予算委員会一問一答(08年10月3日) |
◎30番(坂本茂雄君)
お許しをいただきましたので、順次、質問をさせていただきます。本会議で、我が会派の井上議員も紹介しましたように、県民クラブで取り組みました、この間の県政アンケートはがきでは、県民がつけた施策の順位として、まさに、産業振興、県内雇用、食べていける第1次産業という経済課題、そして、医療・福祉施策の拡充と、県内医療体制の確保を求めているというものでありました。
そのことを踏まえた施策の選択と集中を図っていただきたいということは、当然なのですが、ここでは、拡大し続ける格差社会という生きづらい社会の中で苦しんでいる方々がたくさんいることに、目を向けていただいて、人の尊厳を大切にする施策を拡充していただきたい、その思いから、以下、何点か、質問をさせていただきます。
まず、引きこもりの対策についてであります。引きこもり当事者は、100万人に上り、それに倍する家族が悩みを抱えて暮らしていると言われています。全国引きこもり親の会の会員対象に行われた実態調査では、当事者の平均年齢は、30歳を超え、引きこもり期間は、平均8.95年、最長の方で25年というふうになっています。全国の会の代表は、本人と親の不安が家庭の破綻につながり、親殺しや心中、自殺などの最悪の事態が出始めている。何らかのセーフティネットがあれば、安心感にもつながると訴えられています。
そんな中、8月に知事にも同席いただきました、全国引きこもり親の会、高知県支部が開催した引きこもり講演会では、講師の精神科医の中垣内先生から、引きこもり外来、解放された143名のお話と題して、貴重な御講演をいただきました。講演の中で、引きこもり外来で、当事者の支援に当たっておられる経験から、引きこもりからの回復の可能性が強調される中、一人一人の引きこもりのきっかけが違う中で、それぞれの当事者に合った支援をできるだけ早い段階で取り組める、家族や親の会や行政の支援体制が、必要であることを痛感させられました。早い段階の支援が受けられれば、就学31%、就労40%、結婚2%という数字に見られるように、社会参加率への希望が見えてきます。
ニートと引きこもりを同一視して支援することには、無理な面がありますが、本県のニート、引きこもりなどの若年無業者は、2005年調べで、約3,200人と、出現率全国ワースト2位という中で、本県としても、昨年スタートした若者サポートステーションや、NPOの若者自立支援塾での対応にとどまらない、多様な支援が求められているというふうに思いますので、以下、質問をさせていただきます。
一つには、厚生労働省が引きこもり問題の早期発見、早期対応のため、引きこもりの状態にある本人や家族からの相談などの支援を行う、引きこもり地域支援センター、仮称でありますが、これを来年度、すべての都道府県と政令指定都市に設置する、新規事業の予算要求がされております。この支援センターについて、本県的には、どのように位置づけ、どのような体制で、どのような機能を持たせたいと考えているのか、事業化に当たっての所見を、健康福祉部長にお伺いいたします。
◎健康福祉部長(畠中伸介君)
引きこもり対策についてですが、議員御指摘のとおり、相談先がないといったこと、また、関係機関との連携が十分でないといったことから、国の方で来年度の新規事業として、引きこもり地域支援センターの設置という予算要求がなされております。まだ、このセンター全体像が十分厚生労働省からも明らかになっておりませんが、概算要求の資料で見ますと、一次の相談窓口としての役割を果たす、そして、関係機関のネットワークの連携強化に取り組むといったようなことになっております。県としましても、こうしたセンターの設置ということは、引きこもり対策には有効であると考えておりますので、市町村、また、関係機関の御意見をお聞きしながら、教育委員会とも十分協議しながら、事業化について、検討していきたいと考えております。
◎30番(坂本茂雄君)
そういう中で、高知県の場合は、東西に大変広い県ですので、例えば、高知市だけに設置したとしても、果たしてそれが十分な役割を果たすのかというふうな問題があると思いますね。その意味では、高知県独自に考えなければならない、そういう体制や機能、そういうものもあろうかと思うんです。ちょっとそこのところが、少し今の答弁では見えませんでしたので。確かに、国もまだ全体のスキームを示しきれていないというのはあるかもしれません。案的なものにしかなっておりませんので。そういう意味では、そういう中で、高知県的には、どういうことを生かしていきたいのかというところは、ちょっとお聞かせいただきたいと。
