2021年2月定例会一般質問(3月2日)

◎32番(坂本茂雄君) 県民の会を代表いたしまして、順次、質問をさせていただきたいと思います。
 冒頭に、この間、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りしますとともに、感染された皆様にお見舞い申し上げます。そして、医療の現場をはじめ感染症予防と向き合ってこられた皆様、この1年間、新型コロナウイルス感染症という難題に全力を傾けて対応されてこられた知事はじめ県職員の皆さん、感染防止のために御協力いただいた県民の皆様に感謝申し上げます。
 それでは、「共感と前進」の県政を進めようとされている知事の政治姿勢から、お尋ねしたいと思います。
 知事は、ウィズコロナ、アフターコロナの時代において、キーワードとなるのは、「デジタル化」「グリーン化」「グローバル化」の3つを掲げられています。
 しかし、私はそれだけではなく、むしろ、県民の共感を得て、ウィズコロナ、アフターコロナの時代に前進する県政を進めるために必要なキーワードは、「誰一人取り残さない」というキーワードなのではないかと思っています。
 私たちは、この1年間、コロナ禍の社会の中で、弱い立場に置かれていた方々や、コロナ感染防止のためにとられた措置のために、苦しい状況に置かれたエッセンシャルワーカーや事業者の方々などが一気に顕在化したことを目の当たりにしてきました。
 しかし、そのときにも何とか「誰一人取り残されない」ような支援策を講じ、みんなで協力し合い、支え合ってきたのではないでしょうか。このことが、ウィズコロナ、アフターコロナの時代であっても根底にそのことがあってこそ、前進する県政の下支えとなるのではないかと思います。
 それは、昨年4月策定の県政運営指針の第2章「県庁の目指すべき姿を実現するための6つの柱」の「姿勢 基本方向4 時代の潮流を的確に捉える」にある「誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会」の実現を目指すためにも欠かせないものであり、「誰一人取り残さない」ということこそが、ウィズコロナ、アフターコロナの時代にこそ必要ではないかと考えますが、これはキーワードとして、知事の考えにはないのか、お聞きします。
 次に、知事の「共感力」について、お聞きします。
 M田知事は、就任以来「共感と前進の県政」を掲げ、これからも「共感と前進」の県政を実行しようとされています。
 昨年暮れ、12月4日のNHK高知放送局の番組「とさ金」で、M田知事が1年間を振り返ってコメントされているのを見ました。番組内で、コロナ感染拡大対策と南海トラフ地震対策の場面で、訓練に取り組む地域の自主防災会会長が「地域だけで、感染対策を一段上げてやるのには限界がある」とのコメントに対して、アナウンサーが「印象的な言葉だが、現場へのサポートをどのように考えるか」と知事に問われました。
 しかし、知事は「防災対策の第一線は市町村にやっていただくが、市町村に対して情報の提供と、財政的支援ができるよう国へ求めていく」というもので、現場へのサポートに一切触れず、自治体へのサポートについてのみのコメントで終わったことに、知事は県民に対する共感力を備えているのだろうかと感じざるを得ませんでした。
 ダイヤモンド社発行のハーバード・ビジネスレビュー編集部がまとめた「共感力」という書籍には、他者の視点を理解する「認知的共感」、他者の感情をくみ取る「情動的共感」、相手が自分に何を求めているかを察知する「共感的関心」という3タイプの共感があり、効果的なリーダーシップを発揮する上では、このどれもが重要であるとされています。
 その意味では、これらの共感力を十分に備えていないリーダーでは、県民の実態・思いに共感する県政を実行できるのだろうかと思わざるを得ません。
 知事は、自らに「共感力」が備わっていると思われているのか、どうかお聞きします。
 次に、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みについて、お聞きします。
 このほど『Nature Climate Change』に発表された論文で「新型コロナウイルスの影響で世界中の都市がロックダウンしたことで、4月初旬までのCO2排出量が1日当たり最大17パーセント減になったことが明らかになった。だが、実は、最も減少した日でも2006年の水準であることから、パリ協定の目標達成に向けた道のりの険しさが見てとれる」とありました。
 また、人類が使用した化石燃料の何と約半分が、冷戦が終結した1989年以降のものであり、日本は二酸化炭素排出量が世界で5番目に多く、上位5カ国だけで世界全体の60%近くを占めているというハードルの高さに挑戦しなければならないのです。
 そんな中で、カーボンニュートラルの実現を目指すとした、本県が目指す脱炭素化宣言がどのようなものなのか、提案説明だけでは見えてきません。
 それを可視化するための宣言が「アクションプラン」なのでしょうが、「高知県脱炭素社会推進協議会」のメンバーには、公募による多様な県民やエコロジストの参加を求めるなどして、本県らしさを生かした本気の「アクションプラン」づくりを目指すべきと考えますが、お聞きします。
 中山間、奥山間地で「誰一人取り残さない」ための取り組みについて、お伺いします。
 2月11日付け高知新聞記事には、知事初め多くの県民の皆さんが驚かれたことと思います。吾川郡仁淀川町別枝で10日午前、民家が焼け落ちているのを近くの住民が発見したというもので、夜間に出火した際に、付近に人家は少なく、誰も火災に気づかなかったと報じられていました。このことを知って、この集落と関わって来られた方々は、随分と残念な思いをされたのではないかと思います。
 本県の中山間・奥山間地には、このような仁淀川町での集落に代表される類似の集落が散在すると考えられるのですが、このような事実を知事はどのように受けとめられたのか、お伺いします。
 そのような中山間地、奥山間地の実態もある中で、現在の過疎法の3月期限切れを見据えて、新たな過疎対策のあり方が検討される中、「過疎対策の意義を新たに捉え直す必要」があるとした上で、これからの過疎地域の役割、地域の価値を維持することなどが検討されてきたと言われています。
 提案説明では、新過疎法の制定に向け、本県と県内過疎市町村の要望を踏まえた形で議論が進められ、過疎地域に対する交付金事業や5G基地局の整備事業が拡充されるなど、本県からの提言の多くが実現する見通しとなっていると言及されました。
 本県にとっては、地域が求めるきめ細かな支援のさらなる拡充に資する法案となっているのか、お聞きします。
 次は、来年度予定されている集落実態調査についてです。
 「過疎化や高齢化が進行する中山間地域の集落を中心に、暮らしや産業の実情、住民の皆様の思いを知り、中山間地域で望まれている施策の展開につなげるため」に行った前回調査の結果を受けて、中山間対策の抜本強化を行い、その1つとして集落活動センターの取り組みが県内全域に拡大したと言われています。
 その一方で、中山間地域の高齢化や人口減少がより一層進展し、過疎化の進行、産業や地域づくりの担い手不足、地域の二極化による地域間格差が拡大しているとの現状認識があるとすれば、10年ぶりの調査というのは遅きに失したとも言えるのではないかと感じていますし、もっと早い段階で手を打つべきであったのではないかと思わざるを得ません。
 そこで、お尋ねしますが、10年ぶりに行う県内全域の小規模集落を対象とした実態調査の結果分析、これまでの中山間対策を検証した上で、講じられる対策は、どのようなタイムスケジュールで、予定されているのか。
 また、中山間・奥山間地間の格差、集落活動センターの有無による格差、集落活動センター間の格差などの是正や内発的発展につながるような調査となることを期待していますが、調査を踏まえて、どのような中山間・奥山間地対策を講じたいとの思いなのか、お聞きします。
 次に、南海トラフ地震のリスクへの対応について、知事にお聞きします。
 東日本大震災から10年ということで、この10年間の復興過程から教訓として学び直すことが、改めて求められています。
 この10年間には、2016年の熊本地震、鳥取県中部地震、2018年の大阪北部地震、北海道胆振東部地震、2019年山形県沖地震、そして、今年2月13日福島県沖地震と、それぞれの地震、さらには、西日本豪雨災害や昨年の令和2年7月豪雨と深刻化する自然災害ごとに、新たな社会の脆弱性を露見させてきました。
 さらに、人災とも言える福島第1原発事故の教訓が踏まえられることのない原発再稼働など、福島県の復興は道遠しと言わざるを得ません。
 災害リスクから「誰一人取り残す」ことなく、命を守るために備えなければならない課題が突きつけられる中で、重点化しなければならない課題、急がなければならない課題、追加して取り組まなければならない課題が、それぞれの災害から明らかになってきました。
 県民は、それらの課題と向き合いながら、自助・共助による防災力の向上に努めているのですが、それらを後押しするためにも、公助が強化されなければならないと考えます。
 今時点で、南海トラフ地震を迎えたときに、公助の備えの不十分さで、「誰一人取り残す」ことなく命を守ることは、残念ながら、実現できないのではないかと考えられます。
 自助・共助の面で県民にさらなる協力を求めるためにも、その不十分さを県民に明らかにするとともに、いつまでに、どのような公助を備えることが必要だと考えられているのか、お聞きします。
 次に、朝日新聞が、東日本大震災から10年を前に、自然災害の被災者支援に関する法制度について、都道府県知事に実施したアンケート調査について、お尋ねします。
 まずは、被災者生活再建支援法についてです。
 これまでは、被災住宅の再建費を支給する対象として、損害割合50%以上の「全壊」と40〜50%未満の「大規模半壊」の世帯が支給対象でしたが、昨年11月の法改正で20〜40%未満の「半壊」のうち、30%台の「中規模半壊」も対象となりました。
 しかし、これだけで生活再建が可能になるというものではなく、いわゆる「半壊の涙」がとまるものではないと言わざるを得ず、一部が解消されたに過ぎない今回の法改正にとどまらず、引き続き、制度の拡充を求める取り組みが継続されなければと考えてきました。
 そのような中で、今回の調査で、法改正後の制度について、さらに改善が「必要」と答えたのは25知事、「どちらかというと必要」は15知事、そのうち36知事が支給対象の拡大を求めていました。
 しかし、「対象範囲は今のままでよい」とした10知事の中に、M田知事も含まれていたことについて、なぜとの思いがしましたが、なぜ「今のままでよい」と答えられたのか、お尋ねします。
 次に、「被災者総合支援法」の創設に対して、「必要」と答えた知事は18知事にとどまっているとの報道がありましたが、昨年、私の質問に「被災した方々、あるいは、地方公共団体にとっても、被災者を支援する現行の法律を一本化して、災害法制をわかりやすくするということは重要な視点だ」と答えた知事は、どのように答えられたのか、お尋ねします。
