予算委員会一問一答(9月30日)


1 組織や人員のスリム化の前提となるべきこと、また、その前にやらなければならないことはないのか。
【坂本委員】
 どんなに財政的に厳しいときでも、それを乗り切り、県民サービスを担う県庁組織の強化を図り、その主体の職員のやる気や労働環境を整備する中で、県民に目線を据えて働けるようにしていくべきではないかと考えています。
 そんな中で知事は「さらに事務事業の見直しやアウトソーシングと併せて、組織や人員のスリム化を徹底しますなど、これまでにない思い切った取り組みを急がなければなりません。」と繰りかえされていますが、それぞれの職場は、絞ろうとしている雑巾が乾ききっている状況にあるにもかかわらず、見直しの無理強いをしている面があるのではないかと思います。
 一方で、財政状況の厳しさを克服するためのつけを職員や県民に押しつけようとしているように思えるこの時期に、昨年は財政危機宣言対応の真っ最中に高野切本の7億円購入問題、そして、今度は事業費200億円余の高知駅前複合施設構想を打ち挙げるなど職員や県民にすれば、そんな金がどこにあるのかと言いたくなるようなことをして、本当に協力が得られるのでしょうか。
 本来、多額の予算を伴う事業について大きく見直したり、凍結したりという政策判断による見直しをすることの方が、優先されるべきではないかと思うが、無理強いをする前に、知事自身がやらなければならないこと、そして、県庁の業務として何を前提とすべきか、尋ねておきたいと思います。         
 知事が4.5期目の公約としてあえて指定をした「財政課の仕事の30%〜50%を外部に委託していきます」と言ったことができないまま、他の部局に押しつけても無理なのではないか。「特別な存在感で見られがちな財政課を、まず外部委託すること」としているが、その時期と手法と見通しについてお聞かせください。
【橋本知事答弁】
 私が財政課を例にあげましたのは、「どの課室も例外なくアウトソーシングしていきます」という、私の決意を象徴的に申し上げたものでございます。
【坂本委員】
 象徴的にお話になった例かもしれませんけれども、やはりそれは今回のアウトソーシングの課題においては、そのことがやはり大きな命題的になってるだろうと思うんです。そしてそのことが本当にできるのかということもこれから問われるだろうと思いますし、当然それがもしやれるんであれば、他の課室でもという今の知事の象徴的な事例として進んでいく部分もあるだろうというふうに思います。
 ただ、先の9月6日の庁議用の事務改善に関する三課(財政課・業務改革推進室・行政管理課)による提案の中では、やはり財政課についてはそれぞれ業務があって、それぞれの業務を検討する中でなかなか困難な部分があるというふうに報告がされておりますけれども、そういう状況に対して知事はどのようにお考えでしょうか。
【橋本知事答弁】
 財政課に限ったことではございませんけれども、これまでそこの課室にいる人員、また、これまでやってきた仕事、そして県庁の常識ということを前提にすれば、「あれは難しいね、これは難しいね」ということに当然なってまいります。今、県の置かれている状況はそんな状況ではございません。
 ですからゼロから見直すというのか、県の仕事をつくり直すという視点に立てば無理なことは何もないと私は思っています。
【坂本委員】
 そういうことであればこれも庁議の中で出されておりますけれども、秘書課では県職員として、課長と補佐だけを残して、人材派遣の受け入れで十分可能であるというふうな事務改善に関する三課の提案がされておりますけれども、これは知事のいちばんの足下の課でありますけれども、そういうようなことについては可能であるというふうに知事は判断されておりますでしょうか。
【橋本知事答弁】
 この三課の提案というものは、事務事業を見直してまいります際に予算の削減だけで考えるのではなくて、人員削減、人件費というものも含めてその削減を考えてほしいという趣旨で「たたき」台がまとめられております。秘書課に限ったことではございませんけれども、こうした「たたき台」もひとつの参考として今後の検討も進めてまいります。
【坂本委員】
 次に、県民にも評判の悪い15年の組織細分化を見直すことで、管理職の削減などに手をつけることが必要ではないか。これこそ組織、人員のスリム化、管理職手当の削減につながる意味からも、直ちに見直しの対象とすべきではないかと思うがどうか。
【橋本知事答弁】
 平成15年度に行いました組織改正は、課室の規模を小さくすることによって責任を明確にする、また、意志決定を迅速化していくということを目的にしております。
