予算委員会一問一答(07年10月1日)


◎西森委員長 午前に引き続き会議を開きます。一問一答による質疑並びに一般質問を続行いたします。
 坂本委員、あなたの持ち時間は40分です。御協力よろしくお願いします。

◎坂本委員 はい。お許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。

 本会議では、先輩議員さんが、知事の16年間、4期の総括をされる質問が多くありました。私は、極めて短期的な総括になろうかと思いますけども、この4期目をどのように総括するかということで、幾つかの点でお伺いしたいと思います。

 まず、1つには、この4期目の公約につきまして、折り返し点の200512月1日に、中間的に評価をして公表されております。今回が最後の議会ということであれば、本来、達成状況など含めて明らかにして、本議会で評価をめぐる質疑がされるべきではなかったのかというふうに思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。知事にお伺いします。

◎橋本知事 4期目の公約に関しましては、任期満了までの間に、その進捗ぐあいを取りまとめて、県民の皆様に公表して、その御評価をいただこうと考えました。そういう段取りで、今取りまとめを進めております。

◎坂本委員 任期満了までに取りまとめられて、県民の皆さんには公表されたとしても、議会で審議する場はもうないというふうになりますので、本来であれば、私は、この議会を前にした段階での達成状況、そういったものを明らかにすべきだったというふうに思っております。
 そんな中で、今作業がされているということですけれども、前回、中間報告の段階では、8割近くが進行中ということであったわけですけれども、未実施、方向転換も含めて14項目などあったわけです。トータル182項目。いえば、個別にということにはならないと思いますけども、それらが、知事としてはどういうふうになられているというふうに考えられているか、お伺いします。

◎橋本知事 今御指摘がございました182項目のうち、中間取りまとめの段階では、進行中というものが78%、80%近くございましたが、今回、それはほぼ半分近くに減りまして、その分、対応済みというものが大幅にふえております。また、未実施とされておりました事業の中でも、職員が努力をし、また、知恵を出してくれたおかげで事業が進んでいるものもございますので、相当、この2年間に前向きに仕事は進んできたというふうに受けとめております。

◎坂本委員 ただ、対応済みとか、進行中であったものの中でも、逆に言うと、それらが途中でとんざしてしまっているというものも、中にはあろうかと思うんですね。例えば、県民参加の手法として、この間掲げてきた、ぷらっとこうちについても、今回廃止をされるというふうなこととか、あるいは、科学技術アカデミーについても、2年間で中間報告を出して、その後、何もなしというふうなこととか考えたときに、ほんとにこれらの公約が一体どうだったのかというのは、もう一度きちんと検証がされるべきだろうというふうに思います。
 その中で、幾つか、ちょっと関心のある課題についてだけ、具体的にお聞きをしておきたいと思います。中間総括の中で、雇用の問題につきまして、17年度の予算に厳しい雇用情勢への積極的な対応を掲げて、32億円という予算を計上したと。重点4項目の中でも、一番多額の予算を傾注したということを進捗状況の中で報告されておりますが、4期目において、雇用対策に充てた予算合計額と、その事業において、雇用人数がどれだけ創出できたか。実人員でお願いいたします。

◎橋本知事 雇用対策に充てた予算というものは、さまざまなものを取りまとめてでございますが、16年度からの4期目4年間で174億5,000万円でございます。これに伴う雇用人数という御質問ですが、例えば、企業誘致、企業立地のようなものであれば、16年度からおよそ2,400人というふうな数値でお示しをできます。けれども、全体的には、職業訓練でございますとか、就労支援でございますとか、さまざまなソフト事業も含め、市町村、また、企業と一緒になって取り組んだ事業でございますので、それを数値として雇用人数何人とお示しすることができません。

