2013年09月定例会予算委員会(10月4日)

◎桑名副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 一問一答による質疑並びに一般質問を続行いたします。
 坂本茂雄委員、あなたの持ち時間は30分です。御協力、よろしくお願いいたします。

◎坂本(茂)委員 短い時間の割には、いつも質問の数が多くて、執行部の皆さんには御迷惑をおかけしますが、御協力のほど、よろしくお願いいたしたいと思います。
 まず、長期浸水対策などにおける避難所のあり方等についてお聞きいたします。
 5月に中央防災会議の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループから、南海トラフ巨大地震対策についての最終報告が出されました。この報告書では、最悪の場合、全国での死者が約32万人、負傷者が約62万人、建物の全壊が約239万戸に上り、3,000万人の方が断水に見舞われ、2,700万軒超が停電するという想定で、事前の備えから災害発生時の対応、復旧・復興までの対策を段階ごとに提言しており、とりわけ備えについては、事前防災という言葉でその重要性を強調しております。
 震度6弱以上の揺れに襲われ、浸水深30センチ以上の地域が10ヘクタール以上に上るおそれのある自治体が30都府県、734市区町村の超広域に及ぶと言われる中で、行政の支援が行き届かない可能性が指摘され、地域で自活する備えも1週間分以上の備蓄が強調されました。
 そして、40都府県で950万人の避難者が出るとの試算を踏まえ、避難者全員を避難所で受け入れられない事態も想定し、自宅の被災状況、避難者の病気や障害の有無から、受け入れを判断する避難者トリアージの方法や広域訓練・疎開の検討も提言されていますが、これらのことを踏まえて、本県の備えについて順次質問させていただきたいと思います。
 まず、避難者トリアージというのは、私としては、現実的にも、人道的にも極めて困難な面があるのではないかというふうに思われますが、報告が出された際には、知事も懸念を示されていたことがあろうかと思います。どのように知事はお考えになっているか、お尋ねしたいと思います。

◎尾ア知事 私は、その報告書をつくっておるワーキンググループのメンバーでありましたので。ただ、避難所トリアージという言葉が出されたときは、ちょっと欠席をしておって、その議論には加わっていなかったんですが。ただ、決して、その避難所トリアージという言葉、非常に大きく報道されたりはいたしましたが、避難所に来る方を切り捨てるというような主旨で言われている話では決してないというふうに理解をいたしております。むしろ、その方にとって、一番最適な避難所に誘導をすると、そういう考え方なのではないかなというふうに思っております。
 私が懸念を示しましたのは、避難所トリアージという形で、軽微な方であれば外で我慢してくださいという形で、本来なら入りたい人を入れなくするとか、そういう切り捨てをするような形でのトリアージということであれば、人道的にも、現実的にも無理だし、これは、私は懸念を覚えたところであります。ただ、例えば、自宅がもう十分住み続けられることができる方で、十分自活もできる状況にある方は、自宅にお帰りいただくとかいう形で、最適な場所に誘導するということ、そういうことであれば、このトリアージという発想もあり得るのではないかなと、言葉、内容の取り方如何かなとそのように思っております。

◎坂本(茂)委員 今、その考え方の中で少し触れられましたけれども、この最終報告の避難者等への対応の項に、避難所への避難者数の低減への対策として、避難所の収容力の不足が想定される地域において、避難所への避難者そのものを低減させる対策を検討する必要があるとされている中で、今、知事も少し述べられましたけれども、自宅の被災が軽微な人は、避難所ではなく自宅で待機してもらう仕組みの検討について、触れられています。このことについて、知事がどうお考えになるか、お聞きしたいと思います。

◎尾ア知事 やはり、自宅のほうが、精神的にも落ち着かれるとか、プライバシーも確保できるとか、いろいろメリットがあるという場合も多いのではないかなというふうに思います。
 ただ、自宅で避難生活を送っていただくには、やっぱり幾つか条件があろうかと思います。一つは、余震に耐えられるかどうかということでございまして、本震の結果として、その自宅の安全性が建物としての安全性がどうかということ、これがまず、しっかり確認されなければなりません。そして、第2の点といたしまして、自宅でお住まいになったときに、水とか食糧等の生活物資、この調達ができる状況になっておるかどうか、このことも確認されていかなければならないなと、そういうふうに考えておるところです。この二つが満たされることを条件として、そうであれば、自宅で避難生活を送っていただくということ、御本人が望まれればでありますが、そちらのほうがいい場合もあると、そのように思います。