 この目的は一定達成されつつありますので、こうした15年度の組織改正というもののメリットを失わないように、今後の大量退職の時代も見据えまして組織改正ということを検討していきたいと思います。
【坂本委員】
 ある意味で細分化したことで、決裁ペースなどが早くなったりとか、今知事が言われたメリットの部分もあろうかと思うんですけれども、例えばその中で各部局に新設された「○○企画課」というような名称の課については、今回の庁議の中で三課によって提案された案の中でもほとんどが特になしというふうに書かれているわけですね。
 この特になしというのは逆に言うと、見直そうにも業務そのものが一体何をしているのかわからないというようなそういう部分があるのではなかろうかというふうに思ったりもするわけですけれども、メリットとして生かす部分は生かしながら、ぜひ組織の細分化についてはいろいろ行革検討委員会の中でもわかりにくいというような意見が出たりしていると思いますので、組織の見直しの1つの対象として考えていかれたらというふうに思います。
 さて、いろいろな組織のスリム化の仕方はあろうかと思いますが、これまでの組織のスリム化によって、多くの技能や医療や保健、福祉の技術を持った職員が、その仕事に対する誇りをズタズタにされ、一番の働き盛りに、全く初めての異職種の仕事につかされ大変な苦労をされている職員の皆さんを多く見てきました。昨日も副知事は、守衛業務についてのアウトソーシングに触れたが、守衛部門は今までにも勤務態勢の見直しで手当廃止をされ、生活設計を見直した職員も多くいます。今度は、身体を張って県庁全体を守ってきたつもりが、休日夜間は民間で行っているからという理由で、アウトソーシングするとの提案をされたわけです。組織の見直しをする際に、そこに働く職員の皆さんの職や誇りを否定するようなやり方は考え直して欲しいのです。この間のアウトソーシング議論は、根底に明確な根拠を持ち得ないまま30〜50%の業務のカットをするといったことが一人歩きをしていることに、議論がぎくしゃくしている面があるのではないかと思いますので、このことは一旦撤回されて、人件費は事業費というぐらいの思いで職員の持てる力を再結集し、力を発揮できる県庁へと再生させていただきたいと思います。
 技能職に限らず、民間でできることであっても、県として直営で責任を持って、サービスをしようとする業務は何なのかいうことを示さないまま、行き当たりばったりの提案をされては職員に不安と動揺を抱かせるだけである。また、そのことによって県民の安全安心が不安にさらされるようなことになってはいけないと思いますが、一体、県として直営で責任を持って、サービスをしようとする業務は何なのかということをお聞きします。
【橋本知事答弁】
 県としてやるべき仕事、業務といたしましてこれまでも政策の立案でございますとか公権力の行使、また、危機管理への対応といったことを一般論としてご説明をしております。
 けれども例えばこの中でも公権力の行使に当たります交通取り締まりを外部に委託をするといったように、直営というものは決してもう限定される時代ではないというふうに思います。
 歴史というものを振り返ってみれば、昔は地域の住民のみなさんがそれぞれの公共サービスというものをみんなで力を合わせて担っておりました。それをだんだん行政という機関「役所」という所に逆にアウトソースしてきたのが近代史の歴史でございます。これをまた住民のみなさん方に戻していくということですから、元々直営でなければというものは法律の問題を抜きにすれば果たしてあるのか?ということから議論を進めなければいけないと思っています。しかもそのことは、年を追うに従ってその幅はどんどん狭くなってきていると私は感じています。
【坂本委員】
 確かに今は戦争だって民間会社がやる時代ですから、民間でできないものはないというふうに言われることもあるだろうと思いますが、そこでは一方で切り捨てられているものがあるということもあるだろうと思いますので、またその点については別の機会に議論させていただきたいというふうに思います。

2 人事委員会勧告で予測される地域給や査定昇給の妥当性と運用のあり方について
【坂本委員】
 次に、人事委員会勧告と給与カットのありかたについて聞く。職員に無理を強いてきた今年4月からの3%及び5%の給与カットで、職員は生活設計を見直さざるを得なくなっている。総務省の家計調査では本県の去年の4月と今年の4月を比較したときに、可処分所得に占める消費支出は5.1%のマイナスになっており、去年のこの場で指摘したように確実に消費後退への影響が出ています。
