◎32番(坂本茂雄君) 時間があまりございませんので、もう早速、質問に入らさせていただきたいと思います。
まず、地方重視の国政への転換についてを中心に知事にお伺います。
知事は、地方重視の国政への転換のために、昨日までの他の議員に対する答弁でも、提案説明と同様、「国の政策立案段階から地方の実情をより一層反映させること。さらには、本県のような多くの課題を抱える地方自らの努力を強力に後押しする取り組み」という、より地方を重視した2つの方向での取り組みが、これまで以上に求められていることを述べられましたが、より一層地方重視の国政にしていくためには、国の姿勢がその点で不十分だったと感じられたことがあったのか、お聞きします。
◎知事(尾ア正直君) 現在も、国において、地方創生だとか、さらには国土強靭化だとか、地方を重視しようという政策をさまざまに展開をいただいているものと、そのように思います。
ただ、これからさらに人口減少が進んでいくという中において、やはりより一層、この地方創生の取り組みだとか、国土強靭化の取り組みだとか、こういうものをスピード感を上げていく必要があるだろうと、そのように考えるところです。
また、そうすることによって、地方の潜在力を生かし切ることができれば、都市の成長と地方の成長と両方相まって、我が国のさらなる発展につながっていくだろうと思います。
また、豪雨災害などもどんどん激甚化してきているという中において、地方における国土強靭化ということの要請というのはますます高まってきている。現在も、地方重視の取り組みは行われていますが、今後を展望しましたときに、そちらについてより一層強力に取り組みを進めることが必要だろうと、そういうふうに考えるということでございます。
◎32番(坂本茂雄君) より一層地方重視の国政にしていくためにということなんですけれども、知事選不出馬の記者会見で、「全国知事会議で地方を取り巻く国政上の諸課題の多さを改めて実感した。国を地方重視に持っていくには、むしろ国の中に飛び込んだほうがより効果的に仕事ができると考えた」と報道されていましたが、国の中に飛び込んだとして、尾崎知事は、地方重視の国政へと、内部から転換していくことができるとお考えになっているのか、お聞きします。
◎知事(尾ア正直君) 私は、国で大体17年ぐらい行政官として仕事をしておりました。それから、この12年間、課題先進県高知県の知事として、仕事をさせていただいてまいりました。果たして、私がどこまで仕事ができることとなるのかはわかりませんけれども、この経験を生かして、さらに言えば、地方重視の国づくりという、そういう志を持って、微力を尽くさせていただきたいという、そういう私の所信を述べさせていただいたということでございます。
◎32番(坂本茂雄君) 地方重視の国政の1つの課題でもあるかと思いますが、私は、次の質問をさせていただきたいと思います。
昨年12月定例会の「全国知事会で、2018年7月に取りまとめた『米軍基地負担に関する提言』で示した改定内容の中でも、訓練の事前通知と当該自治体の承認を最低でも認めさせるよう、改定させるべきではないか」との私の質問に対して、「県民の不安が払拭されるよう、事前の情報提供や配慮を求めるこの提言の実現に向けて、全国知事会の一員として継続的に取り組んでいきたい」と答弁されていましたが、これは自民党の内部から変えていけることだと考えているのか、お聞きします。
◎知事(尾ア正直君) 特に、私、米軍の低空飛行訓練、こちらについては、防衛省などに事前の情報提供、こちらを求めてきたところであります。
また、本年7月の全国知事会議でも、危険性を除去するために、例えば、事前に、訓練が行われるのであれば情報提供するであるとか、さまざまな工夫を今後もしていただく必要があるのではないかと発言もさせていただいたところであります。軍事機密であって、一定の限界はあるかもしれない。しかし、その中においてもさまざまな工夫ができるはずだと、私はそのように考えております。
自民党内部において、それができるかどうかという御質問でありますけれども、自民党の内部においても、このことは住民の安全を守るために必要なことだと、そのように考えるのであれば、私として、その実現に微力ながら努力をさせていただきたいと、そのように考えるところです。
◎32番(坂本茂雄君) 今の沖縄県の民意と、そして、この国の姿勢を見たときに、極めて困難な状況があろうかと思いますが、知事がそういうふうに決意をされているのであれば、それはそれで一生懸命取り組んでいただけたらというふうに思います。
これも、昨年12月定例会で、「事前復興」について、全国知事会でも2015年に「平成28年度国の施策並びに予算に関する提案・要望」において、超大型災害を想定した事前復興制度の創設を求め、準備して待つ事前復興から、実践する事前復興への取り組みを要望していることについて、質問をさせていただきました。
