2021年9月定例会一問一答一般質問(10月5日) |
◎32番(坂本茂雄君) それでは、一問一答による質問をさせていただきたいと思います。
まず、新型コロナ感染者の自宅療養ゼロに向けた取り組みということで、質問させていただきますが、これまでの質疑をお聞かせいただく範囲では、11月末をめどに策定する第6波に備えた医療提供体制の拡充に向けた新たな計画についても、提案説明で述べられた「9月16日以降の新規感染者については、入院または宿泊療養施設での受け入れを原則とする方針に戻したが、一方で、やむなく自宅で療養される方については、引き続き健康面、生活面での支援を行うとともに、今後の感染急拡大によって再度自宅療養をお願いする事態も想定し、必要な体制を整えていく」という域を踏み出せていないというふうに、私には思われます。
再度、自宅療養をお願いしなくてもよいように、もっと踏み込んだ姿勢を伺いたいとの思いで、新型コロナ感染者の自宅療養ゼロに向けた質問をさせていただきます。
これまで、宿泊療養施設増設の議論の際の厳しい背景として、看護師確保の困難性などが挙げてこられました。今後、医療提供体制の拡充に向けた臨時医療施設の設置も視野に入れたとき、その実現において看護師確保は不可欠であるかと思います。潜在看護師や医療機関に勤務中の看護師さんであれ、派遣看護師でも厳しい中でも勤務しようとする看護師さんのモチベーションを維持できる勤務条件を提示できなければならないというふうに思いますが、そのようなことを踏まえて、確保に向けた方策について、知事にお伺いします。
◎知事(M田省司君) 臨時の医療施設でございますとか、宿泊療養施設の設置をするためには、24時間体制で看護業務が必要となってまいりまして、多くの看護師の確保が必要になります。第5波におきましては、この宿泊療養施設に配置をいたします看護師の皆さんの確保がままならなかったということがございまして、看護協会から、いわゆる潜在看護師の皆さんを紹介していただくでございますとか、県立病院からの派遣などによって確保、対応をはかってきたところであります。
お話ございました臨時医療施設の設置に向けました医師会や看護協会などとの協議の場におきましても、この看護師を含みます医療従事者の確保というのが大きな課題であるということも確認をいたしているところでございます。
その看護師確保に向けました今後の方策といたしましてではありますが、一つには、何と言いましても、県の医師会とも協力をいたしまして、公立はもとよりでありますけども、民間の医療機関からの派遣をお願いするという方法、そして、従事者募集をできるだけ早期の段階から開始をして間に合うように手当をするということ、また、さらには、派遣や勤務に関しますルールをあらかじめ設定をしておくといったこと、こういったことが必要であろうかと考えておりまして、これらにつきまして、早急に検討を進めてまいりたいと考えております。
お話もございましたように、冬場の感染拡大に備えまして、宿泊療養の拡充、臨時医療施設の設置に向けまして、11月中をめどに、お話のありました看護師の確保も含めた新たな計画のとりまとめを行いたいと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) 今言われた中に、看護師さんたちの勤務条件、ルールのことを事前に決めておくということを言われたんですけれども、例えば、大阪の看護協会などでは、やはり、いかにして確保するかということで、非常勤職員として日当5万円で採用されたというようなこともありますし、高知県でも、この間、宿泊医療施設などに派遣されている「ナースパワー」の看護師さんの時給は最高で2,500円、夜勤の場合は1回、3万5,000円から4万円というふうになっています。ただ、それでもやっぱり大阪府なんかと比べると低いというような問題もあったりして、そういう、いわゆる賃金等を含めた待遇などでの優遇措置とか、そういったことも検討には入っているんでしょうか。
◎知事(M田省司君) 現在ところ、医師会、看護協会との協議始めた段階でございますので、具体的に、私、現時点でそういった待遇面の詳細についてまで議論の対象になっているかどうかっていうのは報告受けておりませんけれども、いずれにいたしましても、必要な人材確保といったときに、待遇面でのルールづくりというのは大事なポイントの1つだと考えておりますので、今後、確保の状況なども踏まえながら、必要に応じて検討がされるものと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) ぜひ、そのことも念頭に置いた検討を要請しておいていただきたいというふうに思います。