 これまでも、事前復興に関しては、たびたび取り上げてきた課題でありますが、河北新報1月12日付け「復興再考」第7部高台移転の記事で、私も地域の皆さんと訪問した石巻市雄勝町で復興支援に取り組んだ、和歌山大の宮定章特任准教授は「価値観が多様化し、単一の復興事業に多数の合意を得るのは難しくなった。事前に被害を想定し、地域ごとにどう生活再建するか、話し合う必要がある」との記事がありました。
 その宮定先生には、昨年、私の住む下知地区にも来ていただき、「事前復興計画などと関連づけて、事前に復興まちづくりの姿を大まかに描いているだけでも随分と違う。災害が起こってからの話し合いではうまくいかない」とのアドバイスをいただきました。
 「事前の準備」として、復興に必要な財源確保、復興にかかわる制度の改定、復興を進める体制の整備をしておくことや、「事前の事業」として、災害後の復興で実施することになる区画整理や耐震補強、さらには、コミュニティ強化などの事業を前倒しして実施することなどで、地域、社会の脆弱性を事前に取り除いて、災害に備える、事前の減災まちづくりに取り組むことこそが被害を少なくすることにつながるのであります。
 そこで、事前復興計画による事前復興のまちづくりについて、お聞きします。
 市町村が速やかに復興まちづくりに着手するためには、発災後の土地利用や公共施設の配置などの基本的な考え方を事前に取りまとめた、事前復興まちづくり計画を策定しておくための参考となるよう「高知県事前復興まちづくり計画策定指針」を取りまとめるとされています。
 しかし、これまでに取り組まれた「高知県震災復興都市計画指針」に基づく訓練のように何年もかけてやるなどということの繰り返しであってはならないと思いますが、指針策定後の市町村の取り組みをどう考えているのか。
 また、「事前復興まちづくり計画策定指針検討会」のメンバーに、多様な方々を補強するよう検討をすべきだと考えますが、お聞きします。
 2018年12月定例会の私の質問に、当時の尾ア知事から「地域の復興のまちづくりについて、事前に市町村や地元の皆様で議論し、地域の合意形成など可能なものについては、前倒しして実施しておくことで、早期の復興につながるものと考える。また、こうした議論をしていく中で、住宅の耐震化や火災対策によって、被災後の復旧費用が少なくなることや、避難生活の短縮につながることなど、事前の備えに対する理解が深まり、対策が進む効果もあると考えている」と答弁していただきましたが、事前復興まちづくりを前倒ししてできる仕組みを早期に実現するべきだと考えますが、お聞きします。
 次に、最終年度を迎える第4期南海トラフ地震対策行動計画とその改定について、お尋ねします。
 2015年6月定例会閉会日に、この議場で、議員のための防災研修で講師を務めていただいた鍵屋一跡見学園女子大学教授が座長を務められていた「令和元年台風第19号等を踏まえた高齢者等の避難のあり方について」サブワーキンググループが、昨年12月に最終取りまとめを発表されました。
 そこには、「災害時の避難支援等を実効性のあるものとするためには個別計画の策定が有効。個別計画について、制度上、市区町村が策定に努めなければならないものとして位置づけ、さらに取り組みを促進する」とし、「市区町村が策定の主体となり、福祉専門職、社会福祉協議会、民生委員等の日常の支援者及び地域住民と連携して策定」することとありましたが、そのことを踏まえ、避難行動要支援者対策と個別計画の策定について、お尋ねします。
 沿岸19市町村での個別計画モデル事業の横展開や個別計画作成の取り組みに対する福祉の専門職の参画の促進などを加速化するためにも、市町村のマンパワー不足の解消に対する「要配慮者避難支援対策事業費補助金」を令和元から3年度限定でかさ上げしているが、効果があるのであれば、第5期行動計画でも継続し、さらなる拡充を図り、必要な総額を確保し、避難行動要支援者対策を加速化すべきでないのか、地域福祉部長にお聞きします。
 次に、高知市の長期浸水対策について、危機管理部長にお尋ねします。
 高知市では、長期浸水対策として、高知市救助救出計画基本方針を平成31年3月に策定し、これを踏まえて、令和2年3月に、基本的な救助活動を実施する際に必要となる事項や具体的な救助活動の方法をまとめた「救助救出計画」が策定されました。これによって、最短で14日目に救出できる試算となっていることが明らかになっています。
 そこで、当面の目標である10日間で救助するためには、ボート58艇の追加調達の必要性が検討されていますが、いつまでにどのようにして調達するのか。また、10日間という期間をさらに短縮するために、どのような方策を検討されているのか、お聞きします。
 そして、救助救出計画には課題として、「住民に対し、救出までに時間がかかることを認識してもらい、必要な物資等の備蓄を進めてもらうよう啓発」するとしていますが、長期にわたって津波避難ビルで過ごす避難者が、津波避難ビルでの備蓄や避難者が持参する非常持ち出し袋で過ごすことは極めて困難です。この方たちに対する支援策をどのように講じられようとしているのか、お聞きします。
 長期浸水とも関連しますが、広域避難のあり方について、危機管理部長にお尋ねします。
 令和元年9月定例会の際の「中央圏域内での避難所の余剰充足数を差し引いてもなお、約3万人分不足するという試算結果であり、現状では、中央圏域内で完結できない。その場合は、中央圏域を越えた範囲で確保することになると思われるが、避難先の提示がどの段階で明らかにされるのか」との私の問いに対して、部長は「住民の方々に対して避難先をお示しできるのは、基本的には広域避難の調整が終わった時点になると考える。ただし、高知市については、広域避難者が多く発生することが想定されることから、今後、避難先についての大まかな方向性は決めていきたいと考えている」とのことでしたが、現状と今後の具体化について、お聞きします。
 この項の最後に、昨年9月定例会で、私の質問を踏まえて、「災害ケースマネジメント」の体制検討について、第4期計画に早速位置づけていただいたことに感謝申し上げますが、体制検討をしていくための取り組みはどのようになっているのか、危機管理部長にお尋ねします。
 続いて、新型コロナウイルス感染症対策について、お尋ねします。
 新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは、この国の潜在化していた課題を顕在化させ、可視化してきたことをしっかりと総括し、これらの課題を平時から克服するために何をなすべきか、考えなければなりませんが、今回は当面する課題についてのみ質問させていただきたいと思います。
 まず、医療体制の課題であります。
 1月16日の新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会や2月19日の病院企業団議会で、高知医療センターの島田病院長は医療センターの第3波のコロナ対応でしのいだ窮状を、次のような趣旨で述べられました。
 12月20日以降、中等症・重症患者の割合がふえる中で、1病棟閉鎖していたことに加えて、1病棟減床運用を行うなど看護師の確保をすることや救急ICU病棟をコロナ重症患者に転用使用するなど重症者増加などの対応に可能な限りの調整対応しながら、救急医療と手術を維持し、三次救急の一部抑制、通常診療の縮小の可能性などを回避してきました。しかし、第4波を想定すると、これ以上の事態への対応も限界に来ており、望むべくはもう一つの代替医療機関が確保されるべきではないかということでした。
 県としては、高知医療センター同様に重症患者に対応できる代替医療機関の確保について、どのように受けとめ、確保の可能性について検討されているのか、けさの梶原議員への部長答弁以上に、具体的な答弁を知事にお聞きします。
 次に、コロナ禍で明らかになった医療体制の脆弱性を補うための検討についてです。
 2019年9月下旬には、診療実績が少なく、非効率な医療を招いているとして、公的病院の25%超に当たる全国424の公的病院が、再編統合の議論が必要として病院名が公表され、改めて、再度協議を行うよう各都道府県に要請されていました。
 しかし、わずか半年の間に、新型コロナウイルスによるパンデミックは、感染症に脆弱な医療提供体制の課題を顕在化させることとなり、感染症対策と地域医療を両立できる制度改革について、市町村、都道府県、国が一体になって真剣に向き合わなければならない課題となりました。
 公的医療機関等2025プランでは、余剰と見られていた病床の一部を感染症対応に備えるものとして確保する議論もされるべきではないかと考えますが、お聞きします。
 そして、そのために、今後、感染症に配慮する確保病床数やその財政支援等の必要性について検討されるべきではないかと思いますが、この項も知事にお伺いします。
 次に、自宅療養者への支援対応について、健康政策部長にお尋ねします。
 第3波の感染拡大期に、県内でも12月中・下旬にかけて、入院調整者が50人台で推移する時期があり、県民からは心配の声が届けられることがありました。
 今後も、第4波に向けての入院調整者がふえる場合などに向けて、あってはならないが、やむを得ず自宅療養を求められる方がいた場合に備えて、しおり・マニュアル的なものの作成が新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会の場で示されていました。
 しかし、都市部では、自宅療養中の症状急変で亡くなられる方もいた中で、自宅療養者への対応として、しおり・マニュアル的なものの配布や電話での症状把握だけでなく、安心して自宅療養に専念できる相談体制、家族との分離・独居者支援、パルスオキシメーターの貸与、配食サービス、ごみ出しなどの支援がされるべきと考えますが、お尋ねします。
 次に、新型コロナ対策関連法改正への対応について、お尋ねします。
 改正新型コロナ対策関連法は、課題を残しながら、2月3日に可決・成立し、13日には施行しました。
 入院拒否者に対する懲役刑や罰金を伴う政府案は、国会提出後に修正、協議で行政罰の過料に改められたものの、罰則は盛り込まれることとなりました。
 その手続きは、保健所などの行政機関が担うこととなりますが、当の保健所には、これまで同様、本来業務に加えて、相談や感染者の対応に追われ、疲弊している上に、さらに荷を負わせることになるのかと思わざるを得ません。
 それより、入院治療をしていただかなければならない方に自宅療養を強いている今の医療体制を拡充することのほうが、国の責務ではないのかとの声が高まっていますし、この過料によって、検査忌避や病気の隠蔽、差別意識の助長などを広く招くおそれはないかということさえ懸念されます。
 また、改正特別措置法にある営業時間の短縮などの要請・命令に違反した事業者を過料とする規定に対しても、誰がどのように違反をチェックするのかという疑問が生じており、公平性や実効性がはっきりしないままの、罰則ありきの改正だと言われる中で、M田知事は「刑事罰ならより実効性の高い協力が得られるのではないか」と話し、刑事罰を残す選択肢はあったと言及されていましたが、その真意を知事にお尋ねします。
