予算委員会一問一答(3月7日)


◎東川委員長 坂本委員、あなたの持ち時間は、60分です。よろしくお願いいたします。

◎坂本委員 質問をさせていただきます。
 まず、最初に、知事が今議会の中で、提案説明の中でも強調されましたし、さらには、代表質問の中でも何度か述べられました。これからの県庁というのは、予算だけに頼って仕事をするのではなく、人の力やチームワークで仕事をしていかなければなりませんというふうに言われているわけですが、全国的にも、ゼロ予算事業というものが、広がっている中で、さらには、今の財政状況を考えたときに、私もそのことに対して、異を唱えるものではありません。当然その意味では、あるいは、人件費が事業費になるというふうなこともあり得るだろうというふうに思います。
 ただ、そういう場合に、人の力やチームワークを生かせるそういう組織でなければならないというふうに思っているわけです。今、そういうふうな組織体制が、果たして維持できているのだろうかどうだろうかということに、少し疑問を感じています。
 そんな中で、今から大きく2点ほどお尋ねしますので、そういったところにも心を砕いていただいて、ぜひ、人やチームワークで仕事ができる、そういう組織にしていただきたいというふうに思うわけです。
 まず、最初に、管理職の場合には、この4月からスタートする、いわゆる人事考課による査定昇給が始まります。一般職員の場合は18年度試行、そして、19年度に本格実施ということで、来年4月から人事考課を昇給に反映させるというふうになってくるわけですけれども、これにつきましては、本会議の中でも教育委員会における、この査定昇給制度の問題をとらえて、牧議員の方から指摘がされました。
 その意味で、この査定昇給制度が決して私にとっては、人を育てるというか、チームワークで仕事をする組織のそういう効果を生み出すような制度にはならないのではないかというふうな受けとめをしています。査定昇給制度導入によって、県庁組織のチームワークというのは今まで以上に発揮されると、そのように考えられておるのかどうか、総務部長にお尋ねします。

◎中澤総務部長 お答えいたします。職員の昇給制度と、組織のチームワークの問題は、私は別の問題だというふうに思っております。査定昇給制度は、仕事をまじめに一生懸命する方、そして成果を上げた方が評価をされまして、それに基づいて、それが昇給にも反映される仕組みであります。職員の勤務意欲の向上にもつながりますように、前向きにとらまえていくべきことだというふうに考えております。

◎坂本委員 別のものというふうに、今言われましたけれども、果たしてそれはそういうふうに言うことができるのだろうかと思います。昨年の9月の議会のときにも私、述べましたけれども、社会経済生産性本部メンタルヘルス研究所が行った高知県庁の職員に対する健康調査組織分析報告、これにつきまして、高知県というのは自己顕示が低く、劣等感がこれだけ強くあらわれる自治体は見たことがないというふうに評価されるほど、勤労意欲の面で消極的傾向があらわれる、そういう組織になってます。
 それは、減点評価によるものではないかというふうに研究員の方が説明をされたというふうにお聞きしておりますけれども、いわゆる査定昇給につきましても、その前段の人事考課の場合には、いわゆる絶対評価ということで、言えば、一定、その人を育てるというふうなことに役立たせるんだというふうに言われますけれども、実際、それが昇給に反映してくるとなると、その場合には結果として相対評価になっていく。その相対評価になる場合には、減点主義が持ち込まれるわけで、その意味では減点、今までもいわゆる減点主義を要因として、このような組織になっている。その組織がさらに減点主義を強めていくことになれば、私は組織として本当に力を発揮する、そういう組織になるのかなというふうに思いますが、そのことについて、いかがお考えですか。

◎中澤総務部長 従来のように、仕事をしてもしなくても、同じように給料が上がっていく。あるいは、同じ時期に特別昇給があるといった制度の中で、チームワークをつくってやっていった方が、今回考えておるものよりも、職員のチームワークが保てるという考え方には立つことができません。
 私どもは県民の付託を受けて、県民のために仕事をしているわけですので、多くの県民の方も、その職員の努力に応じた昇給なりがあるということを、支持をしてくれるものというふうに思っております。

◎坂本委員 仕事をしてもしなくても同じ給料というふうに言われましたが、これまでもそういうことを理由にして、職務職能給を強化することで、ポストにつかなければ昇給しないというふうなことも、制度としてやってきているわけですね。それでも、仕事をしない。そういう職員が今いるというふうに、総務部長は言ってるわけですか。

◎中澤総務部長 人にはそれぞれ能力にも差もありますし、意欲にも差があります。仕事はできる方も、一般的に比較をいたしまして、仕事ができる方もいらっしゃいますし、それよりも劣る方もいらっしゃるというのは、組織の常でございます。

◎坂本委員 組織として、もう1つ、その報告の中で言われているのは、帰属意識が極めて低いということが結果として出ています。それは、さらにポスト別に見ていくと、幹部職員ばかりが帰属意識の高い組織になっているというふうに言えるだろうと思うんですね。まさにそれは、上厚下薄の制度によって、そういうふうな帰属意識がつくり出されているんではないだろうかというふうに思います。
 その意味では、知事がミッションとパッションというふうに言われますけれども、今の組織はポスト職員だけがパッションを感じるような、そういう組織になっていて、県庁全体がパッションを持って仕事に臨むというふうな組織になっていないんではないかと。ぜひ、それを、知事が言われるように、パッションを持ってやってもらいたいと言うんであれば、県庁全体の組織にそういうふうになっていくようにならなければならないと思うんです。
 課長以上の幹部職員の中でも、上司との関係が、マイナスポイントがどれだけあるかということを見たときに、部長が一番低いんですね。というのは、部長が上司との関係において、マイナスポイントが多いというのは、部長の上司というのは副知事と知事ですから、副知事と知事との間において、部長の上司との関係というのは悪いと、そういう組織になっているというふうに、この結果から見てよろしいでしょうか。