しかし、私たちは、なかなか事前復興が前進しないと受けとめていますが、なぜ、知事会が要望するこのことが実現しないと考えられるのか、お聞きします。
◎知事(尾ア正直君) 私も、防災対策、減災対策については、もう長年もうほんとに全力を挙げて取り組んでまいりましたが、そういう中においても2つの点において、まだ私どもとして求める点が実現できてないと思っておるところです。その事前復興ということの、ある意味、個別各論ということになろうかと思いますが、1つは、事前の高台移転を力強くを押し進めていくための制度。そして、もう1点が、災害時の医療救護、この体制を強化をするということでございます。それぞれ全く進んでないというわけではありません。個別に1つ1つ新たな制度が作られようとはしていますけれども、その被害のマグニチュードに対して、あまりにも現状の制度ではまだまだ緒に就いたばかりだと、そういうふうに思っております。
なぜ、そうなのかということでありますが、1つには、巨額の財政負担を一時的に伴うことに対するためらいというものがあるだろうと思います。ただ、事前対策を講ずることのほうが、中長期的に見たら財政負担も小さい。こういうことをずっと訴えてまいりました。このことを説得的に訴えていって、単年度主義に偏らない中長期的な財政運営ということの実現に向けて、私として、議論を展開したいと思っていますし。
また、あわせて、災害時の医療救護という点から言わせていただければ、この点は非常に技術的に困難の点がたくさんある。そういう意味において、まだ答えが見えてないところがあるだろうと思います。だからこそ、真剣に検討を重ねなければならないのであって、この点についても、私として、論を展開させていただきたいと思います。
これまで、知事会として、また高知県として、さまざまな政策提言を外から行ってまいりましたけれども、もしそういうことが可能となるのであれば、私として、例えば、国会などでこういう論議を積極的に展開をさせていただくことで、さまざまな事業を1歩でも前に進められるように努力をさせていただきたいと、そのように思います。
◎32番(坂本茂雄君) 知事が、今定例会で、これまで12年間進めてきたさまざま施策、それを支えてくれた県庁職員に対する感謝の意を表すという場面が多くありました。
しかし、この間、私、議会でも機会あるごとに取り上げてまいりましたが、職員は人員を減らされ続ける中で、業務量は増え続け、職員1人当たりの時間外勤務時間数は上昇・高止まり傾向にある。そういう状況の中で、足下で最も支えてもらった県庁職員の長時間労働を解消できなかったということについて、知事はどのようにお考えになられているのか、お聞きします。
◎知事(尾ア正直君) ほんとに、長時間労働を強いたということ、このことは申しわけなく思うところです。ほんとに、県庁職員の皆さんは大変頑張ってくれました。
私は、これは素晴らしいことだ、ほんとに県庁職員の皆様の頑張りだと思っておるのは、このデータであります。私が就任した平成19年度と昨年度を比べますと、職員数は8.6%減少しています。行革ということで、こういうことになっていくわけですが。しかしながら、1人当たりの総勤務時間数というのは2%程度の増ということにとどまっておるところです。平成19年当時は、まだ産業振興計画もなかった。そういう中において、新たに産業振興計画など大いに仕事をしても、総時間数を2%程度で抑えている。どれだけ効率的に仕事をしてくれたかということを表しているんだろうと、そういうふうに思ってます。
ただ、いずれにしても、残業時間が増えておるとか、長時間の労働になっておるとか、そういうことは間違いのないことであります。これを減らすための努力を重ねていかなければならないだろうと思ってます。大きく言うと、3点の取り組みをしなければならんと思ってます。
1つは、例えば、時間外に協議を行う場合は管理職だけで対応するとか、そういうきめの細かな対応する。それが大事ではないかと。そういう点、何とか、この31年の4月から、令和元年8月までについては、1人当たり時間数、去年に比べて3.2%減ということに何とかなっていますが、去年が災害対応で多かったことを考えれば、引き続きまだ高い水準だろうと思います。
さらに加えて、より具体的な形での業務の改善、スクラップ・アンド・ビルドの徹底、さらには、業務の状況に応じた職員配置、このことにも意を用いなければならないだろうと思いますし。
さらに言えば、3点目でありますけれども、行政のデジタル化、こういうものを進めていくことによって、抜本的に効率化するであるとか、こういう対策もさらに今後必要となってくるんではないかと、そういうふうに考えております。行政デジタル化推進会議とか、そういうものも進めておるところでありますから、こういう取り組みをしっかり進めていくことが大事だと思います。