続きまして、8月24日の新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会で、私が質問させていただいたとき、自宅で感染防止の動線を確保するなどの家庭内感染の防止が確保された住環境にあるのかどうかまで、確認されていないということで、自宅療養の拡大が家庭内感染の拡大につながることへの懸念、不安は拭えませんでした。
現在の県の姿勢では、新規感染者が急増した場合に、再度、自宅療養が強いられる可能性があるということではなくて、「自宅療養で悪化、たらい回し」という県民の不安を解消する、そういうために、今後は、再度、自宅療養をお願いすることのないように「自宅療養ゼロ宣言」というものをしながら、強い決意を示すということは、知事、できませんでしょうか。
◎知事(M田省司君) この感染症の患者さんの状況に応じまして、必要となる療養の場所を確保するということのために、入院病床あるいは宿泊療養施設を拡充して、できる限りこれで対応するという考え方で従前も対応してまいりました。
ただ、現実問題としまして、今回の第5波のような患者の急増時、1日100人を超えるというようなペースで、これが連日確認をされるというような状況におきましては、やはり医療的なケアが必要な方、あるいは、重症化リスクの高い方々に優先をして入院していただく、あるいは、宿泊療養施設に入っていただくというために、これはやむを得ず優先順位の問題として、ある程度の自宅療養をお願いする方が出てくるということはやむを得ない状況であったというふうに考えておりますし、今後も、可能性として、そういったものについては否定をしがたいということではないかと思います。
そうなった場合に備えました自宅療養の方々への健康確認、受診調整、あるいは、生活物資の配送といった支援措置について、しっかりとした事前の備えをしていくという考え方に立っているわけでございます。
ただ、いずれにいたしましても、できるだけ自宅療養をお願いせざるを得ないという事態は避けたいし、できるだけそういった方が少なくなるように対応したいというふうに考えております。その意味で、病床ですとか、宿泊療養施設の上積みを図っていくということ、そして、どうしてもやむを得ず自宅療養をお願いせざるを得ない場合は、第5波の教訓も踏まえまして、スムーズに数々の必要な支援が立ち上げできるように、そういった対応をとれるようにしてまいりたいと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) 例えば、和歌山県知事などは、8月17日の県民へのメッセージの中に、「自宅療養は、命を守るということからすると、かなりリスクの伴う方法です。だから、命を守るため、和歌山県は全員入院にこだわっているのです」というふうなことも書かれていますし、岐阜県では、ホームページに、「本県が『岐阜モデル』の根幹として掲げる『自宅療養者ゼロ』は、今後も県民の命を守り抜くため、何としてもこれを堅持しなければなりません」というふうにも書かれています。
そういう意味では、その強い決意を示すことで、当然、前提となる医療体制を拡充しておくということは当然ですけれども、そのことによって、県民にも協力を訴えていく、そういうふうに「自宅療養ゼロ」を守りたいから、県民の皆さん、感染急増につながるようなことにならないように、ぜひ、いわば、自分の健康を守ってほしいですということも訴えていくことにつながるんではないかというふうに思います。
その意味でも、「自宅療養ゼロ」ということを訴えていくということはできないでしょうか。
◎知事(M田省司君) 現実にオペレーションをしてみますと、御家庭の事情によりまして、御家族の看護あるいは介護の事由におかれまして、患者さんの側の事情、御都合でなかなか入院あるいは宿泊療養は難しい、自宅で療養したいという方もおられるわけでございまして、現場のそうした場合の対応ということも考えましたときに、一律に自宅療養はだめだ、ゼロだということは言いにくいという事情があるということは御理解をいただきたいと思います。
◎32番(坂本茂雄君) わかりました。できるだけ目指していただきたいということを要請しておきたいと思います。