◎坂本(茂)委員 現在の県の避難所の検討では、長期浸水域内の緊急避難場所では、被災状況が軽微なものについても、避難者をはじめ、そこに居住している方も含めてすべて長期浸水域以外の収容避難所に搬送する計画でありますけれども、高知市における避難所避難者数約16.5万人に対して、避難所収容可能人数、約4.4万人と大きく不足している中で、耐震化によって確保される施設を加えても、約6.9万人と4割に過ぎません。
 この避難所には、長期浸水域内の方だけではなく、当然周辺住民での被災者も収容する予定であろうと思われますが、その割合について、どのように考えているか、危機管理部長にお尋ねします。

◎高松危機管理部長 県の被害想定では、高知市の避難すべき総数25万9,000人と想定をしています。そのうち、浸水区域外、浸水しない区域の市民の方々で、避難所へ避難をすることが必要だと想定している方の数、これが約7万1,000人いらっしゃいます。現在の避難所は、浸水しないであろう区域に設定をしておりますが、その収容可能数は、現時点で4万4,000人ということで、浸水しない区域からの避難者数に対してさえも2万7,000人分足らないといった状況であります。
 避難所の利用について、浸水区域の内外の住民の方々の割り振りというものを決めておるわけではございませんけれども、現状では浸水区域からの方々で避難所を利用できる方は、非常に少なくなるんではないかなというふうに思われます。

◎坂本(茂)委員 高知市内での収容避難所における収容可能人数は、いつごろ確定する予定なのか、危機管理部長にお尋ねします。

◎高松危機管理部長 先ほど申し上げましたように、現状で12万人分足らないというようなこと、これは委員のほうのお話にもありました。
 このため、高知市では、現在県の新しい被害想定を受けまして、避難所の見直し作業というのに入っております。その作業の中で、新たに指定することができる施設をできるだけ多く選定した上で、年度内には、高知市内の収容可能人数、こういったものを把握する予定だというふうにお伺いしております。

◎坂本(茂)委員
 一方、県内で津波避難ビルとしての構造要件を具備している建築物は、津波浸水域にどれだけあるというふうに把握されているか、危機管理部長にお尋ねします。

◎高松危機管理部長 津波避難ビルの指定要件、委員のほうは構造要件というお言葉でしたが、指定要件としては、まず、耐震性を有すること、これは、もうどこの市町村も共通であります。ただ、建築物の高さ、構造というもの、少し異なったものがありますので、横並びということでございませんけれども、県内沿岸市町村19のうち11市町村で、避難ビルの指定要件を満たすもの、約7,000棟ございます。

◎坂本(茂)委員 ありがとうございました。
 今までの答弁からもわかりますように、いわゆる収容避難所の絶対的な不足、長期浸水域以外の人さえ、すべて受け入れる形に、まだ高知市などはなっていないという状況も含めました絶対的な不足。一方で、津波非難ビルとしての要件を備えた構造物の数の多さ、こういうことを考慮したとき、生活の継続が可能な破損度であった津波避難ビル指定のマンションなどについて、長期浸水域内でも収容避難所にかわる在宅避難の場所として扱う支援の仕方を検討する必要もあるあるのではないかなというふうに、私は考えております。そのためにも、収容避難所の収容力の不足が想定される地域において、避難所への避難者そのものを低減させる対策の一環として、不足分を少しでも解消させていくために在宅避難者支援にシフトしていくということも検討できないのかどうか、知事にお伺いします。