ほんとに職員には感謝を申し上げておるところでありますし、そういう中で長時間労働が続いていることについては申しわけなく思うところであります。ただ、ほんとに頑張っていただいていることに、改めて心から感謝を申し上げたいと、そのように思います。
◎32番(坂本茂雄君) 先ほど言われた3点については、これまでもお示しになったことがあろうかと思います。ただ、今年4月から、いわゆる他律的業務ということで、業務量、業務の実施時期、その他の業務の遂行に関する事項をみずから決定することが困難な業務については、1カ月において100時間未満、1年において720時間、時間外を命じてもいいというふうな業務を指定していますけども、これは、現在、知事部局で832人指定されているんですね。832人の方については、1カ月において100時間未満までは時間外をさせてもいいんだと。1年間では720時間まで時間外を命じてもいいんだというふうにしてます。なおかつ、これは、4月に決めた後に、言えば、県施策の中で、いろいろとおもわく思惑忙しい部署が出てきたら、次から次へ指定するというようなことをしてるわけで。これは、本来の他律的業務の趣旨を逸脱しているのではないかと思うんですね。そういった意味では、この他律的業務の指定の仕方というものも見直していくべきだというふうに思うんですけども、いかがでしょうか。
◎知事(尾ア正直君) もう、そこのところは、もう不断に時間外勤務軽減のための努力を重ねていく必要があるだろうと、そういうふうに思っているところです。で、もっと言うと、上限がそこまでだから、逆に言うとそこまでさせていいんだということではなくて、上限がそうであったとしてもできる限り少なくするように努力をするということが、やはり大事ではないかなと、そういうふうに思っています。他律的業務があって忙しい、大変忙しい部局であっても、例えば、全員が忙しいわけではないかもしれない。例えば、忙しい人は頑張らなければならないにしても、そうでない人は早く帰るようにするとか。例えば、そういう日ごろの工夫もあるでしょう。スクラップ・アンド・ビルドを徹底して少しでもトータルの業務を減らすこともありますでしょう。今後は、デジタル化ということを通じて、より抜本的に業務の軽減ができればなと、そういうにも思っています。そういう総合的な対策もあわせて講じていく必要があるだろうと、そういうふうに考えるところです。
◎32番(坂本茂雄君) 実は、高知県の職員の長期病休者、その長期病休者のうちにメンタル面が理由で病休をされている方が、平成21年には53%だったものが、現在は63%になってるというような状況を考えてみたら、やはり職員の健康管理ということにも十分配慮していただきたいということも含めて、十分これらについては今後も留意していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
続きまして、産業振興計画でありますが、産業振興計画についての提案説明では、農業分野では、農業産出額など、さらに、林業分野では原木生産量など、水産業分野などでは漁業生産額などと、その目標と達成状況を示しながら、農業分野では、「地域で暮らし稼げる農業」の実現を目指し、林業分野では、「山で若者が働く、全国有数の国産材産地」の形成を目指し、水産業分野では、「若者が住んで稼げる元気な漁村」の実現に向けて取り組んでこられたというふうに提案説明されています。「若者が働き、稼ぎ、暮らしていける」ということを新規就業者が体感できるような農業、林業、水産業の平均年収など、それを示す数値を明示していただくよう、順次お尋ねしますので、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
まず、農業振興部長にお聞きします。
◎農業振興部長(西岡幸生君) 農業分野では、農家の平均年収を捉えた統計データはございませんが、本県の農業産出額等を販売農家戸数で割った販売農家1戸当たりの農業産出額等の数値を産業振興計画の取り組みの成果をはかる1つの指標としております。この販売の農家1戸当たりの農業産出額等については、平成22年で503万円であったものが、29年には817万円と62%の伸びとなっております。
◎32番(坂本茂雄君) 続きまして、林業振興・環境部長にお尋ねします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 林業分野におきましても、林業就業者の平均年収に関する統計データはございませんが、本県の林業産出額を林業就業者数で除した就業者1人当たりの林業産出額の数値を算出いたしますと、平成20年に400万円であったものが、平成29年には572万円と43%の伸びとなってございます。
また、参考値とはなりますけれども、林業労働力確保法に基づく認定事業者に対し4年ごとに行っているアンケート調査では、雇用者の年収階層別の人数を把握しており、この人数から加重平均により年収額を試算すると、平成21年に349万円、25年に329万円、29年には357万円となってございます。