◎坂本委員 この雇用対策の問題、私、機会あるごとに取り上げさせた場合に、やはりどれだけの効果が上がっているのかということは、明らかにしていただきたいというのを、その都度お話してきた思いがあります。というのは、確かに、数値だけでは明らかにできない、そういう効果もあろうかと思いますけれども、やはり、174億円もの予算をつぎ込んできたのであれば、やはりそれだけの効果が上がってますよというようなことは見せていただくべきではないかなというふうに思いますので、今後も、ぜひ、こういった課題については、効果がどのように上がっているのかというのを検証してほしいというふうに思います。当然、今後も雇用対策の部分、重点化していくわけですから、そのことを要請しておきたいと思います。
 2つ目に、若者の就職対策として、五年十年後にはどのような職種が必要で、不足するかを調査するとされております。来年の高校生の有効求人倍率、全国的には1.29倍ですけども、高知県の地元では0.29倍という極めて低い数値になっておりますが、これらの調査がどのように活用されているのかいうことを含めて成果をお願いします。

◎橋本知事 公約に掲げた形での調査というものは実施しておりません。と言いますのは、この公約は、就職間近になっていろんな御支援をするというのではなくて、もっと早い段階に、皆さん方が就職をされる時期には、こういうような仕事が時代のニーズになっていくというようなことを県で調査をして、それをお示しをしていこうというお約束でございました。
 ただ、これだけ時代の流れが速い、そういうときに、県がそのことを調べて、何か実効性のある調査ができるだろうかという意見というか、考え方になりまして。であれば、早い時期からということに着目をしてということで、中学生の方々の職業体験、また、高校生のインターンシップ、さらには、ジョブカフェこうちを活用した仕事の相談、職業相談から就職の支援に至るワンストップサービスということに力を入れるという形にいたしました。

◎坂本委員 確かに、五年十年というスパンで見たときに、今の早い変化に対応できるかという問題はあろうかと思うんですけども、やはり、高校生を中心とした若者の就職対策というのは、高知県的には大変重要な課題だと思いますので、これについても、何らかの形で効果を上げれるような調査なり、情報の活用なり、そういったものはしていただきたいというふうに考えているところです。
 少し、当初通告しました質問をはしょりながらの質問になって申しわけないですが、次に、防災学習センターについてお伺いします。 9月20日に、高知市長からの要望を受けた防災学習センターにつきまして、この財政状況の中で、具体的な計画に乗せるところまでいっていないというふうにお答えになっております。折り返し点の中間報告の段階で付加された、この防災学習センターについて、公約として、どのように評価されているのかお聞きします。

◎橋本知事 防災学習センターは、地震に対する知識、また、その備えというものを継続的に身につけていただくためには大切な施設だと思っております。ただ、その整備に当たっては、運営の方法を始め、まだまだ詰めていかなければいけない課題がございますし、それだけに、南海地震対策の中での優先順位というものも、まだ明確になっておりません。そういう意味では、熟度という点で、まだ具体化に踏み込むには課題があるというふうに受けとめております。

◎坂本委員 先日、徳島の防災センターに行ってきました。非常にいろんな面で、県民の意識の高揚にも役立っているというふうにも感じましたし、体験ができながら学んでいくということも、随分効果を上げているなあというふうに思いました。
 そんな中で、この防災学習センター、防災への県民意識の向上の拠点ともなるべき場所であるわけで、そういう意味では、これに、例えば、6月定例会の際に陳情があった科学館、子供の理科離れを防いでいくということも含めて、科学館の設置などの陳情があっているわけですけれども、これらの併設も合わせて考えていけば、子供の理科離れへの歯止めや、その先にある、防災意識の醸成など、命を大切にする人間と町づくりにつながるのではないか。そんなことも、私考えたりしているところです。そんなことと合わせて、この防災学習館、基本構想の中での事業費が22から25億円というふうに試算がされておりますけれども、それと、例えば、今回の女子大の移転統合整備のことを考えたときに、私は、女子大の移転統合整備にも負けないぐらいの人づくりになる。そういう施設ではないのかというふうに考えたりもしますが、公約を総括するに当たって、そういったところについてのお考え、どんなふうに考えられているか、お聞きします。