◎中澤総務部長 それがその悪いというふうな形で表現するのはいかがなものかと思います。それぞれ、知事、副知事は当然にして、部局長に対しては、厳しい要求をしてまいります。それは当然のことでございます。そうした中で、所属長と知事、副知事との関係が保たれ、県民のために頑張っていこうという気力をわき起こしておるというふうに考えております。

◎坂本委員 そしたら、査定昇給制度の中身について、ちょっとお伺いしますが、これまでの経過の中で、考課内容が本人にさえ開示されるような制度になってないというふうにお聞きしているんですが、これについては、開示の問題についてはどのような考え方でそういう対応をされるようになってるんでしょうか。

◎中澤総務部長 これはいろいろと議論のあるところでございますけれども、考課表そのものを本人に開示するということは、勤務評定制度の形骸化、あるいは空洞化の恐れがあるとして、非開示を支持した裁判例もございます。したがいまして、私どもも開示そのものを否定しておるわけではございませんが、制度を円滑に運用していくために、一定、こうした制度が導入されまして、評価される職員の方も、こうした制度に慣れていくことが、一定期間必要だというふうに考えてございます。したがいまして、導入するときには、考課表そのものは非開示として、導入をいたしまして、その後、開示については検討していきたいと考えております。

◎坂本委員 結局、その職員を考課し、その職員にとって、どこをどう改めていかなければならないか。あるいは、この職員のどこをどういうふうに直していったら、この職員は、この組織の中で有効な力を出してくれるかとか、そういうことを願いながら評価して、そのことが、もし職員に伝わらなかったら、いつまでたってもその部分いうのは改まらないらないわけですよね。それをフィードバックをするとかいうふうなことも、これまで言ってきてますが、実際、じゃあ、フィードバックがどれだけされているかというと、それは決して全部の所属でそういったことがされてるわけでもない。しかも、そのフィードバックの内容というのは、そういう細部にわたってまでの内容がフィードバックされるわけではないですから。その意味では、人を育てるということにおいて、評価内容を開示しない中で、どうやって人を育てていくのかということについて疑問を感じますけれども、その点についてはどう思いますか。

◎中澤総務部長 人を育てていくというのは、何もこの評価制度だけで育てているわけではございません。最も一番大きなものは、オン・ザ・ジョブ・トレーニングでございます。日ごろの仕事の中で、部下なり、後輩職員を指導していくことが一番の指導でございます。したがいまして、今までの人事考課の際にも、普段から所属長なり、上司や部下に対して、いろいろと指導はしておると思いますし、その中で職員も一定、上司が自分をどう見ておるかというのはわかっておると思います。合わせまして、今言いましたような考課の際のフィードバックというものもしております。このことだけで、人を育てていこうというものではございません。

◎坂本委員 今言われておりますことが、決して十分に機能しているかどうかというと、そうではないだろうというふうに思います。後でちょっとまたお伺いしますが。
 もう1つは、査定昇給制度が入った際に、その昇給決定に関する、いわゆる苦情処理のあり方、これはどういうふうになってますか。

◎中澤総務部長 新しく人事企画課、来年度は人事課という名前になりますけれども、人事課の中にそうした苦情を受け付ける委員会を新しく設けたいというふうに考えております。ここで、職員からの苦情の受け付けを行いまして、考課者ですとか、あるいは直属の上司なりにもお話をお伺いし、その結果は本人に通知をしたいと考えてございます。これが新しくつくろうとするものでございます。
 従来から技能職の方と、企業職員の方は除きますけれども、一般職員の場合には、人事委員会の中に制度として苦情を受け付ける窓口が、制度がございますし、あるいは措置請求をする制度もございます。

◎坂本委員 この苦情処理のあり方につきましても、いわゆる評価をした側ばかりで構成するような委員会で、本当に公平公正、あるいは客観性を持ったそういう苦情の処理ができるのかどうかということについても、大変な疑問を感じます。
 そこで、一方の教育委員会では、ここでは人事考課表という言い方をしないと思いますけど、勤務成績表というふうな言い方をすると思うんですが、この勤務成績表については本人に開示をするということ。あるいは、苦情処理のあり方についても苦情審査会、または第三者の同席も認めるというようになってる、この教育委員会の制度。同じ県の職員で、知事部局と教育委員会で、こういうふうに、いわゆる査定昇給制度の仕組みが違っているということについて、どういうふうに受けとめられていますか。

◎中澤総務部長 知事部局の職員と公立学校の職員は、職員の身分の取り扱いの基礎となる法律が違ってございます。それから、職務の内容も違っております。あるいは、指揮命令系統も違ってございます。したがいまして、大きな枠組みの中で、その中で、それぞれが工夫、任命権者が工夫をして、中身が、運用が多少違う制度があっても、それは当然だというふうに考えてございます。

◎坂本委員 私はそうは思わないわけですけれども、17年人事委員会勧告の意見で、人事評価制度の整備を進めるために、職員、各任命権者及び職員団体の理解、納得が得られるように関係者間で十分協議を行うことが必要であるというふうに述べられています。しかし、それも無視した形になっているわけで、先日、牧議員が言われたように、教育委員会においても、この制度については見送ったらどうかというふうな御提言もありました。今のこの制度では、上司との関係、あるいは評価の内容、そういったことも含めて疑心暗鬼の組織になるんではないか。本当に、知事が願うような、人やチームワークで仕事をする、そういう組織になり得ないんではないかというふうな心配をします。
 その意味で、教育委員会も含めて知事にお伺いいたしますが、この制度については、少なくても制度の中身がもっと成熟するというか、今の日本において、先日も文藝春秋の1月号なんかでは、ソニーが、成果主義によってソニーはつぶれたというふうな、元役員による投稿がされたりしておりましたけれども、そういったことが克服されるような状況になるまでの間だけでも、せめてその間だけでも見送るということはできないもんだろうか。お伺いします。

