2017年12月定例会一般質問(12月21日)

◎31番(坂本茂雄君) お許しをいただきましたので、ただいま議題となりました第29号「職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例議案」について、質問をさせていただきます。
 5年前の退職手当引き下げの時には、長年勤められた定年退職者が、大幅に引き下げられた退職手当を突きつけられる中、施行日が3月1日となったこと、経過措置も年度途中で切り替えられることで、悩みつつ、いわゆる「駆け込み退職」を選択せざるを得なかった方々がいらっしゃったことを昨日のように思い出します。
 そして、今回も5年に一度の見直しということで、平均約79万円の減額を年度内に施行するための「職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例議案」が提出されました。
 今年度末の退職予定者数は知事部局で79名、教育委員会で287名、警察本部で48名、公営企業局で2名、で合計416名にのぼっております。
 これらの皆さんは、県職員、警察官、教員などとして採用されてまもなく、6年間にわたって人事院勧告の一部あるいは完全凍結によって賃上げを据え置かれ、さらに三位一体の改革なども踏まえ、本県独自で5年間にわたって給与カットがされて、さらに平成25年には、給与の特例減額が行われ、そのことによる財源は、「高知県職員等こころざし特例基金」として活用されるなど、勤務年数の約1/3の期間は賃上げの抑制・給与カットを受け続けたという厳しい状況の中で、懸命に県政浮揚のために尽力されてきた方たちばかりなのです。
 また、本条例改正議案の大きな問題となっている施行日に関して述べますと、前回改正された5年前、全国の都道府県では22団体が、県内市町村もほとんどが翌年度の4月1日に施行されています。
つまり、国に準じる改定を実施するとしても、その施行期日は、必ずしも年度内施行ではない独自の判断を各団体がなされていましたし、今回もそのような団体はあるのだろうと思います。
 今回の提案で2月1日を施行日としたのは、いわゆる年度途中での「駆け込み退職」を生じさせないための苦肉の策ではないのかと思わざるをえません。
 そんなことを踏まえたとき、改めて「職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例」の施行日を平成30年4月1日とすることができないかとの思いで、順次質問をさせて頂きます。
今回の退職手当の見直しに関して、11月17日付けの総務副大臣通知「地方公務員の給与改定等に関する取り扱いについて」の中に「第3 退職手当の支給水準の引き下げについて」の項があります。
 この「第3 退職手当の支給水準の引き下げについて」は、「地方公務員の退職手当については、各地方公共団体において地方公務員法の趣旨を踏まえ、今般の国家公務員の退職手当制度の改正に準じて適切な措置を講ずること」が主であって、施行日を規定しているものではありません。
 にもかかわらず、このいわゆる「技術的助言」をふまえ、5年に一度見直しを行うということ、さらに技術的助言に従うことの妥当性について知事にお聞きします。
総務部長は、職員組合との交渉の中で、退職手当の引き下げについて「年度内施行しない場合、県民のみなさんの負担が増える。」と説明されていましたが、この説明に対して、違和感を覚えました。
 今年度末の退職手当については、本来、当初予算で計上されていたものであり、それが予定通り執行される場合には、負担が新たに増加するものではなく、「負担が増える」とは言えないのではないかと思います。
 もし、そういうことであれば、当初予算が減額されない場合の事業予算も同様に「県民の負担が増える」との理解もできるわけであり、通常そのようなことはないと思うのですが、あらためて「年度内施行しない場合、県民のみなさんの負担が増える。」との考え方に変わりはないのか、総務部長にお聞きします。
今回も、前回同様、職員組合の理解と納得が得られず、合意のないまま、退職手当を引き下げる議案が提出されました。
 前回の退職手当引き下げの条例案を審議した平成24年12月定例会における私の質問に対して、知事は「職員団体との話し合いに当たっては、意見を聞いて合意を目指し、場合によっては提案を変更することもあり得るという基本姿勢で臨むように指示をしているところであります。今回の話し合いは、先ほど御説明しましたとおり、職員にとって大変厳しい内容でありますことから、課長、部長、副知事と話し合いを丁寧に行うとともに、職員団体から出された意見については、真摯に検討を行い、意見を踏まえて、条例の施行日や段階的に引き下げていくための経過措置の時期については、2度にわたって修正案をお示しし、御理解を求めたところであります。