続きまして、医療機関における面会機会の確保についてということで、御質問させていただきます。
コロナ禍で全国の病院において面会禁止が続いていることから、家族とも会うことができない入院患者の孤独が新たな社会問題となっています。
そのような中、「Wi−Fiはライフライン。オンライン面会が広がれば、家族らが病院を訪れなくても言葉を交わし、患者を支えることができる。新型コロナウイルス感染拡大で病室での面会が制限される中、普及を進めてほしい」と訴えるがん経験者らでつくる「#病室WiFi協議会」が、全国563カ所にあるがん治療の拠点病院などのうち、全病室でWi−Fiが無料で利用できるのは約20%にとどまることの調査結果を9月6日に公表しました。利用できる病院がゼロというのは、全国で7県。本県もそれに含まれています。
コロナ禍の影響もあり、社会のデジタル化が急速に推進されようとしている中、知事も新たな時代の潮流の1つとしてデジタル化を掲げておられます。
そのような中で、高知県内の医療機関で、フリーWi−Fiに接続できる病室が確保できていない背景について、どのように捉えているのか、健康政策部長にお聞きします。
◎健康政策部長(家保英隆君) 医療機関でのフリーWi−Fiの導入に関する民間団体の調査では、未整備の理由として、医療機器への影響やセキュリティ面での課題などが挙がっております。
また、県内の医療機関にお聞きしたところ、入院患者さんの多くが高齢者でWi−Fiの要望がないであったり、規模の大きな医療機関ではランニングコストが課題とのことでございました。入院患者さんの容態や医療機関の規模などにより、それぞれ背景が異なっているものと考えられます。
◎32番(坂本茂雄君) 医療機器への影響とか、そういったものについては問題ないというふうな考え方もあるというふうに聞いております。財源的な問題についても補助金の延長がされたというふうなこともありますので、ぜひ、そういったところに働きかけをしていただきたいというふうに思います。
続きまして、コロナ禍によって、聴覚障害者たちは、マスク着用が求められる中、コミュニケーションが大変困難になるとともに、手話通訳者を病室に派遣することも難しくなったことから、厚生労働省は、コロナ禍の聴覚障害者のコミュニケーション支援のために、リモートで手話通訳を行う遠隔手話通訳の強化を開始しました。
本県でも感染のリスクがあり手話通訳者の同行が困難な場合に、「遠隔手話通訳」を昨年から利用できることとなっています。
そこでお尋ねしますけれども、聴覚障害者の遠隔手話通訳支援や、コロナ禍で面会が困難となっている入院患者の家族とのオンライン面会を初めとしたフリーWi−Fiに接続できる病室確保への支援について、知事にお尋ねします。
◎知事(M田省司君) オンライン面会などを行うためにはフリーWi−Fiの環境の整備をしなければいけないということになりますが、こうした際に、国からの直接の補助をするという制度がございまして、当初は、この適用の対象が9月末までに整備を要した経費、これのみを対象とするとされておりました。今回、この期限が本年12月末まで延長されるということになりましたので、医療機関には、この国の補助制度の活用について、改めて周知徹底をし、活用いただくように促したいというふうに考えております。
◎32番(坂本茂雄君) その際に、先ほど健康政策部長が言われた、今、そういう病室が確保できていない背景にあるいろんな要素を、それを、いや、こうですよ、ああですよというふうに、きちんとそんな要素を解消していく、そういう啓発もしながら、周知をしていかなければ、やはり、そこでバリアになっていることが、解消できないままに、補助金の活用もしませんよと、そういう病室確保もしませんよということになっては、せっかくの補助金の制度が活用できなくなりますので、ぜひ、そういったこともあわせて、要請をしていただきたいと思いますが、そういった多様な要請の仕方、その点について、いかがでしょうか。
◎知事(M田省司君) お話がございましたように、県内の医療機関、いろいろな事情がおありだと思います。ニーズの問題もあれば、機器の問題、技術的な問題あるんだと思いますけれども、それぞれの御事情をよくお聞きをした上で、必要な場合には、この国の補助制度も適用可能だということを御紹介するという方向で対応させたいと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) 続きまして、これらの支援が整うまでの間、また支援策があったとしても、今言われたようなさまざまな要因のため、オンライン面会が整備できない、そういう医療機関について、患者にとっての面会が回復への薬になるという視点での支援策を何らかの形で講じられないのか、知事にお伺いします。