◎橋本知事 私の考え方は違いますとは言わないようにというお話でございましたので、そういう表現は避けますけれども。この制度は、人事委員会の勧告をいただいて、条例の改正という手続きも経て、進めております。先ほど、総務部長からも話をしましたが、仕事をしてもしなくてもという表現がいいかどうかは別にいたしまして、能力を発揮した、頑張った職員を評価をしていくことで、私はチームワークというのはいい形でつくっていけるのではないかと思うんです。
 そうではない形というのは、それはチームワークではなくて、甘え合いの中の仲良しクラブではないかなと。そういうことではなくて、それぞれの頑張った職員を評価をし、そのことで切磋琢磨していこうという、モチベーションを起こしていくことが、私はチームワークにとって必要なことではないかと思います。
 それから、成果主義の問題も言われました。これは、その目標を設定しておいて、成果だけではかるという成果主義と、この査定の評価とは違っております。やはり、それぞれの能力だとか、発揮度というものを総合的に見て、人材を育てようという視点に立っておりますし、また、いわゆる減点主義ではなくて、つまり、誰かを下げて誰かを上げるということを基本の原則としているわけではなくて、頑張った職員を引き上げていこうという趣旨でつくっている制度でございます。
 その中で、自分だけ、それでは頑張ればいいのかと言えば、そうではなくて、これまで知事部局の職員に対しては、部下の育成ですとか指導だとかということを期待される人材像という形でも示しておりますので、そうしたことも十分はかりながら、この評価というものをしていきたいと思います。
 今、お話があったように、職員の間に疑心暗鬼が起きて、これがマイナスの効果になってはいけませんので、この制度の趣旨というものを十分職員にも周知徹底をし、そして、進めながら問題点があれば改善をしていきたいと思います。

◎坂本委員 頑張った方が報われるというふうに言いますけれども、先ほども言いましたように、最終的にはこれは相対評価になって、全員が一番昇給区分の上に行くわけではないですから、その意味では幾ら頑張ってもその昇給区分によって差が出てくると。財源が野放図にあるわけでないですから。そういう意味で、必ずしも頑張った職員がすべて正しく評価されるものではない。そういう制度の矛盾を抱えているだろうというふうに思います。
 時間がありませんので、次に移りますけれども。もう1つは、この4月からいわゆる技能職全廃ということを受けて、行政職に転職される方々がおいでます。随分と苦悩された結果だろうというふうに思いますけれども、技能職の全廃に向けて、知事部局において77名の方が転職するということになっておりますけれども、その人たちの平均年齢と、平均勤務年数はどのようになっているのか、総務部長にお伺いします。

◎中澤総務部長 転職試験に合格された方は37歳から57歳までで、平均して約48歳でございます。平均した勤続年数は約19年でございます。

◎坂本委員 平均して約20年近く、行政のいわゆる、中でも直接住民と対応するような技能職場で、あるいは、事務からは離れた形での仕事を続けてこられた。そういう方たちが、初めてつく行政職の職場に対して、不安と困惑というものを抱いているだろうというふうに思うんです。
 これは昨年の9月定例会のときにも要請をさせていただきましたけれども、そういった方々をどういうふうに受け入れていくかということも、これもチームワークで仕事をしていく、その1つの大きな要素になるだろうというふうに思いますけれども、どのような受け入れ態勢と環境が職場に構えられるのか。また、希望職種、職場、地域性、そういったものはどのように尊重されていくのか、お聞きします。

◎中澤総務部長 技能職から行政職へ転職した職員の方は、原則1年間、実務研修期間として位置づけをしまして、配置を行います。転職した職員の事務処理能力を向上させるために、所属におきますオン・ザ・ジョブ・トレーニングによる実務研修のほか、職員能力開発センターでの集合研修も実施をいたします。
 そのほか、パソコンの操作研修も、このオン・ザ・ジョブ・トレーニングのほかに、人事課で主催をして実施することにいたしております。そのほか、所属では課長補佐、次長などが研修推進員としまして、転職された方が新しい仕事や職場になじむことができるように、サポートをするようにいたしております。
 それから、そのほかにも転職した職員の相談窓口といたしまして、所属の管理職等による面談などの機会を活用いたしますとともに、いわゆる人事当局でも関係課と連携をしながら、職員からの相談に対応したいというふうに考えております。転職をされます職員の人事異動の希望は、家庭の事情とか、生活の本拠地など、こういったことを尊重することは基本でございます。できるだけ、これを尊重いたしますが、人事異動という性格上、一定の限界があることも御承知おきいただきたいというふうに思います。

◎坂本委員 この項の最後にお尋ねいたしますけれども、今言われたような体制をとられるということですが、やはり、そうは言いましても職場の中での一番の大きな、私はポイントは人間関係になってくると思うんです。そこの職場にいる職員が、やはり、どう受け入れてくれるかということになってくるだろうというふうに思います。それがなしには、安心して働ける環境が整わないんではないかというふうに思いますので、そういう意味では、今言われたようなことなど含めて、今整備をしようとしている受け入れ体制とか、あるいは来年以降も転職者を受け入れていくことになるわけです。それと、1年間のそういう実務研修期間などを含めて、そういうやり方そのものが、言えば、問題ないのかどうか、その辺についてどうお考えを持っておるか、お伺いします。