 それに追い打ちをかけるように、今年の人事委員会勧告では給与の引き下げ勧告と地域給を踏まえた給与構造の改悪勧告が出されようとしているが、このことで多くの職員は、大変な将来への不安を抱えている。加えて、何ら客観性や公平性や説明責任も担保されない査定昇給の導入も想定される中で、人事委員長の考え方をお聞きしておきます。
 人事院が勧告した4.8%引き下げの地域給については、いくら国準拠とは言え、委員会として何らの調査結果も持ち得ないで4.8%も引き下げるということの妥当性はあると考えているのか。また、勧告内容に盛り込むつもりなのでしょうか。
【人事委員長答弁】
 現在、国家公務員に適用されております俸給表の水準は、東京都特別区などの高い民間地域を含んだ全国平均で官民の給与格差を求めているわけでございますが、やはりそこには民間賃金の低い地域では公務員の給与水準が民間賃金を上回るという状況にあります。
 そういったことで人事院は全国共通に適用される給料表を維持する一方で、現在の給料表のように一本でいくという考え方でございますが、そういった中で前段申し上げましたような状況を改めるとしますと、地域ごとの民間賃金水準の較差を踏まえて、地域の民間賃金がより適切に反映されるように俸給水準の引き下げを行うということになるわけでございまして、民間賃金が高い地域では地域間調整を図るための手当ということで、先ほどお話しにもありました地域手当を支給するというふうな措置を講じようとしている状況にあります。
 こういったことで国家公務員につきましては、地域官民給与の格差が全国の6つのブロックでいちばん低い北海道・東北地域の官民給与の格差比率4.8%です。これをもって俸給表の水準を平均で4.8%下げるということになっています。そこで高知県の場合どうなるかということでございますが、本県の場合の給与制度につきましては、これはもう従来から国家公務員の給与制度に準じて運用してきているわけでございますので、今回の給与構造の見直しによる給与水準の引き下げといった点につきましては、国に準じた方向で行うことが適切じゃないかということであるわけでございますが、そういった方向で現在人事委員会で検討しているという状況にございます。
 もちろんこうしたことが従来の勧告制度等に関連して運営するならば、やはり本質的には給与決定の原則にかなうものだという考え方はもっております。
【坂本委員】
 給与決定の原則にかなうというふうに言われていますけれども、4.8%の較差があるというのは今言われたように北海道・東北。四国あるいは高知というふうに見たときに4.8%の較差があるかというとそうではないわけですね。しかも四国の中では高知県には何らの調整手当はつかないわけですから4.8%引き下げられたままなわけです。
 そういう意味では、数字的根拠からしても、何で北海道・東北の較差を高知(四国)へ持ち込んで、しかもそれに対して一切の調整手当をつけずに済ましておくというようなやり方に対して、人事委員会としてはそれらに対する数字的な根拠というのは持ち得ていないと思うんですよ。そういう意味では私はもっといろいろ議論したい面がありますけれども、これは今回の勧告に盛り込むべきではないというふうに思ってます。
 来年4月以降、一定現給補償という形がとられるかもしれませんけれども、しかしそれにしても、もしこれで大きく給与情勢をめぐる状況が変わらなければ、いわゆる46歳で昇任の人は退職までの15年間同じ給与月額で15年間働かないといけないわけですね。そこに本当に働く意欲がわいてくるのかどうか、あるいは将来の生活設計がどうなっていくのかというふうな大きな問題をはらんでいると思いますので、ぜひ慎重な議論を残された期間していただきたいというふうに思います。
 また、マイナス0.36%に近い公民格差が推測される中で、もし、引き下げた場合に4月に遡った減額調整を行おうとしているが、本県の場合は4月からすでに3%及び5%という逆格差を超えるカットが行われており、減額調整は行うべきではないと考えますが、どのように考えていますか。
【人事委員長答弁】
 現実3%ないし5%特例条例でカットされてます。その上に今回の国家公務員で言えば較差率がマイナス0.36%、それを重複してカットするという考え方があるかどうかということだと思います。それをベースにして何らかの調整措置をどうするのかということですよね?その点につきましては先ほど申し上げましたように、委員会で結論を出そうということでございまして両方と言いますと語弊がありますが、一般職員で言うと3%カットしているからすでに国家公務員の較差比率(0.36)と比べて大きく減額されているから必要ないじゃないかという考え方が1つあります。それからもう1つはそれぞれきちんと減額すべきじゃないかという考え方もあるはずです。
