトラブルがあったと公表しました。

 主なトラブルの内容(複数回答)は、「氏名や住所の文字化け」67%、「カードリーダーのエラー」40%、「被保険者番号がない」25%、「患者の医療費の負担割合が異なって表示される」15%などで、83%の医療機関で、トラブル時に現行の健康保険証で情報を確認し、患者に医療費の全額をいったん請求した事例が、少なくとも753件あったとしています。

 また。マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」の利用率が昨年12月は4.29%で、8カ月連続で低下したことが、厚生労働省によって公表されています。

 年代別の利用率では、最も高いのは「65~69歳」で、若い世代ほど利用していない実態も明らかになっています。

 そのような中で、「マイナ保険証」の国家公務員の昨年11月分の利用率が4.36%だったことがわかっています。

 最も低いのは防衛省で2.50%で、マイナ保険証を所管する厚労省は4.88%となっています。

 今年12月の現行保険証の廃止に向け、厚生労働省は職員あてにメッセージを発信し、①マイナ保険証を利用することで毎回医療費を20円節約できる②よりよい医療が受けられる③手続きなしで高額医療の限度額を超えた支払いを免除されるなどと利用促進を訴えているが、足元の国家公務員の利用もおぼつかない状況となっていることをどのように受け止めているのでしょう。

2月3日「知事自ら能登半島地震を我が事に」


 今朝の朝日新聞1~3面にかけて、(検証 能登半島地震)と題して、石川県を除く全国4都道府県知事に対して、「能登半島地震と同規模の地震が起こった場合、同様の問題が起こると思うか」問うたアンケートの結果に対する記事が特集されています。

中でも、7割超の知事が、幹線道路の寸断などで物資輸送や救助活動が妨げられた今回の地震と同様の事態が起こりえると回答したことや、近隣住民で助け合う「共助」の仕組みが困難になっているとの認識は約9割に上ったことが取り上げられています。

 能登半島地震での被害のありようは石川県にとどまらず、46都道府県知事が「ひとごとではない」との思いを強くされているようです。
 
 ハードの脆弱性、減り続ける人手、細る地域のつながりなど、全国に共通する「過疎問題」を前に、どのように備えればいいのかが問われていることがアンケート結果に表れています。

特に、今回の地震では、主に高齢化率50%前後の自治体で被害が拡大しており、高齢化や人口減少で地域コミュニティーの担い手が少なくなる中、住民らによる共助の仕組みが困難になっていることに対して「そう思う」と答えたのは18人で、「ややそう思う」は23人とほぼ9割の知事が共助の仕組みが「困難」になっているとの認識を示しています。

 事前に、それらの備えを強化することで、過疎地だけでなく都市部も含めた支えあいのしくみができることで、平時にも生活しやすくなるし、被災時に地域の共助力が少しでも高められるのではないかと思います。

 これらの課題に、本県ではどのように取り組もうとしているのか、デジタル版には詳細掲載されているので、紹介しておきたいと思います。

 そこには、疑問を感じる回答もあるが、明日はわが身との思いで、公助・共助・自助を高めていく本気度を県民挙げて取り組んでいくことが、被災地から学ぶことにもなると思います。

  【高知県】能登半島地震・知事アンケート回答全文
能登半島地震と同規模の地震が起きたら
【質問1】1月1日に発生した能登半島地震では、被災者の生存率が落ち込むとされる発災後72時間までに、能登半島の幹線道路の寸断などによって物資輸送や安否確認、救助作業が妨げられる問題が生じました。今回と同規模の地震が貴都道府県内で起こった場合、貴都道府県で同様の問題が起こると思いますか
【回答】そう思う
【質問2】そう回答した理由を教えてください(自由記述)
【回答】急峻な地形や海岸沿いの幹線道路が多いことに加え、未改良区間が多く残っていること、また、高速道路も未整備区間が残っているため。

共助の仕組みが困難になっているか
【質問3】今回の地震では主に高齢化率50%前後の自治体で被害が拡大しました。高齢化や人口減少で自治会や町内会などコミュニティーの担い手が少なくなるなか、災害時の住民による共助の仕組みが困難になっていると思いますか
【回答】そう思う
【質問4】そう回答した理由を教えてください。「そう思う」「ややそう思う」と答えられた場合は、今後どのような対応が必要と考えているかも教えてください(自由記述)
【回答】被害が拡大したことと、高齢化や人口減少などの因果関係は明確になっていないものの、被害を減らすには、地域での共助が重要だと考えています。そのため、本県では、共助の取組の一環として、要配慮者の方々が確実に避難できるよう、市町村と連携して個別避難計画の作成を推進しています。
また、共助の要となる自主防災組織について、高齢化やリーダーの担い手不足により、活動が停滞している中山間地域があります。
このため、現在、本県独自に策定を進めている「中山間再興ビジョン」により、中山間地域に若い力を入れていくことが、地域の支え合いの力を強化することになり、結果的に防災面でも大きな役割を果たすと考えています。

耐震化率の現状と目標は
【質問5】今回の地震では、1981年以降に適用された国の新耐震基準を満たさない古い木造建築が多かったことも被害が拡大した要因との指摘もあります。貴都道府県における新耐震基準での住宅の耐震化率について、①いつまでに何%にすることを目標としているか、②最新の耐震化率はいつ時点で何%か、を教えてください。その上で③都市部と過疎地で耐震化率が大きく異なるなど、自治体間で差がある場合はその理由とあわせて教えてください(自由記述)
【回答】
①令和12年度末までにおおむね完了を目標としています。
②令和4年度末(2023年3月末)88%
③各市町村の耐震化率の推計はしていないが、平成30年の住宅土地統計調査によると、都市部と比べ中山間地域の方が昭和56年5月以前に建てられた旧耐震基準の古い住宅が多い傾向があります。このことを踏まえると、中山間地域における耐震化率は低いと思われます。理由としては中山間地域の住宅所有者に高齢者が多いことが理由と考えられます。

避難所運営の備えは
【質問6】今回の地震が貴都道府県内で起こった場合、被災地における円滑な避難所の運営に向けて、食料などの備蓄や簡易トイレ、水道、感染症やプライバシー対策などの備えは十分できていると思いますか
【回答】あまりそう思わない
【質問7】そう回答した理由を教えてください(自由記述)
【回答】
〈目標〉※令和9年度までに完了
食料などについては、国からのプッシュ型支援が4日目以降になることを踏まえ、県と市町村では、令和9年度までを目標に3日分の備蓄に取り組んでいます。
【1日目分】
 ・市町村が備蓄(避難所避難者数約26万人×1.2倍×1日)
 ・県は不測の事態に備えて備蓄(避難所避難者数×1日×20%)
【2~3日目分】
 ・流通備蓄(小売業者・卸売業者との協定締結による)により確保
〈現状〉
【1日目分】
 ・市町村備蓄
飲料水:64%(603,346/939,930リットル)
食料:149%(1,396,067/934,455食)
簡易・携帯トイレ:177%(2,714,657/1,529,580個)
※その他、ミルク、毛布、生理用品、おむつ、トイレットペーパーを備蓄
・県備蓄 
飲料水:100%
食料:100%
【2~3日目分】
 ・計画上は流通備蓄で対応する方針だが、必要量を担保できていないことが課題
○その他、感染症やプライバシー対策については、新型コロナ感染症対策として、避難所運営マニュアルに反映させるとともに、簡易ベッドやパーティションなど、必要な資機材の整備が完了しています。

過疎地域での地震に備え課題は
【質問8】同規模の地震が貴都道府県内の過疎地域で起こった場合に備え、特に優先度の高い課題はどれになりますか(回答三つまで)
【回答】①水・食料・トイレなど物資の確保②道路や港など交通経路の確保③電気・ガソリンなどエネルギー供給
【質問9】上記の三つの選択肢を選んだ理由を教えてください(自由記述)
【回答】物資や交通経路の確保については、過疎地域は急峻な地形が多いことに加え、道路の未改良区間が多く残っており、道路が寸断すると、救助・救出活動や物資輸送等が速やかに実施できないため。
 また、エネルギー供給については、救出・救助活動(車両)や道路啓開(重機)、通信(非常用電源)、医療救護(非常用電源)、寒さ対策(ストーブ)等に燃料が必要なため。