◎健康福祉部長(畠中伸介君)
引きこもりセンターを一次的な相談窓口という形にしてますが、議員御指摘のとおり、高知県では、多分、設置となると、やっぱり人口的に考えても、中央部になると思いますので、県下全域サポートするとなると、やはり、住民相談窓口である市町村、それから、福祉保健所、県としては。そういった機関との連携というのは、それと、民間でやってます、今、若者サポートステーション等の連携をどうとっていくかというかということが、一番大切なんじゃないなかと思ってます。
◎30番(坂本茂雄君)
来年、事業化するに当たって、先ほど言われました一次的な支援センターになるわけで、そこからどう連携していくのかというときには、ぜひ、いわば、親の会の皆さんとか、そういった方の要望とか意見も聞いて、そういうニーズにこたえれるような仕組みをつくっていただきたいなというふうに思いますので、これは、要請しておきます。
あわせて、この講演会の講師である、医師の方が、これまでさまざまな相談事例から言われていたのは、第三者と手を組むことに気がついた。つまり、家の中で、家族や当事者だけでアドバイスしたり、悩んだりとかいうことではなくて、行政機関やいろんなところの支援を求めていくことも必要だということに気づいたり、親が考え方を変え、希望を抱いたり、あるいは、居場所やフリースペースに参加することができる、必要な場合には、相談機関や医療を使おうというふうに思ったというふうな変化が生じてきているわけです。その意味では、先ほどお話をしました支援センター以外にも、アプローチできる多様な相談窓口を設置していくことが必要かと思います。先ほど、お話の中にありましたけれども、連携する機関として、福祉保健所の位置づけも重要になってこようかと思いますけれども、福祉保健所、現状での対応と、今後、この対応に当たっての機能強化が図れていくのかどうか。さらには、医療的な連携、支援のあり方、こういったことについて必要だというふうに思いますけれども、その点についても部長の方からお答え願います。
◎健康福祉部長(畠中伸介君)
引きこもり対策の相談窓口としては、議員御紹介のとおり、高知市民若者サポートステーションセンター、また、黒潮町に、高知くろしお若者サポートステーションというのがあって、民間でもやっていただいてます。今回、引きこもりセンターを県の方で設置するとなると、こういった民間の方の協力とともに、行政機関として、もう少し力を入れないかんというのは考えておりますので、市町村、そして福祉保健所が行政の機関としては、核になる取り組みになって、決まってくると思っております。
今でも、福祉保健所では、精神保健分野の相談、住民相談の一環として、さまざま相談受けてまして、引きこもりに関する相談も少ないですが、ございます。それと、市町村で受けた相談が福祉保健所に上がってきて、専門的な支援ということをやっているのもございますので、そういった支援も続けていかなければいけませんし、ネットワークも非常に大事になると思っております。
今後は、こういった相談窓口の周知とともに、特に福祉保健所は、地域で専門性を生かせるということが、大きな、広域的と専門性というのが大きな課題ですので、市町村、また、こういった民間の相談窓口と連携とりまして、そういった専門的な医学的なケアが必要な場合とか、そういった折りには、嘱託医を積極的な支援をするとか、そういった、また、より専門的な精神保健福祉センターございますので、そういった専門機関、それと、関係医療機関等をきちっとつないでいくような、適切な対応をしていきたいというふうに考えております。
◎30番(坂本茂雄君)
まだまだ率直に言って、例えば、福祉保健所であったり、あるいは、医療機関であったりしても、引きこもりの問題に対応できる、そういう専門的なスキルを持った方が少ないというふうに思うんですね、率直に言いまして。やっぱり、そこのところを、どういうふうに高めていくかということも求められてくると思いますので、ぜひ、先ほど言いましたように、これから、まさに力を入れていく部分として、積極に取り組んでいただきたいというふうに思っています。
医療機関と連携するにおいても、先ほど御紹介しました新潟県の中垣内先生、この方、引きこもり外来というのをやられていますね。そういうところは、全国にほとんどないわけです。だから、高知でも、そういう医師を求めることもなかなか難しい面があるとしたら、じゃあ、高知の中でどういう医療体制がつくれていくのかということも、あわせて、また、今後検討していただきたいというふうに思います。
