予算委員会一問一答(09年10月6日) |
◎坂本委員
お許しをいただきましたので、まず、知事に、新政権との向き合い方ということで、お伺いしたいと思います。本会議でも、随分やりとりありましたけれども、それを踏まえてということで、お聞きしたいと思います。
まず、知事は、本会議の中で政権交代の原因を、長引く景気の低迷や急激な景気の低下を背景としながら、社会のセーフティーネットへの国民の不安感が高まり、新しい政治を期待する声や小選挙区比例代表制という選挙制度が、政権交代をもたらしたとの見解を述べられてまいりました。確かに、それも表面にあらわれた大きな要因であることは認めますけれども、根はもっと深いところにあったことをとらえておかなければならないというふうに思っております。
それは、前自民党総裁を始めとして、自民党候補者の多くが口にせざるを得なかった市場原理主義との決別ということに代表される、自民党政治の根底にあった、富める者はさらに富み、持たざる者はさらに失うというアメリカ型新自由主義のもたらしたものであったということであります。80年代から90年代にかけて、労働の規制緩和や大資本やアメリカに対する市場開放のための規制緩和などによって、富の集中がはかられ、労働者の働く環境はずたずたにされ、一次産業や中小企業、そして、町の商店街は疲弊してしまい、日米構造協議後、アメリカから求められた公共事業の実施約束に基づく借金もつれの財政出動を強いられ、地方自治体は、良質の借金で、後から何とかするからと言われて、大型公共事業に手を染めたものの、いざ、返済のピークを招く時期を迎えようとしたときに、小泉三位一体改革によって、はしごを外され、どん底に突き落とされるという状況になってしまいました。ずたずたにされたセーフティーネットに、国民は不安感を抱え続け、昨年には、年収200万円以下のワーキングプアは、1,000万人を超え、給与所得者の23.3%に上り、非正規労働者が3割を超えるという格差の拡大は、貧困の問題を我々に突きつけるという怒りと不安の頂点のもとで、衆議院選挙が行われたということをとらえておかないと、新政権との向き合い方を誤るのではないかというふうにも思ったりもします。
そのことを踏まえて、以下、質問をさせていただきます。
まず、むだを削るという言葉が、政権交代を求めた国民にとっては、期待している一つの点であるわけですけれども、従前の政権を担ってきた側からすれば、そんなにむだはないというふうに言いたいのだろうと思いますけれども。政権交代において、ドラスティックな変化は、当たり前であって、知事が、桑名委員の質問に答えて言われた、価値判断や優先度合いによる位置づけの変化によって、むだととらえられることもあるということは、当然のことだというふうに思います。知事として、新政権のもとで、どのように価値判断や優先度合いが変わり、そのことを受け入れた上で、新政権と向き合おうとしているのか、その点について、お伺いします。
◎尾ア知事
今、坂本委員おっしゃいましたように、日本の政治、世界の政治でもそうだと思うんですけれども、いわゆる新自由主義的な発想に基づいて運営がされる時期と、より社会福祉というものを重視して、政権運営がなされる時期と、これが、歴史的にもずっと繰り返し、この時期が交代をしてきたということなんだろうというふうに思います。
今、我が国も、世界の中の非常に厳しい競争の中にさらされているわけでございます。世界的な標準、そういうものも見きわめていきながら、その中の熾烈な競争にどう生き残っていくか、これが、究極の国力の維持、最終的には、国民生活の維持ということにつながっていくことなのでありまして、そういう視点も非常に重要。小泉構造改革の時代と言いますのは、いわば、そういうことを非常に重視してきた時代。そういうことによって、規制緩和なども含めて、そういうことによりまして、何とか国際社会の中で、我が国が競争力を維持できていく、そういう国づくりをしていこうということに、非常に重きを置いた時期だったのだろうというふうに思います。
先ほど、そういうものは、繰り返されていくという話をしていたしましたけれども、他方で、そういう中で、やはり、いろいろな形での格差という問題が出てきた。そういう側面は否めないんだろうというふうに思っております。そういう中で、より強いセーフティーネットを求めていこうとする声、そういう期待感というのは、今、高まってきている時期なのだろうと、そのように考えておる次第でございます。
この格差という問題から言わせていただきますれば、いろんな、いわゆる貧困の問題もございます。さらには、国と地方の格差という問題が、中央と地方、地方間の格差の問題、これも、本県なんかにとりましては、非常に大きな課題になってきているんだというふうに思っているところでございます。
