知事の「捜査費に関する発言」

知事の記者会見(県政記者との懇談会)  日時:平成15年8月25日 
(知事) 
 捜査費についても、その使い方がわからないということと、その使い方がおかしい、個人的に飲み食いをしてるとかですね、何か他のことに使ってると、そのために捜査費という名目でとって浮かしてるんだということとは、全く別次元の問題であって、「わからないからだめだ」ということにはならないだろうと思います。
 何でも自分の記者時代と照らしちゃいけませんけれども、やっぱり取材源の秘匿ということもあるんだから、それは自分も、取材費を使うときに、会計の方に出す書類に、実際におつきあいをした、またなにがしかのものを差し上げた人の名前を出しませんでしたよね。
 そういうことで、それが仮名だということだけで、全くいけないということには、僕はならないだろうと思いますし、そのことは県民の皆さんにもきちんと警察が説明をされれば、理解をしてくださる方は相当数いらっしゃるのではないかと。
 ただ、そのことによって、何か架空のものをきって、その分、捜査費を別のことに浮かして使うということがあってはならないので、そこは、もしそういうことがあるのであれば、それは警察も身を糺さなきゃいけないし、そういうことがない形を、県との間で協議をして、予算をきちんと組んでいってもらいたいとは思います。
 けれども、ただ単に、名前がわからない、使い方がわからないというだけで、すべてが否定されるというものでは…、僕は、捜査というものの特性から言って、そういうものじゃないんじゃないかなと。
 僕の印象を聞かれれば、(それが)印象です。

(知事)
 県警本部は議会できちんと「そういうことはないです」と言われてるんじゃないです?
 議会というのはやっぱり県民に開かれた場だし、県民に対する県警本部としての直接のご説明だから、それはそれとして重みを持つんじゃないでしょうかね。