◎尾ア知事 関連して、3点申し上げたいと思いますが、南海トラフ地震対策、今、津波発災直後の、地震発災直後の対応に非常に力を入れてきて、あわせて、全体を通しての見直しをこの間、行ってきたところですが、今後非常に応急期に向けた対策、これを充実させていくことになります。この応急期に向けた対策を充実、新行動計画に基づいて充実していく中で、非常に大きなポイントが、先ほど来議論になっております、この避難所を十分に確保できるかという点でございます。中でも、とりわけ高知市の避難所確保対策というのは、とにかく全速力で取り組みを進めなければならない大きな問題だと考えておりまして、県と市、力を合わせてこの取り込みを大いに進めていきたいと考えています。
 そういう中におきまして、浸水域内の建物、これを浸水域内だからといって、一概に避難所として指定していくことなどについて否定することはないと、そのように思ってます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、避難所として使えるようになるために、やっぱり二つの条件がありまして、一つは、耐震の度合いとして大丈夫かという点が一つ、さらには、物資とか水の調達などなど、生活物資の調達におきまして、食料とか水などをはじめとした生活物資の調達という点において、十分外部と交流できるかという点において、この2点がやっぱり確保されないといけません。長期浸水域内にありますと、この2点の確認、確認と言いますかね、この2点が確保されるかどうか、やっぱり不安が残るところが出てくるのも確かであろうかなと、そのように思います。この二つが、逆に言えば、満たされれば可能ということになるんではないかと思っているところです。
 3点目でありますが、いずれにしても、この長期浸水域内では、そういう懸念が残るということでありますので、その長期浸水域外において、十分な避難所の量を確保できるように、やはりしていかなければならないと。使えるようになるかもしれません、長期浸水域内においても。その可能性は否定しませんが、かといって長期浸水域内で一定使えるということをあてにして、域外におきます避難所の数確保について、一定そこのところの対応を緩めるということにはならないのかなと、そのように考えています。

◎坂本(茂)委員
 先ほど、知事の答弁で、条件が整えば一概に否定する必要もないのではないかというようなお考えも示されました。ぜひ、両面から検討していただいて、十分な数を確保していく、このことに全力を挙げていただきたいというふうに思います。
 その際、例えば、マンションなどが緊急避難場所としての津波避難ビルとして機能し、場合によっては避難所の収容力の不足が想定される地域における、避難所への避難者そのものを低減さす対策の一環として機能するためには、大地震が発生したとき、直ちに、公的支援の手が及ばないことを想定して、地域と連携しながらできるだけ共同生活を維持、継続することを目標とし、居住者や管理組合が自分たちのマンションの抱える課題を解決しながら、自立して対応できるようにするためのものとして、MLCP、災害時マンション生活継続計画、いわゆるマンション版BCPのようなものを、策定するべく、それを目指す中間支援組織である、マンションライフ継続支援協会もこの3月に発足いたしました。MLCPという考え方について、知事の考え方をお伺いしたいと思います。

◎尾ア知事 私も、それほど深くまだ理解できておるわけではないかと思いますが、ただ、非常に有効な考えではないかなと、そのように思っています。

◎坂本(茂)委員
 国土強靱化推進担当で内閣府大臣官房の渋谷和久審議官も一緒に加わって検討されておりますので、ぜひ。特に、高知市内などでは、このマンション居住者がどういうふうに発災直後になるかによって、先ほど言われた収容避難所の不足、充足にも、大きく影響してくることになろうかと思いますので、ぜひ、県としても検討していただきたいというふうに思います。
 本来ならば、土木部長にお聞きしたいと思ってましたが、ちょっと時間の関係で、ぜひ、こういったことに対して、県としてもMLCPの作成などを支援していく、そんなことの検討もお願いしておきたいというふうに要請しておきます。
 続きまして、避難所への避難者数の低減への対策としての広域支援について、1点お尋ねします。
 先ほど来述べておりますように、最終報告の中に触れられておりますこの課題について、昨年来、私は、仁淀川町と高知市二葉町の震災疎開交流事例として提言をしてまいりました。この面において、結プロジェクト推進事業などが対応できるのではないかということでしたが、これも十分に機能しているとは言いがたい面があります。ぜひ、本来提言していた取り組みの具体化への支援が行われることを、まず望んでおきたいというふうに思います。
 そこで、自宅のある市町村の避難所で避難者を収容し切れない場合に、他市町村への避難も含めて調整を図る必要があり、そのための具体的な方策を検討しておく必要があるということから、避難所への避難者数の低減への対策として、広域支援の取り組みが報告されております。危機管理部長にお尋ねしますが、この広域支援の取り組みの現状についてお尋ねいたします。

◎高松危機管理部長 市町村内で収容し切れない避難者について、他の市町村へ避難する、いわゆる広域避難と申しますけれども、県内の4ブロックごとで検討をしていこうということになっております。
 4つのブロックのうち、まずは、幡多地域。ここは、昨年の5月に6市町村で立ち上げました幡多広域南海地震対策連絡協議会というのがございます。そこを協議の場にしまして、今月末から検討を開始し、年度内にはどこがどの程度受け入れるのかといったことなどについて、めどをつけたいというふうに考えております。
 その他のブロックにつきましては、今後順次、先ほど申し上げた関係市町村が集まって協議する場、そういったものの立ち上げに取りかかっていくということでございます。