 次に、罰則に係る事務取扱について、お聞きします。
 福祉保健所職員が行う「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の改正の施行に伴う罰則に係る事務取扱については、第19条の規定による入院勧告等による入院の期間中に逃げた等の場合、または、第15条第8項の規定による命令を受けた者が、同条第1項等の規定による積極的疫学調査につき正当な理由がなく拒否した場合等の場合について、新たに過料が設けられました。
 基本的な考え方として、業務に当たって法違反などを確認した場合には、まず、適切に助言、指導などを中心に行うことを通じて是正を促していくことが望ましいものであることに十分留意することとなっていますし、慎重にも慎重を期していただきたいと思います。
 その上で、例えば、入院措置を受けて、正当な理由がなく入院すべき期間の始期までに入院しなかったときに罰則が科されることとなりますが、入院措置の対象となっても、患者本人やその家族に必要な介護や保育などの福祉サービスを確保できないために、当該措置で指定された医療機関に入院できない場合などは「正当な理由」に該当し得ると考えられます。
 しかし、その都度の「正当な理由」の判断はどのようにされるのか、お聞きします。
 そして、そのような罰則に係る事務取扱の業務に従事する福祉保健所職員の精神的負担が増大したり、業務過重とならないように十分配慮されるべきと考えますが、どのように考えられているか、お聞きします。
 次に、ワクチン接種体制について、健康政策部長にお聞きします。
 2月27日の全国知事会では、ワクチンについて、供給スケジュールや配分量をより具体的に、速やかに示すよう求めたとの報道がされていました。
 まず、接種順位について、お聞きします。
 高齢者等が入所、居住する社会福祉施設等の職員のワクチン接種は、現在の国の予定では、高齢者への接種の次となっていますが、病院職員と同時期か、せめて、その次であることが望ましいのではないか、お聞きします。
 次に、ワクチン接種のためのアクセスの確保について、お伺いします。
 移動の難しい高齢者や障がいのある方らが、ワクチン接種会場を訪れやすくするため、交通機関の利用を後押しする動きが全国の自治体の中から出始めています。
 タクシー券の配布や送迎バスの運行が代表的で、一人暮らしで移動手段がないと、接種をためらいかねないということで、高齢者らのアクセス方法への支援で円滑な接種を促すものですが、本県においても、医療機関での受診などについて、タクシー利用などをしている中山間地などに居住されていて、接種会場に出向けない方などの場合、どのようなアクセス方法が考えられるのか。また、接種会場や医療機関までのアクセスに伴う費用負担について、お聞きします。
 次に、市町村境付近に居住される方で、隣接市町村の接種会場に出向いたほうが、利便性が高い場合でも、住民票のある市町村以外の自治体での接種については認められないのか、お聞きします。
 さらに、27日の県町村長・町村議会議長大会でワクチン接種に関する速やかな情報提供などを盛り込んだ特別決議がされたように、実務を担う市町村には接種に向けた具体的な情報が乏しく、不安の中で準備を進めざるを得ない状況となっていることが、懸念されます。
 市町村が円滑にワクチン接種をするためにも、いち早く情報が提供される必要がありますし、また、県民に対する相談窓口を設置するとのことですが、それを県民が利用するに当たっても、通常の情報提供があってこその利用だと考えます。
 市町村、県民に対する迅速・丁寧な情報提供のあり方について、お聞きします。
 大学生のコロナ禍での休退学問題について、文化生活スポーツ部長にお尋ねします。
 全国の大学で昨年4月から12月にかけて、全体の休退学者は、約9万4,000人と前年より12%減っていますが、コロナ禍の影響で休退学したのは5,801人で、中退者は1,367人、休学者は4,434人であることを、文部科学省が公表しました。コロナ対応などとして続けられてきた国や大学の支援が、経済的に厳しい学生の休退学を予防している面もあったのではないかと見られていますが、本県の大学において、コロナ禍での影響による休退学の実態と全体の休退学者について、お聞きします。
 さらに、朝日新聞によりますと、学生の中退予防が専門の山本繁・大正大特命教授は、「中退者が前年より減ったからといって、問題が起きていないわけではない。問題発生から退学届を出すまでに、平均約11カ月のタイムラグがある。このため、コロナ禍の影響が学生に出始めた昨年4月以降に起きた問題は、今年3月以降に中退という行動となる可能性が高い。例年3月は、新年度を前に中退を決断する学生がふえる。今後、注意が必要だ」とのコメントを出されています。
 これから年度末にかけて、コロナ禍で家計が悪化した学生らの休退学がふえるおそれが強いと言われている中、困難や不安を抱えている学生などに対し、5月に示された「学生の“学びの支援”緊急パッケージ」について、追加の支援策を含め、改めて示し、その周知ときめ細かな相談の対応を依頼した事務連絡が文部科学省から出されていますが、各大学で学生に対して、十分な周知がされているのか、お聞きします。
 最後に、誰一人取り残さない「地域共生社会」を県内のすみずみに築いていただきたいとの思いで、当面する課題について、地域福祉部長にお尋ねします。
 新型コロナ禍で懸念されるのは、いわゆる社会的な弱者ほど深刻な状況に陥りやすく、かつ、それが見えにくいということです。
 コロナ禍の打撃は、就労や雇用において不利な立場にある人々の生活困難を大きくし、現役世代を弱め、さらに子どもや高齢者への支援も後退するのではないかと思われます。そして、これまでの安定雇用と福祉制度の狭間にはまり込んだ生活困難層が急増しているようです。
 そういった、地域の人々の抱える課題が複雑化・多様化する中で、制度や分野の縦割りを超えた「地域共生社会」の実現に向け、重層的なセーフティネットの構築を目指すことが、昨年6月の通常国会で成立した改正社会福祉法にも求められていると思います。
 そこで、市町村において、地域住民の複合・複雑化した支援ニーズに対応する断らない包括的な支援体制を整備するため、包括的相談支援事業、多機関協働事業、アウトリーチ等を通じた継続的支援事業などによる「相談支援」、介護・障がい・子ども・困窮等の既存制度と緊密な連携をとって実施するとともに既存の社会参加に向けた事業では対応できない狭間の個別ニーズに対応するため、多様な社会参加の実現を目的とする「参加支援事業」、介護・障がい・子ども・困窮支援の地域づくりに係る事業を一体として実施し、地域社会からの孤立を防ぐとともに地域における多世代の交流や多様な活躍の場を確保する地域づくりに向けた「地域づくり事業」を一体的に実施する事業として創設された「重層的支援体制整備事業」について、お尋ねします。
 この事業は、実施を希望する市町村の手挙げに基づく任意事業ですが、この事業に着手する市町村はあるのでしょうか。また、どのような取り組みがされようとしているのか、あわせてお聞きします。
 多様な支援内容を担う地域人材を初めとした地域資源をつなげることなどを初め、各種会議への支援など、県はこの市町村事業にどのようにかかわるのか、お伺いします。
 地域社会で誰一人取り残さないためには、「孤立から守るための地域のつながり」が維持されることが必要と考えますので、このことについて、お尋ねします。
 2012年以降は3万人を下回っていた自殺者数が、昨年は、前年水準を上回り2万919人に上り、厚生労働省が昨年1月から11月の自殺者の原因・動機となった問題を分析すると、「孤独感」は28.3%増で、外出自粛によるコミュニケーションの減少の影響も考えられると言われています。
 地域では、三密回避のため、いきいき百歳体操用の会場使用が許可されなかった時期があったり、新しい生活様式のもと、「ソーシャル・ディスタンス」を保てと言われ、ステイ・ホームを促されることで、地域の密なつながりが断ち切られたり、地域で孤立するような状況がつくり出されていないか。また、そのことが、有形無形の地域の見守り活動をも少なからず後退させたりすることにもつながっているのではないかと危惧してきました。
 そのような中で、現在は、この「ソーシャル・ディスタンス」という言葉の使用を控えて、別の言葉に言いかえようとする動きもあります。
 世界保健機関、WHOでは、ソーシャル・ディスタンス、社会的距離という言葉は、「人とのつながりの減少により社会的孤立が生じる」おそれがあることから、「身体的、物理的距離」を意味する「フィジカル・ディスタンス」に言いかえるよう推奨しており、私も、地域においては、社会的距離を保つより、社会的なつながりこそ大事にしなければと思うところで、最近ではこのことを強調しています。県でも「ソーシャル・ディスタンス」ではなく、「フィジカル・ディスタンス」と表現することを意識していただきたいと思うところです。
 そこで、孤立状態を回避するため、コロナ禍でも「疎に集う」ことの環境を提供するためにも、集いの場づくりへの空間的支援が必要と考えられますが、お聞きします。
 さらに、政府でも、外出自粛に伴い他人との接点が減り、社会から孤立する人がふえているのではないか。また、自殺者数の11年ぶりの増加もコロナの感染拡大が影響しているとみて、問題点を洗い出すことなどから、新型コロナウイルス禍で深刻さを増す孤独・孤立問題の対策室を内閣官房に設けましたが、本県においても、そのような課題を取り上げる窓口設置の必要性はないか、お聞きします。
 次に、コロナ禍における生活福祉資金特例貸付と生活保護について、お聞きします。
 昨年、高知でも御講演いただいたNPO法人抱樸の代表奥田知志さんが、生活保護申請は、昨年11月に増加に転じたものの、まだ、急増とは言えない状況で、今後申請がふえるのは必至ですと述べられています。
 申請数がある程度穏やかである要因の1つは、リーマンショック以降につくられたさまざまな制度やその条件が緩和されたこと、さらに、緊急一時や総合支援貸付などのさまざまな給付などの手立てが打たれたことの効果があると思われるということも言われています。
 そこで、生活福祉資金特例貸付について見てみると、県内でも、昨年末12月31日付けで、緊急小口資金は6,918件、11億8,147万円、総合支援資金は4,525件、23億9,043万円、延長分は2,886件、15億2,382万円となっています。
 しかし、これらはあくまでも貸付金であって、その償還については、令和3年度または令和4年度の住民税非課税を確認し一括免除を行うとしているが、総合支援資金は、「償還免除要件については、引き続き検討」となっています。
 奥田さんは、返済免除を大胆に実行すること、免除の基準に関しては「生活再建」という目標に鑑みて決定すること、返済免除基準を非課税世帯とするよりも「早期の生活再建を目的とする」ために免除基準を「それよりも高く設定」すること、と提言されています。
