2024年09月定例会一問一答(10月2日)

◎31番(坂本茂雄君) 県民の会の坂本でございます。それでは、順次質問をさせていただきたいと思います。
 復興への険しい道のりを歩まれていた能登半島地震の被災地が、9月21日、記録的な豪雨に見舞われ、多くの犠牲者が出ました。被災地を思う多くの皆さんが、奥能登の皆さんに、なぜ、こんなにも試練を与え続けるのかとの思いを強くされています。犠牲になられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、被害を受けられた皆様にお見舞い申し上げます。
 さらにつらいのは、仮設住宅が浸水し、やっと住み慣れたばかりの仮設住宅から、改めて避難しなければならない被災者の皆さんがおられるということです。9月28日時点で、輪島市と珠洲市の仮設住宅6団地209戸が床上浸水で、総戸数の約4割に該当するとのことです。
 そのうち4団地が、ハザードマップで洪水による浸水リスクがあるとされた場所であり、県や輪島市は、洪水や土砂災害、津波といったハザードリスクを「織り込み済み」として、海沿いや川沿いなどに建設していました。「リスクを承知の上」とするかわりに、石川県は、災害の危険があった際は「警戒、避難態勢をしっかりする」としてきたが、そのような対応がされたのか、今後の検証も必要となっています。
 いずれにしても、災害の仮設住宅は、被災地の中でも残された少ない平地に建てられるため、そこにはこれまで人が住んでいなかった河川氾濫リスクや、土砂災害リスクのある地域に建てられるという問題があり、今回の奥能登豪雨を教訓とすることが、本県にも迫られているのではないでしょうか。
 それでなくても、本県においてもL2対応で、仮設住宅用地不足分460ヘクタールの確保に困難を極めている中で、限られた用地や候補地が総合的な自然災害リスクを考慮した場所の選定がされているのか、土木部長にお尋ねします。

◎土木部長(横地和彦君) 災害後の仮設住宅につきましては、南海トラフで想定される最大クラスの地震や津波被害に対し、7万7,000戸が必要となりますため、既存住宅の借り上げを見込んでおります戸数を除きました6万9,000戸分の用地、すなわち690ヘクタールの確保が必要でございまして、そのうち、現在、公有地で230ヘクタール、これを確保しているというところでございます。で、残る460ヘクタールにつきましては、民有地の活用を考えておりまして、現在、その土地情報の抽出につきまして、市町村と連携して取り組んでいるところでございます。
 この民有地の抽出に当たりましては、洪水浸水や土砂災害等のリスクの有無、あるいは、道路への接道状況、こういった情報も含めて、リストアップしているところでございます。
 把握した民有地情報につきましては、今後、災害リスク等の情報の精度を高めまして、土地の安全性を確認してまいりたいと考えております。

◎31番(坂本茂雄君) ぜひ、なるだけなら、リスクがないところに確保していくというのが大前提だと思います。そのことを念頭に置いた今後の取り組みをお願いしたいと思うんですけれども、知事は、二月定例会で、私の質問に対して、複合災害等最悪の事態を想定した南海トラフ地震対策への決意について、例えば、南海トラフ地震と風水害など、非常に厳しい状況のときに発生するということは、当然起き得るものと想定しておかなければならないと考え、安全の追求に終わりはない、防災対策に終わりはないという考え方に立ち、絶えず、その前進を図っていく、進化を図っていくという姿勢で、バージョンアップを図る取り組みが必要だと考えておられるとの答弁をされました。
 今回の教訓からすれば、仮設住宅用地の安全性の調査と分析を行い、可能な限り安全性を確保するとともに、できなかった場合にどのような対応を考えられているのか、知事にお聞きします。