◎坂本(茂)委員 幡多が、今、緒についたということですけれども、残りの3ブロックも含めまして、ぜひ、加速化をしていただくようお願いしておきたいと思います。
 収容避難所確保の困難さに対して、今まで以上に、私は、加速化が必要ではないかなというふうに思っております。あらゆる方面から検討していただいて、津波から助かった命をつなげる対策に力を注いでほしいということをお願いいたしまして、次の項目に移りたいと思います。
 液状化対策等について、お尋ねいたします。3.11東日本大震災の際に、液状化で傾いた家の被害者が浦安市や千葉市などで頻発していたことを御記憶のことだと思います。
 私も、これまでに、2011年に千葉市美浜区の礒辺地区の被災住宅地を訪ねたり、千葉県の環境研究センターで液状化について学ばせてもらったり、この夏には、浦安市役所を訪ねて、いろいろ被害状況やこれからの液状化対策などについてお話を伺うとともに、復旧現場も見せていただきました。
 そんな中で、浦安をはじめ、被災地で地盤沈下や液状化被害による住宅の沈下修正などを手がけられてきて、その活躍ぶりがいろんな形で報じられてきた高知市にお住まいの曳家職人、岡本直也さんと出会い、住宅の沈下修正のための技術が、復旧の際に必要な技術であるだけでなく、今から備えておくための必要性についても痛感させられました。
 お話を聞かせていただく中で、極めて質の高い技術とこの仕事の必要性が、今の時代にこの社会で残念ながら十分に評価されていないこと。一方、被災地でにわか業者が横行していることを見るにつけ、そのようなことが、将来、南海大地震後の高知で起きることへの不安と、適切な価格で質のよい業者で対応できるシステムが、高知県で必要となってくることなどについても学ばされました。また、地震後の復旧対策だけでなく、現状での地盤と建物の関係からも、備えておく必要のある側面にも気づかされることがありました。
 そこで、それらを踏まえて、以下のことについてお尋ねします。
 まず、本県の被害想定で見込まれた液状化による建物被害想定は、全壊で約1,100棟と想定されておりますけれども、最大クラスでも発生頻度の高いクラスでも、この数字に変わらないのは、どういう要素があるということなのか。また、半壊、一部損壊を加えると、どのようになると想定しているのか、危機管理部長にお尋ねします。

◎高松危機管理部長 結論から申し上げますと、津波や地上での揺れということの影響ほど、地盤が液状化するかどうかという点で行きますと、余り大きな要素の差はございません。全壊が1,100棟ということで、ほぼL1もL2も同じということなんですけども、これは、その1,100棟がL1、L2にかかわらず、全壊のおそれがある、全壊にまで至るような可能性のある弱い地盤に建っておるというふうに理解をしております。
 で、全壊では、ほぼそういった形で変わりませんけれども、お尋ねのありました建物被害ということでいきますと、一部損壊、これは、推計を、私どもの被害想定ではしておりません。半壊というのをやってますので、半壊の棟数を加えた液状化による全壊、半壊の棟数を足した総数というのは、L1クラスで約5,500棟、L2クラスで5,600棟。これも、ほぼ同じような想定の規模となっております。

◎坂本(茂)委員
 確かに、高知と、今回の東日本大震災で液状化被害の大きかった千葉では、揺れ方が違うと思いますんで、そういった意味では一概に比較はできないかもしれません。浦安市では、2011年の5月2日以降の新基準で判定をする中で、建物被害のうち、全壊は、液状化の建物被害のうち全壊は0.2%しかなかったと。で、そういうことで考えれば、高知の全壊というのは、非常にやっぱり多い数字ではないのかなというふうに思いまして。確かに、揺れによる被害度合いと液状化による被害度合いというのは関連した部分もあるでしょうし、全く区分けして想定できないというようなこともあるかもしれませんけれども、浦安市だけでもこの際、半壊、一部損壊を含めて約9,100棟というふうな状況になっております。可能な範囲で、そのあたりを想定をしながら、県民への情報として提供をしていただけたらというふうに思います。
 2つ目に、住宅地域における住宅の液状化対策は、復旧対策としてだけでなく、防災・減災の面からも事前に講じるべき課題があると考えておりますが、危機管理部長にお尋ねします。