◎橋本知事 それぞれの事業の必要性というのは、今坂本委員の御指摘のとおりだと思いますし、それを全面否定するつもりはございません。しかし、また、それぞれの事業、プロジェクトには熟度というものがございます。そういうことから言いますと、今女子大の再編統合、改革の問題と、防災学習センターというのは、同じ土俵で比較をできるような熟度ではないというふうに考えます。

◎坂本委員 先ほどから熟度ということが言われてます。前に私が、南海地震条例の制定を要望したときに、知事は、それは県民の意識がそこまで高まっているだろうかというふうに言われました。県民の意識が高まるのを待つのか、あるいは、卵が先か、ニワトリが先かという議論もされました。その後、知事は、南海地震条例について制定するような動きになっていかれました。そういった意味では、単に熟度だけではなくて、やはり、どういう優先性を持っていくのかというのは、県民の声を聞きながら定めていっていただきたいというふうに思います。
 いずれにしましても、私は今回、公約についてきちんと検証して、それを示した上で、この議会に臨んでいただきたいという気が大変強まっています。と言いますのは、先日、知事が本会議での質問に答えて、私が県民を向いている限り、職員が私を見ることは、そのまま県民を見ることで、何も矛盾しないと。公約を掲げて選出される知事の姿勢を見ながら仕事をするのは、民主主義のルールだというふうに言われたわけですから、公約に対する検証は必要だったというふうに思います。そのことは、申し添えておきたいというふうに思います。
 続きまして、これは公約とは関係ないですけれども、先日、昨年の県内政治資金が公表されました。橋本大二郎後援会は、政治資金パーティーを開いた17年からの繰り越しなど1,287万円と、18年度の収入として10万円報告はあったなどの記載があっております。
 2年前、政治資金パーティーにおける剰余金の使い方につきまして、さまざまな議論がされておりますけれども、この2年間、どのように活用されてきたのか、お伺いします。

◎橋本知事 今御指摘のございました資金に関しましては、その使い方、運用の仕方について、さまざま議論しましたし、アイディアもございました。けれども、いずれも実現をしないまま、そのままの形で残っているということでございます。

◎坂本委員 その政治資金の収支の報告を見てみますと、この17年、18年の2年間で、事務所経費が約236万円使用されております。5期目、4期目の選挙以前には、選挙のない年には、大体平均して月3万円ぐらいの使用で済んでいるものが、この2年間においては、月9万8,000円ほどになっているというのは、これは、その剰余金の中から、こういったところに、事務所経費として使われているというふうに考えていいでしょうか。

◎橋本知事 剰余金というのは。

◎坂本委員 政治資金パーティー。

◎橋本知事 はいはい。政治資金パーティーの分ももちろん含めまして事務所の経費等、また、慶弔の電報を送る等々の政治活動の費用として充てております。

◎坂本委員 はい。以前と比べて、この2年間で急に額がふえていることで少し疑問も持ちますけれども、また、機会を改めて調査させていただきたいというふうに思います。
 続きまして、財政見通し上の疑問点についてお伺いいたします。
 今議会、あたかも、女子大池移転事業費の財政的裏打ちとするために、総務部の方から、今後の財政運営についてが示されました。しかし、本会議でも議論がありましたように、この見通しが極めて甘いのではないかというような危惧も出されております。財源不足の解消のための方策についても、非常に無理があるのではないだろうかというふうなことで、そんな点から、幾つかお伺いいたしたいと思います。
 1つには、給与カットのことであります。これにつきましては、この3年間、給与カットを行ってきたわけですけれども、これを継続するかどうかについては、新しい知事のもとで判断をされて、さらに、提案するにしても、職員団体との協議をされていくというふうなことになったわけですけれども、新知事のもとで判断する際に、回避に向けた検討も、1つの方策として、選択肢として、指示がされるのかどうか。そのことについては、どういうふうにお考えでしょうか。

