2020年6月定例会賛成討論(7月9日)

◎32番(坂本茂雄君) 私は、ただいま議題となりました議発第5号「新型コロナウイルス感染症対策に「災害対応」を求める意見書(案)」に対する賛成討論を行いたいと思います。
 この機会に、九州地方をはじめとして5日から続く記録的豪雨によって、各地で犠牲になられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げさせて頂きます。
そして、これ以上被害が拡大しないことを願うものであります。
 さて、コロナ禍のもとでの豪雨災害という「複合災害」のもと、国民が力をあわせて立ち向かう新型コロナウイルス感染症に対して、阪神・淡路大震災や東日本大震災をはじめ様々な激甚災害を経験し、それを乗り越えようとしてきた教訓の蓄積を災害対応として生かすことが、コロナ禍に対する有効な対策となるものであると考えるところです。
 災害対策基本法第2条1号が定める「災害」には、「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう。」とあり、新型コロナウイルス感染症の拡大を「異常な自然現象」と解することは十分可能であると思われます。
また、政令では「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故」などが災害対策基本法施行令1条に追加して明記されており、地震や天候による自然災害だけが「災害」ではなく、新型コロナウイルス被害に伴う直接被害や間接的な経済被害等を「災害」と捉える余地は十分ありうると思われます。
 さらに、最近の最も使われている語句の解釈を収録した三省堂「大辞林第三版」以降では、災害とは「地震・台風・洪水・津波・噴火・かんばつ・大火災・感染症の流行などによって引き起こされる不時のわざわい。また、それによる被害。」とあり、感染症も主要な災害の1つとして位置づけられています。
 このことからも、この感染症の拡大という事象を「災害」と捉えて、現在の改正新型インフルエンザ等対策特別措置法いわゆる新型コロナ特措法に基づく対策のほか、災害対策基本法や災害救助法などその他の災害対策関連法制を活用することで、さらなる感染症の拡大防止、コロナ禍に対する生活等の支援が可能になると考えます。
 法制度の生かし方としては、「直接適用」だけではなく、「法改正」や「準用」、「政令等による拡張」、現場の「弾力的運用」、同種の仕組みを要綱化した地方自治体への交付税など取り得る方法は多様に存在しており、これまでの災害の経験に学び、先例に基づく知恵を凝らし、有効な新型コロナウイルス感染症対策を講じることが求められているのです。
 例えば、「激甚災害時における雇用保険法による求職者給付の支給の特例」にならって、第2次補正予算に、「みなし失業給付」に代わる新制度として、新型コロナウイルス感染症の影響で休業させられ、勤務先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、現金を申請できるようにする新たな個人給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」が雇用保険法の臨時特例法として制度化され、明日から受付が始まります。
 また、内閣府地方創生推進室の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用事例集」には次のような事例が紹介されています。
 社会生活を維持するために必要な事業に従事する者で、同居する家族にウイルスを感染させる恐れがある人等について、地方公共団体が、地域の実情に応じて、自主的な隔離施設として宿泊施設等を借り上げて提供し、又は宿泊費を助成するのに必要な経費に充当する「自主的な隔離措置応援事業」。
 他の支援施策の対象とならない又は超える部分について、妊婦や子ども、社会福祉施設や、食品販売店、運送業者等の社会生活維持のために欠かせない活動主体に対して、地方公共団体がマスク、消毒液等を確保した際に配布する経費に充当する「必需物品供給事業」など、災害対応とも言える事業が展開されています。
 今回、政府も必要に迫られて、このような対処がされていますが、先ほども述べた激甚災害時における雇用保険法による求職者給付の支給の特例である「みなし失業給付」などは、早くから災害対応を求めて、提起されていたことを受け入れたものにすぎません。
 他にも、災害救助法を参考に、コロナ禍での生活困窮者に対して、在宅避難者とみなし、食料、飲料品、生活必需品を給与したり、コロナ禍での住宅確保困難者に、避難所として宿泊施設を供与したり、生業に必要な金銭や用具の給与・貸与を行ったり、学用品給与として、生活困窮世帯にネット環境を整備してオンライン授業をあまねく届けることなども可能となります。
 また、災害対策基本法による「自宅待機の指示」「警戒区域設定による立ち入り制限」や被災者生活再建支援法による「生活再建支援金の支給」や災害弔慰金法にもとづく「災害援護資金の貸し付け」なども可能となり、いわゆる新型コロナ特措法だけの取り組みよりも、素早くきめ細かな対策や支援も行えたのではないかと思われます。
 なお、被災者生活再建支援金と災害弔慰金は、根拠法の改正により既に「差押え禁止」の措置がとられていますが、今回の新型コロナウイルス感染症対策中小事業者等持続化給付金や10万円の特別定額給付金について、それぞれ差押禁止等に関する法律をつくらなければなりませんでした。
そして、「義援金」については、過去の大規模災害については都度特例により「差押え禁止」の臨時措置がとられてくるなど、これらの災害支援に倣えば、コロナ感染症関連の各種給付金や自治体独自の協力金などに対しても、差押え禁止の特別措置を急げたのではないでしょうか。
また、東日本大震災では、個人のローンについては、ペナルティのない「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」いわゆる被災ローン減免制度という制度が、「自然災害債務整理ガイドライン」として恒久化されるなど、例え同じ制度を使うことができないとしても、災害対応として取り組めば、これまで大災害の経済復興のために行われてきた支援策は、新型コロナウイルス感染症における経済支援のヒントになったはずです。
 高知県は、高知医療センターの隣接地にある宿泊施設「やまもも」での感染者受け入れをした際に、自衛隊に対し自衛隊法に基づく災害派遣を要請し、医官2人と隊員2人が「やまもも」内のエリア分けや動線確保の助言などを行い配膳やごみ処理をする県職員を指導されています。
 これは、災害派遣要請とした以上コロナ感染症の対応を災害対応として捉えたものであったのではないでしょうか。
今回、「災害対策基本法等で国民の生命と生活を守る緊急提言」をされた、災害と向き合ってきた有志弁護士らは、この提言の真意について、「『新型コロナウイルス感染拡大』を『災害』の定義に書き加えるということではなく、新型コロナウイルス感染拡大という未知の危機に対し、災害列島である日本において積み重ねてきた災害対応の経験や知恵の蓄積、原発事故等の事故で得られた反省や教訓の数々を、所管を問わず最大限に活かし、現行の災害関連法や制度を総動員し、コロナ禍で困っている人を救ってほしいということだ」と述べられています。
 新型コロナウイルス感染症と向き合い感染リスクを抑えるための「新しい生活様式」での暮らしと働き方、厳しい中での社会経済活動の再開・回復に向けて懸命に取り組まれている県民の思いを受け止めて、高知県議会において、この意見書を決議するということが、県民の為に、一層要望に応え、感染症の拡大防止の対策とコロナ禍における生活・生業再建支援に全力を尽くすことにもつながるものと思います。
 議員各位の御賛同を心からお願いいたしまして、私の賛成討論といたします。