(知事)
 いや、何でもそうやって、何かおかしいからといって、「調査をしろ、調査をしろ」と言って…というのは、やや僕は…、どうなのかなあと…。
 それだけの、その調査をするだけの根拠があってならば、そういう根拠をお示しをいただいて、人も教えていただいて、「こういう人に聞けば、こういう話が得られますよ」ということであれば、調査のしようがありますけれども。
 やっぱり、具体的に「こうじゃないですか」ということを聞いていかない限りは、それ以上踏み込んだ調査というのができますかね?
 どうでしょう?
(岡村:高知新聞社記者)
 いや、それはすべてのこと…。それを言いだしたら、知事、それは何でも「調査」ってしなくなりますよ。それを言いだしたら…。
(知事)
 いや、そんなことはないですよ。証拠があればいくらでも調査はできますよ。
(岡村:高知新聞社記者)
 証拠を探す調査をすればいいじゃないですか。
(知事)
 えっ?
(岡村:高知新聞社記者)
 証拠を探そうとする調査をすればいいじゃないですか。
(知事)
 いや、ちょっとそこまでの意味…。(そこまで)言うだけの根拠と意味がよくわかりませんね。
(池:高知新聞社記者)
 信じられないという証拠があるのかとおっしゃるけども、それだったら、信じられる証拠というのは、知事は、何を信じられる証拠とお考えなんですか?
(知事)
 いや、信じられる証拠だという意味で言ってるんじゃないです。
 やっぱりそれは、信じられないと言っておられる方々がいるわけだから、そうであれば、その信じられない証拠というのももうちょっと出していただかないと。
 こちらが、だって、「信じられる証拠を出せ」と突然言われたって、それは出せませんよね。
 信じられる証拠というのは、やっぱり、県警本部なりがきちんと県議会でも説明をしておられるわけだから、それを信じるというのは、決して不合理なことじゃないんじゃないです?
(池:高知新聞社記者)
 捜査権がない代わりに、予算の執行権がありますわね?それの適正な執行のための調査というのは?
 まあ捜査権までは至らずとも、同様の権限があるんじゃないです?
(知事)
 それは調査というか、協議をして、「きちんと使ってくださいよ」と言うことはできますよね。
(池:高知新聞社記者)
 そこに…
(岡林:高知新聞社記者)
 ですからあの…、いわゆるその…
(知事)
 いや、このことだけに、どうしてそれほど…、記者会見で…。
 僕の記者会見で、このことだけに絞って高知新聞だけが質問して…というのは少しバランスを欠くんじゃないかなと、場の使い方として。
 そのことで何かご取材受けるんだったら、ご取材の時間を取っていただいてやればいいし…。と思いません?
(岡林:高知新聞社記者)
 うん。ただ、それは、先だって知事もおっしゃられましたけれども、議会という場で論議をされたと、そういう状況を受けての話だということを前提にちょっとお話を聞きたいんですが…。
 というのは、今回の話で二つお聞きしたい点があって、一つは、開示請求権という部分で、今までは県政自体は「情報を公開する」ということを大前提にですね、様々な取り組みを進めてこられてると思うんですよ。
 で、それは、そこがまず根底になって今後の県政運営が進んでいく、という知事の強いお考えがあると思うんですよ。
 そうなってきたときに、今回の捜査費の問題が、事実関係がどうであろうと、まずそこの情報自体が、例えば、監査をするときに明確な情報があって監査をしているのか、もしくは、県の会計課が明確な自信を持って「不正使用はありません」と言い切れるだけの情報を得られているのか、そこのところがまず一点問題点があるんじゃないかというふうにこちらとしては考えてまして、そうなってきたときには、知事の監査請求権というものが当然あるわけで。
 もしくは、宮城の浅野知事などはですね、直接、捜査員にまずお話を聞いてみたいと、そういう申し入れをされたりですとか、そういうスタンスを取られていると思うんですよ。そういったことに対して、知事は、そうしたようなことをやるお考えがあるのかないのか…。
(知事)
 そうしたことというのは…。
 捜査員に会って話を聞くまでの意識は僕にはないです。
(岡林:高知新聞社記者)
 捜査員から話を聞く、もしくは監査請求権を行使すると…。
(知事)
 捜査員というのは、誰に会うということですか?
 捜査員というのは無数におられますよね。
(岡林:高知新聞社記者)
 例えばそういうようなことをお考えになられてることがあるのか。
 それからもう一つは、県費の問題で言うと、県の会計課のお話と県警本部の話では、議会の中で、「食い違いがある」という表現が出てきたんです。
 食い違いがあるならば、そこを食い違いのないような形にするというのが、やっぱり当然県としてやっていかないといけないスタンスじゃないかと。それは、先ほど言われたその予算執行という状況の中ではやっていかないといけないのではないかと思うんですよ。
 そこの食い違いというのは、当然ご報告も受けてるだろうと思いますので…。
(知事)
 食い違いというのは、慰労会のことの?
 それは、これから私が申し上げるようなことを指しているのかどうかをちょっとお聞きしたいんですけれども。
 3月の時点に、県警の会計課長さんから、県の出納(事務局)の会計課(当時は出納室)に対して、「国に準拠して使わせてもらいたい」という説明をした、というのが県警本部のご説明だろうと思います。
 それに対して、うちの会計課の職員は、「概括的にその話は受けたけれども、国に準拠して慰労会の経費として県費を使わせてもらうという具体的な説明を受けたことはない」というふうに言っております。
 その点は、僕は…、そこからは新聞報道でしか知りませんけれども、県警本部も「行き違いがあった」というふうに言われて、その行き違いについてはお認めになってるのではないかというふうに思いますけれども。
(岡林:高知新聞社記者)
 それは、その行き違いという部分がですね、県の方に誤解があったということの行き違いではなくて、県警本部さんの方にですね、一定の勘違いなり、そういった部分があったという意味の行き違いと言う意味なんでしょうかね?
(知事)
 なのではないかと思いますけれども、そこはわかりません、そこまでは。
(岡林:高知新聞社記者)
 知事自身は、今の予算執行の現状の中では、その県費の部分でそういった支出を出してきた部分はないだろうとお考えになられてるということですね?
(知事)
 いや、そうではないですよ。どうして?
(岡林:高知新聞社記者)
 県費部分に激励、慰労会費という部分がですね、すでに執行部分であってる(あった)というふうにお考えなんですか?
(知事)
 いや、それは、あってる(あった)かどうかはわかりません。
 そこは具体的な、どういうふうに使ったというふうなお話を県警から私がお聞きをしたわけではないので、そこは、今の段階は、知りません。
(岡林:高知新聞社記者)
 それを調査するおつもりというのは?
(知事)
 それは調査も何も、聞けばいいことですので、わからないことではないと思います。
(岡林:高知新聞社記者)
 そこは、聞いてみるおつもり?
(知事)
 それはすぐ分かると…。
 僕が聞かなくても、それは出納(事務局)の会計課に聞いていただければ、すぐわかることだと思います。

知事の記者会見(県政記者との懇談会)  日時:平成17年4月25日 
(知事)
 当初の報道から今に至るまで、自分の立場で後から追い立てられるだけの具体的な内容があったとは、自分は感じませんでしたので、もし、相手の側から、先ほども申し上げたように、これまでの県庁内のいろいろな不祥事だとか、そういうことと同様に、何か「こういう話があるから聞いてほしい」ということがあれば、それはいつでもお受けしたいという気持ちでおりました。
 けれども、これまでは具体的に、そういうアプローチは1件もありませんでした。
 ですから、別に気持ちが変わったというわけではありませんし、この捜査費の問題に限ったことではありませんけれども、何でもいろんなご不満なり、こういう点を正すべきだという考え方なり、そういう思いがある方があれば、この捜査費の問題に限らず、話をしたいという方は言ってきていただければ、私が直接お話を聞くこともできますし、また別の形でお話を聞くこともできます。
 そういうことは、従来からも、今も、自分の姿勢としては変わるところはありません。

高知新聞05年5月28日付け記事より
橋本知事 「重く受け止める」
 27日の地裁判決を受けて、橋本大二郎知事は「判決の全文を読んだわけではないので、軽々しいことは言えないが、一審判決とはいえ、捜査費にかかる組織的な不正経理の疑いを『相当に具体的』だと認めた判断は、重く受け止めざるを得ない」とコメント。さらに「県警には(判決に対する)説明責任を果たしてもらいたい。県としてもより一層の関心を持って臨みたい」とする考えを示した。