◎知事(M田省司君) 御指摘ございましたように、今回の石川県輪島市及び珠洲市におかれましては、能登半島地震後に建設された仮設住宅が、豪雨により浸水をするという被害に見舞われております。
 本県に置き換えて考えました場合、南海トラフ地震発災後におきましても、低地では台風などの豪雨により浸水するおそれがございますので、安全性の高い仮設住宅用地の確保は重要な課題であるというふうに考えております。
 この用地の確保に関しましては、先ほど土木部長も答弁いたしましたように、残る460ヘクタールの民有地のリストアップが、なお途上にあるということでありまして、そうした中で、安全性の高い用地を候補地として選定できますように、市町村と連携して取り組んでいく考えであります。
 一方で、南海トラフ地震の被害想定自身が、ここ向こう一、二年の間の見直しを、今、予定しているところでございまして、これ、予断を許しませんけれども、10年前に比べますと、例えば、堤防などのインフラ整備は一定進んでおるわけでございますので、ある程度、想定される被害の規模は減少の方向になるのではないかと。そうでありますと、この460ヘクタールという数字も軽減の方向になるのではないかというような期待も、持つことは持っているところでございます。
 今後につきましては、こうした取り組みを総合的に進めます中で、来年度からの次期南海トラフ地震対策行動計画の期間内には、浸水などに対しましても安全性の高い候補用地が選定できますように、最大限努めてまいるということを、まず取り組んでまいりたいと思っております。

◎31番(坂本茂雄君) 先ほどから、民有地の登録と言うか、そういう話がありましたけれども、防災協力仮設候補地制度においては、登録要件で、そういった災害リスクを制限してないんですよね。だから、そういう意味では、再度チェックをかけていかなければならないというような課題も出てくると思いますので、ぜひ、そこは精査をしながら、先ほど知事が言われた安全性の確保に、最重点的に取り組んでいただきたいということを、お願いしておきたいと思います。
 続きまして、受援力を高めるための災害中間支援組織について、子ども・福祉政策部長にお尋ねします。
 高知県と県社会福祉協議会は、9月13日、南海トラフ地震などの大規模災害時にボランティアを円滑に受け入れるための協定を締結し、両者で災害ボランティアの活動支援本部の設置、運営等に関し、情報収集や支援活動で連携していくことを確認されています。
 昨日の土森議員への答弁でも触れられていたように、これは、災害ボランティアの支援本部でありますが、災害時には、専門性を有するNPO等のボランティア団体が被災地で大きな力となっており、そうした団体のコーディネートを行う「災害中間支援組織」の重要性が高まっています。
 内閣府の「官民連携による被災者支援体制整備モデル事業」の活用によって、災害中間支援組織のかなめとなるNPO組織などの設置等に向けた支援が進むのではないかと考えますが、本県において「災害中間支援組織」の現状はどのようになっているのか、お尋ねします。

◎子ども・福祉政策部長(西森裕哉君) 災害中間支援組織は、被災者や被災地の多様なニーズに対応するために、県内外の専門性を有するボランティア団体、NPO等と連携して支援をつなぐ組織でございますが、現在のところ、本県では設置までに至っていない状況であります。
 このため、本県での体制構築に向けまして、内閣府のモデル事業を活用し、検討を進めているところであります。現段階としましては、先進県や過去の被災県における体制の情報を収集し、内閣府から助言を受けながら、災害中間支援組織のあり方の検討を開始したところでございます。

◎31番(坂本茂雄君) 昨年4月時点、19都道府県で、災害中間支援組織が活動しているという中で、昨年度からモデル事業の実施をされていた徳島県では、今年7月17日に、被災地とボランティアなどの間で支援の調整に当たる「災害中間支援組織」を、徳島大学、一般社団法人さいわい、徳島県士業ネットワーク推進協議会、徳島県社会福祉協議会、徳島県建築士会、徳島県などが新たに立ち上げ、体制を強化していくこととなっています。
 先ほど、部長は、先進県や、あるいは、内閣府等との情報交換をしながらということでしたが、このモデル事業で進めることによって、今の策定段階から、検討過程の段階から、顔の見える関係を築いておくということが大変重要になってくると思います。本県では、先ほど言われた取り組みとあわせて、今後、どのような形を具体的に考えておられるのか、お聞きします。