「想定外」の災害と地域防災対策
【質問10】今回の地震では、交通や通信が断絶した上、年末年始で県外から多くの帰省客や観光客が訪れていたこともあり、石川県地域防災計画の想定以上の被害につながったとみられています。最大震度や具体的な被害想定が十分でなかったとの指摘もあります。こうした「想定外」の災害に対し、都道府県や市町村の地域防災計画などを中心とした防災対策の限界を感じますか
【回答】あまりそう感じない
【質問11】そう回答した理由を教えてください。「そう感じる」「ややそう感じる」と答えられた場合は、今後どのような対応が必要と考えているかも教えてください(自由記述)
【回答】本県では、国の被害想定を基に、高知県版の南海トラフ地震による被害想定を策定しています。この被害想定を前提として、人的被害を限りなくゼロに近づける取組の推進や、被害を最小化し早期復興を図るため、地域防災計画の下に「南海トラフ地震対策行動計画」を策定しています。
これまで東日本大震災や熊本地震の教訓を踏まえ、計画の見直しを行ってきましたが、まだ対策は十分には完了していない状況です。今回の能登半島地震においても、今後、明らかになる課題を踏まえ、取組を見直し、対策の強化及び加速化が必要だと考えます。
【質問12】記の質問に関連し、貴都道府県における現在の地震被害想定はいつ策定されましたか。教えてください(自由記述)
【回答】平成25年5月

政府の防災計画や公的支援に課題は
【質問13】今後の防災・減災に向けて、政府の防災計画や財政も含めた公的支援について課題があると思いますか
【回答】そう思う
【質問14】そう回答した理由と、具体的な課題について教えてください(自由記述)
【回答】今回の能登半島地震を踏まえ、孤立対策として、中山間地域における道路などのインフラ整備について加速化が必要となります。
そのため、国における国土強靱化に必要な予算の拡充や予算・財源を通常予算とは別枠で確保するなどの財政支援が必要です。
なお、見直しが進められている「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」に基づき、国の被害想定等の見直しが本年度中に行われるが、それに合わせて都道府県が実施する被害想定の見直しに対しても国の財政支援が必要です。

2月2日「能登半島地震から一か月」

 元旦の地震発生以来、辛い日々を過ごされている被災者の皆様にお見舞い申し上げます。

 一日も、早い日常を取り戻されることを願うものの、取り戻せないほどに失ったものの大きさを思うと言葉もありません。

 あれから一か月が経ち、マグニチュード7.6の能登半島地震は、死者240人(うち災害関連死15人)、住家被害47915棟に及ぶ被害(2月1日時点)を招くこととなりました。

 能登半島地震で住民を襲った被害の様相は、震度7の揺れ、極めて短時間で沿岸部を襲った津波、輪島の朝市街が焼け野原となった地震火災、救援・支援を遅らせた道路の寸断や液状化とまさに、想定される地震被害の甚大さ、複合化が被災支援、復旧を遅らせています。

 しかし、南海トラフ地震では、さらなる被害として、「津波火災」や「長期浸水」も加わる激甚化・複合化が想定されます。

 一か月が経ち、まだまだライフラインの全面復旧に至らず、522か所で合わせて1万4431人となっています。

そのうち、17か所の「広域避難所」などに避難している人は合わせて967人、被災者を一時的に受け入れる「1.5次避難所」に避難している人は3か所で合わせて288人、このほか旅館やホテルなどの「2次避難所」に避難している人は217か所で合わせて4944人となっています。

 そのような中で、被災地では、令和6年1月25日に政府の「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」が公表されるなどして、被災者が生活再建に向けて歩んでいく段階に来ているが、被災地の現場に目を向け、一人ひとりの被災者の声に耳を傾けると、今なお生命の危機に瀕している方、取り残されつつある方がいるのも事実です。

 震災から一か月、被災地域によって支援格差も生じつつあり、避難先で新たな困りごとに直面している方々もいる中、いつもご指導いただいている津久井進弁護士らが共同代表を務められている「一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会」では、「制度運用は『迷ったら被災者の利益に』を第一に」、「地域の復興の手順を示したロードマップ(計画書)を事業を行う側の立場でなく、そこで暮らす被災者の生活目線に立って理解できる内容・形式で示すこと」が求められていると提言しています。

これからの復旧・復興過程が、いかに被災者目線で進められるかが問われる正念場だと思います。

 そして、私たち高知県では、被災地支援を通じて、自治体職員と地域住民が連携して想像力たくましく、備えることを改めて能登半島地震から学ばなければなりません。
 

1月31日「岸田、麻生に心に滲みこむ言葉は無理か」


 今朝の朝日新聞を読んで、「言葉」ということについて、考えさせられる3つの記事がありました。

 1面「折々のことば」の「声っていうのはね、耳に届くんじゃないんですよ。肌から心に滲(し)み込むんです(山根基世)」の言葉。

 同じ1面の「天声人語」では岸田首相の施政方針演説の言葉を取り上げています。

 そして、12面の社説では「麻生氏の発言 女性進出阻む旧態依然」と題して、毎日のニュースをにぎわしている発言のお粗末さを批判しています。

 岸田首相の発言には「丁寧に、真摯に、適切に。岸田文雄首相は、発言に修飾語が多い。きのうの施政方針演説では「しっかり」が気になった。いわく、被災者の生活をしっかり支え、重要政策をしっかり進め、外交のかじ取りをしっかり果たし、賃上げをしっかりおこない、中小企業をしっかり後押しする▼首相としては、決意のほどを伝えたつもりであろう。だが聞く側にとって不安なのは、これらもまた、かけ声倒れに終わるのでは、という点である。」と指摘しています。

 そして、最後には「さて通常国会の最大の焦点は、やはり「政治とカネ」であろう。政治家の責任を広く問う連座制を導入する覚悟はあるのか。政策活動費の使い道を公開するつもりはあるのか。おとといの国会で首相は、身内の自民議員から連座制について問われ、こう答えた。「しっかり議論を行っていきたい」▼がくりとひざが折れそうになる。首相に求められているのは本気だ、事実だ、具体策だ。むなしい修飾語ではない。」と結んでいます。

 また、言わずと知れた麻生発言は、「外務大臣としての能力と外見とは何の関係もない。言及すること自体が女性への差別と受け取れる、極めて不適切な発言だ。」と断じられ、過去のナチスを引き合いに「あの手口に学んだらどうか」発言など、国際社会ではおよそ容認されない発言もありながら、今回も党内で問題視する動きは見えないことを憂えています。

 そして、「背景には、麻生氏が多数の国会議員を従える麻生派トップとして、政権運営に強い影響力を持ってきた派閥政治の構造がある。ゆゆしき発言をしても放任されるとしたら、自民党の自浄能力はおよそ期待できないことになる。党の体質そのものが問われている。」と結ばれています。

 自民党の総裁と副総裁の二人の発言に対して、今朝の「折々のことば」で語られている言葉は、同列には語られないかもしれませんが、少しは肝に銘じてほしいと思いながら、自らへの戒めともしたいと思います。

1月30日「能登半島地震の今とこれからの課題を南海トラフ地震の備えに活かして」

 昨夜の毎週月曜20時からの第153回全国防災関係人口ミートアップは「令和6年能登半島地震vol.2〜被災地の今とこれからを考える〜」として、兵庫県立大学の青田良介先生に話題提供いただき、過疎高齢社会の災害対応と生活・生業再建、地域再生など、今とこれからの課題を踏まえて、今後を考える視点を提起頂きました。

 能登半島地震から一か月この間ずっと、改めて能登半島地震から南海トラフ地震への備えをどのように強化するかということでしたが、昨夜提供いただいた課題は、その視点を整理する意味で参考になりました。

 しかし、南海トラフ地震の想定被害は、能登半島地震で起きた被害に加え、長期浸水や津波火災もあり、さらなる「備え」とその被害からの「復旧・復興」への立ち上がり早くするためには、何としても事前に仮設住宅の確保や広域避難場所など、これまで指摘してきた課題の具体化を図っておかなければならないということを痛感させられました。