 議会に提出しました案については、この2度の修正を加えた成案であります。残念ながら職員団体の理解を得ることはできませんでしたが、十分な周知期間が必要との意見も踏まえて、職員に早期に制度を示すためにも、今議会で判断をいただくことが必要と考えたところでございます。今後とも、職員団体には誠意を持って対応していきたいと考えております。」との答弁をされました。
 そこで、総務部長にお伺いしますが、今回の成案は、職員組合への提案内容を何度修正されたものなのか。
 また、12月18日に総務部長名で「県議会議員各位」宛に示された文書には「前回(平成24年)の退職手当の引き下げの際も、職員団体との合意に至らないまま12月定例会の最終日に条例案を提案しております。」と記述がありますが、前例があるから、今回も合意なしで、提案をするという考え方と受け止めざるをえません。
 このような交渉事項のさいたるものである勤務労働条件の変更について職員団体との合意なしで提案することに何の反省もないのか、あわせて総務部長にお伺います。
知事はこれまで述べてきた「職員団体との話し合いに当たっては、意見を聞いて合意を目指し、場合によっては提案を変更することもあり得るという基本姿勢」を変えるのかどうか、お伺いします。
 職員団体に対しての当初の提案以降、交渉の直前になって明らかにされた再任用合格者が途中退職した場合の取り扱いについて、お伺いします。
 県庁職員として定年まで勤め上げるのが本旨であるとはいえ、今回のような提案を受け、心ならずも駆け込み退職を選択する職員を否定することもできません。
 総務部長も交渉の場で、「再任用で働きたいと意欲を持っておられる方が、今回のひどい仕打ちで心が折れ、周りの職員に申し訳ないという思いはあるけれども、再任用で働くために気持ちを切り替えるために退職をされる方など選考させていただく。」と回答されています。
そのように言わざるを得ないような思いを抱くなら、「合格取消」という対応は、踏絵以外の何ものでもないと思わざるをえません。
 駆け込み退職を助長するような制度に改正をしたうえで、「駆け込むなら容赦はしない」という対応姿勢が、職員の心にどう伝わるのかを考えていただきたいと思います。
 退職手当を約79万円ほど減額しておきながら、途中退職者に対して、「年度末での定年退職という受験資格を満たしていないことから、合格を取り消す。その上で、その職員を対象に、改めて再任用選考考査を実施することとなる。」とされていますが、合格取消の必要はないのではないかと考えますが、副知事にお伺いします。
今年度末退職される予定の方からは、日頃から「上司からは、仕事のできない理由ばかりでなく、できる方法を考えよ」と言われるとお聞きしています。
 まさに、これは知事の言葉でもあろうかと思われます。
その退職予定の方からは「だったら、知事も退職手当に関する条例改正の施行日を平成30年4月1日とすることには、できない理由ばかりを探すのではなく、できる方法を検討してもいいじゃないか。」と述べられていました。
 知事は、施行日を4月1日にできる方法について、どのようなことを検討されたかお伺いします。
今回の議案の施行日については、職員組合との交渉でも「駆け込み退職の蓋然性が高く、県民サービスへの影響がないようにしなければならず、2月1日施行が適当と判断した。」とされていますし、とにかく駆け込み退職を回避することが、施行日判断の根拠であると言わんばかりの対応であることが、明らかとなっています。
 しかし、年度途中で施行する限りこのような問題は、今後も生じることとなることは明らかですので、今後は、国が見直さざるを得ない場合でも、混乱を招く年度途中の見直しではなく、新年度の見直しということにすべきとの国への申し出はできないか、知事にお伺いをいたしまして私の第一問とさせていただきます。

◎知事(尾ア正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。まず、退職手当の5年に一度の見直しと国の技術的助言についてのお尋ねがごさいました。
 国家公務員の退職手当につきましては、平成26年7月25日の閣議決定、国家公務員の総人件費に関する基本方針において、官民比較に基づき、おおむね5年ごとに退職手当支給水準の見直しを行うこととされております。退職手当についても、他の給与と同様に官民均衡を図ることが重要であり、定期的に見直しが行われることは妥当だと考えております。また、国の改正にあわせて、総務副大臣通知によって、地方に対しても国と同様の改正を要請する技術的助言がございました。この技術的助言につきましては、県職員の退職手当の見直しに際して、十分に参考にすべきものと考えております。県職員の退職手当につきましては、地方公務員法に定める均衡の原則に基づきまして、従来から国の制度に準じた取り扱いをすることを基本としておりますことから、県庁組織の長として心苦しいことではございますが、今回も国に準じて引き下げを行う必要があると判断したものでございます。