 免除基準が低すぎると、生活再建が困難となることからの提言であり、緊急小口資金の償還免除要件をさらに拡大し、総合支援資金の償還免除要件もできるだけ拡大することが望ましいと考えますが、お聞きします。
 新型コロナウイルス感染拡大によって困窮する人はふえているにもかかわらず、生活保護に対する否定的感情が強く、さらに制度がよくわからない人も多いことなどから、困窮状況におられる方々が生活保護申請にうまくつながらず、生活保護の申請及び開始件数は全国的には、増加傾向にはないのではないかとも言われています。
 本県の状況は前年と比べて、どのようになっているのか、お聞きします。
 いずれにしても、生活福祉資金特例貸付期間が終わるころには、生活保護申請をする人がふえるのではないかと思われます。
 しかし、生活保護申請時に福祉事務所が本人の配偶者や親子など親族に援助できないかどうかを確認する、扶養照会があることも保護申請をためらわせることにつながっていると言われていました。厚生労働省が2月26日、この扶養照会を限定的にするなど、その運用を見直す通知を出しましたが、決して十分とは言えず、もう一段の見直しを求める声も多く出されています。
 また、厚生労働省のホームページには「生活保護の申請は国民の権利です」「ためらわずに御相談ください」との大きなメッセージもアップされていますが、本県でも相談や申請の際に感じる心理的なハードルを下げる取り組みがなされているのか、お聞きいたします。
 最後に、食糧支援の社会的地域資源をつなぐための県の役割について、お聞きします。
 コロナ禍で生活困窮者が顕在化し、食べるものすらないという人たちがふえ続けている中で、その状況を何とかしたいという運動に取り組まれている方や団体が、県内には多くあります。
 20年近く、DV被害者への食糧支援を皮切りに、生活困窮者に対する食糧支援を続けてこられたフードバンク高知が、支援すべき人・組織と食品・食材提供者の一定のネットワークを構築されていますし、さらに、県社協は市町村社協と連携して、食料提供の仕組みを構築されています。現在、80近くにふえた子ども食堂も、家で食事を食べられない子どもへの食事提供だけではなく、新たな食支援の取り組みをされています。
 フードバンク、県及び市町村社協、子ども食堂がそれぞれに行っている活動を有機的に結びつけ、また、新しく食材提供をいただける組織の拡大や子どもに限らない食材提供の仕組み、フードパントリーなどをつくることによって、生活困窮者に対する食糧の支援を拡大するネットワークの構築がこの間検討されていますが、団体・個人の善意だけに依拠するのではなく、このような動きに対して、必要な財政的・人的・つなぎ役としての要望に応えるなど、県が果たすべき役割はどのようなものがあると考えられるのか、そのことをお聞きいたしまして、私の第一問とさせていただきます。

◎知事(M田省司君) 坂本議員の御質問にお答えいたします。
 まず、最初に、誰一人取り残さないという言葉は、県政運営を行う上でキーワードではないのかというお尋ねがございました。
 私は、県政運営の基本姿勢として、共感と前進をキーワードとして掲げております。県民の皆さんにはさまざまな立場、さまざまな御意見の方々がおられる中で、想像力を働かせて県民の皆さんお一人お一人の気持ちに思いをいたし、県民の皆さんの共感を得られるような県政を実現したい、そうした思いで県政運営を行っているところでございます。
 また、御指摘がありましたように、県政運営指針の中におきましても、SDGsが目指す社会像を引用いたしまして、誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向けた国連の持続可能な開発目標、これがSDGsでございますが、これを意識するということを明記いたしております。
 今後も引き続き、御指摘の誰一人取り残さないという視点も含めまして、県民の皆さんの置かれている状況に思いをいたしながら、生き生きと仕事ができる高知、生き生きと生活ができる高知、そして、安全安心な高知の実現を目指しまして、経済の活性化を初めとする5つの基本政策、中山間対策の充実・強化など3つの横断的な政策、これらを一層進化させてまいりたいと考えております。
 次に、この私が掲げております政治姿勢ではございます共感に関連して、私自身の共感力についてどう考えるのかという、お尋ねがございました。
 さきほど申し上げましたように、共感と前進を基本姿勢として県政運営を行ってまいりました。そのため、これまで実施した県民座談会の機会、あるいは、県民の皆さんとの対話などを通じまして、地域の実情や課題などについてお話を伺いまして、また、自ら想像力を働かせまして、県民の皆さんのお気持ちに共感して寄り添うことを何より大切にしたいと考えております。その共感力が十分かどうかという点に関しましては、私自身が県政に対する県民の皆さんの気持ちを踏まえた政策判断を追求する中で、時には試行錯誤しながらという場面もあろうかと思います。ただ、これまで以上に想像力を働かせて、県民の皆さんの気持ちに寄り添い、共感する力を高めてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
 一方では、県政の課題の中には県民の皆さんの間に賛否両論がある難しい政策課題もございます。こうした課題についても県政の停滞は許されないわけでございまして、こうした課題に関しましては、県民の皆さんのさまざまな御意見をお聞きもし、また、声なき声にも思いをいたした上で、必要なときにはしっかりと決断をして、県政を前に進めていくと、こういうこともまた必要ではないかというふうに考えている次第であります。
 次に、高知県脱炭素社会推進協議会によりますアクションプランづくりについてのお尋ねがございました。
 脱炭素化に向けました取り組みを県民運動として進めていくためには、多くの方の御意見お聞きすることが大切であるというふうに考えております。
 このため、この協議会のメンバーは、各産業団体や消費者団体、大学など多様な分野の代表の方々に御就任いただくようにいたしたいと考えております。さらに、協議会のメンバーの以外の方につきましても、例えば、個々の事業所の方々、あるいは、県民の皆様の御意見に関しまして、ヒアリングや意見公募などによりまして、広くお伺いをして議論を進めてまいりたいと考えております。こうしたことを通じまして、できる限り多くの方の御意見、アイデアをお聞きいたしまして、本県らしさを生かしたより実効性の高いアクションプランの策定につなげてまいりたいと考えております。
 次に、中山間地域におきまして、火災に気づかない集落が散在するという事実の受けとめにつきまして、お尋ねがございました。
 議員からお話がございましたように、去る2月10日でございますけれども、仁淀川町別枝地区で、一人暮らしのお年寄りのお家が焼け落ちているというのが発見されまして、住民の方がお亡くなりになっているのが発見されました。心から哀悼の意を表したいと思います。
 私は、新聞記事でこの火災のことを知ったわけでございますが、中山間地域でお一人で暮らすことの厳しさと、集落での支え合いや見守りの大切さといったことを痛感いたしたところであります。本県の中山間地域、とりわけ山合いの地域におきましては、民家が点在している集落は数多くございます。人口減少と高齢化が進行し、地域での支え合い、見守りの取り組みが弱まっていく中で、こうした集落の置かれた状況は一層厳しさを増しております。仁淀川町では、今回の火災を教訓として、まずは、町内でこうしたリスクを抱えた世帯の把握に努めて、早急に必要な対策を講じていくというふうにお聞きしております。県としても、今後、このような悲劇が繰り返されることのないよう、地域における見守りや支え合いの仕組みづくりを進めていく、それを応援していく必要があるというふうに考えております。
 このために、高知版の地域包括ケアシステムの構築、あるいは、集落活動センターによる取り組みなどを強化いたしまして、高齢者の方々が安心して生活できる環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
 次に、新たな過疎法が本県の地域が求める法案の中身になっているのか、とのお尋ねがございました。
 新たな過疎対策法の制定に向けましては、昨年度、関係市町村との協議を重ねまして、本県としての国への提言を取りまとめました。この提言の中では、本県の実情に沿った法律となりますように、特に4点、1点目は過疎市町村の財政基盤の強化、2点目は過疎対策の対象地域の維持、3点目は過疎地域に対する支援策の拡充、4点目は県の役割の明確化と支援措置、この4つの柱を掲げまして、関係省庁あるいは国会議員の先生方への要望を継続して行なってまいりました。現在、このような本県の提言、要望を踏まえた形で、各党、各会派での協議を経まして、今国会への法案提出に向けた準備が順調に進められているものと承知いたしております。
 この法案では、過疎市町村の財政基盤の強化策といたしまして、施設整備のみならず幅広いソフト事業にも活用できます過疎対策事業債が引き続き措置をされ、令和3年度の地方債計画では、今年度を上回る所要額が計上をしていかれ、確保されているところであります。
 また、合併前の旧市町村の区域を過疎地域とすると特例であります、いわゆる一部過疎の取り扱いも継続をされるということなどによりまして、現在の枠組みで本県の対象地域が継続される見通しとなっているところでございます。
 さらに、都道府県が行います過疎対策への支援措置といたしまして、過疎市町村に向けた人材の配置に対しまして、特別交付税措置が新たに講じられることとなる予定であります。
 このほか、過疎地域持続的発展支援交付金などの支援策が拡充されることとなっておりまして、過疎市町村が求めますきめ細かな支援が可能となる見通しでありまして、これらの措置に関しまして、大いに期待をいたしているところであります。
 次に、集落実態調査を踏まえて講じる対策のスケジュールとその対策につきまして、お尋ねがございました。関連いたしましたので、あわせてお答えをいたします。
 集落実態調査におきましては、本年6月から12月までの約6カ月の間にわたりまして、地区長さんなどへの聞き取りの調査と世帯へのアンケート調査を実施をいたす予定であります。その後、来年の1月から2月にかけて調査結果を分析し、検証を行った上で、年度末になります3月には報告書としてとりまとめる予定といたしております。
 一方で、中山間対策は待ったなしの喫緊の課題でございますことから、調査の半ばに当たります9月ごろをめどに、中間取りまとめを行うことを考えております。その内容を中山間総合対策本部などの場を通じまして、全庁で情報共有をいたしまして、中山間対策として可能なものから、令和4年度予算に反映させていきたいというふうに考えております。
 前回の集落実態調査をもとに、平成24年度に中山間対策を抜本強化した結果、集落活動センターの取り組みが県内各地域に広がりました。また、生活用品や飲料水の確保、鳥獣被害対策など、生活環境の整備が着実に進んでまいりました。