 「能登半島地震の今とこれから」について、次のような課題を踏まえて過去の災害教訓を生かして備えておきたいものです。

1 インフラ(道路・上下水道)による地域の寸断、アクセスの悪さ
→「陸」がダメなら、「空」「海」で補完できないか(人・車・水・物資を運ぶ)

2 災害対応に遅れが見られないか?
→ソフト支援に長けたNPOや専門家等を活用
→平常の行政サービスを他自治体(県内市町村)に任せられないか。

3 大雪が復旧を妨げる
→中越地震や東日本大震災(雪国の被災地)ではどう対処したか>

4 災害関連死が増えそうである
→基本、被災市町村内での避難、再建を目指す。
→二次避難、広域避難、県外仮設・公営住宅等もやむを得ない(移動したで、完了ではない)
→避難するしないに関係なく、寄り添い支援する(→災害ケースマネジメント)
→ソフト支援に長けた専門家、NPO等を活用。

5 これからどうなるのかトンネルの先が見えない
→何もわからないのが問題(= 0点)、満点でなくても数十点がわかる状態に(=希望を見いだす)
→過去の災害事例を参考に、大まかで良いので、道筋を示す(例:3年後、5年後、10年後)。できないことや軌道修正も含め想いを共有する。

6 住まいはどうなるか?
→空き家や住宅の庭に仮設住宅を作る
→関係人口増加にもつながる公営住宅を検討する。

7 生業はどうなるのか
→地域のアイデンティ、再生につながると認識
→公的支援に加え、激励も兼ねた市民・民間支援が不可欠(クラウドファンディング、同業者支援、経営支援、購買活動)
→小規模の新規ビジネスを育てる(成長の目を摘まない)
→介護施設、教育ビジネスも。

1月29日「能登半島地震での死亡原因の9割が家屋倒壊」

 能登半島地震で石川県が27日までに氏名を公表した死者129人のうち、9割近くの111人が家屋倒壊で死亡したことが報じられています。

 被害の大きい地域は、高齢化率が高くて古い木造家屋が多く、経済的な事情も含めて耐震工事が進まなかった背景があるようで、そのことは1月5日のこの欄でもご報告した通りですが、石川県内の住宅被害は一部破損から全壊まで4万3千棟超に上っています。

 地震では計236人の死亡が確認されているが、遺族の了解を得た死者の氏名や原因などが公表された129人の中では、家屋倒壊に次いで8人が土砂災害、火災と津波がそれぞれ2人ずつ、別の2人は災害関連死、4人は原因不明とのことです。

 年齢別では、60代以上が101人と全体の8割近くで、自宅の所在地は珠洲市や輪島市が大部分を占めています。

 2022年時点の65歳以上の高齢化率は輪島市が47.9%、珠洲市が52.8%で、金沢市の27.5%の2倍近く、珠洲市の住宅耐震化率は2018年度末時点で51%に留まっており、輪島市でも耐震化率は、2019年末時点で45.2%に留まっています。

 高知県でも、2021年で79.4%で、高知市では2020年で75.1%となっていますが、高齢化の高い地域だとどうなのか、そこまで絞って耐震補強工事を加速化するなどの取り組みが大切になっているように思えます。

 特に、津波浸水エリアでは、倒壊した家屋から救助できないままに、津波から避難せざるをえない事態に陥ることも想定されますので、特にこのエリアでの耐震化を加速することが急がれるのではないでしょうか。

 改めて、「耐震改修」と「高齢者世帯の防災」を丁寧に取り組むことが、「津波からの避難」にも繋がることを踏まえた取り組みが必要になっています。

1月28日「小中高生の自殺者数、過去最高に次ぐ507人」」

 2023年の自殺者数は2万1818人(暫定値)で、前年の確定値より63人(0・3%)減したが、小中高生は過去最多に次ぐ507人であったことが明らかになりました。

 自殺者数は03年の3万4427人をピークに減少し、19年に2万169人になりましたが、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった20年以降は、2万1000人台で高止まりが続いています。

 23年の男女別は、男性が1万4854人(前年比108人増)で、13年ぶりに増加に転じた22年から2年連続の増加で、女性は6964人(前年比171人減)と減少しているものの、20歳未満と20代などで増加しています。

 小中高生の自殺は507人で、過去最多だった22年の514人に次ぐ水準で高止まりし、深刻な状況が続ています。

 内訳は小学生13人、中学生152人、高校生342人で、「学業不振」が最多で「進路に関する悩み」が続くなど、学業や進路の悩みが要因に多い傾向にあります。

 すべての子どもが幸せに暮らすことができる社会の実現に向け、実効性のある政策をどう進めていくかが問われている中で、こども基本法に基づき、今後5年間の政策の基本指針となる「こども大綱」が初めて策定されました。

 子どもが成長していくにしたがって、学童期・思春期の心のケアの充実や居場所作りなども盛り込まれたというが、生まれながらに人権を持った子どもの多様な人格やその個性が尊重されるよう社会全体で健やかな成長を後押しする必要があります。

 にもかかわらず、自らの命を断つ子どもたちが年間500人以上もいることと向き合う社会でなければならないことが問われています。

 そして、命の危機に晒される子どもたちへの貧困対策や医療的ケア児や障害児などへの支援が受けられる支える仕組みが、求められているのではないでしょうか。

1月26日「起きて欲しくないという思いの『想定外』と向き合う」

 昨日25日時点で、能登半島地震による死者数は236人にのぼり、うち災害関連死が15人となったことが公表されました。

 また、住宅や道路、港湾施設など固定資産の損壊による被害額が、石川、富山、新潟の3県で計1・1兆~2・6兆円にのぼるとの推計も発表されています。

 ただし、今回の試算は、東日本大震災や熊本地震など過去の事例を参考に、市町村ごとの震度に基づいて機械的に算出したものだそうです。

 しかし、このような発災後の数字を見るにつけ、事前の備えで、これらの被害を縮減させることができたのではと思わざるをえません。

 昨日、手元に届いた「地区防災計画学会誌」第28号の巻頭言にある室﨑益輝(地区防災計画学会名誉会長)先生の「能登半島地震と地区防災計画」には、「不測の事態に備えるコミュニティ」の見出しで、次のような指摘があります。

 「前例のない不測の事態が起きるということを、今回の地震とその被災は改めて教えてくれた。元旦に震災が起きることや、観光地で震災が起きることを前提とした災害対応計画が必要だと、私は主張してきていたが、それが現実のものとなった。「不測ゆえに、無防備になる過ち」を、何倍にも拡大した形で繰り返してしまった。といって、予測できなかったことではない。想像力をたくましくすれば、お正月に大地震が起きることも、過疎地で震度7が起きることも、諸事情で外部支援が全く受けられないことも、火災で密集地が丸焼けになることも、予想できた。起きて欲しくないという思いが、最悪の事態を想定させなかったのだ。そのことが、事前の防備を疎かにさせ、深刻な被害を招いたと言ってよい。ということで、事前防備や事前復興の必要性、さらにはコミュニティ減災や地区防災計画の必要性を、今回の地震で再確認しなければならない。」

 そして、今回の能登半島地震の被害の中から想定されて、今後、地区防災計画で取り上げられる課題として、「孤立化に備える地区防災計画」「市街地大火を防ぐ地区防災計画」の見出しで、喚起されています。

 「起きて欲しくないという思いが、最悪の事態を想定させず、そのことが、事前の防備を疎かにさせ、深刻な被害を招く」ことにはならないように、想像力をたくましくして、備えなければならないと思ったところです。

1月25日「2024年度県予算規模と主要施策の見通し」


 昨日、県議会各会派に対して、県から2024年度一般会計当初予算案の規模が4600億円台半ばとなる見通しが示されました。

 昨年度からは、新型コロナウイルス対策関連予算が約150億円減少することなどから、23年度当初(4784億5700万円)を下回る見込みです。

 予算案は今日から知事査定に入り、2月中旬に発表されます。

 市町村への財政支援として新設される人口減少対策総合交付金をはじめとした人口減少対策や中山間地域再興ビジョン、さらには1月1日の能登半島地震を受けて、強化加速化すべき南海トラフ地震対策など本気度の伺える予算編成となることを注視していきたいと思います。