◎32番(坂本茂雄君) 水産振興部長、お願いします。
◎水産振興部長(田中宏治君) 水産振興分野でも、平均年収などを捉えた統計データはありませんが、本県の漁業生産額を漁業就業者数で割った漁業者1人当たりの生産額を、産業振興計画の取り組みを進める上で参考としております。この漁業者1人当たりの生産額は、平成20年の984万円が、30年には1,487万円となり、51%の伸びとなっております。
◎32番(坂本茂雄君) それぞれに御答弁いただきましたが、明確な実態の把握っていうのはなかなか難しいところあるとは思うんですけれども、やはりここも「若者が働き、稼ぎ、暮らしていける」ということをうたうのであれば、どうやって把握していくのか。さらに、目標額を持たせて、それの進捗状況もPDCAで回していくというようなことも必要ではないのかというふうに考えますが、知事、ひょっと、こういったことについて、どのようにお考えか、お聞きします。
◎知事(尾ア正直君) 非常に重要な御指摘だというふうに思います。いわゆる平均年収を把握するということについて、これ、いわゆる所得を把握するっていうデータっていうのはなかなか現実問題としてはないわけあって。例えば、税務申告だとか、そういうことに関わって、個々個別にということはあるかもしれませんが、トータルの統計量として把握するということについては、我が国の統計上はそういうものはないわけです。
ですから、その状況を把握するに足るような関連のデータを見ていって、トータルとしてどうなっていってるかなってことを把握をすると。いわゆる複合的に結果をはかるということが大事だろうというふうに考えています。一番ダイレクトに近づきそうだなというのが、個々産業別の1人当たりの生産額とか、そういうものがまずは代替指標として使えるだろうということで使わさせていただいてますが、例えば、川上川下の前後の産業ではどうかとか、例えば、食料品製造業出荷額はどうかとか、木材木製品製造業出荷額はどうかとか、そういう形でトータル、川上、川下も増えていくようであれば、トータルとしてうまくいってるんではないか。そういうことを把握しようと試みたり。さらに言えば、これ全産業なべてということになりますけれども、1人当たり県民所得とか、1人当たり現金給与総額とか、そういうものも見ていくことでもって、その状況を把握しようとしたり。そして、あわせて言えば、各集落において、若い人の人口動態がどうかとか、そういうことも把握しようとしたり、そういうことをトータルで把握していきながら、私どもとして、その取り組みがうまくいってるかどうかを把握しようということを考えております。
今後に向けて、不断にそういうその状況の把握の仕方については工夫を重ねていく必要があるものと、そのように考えるところです。
◎32番(坂本茂雄君) 続きまして、南海トラフ地震対策について、質問させていただきます。
知事は、難易度の高い課題は、避難情報への対応と避難行動要支援者の課題だというふうに言われています。難易度が高い課題だからこそ、本気度が見える取り組みでなければならないと思います。
名古屋大学教授で講演のためよく来高される福和伸夫減災連携研究センター長の著書「必ずくる震災で日本を終わらせないために」の中で、「本音で語り、本質を見抜き、本気で実践する」という言葉があります。そういうことを残された在任期間にしっかりと道筋をつけていただきたいということを知事に要請しておきたいと思います。
そこで、まず難易度の高い課題とされる避難行動要支援者対策について、地域福祉部長にお尋ねします。
避難行動要支援者対策では、自助だけでは避難できない方たちに対して、共助と公助がどのような支援を行うかということが問われています。現時点での名簿提供状況、個別計画策定がなかなか進まないという課題はありますが、それ以上に大事なのは、策定率ありきではなく、どのように「命を守る」個別計画となっているかではないかと思います。しかし、その策定過程では、さまざまな課題にぶつかる場合があります。
そこで、発災した直後の避難支援は、市町村から提供された避難行動要支援者名簿を活用した現在策定中の個別計画による共助の支援の仕組みに頼らざるを得ないと考えられますが、個別計画策定後に実効性をはかる上で、明らかになる課題に対して公助として行政が事前に行っておかなければならないことは何だと考えられているのか、地域福祉部長にお聞きします。
◎地域福祉部長(福留利也君) 個別計画の実効性を確保する上では、公助としまして、避難訓練の実施などの地域の取り組みへの支援に加えまして、安全な避難路の確保や避難場所での受入環境の整備、福祉避難所の確保などに取り組む必要でございます。