◎橋本知事 現在の三位一体改革に伴う地方交付税の大幅削減、また、歳出歳入一体改革に伴います、今後にわたる地方交付税の削減という状況を考えましたときに、職員の皆さんには、大変申しわけない限りですけれども、職員の給与カットの継続ということを抜きには考えられないのではないかと私は思いますので、次の知事さんにも、そういう自分の考え方というものを伝えたいと思っております。
 ただ、先ほどお話がございましたように、実際に、その給与カットの継続をするのかどうか、その場合に、時期はいつまでとするのかというようなことは、検討の方法も含めまして、次の知事さんにゆだねるということになります。

◎坂本委員 3年前に、この議論をした際に、単に毎年20億円の財源確保ができるということだけではなくて、試算をすれば、約17億9,000万円の経済的波及効果のマイナス効果があるんだということ。さらには、県民税においても、4,000万円近い減収になるというようなことなどを含めて、決して県の職員、家族の問題だけではない。県民の経済活動そのものに影響するということも、私指摘させていただきました。そんなことも含めて、ぜひ、今後の議論につきましては、慎重な検討をお願いしたいというふうに思います。
 続きまして、財政見通しの前提として、県庁組織を26年に3,000人体制を目指すというふうに言われております。692人の削減分の3分の1をアウトソーシングで賄うというふうに言われておりますけれども、3,000人体制というのは、どのようなサービスを県庁として県民に提供をする、そういう体制なのか。そういうものを描いているものがあれば、お聞きしたいと思います。

◎橋本知事 どのようなという御質問の意味が、ちょっと具体的につかみきれないところもございますが、私は、この問題に関しては、坂本委員と基本的に、考え方の違いがあるのではないかということを思います。というのは、坂本委員が、そうお考えだと決めつけるわけではございませんけれども、いわゆる公共サービスは、基本的に官が担うべきだ。また、その官が担うときに、仕事の仕方は、従来のフォーマットのまま続いていくということを前提に御議論をされているのではないか。そういうことが前提になりますと、その中で、職員の数が減るということは何かのサービスが減っていく、いうことになりますし、そのときの県庁としての、そのサービスの体系をどう考えるのかという御質問につながるかと思います。
 けれども、私どもは今、これまでの仕事の仕方を大幅に変えていこうということを提案をしております。地域の住民の皆さんと一緒になった、また、企業と一緒になった共同の体制によります新しい公共サービス。新しい公共の形ということもそうですし、アウトソーシングにしましても、それぞれの個別の事業をアウトソースするということではなくて、補助金の申請、受付から決定に至るまで。また、さまざまな審査、検査の業務、許認可の業務。こういうことをやっている中で、従来のフォーマットではなくて、横串として、その部分を民間にお任せできるというものがあるのではないかと。そういうことを思い切り、仕事の見直しということで実施をすることによって、人数を減らしながら、県庁の基本的なサービスというものを、変わらないまま、本来やるべきことをやれる体制で進めていきたいというふうに考えております。