最後に、この項で、親御さんや当事者の方たちが、いわゆる社会復帰していく過程の中で、まず、第一に、一歩外へ出てみようと。そして、外へ出たときに、お互い、当事者同士、あるいは、親同士が、相談ができる、そんな、いわゆるピアカウンセリング的な機能を持たせることも、当事者や親たちの居場所の問題として、必要になってこようかと思います。県として、ぜひ、居場所づくりのことを課題としてとらえて、場所の提供支援、居場所への専門的な人的支援や、財政的支援などが図れないか。これについては、教育長の方にお尋ねいたしたいと思います。
◎教育長(中澤卓史君)
私どもの方も、引きこもりの方々の御支援をされますNPO方々は、当事者が家から一歩踏み出すための居場所、それから、同じ悩みを持つ保護者の方が情報交換をすることが、心の大きな支えになるというふうにお伺いをしております。
お尋ねのありました、引きこもりの当事者や家族の居場所への支援に関しましては、これから設置されます、引きこもり地域支援センターの機能、それと、また、これらとの連携をどう図っていくかということがポイントになろうかと思います。そういうポイントも考えながら、関係機関の御意向もお伺いしながら、また、健康福祉部とも相談をしながら、何と申しますか、行政が今まで余り手を足してこれなかった分野に、新しく踏み出すわけですので、前提条件を余り考えずに、柔軟に考えていきたいというふうに考えております。
◎30番(坂本茂雄君)
ぜひ、柔軟に考えていただくということで、よろしくお願いしたいんですが、特に、場所の提供というふうになりますと、私がすぐ想定するのは、例えば、県の遊休施設をと。利便性の高いところで、遊休施設をということになっても、そういう遊休施設というのは、耐震性がないというのが、まず出てこようかと思うんですよね。そういう意味では、耐震性がないから提供できませんというふうなこととなってしまっては、これは、もう、場所提供から無理ということになってきますんで、例えば、そんなときには、そこについては、耐震性を確保させた上ででも提供しますよというようなことなんかも、まさに、先ほど教育長言われたように、柔軟に今後考えていただいて、先ほど言われました居場所の必要性については、親の会の皆さんからもお聞きになっているということであれば、ぜひ、そういった方々の意見、要望踏まえて、柔軟に対応していただきたいとうふうに思いますので、教育長、さらには、健康福祉部、教育委員会、そして、知事部局で連携をとって、よろしくお願いしたいと思います。
続きまして、自殺の予防対策についてであります。これも、高知県、非常に残念な結果が続いております。全国的にも98年から年間自殺者3万人という異常事態が解消されることなく続いており、交通事故死者のおよそ5倍、自殺率は、先進国の中で、最悪、アメリカの2倍、イギリスの3倍という状態が続いています。自殺は、決して、個人の問題ではなく、社会が生み出した、困窮死であり、自殺は避けられる死であるというふうに言われています。内閣府では、パンフレットで、生きやすい社会の実現を目指してとうたっていますが、本来、きずなが破綻させられ、救いを求める叫びに気づかない社会、生きづらい社会にしている原因が、取り除かれない限り、自殺者3万人超えの状態は変わらないのではないかというふうに、私は思ってます。
本県においても、2004年には、これまでの最多の256人が自殺で亡くなっています。また、昨年は、それに次いで、2番目に多い245人に上るなど、深刻な状況が続いています。自殺死亡率は、全国水準より高い率で推移を続けていて、2004年は第4位、昨年は全国第7位、直近の4年間の平均でとってみますと、全国第8位というふうな状況です。
そういった中で、県自殺対策連絡協議会の議論の深まりが待たれているということになろうかと思います。原因、動機の分析も、家庭、健康、経済生活、勤務、男女、学校問題と一般的には大別されておりますけれども、NPO法人のライフリンク、ここが、東大大学院の澤田准教授や弁護士や医師らで取りまとめた、自殺実態白書というのがあります。これです。500ページにも及ぶ内容で、これは、まさに、全国の警察の管内ごとに実態を調べております。こういうものを見れば、まさに危機要因は、うつ病、家族の不和、負債、身体疾患、生活苦、職場の人間関係、職場環境の変化、失業、事業不振、過労の順番に多くて、上位10項目で全体の約7割を占めるとされています。しかも、自殺の理由は一つではなく、平均で四つの危機要因を抱えていることもわかったと、この報告の中では言われています。高知県的な原因、動機が複雑に絡んでいることや、きっかけは何なのかなどを掘り下げて分析して、やれることから取り組んでいく姿勢の見えるような計画策定を期待していきたいというふうに思います。