 昨日は、会派説明の後「県民の会」会派で、知事との意見交換も行い次の項目について要望させて頂きました。

1 「高知県人権施策基本方針」の見直しについて
2 南海トラフ地震対策などについて
(1)災害時における「誰一人取り残さない」取り組みの拡充と加速化について
(2)南海トラフ地震対策における長期浸水エリアの諸対策と支援について
3 ビジネスケアラーについて
4 持続可能な林業の推進について
5 漁師の学校(仮称)職業訓練学校の創設について
6 地域での災害復旧を見据えた、地域建設等事業者の維持について
7 教員のメンタルヘルスについて

1月24日「やっぱり名ばかり改革止まりか」

 自民党政治刷新本部は、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けて、党改革の中間とりまとめ案を昨日事実上了承しました。

 中間とりまとめ案には、派閥の政治資金パーティーの全面禁止や、会計責任者が逮捕・起訴された場合に党として所属議員を処分することなどの改革案は盛り込まれたものの、政治資金規正法などの改正については「各党との真摯な協議を経て、責任体制の確立・厳格化などについて必要な法整備を速やかに行う」との記述にとどまっています。

 規正法の改正に関しては、会計責任者が刑罰を受けた場合には議員にも責任が及ぶよう罰則を強化する「連座制」の導入は、とりまとめ案には明記せず、パーティー券の購入者などに関する公開基準の引き下げも現行の「20万円超」から、寄付と同じ「5万円超」に引き下げることについての記述もなく、透明化を推進しようとする姿勢に欠けたものとなっています。

 また、派閥は、閣僚人事などで派閥推薦などの働きかけや協議を禁止するとした一方で、派閥の解散は明記せず、法令違反が確認された場合、党が活動休止や解散を求める内容にとどめています。

 このままでは、一旦派閥を解散しても、実態は政策集団への衣替えにとどまる可能性があることも懸念されています。
 
 中間とりまとめ案は、今日の総務会で正式了承される見通しだが、まさに明日26日召集の通常国会に間に合わせるための「駆け込み」となった側面は否めません。

 名ばかりの改革でお茶を濁すのではなく、裏金問題の全容解明に向けた調査や徹底した原因究明と本気で向き合わない限り、政治の信頼を取り戻すことは無理ではないでしょうか。

1月23日「『ふっこう』の現場に学ぶ」


 昨夜は、毎週月曜日20時からオンラインで開催されている「全国防災関係人口ミートアップ」で、「阪神淡路大震災29年~実践者が気づいたこと」について、神戸まちづくり研究所の野崎隆一先生からお話をいただきました。
 
 野崎先生は2018年に、下知地区減災連絡会で講演をいただき、その際には「復興まちづくりと日常の地域コミュニティの大切さ~阪神淡路と東日本の経験から~」と題してお話しいただき、その2年後には、私のマンション防災会で「マンション再建における合意形成」について、お話をいただきました。

 そして、今回の話を通じて、野崎先生が強調されていた「出発点は『ぼうさい』ではなく『ふっこう』である」という事を改めて考えさせられました。

 「災害によって、社会の矛盾や課題をあぶり出し、浮き彫りにして、露呈される現場には、そのすべての課題がある」から、そこに学ぶことが一番大事であり、その課題に備えていくことを通じて、「ぼうさい」に「も」つながるのではないかと思ったところです。

 また、「合意形成」の課題も話題になりましたが、マンション防災会でご講演頂いた時に、合意形成の困難さがある中で、復興からの教訓を生かし、合意形成のためには、「正しさは多様」「マナー・ルール・コストが必要」「二者択一にしない全員が目指せるゴール」が必要であるとのお話などを思い出しました。
 
 その場にあるもので作る、対応する方法である「ブリコラージュ」ということの必要性もこれからは大切であり、また、「待つこと」の大切さ、「待つ勇気」を持つことの大切さ、さらには、アリストテレスの対話術で、必要とされる「ロゴス(理屈)」「パトス(情熱)」「エトス(人格)」を兼備した人材育成の有意性などについても考えさせられました。

 これから守った命を繋ぎながら、能登で復興に向けて歩んでいく被災者の皆さんにとっても、阪神淡路大震災復興からの29年の市民主体の「ふっこう」の実践の中での「現場」の教訓が生かされることになればと思いながら、聴かせて頂きました。

1月22日「中小事業者も、災害前に備えることを学んで取り組んで」


 1月20日には、高知市総合防災訓練で、仁淀川町への広域避難訓練を下知地区住民の参加で行いました。

 こちらの報告課題などは、後日行わせて頂きます。

 今日は、その訓練終了後に下知地区減災連絡会で開催した「東日本大震災に学ぶ~中小企業の防災と復興~」の防災講演会について、報告させて頂きます。

 「東日本大震災に学ぶ~中小企業の防災と復興~」のDVDを上映した後、DVDを製作されたソラワン・映像プロデューサーの田中敦子さんのお話で補強いただくとともに、意見交換がなされました。

 2019年にもDVD「被災地の水産加工業 あの日から5年」を上映し、お話し頂いたことがきっかけとなり、下知地区の個人事業者などが集まり、グループ補助金などについて学んだり、事前の取り組みとして下知地区減災連絡会に事業所部会を発足させ、中小企業の防災・事前復興の取り組みを強化しようとしてきました。

 今回の『被災した経営者から学ぶ① 』映像の主旨は、「東日本大震災で被災した水産加工業の10年間の復興記録映像の中から、他業種の中小企業と共通する「防災」箇所を取り上げ、事例となる画像から、復興過程で何が起きたのかを知ることで災害時の対応を学ぶことが出来る。」もので、ポイントをまとめたハウツーものとなっています。
 
 また、もう一枚のDVD『被災した経営者から学ぶ② 』には、「被災した株式会社「かわむら」の経営者川村賢壽氏へのインタビューから、被災した経営者はどのような心構えで復興に立ち向かったのか、時代の流れを読み現状を打破しようとする姿勢は、他業種の中小企業経営者に共通」するものとして学んで頂こうというものでした。

 特に、株式会社「かわむら」の経営者川村賢壽氏の「死に方は選べないが、生き方は選べる」という言葉が参加者には刺さったようでしたが、私は、「生き方の中で、平時の経営と被災時に復興していく備えの決意」を選ぶことこそが、死に方にもつながるのではないかと思ったりもしました。

 ここでは、田中さん自身がまとめて頂いたDVD『被災した経営者から学ぶ① 』の内容のポイントを紹介させて頂きますが、最後には「皆様の会社が災害に遭遇した時に役立つと思える事をご紹介しました。実際に取り組める防災事例を知り、今から準備を始めて下さい。」と訴えられています。

 これらの事例が水産加工業だけでなく、他業種の中小事業所の備えにも共通していることや今回の能登半島地震で壊滅的被害を受けた水産業の被害の視点としても参考にすることを学んで頂けたらと思います。