◎知事(M田省司君) コロナ禍が長期化をしているという中でございますので、対面での面会が難しいと、そして、せめてオンラインで面会をというお気持ち、これ、私としてもよく理解ができるところでございます。こうした患者さんの方、あるいは、御家族の願いにはできる限り対応をしていただきたいというふうに私としても考えております。
県のほうで調査をいたしましたところ、県内の122あります病院のうち8割に当たります100の病院が何らかの方法で面会、オンラインも含めまして、面会の機会の保証ができていると。逆に言いますと、残り約2割の病院が、例えば、短期の入院患者がほとんどだというような理由で、面会については実施をしてないというような御回答いただいているというところでございます。
ただ、今回調べましてわかりました面会が実施できていない病院に関しましては、個別に事情をお伺いしながら、検討も要請をし、必要な場合には国の支援策も紹介をして、前向きな対応を促してまいりたいと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) ありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。
続きまして、高知県立大学図書焼却問題について、お尋ねします。
この間、高知県公立大学法人とその設置大学である県立大、高知工科大に見られた課題の中で、とりわけ県立大学図書焼却問題について、質問させていただきます。
平成30年に発覚した県立大学図書館図書の焼却問題以降も、高知県公立大学法人が誤認による複数件の源泉所得税洩れを高知税務署から指摘され105万円余の不納付加算税に加え、その延滞税を昨年1月、3月と法人が負担していることもホームページに掲載されていました。
さらに、先の6月定例会で、工科大学新学群構想が白紙化されることによって、全国紙に掲載した教員の募集広告費用などに見られる冗費も看過することはできないというふうに、私は思っています。
そして、県立大学図書館図書の焼却問題こそが、多大な公費の使途のあり方として、また、健全な大学経営を目指す大学自身による統治・管理体制について県民の疑問は解消されないままの課題として残っており、相次ぐミスを生じさせる体質を象徴しているのではないかと思えてなりません。
そこで、公立大学法人として信頼回復するためにも、課題の解決や説明責任を果たすことは不可欠だと思いますので、順次質問させていただきます。
昨年2月定例会での私の質問の際にも触れたことでありますが、検証報告書の中の合規性に関する重要文言が、検証委員会の設置者である県立大の主導によって、平成30年12月27日の報告書提出前に差し替え、変更されました。
県立大は、平成30年12月6日に検証委員各位に電子メールを送付する形で、「一部に誤りがありましたので、お知らせいたします」として、検証報告書案17ページで検証委員会の見解として「焼却に至った背景」に挙げた重要箇所を変更したもので、単なる字面の変更ではなく、この変更によって意味合いが大きく変わっていると思われます。
すなわち、変更前の「規程類の誤った解釈、運用」では、除籍、焼却処分当時の責任を指摘していたものが、変更後の「規程類の不備やそれに伴う運用」では、規程類の過去の制定者に責任が転嫁されるものとなっておるように思われます。あたかも焼却処分当事者の「誤った解釈」がなかったかのごとき文言となっていると思われます。
このような検証委員会の「中立性」「客観性」を損ねた報告書の策定過程が県民の不信感を招くものとなっていると考えるのですが、知事の認識をお聞きします。
◎知事(M田省司君) 議員から御指摘ありました報告書案の差し替え変更についてでございますけれども、この点、県立大学のほうからは、報告書の事務局案を検証委員会の各委員に電子メールで送信をいたしました際に、当初、間違った案を送信してしまったと、そういう事務上の不手際があったものだというふうにお聞きをしております。