そこで、高知県自殺対策行動計画、仮称ですけれども、これの骨格案が、先日の協議会で示されておりまして、これも3回の検討で、計画素案がまとめられ、さらにパブリックコメントが求められた上で、来年3月には計画策定が行われるということですが、8年後には、2005年の自殺死亡率を20%以上減少させるというふうなことになっており、これも、国に準じた形になっております。そういう意味では、なかなか本県の姿勢が見えにくいというふうに感じておりますが、自殺対策の具体的な取り組みにおいて、効果的な取り組みとして急がなければならない、本県の特色を生かした課題について、どのようなことが検討されようとしているのか、知事にお伺いします。
◎知事(尾ア正直君)
私も、自殺の問題、全国的にも深刻でありますし、また、本県も10万人当たりで、全国7番ということで、非常に深刻な問題だと思っております。
本県の特色を生かした計画をという御指摘でございますけれども、そのためにも、本県の自殺の状況がどうなっているかということを、よくよく踏まえなければならないと。全国と比較してみますと、まず、45歳以上の中高年の死亡率が非常に高いということがあります。また、無職の中高年者の方が自殺される場合が多い。また、職業別では、自営業者の割合が多いという、そういう特徴がございます。そして、自殺の原因、動機別で見ますと、経済生活問題が原因で自殺をされたという方が、過去10年で倍増しておると、そういう状況にあるわけでございます。
こうした本県の状況を踏まえますと、従来の保健・医療・福祉の分野の面におきます相談窓口というだけにとどまらず、例えば、多重債務の問題を始めとした、こういう経済関係の問題について、取り扱うところとの連携というものも必要となってくるのではないかと。本年度策定いたします県の自殺対策行動計画の中にも、このような諸点というのを盛り込んでいかなければならないと、そのように思っておるわけでございます。
国の自殺総合対策大綱の基本的な考え方というのを踏まえてまいりますけれども、本県の独特の状況を踏まえた対応策というものを関係者の皆様方の御意見をよくよくお聞きしながら、盛り込んでいきたいと、そのように考えております。
◎30番(坂本茂雄君)
ぜひ、本県独自の状況を認める意味でも、全国比較をしていただいたらいいと思うんです。その意味でも、この資料は大変貴重なものだと思いますので、ぜひ、参考にしていただいたらというふうに思います。
次に、特に、先ほど、知事の答弁の中にもありました、関係者の皆さんの声を聞くというのもありますけれども、その意味でも、実は、自死遺族の皆さんの声に耳を傾けるというのは、大変重要ではないかというふうに思ってます。2月に、県も主催して、自死遺族の皆さんのつどいをやられました。そして、高知県でもその会が始まったところです。そういった残された人々に対するケア、いわゆるポストベンションというふうに言われていますけれども、そのポストベンションをやっていくことが、次の世代の自殺の一次予防になる、プリベンションにつながるんだというふうなことを、先日の講演の高橋先生も言われておりましたけれども、そういう視点を持ちながら、自死遺族のつどいに県として、かかわれているのか、自死遺族の方の声に耳を傾けて今後の施策の充実を図っていこうとしているのか、お聞きします。
◎健康福祉部長(畠中伸介君)
自殺対策の中での一つの視点としての大きなことは、議員御指摘の自死遺族の方とのかかわりということで、本年2月に、先ほどお話ありましたように、全国キャラバンを受け入れまして、初めて県としても、自死遺族という方のかかわりを始めさせていただきました。その中で、お話もありましたけど、今年の4月から、県からも、そのときに参加していただいた方に声をかけていただきまして、毎月1回、つどいを開いております。6回で、延べ39人の方に、参加をしていただいております。この会の状況なんですが、やはり、大切な家族を自殺で亡くされた方々ですので、なかなか思いをみんなが集まった所で、十分にまだまだ声として、なかなかよう話さないというのが、今のまだ状況です。