◎中澤総務部長 転職される方の受け入れ体制の問題でございますが、これは私も坂本委員と考え方が違うところはございません。十分に配慮をしていかなければならないと思います。
 技能職、いわゆる人事当局だけでなくて、受け入れする県庁全体として、そういう体制をとっていく必要がございますので、技能職の見直し方針というものを策定をいたしまして、全部局に配布をして、全庁上げて取り組むようにしたいと思います。
 環境整備には十分配慮をしていきたいと思いまして、私ども、今現段階でかなりのことを考えておるつもりでございますが、実際に転職された後、いろいろなお話もお伺いしながら、その後とれる対応策があるとすれば、それは真摯に対応していきたいというふうに考えております。

◎坂本委員 それでは、2つ目の項目に入りますが、アウトソーシングの問題点であります。機会あるごとにアウトソーシングの問題点を取り上げるんで、いよいよしつこいにゃあというふうにお感じかもしれませんけれども、アウトソーシングにおけるいろんな問題点が、やっぱり、都度都度に起こっているということを指摘せざるを得ませんので、ここでも何点かお伺いいたします。
 まず、今回のアウトソーシング関連事業において、部局で検討されていた当初案から実際的には除外されたり、あるいは見直しがされたりとか、そういった事業が幾つかあるだろうというふうに思います。
 これには、いわゆる法的な問題があって、クリアできないために見直さざるを得ないというふうなことであったんではないかというふうに思われますが、どういうことから当初案から除外されたり、見直されたりしたのか、お聞きします。

◎中澤総務部長 予算化されなかった理由の多くは、小規模な業務の見直しで、余り効果が薄いというもの。それから、受け皿の育成上の課題によるものがございます。それから、御指摘がございましたように、職業安定法などに抵触しないように、業務分担を精査するために予算化を先送りしたものもございます。
 これは当初に計画をつくりまして、実際に外にアウトソーシングしようとするときには、もう一度精査をして、費用対効果など、再検討することは当然でございます。その過程でそうしたことが判明したことから、延期をいたしたものでございます。
 なお、そこは調整をしながら、クリアできる形で、再度アウトソーシングできるように努めていきたいというふうに考えてございます。

◎坂本委員 今、大きく言われた3つほどの要素があったということなんですが、とりわけ、私が言いました法的な問題というのは、いわゆる労働者派遣法の違反の疑いがあるということでありまして、とりわけ、栽培関係の試験研究機関などにおける請負業務が、いわゆる偽装請負になる可能性があるということで判断がされたというふうにお聞きしているわけです。
 これは、現場の研究員の皆さんからしても、その業務を請負の方に来てもらって、指示もなしにやるということはとても無理なことだと。だから、こういったことを無理にアウトソーシングするというようなことはやめてほしいという声が上がっているわけです。
 その意味では、今回見直してクリアできればということで、人材派遣業で対応している業務もあったりしますけれども、いわゆる試験研究機関などの研究業務を補助する、いわゆる技能職の皆さんが行っている業務などについては、これは、そこで培ってきた専門性も生かさなくては、本当に県としてもったいないと思うんですね。
 そういう意味で、こういう分野については、無理やり、とにかくクリアできればいいということじゃなくて、どちらの方が本当にその試験研究機関にとってもいいのかということを考えて、こういった分野のアウトソーシングについては、もう見直していただいた方がいいんじゃないかと思いますが、どうお考えでしょうか。

◎中澤総務部長 確かに委員が御指摘のように、特別の能力を持たれた方がいらっしゃることも、それは事実だと思います。しかしながら、今、大きな転換点にございます。私ども、仕事の仕方を見直しておるところでございます。
 そうした中で、今、委員の言われましたようなことも考え、また、全体としてのことも考え、そうした中で判断をしていきたいというふうに思っております。したがいまして、今、委員の御指摘のようなことがあるから、もうアウトソーシングしないという考え方には立ってございません。外に出せるものは出していく。その中で、品質をできるだけ確保していく。そうした総合的な判断で、法的な判断に基づいて実行していきたいというふうに考えてございます。

◎坂本委員 次に、平成18年度の行政監査結果報告、庁舎管理にかかる委託契約についての報告書を見てみますと、例えば清掃委託で抽出調査をした54件の積算方法を分析してみると、清掃員の労務費の時間単価で、最低は1時間当たり770円、最高は1,500円と2倍近い格差があったというふうに指摘がされてます。これは、格差が大きいということに対して、もっと統一的な積算方法を検討したらどうかという指摘だろうというふうに思うんですけれども、私がこの数字を見て、少し奇異に感じたのは、じゃあ、実際、委託先で清掃業務に従事している人の時間単価が、この額と比べてどうなんだろうということを見たときに、例えば、ある業者では700円、また、ある業者では650円しか、実際は払われてないわけですね。
 そういうふうに見たときに、今回もアウトソーシング予算の中で、出先機関によっては、予算ベースで5割から6割カットするというような清掃業務の委託料があります。そういうところについては、こういったことがもっと下げられていくんではないかというふうにも心配したりしているんですけれども、いわゆる委託費の積算根拠の人件費単価を大きく下回る請負労働者の賃金単価を放置するということは、やっぱり、いかんのじゃないか。
 この間からも議論がされてますが、県が委託先の労働者に対して、いわゆるワーキングプアをつくり出すようなことについては、容認することにはならないというふうに思います。それを、これまでの間、民民のことであるというふうに言われてきましたけれども、決してそういう形で看過するんではなく、このことについてきちんと是正をしていくというふうな考えに立たれないかどうか、総務部長にお伺いします。