ただ、その後、直ちに、その当日中に本来送るべきであった正しい報告書案を、再度メール送信をしたと。そして、その修正後の案をベースにいたしまして、電子メールによる審議によりまして、各委員の意見をお聞きする。そして、最終的には、委員長が集約をして報告書が取りまとめられたという形でのプロセスがとられたというふうに報告を受けているところでございます。
報告書の策定の過程につきましては、このメール審議に至るまでのそこまでの間に行われました4回の検討委員会の会合、これにつきましての一連の議事録は全て公開されております。また、その後、案文の詰めが行われました、いわゆるメール審議でのやり取りにつきましては、各委員からの御意見、そして、委員長のそれに対する判断も参考資料として、この報告書の末尾に、このメールのやり取りそのものが搭載をされているというものと承知をしております。
こうしたことを考えますと、この検証委員会の報告書の策定の過程は、事務上の不手際があったことは遺憾に存じますけれども、県民の皆さんの不信感を招くといったようなものではございませんで、中立性や客観性という点でも特に問題は生じていないのではないかというふうに考えております。
◎32番(坂本茂雄君) 単なる事務的な不手際であれば、そうかもしれませんが、やはり、そのことによって、差し替えたことによって、私は意味合いが大きく変わっているというふうに思うわけです。
そういう意味では、意味合いが大きく変わるものについては、もっと丁寧な扱いがされてしかるべきであったのではないのかなというふうに思います。
そういった意味では、第4回の委員会以降のメールによる審議のやり方というのは、もっともっと丁寧にされないと、やはり疑問を残したままの形で行うということになってしまうというふうに思います。
そういう意味で、後ほどのちょっと質問の中でも、また触れたいと思いますので、次の質問に行きたいと思います。
焼却後、そしてコレクションマネジメント方針策定後、初めて、今年5月20日から除籍図書の譲渡希望受付が行われました。
その約4,300冊の対象リストの中には、約3,800冊余りに上る「重複図書」がありまして、購入費用の支出額の問題とともに、5,800冊に上る多数の「非重複図書」さえも焼却した平成28年前後の判断に改めて疑問を抱かざるを得ません。
今回の譲渡結果について、文化生活スポーツ部長にお聞きします。
◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 高知県立大学に結果を確認いたしましたところ、32の団体、個人の方々から、合計で591冊の譲渡希望が寄せられたとのことであり、その内訳といたしましては、高知県立大学の教職員や学生及び高知工科大学の図書館が360冊、高知ミュージアムネットワークに加盟している団体や高知県図書館協会に加盟している図書館が96冊、また、県立学校が33冊、そして、県内外の他の大学の図書館が102冊とのことでございました。
◎32番(坂本茂雄君) 4,300冊のうち、そういった譲渡先がわかっているものが591冊ということなんですが、それ以外のものは、現在どういうふうになっているんでしょうか。
◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 残冊数が3,722冊ということになるわけですけれども、まず無償譲渡を探り、その後は売却、そして、廃棄という段階を経ていくことになりますけれども、廃棄につきましてもできる限り再資源化が可能な方策を探っていくというふうに大学のほうから聞いております。
◎32番(坂本茂雄君) 引き続き、無償譲渡などの検討がされるということなんですが、やはり、こういう丁寧な手続きを踏まえていたら、平成28年当時にああいったことが起きなかったんじゃないかということが、やはり、思われてなりません。そういう意味でも、改めて、図書焼却問題というのは、いろんな教訓をいまだに残しているというふうに思われますので、引き続き、質問をさせていただきたいと思います。
焼却処分された図書のうち、例えば、国費で編集・刊行され、寄贈されていた『平和の礎』というのが19冊、管理細則第15条の保存の必要がないと認められた理由として、県立大総合情報センターは「上下本やシリーズが揃っていない図書」として除却候補リストに選書し、平成28年11月7日の総合情報センター運営委員会で除却を決定したとされています。