こうした取り組みを進める上では、移動が困難な方を始め、コミュニケーションに不安がある方など、要配慮者の特性に応じたきめ細かな支援が行われるよう関係者の理解を深めていくことが大切だと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) そういった課題がある中で、地域で個別計画を策定し、それを訓練などで実践しようとしたときに明らかになってくる課題、この課題をなかなか共助や自助の段階では克服できないという場合に、きちんと事前に公助でそれを支援するというふうな仕組みをつくっていくということについて、いかがでしょうか。
◎地域福祉部長(福留利也君) こうした要配慮者の方の特性に応じたきめ細かな仕組みづくりということに関しましては、これまで市町村に対しまして、要配慮者の特性や困りごとをまとめたチラシを配布をいたしまして、津波避難ビルや緊急避難場所で、要配慮者の特性に応じた対策を進めていただくよう働きかけてきたところでございます。各市町村では、県の地域防災対策総合補助金を活用しまして、障害者用トイレ、パーソナルテント、背負い式避難具などの資機材の整備が徐々に進んでいる状況でございます。
今後も、各地域の訓練などを通しまして、要配慮者の特性に応じたきめ細かな支援方法や必要な資機材の整備などがさらに進んでいくよう、危機管理部とも連携をしまして、地域の取組みを支援してまいりたいと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) ぜひ事前のそういった取り組みを支援する仕組みをさらにさらにきめ細かくやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
続いて、昨年12月定例会において、当時の危機管理部長は、「既存の建物を指定している津波避難ビルは、車いすの利用者の避難を想定したスロープは設置されていない。今後、タワーも含めて、車いすを利用される方が安全に避難できる方法について、市町村や自主防災組織など避難を支援することとなる方々とともに研究していきたい」と答弁されていますが、現在、どのような状況になっているか、危機管理部長にお尋ねします。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 第4期の行動計画では、津波避難タワーなどの避難場所の総点検を実施し、避難の実効性を高めていくこととしています。
まずは、タワーから実施しており、スロープを設置していないタワーにおいて、車いすの方をどう避難させるつもりなのか調査したところ、ほとんどの市町村が地域の方々が車いすを持ち上げて避難することを想定をしておりました。その中で、一部の市町村では、介助者の負担を軽減するため、階段を滑らせて移動できるエアバッグ式担架を購入しているところもありました。
また、この総点検のほか、介助者の負担を小さくする製品を調べましたところ、介助者がおんぶしたり、布製の担架を介助者の肩にかけてつり下げることで、介助者の両手が自由に使え、移動介助を安全かつ容易にする製品もありました。
今後も引き続き、車いすを利用される方の安全な避難に関する事例を調査し、市町村と情報共有していきたいと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) ただ、その際に、それを配備していく上でも、やっぱり財政的な問題出てくるんですね。先ほど、福祉生活部長が言われたことと関連してきますけども、例えば、先ほど言われたエアバッグ式担架、これ大体10万前後するんですよ。それを、例えば、1つの防災会で備えるとかいうことじゃなくて、やはりそこは、例えば、民間の津波避難ビルをそういうふうに指定していれば、そこの津波避難ビルになっているマンションなんかの自主防災会が補助金をもって負担するのではなくて、きちんと公助の仕組みで負担していくというふうなことなんかも考えていただきたいというふうに思うんですけども、ぜひ、そのことについては地域福祉部とも連携して、そういった共助や自助のところの負担にならないような、財政的な負担にならないような仕組みを考えていただきたいというふうに思いますが、その決意を聞かせてください。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 例えば、避難タワーでしたら、そういう避難のための器具なんかについて、市町村が購入する場合には、市町村が購入する場合ですよ、は、県のほうが半分以上負担するようにしてますんで、基本的にはそういうものは補助の対象になると考えてます。ちょっとそれが対象にならなかった事例があるかどうかっていうのはちょっと把握ができてないんですけども、基本的には支援をしていくと、避難をするための器具については、考えております。