そういったことから、できるだけ、率直な思いが出るような場にしていきながら、もう少し回を重ねて、こういった方々の声というのは非常に大事な自殺対策を考える上でも、また、自殺というときに、予防になりがちですけど、やっぱり残された家族、これは大きな問題ですし、この間のシンポジウムでも、やはり、自殺した本人以外に、未遂者、そして、残された方、非常に自殺というのは、影響が広いということで、亡くなった方の、本県でも200人超えていますが、それの何十倍という大きな方が自殺によって、生活が大きく変わったり、変動しているということは、非常に重く受けとめておりますので、自死遺族の方々の声、そして、シンポジウムでお聞きしました、孤立ということがキーワードと、自分自身思ってますので、そういった地域での孤立、家族での孤立、そういうものなくするような形での、何か対策視点も入れながら、検討していきたいというふうに思っております。
◎30番(坂本茂雄君)
ぜひよろしく、かかわりをお願いしたいと思います。この項で、最後に、いわゆる骨格案の中で、民間団体に対する支援の充実もうたわれております。まさに、民間団体として、一番直接そういった方の声を聞く場においでるのが、いのちの電話で取り組まれている方々でして、年間、約4,000件に近い電話相談を受けているわけです。96人の相談員が4人で、3時間ごとのローテーションを組んで、午前9時から午後9時まで、12時間、全国的には24時間という対応のところもございます。そういうふうなことをされているわけですけれども、まさに、いわゆるセーフティネットから漏れて、先ほど部長も言われた孤立無援の方たちからの電話相談に応じているわけです。相談員の確保が大変困難なということもあって、相談員の方々を養成するということへの支援、さらには、いのちの電話の存在の周知の方法などについて、自殺予防の面から支援できることがないのか、その辺について、部長にお伺いします。
◎健康福祉部長(畠中伸介君)
いのちの電話の活動というのは、私ども、本当に自殺予防、自殺対策をやっていく上で、非常に大切なことだと思っております。本当にさまざまな悩みを抱えた方からの相談を受けていただきまして、本当に、ボランティアで、無報酬でこういうことをやっていただけるというのは、本当にこの方たちの活動がなければ、本県の自殺予防は進まないと、それだけの認識を持って取り組んでおりまして、日頃から、その活動に対して、本当に心から感謝しております。そういった件で、何とか県としても、いろいろさまざまな支援をしたいということは、常々考えておりまして、現在、ささやかでございますけれども、県の建物を事務所に利用していただいておりますし、養成講座の会場の場とかいう、提供はさせていただいております。今後は、どういった形で人材養成についての支援、多分、私自身、金銭的な支援と、もう一つは、やっぱり側面的にどう支えていける体制をとるのかということも大事だと思っておりますので、そういった形でいのちの電話の活動を支えることと、それと、行政では、どうしても相談では難しいところがありますので、このいのちの電話の周知ということも、行政でできるところは精いっぱい、パンフレットの作成とか、さんSUN高知もございますし、いろんな場を通じて、地域啓発に努めていきたいというふうに思っております。
◎30番(坂本茂雄君)
存在の周知の仕方については、事務方に若干、問題提起も、提案もしておりますので、ぜひ御検討もいただきたいというふうに思います。
続きまして、試験研究機関における試験研究補助業務のアウトソーシングの、来年度予算化に当たっての質問に移ります。この4月から、試験研究機関で、試験研究補助業務が、アウトソーシングをされました。当初は、慣れないということを理由に問題点もあったが、現在は、大丈夫であるというふうなことが、機会あるごとに説明されてきました。しかし、決してそんな状況にはないというふうに、私は思ってます。
以下、順次、問題点を指摘しますので、知事はよく聞いておいていただきたいと思います。後ほど、御見解を伺いますので。
非常勤職員の方が、新規の派遣労働者に入れかわった農業技術センターでは、6月までに半数の労働者が入れかわって、入れかわるたびに、県職員が、一から作業手順を教えなければいけない状況が続いたと聞いています。
また、現在に至っても、安心して仕事を任せられる研究員がつきっきりで指導したり、研究員自身が、作業を行っており、本来の試験研究に、以前のように集中できなくなったというふうにも伺ってます。