私、従前より申し上げてまいりましたように、高知県におきましては、官民協働という考え方が必要です。官から民へというだけでは済まない時代というものが、今、本県には、たくさんあるんだというふうに考えておるところでございます。私は、この官民協働という考え方自体、今後、高知県政において、引き続き貫いてやっていくべき時期だというふうに判断をいたしておるところです。
先ほど、非常に大きな話で申し上げさせていただきましたが、いろんな考え方の素養が出てくる中で、個々個別の政策についても考え方の違いが出てくるんだろうと。前政権と比べて考え方の違いというのが出てくるんだろうというふうに思っていますが、私は、今後とも、それぞれ中央政府において判断をして、決断されたことが、高知県にとって、真にためになるものとなるのか、高知県民のためになるものになるのか、そういうことの判断を、それを判断基準としまして、今度の対応もしていきたいと、そのように考えておるところです。
◎坂本委員
今、言われた中で、確かに中央政府が判断したことが、高知県民にとって、それがプラスになるかどうかによって、判断していくという一つの尺度があると思うんですけれども。やはり、基本的に新政権の中では、大きく言えば、例えば、マニフェストの中なんかにありますように、縦に結びつく利権社会ではなく、横に結びつくきづなの社会とか、あるいは、コンクリートではなく、人間を大事にするとかいうふうなキーワードがあると思うんですね。そういったことが、一つの政策判断になったり、優先度合いにもなったりしてくると思うんです。
だから、そういうことを想定もしながら、ぜひ、県にとって、県民にとって、何が的確な政策なのかということを日ごろから、やっぱり精査していく、そこで向き合っていくというようなことが必要ではないかというふうに思いますので、その点について、ぜひ、今後向き合っていく上で、日ごろから、多分知事のことですから、この本会議でも随分言われてました。もう既に、つぼ、つぼにいろんな手を打っているということですから、これからも、ぜひそういうことをにらみながらの向き合い方をしていただきたいなということをお願いしておきたいと思います。
それと、もう1点は、答弁の中で、これも触れられていましたが、従来できなかったことができるかもしれないという表現を使われてました。それは、ある意味期待感でもあるというふうに思いますが、そういったことについて、具体的にどのようなことを考えられているのか、お聞きしたいと思います。
◎尾ア知事
今回の選挙の争点で、いわゆる与党も野党も大多数の政党がでございますけれども、非常に地方を重視ということを全面に打ち出してこられました。そして、国と地方の協議の場、これを法制化していこうということが、当時の与党も野党も、今の与党も野党も、それぞれ公約に掲げられました。これは、非常に、私は、画期的なことだというふうに思っております。
従前より、国と地方の協議の場を法制化して設けていこうじゃないかという議論、これはあったわけでございますけれども、地方6団体が一方的に主張することにとどまっておったように思います。しかし、これが、法制化ということになり、一種、大多数の政党が掲げておられたということからして、一種の国民的コンセンサスもできつつあるという状況になってきてるんじゃないかというふうに思います。新政権になって、どうなるかということを、実際に政権をとられてからどうなるかということを注視しておりましたけれども、新政権、国と地方の協議の場の法制化をしっかりやっていくということを明言をしておられるわけです。
今後、制度設計の問題とか、そういうことをしっかりと詰めていかなければなりません。9日に開かれます、全国知事会でも、この点、非常に議論になると思いますんで、私もよくよく議論に参加をしていきたいというふうに思っているわけでございますが。いずれにしましても、地方の意見というものを重視していこうということ、これが、制度としても盛り込まれそうだと。ここに、大いに期待をいたしておるところでございます。
◎坂本委員
今、答弁されました、国と地方の協議の場の法制化の問題は、これは、本会議の場でも随分言われておって、そのことは、私も認識しておるわけですけれども。もう少し私がお聞きしたかったのは、例えば、鳩山総理が、国際的にも発信したCO2削減の問題なんかも含めて、いわば、環境立国的なものも打ち出していっているわけですね。そういう意味では、逆に、これまでにも高知県が国に対して、予算要求などの中で言ってきた地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく排出権取引の問題なども、制度改正をするということなども求めてまいったわけですけれども、そういうことについても、新政権のもとでは展望が開けてくると、逆に。そういうふうな面もあると思うんですよね。そういうことが、今度の新政権の中で、従来できなかったことができるかもしれないという期待感に、私はつながっているんじゃないかというふうに思いますが、そういった面での具体的な政策的な部分では、まだ、それは、ちょっと精査はできてないでしょうか。