◎中澤総務部長 監査の報告は、まず真摯に受けとめまして、統一的な指導が必要だというふうに感じました。それから、先ほどの労働単価を大きく下回る、ワーキングプアを生み出すのではないかというお話でございますが、これはもう何度も議会で御答弁申し上げておりますように、受託者側の個々の労働条件というのは、基本的にはそれぞれの労使の間で決定をされるべきことだと思っております。
 ただ、そうした中でも、私ども、前からも申し上げてございますが、関係法令を遵守するように。それから、特に人件費の占める割合が高いものについては、労働関係法令を遵守するようにといったことを契約書に明記をいたすようにしております。
 それから、もう1つは、入札のときの最低制限価格を定める際に、従来の契約規則では60%でございます。ただし、その人件費の比率が非常に高いものについては、そこのところを参酌して、最低制限価格を上げることができるような改正は、既に1年前からいたしております。一定の配慮はしておるつもりでございます。
 それから、委員のおっしゃいます、さまざまな労働者の賃金の問題でございますけれども、やはり、基本的には我が国の労働問題全体が改善されていく中で、そうしたものが解決されていくべきものだというふうに考えてございます。

◎坂本委員 今のお答えを聞くと、次の知事に対する質問の答えがもうわかったような気がして、あれながですけども。知事に最後に、この項でお伺いしますが、知事は先日の牧議員の質問に答えて、直ちに条例までをつくってという、そういう表現をされましたが、それの受けとめが違ってたらあれですけども、私はこういった問題、やっぱり検討を始めても多少の時間はかかると思うんですね。そういう意味では、自治体公契、いわゆる公正労働基準などを定めた自治体公契約条例については、検討は始めていくというようなことに着手してもいいんではないかと。ただ、その過程の中でいろんな課題などもあろうと思いますので、そういったものも整理をされたらいいと思いますけれども、この検討について着手するということについても、やっぱり、今の段階では直ちにということになるんでしょうか。お聞きします。

◎橋本知事 公契約条例の検討をそろそろ始めてはどうかという御質問でございますが、今の時点で検討に着手するというつもりはございません。従来から申し上げておりますけれども、契約の中には法令の遵守ということをもちろんうたっておりますし、労務の主体となります、委託契約におきましては仕様書契約書の中に、労働関係法令の責任を守っていくということを、使用者、雇用者に義務づけていく。そういう条項を盛り込んでいくことにしております。
 合わせて、公共調達において、総合評価方式というものを取り入れるべく、今、研究を進めておりますので、今、お話にございましたけれども、そういうことを積み重ねて問題点を改善をしていく、検証をしていくということをまずやっていきたいと思っています。

◎坂本委員 次に指定管理者制度について、お伺いいたします。この1年間、本格的に実施されてきた施設が多いわけですけれども、2年目に入る段階で問題を引き起こしている、そういうふうな事例に行き当たりましたので、それについて、一例としてお伺いいたします。
 それは、春野運動公園の指定管理者制度の問題です。春野運動公園の指定管理者が、業務委託先に対して、極めて法外な契約額の引き下げを求めて、2年目の契約協議が難航しているというふうにお聞きをしておりますが、土木部長はそのことを御承知でしょうか。

◎宮崎土木部長 今年度、野球場とか陸上競技場などのグラウンドや芝を管理している委託先と、来年度の契約について金額面で話が折り合わないので、来年度は契約しない方向で検討をしていると指定管理者から聞いております。

◎坂本委員 ところが、これ、県の予算で見る限りは、大まか3年契約になっているわけですから、当然予算額についても、総額の中で9,000円の減額、1億8,299万5,000円で、ほぼ昨年並みの予算が計上されているわけですね。それが、なぜ、その再委託先に話を持っていくときには半額近くに引き下げられなければならないか。そして、それが、原因によって、先ほど言われたような契約が難航しているというふうな事態にならなければならないのか。それが、そういうふうに至った理由ですね。そういったことを、土木部としてはどのように把握してますか。

◎宮崎土木部長 指定管理者の本年度の収支が、当初計画よりも悪くて、管理の経費を縮減するため、現在の委託先が提示した来年度の見積金額より安く、かつ、より高い技術レベルで管理できる会社を検討しているというふうに聞いております。

◎坂本委員 そしたら、今委託をしている、その芝生管理の事業者より安い委託費で、なおかつ、今言われた、より高い芝生管理ができる業者というのは、土木部としてはそういった事業者があることを把握されてますか。

◎宮崎土木部長 実は現在の業者にかえて、新たな業者を選定しようとしている指定管理者の動向というのを、私どもは非常に心配をしております。と申しますのは、県は指定管理者と3年の基本協定を結んでおります。
 この中では、野球場や陸上競技場、及び球技場のグラウンドと芝の管理について、プロ野球の一軍キャンプやサッカーのJ1リーグの試合やキャンプに対応できる管理水準を条件にしております。
 現在、管理しています業者は、こういうプロの関係者からも高い評価を受けております。指定管理者から、来年度の具体的な管理計画はまだ示されておりませんけれども、この基本協定や仕様書の内容に沿った管理ができるかどうか。これは慎重にチェックしていきたいと考えております。

◎坂本委員 今、部長が言われたように、先日も西武オリックス戦が、オープン戦が開かれて、大変そういった球団からも高い評価を受けたというふうなお話も聞いたんですけれども、その意味でも、今、土木部が心配しているようなことが、現実のものになったときに、いわゆる平成15年のときの芝問題の再燃になりかねない。
 そうなったら、これからまさに観光立県としてやっていこうとしている、いろんなスポーツの誘致とか、そういったことに大きな影響が出てくると思うんですね。その意味では、ぜひ、今起きているようなことが杞憂に終わるように、県として間に入ってきちんとした対応をしていくというような、そういう思いはあるんでしょうか。それとも、指定管理者に任せっきりでいくんでしょうか。