◎子ども・福祉政策部長(西森裕哉君) 議員からお話のありました徳島県では、平時からNPOの活動を支援する団体が中心的な役割を担っておりまして、取り組みが進んだと伺っているところでございます。
 本県では、これまで、高知県社会福祉協議会が、NPOに対する相談支援や研修、交流、ネットワークづくりなどの支援に取り組んでいるところです。こうしたことも踏まえまして、県社協とも連携しながら、災害中間支援組織の立ち上げに向けて、一つ一つ課題を整理しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 今後、検討を進めるに当たりましては、内閣府のモデル事業を活用して、有識者の意見を伺う検討会を立ち上げるということも、選択肢の一つとして考えてまいりたいと思います。

◎31番(坂本茂雄君) ぜひ、モデル事業の指定を受けている間に加速化して、取り組んでいただいて、全国19都道府県に追いつくようにお願いしたいと思います。
 続きまして、消防の広域化について、知事にお尋ねします。
 2008年から「県一消防広域化」を目指し、各消防本部と協議した際は、消防本部によっては多様な意見・課題が出されて、当時、私も議会質問で、懸念を示させていただいた経過もあります。
 今回、知事は、提案説明で、消防の広域化について、「現在15の消防本部に分立している常備消防組織を一本化することで、人事管理や通信指令業務などの間接部門をスリム化し、そこから生じた余力を現場要員の配置に振り向けることが、最も有効な手法だと考えます。本県では、このような考え方に立ち、昨年度から、各消防本部との間で、消防の広域化に関する協議を進めており、概ね共通の理解に達しています」と述べられました。
 そこで、お聞きしますが、県一消防広域化によって、41署所体制の維持や現場勤務体制、職員の処遇や消防吏員の配置や県一共同指令センター、現場経費の増額など「消防力の充実」や現場要員の増強や消防本部方面の設置、高度救助隊及び特別高度救助隊の設置など「消防力の強化」を図る方向性が本当に見出せているのかと思われる中、消防本部間において、広域化するメリットやデメリットなどにおける温度差とかはなく、真に共通の理解に達したということなのか、お尋ねします。

◎知事(M田省司君) この消防の広域化に関しましては、昨年11月に、県と全ての消防本部の長の間で構成をいたします消防広域化検討会を設置いたしまして、3回にわたり協議を行ってまいりました。
 この現場要員の増強などの広域化のメリットを期待する意見があった一方で、ただいま議員からも、るる、お話ございました、今後、消防の装備や施設の充実を図る場合のスケジュールをどうするのか、あるいは、財政負担はどう分担し合うということにするのか、こういったあり方などにつきましては、今後、より具体的な検討が必要だというような意見もあったところであります。
 このように、広域化後の、いわば各論の部分については、さまざまな御意見はありましたけれども、人口減少が進む中で必要な消防力を確保していくという方向のためには、広域化の議論を避けては通れないという大きな方向性に関しましては、全消防本部の長が共通の理解に達したというふうに理解いたしております。

◎31番(坂本茂雄君) 「市町村の消防の広域化に関する基本指針」というのがありまして、それは、今年4月、一部改訂をされています。
 で、全県一区での広域化は、消防本部の在り方の一つではあるけれども、管轄人口30万人以上にとらわれず、地域の実情を考慮することということが、その中で言われております。大規模な広域化の例として、本県に、この検討会の中でもアドバイスに来られていた奈良県の広域消防組合というのがございますけれども、そこは、ほぼ全県一区というふうに言われています。ただ、ほぼ全県一区というふうに言われながら、奈良県の北部にあります奈良市と生駒市を合わせて県人口の約3分の1、その約3分の1が脱退しているんですね。
 それで、しかも、奈良県の面積は、高知県の約2分の1、人口は一方で2倍という、そういう環境の違いがありながらも、なかなかじゃあ、そこのケースが高知県に当てはまるかというと、決してそうではない。そういう意味では、本当に、自治体ごとのいろんな特色を踏まえた議論というのは、慎重な議論がされなければならないと思います。
 全国でも、全県一区という広域化は、いまだにないのが実態だと思います。
 そういうような中で、さらに慎重な議論をしていくというおつもりなのか、タイムスケジュールありきで議論をされていくのか、その辺については、知事はどのように考えられますか。