◎尾ア知事
具体的にどうなるかということについては、どのような、何と言いますか、政策の柱が示されても、それが、具体的な制度設計がどうなるかによって、大きく実態というのは違ってくる場合というのは多々あろうかというふうに思います。ですから、今の段階で、これはもう絶対に大丈夫とか、これならもう行けるとかいうことを、断定する状況にはないというふうに思っていますが。
と言いますのは、まだ、新政権発足して、1カ月もたっていません。通常ですと、新しい内閣になりましても、前内閣からの引き継ぎという場合が、今まではそうだった。今まで言ってる議論の経緯があってから、新内閣が新しい方針を打ち出すわけですが、今回の新しい政権は、政権交代によって、野党が今度与党になって、新政権ということであります。いろんな詰めが、今まさに、議論行われているという状況でございますから、各個別の問題について、今断定的なことは、ちょっと申し上げられないかと思いますが。
ただ、例えば、今おっしゃられたような環境問題をもっと重視していこうじゃないかとかいう流れには、当然、それは期待感はあるというふうに思ってます。ただ、環境対策も行き過ぎると、今度、その環境のもとで快適に人々が過ごしていくということが、究極の目的であるということをかんがみましたときに、人々の生活はどうなるかとか、そういう問題なんかも、やはり見きわめていかないといけないところはあるんだろうと思ってます。
いずれにしても、民意をしっかりとらえて、政権運営をしていただくということが重要だと思いますが、合わせて、これは、繰り返しになりますが、地方の実情というのを踏まえた政策展開というのをしていただかないと、どのような政策もうまくいかないんだと、私は思っています。
国と地方の協議の場ということを繰り返し申し上げますのは、あらゆる政策に、この問題は関連することで、あらゆる政策の立案、実効性にかかわることでありますので、いわば、典型的なツボ、勘どころだと、私は思っています。でありますから、繰り返し、この点について、期待感と言いますか、と同時に、絶対にやってもらいたいという強い思いも述べさせていただいておると、そういうことでございます。
◎坂本委員
まさに、国と地方の協議の場が法制化されて、地方の声が保証されることが極めて今まで以上に強くなるとしたときに、当然、地方主権の確立ということが期待されてくるわけですけれども。その一方で、やっぱり今まで弊害として言われてきた中央集権的な部分の政治構造と言うか、そういったものが弊害的にあっただろうというふうに思うんですね。ちょっと時間がありませんので、この弊害を羅列していただくということではなくて、そういうことも含めて、これから、そういう今までの弊害から脱却していく。そして、知事自身が、もし新政権と向き合う中で、みずから変えなければならないというようなことがあるとすれば、そういったことについて、お考えをお聞きしたいと思います。
◎尾ア知事
国と地方の協議の場でも、対等な立場で、かつ、意見を単に聞きおくというのではなくて、政策決定プロセスの中にしっかり織り込んでいかれる。そういうものでなければいけないというふうに思っていますが、そういうことをすることによって、いい意味での主権、いい意味での分権、そのバランスが保たれていく、というか、つくり出されていくようにしていかなければならないと思っているところです。
今、後者の御質問につきましては、具体的な点についても触れよういう御趣旨ではないかというふうに思いますが、特に、国と地方の協議の場において、実現されることが期待される施策といたしまして、二つあります。
一つは、福祉の分野です。福祉の分野については、従前から申し上げてまいりましたように、同じ地方と言っても、東京23区で通用する施策と、高知県の中山間地域で通用する施策には、全く違うものがあるというふうに考えています。これが、いろいろ規制緩和とか、地方における自由度の高まりということの要請を、国にも政策提言もしてまいりましたけれども、なかなかそれがかなわなかった。そういう中で、高知県独自にあったかふれあいセンターの取り組みでありますとか、小規模多機能施設の取り組みなどを、これまた別の国の基金を使ったりいたしながら、こういう対応をしてきたところでございますが。より、そういう地方の自由度を高めていく、地方の実情に合った福祉施策の展開ということが可能となるように、私は、国と地方の協議の場においては、大いに発信をしていきたいと。地方の中の地方の代表として、発信をしていきたいと思ってます。