また、仕様書でうたわれた条件に合う労働者がおらず、現役農家の方にまで声をかけて、仕事が空いたときでえいから来てくれというようなことで、派遣がされている。そういう関係上、安定した労働力の供給が困難になっている。その一方で、元非常勤職員のほとんどの方が、派遣企業へ再就職して、働いている職場でも知識と経験が引き継がれ、表面上は、業務が回っているように伺えますが、モチベーションの低下が指摘されているということであります。それは、今年の3月と4月で雇用先が変わっただけで、給与が3割も下げられるということになれば、無理もない。しかも、やっている業務は同じ業務をやっているわけですから、給与だけが3割カットということです。
以上のような状況にありながらも、現状は、研究員や技能員のフォローと、元非常勤職員のおかげで、何とか業務が回っている状況であり、来年度の入札結果によっては、企業と労働者がそっくり入れかわる可能性も高く、そうなれば、ことし1年間の現場での努力と蓄積は全くのむだ骨になってしまいます。農業技術センターで起こっていた派遣労働者の入れかわりや職場の混乱、負担増がほかの試験研究機関にも波及するおそれがあり、早急な対応が求められていると思います。
さらに、農業技術センターの野菜、花き部門では、派遣法の派遣上限期間のすき間をすり抜けるために、7月中旬から10月中旬の間、クーリング期間ということで、派遣の労働者を受け入れなくしています。その間は、行政職員や研究員、技能員が、現場作業に追われていると。今後、水稲部門や山間試験部門においても、同じくクーリング期間が設けられますので、その間、また、そういった状態が起きる。しかし、労働局は、クーリング期間というのは、違法性が高いというふうに指摘しているというふうにも聞いてます。さらに、もともと、労働者派遣によって、試験研究補助業務をやるということ自体が、臨時的・一次的な業務に当たらないということで、違法性が高いんではないかということも、労働局には指摘されているわけです。その意味で、ぜひ、今の現状をきちんと踏まえた上で、県として、来年度予算化に当たって、考え直してみるという対応が必要じゃないかと思います。
知事として、この4月にアウトソーシングされた試験研究機関現場に散見されている、今言ったような実態があることを受けて、「労働者派遣でうまく行かない、もしくは、その先の請負という形でうまく行かない場合には」ということを、12月議会で言ってるわけですけれども、今言った事例が、こういう場合に当たるのか、当たらないのか、知事はどういうふうにお考えになりますか。
◎知事(尾ア正直君)
アウトソーシングでございますけれども、前県政下におきまして、行革を徹底しなければならんという観点のもとで、強力に推し進められてきたわけでございます。中で、部門別に例えば、一定の数値目標を設けて、アウトソーシングを進めていくという手法がとられておったわけでございますけれども、12月議会で御答弁申し上げましたことの背景となる私の考え方というのは、やはり、仕事、仕事によって、こういうものには向くものもあれば、向かないものもあるのではないかということでございました。ですから、一律、アウトソーシングをするということが、本当に大丈夫なのかと。他方、行革の要請はあるという中で、どうしていくか。特に、技術系のアウトソーシングについて言わせていただければ、これは、やっぱりよくよくやってみた上ででも、やはり実態を見て、ほんとに先々も進められるものかどうかということを、精査しなければならんということを思っておりましたし、また、12月の答弁の趣旨というのも、そういうことでございます。この間、どうであったかということでございます。六つの研究機関で九つの業務がアウトソーシングされたわけでございます。当初、業者さんとの意思疎通の問題、さらには、不慣れによる問題などが起こった。今は、業務に関しては問題なく進められておるというようでございますけれども、しかしながら、先ほどおっしゃられたような、今度は、労働者派遣法と照らしての問題というのが出てくると。これが、本当に大丈夫なのかという点があるわけでございます。私は、率直に申し上げまして、この問題は見直していかないといけないと、そのように思っています。
◎30番(坂本茂雄君)
業務の方は、問題なく進んでいるように聞いているという、ここの認識も、ちょっと私は違う部分が若干ありますけれども、今、最後に知事言われたように、率直に言って見直さざるを得ない、今、実態にあるという言葉を重く受けとめておきたいというふうに思います。
そこで、なお、産業技術部長に確認いたしますけれども、この間、そういった事例を含めて、業務のあり方がどうなのか、検証がされているのか。あるいは、されていれば、その結果、されていなければ、今後、どういう形で検証するか。そして、あわせて、臨時的、一次的業務に限るはずの労働者派遣法の趣旨に当たって、試験研究に付随する業務そのものがなじむのか、なじまないのか、基本的な問題について、認識をお伺いします。