この19冊各巻の内容は、推理小説などにおける上巻・下巻のようなストーリーの連続性に係わる性格のものでもなく、除籍の判断をしたこと自体、管理細則適用の前提を失っているのではないかというふうに思われます。
したがって、検証委員会は「検証のまとめ」検証報告書21ページで「処分方法についても問題がある」とした上で、「内規第5条のただし書きを安易に運用し、焼却という処分方法が選択された」と指摘しているにもかかわらず、県の法規担当部署や県立大が照会した弁護士は除籍から処分に至るまで「問題ない」と述べていますが、「安易に運用したという判断」が真に問題ないというふうに、知事は考えられているのか、お聞きします。
◎知事(M田省司君) 除却としての処分につきましては、高知県立大学・高知短期大学図書管理規程、後には、図書管理規則ということに改められておりますが、これに基づき実施をされたものというふうに承知をしております。
また、処分につきましては、大半につきましては、細則に定められました3つの方法のうち、贈与や売却によらずに廃棄によることが決定をされて、廃棄の具体的な方法として焼却を行われたと、そういったような位置づけになっているというふうに考えております。
問題が全くなかったのかという点についてでございますけれども、その廃棄をされたもの以外の残りの一部の図書については、学内での贈与により再活用が図られたということでございますが、引き取り手を広く学外に求めていくといった対応が十分検討されなかったと、この点は不適切であり、大変残念なこと、そういう意味で問題はあったとふうに考えております。
ただ、当時の大学の規定などには廃棄の方法は規定されていなかったということでございまして、過去に行っていた処分方法を踏襲するといった形で焼却がされたというような状況にあったというふうに承知しておりまして、焼却をしたこと、そのことまでが違法とまでは言えないのではないかという認識でおります。
◎32番(坂本茂雄君) 今の答弁は、4問でお聞きしようかというふうに思っていたところにも触れると思うんですが、実は、4問目にお聞きしようと思っていたのは、2月定例会での質問の際に、「県立大学の図書焼却処分は、学長も認めた『内規を準用して焼却を行っていた』ということが、『規程等に違反したものとは言えない』ということになるのか」という私の質問に対して、知事は「焼却したことが規定などに違反したものとまでは言えないのではないかというふうに考えている」というふうな答弁を昨年の2月されたわけです。
ちょっと、今、そういうふうな答弁をされましたから、ちょっと通告している質問の仕方と変わらざるを得ないんですけれども、結局、焼却処分ということは規定等に、細則とか規定等に定められていないわけですね。廃棄は定められてあっても、その方法としての焼却ということ、定められていない。
一方で、じゃあ、焼却ということを定めたものが内規にはあるんだけれども、その内規は失効していたということで、そしたら、一体、この県有財産の処分は、県としては何に基づいてやったのかという基本に帰らざるを、私は、得ないと思うんですね。そこが明確にされていない。あるいは、平成30年10月5日の危機管理文化厚生委員会で学長がおっしゃったことや、あるいは、県がこれまで説明してきたこと、いずれかが訂正されなければいけないんじゃないかなというふうに、私は思うんですけれども、これは4番の質問にもつながりますけれども、いかがでしょうか。
◎知事(M田省司君) 問題がないということの意味を、妥当性を欠くという意味か、違法性がある、ルール違反ということまでに達するかどうかということをただ今申し上げたところでございます。
改めて、お尋ねがございました準用云々の点についてでございます。御指摘がありました平成30年の県議会の危機管理文化厚生委員会におきます学長の発言におきましては、既に失効しております内規そのものを準用したかのように受け取れるような発言ございまして、もし、内規そのものを準用したという趣旨で話されたとすれば、これは正確さを欠く中身であったんではないかというふうに考えております。
しかしながら、その前後の発言、その他を踏まえて、学長の発言の真意を考えますと、規定に基づいて廃棄する際に、その方法として過去に内規で基づいて行われていた焼却という方法を踏襲したというふうな趣旨で話されているというふうに、私は理解しておりますし、大学の事務局側もそういった理解をしているというふうに承知をしております。