そして、もう一つは、国と地方の財政制度のありようについてということでございます。果たして、税源の分配の問題はどうなっていくんであろうかとか、さらに、権限移譲なども含めて、地方分権ということは当然の前提としての話なんですけれども、真の地方分権というものをなし遂げていくための税制度、それから、産業その他の制度、そして、また、歳出の執行権限の自由度の観点、こういうものなんかについて、従前の議論が行われていくということを大いに期待をしております。これは、地方の中でも、非常に大規模な地方と小規模な地方、都会系の地方と田舎の方の地方と、大分、いろいろと考えの違うところであります。そこの調整がしっかりされていかなければなりません。そういう問題について、しっかりと議論を展開していきたい、そのように考えております。
◎坂本委員
ぜひ、知事も本会議の場でも言われておりましたが、まだ、新しい政権の仕組みづくりが、今始まっている段階で、そこから、流れが見えてこないと、それとどう向き合っていくかということも、なかなか指し示せないということもあると思いますが。確かに、先ほど言われました高知県のため、高知県民のためということの、一つの尺度というのは、一定ベースにあろうかと思いますが、ぜひ、大きく、どうしても制度は変わりつつあるということを前提に置いていただいて、それと向き合うことをお願いしたいというふうに思います。
続いて、行財政改革のあり方について、お聞きしますが、一つは、まず、今後の財政収支の試算が示されました。それは、昨年もそうでありましたけれども、例えば、職員の定数ということで言えば、3,400人で固定化をして、その前提で試算をされております。その前提で試算をされて、さらに昨年よりも、財政収支の見通しは、改善されている。それは、収入がふえたという部分もあるでしょう。
そういうようなことも含めて、その前提の上で、考えたときに、現在、来年4月スタートの新行革プランの策定にあたりまして、職員定数の目標を、知事部局3,400人体制の次の目標をどうするかというふうにいたしまして、さらに人員削減方法などについても、主な論点を掲げられております。しかし、職場では、前県政のもとでの数値目標ありきのやみくもな定数削減によって、ぎりぎりの状態になっている部分も見受けられるというふうな懸念をしております。そういった中で、今までのような数値目標ありきのプランではなくて、組織が、そして、職員が生き生きとしてくるようなものにしていく必要があるのではないか。そんなことを念頭に置いた検討がされているのかどうか、知事、お伺いいたします。
◎尾ア知事
前回の行革プランのときと比べまして、財政状況は、かなり好転をしてまいりました。しかしながら、まだまだ予断を許さない状況にあることは言うまでもございません。また、そもそも財政状況いかんにかかわる、最小の経費で最大の効果をもたらすというふうに努力を続けていかなければならないのは、当然のことでございます。いや、むしろ、いわゆる民間と違って、官であるからこそ、そういう自覚をしっかり持っていくことが重要なんだと、そのように思います。
そういう基本的な考え方のもとで、まず、第一に、引き続きむだを省く。財政の健全化をより確かなものにし、かつ、永続的なものにしていくよう努力をするということです。効率的な組織を目指すという方向自体は、現行のプランと変わるところはないというふうに考えておるところでございます。
他方で、先ほど来、官民協働ということを申し上げさせていただいておりますが、喫緊の県政課題が山積をいたしております。そういう中で、民のことは民でというだけでは、なかなか済まない。福祉の問題も、経済の問題も、教育の問題も、教育は当然ですが、そういうことがたくさん山積をしておるというふうに思っております。正直、県庁の仕事は、非常に、現行革プランをつくったときに比べて、増えているというふうに言わざるを得ないのだというふうに考えています。
そういう観点から考えまして、より効率的な組織をつくっていくという努力、財政健全化を確かなものにするという努力、他方で、やるべき仕事、これは、官民協働という考え方のもと、増えてきているという観点、この二つをしっかり踏まえて、めり張りのある組織づくりをしていくと。そういうことを基軸に据えた対応をしていかなければならないのだというふうに思っています。
合わせて、質の向上、この点についても、いろんな多様な視点から、職員の質の向上、組織としての機能の質の向上ということに取り組んでいかなければならないと考えています。職員の育成過程をどうするのかとか、さらには、機構のあり方をどうすれば、最大限の効果をもたらされるものとなるのかという観点もございます。そして、また、必要なものについては、外からの意見をしっかりと聞くことのできる、外からの意見、民の皆様の力もしっかりと生かしていくことのできる、そういうような組織づくりをするにはどうすればいいのか。こういう観点もしっかり考えていかないといけないというふうに思っているところでございます。