◎坂本委員 私は、これまでも、すべてをそれは直営でやるべきであるというふうには言ったつもりはございません。ただ、アウトソーシングした際に、どうやって、そのサービスが確保されているのか、良質のサービスが確保されているのかという検証などはする必要があるというようなことなども言いましたし、後ほども質問する予定のアウトソーシング先の、そこで働く人たちの雇用労働条件を、どうやって最低限確保していくのか、いうことなどが重要になろうかと思います。
 ただ、今知事が言われた中で言いますと、今回の県の前提としているシミュレーションは、削減した人員の3分の1をアウトソーシングで対応しますと。つまり、3分の2は、何ら対応をしないということですので、その意味で、サービスが切り捨てられる部分があるんじゃないですかと。すべてをアウトソーシングで、もし対応するんであれば、それは、サービスは一定、形を変えた形で確保できるでしょうけども、そうではないというふうな提案内容になってますから、それがどうなのかということをお聞きをしたわけでございます。ぜひ、これにつきましても、その年次年次の計画の中での議論があろうかと思いますので、また、その際に議論をさせていただきたいと思います。
 ただ、一言言っておきたいのは、この3,000人という体制が、数字ありきだけで進んでいくのではなくて、本当に県民が満足できるような、そういう県庁のサービス体制を確保していく。そのことは前提にしながら議論を続けていただきたいというふうに思っております。
 続きまして、財政健全化法との関係につきまして、お伺いします。
 秋には明らかになるだろうというふうに言われてました。いわゆる、健全化判断比率の指標の基準値がまだ明らかになっておりません。年末になるんではないかというような議論もありますけれども、この、いわゆる判断比率の実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率、26年の時点において、どのように試算をされているのか、総務部長にお聞きします。

◎中澤総務部長 実質赤字比率と、それから、連結実質赤字比率に関しましては、私どもの財政運営の見通しの中で、26年度には赤字を出さないやり方をするということで考えております。指標からいいますと、赤字がゼロでありましたら指標はゼロになります。それから、実質公債費比率ですが、これは、先般、本会議でも御答弁申し上げましたように、現在16.9でございますが、14.0になる見込みでございます。それから、将来負担比率は、将来の負担を標準財政規模で割るということなんですが、その将来の負担というものは、一体どこまでを加算をするかといったことがまだわかりませんので、そこの見通しはついてございませんが、今までの県債残高に加えて、私どもが整理をいたしております、いわゆる懸案債務、いわゆる隠れ借金といったものも、この中に随分と入ってくるのではないかというふうに考えています。不透明なんですが、先般来お話してますように、この将来の負担は毎年減ってきておりますので、あまり心配はいたしておりません。
 ちなみに、その分子となります将来負担の大部分は、やはり県債になります。県債残高になります。この県債残高を、標準財政規模で割った数字、これは、平成17年度決算で、全国比較ができますが、それで見てみますと、我が県は、よい方から数えて27番目でございます。ですから、そうした状況にありまして、あまり心配をいたしていないというのが、私の思いでございます。
 以上でございます。

◎坂本委員 そしたら、今の段階では、これらの4つの指標、いずれも、言えば、財政再生基準以上になるということはないと。先ほど、ゼロというのも言われてましたけども、ほかの数値も含めて、財政再生基準以上になることはないという自信を持たれておるということでよろしいでしょうか。

◎中澤総務部長 実質公債費比率と、将来負担比率については、最初のスタートが、どの段階で線を引かれるのかがわかりませんから、何とも言えませんけれども、余り心配をする数字ではないというふうに考えております。
 先般来、御説明申し上げておりますように、この四、五年間の財政運営が非常に厳しゅうございますので、この間に赤字を出さない運営をしていくと。それを目指しております。