◎32番(坂本茂雄君) タワーは公的に作ったもんですよね。ところが、津波避難ビルは民間の建物をお借りしてるわけですよね。そこに対して、公が負担するということはまだやってないでしょ。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 民間の施設に地域の方々も避難するような民間の施設ですよ、にするというときには、それに対する支援もやってます、一部。例えば、避難タワーなんかを、施設民間の方が逃げるための避難タワーをつくるときに、周辺の方々も逃げるんであればというような位置づけで。ほんで、だから、避難ビルも同じような考え、避難施設として考えれると思うんで、そこは十分に検討させていただきたいと思います。
◎32番(坂本茂雄君) ちょっと、またきちんと詰めさせてもらいますんで、委員会のほうで。
昨年12月定例会では、要請とさせてただいた、階段を登れる車いすなどの防災製品開発などについては、どのような状況か、商工労働部長にお尋ねします。
◎商工労働部長(近藤雅宏君) 防災製品の開発につきましては、ユーザーの気づきを促すような価値提案型の製品開発を促進するため、本年度、新たに避難所関連、防災食品、土木建築の3つのテーマで、防災製品開発ワーキンググループを立ち上げ、専門家を招いた勉強会や県内企業によるワークショップなどを行っているところです。
要請のありました階段を登れる車いすなど、要配慮者が安全に避難するための製品につきまして、県内企業によるものでは、津波避難タワーに設置する手巻き式ゴンドラや階段でも人を運べるストレッチャーなどがありますが、まだまだ新たな製品開発の余地があると考えております。
避難行動における要配慮者対策は極めて重要な課題でありますので、年内に開催を予定している2回目の避難所関連ワーキングにおいて、テーマとして取り上げることとしており、危機管理部や地域福祉部、市町村などと連携を図りながら、県内企業による製品開発に向けた意欲の喚起に努めてまいります。
◎32番(坂本茂雄君) 続きまして、広域避難所について、危機管理部長にお尋ねします。
避難所は、発災1週間後の避難者約23万人に対し、約21万人分の避難所、約1,300カ所が確保されていますが、いまだ、2万人が不足しているというふうな状況です。
そこで、お尋ねしますが、今後の避難所の確保の目途は、どのように立てられているのか、お尋ねします。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 避難所の確保につきましては、今後、まだ活用していない学校の教室や公民館、民間施設の活用を進めていきたいと考えております。
仮にですが、それらの施設を全て活用できましたら、約3万人分のスペースが見込めます。そうなれば、県全体としては、全ての避難者の受け入れが可能になると考えています。可能な限り、早期の確保を目指して、市町村と連携して取り組んでまいります。
◎32番(坂本茂雄君) 今おっしゃったように、県内全体でいけば大体充足されると、それが可能になればということなんですが。ただ、高知市というふうな形で見ると、約4万人分不足しておりまして、中央圏域内での余剰充足数を差し引いてもなお、約3万人分不足するという試算結果が出ております。現状では、中央圏域内で完結できないと思われますが、その場合は、中央圏域を超えた範囲で確保することになると思われますが、避難先の提示がどの段階で明らかにされるのか、お尋ねします。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 避難者数は、地震の規模によって大きく異なります。できるだけ自宅に近いところに避難していただくためには、発災後に、実際の避難所の利用状況や避難者数をもとに、広域の避難先を調整することとなります。そのため、住民の方々に対して避難先をお示しできるのは、基本的には広域避難の調整が終わった時点になると、考えております。
ただし、高知市については、広域避難者が多く発生することが想定されますことから、今後、避難先についてのおおまかな方向性は決めていきたいと考えています。
◎32番(坂本茂雄君) 広域避難の実効性の確保を図ることとして、訓練などを通じた広域避難計画の磨き上げが提起されています。そのためにも事前交流を重ねていくことも必要と考えますが、そのための支援はどのような形で行われるのか、お尋ねします。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 地域間交流に係る移動や防災学習会の経費につきましては、県の地域防災対策総合補助金の対象となっています。具体的には、市町村が地域に補助する際にその2分の1を市町村に補助をしています。
◎32番(坂本茂雄君) これも納得できませんけれども時間がありませんので、次お尋ねします。
仮設住宅について、土木部長にお尋ねします。