こういうことを目指していく中で、結果として、それぞれが目標があって、そして、成果を上げることができて、それを県民の皆様にも一定認めていただくことができて、そうすることで、やる気がまた湧いてくる。やりがいも一層生まれてくる。そういうような形の好循環が生み出していける組織づくりができれば、本当にすばらしいことだと思ってます。それこそが、職員にとっても、自己実現の観点からも、よい組織ということになるのではないかと考えておるところでございまして、そういうものを目指していくようなプランにしていきたいと、そのように考えております。
◎坂本委員
先ほど来、官民協働ということが言われております。それは、仕事の面においても、地域の面においても、私、大事なことやというふうには思います。例えば、現行革プランの中でも、職員が地域に貢献できる環境づくりという項目があります。先日の第1回の検討委員会の議事録を見てみると、検討委員の中で、県職員が生活の中で地域にもっと出ていって、地域密着型の職員意識を醸成するというふうにも提言されている方もおいでました。ただ、そういうふうな時間的、あるいは、身体的、精神的、そういう機会をつくりだすことのできる、組織というのは、やっぱりどうしても必要だろうというふうに、今、思います。
そんなことも含めて、後々お聞きしたいというふうに思うんですが、まず、先ほど言われましたように、これからの県庁組織がどういう組織を目指していくのかということもあるわけですが、そのためには、まず、今の現行の行革プランをきちんと総括していくということが必要であろうというふうに思います。現在の行革プランに基づく取り組み状況というのが、公表されておりますけれども、それは、非常に多岐にわたって示されております。ただ、現状どうなっているということだけですね、それは。
例えば、その一つとして、今年度には、今年度というのは結局終わりの年度なわけですけれども、最終年度には75%以上の職員がやりがいを感じることを目標とされております。それに対して、取り組み状況では、昨年度の人事申告書では、57%がやりがいがあると感じたというふうになっております。ただ、人事申告書というのは、記名における提出ですので、これで本当に本音が出ているのかどうかということもあろうかと思います。
また、今年は、職員意識に関するアンケートを実施されておりますけれども、今、集約中だというふうにお聞きしておりますが、6割程度の回収率で、なおかつ、無記名でありますが、どれだけやりがい意識が向上しているのかどうか、いうようなことなどもあろうかと思います。
さらに、民間委託などの推進につきましても、アウトソーシングについては、自己評価でしかありませんし、幹部職員の皆さんからも、推進するにしても条件つきであったり、出し尽くした、反対という意見もありますし。その一方、できると言っている方の中には、県庁の仕事のほとんどは、民間でできるというふうに言われている方もおいでますが、そう答えた幹部職員の方に、公務公共サービスの本質とは何なのかというのは、私、詳しい見解聞いてみたいと思うんですが、どなたかわかりませんので、お聞きできませんが。
また、医療センターの整備・運営にPFIを導入したということも書かれてあります。ただ、これは、まさに今、契約解除に向かった討議が進められている中で、一昨日東京へと旅立たれた前知事が行った社会的実験は、失敗したのではないかというふうに、私は思っておりますけれども。
一体、そういったふうなことを含めて、この取り組み状況、現状どうなっているかということだけでなくて、どう評価するかと。そして、どう総括するかということがなければ、次に目指す県庁組織というのは出てこないんではないかというふうに思うんですけれども、その点について、どのように総括されるのか、総務部長、お聞きします。
◎恩田総務部長
次期行革プランの策定に当たりましては、これまで取り組んできましたことの成果だけではなくて、当然、目標達成できなかった部分の原因でございますとか、社会経済情勢の変化、今後の課題、こういったことも踏まえた上で検討する必要があるというふうに考えております。
現在、外部の有識者で構成いたします検討会で議論しておるところでございますけれども、個別のテーマごとにこれまでの総括ということもしながら、各テーマごとに議論を進めさせていただいているところでございますので、そういったテーマごとの中で、きちんと総括をして、委員の方々から御意見をいただいて、行革プランに反映させていきたい、そう考えております。
◎坂本委員