◎産業技術部長(秋元厚志君)
お答えいたします。まず、アウトソーシングに際しましての検証でございますけれども、これにつきましては、関係する試験研究機関で機関長を中心といたしまして、日常業務を遂行する中で、常々点検し、検証をしてきたところでございますし、また、私どもといたしましても、各機関長との連携を密にしながら、意見交換、情報収集を行ってきたところでございます。そういう中で、先ほど、知事からお答えいたしましたように、一部の職場では、やはり混乱がございましたけれども、現在は大きな問題もなく、事業は進められておるというふうに、私どもとしては、認識をいたしております。他方、労働者派遣法という部分につきまして、これにつきましては、やはり、同一の場所ごとに同一の業務について、3年を超える期間、継続して派遣労働者の提供を受けてはならないという基本的な規定もございます。あわせまして、この件に関しましては、全国的にも派遣労働をめぐりまして、さまざまな課題の提起や企業などの偽装請負といった問題もございまして、高知労働局との協議でも運用面におきまして、厳しい御意見もいただいておるところでございますので、そういったことを踏まえまして、改めて、現場との協議を重ねているというのが現状でございます。
◎30番(坂本茂雄君)
部長も、現在は大きな問題もないというが、そこは、非常にやっぱり認識が違うと思いますよ。だから、検証する際に、本当に起きていないのかどうか、きちんと検証していただきたいと思います。
そもそも、県当局が、技能職員の職はすべて廃止するというふうに言って、技能職員を行政職に職種転換させたんですね。職種転換させた職員に、また、技能の仕事やらせてるんですよ。こんな、いわば、場当たり的な人事管理のあり方があるのかということを、まず、私は言いたいと思うんですよね。
ほかにもいっぱい実態、ありますけれども時間ありませんので、ぜひ、きちんと受けとめて、労働局からの指摘なども踏まえて、この業務が労働者派遣法の趣旨に添ってないというふうな認識のもとに見直しをしていただきたいというふうに思います。
知事には、最後に、ぜひ、検証結果を踏まえた見直しの過程の中では、再直営化ということも視野に入れて、御検討いただいたいというふうに思います。
さらに、複数年契約をしているところがありますので、複数年契約をしているところは、来年度の契約も含めてやってますから、そういう意味では、契約変更ということもあり得るということで、御検討いただきたいというふうに思いますが、知事、最後にお考え、述べてください。
◎知事(尾ア正直君)
このアウトソーシングですが、本当に、行財政改革を進めなければならんということで、一生懸命やってきたことだとは思いますけれども、やはり見直すべきは、見直すべきだと、私は思っております。
実際にも、労働者派遣法、いろいろ解釈が積み上がってくる中で、今のままではいかがなものかという厳しい御意見もいただいておるというわけでございますから。来年度からの業務に支障が生じないように、できるだけ早く、この問題については、見直しを進めなければならない、そう思っています。
◎30番(坂本茂雄君)
続きまして、職員の給与カットの見直しの問題で、お伺いいたしておきたいと思います。先日の本会議で、井上議員の質問に対する、知事答弁について、改めて、真意をお伺いします。
職員の士気や家族も含めた生活の影響も考えると、来年度以降の給与カットはできる限りしたくないと考えているが、現在、結論は出ていないと。予算編成過程で判断するというふうに言われたわけですけれども、この手法で、検討されていきますと、新たな県民サービスの事業試算によって、財源不足が生じたら、給与に切り込むということの含みを持たせたような答弁に聞こえるわけですね。そういうことよりは、もう財源不足というのは、毎年、実は、見込まれているわけで、その財源不足が毎年見込まれている中で、こういう答弁であれば、一体いつになったら、給与カットというのは、ストップがかかるのかというふうに思わざるを得ない。しかも、今回、予算編成の過程で判断するというんじゃなくて、予算編成に入る前に、このことについての結論を出した上で、予算編成に入らないと、結局、さっき言ったようなことになるんじゃないかというふうに、私、思うわけです。ですから、予算編成方針も10月の下旬ぐらいには出されるというふうに思いますけれども、予算編成方針を出す際には、もう、既に判断をした上で、こういう前提で、予算編成をやりましょうというふうなことが、結論として出されておかなければならないというふうに思いますが、知事、どうお考えでしょうか。