◎知事(M田省司君) まず、この消防広域化の基本構想を県において策定して、それに基づきまして議論を進めていくという手法をとりたいと思っています。
 この基本構想におきましては、広域化の趣旨や新たな組織の骨格、さらには、新体制への移行スケジュールにつきまして、県としての試案をお示しするものという形でつくっていきたいと思います。これ、議論のスタートということだと思います。
 なお、その構想をつくります際も、まず、この骨子案を年内には公表いたしまして、市町村や消防本部の意見を聞きたいというふうに思っておりますし、担当者会等のさまざまな機会を通じて、消防職員、団員を含みます関係者の御意見もお聞きする、さらには、広く県民の皆さんからも御意見を伺うような進め方を考えているところでございます。

◎31番(坂本茂雄君) そういう流れの中で、例えば、県において、広域化を担う新たな組織の設置に向けた基本構想を年度内に策定すると。その上で、市町村や消防本部を交えて、さらに具体的な協議を進めるということですけれども、私は、基本構想の策定過程においても、市町村や消防本部、あるいは、職員や消防団の声をしっかり聞いておく必要があるんではないかと。その策定過程で、そういう丁寧な手順を踏みながら、そして、基本構想ができて、改めて、また先ほど知事が言われたように、それぞれの関係団体、関係消防本部から、あるいは、職員や消防団から声を聞くというふうな過程を踏んでいただきたいというふうに思うんですけれども、策定過程においても、しっかりと声を聞いていくというふうなことについては、知事、いかがでしょうか。

◎知事(M田省司君) ただいま申し上げましたように、結論から申しますと、この基本構想の策定過程でも、市町村、消防本部の意見もお聞きし、消防団員、あるいは、消防職員を含む消防関係者の御意見、さらに、広く県民の皆さんからの御意見も募った上で、この基本構想を検討して、お示しするという段取りを考えております。
 今までところは、メリット・デメリットという議論はされておりますけれども、それでは、具体的にどんな組織をつくっていくか、そして、どんな活動を目指していくか、スケジュールはどうするか、こういったところの具体論というのが、今、議論のベースがないわけでありますから、それを基本構想として、県の試案としてお示しする。その過程でも、御意見は幅広くお聞きした上で、年度内には、県としての試案としての基本構想を策定し、お示しするということにしたいと思います。これが議論のベース、スタートになるということだと、私は理解しておりますので、来年度に入りましたら、また、新しい有識者なども交えた検討組織を設置いたしまして、その場で、より具体化に向けました議論を、さらに関係者に深めていただくというような段取りで進めていくべきだと考えております。

◎31番(坂本茂雄君) ぜひ、先ほども少し事例としてお話ししました、奈良県の事例などもあります。さらには、国のほうの基本方針が改訂されて、決して、管轄人口30万人以上にとらわれないというようなことも、その改訂の中でも言われたりしています。
 そういったこともしっかりと踏まえて、2010年当時、4ブロックのあり方で議論されたり、あるいは、1ブロックという方向性も含めて議論された、その際にいろいろ出された課題もあったわけですけれども、消火、救急、救助の消防サービスというは、地域住民の方にとって身近で重要な行政サービスですので、引き続き、地域のさまざまな課題にも配慮しながら、慎重な議論がされるべきだと、そのように考えています。
 ぜひ、そのことを踏まえて、県としての対応をよろしくお願いしたいと思います。