 その一方で、この10年間で人口減少や高齢化が一層進みまして、産業や地域づくりの担い手不足、元気がある地域とそうでない地域の格差など、新たな課題も現れてきている、この点は御指摘のあったとおりだと考えております。
 このため、今回の調査におきましても、中山間地域での暮らしや思い、地域のニーズなのについて生のお声をお聞きすることで、地域の実情をより具体的に把握をしたいと考えております。その上で、これまでの中山間対策を検証いたしまして、一次産業の担い手の確保でございますとか、集落活動センターを設置していない地域への支援のあり方といった効率的、効果的な中山間対策を全庁一丸となって展開をしたいと、そういう考え方のもとに調査を行いたいと考えております。
 次に、南海トラフ地震への公助による備えについて、お尋ねがございました。
 本県におきましては、地震による被害の軽減や応急対策、復旧復興に向けた事前準備など、県、市町村、県民の皆様がそれぞれの立場で実施すべき具体的な取り組みをまとめました、南海トラフ地震対策行動計画を策定いたしまして、現状や課題、目標、期限を明らかにした上で、対策を進めてまいりました。
 現在の第4期行動計画におきましても、代表的な公助の取り組みといたしましては、ハード整備の面におきます津波避難空間あるいは河川・海岸堤防の整備といった課題、そして、ソフト面で言いますと、応急給水活動調整マニュアルの作成を初めといたします、外部からの受援体制の整備といった課題、こういったものを重点課題に位置づけて取り組んでいるところでございます。
 県民の皆様の命を守りつないでいくというためには、こうした公助の取り組みはもちろんでありますけれども、これだけでは議員からも御指摘ありましたように十分ではございませんので、こういった取り組みに加えまして、自助の取り組み、共助の取り組みといたしまして、例えば、揺れが収まった後、すぐに避難をしていただくということ、例えばまた、水や食料の確実な備蓄を行っていただくといった取り組み、こういった取り組みを県民の皆さんに行っていくということも欠かせない要素だというふうに考えております。
 今後も、県民の皆様に、自助、共助の取り組みを進んで行なっていただくように支援をさせていただくとともに、連携する公助の取り組みをさらに加速をしてまいりたいと考えております。
 次に、被災者生活再建支援法に関します朝日新聞の調査への回答について、お尋ねがございました。
 被災者生活再建支援法に基づく支援制度の対象の拡大につきましては、被災者支援に取り組みます全都道府県に共通する課題でございまして、全国知事会として、長年にわたり国に要望しておったものであります。この要望を踏まえまして、令和元年に、国と全国知事会によります実務者会議が設置され、被災住宅の補修や再建の実態を踏まえた制度のあり方が検討されました。
 検討の結果、住宅の損害割合が20%台につきましては、被害の程度が比較的軽微で、これについては災害救助法の応急修理制度による対応が妥当であるとされております。その一方で、30%台につきましては、大規模な補修が必要となりますので、御指摘ございましたような被災者生活再建支援制度の対象とすることが考えられるというような結論に至ったわけでございます。
 こうした結果を踏まえまして、昨年12月に支援の対象を災害割合30%台の中規模半壊まで拡大する法改正が行われました。全国知事会も、法改正につきまして、被災実態に応じた適切な支援を求める要望に応える内容であり、大いに評価するとの声明を発表いたしております。こうした経緯がございますので、朝日新聞の調査に対しまして、私といたしまして、回答の理由として、1点目として、まず、全国知事会の要望を踏まえて制度の対象範囲を中規模半壊まで拡大する改正法が12月に公布施行されたばかりであり、現時点では今のままでよいと考えるということ、そして、第2に、今後、被災者支援のさらなる充実を図るために新たに発生する災害における被災世帯の生活再建の実情を注視していく必要はあると考えるといったことを記述いたしました上で、選択肢としては、今のままでよいを選択して回答した、こういったような経緯でございます。
 次に、朝日新聞の調査で、被災者総合支援法の創設に関して、どのように答えたのかというお尋ねがございました。
 被災者の支援に関する現行の法制度は、これまでの災害の教訓を踏まえまして、それぞれの目的に応じて設定をされてきたという経緯や歴史がございます。このため、例えば、被災者生活再建支援法、より古い災害救助法など、複数の法や制度が存在いたしておりまして、被災者のみならず地方公共団体にとってもわかりにくいものとなっているという面は否めません。こうしたことから、昨年の議員からの御質問に対しましても、災害法制をわかりやすくするということは重要な視点だと考えているというお答えをさせていただきました。
 今回の朝日新聞の調査におきましても、回答の理由といたしまして、まず第一に、現在の被災者支援は被災者生活再建支援法や災害救助法など複数の法制度があり、県、市町村及び被災者にとってわかりにくくなっていると思うという立場を明らかにしました上で、また、自助、共助による支援とのバランスも考慮しながら、被災の実情にあった不公平感のない統一的な制度が必要と考えているという考え方を明記いたしたところであります。その上で、総合的な支援法制定の必要性について、選択肢を示して回答を求めるという中身でございましたので、現時点では、被災者生活再建支援法が昨年12月に改正されたばかりであるということも踏まえまして、どちらかというという留保をつけながら、そう思う、制定の必要性があると思うという選択をし、回答したという経過でございます。
 次に、事前復興まちづくり計画の策定指針策定後の市町村の取り組みについて、お尋ねがございました。
 県では、有識者や市、町の長などの委員で構成をいたします高知県事前復興まちづくり計画策定指針検討会を設置し、指針の策定を進めております。先月、第1回の検討会を開催いたしまして、委員から事前の計画策定の必要性や指針に盛り込むべき項目などについて、さまざまな意見をいただいたところです。今後も、検討会で議論を重ねまして、来年度中に指針を策定することといたしております。
 その後、この指針をもとに、市町村に計画を策定していただきたいと考えておりますけれども、命を守る、生活を再建する、生業を再生する、地域の課題等の解決につなげるなど、さまざまな視点からの検討が必要となるため、策定には一定の時間を要するものと考えております。
 このため、指針の策定後には、沿岸19市町村の皆様と事前の計画策定の必要性や検討すべき項目・手順などについて勉強会を開催するとともに、計画を策定する際には、市町村のニーズに応じた技術的な支援などを行ってまいる考えであります。
 次に、この検討会のメンバーについてのお尋ねがございました。
 今回、策定をいたします指針は、東日本大震災での教訓や本県の地域特性などを踏まえたものにする必要があると考えております。そのため、検討会の委員には、防災、海岸工学、まちづくりの専門家や東日本大震災の復興事業に携わった団体に加えまして、人口規模あるいは地域性などを勘案いたしまして、5つの市、町の長の皆様にも参加をいただいているところであります。今後の議論の経過の中で、テーマに応じまして、委員以外のさまざまな方々の意見を聞く必要が生じた場合には、検討会にお招きをして、出席をいただきまして、御意見を伺いたいというふうに考えております。
 次に、事前復興まちづくり計画を前倒しして実施できる仕組みの早期実現について、お尋ねがございました。
 被災前の住宅の高台移転に活用できます国の制度といたしましては、防災集団移転促進事業や土地区画整理事業などがございますが、これらの事業を実際に実施するに当たっては、さまざまな課題もあるわけでございます。
 防災集団移転促進事業におきましては、住民や市町村の財政負担が大きい上に、地域ごとに集団で移転をいたしますため、個人個人の事情が異なる中で、基本的には全員の合意が必要となるということがございます。また、土地区画整理事業では、移転する方々の合意は必要ないわけでございますが、造成後の土地の活用が進まずに行政の負担が大きくなる可能性がある、あるいは、移転元の土地の買い取りなどへの支援がないといったような課題がございます。こうしたことから、被災前の事業の活用が全国的に進んでいない状況にあるというふうに考えております。
 県といたしましては、高台への移転の取り組みが実現できるよう、国に対しまして、新たな制度の創設や既存の制度の拡充につきまして、引き続き、全国知事会あるいは10県の知事会議などを通じまして、政策提言を行ってまいります。
 今後、まずは、市町村に事前復興まちづくり計画を策定いただきまして、その上で地域において被災前に高台へ移転したいという機運が高まってきた場合には、県といたしましても、具体的な支援について、さらに検討してまいりたいと考えております。
 次に、新型コロナウイルス感染症の重症患者に対応する代替医療機関の確保について、お尋ねがございました。
 昨年11月末からの第3波におきまして、高知医療センターでは、いわゆるエクモや人工呼吸器を使用いたしました重症患者への対応におきまして、新型コロナウイルス感染症患者用と想定しておりましたICU4床をフル稼働した時期がございまして、相当緊迫した状況であったというふうにお聞きをいたしております。医療センターの島田病院長からのお話はそうした状況を踏まえたものでありまして、大変重く受けとめております。
 県の新型コロナウイルス感染症に対します病床の確保計画では、重症患者の対応を医療センターで16床、医療センター以外の2つの医療機関で8床、合わせて24床で行うということといたしております。あわせまして、重症患者が増加した場合を想定いたしまして、エクモなどの医療機器あるいは医療従事者などの医療資源を医療センターに集約するための協定も、あらかじめいくつかの医療機関と締結をして備えを行っているというところでございます。
 これまでの本県の患者数、最大9名ということでございますので、重症の方々でございますが、重症患者数の病床数としてはただいま申し上げました24床という水準は、一定必要水準には達していると思っておりますけれども、今後、医療センターに過度に重症患者が集中しないような工夫をしなければいけないというふうに考えております。
 そこで、重症化リスクの高い患者を医療センター以外の2つの医療機関でも分担をしていただくために、県と重症患者の対応を行います、あわせて3つの医療機関の間で連携手順などの実務的な協議を開始しているところでございます。
 次に、公的医療機関等2025プランにおきます感染症病床の確保と財政支援等の必要性についてのお尋ねがございました。
 新型コロナウイルス感染症の入院対応につきましては、公立・公的病院が中心的な役割を果たしてきております。そうした病院には、流行の終息後も新興感染症に備えた役割が期待をされると考えております。また、今国会に提出をされております医療法等の改正案におきましては、医療計画への記載事項として、新興感染症等の感染拡大時における医療が追加をされております。