委員の方は、やっぱり取り組み状況だけを見たときに、果たしてそれの評価とか、あるいは、効果がどうだったのか、あるいは、メリット、デメリットがどうなのかということろまで、十分に分析できるのかどうかというようなこともあろうかと思うんですね。そういう意味では、内部の意見も聞いていく必要はあるだろうというふうに思います。
いずれにしても、やっぱり総括の中で、よかった部分、あるいは、悪かった部分、率直に反省もしながら、じゃあ、次の県庁組織どういうふうにしていくのかということを、ぜひ、十分議論をしていただきたいというふうに思います。
この項で、やっぱり目指すべき県庁組織、先ほど、知事の方が若干触れられましたので、おおまか趣旨はわかりましたので、時間の関係で、次へ行かさせていただきます。
実は、昨年の予算委員会、私、この場で時間がなくて、最後に一言、30日以上の長期病休者の中に、約4割以上を占める方が、心の不調による病で休まれている方がおるという状態を、ぜひ、今後改善していただきたいという一言だけ述べて、終わりました。この1年間で、心の不調による病で休まれている方が5割以上にふえたという状況を放置できずに、今回取り上げさせていただくわけです。
長期病休者に占める心の不調による病で休まれている方が、平成10年には10%であったものが、昨年度では54%になりました。10万人比率で、都道府県政令指定都市平均と比較した場合、平成10年から10年間で、都道府県政令指定都市の3.95倍の伸びに対して、本県は5.58倍というふうになっています。これは、全国の都道府県が出ていませんから、比較できませんけれども、さらに、昨年で見ると、高知県は、7.55倍にまでふえているというふうな状況を見たときに、本県の現状をどのようにとらえておられるのか、また、そのような状況を改善するための検討はされているのか、お聞きします。
◎恩田総務部長 社会環境が大きく変わります中で、業務の質的変化というのが起こって、官民を問わず、全国的にメンタルヘルスの不調者が増加してというふうに承知しております。本県におきましても、全国と同様、増加の傾向にございまして、そういった状況については、憂慮しているところでございます。
そのため、職員一人一人が大切にされ、生き生きとして、やりがいを持って働くことができる職場づくりを目指しまして、今年の3月でございますが、職員の心と体の健康づくり計画、これを策定をさせていただいたところでございます。これに基づきまして、今後、予防の視点に重点を置き、個別対応から、職場全体の取り組みに、特に、職場の環境改善によるメンタルヘルス対策に取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
◎坂本委員
実は、産業医で、荒井千暁さんという方がおいでるんですが、この方が、『職場はなぜ壊れるのか』という本を出されております。「労働者の健康と労働形態は、隅々まで連動し、直結している」というふうに述べられておるんですけれども。評価に基づく査定を「評価に名を借りた合法的ないじめ」だというふうにも指摘されております。人事評価制度や職員数の減少など、「労働者の健康と労働形態との関係性」から、この問題を分析したことはありますでしょうか。
◎恩田総務部長
病休者の方々につきましては、可能な範囲で、産業医が面談をしておりまして、そのときに、いろいろな原因を聞いておるわけでございます。御指摘のような人事異動とか、そういった人間関係、業務量の増加、そういったことも一つとなっているわけでございますけれども、合わせまして、家庭、経済問題、あと、身体的な疾患の問題、そういったのも相まっておりまして、原因が特定できないというのが、現状でございます。
◎坂本委員
確かに、原因が特定しづらい部分もあろうかと思いますが、そういった関係性がどこにあるのかというようなことなど含めて、もっとやっぱり深い分析は、ぜひ。よく労働安全衛生委員会の中なんかでは、個別事例のケーススタディなんかについて、プライバシーの問題があるとかいうふうなこと、よく言われるわけですけれども、ぜひ、個別のケースを検討するところから、全体を見ていくということも可能な部分もあるだろうというふうに思いますので、今後、もっと深い研究をしていただきたいというふうに思います。
先ほど言われたようなことなどを含めて、支援するシステムとして、職場復帰支援プログラムというのが、現状行われておりますけれども、職場復帰プログラムが現状のままでよいのか、あるいは、改善を加えなければならないというふうに考えている点はあるのか、また、復帰支援のための理解を深めるだけでなく、業務量配慮なども含めた職場の受け入れ体制が整えられるのか、そういった点について、お伺いいたします。
◎恩田総務部長