◎観光振興スポーツ部長(小西繁雄君) 続きまして、バリアフリー観光と観光・福祉防災の連携について、お聞きしたいと思います。
 本県のおもてなし観光の一つとして、令和2年度から「タウンモビリティステーションふくねこ」などの一角に、高知県バリアフリー観光相談窓口が設置されました。
 スタート当初は、コロナ禍のため思うような利用の伸びはなかったかもしれませんが、アフターコロナのもとで認知度も高まり、一定の成果も上がりつつあります。
 そのような中で、先日来の質問戦でも議論になっております8月8日の南海トラフ地震臨時情報が出された際、私は、あのよさこい祭りの期間に、街中に繰り出されている観光客の皆さんや県民で、避難行動要支援者と言われる皆さんの「逃げる」ための情報と支援の仕組みが築かれているかということを考えざるを得ませんでした。
 災害が発生したときの防災対策でなくて、これからは、平時から観光と防災の共生に向けた街づくりによって、災害から逃げられる街だから、安心して観光に来てくださいと言える備えの情報発信をしていけることが求められていると思います。
 そして、そのための情報発信機能を高知県のバリアフリー観光に常備していくことが必要ではないかと考えますので、順次、観光振興スポーツ部長にお尋ねします。
 まず、平時の県バリアフリー観光相談窓口において、地域の災害リスクを把握できていない避難行動要支援者も含む観光客を、災害時に誰一人取り残さない観光×福祉防災の取り組みをどのように情報発信していくのか、お聞きします。

◎観光振興スポーツ部長(小西繁雄君) 災害時に、障害のある方を含め、本県を訪れた全ての方が円滑に避難できるよう、平時から発信していくことが重要です。
 このため、県バリアフリー観光サイトにおいても、高知県防災アプリや防災啓発冊子のリンク先を掲載し、平時から周知を図っているところです。また、県バリアフリー観光相談窓口では、コミュニケーション支援アプリを活用し、障害のある方や外国人の方にもスタッフが直接、防災情報などを案内しております。
 加えまして、県内の宿泊や観光施設などにおいても、観光客への防災アプリの活用を促していきたいと考えております。

◎31番(坂本茂雄君) 観光施設あるいは宿泊施設等についての情報発信、これも先日来の質問の中で触れられていたかと思います。県のバリアフリー観光相談窓口は、極めて街中にあるわけで、そこを訪れる人たちに対して丁寧な支援ができるということが、求められてくると思いますので、特に、観光施設における合理的配慮のアドバイスとか、あるいは、先ほど、ホームページに多様な防災アプリをアップしているということなんですけども、実際は、スマホに、高知防災アプリとか、高知市の津波SOSアプリをインストールしてあげるとか、そういうところまで、窓口では丁寧な支援をしてあげることが、これからは大事になってくるのではないかなと思いますので、その点についても、よろしくお願いしておきたいと思います。
 そんな中で、県内の防災先進自治体では、防災事例の案内を黒潮町観光ネットワークで防災ツーリズムという形で行ったり、中土佐町では、一般社団法人なかとさ観光協会が防災視察の委託を受けたりしています。防災観光の中に、福祉防災の視点を持ち込むことで、平時のバリアフリー観光や災害時要配慮者への支援につながる情報提供と防災ツーリズムの主催団体等とのつなぎ役を、県バリアフリー観光相談窓口に担っていただくことが、防災ツーリズムへの誘客やバリアフリー観光の推進にもつながると思いますが、これについて取り組めないか、お聞きします。

◎観光振興スポーツ部長(小西繁雄君) 例えば、黒潮町では、津波避難タワーの見学や夜間の避難訓練など、命を守る知識を学ぶとともに、地域ならではの観光体験も行える防災ツーリズムを推進しております。
 県バリアフリー観光相談窓口がつなぎ役となり、こうした防災ツーリズムに福祉防災の視点をつけ加えていくことは、防災ツーリズムの魅力向上にもつながっていくものだと考えております。また、観光客や主催団体のバリアフリーに関する学びが深まりますとともに、発災時の対応力の強化にもつながっていくものだと考えております。
 こうした取り組みを県内外に情報発信することで、防災ツーリズムの誘客の拡大や県全域でのバリアフリー観光を推進していきたいと考えております。

◎31番(坂本茂雄君) 県内外に情報を発信していくということは、ひいては、例えば、県内の自治体間でいけば、こういった取り組みを横展開していくことにもつながっていくと思いますので、そういったこともあわせて、お願いしておきたいというふうに思います。
 続きまして、そのように、県バリアフリー観光相談窓口の機能は、もっともっと充実していく可能性があるだろうというふうに思っています。それを充実させていく上で、現状、狭隘になっている施設面などを拡充していく必要があると考えますが、どのように取り組まれるのか、お聞きします。