 そのため、今後、県としても改正法の動向を注視しながら、保健医療計画の見直しを含めまして、感染症が拡大したときに対応可能な病床の確保やその支援策などについて検討してまいります。
 また、再検討が必要とされました公立・公的病院につきましては、今後の医療需要の見通しを踏まえまして、再検証を進めることを基本といたしますけれども、それを進めながら、感染症の拡大時にも機動的に対応できると、こういう視点も含めまして具体的な対応方針を検討していただきたいというふうに考えているところであります。
 最後に、新型コロナウイルス感染症関連法の改正案におきます刑事罰の創設について、お尋ねがございました。
 例えば、特に、感染症法の改正のほうに該当いたしますが、感染者が行方不明になられるあるいは連絡がとれなくなる、そういった場合に、これが刑事罰が科せられる可能性がありましたら、警察の捜査対象となりまして、警察においても積極的に情報収集を行っていただけることが期待をされるというふうに思います。一方、これが行政罰のみの規定ということになりますと、これは基本的に行政庁、県当局のほうで対応していくということになりますので、警察から得られます協力は一般的な行方不明者に関する情報提供というような協力の枠組みの範囲内での限定的なものにとどまってしまうのではないかというふうに考えているところでございます。
 お話がありましたように、感染症の入院勧告あるいは積極的な疫学調査については、感染者の自主的な協力を求めていくということがあくまでも基本となるということはおっしゃるとおりだと考えておりますが、ただ、現実に実務を行っておりますと、時には私たちが想定をしている以上に、反社会的で悪質な行動をとる方に対応する必要がある場合も生じると、そういった可能性は否定できないと思っております。そうしたことを考えますと、警察当局からのより積極的な協力も期待できますような、より実効性のある制度設計といたしまして刑事罰の規定を置いておくという選択肢もあり得たのではないかという意味のことを、記者会見で申し上げたというのが、私の真意でございます。
 私からは、以上でございます。

◎地域福祉部長(福留利也君) まず、要配慮者避難支援対策事業費補助金について、お尋ねがございました。
 この補助金は、市町村の個別計画作成の取り組みを加速化させるため、令和元年度から3年間に限定して人件費の補助率を2分の1から3分の2にかさ上げしているところです。今年度は、22市町村で補助金が活用され、その中には、福祉専門職が個別計画作成に参画した事例も出てきており、実効性の高い計画の作成が進んできています。
 来年度には、市町村における個別計画の作成が努力義務化される見込みであることから、市町村に対して、補助金のさらなる活用を働きかけてまいります。
 あわせて、個別計画作成に関する財政支援について、国への政策提言を行いながら、取り組みのさらなる加速化に向けた市町村への支援策について、検討してまいりたいと考えております。
 次に、重層的支援体制整備事業の市町村の着手状況と県の関わりについて、お尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。
 県内では令和3年度に、重層的支援体制整備事業を実施する市町村はありませんが、7市町が事業の実施に向けた準備や試行的な取り組みを行う移行準備事業の実施を予定しております。
 県では、市町村の取り組みを支援するため、都道府県広報支援事業を実施することとしており、制度に関する説明会やセミナーを開催するとともに、支援体制の構築に向けた手引き書の作成、配布などを行うこととしております。また、移行準備事業の実施を予定している7市町に対しましては、包括的な支援体制の構築に向けた各相談支援機関による役割分担や連携体制を具体化する計画が策定できるよう助言を行うほか、他県の先進事例について情報を提供するなど、多方面から支援してまいります。
 次に、集いの場づくりへの空間的支援の必要性について、お尋ねがございました。
 地域共生社会の実現に向けては、住民一人一人が生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らしていくことのできる地域づくりが求められます。こうした地域づくりに向けて、市町村には住民の地域福祉活動への参加を促進するための環境整備を行うことが求められております。このような取り組みの中で、集いの場の整備の必要性については、まず住民や市町村、関係団体などが地域の実情を踏まえて、協議、検討していくことが必要だと考えております。その上で、整備の必要性が確認された場合は、市町村の地域福祉計画に位置づける必要あると考えております。
 このため、地域福祉計画の改定などの機会を通じて、地域の意見を踏まえた十分な検討がなされるよう、市町村に対し助言を行ってまいります。あわせまして、市町村に対して、つどいの場の整備に活用が可能な補助事業などに関する情報提供を行ってまいります。
 次に、本県における孤独、孤立問題に関する窓口の設置の必要性について、お尋ねがございました。
 昨年以降、全国的に女性の自殺者数が増加している状況などを見ますと、コロナ禍において、多くの方がさまざまな不安を抱え、一層の孤立感を抱いていることが考えられます。こうした問題について、国では、先月19日に孤独・孤立対策担当室が設置され、課題の整理に着手するとともに、生活困窮者の支援や自殺防止対策を初め、高齢者などの見守り、ひきこもり支援などが関連する施策として取り上げられたところです。
 県としましては、これらの施策の多くを所管する地域福祉政策課を窓口として、国の取り組みと連動しながら、状況の把握と対策の強化に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、生活福祉資金特例貸付の償還免除要件の拡大について、お尋ねがございました。
 本県における生活福祉資金の特例貸付については、2月26日現在で、延べ15,981件58億円余りの貸付が行われております。貸付を受けた方が生活の建て直しを図る中で、貸付金の返済が大きな負担にならないことが重要であります。このため、貸付金の償還免除の要件を住民税非課税世帯に限定せずに、借受人の収入実態等に基づき判断するなど、さらに緩和するよう、これまでも国に提言を行ってきたところです。
 今後も、引き続き、全国知事会とも連携しながら提言を行ってまいります。
 次に、生活保護の申請開始状況について、お尋ねがございました。
 新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた昨年3月から本年1月までの申請件数は1,521件となっており、前年同期の1,756件の87%となっています。また、開始件数については1,153件と、前年同期の1,363件の85%となっています。
 次に、生活保護の相談や申請の際の心理的なハードルを下げる取り組みについて、お尋ねがございました。
 コロナ禍における生活保護の適用については、国から自家用車の所有や生命保険の継続などについて弾力的な取り扱いが示されたところです。こうした取り扱いについては、各福祉事務所に周知徹底するとともに、より身近な相談先である社会福祉協議会などにも相談者に説明を行っていただくよう依頼しているところです。また、ホームページで生活保護の内容や今回の弾力的運用などについてわかりやすく紹介しているほか、新聞等を通じた広報も強化してきたところです。今般、国から示された扶養照会の運用の見直しにつきましても、これまでと同様に周知に努め、保護の必要な方にためらわず相談、申請していただけるよう取り組んでまいります。
 最後に、食の支援のためのネットワーク構築の動きに対し、県が果たすべき役割について、お尋ねがございました。
 生活困窮者等に対する食の支援につきましては、社会福祉協議会など民間団体により、企業や住民の方などから提供された食品を備蓄し、支援が必要な方に届ける取り組みが行われています。
 他方、県では子どもたちの居場所づくりに向け、子ども食堂の開設を推進しております。子ども食堂の運営に関しては、地域の皆様や企業などから食材提供の御協力をいただいているところです。しかしながら、企業などから提供いただいた食材を県内の子ども食堂に広く届けるためには、個々の子ども食堂が必要としている食材の種類、量の把握や配送体制などの課題もあることから、今後に向けた検討を行う必要があると考えています。
 そのため、食の支援や配送などに取り組む団体など、さまざまな方々にも御参加いただき、まずは、子ども食堂における広域的な食材提供の仕組みづくりについて、検討を進めていきたいと考えています。
 こうした仕組みづくりを検討する中で、民間における食の支援の取り組みに対し、県の果たすべき役割についても検討してまいりたいと考えております。

◎危機管理部長(堀田幸雄君) 高知市の長期浸水対策に関して、まず、ボートの調達及び救助救出完了日数の短縮について、お尋ねがございました。
 高知市が、昨年度に策定した高知市救助救出計画では、長期浸水の止水排水対策による効果を見込まず、消防や警察自衛隊が現在所有しているボート117艇で24時間活動した場合における救助救出完了日数を14日と算定しています。当面の目標としています救助救出完了日数の10日間を達成するためには、現状では、ボートが58艇不足することとなります。
 現在、高知市においては、県内の応急救急機関に対して、ボートの追加整備や夜間活動に備えた照明等の資機材の整備を要請しているところです。来年度には、広域応援部隊が持参できるボートの数や県内の応急救助機関の今後の整備予定を調査した上で、高知市として追加整理が必要なボート数を精査し、整備を進めていく方針としています。当面の目標であります10日間の短縮につきましては、ボートの追加整備、堤防や排水機場の耐震化による浸水域の縮小も考慮するなど、総合的な対策による日数短縮の可能性について、高知市と連携して検討することとしています。
 次に、長期浸水域における津波避難ビルへの避難者の支援について、お尋ねがございました。
 高知市では、避難に必要な物資は、避難者が各自で準備し持参することを基本としています。ただし、長期浸水域内では、避難が長期間に及ぶことから、津波避難ビルに3日分の飲料水、簡易トイレなどの公的備蓄を進めています。しかしながら、民間マンション等においては、保管スペースの確保が課題となっています。
 このため、マンション等の所有者に、保管スペースの確保について、さらに検討していただくことや、避難される方々への物資の持参について啓発していく必要があると考えております。
 4日目以降の物資については、外部からボートやヘリコプターで供給することとしており、ビルごとに避難者数や必要な物資を把握する必要があります。このため、高知市では通信インフラが使用できない状況でも、スマートフォン間をリレーして、情報伝達を可能とするアプリを開発し、普及に取り組んでいるところです。