◎知事(尾ア正直君)
公務員の労働協定制約の代償処置として、人事委員会の給与勧告制度がある以上、勧告に基づかない給与カットというのは、まず第一に異例のことであると、そのように、私は思っております。
第二の問題として、正直なところ、特に今年度に入りましてからは、職員は、産業振興計画の策定始め、本当にもう従来以上にがんばっていただいていると、そういうふうに私自身は、実感をいたしております。
そういう中で、職員の士気や御家族を含めた皆様方の生活というものを考えたときに、給与カットというのを、できるだけしたくないと。通年以上に一生懸命頑張っていただいておると。それには報いたいと。しかも、報いると言っても、それは、法の定めに従って報いるということでございますから、それは、ぜひ、やりたいというのが、私の思いでございます。
しかしながら、この経済状況に先々見通しの暗いところがあります。恐慌を防ぐ見通しも、まだまだどうなるか、はっきりしていないところがあります。そして、また、多くの課題を抱える中で、やらなければならないこともたくさんございます。
やはり、そういうことを、総合的に見通してからでなければ、最終的な結論は下せないと。これは、残念ですが、そのように言わざるを得ないというのが、今の状況でございます。
◎30番(坂本茂雄君)
実は、この間、ずっと給与制度というのは、何回見直しをされてきてるんですね。一遍、現況保証という形でありますけれども、地域給が導入された際には、いわゆる46歳主任の方が、15年間、同じ給与で働かされる状況に、今、なってるんですよ、そういうシステムに。さらには、97年以降の給与制度の見直しにおいて、試算をしたら、生涯実損額で2,700万円、家1軒分が失われてるんです。そういうことを、いわば、踏まえた上で考慮していただきたい。この間の質問の中で、知事が運動会や球技大会に参加したりとか、あるいは、よさこい県庁チームを復活させて踊っても、なかなか士気は上がるもんやないというふうに思います。
やっぱり、さっき言われたところをきちんと反映していく意味で、ぜひ、判断をしていただきたいというふうに思いますが、今の段階で、どうしても判断できないというんであれば、ぜひ、少しでも判断を早くするということと、もし、これをさらに継続するというような、異例のことをやるんであれば、きちんと職員団体に対しても、早く協議をした上で、やっていただかなかったら、とてもじゃないんですけれども、大きな問題点を残すことになるというふうに思いますので、そのことは申し添えておきます。
◎知事(尾ア正直君)
早く結論を下すということをしてしまうと、どうしても財政的には、保守的な保守的な話にならざるを得なくなってしまいます。それを最大、できるだけ避けたいと思うので、時間をかけて検証をしておるわけでございます。その点の苦しさというのを、ぜひわかっていただきたい。私も職員は、通年になく、がんばってくれていると思っております。それに報いたいという思いでございますが、ただ、しかしながら、やっぱり私は、トータルの財政を考えなければなりませんので、そこのところを、ぜひ、御理解を賜りたいと、そのように思っております。
◎30番(坂本茂雄君)
すみません。時間がありませんので、割愛させていただきます。実は、総務部長に、本当は、県庁の職員の今の健康状態というものについてお伺いしたかったんです。結局、30日以上の長期病休者、この中で、約4割以上を占めるメンタル面で休まれている方がおるという異常な状態を、ぜひ、今後、改善していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
最後に、知事に、県立大学改革の問題で、もう時間がないですね。私は、もうこの改革プランというのは、もともと今から、七、八年前のスタートから、やっぱりボタンの掛け違えがあったんじゃないかなと。その意味で、パッチワーク改革プランのようになってしまっているというような気がします。ただし、これを進めていくというのは、知事の責任でこれからやるわけですから、本当に、将来にわたってのいろんな課題を、知事が責任を持って、責任をとるというつもりでおられますか。
◎知事(尾ア正直君)
当然、そういうつもりでおります。今議会で、私が答弁した内容は、私が責任を持って、一生懸命取り組んでまいります。