◎観光振興スポーツ部長(小西繁雄君) 防災情報をまとめた新たな特設ページの作成や障害のある方と一緒に避難するといった実践的なバリアフリー防災セミナーなどを開催することで、バリアフリー相談窓口の機能の充実を図ってまいりたいと考えております。
 施設面につきましては、現在の相談窓口は、高齢の方や障害のある方の街歩きを支援する高知市の事業と同じフロアを共有しております。
 こうしたことから、まずは、両事業のお客様の利用の状況の推移とか、フロアの有効活用などを検証した上で、相談窓口業務を運営いただいている団体や高知市と検討していきたいと考えております。

◎31番(坂本茂雄君) ぜひ、その点は、高知市と十分に連携されて、このことによって、より観光客や利用される県民の方にプラスになっていくような、そんな施設拡充をお願いしておきたいと思います。
 続きまして、高知市の街中観光の中でも、まずは、外国人観光客を始め多くの観光客が集中するのが帯屋町商店街ですが、商店街の西部には、高知城博物館やオーテビアなど公的な施設に多くの多目的トイレが整備されていますが、帯屋町筋の東部となると、環境のよい多目的トイレが不足し、案内されている県バリアフリー観光相談窓口の方々もいささか困られているそうです。
 バリアフリー観光、インバウンド観光のさらなるおもてなしの充実に向けて、帯屋町筋の東部に、環境のよい多目的トイレの整備が図られないか、お聞きします。

◎観光振興スポーツ部長(小西繁雄君) 帯屋町筋の東部には、はりまや橋ターミナルがございまして、クルーズ船の外国の方も含め、多くの観光客が訪れております。相談窓口では、障害のある方や車いすを利用される方から、トイレのお問い合わせがあった場合には、現在、中央公園の多目的トイレやはりまや橋地下駐車場のトイレを案内させていただいております。
 新たなトイレの整備につきましては、候補となる適地や費用面からも、すぐに整備することは難しく、一定の時間を要すると考えております。
 まずは、民間事業者への協力も呼びかけながら、高知市中心商店街のトイレマップを作成し、相談窓口やはりまや橋バスターミナルなどで配布していきたいと考えております。
 さらには、お客様の声なども丁寧にお聞きしながら、公共トイレの整備につきましても、地元の高知市にも相談していきたいと考えております。

◎31番(坂本茂雄君) 確かに、今言われたところにあるのはあるんですけども、私が先ほど言いましたように、環境のよい多目的トイレが不足しているということなんですね。特に、暗かったりとか、そういったこともありますし。先ほど言われた、例えば、クルーズ船で来られた方がバスを降りてというようなこと、それから、本当なら、あそこのターミナルビルの多目的トイレを使ってもらえばいいんですけれども、それを知らずにもうそのまま来てきてから、トイレかどこかというような問い合わせがあったりするという意味でも、先ほど言われたマップを整備するというのは、これは大事ですし、置き場所も検討されたらと思うんです。
 で、やっぱりその一方で、より環境のよい多目的トイレを設置していくということについては、ぜひ、多少時間がかかるかもしれませんけれども、御検討お願いしておきたいというふうに思います。
 続きまして、塚地議員、下村議員も触れられましたが、近年、気候変動などの影響で気温上昇が深刻化し、熱中症警戒アラートが発せられる日々が連続し、「災害級の暑さ」に伴う健康や生活への影響が大きくなり、特に、熱中症による救急搬送や死亡者数の増大も、大きな社会問題となっていることや熱中症対策などにも言及されました。
 そこで、暑さに対して脆弱とされる高齢者や子どもなどの予防を重視し、リスクを最大限に排除する取り組みが求められている中で、順次お尋ねしたいと思います。
 県教育長の「熱中症特別警戒アラート発表時の対応について」の発文に基づいて、「屋外や冷房設備のない場所で行う学校行事等は、中止または延期」「屋外や冷房設備のない体育館等で行う部活動は練習中止」「高知県内で屋外競技または冷房設備のない体育館等の屋内競技の大会が予定されている場合は不参加とする」とされています。
 現実的に、熱中症特別警戒アラートが発表されることがなかった中で、「全ての生活活動で熱中症が起こる危険性」の目安である、暑さ指数31以上の場合、体育授業や運動部活動、中学校や高等学校のスポーツ大会では、どのような対応がなされているのか、教育長にお尋ねします。