◎坂本委員 済みません。少し飛ばさせていただきます。
 この財政見通しの項で、最後、知事にお伺いします。
 財政収支見通しのシミュレーションに基づく、26年までの大規模事業の実施の是非や、あるいは、時期などについて、新知事のもとで議論すべきではないかというような質問も、本会議中出されました。しかし、知事は、大規模事業が乗り切れるめどが立ったということとか、あるいは、女子大問題は知事がだれであったとしても、急がなければならない課題であるというふうに言われたわけでございますけれども、果たして、そう言い切れるのだろうかと。先ほど、財政見通しにつきましても、総務部長は、いえば、それほど心配していないというふうに言われたわけですけれども。ただ、それらの前提条件や、これから財源不足を解消していくための方策にしても、ほんとにそれらが順調に進んでいくのかどうかというのは、まだまだわからない部分があるわけですから、それほど私は自信を持っていいのかどうかというふうな疑問を持ってます。
 それと、もう1つは、例えば、新しい知事が、今の橋本知事と同じように、県民の安全安心を求めるという立場にあったとしても、ただ、その際に、優先順位をつけていく大規模事業というのは、また違う面もあるかもしれません。
 というのは、例えば、今これから議論がされようとしております、県警察署の再編に伴う、これらについての事業費も相当多額になるだろうというふうに思います。例えば、高知東署を新しくつくろうというふうな計画がございますが、例えば、その予定される場所。これは、当たっているかどうか私はわかりませんけれども、例えば、予定される場所などについても、一方で売却の予定のリストに入っているというふうなことを考えたりしたときに、例えば、県警察の再編に力を入れたいというふうに思う知事が出てきたとき、どうなのか。あるいは、南海地震への備えの方に優先順位をつけたい。あるいは、ドクターヘリの導入と運営に力を入れたいとか。さまざまな県民の安全安心を求める立場の選択というのがあろうかと思うんですけども、そのことに対して、狭めていくというか、選択の余地を狭めていくことになるのではないかというふうな感じがするわけですけれども、そのことについて、どのようにお考えになるでしょうか。

◎橋本知事 現在、予定として掲げております大規模事業は、県立女子大の改革はもとよりでございますが、新直轄による道路整備ですとか、エコサイクルセンターの整備ですとか、県民文化ホールの改修、また、今お話のございました警察で言えば、中村警察署の整備というように、すべて、現在の県民ニーズから考えて、急がれる必要な事業ばかりだというふうに思います。

 また、そのすべての事業を予定どおり進めたとしても、財政の収支の均衡は図れるということを判断をしておりますので、その中から、何かを取り除かなければいけないという事態ではございません。

 もちろん、一般論として、新しい知事さんが就任をされた後、いろんな事情の変更ということが起きたとき、それに柔軟に対応していくということはもちろんでございます。また、そこで、さまざまな、新しく取り組むべき課題が出てきたとき、これは、大規模の事業の中だけではなくて、県全体として、そのやりくりということを考えていかなければいけませんけれども、今お話があったような、今後、もし、こういうものが出たらというものは、先ほど申し上げました熟度ということから考えて、やはり、それを検討していくには相当の時間がかかると思います。そのことを考えたとき、今必要な事業を、財政が何か不安だと言って見送っていくという考え方は、やや言い過ぎかもしれませんけれども、あつものに懲りてなますを吹くというようなことで、県民サービスをおくらすことになりかねないというふうに私は思います。やはり、熟度としてきちんと高まって、計画に上げたもの、しかも、必要と判断されるものを順調に進めていき、その中で、また、新しい知事さんは、次の課題に向けて調整を進めていかれるということになろうと思います。