これまでも、仮設住宅の確保について、量的な不足を随分と指摘をしてきました。昨年のときには、第4期南トラ地震対策行動計画の中で明確にしていただきたいということも要請させていただきましたが、今回の計画の中でも、「主な目標として応急仮設住宅建設用地、約458ヘクタールの確保」ということが掲げられているのみであります。
そこで、充足率を高めるための具体的な方策は、どのように検討されているのか、土木部長にお尋ねします。
◎土木部長(村田重雄君) 建設型の仮設住宅の用地につきましては、昨年度末で2万3,000戸分を確保し、借り上げ型と合わせますと、約3万戸の供給が可能と見込んでおります。この結果、L1クラスの地震で必要となる約2万2,000戸は確保できている状況ですけれども、L2クラスの地震において必要な戸数には足りない状況です。
このため、限られた建設用地を効率よく活用する取り組みもあわせて進めているところでございます。
東日本大震災では、海上輸送コンテナなどを利用しました2階建てや3階建ての仮設住宅が建設されておりまして、限られた建設用地を有効に活用するための1つの方策と考えております。
そこで、県では、昨年度より2階建てや3階建ての場合の問題点や改善策などにつきまして、一般社団法人プレハブ建築協会と検討を進めているところです。その一方で、必要となる仮設住宅戸数を少なくする取り組みも重要であると考えておりまして、住宅の倒壊を防ぐ耐震化の促進にも取り組んでいるところです。
引き続き、これらの取り組みを一層進めまして、仮設住宅の充足率を高めていきたいと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) 2階建て、3階建てという今までにない取り込みで、少しでも解消していくということなんですけども。それに加えて、西日本豪雨災害や北海道胆振東部地震において、被災者が所有する敷地にトレーラーハウス型応急仮設住宅が設置された事例があります。仮設住宅用地の課題を解消する一助になるのではないかと思われますが、今後の仮設住宅確保の上で検討されるのかどうか、お伺いします。
◎土木部長(村田重雄君) 昨年の7月豪雨被害の際には、岡山県倉敷市で51棟のトレーラーハウス型仮設住宅が供給されております。このトレーラーハウス型仮設住宅は、比較的狭い敷地でも対応できることから、被災者の所有地の一角に設置することも可能であり、仮設住宅の建設用地不足の解消につながるものと考えております。
このため、県におきましては、このトレーラーハウス型仮設住宅の活用につきまして、メーカーと意見交換を行うなど、仮設住宅の供給メニューの1つとして検討を進めているところでございます。
◎32番(坂本茂雄君) 続きまして、生きづらさの解消に向けた課題で、地域福祉部長にお尋ねします。
厚生労働省の「地域共生社会推進検討会」は、複合的な課題について、一元的にワンストップで対応できる自治体窓口の創設など「断らない相談支援」の必要性について提言しています。検討会は年末に最終報告をまとめられる予定ですが、本県において、この流れを踏まえたときに、どのような相談体制が想定されるのか、お尋ねします。
◎地域福祉部長(福留利也君) 現在検討されております断らない相談支援の想定される相談体制としまして、地域の関係機関による既存のネットワークに断らない相談に必要な機能を付加する多機関の協働のタイプと、総合的な相談窓口を設けるワンストップのタイプが示されております。現在、県の地域福祉支援計画の改訂作業を行っているところでございまして、市町村のこうした相談体制や専門的な人材の育成など、県の支援のあり方につきまして、今後の国の議論も踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) 続きまして、ひきこもられている方々への居場所、ピア相談窓口などの支援について、お尋ねします。
先日、我が会派の田所議員も、8050問題とひきこもりについて質問をされました。
一昨日、高知市内で開催された「ひきこもり つながる・かんがえる対話交流会」にも、私も参加させていただき、いろんなことを学ばせていただきました。
そこで、厚生労働省では、2020年度、ひきこもりなどで社会的孤立に苦しむ人の個別相談を担い、就労を支援する「アウトリーチ支援員」を自治体に配置する検討に入ったということが報じられていました。小規模自治体でも相談体制を強化できるようにするとの意味合いから、こういったことが進められているようですが、本県ではどのような対応が検討されるのか、お尋ねします。
◎地域福祉部長(福留利也君) さまざまな課題を抱えながら家庭内の問題を外部に言い出すことを躊躇するなど、みずからSOSを出せないといった支援に結びつかない方を支えていくには、支援機関がそうした方の状況を把握し、支援に繋ぐためのアウトリーチが有効な手段でございます。お話にあったアウトリーチ支援につきましては、国において予算化されれば、積極的に活用し、地域でSOSを待つのではなく、早い段階から訪問支援を行う体制の構築に向けて取り組んでいきたいと考えております。