◎高松危機管理部長
 宅地の液状化を防ぐ事前対策、さまざまな工法を使っての地盤改良というのがありますが、これは、非常に費用が割高になるというか、コストのかかるものでございます。そのため、県民の皆様には、想定されるリスクを理解していただくよう液状化に関するハザードマップにより啓発をするとともに、被災した場合に備える地震保険の加入、こういったものについて検討して啓発をしているという状況でございます。

◎坂本(茂)委員
 これ、一概にそういうふうに言えるのかどうかわかりませんが、液状化の被害を受けるような地域というのは、その後今度は津波の被害を大きく受けることになるということが想定される地域の中で、じゃあ、もう液状化対策しても、後で津波被害に遭うんだったら、あんまり関係ないよというふうにとらえる方もおいでます。
 ですから、そうじゃなくて、まず液状化への備えをしておくことで、揺れに対しても備えになってくるという面もあります。地盤改良の面とか含めてですね。そのことが、揺れに対する備えにもなってくることもありますんで、ぜひ、情報を提供していただいて、可能な限りの備えを液状化に対してもしておくというふうなことが必要ではないかなというふうに思っております。
 本来ならば、公共構造物などについて、あるいは、ライフラインなどについての液状化被害の想定についてもお聞きしたかったんですが、揺れに対する被害想定はされておるが、液状化被害としての想定はまだされてないということですので、今回は質問をいたしませんけれども、ぜひ、事前の備えを可能なかぎり行っていただきたいというふうに思います。
 そこで、浦安市などでありました復旧時点における住宅の沈下傾斜修復工法として、アンダーピーニング工法とか、耐圧版工法とか、地盤改良型注入工法とか、さらには、岡本さんなどがやられている曳屋工法などの工法が、種々ございますけれども、本県の被害想定に対して、県内業者での対応が可能なのかどうか、土木部長にお尋ねします。

◎奥谷土木部長
 沈下傾斜修復工法に対応できる県内事業者は、数社程度しかいないと見込まれ、多くの住宅が液状化被害を受けることを想定すれば、県内事業者だけで対応するのは不可能であると考えております。

◎坂本(茂)委員 そのとおりだろうと思います。多分、東南海の地震の際に、和歌山だとか、そちらのほうでも同じような被害を受けるかもしれませんが、大阪には一定の業者があるというふうにも聞いております。そういったところは、例えば、近畿圏では対応できるだろうけれども、四国ではなかなか確保できないというふうなことも懸念されておりますので。
 そんな中で、先ほど触れました岡本さんなどが行って、大変その工法が評価もされておる県内の曳屋工法の業者、大変数も少なく、後継者もいないというふうな状況の中で、既存の沈下修正業者の事業継続のための後継者育成の必要性について、どのようにお考えになりますか、知事にお尋ねします。

◎尾ア知事
 後継者の育成は、非常に重要ではないかなと、そのように思います。確かに、非常に数が少ないという中で、他方で、非常に重要な曳屋技術、これは重要であるという中で、こういう工法、どうやって後継者の皆さんに伝えていくことができるか、そういうことをちょっと考えなければいけないのかなと、そのように思いました。

◎坂本(茂)委員 実は、岡本さんも、後継者を育成すべく弟子の方を2人、育てています。しかし、今の状況では、その弟子の方にやめてもらわなければならないだろうと。結局、そういう事業継続がなかなか難しいというようなこともあったりしてます。
 そんなことも含めて、将来のことを考えたときの後継者の育成、その必要性を知事のほうからお考えとして出されましたけれども、ぜひ、どのような方法があるのか含めて、御検討もいただけたらというふうに思います。
 そして、ちょっと時間の関係で、少し土木部長、割愛させていただきます、次の質問。また、後で時間あれば、お聞かせいただきたいと思います。
 生活困窮者支援対策のことで、お尋ねします。今回の補正予算の中で、国のセーフティネット支援対策等事業費補助金を充てました、生活困窮者自立促進支援モデル事業として、2,623万2,000円が計上されております。その目的は、生活保護に至る前の段階にある生活困窮者が困窮状態から早期に脱却するため、本人の状態に応じた包括的継続的な相談支援を実施するとともに、地域における自立就労支援等の体制を構築するということですが、この制度の背景にある生活困窮者自立支援法案が、社会的孤立や生活支援という視点を第一にした生活困窮者支援ではなく、就労自立を前提としたものであるということに懸念を抱かれている方も多くおられます。
 さらに、先行事例である、滋賀県野洲市の相談機能を集約した、市民生活相談課の仕事について、先日お聞きする機会がありました。そこでは、市民生活相談室と連携し、債務処理などにつながる仕組みもありますし、失業、虐待、家庭、心の問題など、複数の問題を抱える相談所に対して、各課が連携を密にして支援して、ワンストップで対応していく、なめらかな連携を図っているということでありました。
 そういう意味で、今回、本県が目指す相談支援のあり方として、滋賀県野洲市の市民生活相談課のような、即応できるワンストップの総合相談窓口となるような仕組みづくりを目指されているのか、地域福祉部長にお尋ねします。