そういったことでございますので、この規則そのものの準用というのは、法令上の用語の用い方としては、私は、普通は準用という形にはなると思っておりませんけれども、学長自身は、準用という言葉を使われておりますが、規則そのものの準用ということではなくって、焼却という手法を踏襲したという意味で、そういった発言をされているというふうに考えておりまして、その限りでは、県としての見解と特に矛盾をするということではないとふうに考えております。
◎32番(坂本茂雄君) ちょっとそのことにも納得いかない部分があるんですが、また、後ほど聞かせていただきたいと思います。
この大学の問題で、先ほど来言われています、例えば、内規を準用したのかどうかというふうなことも含めて、実は、こういったことについて、昨年の2月のときに、文書訓諭という処分がどうだったのかということに対して、知事は、「就業規則に沿って処分をされたものだ」ということなんですが、この就業規則に沿ってみても、計画的な除籍を長年怠って、内規のプライバシー等の誤った解釈によって県民への譲渡の道を一切開くこともなく大量の法人資産を焼却したという事実だけをとってみても、高知県公立大学法人職員就業規則第34条の「懲戒処分」に該当する項目があるわけですけれども、その中にある「法人全体の秩序を乱し、又は信用を傷つけるような行為」さらには「法人に損失を及ぼすような行為があった」ということに該当するものではないのか。それを、第36条の「文書訓諭」という処分が適当だったというふうにお考えなのか、お聞きします。
◎知事(M田省司君) お話がございました理事長等の処分は、検証委員会の検証結果なども踏まえまして、高知県公立大学法人として就業規則に基づいて判断されたというふうに受けとめているというのは、御指摘ございましたとおり、この認識は変わっておりません。
大学におきまして、この処分を検討される、そうした中での過程の考え方といたしまして、学外への再活用の道を探ることなく廃棄処分を行ったことについては不適切ではあると。しかし、当時の状況から、違法性あるいは重大な過失があったとは言えないという判断のもとに、公務員で言えば懲戒処分に当たるような処分ではなくて、一種の訓示的な処分に当たります文書訓諭という処分を選択された、そういう判断をされたということだというふうに、私としては理解しておりまして、これは県から独立した法人格持ちます公立大学法人として、そういう判断をされたことでございますし、中身のおいて一定の合理性はあると考えておりますので、それを尊重したいというふうに考えております。
◎32番(坂本茂雄君) 時間がありませんので、最後に要請したいんですが、検証委員会報告を初めとして、この図書焼却問題に疑問を抱かれている方、県民の皆さんというのはおいでるわけです。いまだに、やっぱり疑問は残っていると。そういった皆さんが、法人との間でやりとりを、今でもされています。しかし、今、そのことについて、もう法人の側は、もうこれ以上やりとりする必要はありませんというふうにまで言われています。
やはり、そういう疑問に対して、きちんと説明をしていくという姿勢を、私はこの問題に関しては持ち続けなければならないというふうに思うんです。それが、まさに、知事が目指す共感と前進の県政を進めていく上でも、しっかりとした説明責任を果たすことが求められていることと同じだというふうに思うんですね。
知事、このことについて、どう思いますか。もう一遍、このことをきちんと県民と向きおうて、再検証するのか、あるいは、説明責任を果たすということをやっていかれるのか、そういったことは法人側に求めていくつもりないですか。
◎知事(M田省司君) この御質問の答弁を調整する過程で伺ったところでは、この検証委員会の委員をお務めいただいた方からも、引き続き、この過程に関しまして御意見をいただいているような状況はあるというふうにお聞きしております。
このことの事案に関しまして、しっかりと検証をして、一種の処分もされてということです。できているとは思いますけれども、なお、こうしたことについて御意見があるという点につきましては、大学側において丁寧な対応していただきたいというふうに考えております。
◎32番(坂本茂雄君) ぜひ、このまま、もう打ち切るということではなくて、きちんとした説明責任を果たしていただくように、大学側にもお話をしていただきたいと、今おっしゃったようなことで、いただきたいと思います。
それでは、続きまして、賃貸住宅における家具固定の加速化について、質問させていただきます。