◎32番(坂本茂雄君) ちょっと時間がなくて、申しわけないですが、今後そういったひきこもる人が、孤立しない相談の窓口や、あるいは、居場所、さらには、アウトリーチによる相談支援、そういったことに対応できるような高知県の姿勢を求めておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
続きまして、もう時間がありません。最後の課題なんですけども、県立大学図書館の蔵書除却処分について、知事にお尋ねしたいですが、時間がないので、1問目は省いてお尋ねしたいと思います。
県立大学の出先機関調査で感じたのは、検証委員会の報告も出て、図書館改革委員会で改革が進んでいるからいいのではないかというような一件落着感を感じました。
しかし、その後、高知新聞には「続 灰まで焼け」が連載されるとともに、私どもに寄せられる関係者や県民の無念感と怒りは継続しているとしか思えません。
そんな中で、開会日に、公立大学法人評価委員会から「平成30年度 業務実績評価書」が提出されました。全体評価として「図書館運営について課題があり」として、項目別評価では「県民などから批判があった永国寺図書館の図書除却については、その処分方法については配慮が十分ではなかったと認められる」と指摘されていました。しかし、今年6月の「事前に文案を調整したメールが流出した」という新聞報道の際にあった、「県の私学・大学支援課からは、今回の大学の処理は基本的には間違っていないというスタンスは変えないようにと言われています」とか「処分の方法のところで配慮が足りなかっただけでいいのではないか」などと書かれていたことを反映したかのように、今回の「平成30年度 業務実績評価書」では、「その処分方法については配慮が十分ではなかった」としているのは、第三者機関の評価書として、極めて問題だというふうに考えられますが、この評価書の妥当性について、知事は、どのようにお考えでしょうか。
◎知事(尾ア正直君) これは第三者委員会でしっかり議論していただいた結論であります。御指摘のような私学大学支援課からの圧力によって内容がゆがめられたなどという事実は一切ございません。
このメールが流出したというものは、違法に流出したものでありますけれども、県の私学大学支援課からは、大学の処理は基本的に間違っていないというスタンスは変えないようにと言われていますというのは、去年の8月17日、報道があった日に、翌日のコメントを出すに当たって、そのコメント文案を相談する中において、県のほうから、こちらについて大学の考え方をや事実を正確にわかりやすく記述してはどうかとか、大学は除却について時間をかけて慎重に行っており基本的に間違っていないのではないかとか、所管課として指摘や助言を行ったものということであります。
さらに、今回の大学の処理は、基本的に間違っていないというスタンスは変えないようにと言われていますという、こういうメールなんかについて、基本的に圧力というものではなくて、あくまでコメント文案作るときの指摘、助言というにとどまるということ、この点ははっきりさせておきたいと、そのように思います。
その後、私どもとして、県から事実関係を明らかにしてしっかりと検証するように、私も含めて多々申し入れてきたところでありますし、実際に、その後の検証プロセスは、県とは独立した第三者によって行われてきたものでありますし、また、例えば、学長が適切ではなかったと自覚した内容なんかについても、検証委員会の報告書にしっかり記載をされているとかいうこともありますように、この第三者委員会での検証というのは十分に客観性をもって検討が行われたものだと、そのように考えております。
もう打ちどめ感というようなお話もございましたが、そんなことはなくて、これからこそ改革のプロセスを具体化していくときだと思ってますから、大学においてしっかり対応していただくことが大事だと、そういうふうに思っています。
◎32番(坂本茂雄君) いろいろとやはり見るにつけ、この検証委員会の報告がほんとに妥当だったのか。やっぱりここの検証がきちんとされないと、今後の改革というものもきちんとしていけないというのがあると思うんですね。そういった意味では、やはりもっと深く掘り下げた議論というのがされてしかるべきではないのかなというふうに思ってます。
時間がございませんので、ほかにも用意していた次の質問もあったんですけども、引き続き、危機管理文化厚生委員会の中で議論をさせていただきたいと思います。
最後になりますが、知事、12年間大変お疲れ様でした。もっともっと議論をしたかったという思いがありますけれども、これにて、私の質問は終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。