◎宮崎土木部長 先ほど言われましたように、単にスポーツ関係だけでなく、観光的な要素も非常に強い施設ですから、この芝生等が十分に管理できるように、慎重にチェックをしてきたいと考えてます。

◎坂本委員 慎重にチェックというふうに言われるのは、それは、じゃあ、新しい事業者にかわった後にチェックをするということなのか、そういうふうにならないように、これから指定管理者と話し合うていこうというつもりなのか、そこな辺をもう一遍、きちんと答えて。

◎宮崎土木部長 事業計画の中で、どういう業者に任すのかということを、今明記をされておりますけれども、その業者をかえる必然性、あるいはかえた後の十分な管理ができるのか。このあたりは、業者の実力を見極める。そういう実力があるかないかということで、ないとしたならば、やっぱり継続ということも考えていく必要があるんではないかというふうに考えております。

◎坂本委員 時間がありませんので、企画建設委員会の方で納得いくようにさせてもらいたいと思います。ぜひ、そういう意味では、先ほど指摘しましたような、そういうことに至らないように、土木部として責任を持った対応を御願いしておきたいと思いますが。
 最後に、この項で、やっぱりこういうことが起きるということの中に、ひょっとして、この指定管理者制度の問題点があるんではないかと。先ほど、部長が言われました、結局、初年度の事業が経営面と言いますか、指定管理者側の当初計画より収支が赤を多く生み出すようなことになっていたというふうなことなんですが、実際は、これはそういうことにならないような形で委託費が組まれていると思うんですね。
 しかも、初年度は、今年、18年度全体で見たときには、当初予定してなかったアイスショーだとか、いろんな、言えば、事業収入も当初よりふえているというようなことの中で、なぜ、こんなふうな事態になってしまっているのか。そこらあたりが明確にできるような、そういう、やっぱり、経営状況などを明らかにできるような透明性を担保する。そういうシステムというのは、この指定管理者制度の中で必要ではないかというように思うんですけれども、部長のお考えをお伺いします。

◎中澤総務部長 まず、いろいろと問題が起きている事例を御紹介いただきましたけれども、これは指定管理者制度の問題ではなくて、むしろ運用の問題だというふうに考えてございます。ただ、高知県の場合は、民の力が弱いわけですので、そこらあたりは十分に配慮をして、実際の運用には努めていかなければならないと思います。
 それから、いろいろオープンにと、経営状況も含めてオープンにというお話がございましたけれども、ちょっと質問の趣旨が理解できないところがあるわけなんですが、企業情報というようなことですとオープンにはできませんが、いろいろ発注する、我々県側の方が年度の途中でもいろいろな情報を、そうした経営、事業の運営状況を把握しやすいシステムということであれば、そうしたことを検討していかなければならないと思いますが、そうしたものを企業情報にかかるようなものをオープンということにはならないんではないかなと。
 ちょっと申しわけござません。質問の趣旨がちょっとよくわかりませんでしたので。

◎坂本委員 そこの企業の中身までということを、私は言ってません。例えば、言うところの支出、収支計画が出てるわけですから、当初から指定管理者、事業所のね。そこの支出見込みがどういうふうになっているかということを、年度途中でもきちんと報告できるようにする。あるいは、決算見込みがどうなるのかというふうなことは、やっぱり明らかにした上で、じゃあ、次年度にどういうふうな対応ができるのか。あるいは、年度途中であっても、そのことを指導しなければならなかったら、そのことが、その経営状況を見せてもらうことによって明らかにできるだろうというふうに思うんで、そういうことを私は言ってますので、また御検討ください。
 時間がありませんので、次に行きます。非常勤職員の職の確保の問題です。昨年、66名、そして、今年は29名の非常勤職員の雇用が打ち切られようとしています。私たちは、雇用創出とはならないアウトソーシングという名の雇用移転が行われているというふうに考えています。
 そんな中で、非常勤職員の職の廃止に伴う再雇用先の職の確保について、現状どうなっているか。県の努力はどのようにされているのか。再就職の決まっていない元非常勤職員の方々に対して、本年度の途中に、県の非常勤職員の職に空きが生じた場合に、情報を提供することにしているほか、県の臨時的任用職員を希望される場合には、最初の1回に限り、ハローワークを通さない取り扱いをすることを伝えているというような答弁でお茶を濁すんではなくて、きちんと誠意ある対応についてお答えください。

◎中澤総務部長 18年度末で削減をされます非常勤の職員数は、先ほどお話がございましたように、29人の予定でございます。このうち、再就職が決まってない方は、現在のところ、5名でございます。お茶を濁すなと言われましたけれども、県の非常勤職員の空きポストを紹介したり、あるいは、県の臨時職員のお世話、それから、ものによりましては、アウトソーシング先の雇用状況をお伝えしたりするといった努力はいたしております。

◎坂本委員 時間がありませんので、予定していた質問をはしょる場合がありますので、その点については御了承願いたいと思います。
 この問題につきましては、例えば今回、ある職場の業務委託を403万7,000円で委託しようとしてます。非常勤職員の場合は、平均年間約180万円の人件費ですので、そういうことでいけば、そういった雇用が確保されていない非常勤職員については、そういったところで再雇用をしていくとかいうようなことを考えるなど、ぜひ、4月以降に雇用が確保されていない非常勤職員がいるということのないような、そんな対応をしておいていただきたいというふうに思います。
 次に、セーフティーネットの張り方についてお伺いします。1つは生活保護の関係です。先ほど、米田議員が健康福祉部長に幾つかお尋ねしましたので、ダブらない形で、さらに当初通告のものを少しはしょりますけども、質問させていただきます。
 まず、県内の受給世帯を見た場合に、就労が可能でないと思われる高齢者世帯や障害者などを除いて、自立支援の対象として支援している。そういう世帯がどれだけあるのか。また、支援する中で自立に至った世帯はどれだけになっているのか。さらに、自立に至った世帯の賃金収入など、把握されているのか。されていれば、平均的なものを示していただきたいと思います。