◎坂本委員 続きまして、女子大の池移転統合整備について、お尋ねいたします。
 今回、6月定例会と打って変わって、財政収支見通しに光明が差し、女子大池移転統合整備の財政的環境は整ったということで再提案をされているわけです。しかし、私は、先ほどから申しておりますように、財政状況が厳しいことには変わりはないというふうに思っています。
 21年4月の一体的移転統合の必要性の理解度につきましては、知事は先ほどから熟度ということは言われておりますけれども、じゃあ、県民の皆さんの理解の熟度はどうなのかと言うと、私は少し首をかしげなければならない部分もあるんじゃないかというふうに思ってます。
 私が8月に実施いたしました、県民の皆さんに対する県政アンケートはがきによる調査では、454通の県民の皆さんから返却がございました。中には、このように、びっしりと記載欄に御意見を書いてくださってる御返事もありました。
 そんな中で、一番多い意見は、高知大学、県立大学、工科大学をトータルでとらえて、県内大学教育のあり方についての県民合意を図るべきという回答が43%でございました。これは、この間の本会議でも、議論においても、お互いが認識している課題に、県民の皆さんも、そこは一致しているんじゃないかなというふうに思います。
 続いて、看護学部、社会福祉学部以外は、永国寺キャンパスに残し、耐震改修拡充整備で対応すべきというのが39%で、二番目に多かったです。続きまして、看護学部のみの池地区拡充にとどめるべきというのが32%となっています。
 しかし、その後、大学関係者や卒業生の方も含めて、私製はがきで、私たちの意見も聞いてほしいということで、私が届けたはがき以外に、私製のはがきがたくさん届けられました。その中に、執行部計画の、既存学部もすべて池に移転統合すべきというところに集中していることに、県民の皆さんの理解の度合いと、大学関係者の皆さんの思いと、ここに差が現れているんではないかなあというふうに思っています。ちなみに、社会科学系学部の新設に至っては、4%足らずであったということも、申し添えておきたいと思いますが。
 そういう中で、財政状況が厳しく、中心市街地の活性化のためには、永国寺キャンパスの存続は欠かせない。学生の立場も考えてほしいという思いが強い中で、使えるもの、使える施設は、直してでも使いましょうというのが、県民の思いではないかなあというふうに思っています。いずれにしても、この乖離を埋めるための説明責任は、まだ十分ではないのではないかというふうに思っているところです。
 そんな中で、少し具体になりますけども、これから議論をしていく上で、私自身も理解を深めておきたいのでお聞きいたします。
 1つには、今回の補正予算の予算面から言って、もっと慎重に検討される部分があってもよかったのではないだろうか。例えば、永国寺との分離キャンパスを解消して、池へ統合するわけですけれども、その際に、永国寺と池との距離の問題を問題視するんであれば、池の中におけるC棟とB棟の距離の問題などは、極めて比較にならないんではないかと。ですから、かつて、C棟は、グランド調整池の南側にというふうな話があったわけですけれども、今回の設計の中では、今回といいますか、6月以降もそうですけれども。C棟をB棟に近づけるために、わざわざグランドや調整池を再度整備し直すと。こういうようなことをしなくてもよかったというふうに私は思うわけです。そのことについて、どういうふうにお考えかということと、知事は池に統合することで、将来的に大学の経営を安定させることになるというふうに答弁をされました。これは、どういう根拠に基づいて答弁されたのか、あわせてお聞きします。
◎橋本知事 C棟、B棟の設計にかかわる具体的なことは、部長から御答弁をさしていただきます。
 大学の経営にかかわることでございますけれども、これまで申し上げておりますように、この3学部の統合再編ということは、本県の保健・医療・福祉を担う人材、しかも、質の高い人材を育てていくということに大きな意味があります。そのことは、これまでも、さまざま御説明をいたしましたけれども、チーム医療を担える人材の育成などなどのことがございます。
 この大学の将来ということを考えましたときに、やはり少子化も進む中で、大学としての強みを生かして、その特徴を全国にアピールをしていくという必要がございます。その際に、看護学部はもちろんでございますが、これからの時代のチーム医療を支えていくという意味で、介護の予防から終末期までを担うような福祉の関係者、また、日常の健康管理、健康づくりを担う管理栄養士の方々。そういう方々を、3学部の連携によって育成をしていける大学だということは、高知女子大学として、大きな魅力として打ち出していけることだと思いますし、そのことを、あえて、例えば、看護学部だけと、切り離すというふうなことで、何年かおくらしていくということの意味がないと思いますし、私は1日も早く、そうした形で、魅力のある大学ということを全国にアピールをしていくことが、将来にわたる大学経営の安定にもつながっていく、資するものだというふうに考えます。