▼全員で避難訓練を実行しておく。
▼被災後多くの経営者がとった方法
▼データの管理
▼補助金申請が受理されないと金融機関は融資をしない。
▼グループや組合を作る。
 気仙沼鹿折加工組合の設立事例を紹介。組合を作ることで同じスタートラインに立てる。行政との折衝がしやすくなる。その他。
▼補助金申請はいつ受理されたのか? 第3次の補助金申請でやっと受理。
 企業負担は金融機関から借り入れ。水産加工業は機械が特注のため補助金も借入金も億単位の高額。
▼驚異的な値上がり
▼顧客離れを防ぐには業務提携
 再建には時間が掛かるため様々な業種で顧客離れを防ぐ必要が生じる。共に被災しない地域にあり技術的に信頼が出来る企業を平時に探し、どちらが被災しても業務提携が可能な企業同士の契約を結んでおく。
▼原料の入手先を複数準備。
 原料の入手先が共に被災しないエリアにあり、出来れば少量でよいので平時に取引をするなどパイプを作っておくことが大切。
▼工場再建のための建設業者の選択
 災害想定地の経営者の方は、建設会社をどこにするかを調べて決めておく。
▼復興には情報入手が不可欠
▼急激な社会の変化
 社会風習の変化 ネットによる販売など生活が激変を続けるなか、常に現状と未来を見つめ、自社の方向性を決断。
▼働き手の不足
 今や日本中の問題である労働力不足、次世代の育成、海外からの労働力導入については企業グループや組合で独自の取り組みも必要。
▼温暖化など気候変動による影響
 この魚がなければダメというのではなく、機械を改良して獲れる魚で新商品を生産するしかない。
▼水産加工業はいま大きな窮地に立たされている。
 他業種でも自然環境の変化に大きな影響を受ける場合がある。それをどのように克服すればよいのか、経営者の体力、気力、知力すべてを注いで生き残る方策を見出す。
▼コロナ禍
 売り上げは85%減。借金は増えている。戦略を変えないと生き残れない。
▼災害保険
 災害保険に入っていたことで、落ち着いて復興に取り組むことが出来た企業があった。いつ来るか分からない自然災害に保険をかけ続けるのは負担だが、何とか備えたい事例です。

1月19日「派閥解散の本気度は」

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件は、岸田文雄首相が最近まで会長だった宏池会(岸田派)の元会計責任者も立件対象となることが判明したことから、岸田派は18日、政治資金収支報告書を訂正するとともに、首相は、苦肉の派閥解散案を唐突に打ち出しました。

 首相は、収支報告書の訂正では持たないと見たのか、岸田派幹部と相次ぎ官邸で会談し、派閥の解散を検討していることを伝え、他派閥の解散については、各派の意向に委ねる考えを示しており、他派閥が同調するかは不明で、ある派閥幹部は「岸田派だけ抜け駆けして表明するのはどうなのか。」など党内批判も高まっています。

 このような状況にある中で、昨日の時事通信の1月世論調査によると、自民党の政党支持率は前月比3.7ポイント減の14.6%で、野党時代を除き過去最低で、岸田内閣の支持率は前月比1.5ポイント増となったものの18.6%と相変わらず2割を下回っています。

 また、この調査では、自民党が派閥を解消すべきだと「思う」が56%で、同党の政治刷新本部に「期待しない」が68%となっています。

 自民党では、不祥事を受けてこれまで幾度も派閥が解散し、ほとぼりが冷めると元に戻るという復活劇が繰り返されてきただけに、今回の「派閥解散」を、本当に自民党が抱える政治とカネの問題の根絶につなげることができるかどうかは、不明です。

 党内からは、もう岸田政権を支えないとの声も上がっていますが、そのことによって腰砕けになることも想定されますので、派閥をなくしたから終わりでなく、これまで派閥を舞台に何が行われてきたのか、徹底的に解明する責任が問われています。

1月17日「1.17を『ともに』」



 1995年1月17日午前5時46分、兵庫県南部地震は大きな被害と発生当時戦後最多となる死者を出す阪神・淡路大震災を引き起こしました。

 6434人の尊い命と生きざまが奪われてから29年、私たちはこの震災の犠牲者の追悼と記憶と教訓を継承するため、下知地区の青柳公園で「1.17追悼の集い」を重ねて10回目となります。

 その10回目の追悼は、元旦に発生した能登半島地震の犠牲者への追悼と一日も早い復旧・復興を願う集いにもなりました。

 まさに、それは神戸市東遊園地の灯篭でつくった文字が「つなぐ」から「ともに」にかわる必然であったかもしれないと思いつつ、細々ではありますが未災地・高知の追悼の集いで22人が確認しあった5時46分でした。

 集いの後には、下知地区内にある子育て支援センター「ママン」で、「赤ちゃんのいる家庭での防災の話」ということで、10組の親子のママさんを対象に防災のお話をさせて頂き「下知地区で赤ちゃんと備える南海トラフ地震」と題して、お話をさせて頂きました。

 終わってからも、4人の方から順次相談を頂き、日頃からの備えの大切さをお話させて頂きました。

 私は、1.17とか3.11など過去の大震災の日には、よほどのことがない限り、非常食で過ごしています。

 今回は、能登半島で厳しい避難生活を送られている方に思いを寄せながらの食事をしています。

今朝の青柳公園で開催された「1.17阪神淡路大震災追悼の集い」の様子が地元テレビ局三社のニュースで報道されています。

 こちらにリンクを貼っていますので、ご覧いただければと思います。

テレビ高知

RKC高知放送

さんさんテレビ

1月16日「港湾の軍事利用には反対」


 昨日、私も共同代表を務める平和憲法ネットワーク高知をはじめ、護憲連合高知県本部、高知県平和運動センターの三者で、防衛力の強化のため国が整備・拡充を予定している「特定重要拠点空港・港湾」について、高知県内での整備に反対するよう、県に申し入れました。
 
 「特定重要拠点空港・港湾」は有事の際に自衛隊や海上保安庁が国民保護などを円滑に行うため、平時に必要な空港や港湾を訓練で利用できるよう国が整備・拡充する方針を示しており、本県では高知港、宿毛湾港、須崎港の3か所が候補にあがっています。

 申し入れの際には、「平時の訓練利用としているが結局は有事にも利用されるのではないか」「整備によって攻撃対象になる可能性が高まるのではないか」「アメリカに求められれば米軍の利用も可能になるのではないか」などの懸念を伝え、国からの具体的な説明がなされる際には、これらのことを踏まえて、懸念に対する考え方を明らかにさせることを求めました。

 また、年度末までの結論をと言われるが、今後は国から当該市町村長に対して丁寧な説明をしてもらわなければならないし、12月定例会以上の進捗状況にはないことも示されました。

 最終的には、県が判断することとなるので、その際には県民には平和と安全への不安を与えることのないように、今後とも求めていくことを申し添えて、申し入れを終えました。

 なお、申し入れ書の申し入れ事項の抜粋を下記に掲載しておきます。

       「県管理港湾施設の自衛隊利用」に関する反対の申し入れ
 私たちは、高知県の港湾の「特定重要拠点」化には反対であり、高知県が同意しないことを求めるものです。その理由は次のとおりです。

 一つに、高知県議会では1984年に世界の恒久平和は人類共通の願いであるとして「非核平和高知県宣言」を決議、そして1997年12月には「非核平和高知県宣言に基づき、高知新港の一部開港を控え、県内全ての港において非核三原則を遵守し、県民に親しまれる平和な港としなければならない。当県議会は、ここに改めて高知県の港湾における非核平和利用を決議する」としています。当時の状況として外国艦船の高知県の港湾に入港するさいの非核神戸方式の導入をめぐっての決議でしたが、軍事訓練と平和利用は相いれないものです。

 二つに、有事の際には、自衛隊基地はもちろん、自衛隊利用を想定した空港や港湾も攻撃対象になりうるものであり、県民の生命を危険にさらしかねないものです。岸田政権が閣議決定した安保関連3文書において「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有が明記され、有事の際、相手国のミサイル発射拠点を先制攻撃することになり、逆に「特定重要拠点」も攻撃対象になる危険性が極めて高くなります。知事答弁にあるように、「有事の際の円滑な利用」も想定されていることから、周辺住民の安全が確保できるかはなはだ疑問です。

 三つに、「(米軍の利用は考慮外との政府の国会答弁を受けて)米軍の利用につながるものとは現時点で考えていない」との考えですが、昨今の自衛隊と米軍が一体となった合同軍事演習がより強化されている今日、いずれ米軍艦船もふくめた合同使用となることは必至といわざるを得ません。

したがって、国との協議内容等について徹底して情報公開されることを要請するとともに、慎重に検討されることとあわせて県民の安全と安心を守る立場から、国の申し入れについて同意されないよう強く申し入れます。