 次に、職員団体との話し合いに当たっての基本姿勢につきまして、お尋ねがございました。
 お話にありましたとおり、職員団体との話し合いに当たっては、意見を聞いて合意を目指し、場合によっては提案を変更することもあり得るという基本姿勢で臨むように指示をしているところであります。今回の見直しに当たりましても、条例改正の施行期日を4月1日とすることなど、職員団体からの要求内容の実現の可能性を検討いたしましたが、提案内容を変更することは困難であると考えたことから、今回は提案内容を見直すことなく、また合意にも至りませんでした。
 しかしながら、職員団体との話し合いに当たっての基本姿勢は、従来の考え方に変わりはありませんし、今後も、その考え方を変えるものではありません。
 次に、退職手当の見直しの施行日を4月1日とするために、どのような検討をしたのかとのお尋ねがございました。
 国は、退職手当の見直しを年度内に行う中で、国準拠を基本としている本県が退職手当の見直しを来年度に施行することにつきましては、今年度末に退職する県職員に支給する退職手当が国家公務員の支給水準を上回ることとなることの是非と、来年度施行により生じる財政的な影響の2点について検討する必要がございました。
 1点目につきましては、公務員を取り巻く厳しい環境のもと、特に給与に関することは、県民の関心が高いものと認識しており、国家公務員の支給水準を上回る退職手当を県職員に支給することは、県民の理解が得られないと考えたところであります。
 2点目の財政的な影響につきましては、施行期日を4月1日とした場合に、年度内施行であれば、支出することのなかった退職手当の相当額は、県全体で約3億3,000万円となり、かなりの規模となるところであり、この点を考慮したものであります。
 これらの検討の結果、4月1日に施行することは適切ではないと判断したものでございます。
 最後に、国への申し出についてのお尋ねがございました。
 国家公務員の退職手当につきましては、国は閣議決定に基づいて、おおむね5年ごとに退職手当の見直しのために、官民比較を行うこととしております。今回については、平成27年度の退職給付の官民格差について、平成29年4月に、人事院が調査結果及び見解を示しております。その見解を踏まえた法案が12月に成立し、来年1月1日に施行されますので、平成29年度退職者に適用されることとなり、2年おくれで官民格差を解消することとなります。
 仮に、退職手当の見直しを新年度に行うこととなると、平成27年度の退職者の官民格差を平成30年度に解消することとなり、3年おくれることになります。この点は、官民格差の早期是正の観点から望ましくないと考えているところであります。
 また、県の退職手当の見直し時期に関しましては、官民格差の早期是正の観点、及び、国家公務員への準拠の観点からは、少しでも早く改正をすべきであり、今回の改正についても、施行時期を4月におくらせることは妥当ではないと判断をいたしました。
 したがいまして、御指摘のような国への申し出は適当ではないと考えております。
 私からは、以上でございます。

◎総務部長(梶元伸君) まず、県民の皆様の負担についてのお尋ねがございました。
 今回行なおうとしている退職手当の引き下げによりまして、県全体では、約3億3,000万円の予算の減額が見込まれております。条例の改正を年度内に施行しない場合、減額すべきであった予算が減額できなくなることによりまして、結果的に本来県民の皆様が負担しなくてもよいものを負担してしまうこととなり、そういう意味で負担が増えることになると考えております。
 なお、御指摘にありました当初予算が減額されない場合の事業予算につきましては、事業の内容にもよりますが、一般的には県民の皆様の負担により当初予算計上の目的を達成したと評価できるものであり、今回の退職手当の見直しのように、年度の途中で事情が変更したものと同列に議論することは必ずしも適当ではないと考えております。
 次に、職員団体への提案内容を何度修正したのか。また、今回も合意なしで提案するという考え方に何の反省もないのか、とのお尋ねがございました。
 職員団体に対しましては、先月27日に今回の改正内容の提案をし、その後の話し合いを行った結果、その内容を修正することなく、条例案を提案させていただいております。
 職員団体からは、今月の6日に要求書の提出をいただきました。要求書におきましては、退職手当の見直し案の撤回、施行時期を来年度以降とすることなどの要求をいただきました。また、その後の断続的な折衝の中において、口頭ではありますが、職員の退職後の生活に与える影響の大きさに鑑み、3つの項目、第一に、退職時に特別に昇格させること、第二に、退職手当の算定に当たって退職前5年間の職務の給与に応じて加算される調整額を国と同額にすること、第三に、段階的に引き下げを行う経過措置を設けることといった、退職手当の減額を緩和するための要求もあわせてなされたところであります。