 そういった意味で現段階では、まだどちらにするかということは決まっておりませんが、いずれにしても減額調整の問題につきましては一定の方向付けをしていくということを考えてます。
【坂本委員】
 まだどちらにするか考えが至っていないということですけれども、ぜひそういう思いがたくさんあるだろうと思います。ですので、今私が指摘をしたようなことで検討していただければということをお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、人事院勧告において評価制度が確立されていない中、「能力・実績の給与への反映」ということで査定昇給制度や勤勉手当の成績率の強化がうたわれているが、本県では勧告した場合、査定昇給の基準は何を用いて行うつもりなのでしょうか。
【人事委員長答弁】
 人事院勧告では当然、職員の勤務成績を評価しながら昇給や昇任といった今後の身分の取り扱いについて反映させていくという考え方が出ております。給料について申し上げますと、今申し上げましたように査定昇給の問題だと思います。現在、それぞれの任命権者におきましてはすでに勤勉手当において、勤務成績の評価を成績率に反映させておりますし、普通昇給、特別昇給におきましても勤務成績の確認を行いながら実施しているという状況にあります。
 こういった点からすれば、職員が勤務の実績が正しく評価され、しかも職員が意欲を持って働くというためには、評価の透明性の問題あるいは客観性・公平性・納得性といった点は当然確保される必要があるという考え方でございます。
 そういった中で今回の給与に関する報告等の中でも、ただいま申し上げましたような考え方を基に言及していこうという考え方で、現在検討しております。
【坂本委員】
 先ほど言われました、透明性・公平性といったものが本当に担保されるのかというのは極めて疑問なところがあるわけです。
 そういう中で、人事企画課が今検討している人事総合マーネジメントシステムといったものの検討とかいうようなこともあろうかと思いますけれども、やはりこの査定昇給が入ることで、本当に職員に不公平感といったものを抱かせないようなそういう制度として確立できるのかどうか、極めて疑義があると思いますのでこれもぜひ慎重にご検討いただきたいということを願っておきたいと思います。
 次に、知事にお尋ねします。知事は9月6日の庁議や自身のブログで「給与削減は、一律削減と言うことを繰り返すべきではない。次の給与削減を考える場合には、各職員の能力評価を行い、削減率に大きな差をつけていくことが必要だ」と言っているが、実施するかしないかは別として、財政状況を理由に給与削減をする場合に、このような方法が合理的で妥当性があると考えているのでしょうか。
【橋本知事答弁】
 私が申し上げたかったことは、職員の能力や実績を評価をして給与等に格差をつけるべきだということで、このことに疑問を感じられる県民の方はほとんどいらっしゃらないだろうと思います。そういう意味では妥当性も合理性もある考え方だと思います。
【坂本委員】
 人材育成とかあるいは人事評価により、それぞれの職能を引き上げるということによる評価制度は一般的にあるだろうと思います。しかし知事がやろうとしているのは、引き下げる際に一律に引き下げないで査定をしながら引き下げるというやり方ですから、これは分限処分になるのではないか。しかし、分限処分の中でこういう降給処分という在り方が本来あるのかどうかということなど含めて、さらには一律削減する場合には今回においても特例条例で定めたわけですね。この特例条例の中でこういうことを定めることが可能かどうか等も含めて私は疑問がありましたんで、指摘をさせていただきました。
 ですから、もし知事がこういうことを考える際には、そういう法的な合理性も含めて充分慎重にご検討いただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。

3「津波避難ビル等に係るガイドライン」の早期活用をはじめとした地震対策について
【坂本委員】
 これまでも沿岸部の津波避難対策における避難場所の在り方として、国の示す津波避難ビル等に係るガイドラインの作成を待ってきたが、ガイドラインも公表されました。