 そして、高知県としてとりわけ中国をはじめとしたアジア諸国との自治体平和外交を積極的に行われ、平和と善隣友好の機運を醸成されるよう要請します。

1月15日「過去の震災の教訓が生かされるように軌道修正を」


 1月8日、被災地から帰られたばかりの神戸大学名誉教授室﨑益輝先生に、毎週月曜日にオンラインで開催されている令和6年最初の全国防災関係人口ミートアップで、「令和6年能登半島地震〜被災地のためにできること〜」として話題提供頂き、200名近い全国の参加者の皆さんで考えさせていただきました。

 その時に、お話し頂いた中で、「対応の実態」として、「経験継承のミス、初動対応のミス、連携協働のミスが、被害と再建をより深刻なものにしていること。市民主導の先進的事例もあるが、①ニーズに見合った総力体制が組めていない②阪神淡路以降の教訓が行政対応にもボランティア対応にも生かされていない」ことが指摘されていました。

 しかし、そんな中でも「被災者と被災地のニーズをしっかりつかみ、そのためにできることやしなければならないことを、みんなで知恵を出し合い、分担してやり切っていくことが必要であり、それが被災地のために今できることではないか」と仰られていたが、朝日新聞デジタル記事で、改めて繰り返されていました。

 取材に答えた室崎先生は、石川県の災害危機管理アドバイザーを務められた自らの責任に自戒もこめて、長年防災と復興支援に関わってきた一人として、誰かが言わなければ、言葉にしなければとの思いで、被災状況の把握が直後にできなかったために、国や県のトップがこの震災を過小評価したことによるマンパワー不足と専門的なノウハウの欠如で、後手後手の対応は「人災の要素すら感じる初動対応の遅れ」だと指摘されています。

 初動の際、「一部のボランティアしか入らなかったために、水や食事が手に入らず、暖もとれず、命のぎりぎりのところに被災者が直面した」が、「行くのをためらった状態を作ったことは大きな間違い」ではなかったかと述べられています。

 「マンパワー不足と専門的なノウハウの欠如で、後手後手の対応が続いているが、政府は『お金は出す』というリップサービスでなく、関連死を防ぐなどの緊急ニーズに応えられる具体的な対策を提供すべきで、『必要な人材を出す』というサービスに徹するべき」と、今からでも急ぐべきことに言及されています。

 「過去の震災では、災害支援や復興計画の専門家が首長につきっきりで的確な助言をしてきたけれど、その態勢もできていない」「被災者の命や生活を守れるかが、かかっている今こそ、教訓がいかされるよう、軌道修正をしなければ」なりません。

 ご自身が「悔恨の念にかられ」ながらも、「人と人とが被災者を中心に支え合い、ともに考え、司令塔は、より重い責任を再確認し、基本に立ち返り、柔軟に迅速に的確に動く。私たちが過去の被災地の経験から学び、めざしてきたことを、もう一度確かめ合う必要がある」と結ばれています。

 それぞれの重い言葉をしっかりと受け止めながら、私たちができることで、被災者、被災地に寄り添いたいと思います。

1月14日「1.1から29年目の1.17」


 元旦の能登半島地震で被災した皆さんの被災生活の厳しさが連日報道され、胸を痛める方が多いことと思います。

 そこには、復旧・復興過程での災害時の教訓がどれだけ生かされているのかと思わざるを得ない場面にも遭遇することがあるのではないでしょうか。

 地震をはじめとした自然災害の教訓を学ぶ原点ともなった1.17阪神淡路大震災から29年目を迎えます。

 下知地区減災連絡会では、阪神淡路大震災から20年を機に、風化させず多様な自然災害の教訓に学び続けることを確認しあう1.17阪神淡路大震災追悼の集いを細々と継続させてきました。

 8人でスタートした集いも、今年が10回目となります。

 今では、30人近くの地域の方たちが5時46分に黙祷で追悼しています。

 今年も近づいてきましたが、1.1の能登半島地震で犠牲になられた方のための黙祷も合わせて捧げたいと思います。

 そして、1月20日(土)には、能登半島地震でも課題になっている「広域避難」の訓練を初めて開催します。

 長期浸水エリアからゴムボートで救出された後、広域避難協定を締結している仁淀川町へとバスで避難する予定です。

 そして、訓練が終了してからは、18時から下知コミュニティセンターで事前復興防災講演会を開催します。

 講師は、ソラワン・映像プロデューサーの田中敦子さんで「東日本大震災に学ぶ~中小企業の防災と復興~」について、記録映画も併映します。

 翌、1月21日(日)には、「わくわく昭和交流フェスティバル」に、下知地区減災連絡会のブースで防災啓発を行います。

 さらに、2月6日(火)には、JICA研修生を受け入れ、2月10日(土)には昭和小防災オープンデーと矢継ぎ早の防災・減災の取り組みが続きます。

 一つ一つの取り組みこそが、被災地を思い、南海トラフ地震への備えを我が事にすることだと思って、準備していきます。

 皆さんも、ぜひ、機会を捉えて、お越しください。

 1月12日「被災者の権利や利益を守るための『特定非常災害』にも指定」

 政府が11日、能登半島地震を「激甚災害」に指定し、対象地域を限定しない「本激」の措置を適用することを持ち回り閣議で決定したことが報じられています。

 また、「特定非常災害」に指定することも決められました。

 このことは、津久井進弁護士らが共同代表をつとめる「一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会」も1月7日付け「令和6年能登半島地震に関する緊急提言(2)」で「特定非常災害の指定を速やかに」と提言されていました。

 「激甚災害」指定によって、自治体が復旧のために行う土木工事や家屋解体などへの国庫補助率を引き上げ、財政負担が軽くなりますので、自治体にとっては激甚法の適用は重要ですが、被災者にとっては、それ以上に「特定非常災害」の指定も重要であります。

 この指定によって、法令または先例により、運転免許証の更新期限延長や債務超過となった法人の破産手続きの留保など、被災者の様々な権利保全のほか、被災建物の公費解体の拡充、仮設住宅の期限延長、法テラスによる無料法律相談、災害ケースマネジメントの実施(被災者見守り・相談支援等事業による全面補助)などの可能性が高まり、被災者の権利や利益を守るための措置がとられることになります。

 まさに、被災者にとって重要なことについて、高知でも度々講演して下さっています岡本正弁護士が「令和6年能登半島地震が8例目の特定非常災害指定 行政手続や相続放棄の期限延長や半壊住宅の公費解体も」とのタイトルで、ネットニュースで詳細報告して下さっていますので、紹介させて頂きます。

 とにかく今不安な状況に置かれている被災者の皆さんに少しでも安心を与えられる情報だと思います。

 このような情報が少しでも、被災者の皆さんに届くことを願っています。

1月11日「半島地震に見る原発災害の危機」

 今回の能登半島地震は、揺れ、液状化、津波、火災、土砂災害と被害の全容が明らかになるにつれ、これで、原発災害が重なっていたらと思わざるをえません。

停止中の志賀原発では、3系統5回線の外部電源のうち1系統2回線は停止し、1号機側の起動変圧器では、油漏れに加えて噴霧消火設備の起動及び放圧板が動作したことも確認されるなど原発にとって安全上重大な問題がいくつも起きてます。

 これで過酷事故にならなかったのは、稼働していなかったことと、最大の揺れを引き起こした断層から離れていたことが幸いしたに過ぎないのではないかと言われています。

 昨日の原子力規制委員会は、今後の原発の審査や安全対策の議論を始め、再稼働に向けて審査中の2号機について、今回の地震の知見を収集するよう原子力規制庁に指示し、「新知見かどうかを確定させるまでに年単位の時間がかかる。審査はそれ以上かかると思う」との見通しを示さざるをえませんでした。

 加えて、半島における地理的リスクによる避難困難の実態も明らかになっています。

 地震の影響で能登半島では土砂崩れなどで道路が寸断され、通信環境も悪化し、孤立集落が多発するなど、原発事故の際の避難について、半島の地理的リスクが明らかになっています。