 これらの要求につきまして、それぞれ検討を行わせていただきました。このうち、職員団体から最も強い要求がなされたのは、施行期日を来年度以降とすることでありました。国家公務員については、官民格差を速やかに解消するため、来年1月1日を施行期日としたところですが、本県が施行期日を来年度以降にいたしますと、今年度末に退職する職員に対し、国家公務員の支給水準を上回る退職手当を支給することとなるとともに、年度内に施行していれば必要のない費用、約3億3,000万円を負担することとなりますことから、県民の皆様の理解が得られないと考え、要求に応じることはできませんでした。
 また、退職手当の見直し案の撤回につきましては、退職手当を含む職員の給与については、国家公務員の制度を基本とする中で、職員の退職手当についても今回の国家公務員に対する措置に準じて見直す必要があることから、要求に応じることはできませんでした。
 さらに、口頭で要求をいただきました3つの項目について、第一に、退職時の特別昇格につきましては、職員の給与に関する条例で定められております、級別職務分類表に適合しない給与の格付け、いわゆる、わたりとなってしまいます。第二に、調整額を国と同額にすることにつきましては、まず、国は、平成27年に、地域間および世代間の給与配分の見直しなどの給与制度の総合的見直しを実施し、これにより、俸給表を最大4%程度引き下げるとともに、この引き下げが退職手当に影響を及ぼさないよう、調整額の引き上げを実施しております。他方、本県においては、地域の民間との均衡が保たれており、かつ、国家公務員の給与水準を上回る状況にないことから、給与制度の総合的見直しによる給料表の引き下げを実施しておりませんので、調整額のみを国と同額とすることは、国の退職手当制度を超える措置となってしまうところであります。第三に、経過措置を設けることにつきましても、国にはそのような経過措置がありませんので、国の退職手当制度を超える措置となってしまいます。
 以上のことから、いずれの対応についても、国を超える措置について、県民の負担を伴うものであり、実現が困難と判断をさせていただきました。
 以上のとおり、職員団体からいただいた要求のいずれも対応することが困難でありましたことから、当初の提案内容の修正には至らなかったものであります。
 また、前例があるから、今回も合意なしで提案するという考え方に対するお尋ねがございました。
 前回の退職手当の見直しについては、職員団体の合意が得られない中での条例案の提出でございましたが、今回の見直しに当たり、当然のことながら、職員団体と合意をすることを目指しておりました。ただし、先ほどお答えした考え方によりまして、来年度に条例を施行することは考えられないとの認識でありました。一方、職員団体は、私どもからの提案の前から、仮に退職手当を引き下げるとしても、4月1日施行とするよう、強く主張しておられました。このような施行期日をめぐる認識の相違から、課長レベルでの話し合いを求めましたけれども、4月1日施行がない中でこれ以上話し合いはできないと、職員団体の同意を得ることができず、その後、私、また、副知事による話し合いを行いましたものの、職員団体の合意は得られませんでした。
 職員団体との合意を得ることを目指していたものの、このような結果となったことにつきまして、実際に話し合いを行ってまいりました当事者といたしましては、非常に残念に感じております。しかしながら、今後もさまざまな課題について、職員団体の皆様と話し合いをさせていただくことになりますので、合意を得られなかったことを決して前例にすることなく、職員団体の御理解が得られるよう努めてまいりたいと考えております。

◎副知事(岩城孝章君) 再任用合格者が途中退職した場合に、合格を取り消すことについて、お尋ねがありました。
 現在の再任用制度は、平成25年3月の総務副大臣通知に基づき、定年退職する翌日から年金支給開始までの間、無収入の期間が発生しないよう、雇用と年金の接続に配慮するとともに、新陳代謝や組織活力の維持を行いつつ、職員の能力を十分活用していくことを目的として、希望する方を対象に実施をしております。
 このため、例年、10月に次年度に採用する再任用職員の募集を行い、そのうち年度末定年退職者など雇用と年金の接続を考慮する必要がある方に対して、その他の応募者に先だって12月中下旬に合格発表を行っているところです。
 このたびの平成29年度再任用職員選考考査に合格した方が、年度末を待たずに途中で退職した場合は、今年度末に定年退職する者といった当該選考考査の受験資格を満たさなくなりますことから、退職をした時点で一旦合格を取り消すことになるものです。