 そこでお尋ねしますが、このガイドラインはオールジャパンのものとして作成されており、これをどう高知県的にアレンジするのかと言うことも問われており、9月21日には、沿岸部25市町村での「南海地震津波防災検討会」が開催され検討されているところですが、11月下旬までに指定要件をまとめることとされているが、時間を争う問題として、適用できることは順次取り入れていくことが必要ではないかと考え、急いでいただきたい課題として危機管理担当理事にお聞きします。
 まず、民間既存ビルをどう活用するか考えたときに、高知市内をはじめとした沿岸都市部では随分と中高層マンションが建設されているが、これらを活用しない手はないと考える。その際に、既存のものと新築のものに分けて考えていく必要がある。取りあえず間に合わせなければならないものとして当然耐震性が確保されている新築マンションなどについての津波避難ビル指定への基本方針を持つ必要があると考えますが、どうでしょうか。
【危機管理担当理事答弁】
 ガイドラインでは既存のビルを津波避難ビルとして指定する際の用件として、耐震性は1つは昭和56年施工の新耐震基準に沿っているかということ、それからもう1つは改めて耐震診断して安全性を確認するかという2つなんです。
 ご指摘の新築マンションというのは新耐震基準に沿ってることは確かですから、これから指定していくということは有効な方策だと考えています。
【坂本委員】
 その場合に、津波避難ビルとして適当な民間ビルやマンションの建築申請の際に、津波避難ビルとして指定することがのぞましいエリアについては、指定への協力要請をすることなどが、必要ではないかと考えますがどうでしょうか。
【危機管理担当理事答弁】
 津波避難ビルの指定を進めていくときに、新築ビルについてはビルが建設されるまでの間に所有者に働きかけるという議員がおっしゃるような形がいいと思います。そのためには機会としては建築確認申請の時にお願いするのがいいのではないかと思います。
 今後どのようにして効果的に働きかけていくかということでその仕組みづくりを考えていきたいと思います。
【坂本委員】
 ぜひそういうことで考えていただいて、特に実際指定をするなら市町村が窓口になっていきますので、そういう意味では県がきちんとした方針を持っていただいて、それを市町村が具体に実践できるようにしてあげていただきたいというふうに思います。
 そこで、現在建設中の中高層マンションはそのほとんどが、非常階段ですらが施錠されているため、その前提としての条件作りが必要になってくる。例えば、施設の管理者による解錠が困難な場合には、自動解錠機能を行政が付加することを条件に津波避難ビル等に指定することも考えられる。感震センサーと連動して自動解錠するように設定する必要もあることなどから、そのための財政的支援などは検討してもよいのではないかと考えますがどうでしょうか。
【危機管理担当理事】
 既存の施設を活用していくというのは非常に有効な方策だと考えます。鍵の問題についても管理者が鍵を開けることが困難な場合、たぶん多くの場合が困難だと思います。ですからいわゆる感震センサー、揺れたら自動的に錠を解錠するという装置については、今市町村に交付してます防災総合補助金の中で使えるように検討していきたいと思います。
【坂本委員】
 ただし、民間ビルの協力を得るためには、その前提として、公的施設をまず指定することが必要である。とりわけ、耐震性が確保されている公営住宅については、指定しておくことが必要だと思いますがどうでしょうか。
【危機管理担当理事答弁】
 ご指摘のとおり公的な施設をまず指定するということが重要だと思います。県営施設につきましては、市町村から津波避難ビルとしての指定の要望があれば考えていきたいと思います。 ただ、公営住宅はほとんどがいわゆる階段室、階段を上がって行ったら両側にドアがあるというような形で、避難スペースとしてはあまり広くはないんですけれども活用はしていきたいと思います。

4 災害救助と救助犬育成への支援について
【坂本委員】
 新潟県中越地震における長岡市の土砂崩れ現場で皆川優太君が救助犬レスター号によって生存確認がされ、ハイパーレスキューによって救出された場面に全国の視線が釘付けにされた象徴的な場面をみなさんもご記憶のことと思います。
 ところが、この救助犬というのは都道府県警察や消防部局等の管理の下に配置されているケースは極めて稀で、民間ボランティアで養成されているのが現状です。