◎教育長(長岡幹泰君) 各学校では、体育授業や運動部活動を実施する際、まず、活動場所の暑さ指数の計測を行い、暑さ指数が31以上の場合には、適切な水分・塩分の補給や休憩を小まめにとるなどの熱中症対策を行っております。その上で、学校によっては、児童生徒の状況に応じて、運動強度の軽減や活動の時間帯、場所を変更するなどの対応をとっております。
 また、本県の中学校及び高等学校の体育連盟が主催するスポーツ大会におきましては、暑さ指数の計測に加えまして、給水タイムの設定など、競技ごとに必要な熱中症対策を講じた上で、大会運営を行っている状況でございます。

◎31番(坂本茂雄君) それで、学校以外のスポーツ大会では、どのような対応がなされているのか、観光振興スポーツ部長にお尋ねします。

◎観光振興スポーツ部長(小西繁雄君) 一部の競技で、夏場は大会の開催を避けたり、暑さの状況により中止したケースがございます。多くは、熱中症対策を講じて、開催している状況です。
 主な対策としまして、定期的な水分補給や換気、休憩時間の確保のほか、暑さのピークを避けた試合時間の設定などを行っております。また一部の競技団体では、暑さ指数を計測した上で、大会を実施しているといった事例もございます。

◎31番(坂本茂雄君) 続きまして、昨日、いわゆるクーリングシェルターが、12市町で157施設で指定されているということが、下村議員の質問に答えて、ありました。
 一方で、暑さリスクの高い高齢者が、百歳体操とかで集う場に冷房設備がないところも見受けられます。そのことによって、夏場、健康維持の取り組みができなくなる可能性もありますが、冷房設備の設置における公的支援を、市町村と一緒になって果たすことができないか、子ども・福祉政策部長にお聞きしますが、時間があまりないので、手短に答えをお願いします。

◎子ども・福祉政策部長(西森裕哉君) こうした、いきいき百歳体操などの施設に対する冷房機器の設置については、住宅改造支援事業費補助金という県単独の制度を設けております。この制度は、地域住民の生きがい活動や防災活動の拠点となっている施設の改修や改築への支援を行うものでございまして、空調設備での活用は、過去5年間で4市町、9件となってございます。

◎31番(坂本茂雄君) 最後に、知事にお尋ねします。
 この間議論がいろいろありました。子供や高齢者など暑さに対する高リスク層への熱中症対策は、熱中症リスクを最大限回避することは当然ですけれども、単なる熱中症対策にとどまらず、買い物空間の確保や街の賑わいなどをもたらす地域の活性化につながるまちづくり、将来に向けた地域の魅力づくり、そういったことを含めて暑熱適応の街づくりが進むことを期待していますが、知事の御見解をお伺いします。

◎知事(M田省司君) 熱中症対策につきましては、御指摘ございましたように、国において法律改正も行われまして、熱中症対策実行計画も策定されております。地球温暖化が進行する中で、熱中症の発生リスクを抑制しながら、社会経済活動の継続、街のにぎわい創出などを図るためには、街中の公共の場などにおける暑さ対策は不可避だと考えております。
 国の計画も踏まえまして、まちづくりに関するさまざまな分野で、暑さへの対応を念頭においた施策を講じていく必要があるというふうに考えております。

◎31番(坂本茂雄君) どうもありがとうございました。
 とにかく、この間のさまざまな県民を取り巻く状況というのは、災害にしろ、いろんな面で厳しい環境になっています。
 そういった中で、県民の皆さんが安心して暮らしていけるように、よく言われる誰一人取り残さないような、そんな目配りをした高知県政を引き続き進めていただきたい。そのことをお願いいたしまして、私の一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。