◎畠中健康福祉部長 生活保護受給者の中で、平成17年度に自立可能性のある人、1,723人について、ハローワークとともに連携して、就労指導を実施いたしました。そのうち、就労を開始した方が175人、収入が増加した方が65人、そして、自立により、ほぼ廃止となった方が59名という状況です。
 自立で廃止になった方のケースで、賃金収入なんですが、市の分はよう把握しておりませんが、県の福祉保健所分、数字は、人数は、ケースは少ないんですが、廃止ケースのうち、13事例の平均の収入は11万円というふうになっております。

◎坂本委員 今お聞きした平均的な収入、11万円余ということなんですが、やはり、そういう金額を聞くにつけ、やはり、今、話題になっております、いわゆる最低賃金が生活保護水準に満たないというようなこととも大きくかかわってくるんではないだろうかというふうに思います。
 生活保護水準に配慮して、最低賃金を引き上げたいというふうに、厚生労働省では検討をされているようですが、逆に最低賃金をそのままにしておいて、生活保護水準を引き下げるんじゃというような、そういう議論にもなりかねない。そういう心配もされている中で、もし、本県が生活保護水準との関係で、この最低賃金を生活保護水準に配慮した場合、現在の615円はどれだけになるのか、試算がされるのか、商工労働部長にお伺いします。

◎秋元商工労働部長 最低賃金は、法律に基づいた手続きによって決定をされております。決定するための審議に当たりましては、労働者の生計費、それから、類似の労働者の賃金。そして、賃金の支払い能力の3つの要素を考慮して決定をされます。その中の1つでございます、生計費の要素のみを取り出しまして、最低賃金の水準についての試算をすることは適当ではないというふうに考えております。

◎坂本委員 適当ではないというふうに言われると、その次の質問ができなくなってしまうんですけれども。ただ、全国的には、この生活保護水準を上回っている最低賃金は、全国で十数県あるというふうな新聞報道などあるわけですよね。そういう意味で言うと、試算できないことはないんじゃないですか。
 高知県は、じゃあ、それを上回ってるのか、下回っているのか。下回っているとしたら、どれだけなのか。一方で、十数県が上回っているというふうに、新聞報道などではされてるわけですから、それはやっぱり試算はできないんでしょうか、どうしても。お聞きします。

◎秋元商工労働部長 先ほども申しましたように、この最低賃金の決定は、まず中央最低賃金審議会で目安の審議をしまして、それから地方最低賃金審議会におきまして、地域別の最低賃金の改正審議をされます。そうしたことを踏まえて決定をされるわけです。したがいまして、試算と仮に言いましても、そういった制度がある中で、県が数字を、県の方から出すというのは、かえって混乱をきたすということから、適当でないと申し上げておるがです。

◎坂本委員 また、試算ができるようになったら、教えていただきたいと思います。試算ができてないということでは、知事にお聞きしようと思っていた質問ができませんので、これは飛ばします。
 それと、市段階においては、いわゆる申請率というものが把握されておりますけれども、生活保護についてですね。ところが、郡福祉の場合は、それが相談に行くのが、町村役場であったり、あるいは、直接福祉事務所に来たりとかいうようなことがされているために、なかなか把握ができないということで、いわゆる県の福祉事務所については、この申請率が把握できてないようにお聞きしてます。
 これは、その気になって、それぞれの町村役場での対応、あるいは、それぞれの福祉事務所での対応ということをすれば、どれだけの申請率になっているかということは、捕捉できるんではないかというふうに考えます。
 17年度において、市の福祉で相談者の64%の人が申請にまで至っていないというふうな数字結果が出てます。全国で見ると、少しよい方ですけれど、それでもえい方なんですけども、ただ、じゃあ、県の福祉としてはどうなのかということも、実態として見ておく必要があるんではないかと思いますので、その点について対応はできませんでしょうか。

◎畠中健康福祉部長 申請に関して、県の福祉保健所の場合、お話もありましたが、ほとんどが町村役場で申請を受け付けるというところで、基本的にはもう町村役場でほとんどそのまま受理している、申請扱いとして。それをそのまま福祉保健所に回していただいて、そこでもうそのまま、福祉保健事務所で申請を受理した後、生活保護を適用すべきかどうかということを判断しているということで、県の場合はもう町村役場へ来た段階で、そのまま県へ回ってくるということで、相談を受けて、そこで申請に至らないというようなのは、ほとんどないというふうに考えておりまして、申請ケースが、ほとんどもう相談イコールという考えてずっと対処しておりました。
 今、改めて、福祉事務所の実態を聞きましても、そういう状態というのですので、もう相談来たやつは出てるということで、相談件数の把握がされてない。今後もそこまでする必要はないんじゃないかというふうに考えております。