◎十河政策企画部長 建物の配置についてのお尋ねにお答えをしたいと思いますが。今回、池キャンパスへの再編統合に際しまして、プロポーザルで設計業者を決めるという方法を採りました。その際、プロポーザルで提案されて最適と決定された、その提案内容は、現在の敷地の条件、それを生かして、魅力ある大学をどうつくるかということで提案があったわけでありますが。現在の池キャンパスでは、北側部分に現在の看護学部と社会福祉学部の建物が集中してあると、その南側に、グランド、調整池等があるということでありますけれども。3学部を合わせて池キャンパスに統合する。その際の、ぞれぞれの学部の教育のありよう、実験・実習のありよう。そして、3学部が連携して、チーム医療等に当たるための共通の教育を行う場所のあり方が、そして、将来の計画を見据えた施設配置、そういったものを総合的に勘案して、それで、学生や教師の動線等も考慮した上で最適だと判断されて、現在の実施計画に至っているということでございます。

◎坂本委員 池の中で考えれば、そういうことなんですけれども、永国寺と池との距離感からいくと、それだけのことは、お互い我慢のできることではないかなというふうに、私思いましたんでお聞きしたわけです。
 もう、時間がありませんので省いていきます。
 先ほど、佐竹委員が、看護師の確保の問題で質問をされました。助産師につきましても、今年4名枠が設置されておりますけども、これは、助産師枠は4名設置されたというだけで、3年生になって選択するわけですから、今段階ではどれだけの選択する学生がいるか、わからないわけです。選択した学生が、国家試験にどれだけ合格するかもわからない。ましてや、高知にどれだけ就職するかも、全く不明というふうな状況の中で、執行部の皆さんは、女子大学の看護学部の拡充の問題をしきりと強調されているわけです。
 この間も、いろんな団体から陳情や要望が出されています。その中で、看護協会の要望書には、高知県の看護職需給に最大貢献していた、総合看護専門学校の養成停止は、病院施設の看護職の確保がより困難な状況を生み出しましたというふうに、この要望書の中に述べております。この総看廃止をしたこと自体に誤りがあったというふうには思わないのかどうか、副知事にお伺いします。

◎中西副知事 今、先ほどから、知事からもお話をいたしましたように、医療の専門化、高度化というのが、今進んでおります。そういう中で、全国的にも、専門学校の3年制から4年制の大学という動きがありまして、県といたしましても、総合学校、専門学校の3年制から4年制の大学としての看護教育の充実を図っていくということでございます。

◎坂本委員 納得のいく答弁ではありませんが、時間がありませんので、次にお伺いします。
 政策企画部長の去就の判断と女子大関連議案の取り扱いがセットで議論されているような面が議会の内外にあるように、私は見受けられます。それが、26日の部長答弁のように、考えるゆとりがないとか、一歩前に踏み出す気概を持ち得てないという言い方だと、議会も終わり、この議案が可決されれば、という含みを持たすことになってしまうのではないかというふうなことも言われています。部長自身も、そのように受けとめられることは極めて不本意ではないかというふうに思います。
 そこで、はっきりしていただきたいというふうに思うんですが、議案の成否にかかわらず、議会終了後も固辞する姿勢に変わりはあるのか、ないのか、お伺いします。

◎十河政策企画部長 県立大学改革、中でも、現在提案をいたしております、既存学部の再編統合というものは、県内の県民の、保健・医療・福祉を支える人材の育成という面で、極めて重要な課題であります。そのことと、私ごととを一緒にして議論をされるということは、非常に私にとっては、ちょっと耐えられないということでありまして。そのこととは切り離して、県議会で十分な御議論をいただき、御理解をいただきたいというふうに思っています。私の出馬に関する考え方というものは、先般、樋口委員にお答えしたとおりでございます。

◎坂本委員 樋口委員にお答えした答弁を受けとめても、やはり県民の皆さんは、そのようなことが解消できないというふうなことですので、合わせて申し添えておきます。

 時間がありませんので、官製ワーキングプアーを創出しないために、知事にとりくんでもらいたいことなど、さまざまお伺いしたいことがありましたが、これで終わらさせていただきます。
 どうもありがとうございました。