 原子力防災に詳しい東京大大学院情報学環総合防災情報研究センターの関谷直也教授は「半島は電気や通信、道路の手段を多重化するのが難しい」と指摘しています。

 地震は止められないし、対策にも限界があります。

 原発災害を最小限に食い止めるには、原発を「止める、冷やす、閉じ込める」対策を、今から実施していくほかないことを改めて痛感させられました。

1月10日「災害関連死をこれ以上拡大させないために」

 石川県は昨日午後3時時点の集計で、能登半島地震で遂に災害関連死が珠洲市内で6人確認されたと発表しました。

 今回の地震で、地震被害による直接死ではない災害関連死の発生が明らかになるのは初めてで、死者は202人にのぼり、安否不明102人となっています。

 心配されていたことが、顕在化し始めているということです。

 いずれもオンライン参加でしたが、8日に全国防災関係人口ミートアップ会議で室崎益輝先生から、9日には東北大学災害研の「令和6年能登半島地震に関する速報会」での報告を聞くにつけ、今回の地震の規模の大きさと被害の全容が明らかになるにつれその甚大さに驚かざるをえませんでした。

 そして、前回「災害関連死を招かないために」と題して、津久井進弁護士の「関連死を防ぐには、インフラなど環境の整った被災地外への避難が不可欠。判断は一刻を争う」、「ぎりぎりまで避難者を我慢させてはいけない。関連死が起きる前に手だてを講じる。それが過去の経験で得た教訓だったはずだ」との新聞コメントを紹介させていただきました。

 その言葉を受け止めた自治体の判断が今こそ求められています。

 石川県内では、8市7町の避難所404カ所に2万6158人が身を寄せている中で、避難所における水不足、医療人材不足、衛生面などの心配が高まっているだけに、環境の整った避難所に移動するしかありません。

 また、関西大学奥村与志弘教授(総合防災・減災学)は、関連死者数は避難者数の増加に伴い、指数関数的に増える特徴があると言い、東日本大震災の時の被災地のような深刻さが続くと、100人以上の関連死の犠牲が出てしまう可能性もあると指摘しています。

 さらに、避難所で生活されている方々に加え、自宅や高齢者施設などにも厳しい生活を強いられており、ライフラインが機能しない中、避難所に行くこともできない高齢者が劣悪な環境に置かれている可能性があり、いわゆる「在宅避難」の方々を把握し、支援することが求められます。

 私たちが、東日本大震災で学んだことの中に、水不足で口腔ケアがおろそかになって、誤嚥性肺炎のリスクが増大したことなどにも、向き合うことが必要です。

関連死対策では避難所が注目されがちですが、最も多くの関連死が発生しているのは高齢者施設と自宅であり、熊本地震では、関連死の40%が自宅で発生したことからも、しっかりと被災者に目配り、寄り添うマンパワーの確保が急がれます。

 そして、せっかく守った命を失う災害関連死をこれ以上拡大させないことを願うばかりです。

1月8日「災害関連死を招かないために」



 今朝の高知新聞4面には「避難所過酷 命の危機」との見出しで、共同通信の配信記事が掲載されています。

 記事には、日頃から高知が下知地区がお世話になっている認定NPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」国内事業部次長の橋本笙子さんや多くの災害で支援に取り組んできた元日弁連災害復興支援委員会委員長津久井進弁護士などのコメントが載っていました。

  発生から1週間となる能登半島地震で、被災者であふれる厳寒の避難所は、食事や物資も不十分で過酷な状況が続き、命が再び脅かされる事態になっているとのことです。

 まさに、被災地は家屋倒壊などによる「直接死」に加え、避難先で亡くなる「災害関連死」にも直面しています。

 津久井弁護士は、「関連死を防ぐには、インフラなど環境の整った被災地外への避難が不可欠。判断は一刻を争う」、「ぎりぎりまで避難者を我慢させてはいけない。関連死が起きる前に手だてを講じる。それが過去の経験で得た教訓だったはずだ」と訴えられています。

 津久井弁護士が共同代表を務められている「一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会」は、令和6年能登半島地震に関して緊急提言を出されています。
 
 少し長いですが、下記に紹介させて頂きます。

 政府や自治体が判断すれば、もっと迅速な取り組みができるはずです。

 せっかく助かった命を、つなげる取り組みが今こそ求められています。

 令和6年能登半島地震に関する緊急提言(2)      2024年1月7日

 私たち「一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会」は、令和6年能登半島地震に関して、令和6年1月4日、①一刻も早く広域避難の体制を整備して災害関連死を防ぐとともに、②被災県が中心となって災害ケースマネジメントの実施に向けた連携の場を開設すべきことを提言しました。
 広域避難は始動しつつあるものの、救えるはずの命を確実に守るためには、要支援度の高い被災者が取り残されることのないよう、積極的に避難誘導し、速やかに旅館等の避難先に送り届けることが必要です。災害対策基本法の広域避難規定、避難指示の趣旨に準じて、的確かつ強力なオペレーションを実施すべきです。
 本日で、震災から7日目を迎えますが、被災地の状況の過酷さは改善されていません。避難所の設置期間を「災害発生の日から7日以内」とするのが災害救助法の一般基準です。これ以上、過酷な避難所生活を強いるべきではありません。
 私たちは、一人ひとりの被災者の目線に立って、今、直ちに対応できる事柄を10項目の提言に取りまとめました。ぜひ、検討をお願いいたします。

1 災害対応を最優先にして、部署間の横断的な連携を
 元旦の被災で帰省者も多かったこともあり、自治体内で万全な体制が取れなかったことは無理もありません。しかし、始業後も災害対応が最優先になっておらず、あるいは、部署間の横の連携がなくオペレーションが不十分な自治体もあります。全庁的な非常時モードで被災者支援に臨むよう是正されるべきです。

2 防犯対策の徹底により被災者に安心感を
 被災者が、地域外に避難するのを躊躇する理由のひとつに、被災家屋が空き巣に遭うのではないかという心配があります。こうした不安を払拭するため、被災地で頻発する便乗詐欺と共に、応援警察官によるパトロール等の防犯対策を強化し、それを内外にアピールすることによって被災者に安心感を与えて下さい。

3 物資と応援人員の空輸の積極活用を
 物資輸送は陸路が中心ですが、大渋滞により多大な時間がかかっています。また、物資が被災地に届いても、仕分け・配給の人手が足りず被災者に届いていません。ヘリコプター等の空輸は孤立地に限られていますが、水や食料等の生命に関わる物資や、物資支給に関わる応援人員の運送には、積極的に空輸を活用すべきです。

4 対口支援(たいこうしえん/カウンターパート方式)は官民連携で
 特定の被災自治体に特定の自治体が支援する対口支援が行われる見通しです。全国の市民や企業・団体による民間支援やボランティア支援についても、円滑かつ持続可能性が持てるよう、対口支援に合わせたマッチングを進め、被災地における官民連携を強化するのが被災者にとって分かりやすく、合理的です。

5 可能な地域ではボランティア活動の早期推進を
 珠洲市や輪島市など石川県の一部地域では、交通寸断によりボランティアの受け入れが困難です。しかし、他県や、石川県内の他地域では民間ボランティアも可能です。これら地域では、速やかにボランティアセンターを開設し、県内外を問わずボランティア活動を早期に進め、被災者のきめ細やかなニーズに応えるべきです。

6 仮設入居は罹災証明書を不要とすべき
 仮設住宅の入居にあたり罹災証明書を求めるのが通例ですが、罹災証明書の発行が困難な地域では、広範な被害により地域まるごと生活が困難な状況にあり、余震の危険もあることから、罹災証明を要せず仮設入居を可能とするべきです。

7 罹災証明書の発行は被災者支援の目的に沿って迅速かつ合理的に
 被災者生活再建支援法が適用される地域では、一日も早い罹災証明書の発行が必要です。そこで、航空写真等を利用した迅速な住家被害判定手法を最大活用して下さい。民間人も含めた外部の応援職員を大量に派遣し、被災者の申請を待たずに職権発行を行うなど合理的に進めて下さい。被災者支援に資することが主たる目的であることを忘れず、過度な精密性や公平性に決して陥らぬようご注意下さい。

8 被災者の名簿づくりに着手する
 被災者支援のベースとして、被災者ごとに被害状況などの情報を整理する必要性があります。生命・財産を守る緊急の必要があるため個人情報保護法上も許容される状況にあります。特に災害ケースマネジメントの実施には、一人ひとりの被災者の個々の情報を、支援を行う官民の共有が必要です。アセスメントシートの調整、情報管理システムの整備と並行して、速やかに名簿づくりに着手すべきです。

