06年2月定例会修正動議提案説明(3月17日)


 ただいま議題となりました議発第一号「第一号平成18年度高知県一般会計予算に対する修正案」について、修正動議提出者を代表して、提案理由の説明をさせていただきます。
 三位一体の財政構造改革による影響をもろに受けた形のここ数年の本県の予算編成は、連年の大幅緊縮財政を強いられてきました。そんな中で、「県庁のスリム化」「仕事のやり方を変える」という大義名分のもと、県が公の責任において果たすべき役割や業務を明確にしないままでのアウトソーシングありきの編成となっている点を危惧しています。そのため、各部局では、とにかく業務を民間に出さなければならないとばかりに、整合性をもたない業務のアウトソーシング予算によって、本来業務の質的向上や経費の効率化を生むことなく、むしろ県民サービスの後退につながるものなどが見受けられるようになっています。そして、今までは外部委託していた11件2,336千円の業務を経費削減のために、自前でやることして委託事業を廃止するなどの齟齬を生じています。
 そのようなことも踏まえたとき、今回のアウトソーシング関連予算73件、767,986千円の中には、問題点をはらんだ事業内容は多々あるものの、極めて特徴的なものについて修正を加えようとするものです。
 まず、「アウトソーシング関連総務事務集中化システム構築委託料」関連経費100,014千円を減額修正することで、総務費を132億1743万6千円としたことについてであります。
 来年度予算において、平成13年度途中から運用された「文書情報システム」が当初の効果を期待できず、来年度において新システムに移行すべくその開発費16,630千円が予算化されています。ペーパレスの決裁システム化を謳い、平成11年の開発着手以来8億円余という巨額を投資した事業であるにも関わらず、電子決裁率は年々下降し、運用開始後5年間で本来目的が達成できず、システム変更をせざるを得ないという現状に至ったのです。知事は本会議でこのことも含めた森雅宣議員の質問に答えて「挑戦すると言うことで言えば、一定のリスクを覚悟しながら取り組み始めることも、今の時代には必要なことであり、そのことは多くの県民にも理解されるものと確信している」などと答弁されていますが、県民は、文書情報システムへの8億円の投資額や電子決裁率がわずか6%にまで低下していることなどを承知されていると思われません。この文書情報システムについては、開発当初から危惧する声が多かった中で、強行してきた結果がこのような結果だけに、単なる挑戦と言うことではすまされないように思います。様々な意見をもっと真摯に受け止め、反省・総括することが求められています。
 電子県庁化構想も、打ち上げてから早や6年、投じた予算の割に県民にとってどれだけのメリットが生まれているのでしょう。ほとんど使用されることのない電子申請サービス機能整備推進費は、来年度休止に至るなど電子県庁関連の事業についての見直しが始まっています。それだけに、各種の庁内電子化システムについては、公務の特性からの配慮などは慎重に判断されなければならないということです。
 さらに、この4月に一部未完成のままスタートする新旅費システムも、12月に向けて基本設計に沿って、システムを再構築しなければならないという事態に至るとともに、その初期における混乱は避けられないとの声も出されています。だからこそ、新旅費システムの運用状況なども充分に見定め、場合によっては、新旅費システムが総務事務集中化システムに及ぼす影響はないのかなど慎重に判断されるべきです。その意味でも、現在開発中の総務事務集中化システムについては一旦立ち止まって、後年不具合が生じることがないような対応をすることがのぞましいと考えます。文書情報システムのような事態を招くことになったときに、議会も承認したではないかと言われないためにも慎重な対応が求められていると思います。
 次に、説明資料にありますように、健康福祉部障害福祉課及び児童福祉課における療育福祉センター、身体障害者リハビリセンターの「アウトソーシング推進関連給食業務委託料」、そして、中央児童相談所一時保護所、希望ヶ丘学園の「アウトソーシング推進関連調理業務委託料」のおのおのの計6,130万円を減額修正し、新たな体制で行うための追加修正6,346万円を計上することによって健康福祉費を542億7159万5千円とすることについてであります。
 予算原案の委託料の積算根拠となる人員算定基礎によれば、極めて劣悪な勤務ローテーションでないと対応できないものとなっており、そのことからも給食内容の低下を招きかねないことが懸念されます。知事は本会議で「県が外部委託の業務を発注する際には、賃金などの経費を適切に積算し、民間事業者が受注できるような適正な金額が算定されている」と言われていますが、予算額は一部業者の見積額がそのまま計上されていたり、委託条件の中には、調理業務従事者に対する労働条件の確保など一切触れられていません。12月議会で、私が指摘したある委託事業の労基法違反も後に事実であったことが判明するなど、今までにも折りに触れて、指摘してきた委託労働者の最低労働条件すら守られないのではないかと危惧します。そして、これらの施設における給食の持つ有用性は療育、訓練、教育などの面からも極めて重要なものです。例えば、療育福祉センターでは、全体の半分程度を占める特別食と言われる「きざみ食」などにおいても食材毎に分けて盛りつけ、こどもが何を食べて何を残したのか分かるようにしていることからも、障がいを持つこどもたちにとって、給食が食べるということの訓練でもあるのです。また、児童福祉施設においても給食が児童の心身の発達の重要な基盤であることなどからもそのためにも、給食内容の低下を招かないような提供体制が確保されなければならないと思うのです。
 また、アウトソーシングのもう一つのメリットとされている雇用の創出についてであります。今回のアウトソーシング先の予定雇用者数では雇用の縮小・移動に過ぎないことからも、雇用の創出とは言い難いものであります。
 県は「仕事はないのに税金で支える雇用を維持することは県民に理解されない」としていますが、県庁の中で雇用を確保することが悪であるとばかりに、業務そのものは継続して存在するのに、非常勤職員の解雇を強行するという手法を取った給食業務のアウトソーシングは認めがたいものであります。
 私たちが提出した修正案は、アウトソーシングするよりも2,160千円増額することで、給食内容を低下させることなく提供するに足る体制を全て非常勤職員で行うことによって、懸念される給食内容低下の回避とアウトソーシングの場合よりも11名の新たな雇用が生み出されることにつながるなど、そのメリットは大きいものと思われます。
 そして、これらの修正によって最終的には全体で97,854千円の減額につながる修正案となっていることについても、ご理解を頂きたいと思います。
 以上、「第一号平成18年度高知県一般会計予算」に対する修正案の提案理由を述べさせていただきましたが、同僚議員の何とぞのご賛同を頂きますようお願いいたしまして、提案説明とします。