 ボートやヘリコプターによる具体的な物資の供給方法については、発災後、高知市災害対策本部において、4日目以降の救助救出要領を策定する中で検討することとしています。
 今後は、訓練により、物資供給の確実性を高めていくとともに、民間団体との協定等による供給方法の検討も進めてまいります。
 次に、高知市における広域避難の方向性の現状と今後の具体化について、お尋ねがございました。
 高知市の避難所については、現在、L1想定では、広域避難をしなくても十分な避難所が確保されていますが、L2想定では、約45,000人分が不足しております。14市町村で構成する中央圏域内で広域避難をしたとしても、約28,000人が不足しております。
 このため、可能な限り中央圏域内で避難していただけるよう、県と市が連携して、避難所の収容能力の確保に取り組んでおります。具体的には、避難所が不足している高知市、南国市、香南市の3市において、学校の教室利用や未利用施設の活用などを進めるほか、避難所が不足している香美市やいの町などにおいても、広域内に活用できる新たな避難所の確保を進めております。
 しかしながら、高知市においては、避難所をふやす取り組みを進めたとしても、避難者数が多いことから、広域避難をしていただく必要があると考えています。広域避難においては、地震の規模が予測できないため、どの地区でどれくらいの避難者が出るのかわからないこと、避難所までの道路が被災して利用できなくなる場合もあることから、あらかじめどの地区の方々にどこに避難していただくかをお示しすることは困難であると考えております。
 実際には、発災後に、広域避難先を調整することとなります。その際、できるだけコミュニティを維持すること、できるだけ住み慣れた地域の近くへ避難をしていただくこと、という基本的な考え方に基づいて、避難先を決定することになると考えております。
 今後とも、市町村や関係団体等と連携しまして、円滑に広域避難の調整ができるように訓練等に取り組んでまいります。
 最後に、災害ケースマネージメントの体制検討をしていくための取り組みについて、お尋ねがございました。
 過去の大規模災害時においては、国や地方が用意した支援制度が活用できず、救済を受けられない方々が相当数おられました。そのような事態は、本県においても生じるということを念頭において、支援を必要としている方々に寄り添い、アウトリーチも含めて、対応できる体制を検討しておくことが必要であると考えております。
 このため、個別の被災者の被災状況や生活状況に応じた支援体制の検討を、行動計画の取り組みに位置づけ、南海トラフ地震時における災害ケースマネジメント体制の構築に向けて取り組むこととしております。
 他県で実施された災害ケースマネジメントの事例では、支援の対象者や開始時期、方法などが異なっています。このため、まずは、東日本大震災などの大規模災害時における事例について調査したいと考えております。そうした調査結果も踏まえまして、支援を必要としている人を誰がどのように把握するか、支援体制をいつごろ立ち上げるのか、把握したニーズをどうやって専門の支援機関につなげるのかなどといった、本県における災害ケースマネジメントのあり方について、来年度から検討してまいります。
 実際に、災害ケースマネジメントを行う際には、市町村や労働局、社会福祉協議会、弁護士会、司法書士会など、さまざまな団体の協力が不可欠です。このため、こうした団体と連携しながら、社会福祉協議会が開設する生活復興支援センターのしくみなどを活用させ、深化させていくという観点に立って、第5期の行動計画の期間中には、具体的な被災者支援体制を検討してまいりたいと考えています。

◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) まず、自宅療養者への支援について、お尋ねがありました。
 他県においては、自宅療養していて急変時に迅速な対応ができなかったケースも報告されていることから、本県においては、宿泊療養が可能な状態で自宅療養を始める予定はありません。ただ、今後、患者数が大幅に増加したり、家庭の事情などでやむを得ず自宅で療養する場合なども想定されるため、現在、保健所とともに、自宅療養のしおりの策定作業を行っているところです。
 実際に、自宅療養が必要となった場合には、このしおりを用いて、いつでも相談できる保健所の連絡先や、ごみ出しの方法などを説明することとしています。
 また、県では、80台のパルスオキシメーターを確保しており、自宅療養することとなれば、それを患者に貸与する予定としております。配食サービスについては、配食サービスの業者がいる場合は当該業者に依頼をし、業者がない場合でも保健所が家族や知人を初めとした関係者の協力を得て、食料や日用品の調達ができるように調整をしたいと考えています。そのほか、自宅療養される患者さん個々の状況によって必要なシーンは異なってまいりますので、患者さんのお話を丁寧にお聞きし、安心して自宅療養できるよう支援をしてまいります。
 次に、感染症法の規定による罰則の適用に関して、その都度の正当な理由をどう判断するのか、とのお尋ねがありました。
 今回の改正感染症法の施行に伴う罰則に係る事務取扱については、厚生労働省からQ&Aが出されており、その中では、まずは、丁寧な説明等を行うことにより、対象者の御理解、御協力を得ることが基本であること、その上で患者等の個人の権利利益と感染症の予防・蔓延防止という公共の利益を考慮して、正当な理由と言えるかどうかを判断することが基本的な考え方として示されています。また、入院措置に応じない場合の正当事由に該当する例として、お話のありました、患者本人やその家族に必要な介護や保育等のサービスを確保できないことのほかに、他の病気の治療を行うために拒否していることが措置の決定後に明らかになった場合等が挙げられています。
 県としましては、仮に入院を拒否するような事例が発生した場合には、まずは、対象者から状況をよくお聞きし、その上で、国の通知やQ&Aなども参考にして、正当な理由があると言えるかどうかを慎重かつ適切に判断していきたいと考えております。
 次に、罰則に係る業務に従事する福祉保健所職員の精神的負担や業務負担について、お尋ねがありました。
 今回の改正により設けられた罰則は、違反のあったケースに直ちに適用するものではなく、入院や保健所による積極的疫学調査についての協力をお願いする中で、悪質な場合に限って適用する最終的な手段だと思っております。その意味で、極めて限定的な運用になるかと思いますが、罰則適用の検討が必要となった場合でも、福祉保健所のみで対応するのではなく、本庁の担当課と一緒になって対応することになるものと考えています。
 議員の御指摘も踏まえ、運用に当たっては、福祉保健所職員の負担が過大とならないよう十分配慮をしてまいります。
 次に、高齢者等が入所、居住する社会福祉施設等の職員のワクチンの接種順位について、お尋ねがありました。
 新型コロナウイルス感染症患者の頻繁に接する機会のある医療従事者等につきましては、御本人の発症、重症化のリスクを軽減することはもとより、医療提供体制の確保という観点から最優先の接種順位とされております。こうして、まずは、医療提供体制をしっかりと確保した上で、次に、重症化リスクの大きい高齢者の方への優先接種を行うという流れになっています。高齢者施設においては、施設内のクラスター対策をより一層推進するため、一定の要件を満たす場合には、高齢者と同じタイミングで施設従事者が接種を受けることも差し支えないとされております。
 その要件としては、市町村及び施設等の双方の体制が整うこと、ワクチンの流通量の単位から施設入所者と一緒に接種を受けることが効率的であること、施設全体における入所者の日常的な健康管理を行う医師等が確保されており、接種後の健康観察が可能であることが示されており、ワクチンの量や体制などに応じて、各市町村で判断されることとなります。
 次に、中山間地などに居住されている方の接種会場へのアクセス方法と、その費用負担について、お尋ねがありました。
 今回のワクチン接種で検討されている集団接種を円滑に進めるためには、中山間地域など公共交通機関が不便で接種会場に出向くことが困難な方への対策もあわせて検討していただく必要があります。現在、各市町村では、例えば、高齢者を対象とする集団接種会場への送迎バスの運行やタクシーを借り上げた送迎など、地域の実情に応じて検討されているところです。また、これに要する市町村の経費については、国の新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業費国庫補助金により、財政支援されることとなっておりますので、市町村には積極的に御活用いただきたいと考えております。
 県といたしましては、福祉保健所と市町村との担当者会などを通じて、接種会場等への交通手段の整備事例についても情報共有を行い、市町村におけるワクチン接種が円滑に進められるよう取り組んでまいります。
 次に、住民票のある市町村以外での接種について、お尋ねがございました。
 現時点では、新型コロナウイルスのワクチン接種は、原則として、住民票所在地の市町村において行うこととされています。これは、住民票所在地以外での接種を無制限に認めた場合、各自治体におけるワクチン管理が困難となるため、全国共通の取り扱いがなされるよう、国により定められたものでございます。例外として、長期入院や長期入所されている方や基礎疾患を持つ方がかかりつけ医のもとで接種を受ける場合など、やむを得ない事情があるケースに限り、住民票所在地以外の市町村での摂取が認められているところです。また、複数市町村が共同して接種体制を構築する場合には、その共同の範囲内で住民票所在地以外での接種も認められております。今のところ県内では、中芸広域連合が構成町村による共同接種体制で行う予定とお聞きをしています。
 最後に、市町村や県民に対する情報提供のあり方について、お尋ねがありました。
 ワクチン接種を円滑に進めるためには、市町村において適切な接種体制を整備することと、県民の皆様にワクチンに関する理解を深めていただくことが欠かせない要素だと考えています。
 まず、市町村において適切な接種体制を整備していただくためには、供給されるワクチンの種類や量、時期など具体的な情報が必要となります。そのため、情報の早期提示を全国知事会を通して国に提言することとあわせて、国から情報が発出されれば、それを速やかに市町村に提供するということに努めているところです。また、各福祉保健所のサポートチームが、日常的に、助言や情報提供など、きめ細かな支援を行っております。
 一方、県民の皆様に対しては、現在、現時点でわかっている情報を県のホームページに掲載をしておりますが、今後、テレビやラジオ、新聞などのメディアを通じても、ワクチンの効果や副反応を初め、ワクチンに関する情報を発信し、広報の充実を図っていきたいと考えています。
 円滑なワクチンの接種に向けて、迅速かつ丁寧な情報発信に心がけてまいります。

◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) まず、県内の大学などにおける休退学の状況について、お尋ねがございました。
 県内の大学、短期大学及び高等専門学校における昨年4月から12月までの間の中途退学者及び休学者の数は、全体で271人となっております。この人数から、昨年4月に開学した大学にかかる人数を除いて、前年と比較すると7人の減、率にして2.6%の減となっております。また、この271人の中途退学者及び休学者のうち、各大学などにおいて新型コロナウイルス感染症の影響も考えられると判断している学生は5人となっております。なお、その内訳につきましては、中途退学者には該当者がなく、全て休学者となっております。
 次に、支援策などに関する文部科学省からの事務連絡の学生への周知について、お尋ねがございました。
 県内の各大学では、これまでも経済的に困難な学生など支援を必要としている学生一人一人に確実に情報が行き渡るよう、支援策について適切に周知するとともに、柔軟かつきめ細かな対応に努められています。議員のお話にありました昨年12月の文部科学省からの事務連絡の内容につきましても、各大学においては、支援策に関する情報などをわかりやすくまとめるなどの工夫をした上で、学生向けのポータルサイトを活用するなどして、学生への周知を図っているとお聞きしております。

◎32番(坂本茂雄君) 第2問をさせていただきたいと思います。
 まずは、知事の政治姿勢の関係でるる述べていただきましたが、受けとめとして、1つは、誰一人取り残さないという、その視点は県政運営の中でも明確にしておられて、さらには、引き続きそれぞれの県政施策の深化をする際に、この誰一人取り残さないという視点を持って、それぞれの政策を深化させていくというふうに取りくまれていくというふうな認識でよいのかどうかということが1つと。
 もう1つは、共感ということにおいて、その想像力を働かせて、県民の気持ちに寄り添う、さらに、声なき声にも耳を傾けていく、そういうことをしながら、県政施策に反映していきたいということを、これからもそういったことに尽力されるというふうな受けとめでよいのかということが2点目です。
 そういうことを踏まえたときに、ぜひ、例えば、この中山間地の問題で、集落実態調査を今年される中で、それぞれ実際に中山間、奧山間の集落に入っていかれる方が、直接ヒアリングをされる、聞き取り調査をされる、そのとき、場合によっては知事もそちらに出向かれたらどうか、一緒になって、そういった調査員の方と一緒になって、直接そういった集落に住まわれている方の声に耳を傾ける。確かに、県民との意見交換の場もこれまでやられてきたわけですけれども、そういったところにはそういう方たちっていうのはほとんど出てこれない、多分出てこれないだろうと思うんですね。ですから、直接やっぱり、先ほど言われた厳しい状態にある中山間地に住まわれてる方の声を直接やっぱり聞くということは、今回、絶好の機会ではないかなというふうに思っています。
 で、確かに知事が行くということになったら、また、そこの集落で構え込んでしまうと、これはいけないわけですけれども。本当に、場合によったらオーラを消しながら、調査員の人と一緒になって、その地域でしっかりと県民の声に耳を傾けていただいたらどうかというのは、私どもの会派の中で声として出ておりますので、そのことについてもお聞きしたいというふうに思います。それが、3点目ですね。
 そして、医療機関の関係で、医療センターの島田院長が言われたことに対して、しっかりと重く受けとめられているということでした。それで、そういった重症患者への対応をしていけるような医療機関を確保していくための実務的な協議に入られているということでしたけれども、いつごろまでに、この協議を整えられて、そういう体制を確保していかれようとしているのか。その点について、お聞かせいただけたらというふうに思います。
 それと、大学生のコロナ禍による休退学の問題ですけれども、部長のお話では、コロナの影響で休学されている方、5人というふうにおっしゃったかと思います。この数字を聞いて、私は少ないかなというふうに受けとめたわけですけれども、やはり、ある意味、先ほど私が述べましたように、いろんな支援策が一定、そういう休学の状態を悪化させてないというところになっているのかもしれませんが、これからというところがやっぱり心配されるということなんかは、有識者なんかにも言われているわけですし。多分、現場で学ばれている方や、あるいは、大学で接せられている先生方もそういうことを心配されていると思いますので、周知はしていただいているということなんですが、やっぱり相談体制をきちんととってもらいたいということについても、なお、大学等に県として要請をしておいていただきたいというふうに思うわけですが。
 以上について、再度、質問をさせていただきます。

◎知事(M田省司君) 坂本議員の再質問にお答えします。4点であったとか思います。
 1点目は、誰一人として取り残さないという視点で、県の行政に当たっていくのかということでありました。これは、基本線としておっしゃったとおりで結構でございます。誰一人も取り残さないような社会を目指していくというSDGsの理念、これをできるだけ県の行政の中で、実行の中でも生かしていく。また、5つの基本政策、3つの横断的政策を、深化をはかっていく中でも、これを意識していくということは常に心がけていきたいというふうに思います。
 2点目が共感力に関しまして、想像力を持って県民の皆さんお一人お一人の気持ちに寄り添い、また、耳を傾けていくと。これも基本、そういう姿勢で、引き続き展開していきたいと思います。
 ただ、先ほどの誰一人として取り残さないというところと重ね合わせますと、県民の皆さん、さまざまな相反する方向と意見がある場合というのが当然ございます。賛否両論がある場合というのがございます。そういう意味では、いろんな御意見をお聞きする中で、しかし、その賛否両論ある中でどちらか一方かに、県政の方針としては決めざるを得ないという場合は、場合としてはあり得るわけでありますが。必要な場合には、そういう決断もして、前へ進んでいくということは必要な場合はあると思いますけれども、そこに至る過程の中ではいろんな御意見にちゃんと耳を傾けて、その上で判断をするという姿勢を貫きたいというふうに思います。
 3点目の中山間地域におきます実態調査の問題でございます。今回の実施する実態調査の日程の中でうまく組み込めるかどうかということはございますけれども、できるだけ可能な範囲で調整いたしたいと思いますし、来年度からは、県民座談会も、いわゆる現地に赴いて、いろいろな実情や課題をお聞きするという方式を取り入れたいと考えておりますので、そうした中で、議員から御提案ございました中山間地域の方々への直接のヒアリングということも考えたいというふうに思っております。
 最後に、いわゆるコロナ感染症の重症患者への対応についてでございます。これにつきましては、医療センター以外の2つの医療機関に向けまして話し始めております。相手もある話でございますから、確定的な期限としては断言できない状況でございますが、担当の健康政策部に関しましては、次の流行への備えということもございますので、向こう1カ月ぐらいのうちには、何らかの方向性は出せるようにということで調整をしてもらいたいという指示をいたしております。
 以上です。

◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 各大学におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によるものであるかどうかといったことにつきまして、学生の状況を踏まえて御判断をされていることかと思いますけれども、確かに、議員がおっしゃるように、こういったコロナ禍におきまして、濃淡はあれコロナ禍の影響というのは少なからずあるわけだろうと思いますので、コロナの影響によるものなのかどうかは別にいたしまして、大学において、学生さんが経済的な困難あるいは孤立感を深めるといったことで、修学を断念するといったことのないように、現在でも教員や事務局において、学生さんに寄り添った対応を一定していただいているとお聞きしておりますけれども、御指摘も踏まえまして、改めて各大学に対しましては、相談体制の強化などを要請させていただきたいというふうに思っております。

◎32番(坂本茂雄君) ありがとうございました。
 あと、南海トラフ地震対策についての質問ですけれども、質問というより、それぞれのこれまでも取り上げてきた課題っていうのは、まさにこれが、私が思うには、災害リスクから誰一人取り残すことなく回避できるような防災・減災の取り組みをしていく、そのことだろうというふうに思っています。
 そういう意味では、実は、県が、昨年、講師としてお招きした、11月に講演会されているんですけれども、避難行動要支援者対策の取り組みをしたときに、講演会の講師でおいでてくださった同志社大学の立木先生という方が言われているのは、「当事者が誰一人取り残されないために、地域が誰一人取り残さない、社会が誰一人取り残させないという力を重ね合わせることによって、災害時に高齢者や障がいのある方々に被害が出ないようにする」というふうに言われているんですね。これを、地域では一生懸命実践しようとしているわけです。ぜひ、そのことをやっぱり後押しする公助を、今後も強めていただきたいし、加速化を図っていただきたい、そのことをちょっと部長から決意も聞いておきたいというふうに思います。地域福祉部長と危機管理部長、それぞれにお願いしたいというふうに思います。
 3問ですから最後になりますので、このたび、副知事を初め3月末で退職される職員の皆様に、本当にお疲れ様でしたというふうに述べさせていただきたいと思います。副知事は、私が県庁在職次第、同じ年に県庁に入った同期ですけれども、本当に長い間お疲れ様でした。ぜひ、退職される県職員の方も、これからの高知県政に対して、引き続きのお力添えをいただきたい、そのことをお願いいたしまして、私の第3問とさせていただきたいと思います。

◎地域福祉部長(福留利也君) 要配慮者の方々の個別計画の作成につきましては、来年度、市町村の計画策定が努力義務化されるというふうな動きがございます。で、このことによって、個別計画の作成が一層加速化されるように、福祉専門職の方々の御協力も得ながら、市町村とともに全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

◎危機管理部長(堀田幸雄君) 例えば、津波避難空間の整備が一定進んだことによって、地域では、避難する場所、目的地ができたんで、あそこに避難をしょうとか、訓練をしようとかいう、ある意味、自助、共助の部分の取り組みが進んだ例もございます。
 ということもありますんで、やはり一定、県民の皆様に、目に見えるような形で公助を進めて、それをもとに、せっかくだからそういうものができたんだから、自助、共助も進めていこうと感じていけるように、いただけるように、まさしく公助の部分は加速化していきたいと思います。