 ジャパンケンネルクラブの発表では、現在出動可能な頭数は全国で215頭にすぎず、関係者の方に聞くと県内には一頭しかいないとのことです。南海地震の際には、被災県も広域に拡がり、陸路、海路、空路のそれぞれが絶たれる可能性がある中で、自前で育成することが安心の提供にもなるのではないかと考えますが、そこで、災害救助の一方策としての救助犬の在り方について危機管理担当理事にお尋ねします。
 県として、南海地震に備える方策の一つとして、何らかの形で災害救助犬育成を位置づける考え方はないのでしょうか。
【危機管理担当理事答弁】
 災害救助犬というのは災害現場で非常に有効だと思います。ただ、県が直接育成するというよりは、今災害救助犬を育成している団体に働きかけて連携をとっていきたいというふうに考えております。
【坂本委員】
 確かに、警視庁と北海道警察本部、こちらは直轄で捜索救助犬を訓練、育成していますが、本県でも南海地震に備える意味で、直轄とはいかなくても嘱託犬として災害救助犬を育成する、または、育成を支援するなどの方針はとれないだろうかと思います。併せて救出効率を高めるために、救助犬の嗅覚に反応しやすい臭いを身近に持ち、いざというときに活用してもらうレスキューグッズを制作されている方がいるわけですが、防災産業育成の面や、徘徊する認知症患者の捜索の意味合いなども含めて、救助犬の育成とレスキューグッズの同時並行的普及が考えられてもいいと思いますが、いかがでしょうか。
【危機管理担当理事】
 災害救助犬につきましては、とりあえず、例えば防災訓練何かに来ていただいて、そこでいっしょに訓練させていただくとか、あるいは災害時に出動していただけるように協定を結んでいただくとか、そういう形で考えていきたいと思います。その際に先ほどの臭いグッズについてもどうやってやっていったらいいのかということを研究していきたいと思います。

5 資源循環型社会と災害対策面からの雨水利用について
【坂本委員】
 本県が資源循環型社会の先進県をめざすという目標を持つ中で、最も身近な資源をどう利用するのかと言うことに着目していくことを今後の事業の中で考えて頂きたいとの思いで、雨水利用についてお尋ねします。
 今年の夏は、高温少雨ということで、とりわけ早明浦ダムの利用水量が11年ぶりに底をついたことに象徴されるような気象状況に悩まされ続けたと思う。しかし、今回のような異常気象があたりまえのような状況が今後も続くことが容易に予想されています。
 これまで、東京墨田区の雨水資料館を見学したり、雨水国際会議に参加してくる中で、基本は都市のリスク管理・リスク分散と健全な水循環のシステム化のために、雨水利用を真剣に考えなければならないと言うことを痛感してきました。そして、今までの「流すシステム」から「貯めるシステム」へと切り替えていくための意識変革が「雨水利用を日常化」することになるのだと感じさせられています。そこでお尋ねしますが、平成12年度から雨水・湧水利用を開始した本庁舎のトイレの水などでは昨年度で99%の代替率となり、水道料の相当の節約にもつながっている。さらに、初期の設備投資コストは充分に回収できていると思うが、本庁舎や県警本部の雨水利用の導入をどう総括しているか。
 また、この間県有施設や公共事業に雨水利用は導入されてきているのか。また、今後計画されているものに、どのようなものがあるのかお聞きします。
【文化環境部長】
 本庁舎では平成16年度実績で約9100トン金額にして約330万円、また県警本部では2775トン金額にして90万円の節減効果をあげておりまして、導入の成果はあったと認識しております。
 これ以降はタンクの設置スペースの問題等もありまして、県立施設での設置の事例はありません。また、県が行いました公共事業でも実績はありません。これからの設置の予定は現在のところまだ把握はできておりません。
【坂本委員】
 次に、中四国県議会正副議長会議の要望事項に「水資源対策の充実・強化」が挙げられているが、渇水対策としてのダム建設より既存水源の有効活用、節水型都市作り、さらには水に対する危機管理の視点からも公共の分野だけでなく、個人住宅や民間大規模ビルへの雨水利用導入の促進なども含めて、先進自治体に学びながら、都市型洪水対策面や資源循環型社会の中に雨水利用を県の施策の中で位置づける考え方はないでしょうか。
【文化環境部長】
 水を大切にするということは省資源・省エネルギーにもつながりますので、資源循環型社会、それから地球温暖化対策といった視点でも大事ですので、まずは関係部局と連携をしまして、雨水利用といったようなことを啓発していきたいと思います。そしてその成果を本県がめざす資源循環型社会づくり等にも生かしていきたいと、そういうふうに思っております。