南海トラフ地震対策行動計画の中でも、重点課題の第一「住宅の安全性の確保」では「住宅の耐震化」と「家具固定」が車の両輪であり、そのどちらかが欠けると命を守れないと位置づけられています。
さらに、東京消防庁が行った2016年熊本地震の際の「室内被害の実態調査結果」のマンション編によりますと、なぜ家具の転倒防止を実施していないかの問いに対して、約1割の方が「賃貸住宅で転倒防止ができない」と答えられています。
それは、家を借りている場合は、退去の際、借りた時の状態に戻して返却する「原状回復義務」を負っているからです。そのため、賃借人であるから家具固定ができないと思っている人は全国でも多いと思われます。
本県は、南海トラフ地震が想定されている中で、命にかかわる家具固定ができることが賃貸住宅の付加価値になってくるということも啓発することが求められてくるのではないでしょうか。
そこでお尋ねします。
本県の場合、県営住宅における家具固定跡の原状回復については、実質義務免除となっているとお聞きします。
今後は、正式に「県営住宅住まいのしおり」にその旨明記することで、しおりの第5編にある家具固定を進めることになるのではないかと思いますが、土木部長にお尋ねします。
◎土木部長(森田徹雄君) 県営住宅への入居時に入居者様に配布する県営住宅住まいのしおりには、退去時に家具固定跡の原状回復が必要ない旨の記載はしてございません。
このため、家具固定器具のネジ穴等の原状回復義務を免除していることをしっかり周知することとし、次回の定期募集時からしおりに記載するようにいたします。
◎32番(坂本茂雄君) よろしくお願いします。
それで、各市町村営住宅においては、県営住宅同様、家具固定跡の原状回復についての義務免除がなされているのかどうか、土木部長にお尋ねします。
◎土木部長(森田徹雄君) 家具固定跡の原状回復につきまして、市町村に問い合わせしましたところ、本年9月時点で11市町村が退去時の原状回復を求めておらず、しかしながら、明文化はしていないというふうな回答がありました。
その他の市町村につきましては、14市町村が原状回復を求めておりまして、9市町村が損傷の状況によって判断するということでございました。
なお、明文化していない11市町村には明文化の働きかけをするとともに、原状回復を求めている市町村には義務免除の検討をするように働きかけてまいります。
◎32番(坂本茂雄君) ぜひ、よろしくお願いします。
賃貸住宅における家具固定を促す動きというのは、今年3月31日付けで出された国土交通省からの「賃貸住宅における家具の転倒防止措置の促進について 周知依頼」によって、加速化され始めたと思いますが、この文書を受けた本県賃貸住宅関係団体がどのように対応をされているのか、土木部長にお伺いします。
◎土木部長(森田徹雄君) 国土交通省は、公益社団法人全国賃貸住宅経営者連合会及び公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の2団体に周知依頼を行っております。周知依頼を受けました両団体の高知県支部に確認いたしましたところ、周知依頼のあった内容につきまして、ホームページに掲載することによって、会員に対する周知を図っているというふうに聞いております。
◎32番(坂本茂雄君) さらにそれが具体的に成果を上げていくような形で、賃貸住宅関係団体とも意見交換がされたらいいのではないかというふうに思いますので、その点についてはよろしくお願いいたします。
今後、どのような支援ができるのか、お聞きしまして、最後の第5問は、せっかく準備をいただいた各部局の方には申しわけありませんけれども、時間の関係で来年2月の定例会でぐっすりと質問させていただきたいと思いますが、土木部長、最後にお願いします。
◎土木部長(森田徹雄君) 民間住宅を含めまして、入居者が行う家具の転倒防止等に要する費用を助成する補助事業、県内27市町村で実施してございます。県におきましては、家具の転倒防止対策の必要性や住宅の耐震工事とあわせた転倒防止策の実施につきまして、新聞広告やリーフレットにより啓発をしております。また、補助事業を実施している市町村に対しましては、その経費の一部を支援してございます。
引き続き、家具の転倒防止対策の必要性について啓発を行うとともに、原状回復義務の免除、取りつけ費用の補助等の仕組みを紹介しながら、全市町村でこの取り組みが進むように働きかけてまいります。