職場支援の復帰プログラムでございますが、平成16年度にスタートして以来、一定期間以上病気をして復職した職員を中心に、毎年十数名が利用している状況でございます。現在まで、44名の方がプログラムを実施し、39名が職場復帰をしているというようなことで、一定の成果は上がっているんじゃないかと認識しているところでございます。ただ、病状悪化によりますプログラムの中断でございますとか、やはりスケジュールを延長しても、出勤ができず、安定して復帰できないというような事例もあることは、事実でございます。職員本人、主治医、所属長、産業医によります4者面談というのを、適宜行いまして、共通認識を持つこととか、上司、同僚の理解、協力が得られるように産業医、保健師が職場に出向きまして、病気の基本的な知識やかかわり方について支援するなどのことについても、力を入れてまいりたいというふうに考えております。
今後とも、関係者の意見を聞きながら、スムーズな職場復帰ができるような創意工夫をさせていただきたいと思っております。
また、人的な関係がございますけれども、職員が病気休暇等から復帰する場合には、主治医の意見もお聞きしながら、当該所属、職員厚生課、人事課等、関係課で、緊密な連絡調整を行いまして、業務量などの配慮も含めて、受け入れ体制に努めているところでございますし、今後もきめ細かな対応をしていきたいと考えておるところでございます。
◎坂本委員
今、言われましたが、毎年十数名の方がプログラムにのっとって、復帰の取り組みをされているということですが、トータルでは50人から60人の方が、そういった方がおいでるわけで、その中のそういう部分ですので。プログラム、果たして、そういう意味では十分なのかどうかということなんかも、やっぱり随時検証されていくということが、必要だろうというふうに思います。
さらに、一つの職場に複数以上配置されていると、そういった職員の方が複数以上配置されている職場の状況があることを考えたら、当事者の方も大変ですし、また、復帰してくるときに、受け入れる側の職員の皆さんの受けとめの問題、理解の問題、あるいは、業務量の配分の問題、いろんな問題が輻輳して、あるだろうというふうに思いますので、そういったところを、本当に十分に配慮していただいて、お一人、お一人の職員の皆さんが、また、職場でがんばれる、あるいは、仲間と同僚と一緒に働けるような環境づくりに、ぜひ、取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。
実は、午前中に、塚地委員も言われました。知事が、100時間、200時間の残業の問題の発言に、ちょっと塚地委員も違和感を持たれたようです。私は、もう一つ感じたのは、夜中の10時、11時になって、職員は大変だと思うがというふうに言われました。こういうふうに言われると、私の頭にすっと出てきたのは、居酒屋タクシーなどが居並ぶような深夜まで働くのが当たり前というような霞ヶ関的な労働慣行を、すっと頭に浮かべたわけですよ。そういうふうに、高知県庁はならないように、日ごろから、やっぱり注意をしていくようなことが必要だろうというふうに思いますので、このことについても、要請をさせておいていただきたいというふうに思います。
続きまして、この項の最後になりますが、閉会日の15日には、県人事委員会から、知事及び議長宛に、県の人事委員会勧告が出されようとしています。国の人事院勧告や県内民間給与調査などを踏まえれば、残念ながら、月例給与、一時金ともに引き下げる内容というふうになることが想定されるわけです。
想定の範囲ですけれども、月例給、一時金引き下げによる抑制財源は、20億円程度になるんではないかというふうにも試算されますけれども、今年度の賃金カットによる財源は、16億円ということです。差し引き4億円は、ちょうど3カ月分ほどに当たりますが、ぜひ、12月議会に、勧告に沿った給与条例改正案を出すのであれば、給与の減額措置を停止することも合わせて、盛り込んでいただいたらというふうにも思ったりもするわけですが。
いずれにしましても、5年間引き続いている給与の減額措置、来年に向けて、6年目はないというようなことをお考えになられているのかどうか、知事にお伺いしたいと思います。
◎尾ア知事
大事な問題ですので、1点補足をさせていただきたいと思いますが、月の残業時間が200時間、300時間、また、夜中の10時、11時。200時間、300時間となると、午前1時、2時になる場合が多い。土日も働く。私は、そういう経験をしてまいりました。してまいりましたからこそ、そういうふうに働いている人たちのほこりとか、思いというのは、非常によくわかるつもりでございます。安易な霞ヶ関批判と、これに対して、そういう形で反論したいと思う側面もあります。