◎井奥地域福祉部長 滋賀県野洲市では、多方面にわたる市民生活上の困りごとに対応するワンストップの総合窓口として、市民生活相談課を設置し、対応がなされております。本県では、高知型福祉で培ってきました地域福祉の基盤を生かし、地域と協働したワンストップの生活困窮者の支援に取り組もうと考えております。
 具体的には、今回のモデル事業では、相談者が幾つかの窓口を回ることなく、相談窓口を設置された相談窓口を中心に、相談者の支援計画をつくることとされておりまして、県では、地域福祉のかなめとなります各町村の社会福祉協議会に相談窓口を設置しまして、行政関係者や民生児童員、あるいは、地域団体や地域住民とのネットワークなども十分に活用し、決して相談者の方がたらい回しにされることのないような、地域で包括的に支えていくワンストップの相談支援体制の構築を目指してまいりたいと考えております。

◎坂本(茂)委員
 もう1点、この事業によって、あらゆる困りごとに対応することで、結果として就労につながるのであればいいわけですけれども、社会的孤立や生活支援という視点が含まれた生活困窮者支援ではなく、就労に特化した支援制度として、その相談窓口で生活保護申請前のフィルターや新たな水際作戦の形態とならないことを念頭に、まずは、真に、寄り添い・伴走型の包括的継続的な相談支援の実施可能な体制づくりを目指すというとらえ方でよろしいか、知事にお聞きします。

◎尾ア知事
 今回のモデル事業の取り組みを通じまして、高知型福祉の取り組みと生活困窮者の自立支援に向けた取り組みを、ぜひ連携をさせていきたいと、そのように考えておるところでありまして、いろんな意味において、困窮しておられる方に対して寄り添っていく、これ、大事なことだと思っています。
 それとあわせまして、モデル事業の相談窓口に来られた相談者の中で、生活保護制度の適用が必要と判断した方については、遅滞なく福祉事務所につなぐ対応が必要であると、そのようにも考えておりまして、こちらの面での連携、こちらも大事だと、そのように思っています。

◎坂本(茂)委員 是非、この相談窓口の段階でも、その対応にいろいろ問題があった場合には、制度利用者の救済機関をつくっていただきたいということもお願いしておきたいと思います。
 時間の関係で、最後に、フードバンク事業のことをお尋ねいたします。昨年の2月定例会で取り上げたフードバンク事業、今後、活用がさらに継続されるように、県の検討をお願いしたいと思いますが、部長、考えられることがあったら、お願いいたします。

◎井奥地域福祉部長 フードバンク事業は、生活に困窮した方々への直接支援として効果的な取り組みであるのに加えまして、委員からお話もありましたように、ひきこもりの方々への就労支援への取り組みとしても有効だと、私考えております。
 県内でフードバンク事業を行っている団体に対しては、24年度から、財団法人高知県福祉基金のほうが支援を行っております。今後とも、こうした事業が継続できますように、団体の意向もお伺いしながら、委員のお話にあります生活困窮者自律促進モデル事業、こちらのほうでの可能性を含めて検討してまいりたいと思います。
 なお、鳥取県では、そういうふうに協議をしておりますので、その辺も勉強しながら、来年度に向けて、検討を深めてまいりたいと思います。

◎桑名副委員長 以上をもって、坂本委員の質問を終わりました。
 ここで、午後3時まで20分間休憩といたします。