9 災害救助法に関する発出通知及び事務連絡の速やかな公表を
 避難所、物資提供、仮設住宅、医療提供などは災害救助法に基づいて行われています。その運用について内閣府(防災担当)が通知及び事務連絡を出しています。しかし、その内容は公表されず、混乱を極める被災地の行政機関においてもこれらの内容を把握し切れていないのが実情です。多くの関係者が実情に応じた適切な支援が行えるよう、速やかに通知及び事務連絡を公表して下さい。

10 特定非常災害の指定を速やかに
 自治体にとっては激甚法の適用が重要ですが、被災者にとっては、むしろ「特定非常災害」の指定が重要です。法令または先例により、被災者の様々な権利保全のほか、被災建物の公費解体の拡充、仮設住宅の期限延長、法テラスによる無料法律相談、災害ケースマネジメントの実施(被災者見守り・相談支援等事業による全面補助)などの可能性が高まります。政府に速やかな指定を求めます。
以上                                             2024(令和6)年1月7日
一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会 共同代表 新里宏二、共同代表 天野和彦、共同代表 津久井進

1月5日「能登半島地震に見る耐震改修の高齢世帯での停滞」

 毎日の報道で、能登半島地震の被害の様相が明らかになり、死者84人、安否不明者179人にのぼっていますが、さらに増加するのではと懸念されます。

 そして、能登半島地震では多くの住宅が倒壊した様子が映像で流されていますが、被害が甚大な石川県珠洲市などは県内でも高齢者が多く、費用負担が足かせとなり耐震改修が進んでいなかった実態が背景にあることも今朝の高知新聞などでも報道されています。

 耐震化を進める国土交通省は「いつまで住み続けるか分からない住宅に、多額の費用をかけて改修する高齢者は少ない。耐震化が必要な古い住宅ほど対策が手付かずになる悪循環がある」と言っており、解消しなければならない課題のはずです。

 「補助金で一部を賄い、対策を促すしかない」とも言うが、それなりに自己負担も必要な耐震改修が進まない中で、東京大広井悠教授(都市防災)は、高齢者が多く、耐震化が進まない地域は全国にあると指摘した上で、「住宅の一部を簡易的に補強し、逃げ込むスペースを確保するような耐震改修に対し、国や自治体が支援を拡充するべきだ」と提言しています。

 私たちも、これまで県に対して、一部屋をシェルター的に補強しておけば、地震で家が損傷しても、建物の下敷きにならないスペースを確保し、揺れが収まってから屋外へ逃げるための「一室耐震化」への支援を求めてきました。

 しかし、県は二段階に分けて耐震改修を行う場合の一段階目に要する費用を補助する「住宅段階的耐震改修支援事業」ということは認めるものの、「一室耐震化」への補助は認めていません。

 全国の自治体では、高齢者等を対象に支援しているところもありますが、今回の能登半島地震の教訓からも全国的に推進する必要もあるのではないでしょうか。

1月3日「被害は大きくなるばかり」

 最大震度7を観測した令和6年能登半島地震で、3日には石川県内では、これまでに64人の死亡が確認されましたが、家屋の倒壊現場などで余震の頻発によって救出作業が難航しており、被害の全容はまだまだ明らかになっていません。

 岸田首相は3日午前の非常災害対策本部会議で、捜索などに当たる自衛隊の態勢増強を表明し、防衛省は要員を1000人から2000人に倍増したとのことです。

 死者の内訳は、輪島市31人、珠洲市22人、七尾市5人、穴水町と能登町が各2人などで、県内の355カ所に避難所が開設され、約3万3000人が避難しています。

 輪島市では約200棟、約4000平方メートルが延焼し、珠洲市や能登町でも火災が発生したが、おおむね鎮火したとのことです。

 北陸電力によると、3日午後3時35分時点で約3万3300戸が停電しており、断水も各地で発生しており、自衛隊などが給水支援を実施しているようです。

 石川県は4日朝にかけ、低気圧の影響でやや強い雨が降る所がある見込みで、気象庁は土砂災害に警戒し、突風や落雷に注意するよう呼び掛けているとのことで、避難所での避難生活の厳しさが想定されます。

 可能な支援が一日も早く届くことを願っています。

 なお、さまざまな災害関連情報を取りまとめたページにリンクを貼っておきますので、必要な方はご活用ください。

1月2日「元旦の能登半島を震度7・津波が襲う」


 穏やかな元旦に、石川県能登地方で夕方震度7を観測する地震が襲い、石川県、福井県、富山県や新潟県などで大きな被害が出ています。

 時間が経つにつれて、死亡者数やけが人など犠牲者の数が増加しつつありますが、石川県によると、県内では2日午前8時半現在、避難所336カ所に、3万251人が身を寄せているそうです。

 寒い中での避難生活ですが、災害関連死などにつながらないことを願うばかりです。
 
 石川県など日本海側の広い範囲に津波注意報を出して注意を呼びかけられたが、輪島で1メートル20センチ以上の津波が観測された他、金沢でも90センチなど各地で津波が観測されました。

火災の映像で心配された石川県輪島市では、朝市通り周辺で100軒以上が燃えたとみられています。

 また、原発銀座と言われる能登地方で震度7の地震に見舞われた志賀原子力発電所は、現在運転停止中の志賀原発1号機では、使用済み燃料貯蔵プールの水が漏れて冷却ポンプが一時止まりましたが、再起動したということです。
 
 さらに、1号機では変圧器から油が漏れたほか、2号機では変圧器の消火設備が起動したが、北陸電力は「火災はなかった」と説明しています。

 新潟県柏崎刈羽原発では、異常なしとのことですが、今後の原発の状況にも注視していかなければなりません。

 内閣府は令和6年能登半島地震で、新潟、富山、石川、福井の4県が計47市町村に災害救助法の適用を決めたことが明らかにされています。

 とにかく早急な救助・救出が急がれます。

1月1日「まずは、身近な3.5%の人々とつながる年に」


昨年中は、お世話になりました
 本年も、よろしくお願いします


 安保関連三文書を、一昨年暮れに閣議決定し、この国は新たな戦前に直面する重大な局面を迎えています。

 憲法9条に基づく国是とも言うべき専守防衛を全てかなぐり捨てて、この国は敵基地攻撃能力を手にしてきました。

 敵基地攻撃能力は、やられる前にやってしまえと言うことであり、これによって岸田政権は日本が公然と戦争ができる国に変えたのであり、断じて許せません。

 際限のない軍備拡張路線、軍拡増税を目指す路線は国民生活をもを一層いっそう苦しめることになり、これも許すことができません。

 日本は、今やアメリカの従属国になってしまっていますが、今も憲法9条は生きており、アメリカ政府に対し、敢然とした姿勢で日本はアメリカと一緒になって無謀な戦争をしないと言う意思表示をすべきであります。

 憲法前文には、「政府の行為によって、再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に損することを宣言しこの憲法を確定する」とあります。

 この憲法の精神を一人一人の国民が自覚し、今こそ立ち上がるべき時であるといえます。

 ハーバード・ケネディ・スクール教授のエリカ・チェノウェス氏の著書『市民的抵抗 非暴力が社会を変える』には、「3.5%」が動けば社会が変わる可能性があることが、書かれています。

 「人口の3.5%を路上での運動に参加させられるほとんどの抵抗運動には実際にはもっと広範な支持基盤があるのだ。3.5%くらい大きな割合の人口が積極的に公に姿を表す抵抗運動のほとんどは、圧倒的な人数の人々の支持を得ている。」

 「ある目的を持った行動に出る上で人口の3.5%を取り込むことができるということは、確実に、大多数の人々がその目的を支持しているということだ。かなり大きな規模で抵抗参加者を路上に導き出せることは、おそらく抵抗運動が人々の支持を得ることの原因ではなく結果である。」

 少なくとも「3.5%」の人々とつながり、変えることで、社会を、政治を変える一歩を一人一人が踏み出す2024年ではないでしょうか。