◎坂本委員 ぜひ、そこまでする必要はないというふうに言わずに、申請に至らなかったケースは町村役場の段階ではないんではないかというふうな言われ方をしましたが、決してそうはなってないように、私どもの耳には入ってます。その意味では、ぜひ、じゃあ、ほとんどがそういう形で、町村役場に来られたケースがほとんどだというふうに言われるんだったら、そこできちんと把握できるようなシステムをつくっていただきたいなというふうに思いますので、それは要請しておきます。
 続いて、DV対策の関係ですが、先の本会議で、中内議員の質問に対しまして、文化環境部長、現在の取り組みについて答弁されました。県は、高知県DV被害者支援計画を今策定中でありますけれども、ただ、これの策定を待ってということではなくて、やっぱり、当面、急がなければならない課題も多かろうと思います。
 その中で、幾つかあるんですけれども、ちょっと時間の関係で、まずお聞きしたいのは、被害者を安全に保護する環境の整備という意味で、とりわけ、同伴児童への対応の充実というのが掲げられていますけれども、保護に当たって、施設のあり方ゆえに、親子が分離されることのないよう、特に男子児童の場合は、中学生以上になると、一緒に保護できないというようなことなどもあったりしますんで、そういった場合の民間施設との連携や施設への支援をどういうふうにお考えなのか、お答え願います。

◎島田文化環境部長 女性相談所の設備とか構造の問題がありまして、御指摘のことが今までありました。この件に関しましては、この2月から社会福祉法人が運営します、母子生活支援施設の受け入れが可能となりましたので、委託という形で親子一緒に保護することができるようになりました。
 なお、民間シェルターとの連携についても、この4月から一時保護を委託する方向で現在協議を進めております。

◎坂本委員 徐々に、民間施設との連携なども強化されているだろうというふうに思いますが、一時保護委託料、あるいは民間シェルターの運営費補助金。これらもまだまだやっぱり、全国の基準というのも、一時保護委託料なんかはあるわけですけれども、そういった部分についても、今後は民間施設が十分な活動ができるようなことも検討をしていただきたいということ、このことについては要請をしておきたいと思います。
 次に、配偶者暴力防止支援センターが高知市に配置されているということから、そういうことや、あるいは仕事、住宅の問題などもあって、多くの被害者が高知市に集まる傾向があります。その意味では、県と市の連携というのは大変重要になるだろうというように思います。例えば、公営住宅の対応、あるいは保護命令が出ている場合の学校での対応の問題など、理解を高めるための研修強化など早急な連携が図られるべきだというふうに考えますが、どのようにお考えでしょうか。

◎島田文化環境部長 これまで、高知市とは援護の部分では密接な連携がとれておりました。生活保護ですとか、そういった部分はできておりましたが、御指摘のように、住宅の確保ですとか、保護命令といった場合には、これまで十分な連携とはなっておりませんでしたので、これからは緊密な連携のもとに対応していきたいと思います。
 なお、高知市も相談者の7割というのが、高知市民の方ですので、高知市にももっと主体的にDV問題について理解を深めていただきたいと、そういう取り組みも進めてまいります。

◎坂本委員 続きまして、南海地震対策を始めとした防災対策についてお伺いします。南海地震対策、とりわけ、私もこの間、ずっとこだわってまいりました南海地震対策のための条例づくり。これについて、一言二言、御質問します。
 この地震対策条例の検討会を傍聴していて感じるのは、委員の姿勢に極めて濃淡がありすぎるのではないかというふうなことです。いつも成立ぎりぎりの出席状況で途中退席をする方も多くて、定足数を割るような、そんな事態があります。その意味では、さらには出席してもほとんど発言のない方もおいでます。こんなことではやっぱり、安心してこの条例がつくられることになりませんので、今後の委員会の運営をどう活性させるのか、危機管理担当理事にお伺いします。

◎中村危機管理担当理事 南海地震条例は、県民の皆様と一緒につくるということを目指して、これまでワークショップとか、あるいはシンポジウムなどで意見をいただき、検討会を中心に議論を進めてまいりました。個別の事情もございましたが、検討会ではこれから条例の骨子案を取りまとめる本格的な検討段階となり、さまざまな立場から幅広い協議や検討が一層必要となってまいりますので、委員からの御意見の趣旨も踏まえて、運営方法などにも工夫を加えまして、条例の策定に向けて精力的に取り組みたいというふうに思います。

◎坂本委員 続きまして、高レベル放射性廃棄物最終処分場と南海地震について、企画振興部長にお尋ねします。この問題、処分場の話はずっとされてきましたが、南海地震との関係での質問というのはなかったように思います。処分場が東洋町に設置された場合、南海地震が発生した場合に想定される処分場に及ぼす被害というのは、どのようなことが考えられるのか、部長、お答え願います。

◎十河企画振興部長 国は、処分施設は火山から遠く、活断層のない安定した地層を選んで設置するし、地下深く埋めるために、地表に比べて地震の影響は小さいため、大規模な地震にも対処できると説明をされていますが、これに異論を唱える学者や専門家もいます。このように専門家の間でも意見が分かれている状況の中で、どのような被害が起こるか、想定は困難です。

◎坂本委員 想定が困難ということですけれども、いわゆる特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律、これの第6条での概要調査地区の選定の条件として、地震等の自然現象による地層の著しい変動の記録がないこと。当該文献調査対象地区において、将来にわたって地震等の自然現象による地層の著しい変動が生じる恐れが少ないと見込まれることというような定めが法律の中にあるわけで、その定めからすると、本来、ここは調査にすら適さないというふうなことになるだろうというふうに思っておりますので、そんなことも含めて、今後の議論がされていかればというふうに思っています。
 時間が迫ってまいりまして、ほかにも県有の社会福祉施設、あるいは総合看護専門学校の課題などについても、さらには消防広域再編の問題などについても質問を予定しておりましたが、できません。
 とりもなおさず、知事の多選問題について、知事が言われた多選もいろいろという中で、そのいろいろな多選についてお聞きしたかったんですが、時間がありませんので、これで終わりにさせていただきます。