他方で、そのような残業時間を経験してきたからこそ、そのようなものの弊害というものも、よくよく承知をいたしておるつもりでございます。健康の問題もあります。家族とのコミュニケーションという問題もある。精神の問題もありますでしょう。そして、もう一つは、非常に新しいことに挑戦をしようとか、そういうことについて、非常に、これ以上忙しくなったら大変だという思いがあるものですから、新しいことに挑戦しようと、そういうクリエイティブな考え方というのは、非常に阻害されてきている傾向があるんじゃないかと。そういうことが、私、弊害として思っているところであります。
県庁組織が、決して夜中の10時、11時まで残業をして当たり前というようなことを考えているわけではございません。むしろ、それによる弊害も非常に大きいんだというふうに思っておるところでございまして、できるだけ多くの方々が、生き生きと、やりがいを持って、生きていけるような、そういう組織づくりを目指したいと思っています。
そういうことの中、5年も続きました給与カットということでございまして、私自身も大変心苦しく思っておるところでございます。財政収支の試算、一定程度改善もいたしておるという状況であります。しかしながら、今、いろんな形での見直しも行われておるということでございまして、県の財政状況についても、まだまだ不透明感が漂っておるということがございますし。また、もう一つは、給与の水準というのは、常々申し上げておりますように、県民の皆様の御理解ということも、非常に大切なことでございます。
いずれにしても、まだ、人事委員会からの勧告は出されていないということでございまして、勧告が出されましたら、その内容をよくよく検討していきたいと思います。給与カットをできるだけ避けたいという思いには変わりはございませんが、避けられるように努力はしていきますけれども、現時点での判断は困難であります。そういう状況でございます。
◎坂本委員
そういうふうな答弁になろうかとは思います。
ただ、人事委員会の給与勧告制度がある以上、勧告に基づかない給与カットというのは、まず、第一に異例のことであるというふうに、知事はこの間、言ってこられました。異例というのは、前例がないことで、まれなことであります。それが、6年も、もし続いたら、これは、前例ばっかりになってくるわけで、異例ではなくなってしまいますのでね。そういうことは、やっぱりあってはならないというふうに思いますので、ぜひ、よくよくお考えの上で、御判断をお願いしたいということを述べておきたいと思います。
次に、図書館政策ということですが、県立図書館のあり方については、本会議で随分議論されましたので、私は、図書館行政の中でも、学校図書館の位置づけと、学校図書館支援員の配置のあり方について、お尋ねいたしたいと思います。
本会議で、教育長は、公立図書館、学校図書館に対する投資の低さ、根本は、財政的な面。しかし、お金を引き出すのは、教育への思いとも、いうふうに述べられました。今年度、4月から、学校図書館支援員を配置したことによって、6月からでしたかね。配置した学校の図書館が、どのように変化したか、把握されているのか。されておれば、内容も含めて、お聞きしたいと思います。時間がありませんので、簡単にお願いします。
◎中澤教育長
今のところ、児童生徒や教員の利用率が向上し、児童生徒の読書への関心が高まってきた、また、読み聞かせなどの読書活動や、授業の
中で学校図書館を活用する学習が充実してきたなどの、いい評価の声が聞こえてきております。
◎坂本委員
実は、私も、過日、図書館支援員が配置された小学校のお昼休み、図書館をのぞいてまいりました。本当に子どもたちが、脇目もふらずに、読書に没頭されている姿、あるいは、支援員の方に相談をしながら、本を選んでいる姿。そして、支援員の方からは、先ほど教育長が言われたような、本当に、そこの中で、その方が求められている役割というのが、随分、あるんだなということを実感しました。実は、教室で落ちつきのない生徒が、図書室では静かに本を読んでいると、そういう情報を、担任の先生に提供することで、また、指導の仕方が変わってくるとかいうようなこともあったりして、本当に貴重な人材だなというふうに思ってます。
さらに、知事が、2月13日、正庁ホールで開催された対話と実行座談会の中で、そういう提言も受けられました。そんなこと含めて、知事と教育長、もう時間ないので、一言ずつ、学校図書館支援員の配置について、あるいは、司書、専任的なそういった職員の配置について、どうお考えか、一言ずつお願いします。時間がありません。
◎尾ア知事
図書館の充実は、重要な課題だと思っています。教育委員会、そして、もう一つは、これは、市町村も一義的に大きな役割を担ってます。よくよく協議をして、工夫をしていきたい、そのように思います。
◎中澤教育長
図書館活動というのは、ハードだけではなくて、そこにいるマンパワーがどう動くかということが、肝要だというふうに考えております。そういった意味で、そうしたいろんなマンパワーがあるわけですけれども、マンパワーも充実しながら、学校図書館活動を充実させたいと、こういう思いでございます。