 しかしながら、今年度におきましては、合格者のうち1月末までに退職をし、再任用を希望する方に対しては、再任用職員の募集後に退職手当の減額を行うこととした経緯を踏まえ、改めて再任用選考考査を実施したいと考えているところです。

◎31番(坂本茂雄君) はい。2問目をさせていただきたいと思います。
 1つはですね、これは質問にはならないわけですが、どうしても事前通告制という形をとっておりますので、先ほど議場に配布された人事委員会のですね、地公法5条2項の規定に基づく意見についての回答、これに関しての質問ができないわけですね。これは、今、初めて議場で配布されるものですから。これを想定した上で質問を通告するということもあり得ないわけで。そういう意味では、非常に残念な思いがするわけです。
 というのは、この国家公務員に準じて措置しようするものであり、やむを得ないものと判断する。このやむを得ないという言葉に何が込められているのかなということを、私は聞いてみたいわけですね。で、何も問題なければ、適当であるものとすると言えばいいだろうと思うんですけども、そこやむを得ないというふうに言うというのは、ある意味不本意ながら、やむを得ないものとするというふうなことなのではないかなというふうに思ったりもするわけですが、このことは質問ができませんので、これを、回答を見た上での私の感想として述べさせておいていただきたいというふうに思います。
 で、再質問なんですが、やはり、実は、論点は1つではないかなと。結局、施行日をめぐっての判断、その施行日をめぐっての判断の中に、1つは先ほどから言われている国に準じるということ、あるいは、財源負担、本来ならばしなくてもいい3.3億円を負担しなければならなくなるということなど、そういった執行部から言えばですね、県民に理解してもらえる要素がないということなのだろうというふうに思うんですけども、そこをまさに執行部として判断して県民に理解を求める努力をどうしていくのかということだろうと思うんです。
 1つは、先ほど言いましたように、施行日の関係については、この技術的助言において、そこまで求めているものではないということが1つありますし、その職員の皆さんにしたらですね、定例会の質問初日の自民党の西内議員の質問に、副知事が、「高知県の職員は非常に優秀だと思う。予算編成時において、時として知事や私がブレーキをかけなければならないほど、新たな視点で実効性のある施策を積極的に提案してくる」と評価された。そういう評価された働きぶりで、尾ア県政を支えてこられたと思うんですね。
 その一方で、今回退職される予定の方は、先ほども言ったような県庁職員の約3分の1は賃上げの抑制や、あるいは、給与カットを受けるような勤務の実績だったわけで、しかも、今年度末退職予定者の皆さんは、2000年以降2008年に500円の給与の引き上げがあったのみで、さらに以降、昨年まで何らの引き上げがなくて、今年やっと200円引き上げられたというのが実態なんですね。そういう中でモチベーションを維持しながら、尾ア県政を10年支えてこられた方に対して、ほんとに言えば、気持ちよくこの県庁を卒業してもらうというようなことで考えればどうなのか。
 さらに、財源3.3億円と言いますが、この間、給与カットなど負担が減った過去の累積は平成17年度から職員の給与減額措置による累計額、約109億円ですね。で、職員数削減分も加えると、給与カット前の平成16年度と比べて、平成25年度の人件費総額は219億円減額、縮減しております。さらに、高知県職員等こころざし特例基金に活用された給与特例減額分、総額約28億円、こういったことに協力をしてきた職員の皆さんが今度退職されるわけです。そういう人たちに対する思いを込めて、県民の方に理解と納得を求めていくという努力をされるのが、私は執行部の対応ではないのかなというふうに思うんですけども、そのことについて、知事にもう一度お伺いしたいと思います。

◎知事(尾ア正直君) 非常にですね、県庁職員、大変優秀に頑張ってきていただいてます。そして、それに基づいて対価としての給与が支払われるわけであります。その給与の金額と、県民の理解を得て決められた金額ということであります。官民均衡の原則にのっとって給与が支払われる、優秀な働きに対してですね報いられると、そういう形になっているということなのかなと、そのように思います。頑張っているんで、すいませんけれども、官民均衡原則に外れた給与をお願いできますでしょうかと、そういうことをお願いするということがですね、果たして適当な道なのか。私は、そのように思いません。多くの県庁職員は、官民均衡原則のもとで必死になって頑張ってやってきてます。究極的には、県民の理解を得ようとして仕事をしてきたのだと、私は思っております。県民の理解の得られないような、そういう形での手当ての額の支給ということを、これを訴えていくということは適当ではないと、そのように考えたということです。
 先ほど、給与の抑制がずっと続いたというお話がありましたけれども、これも官民均衡原則に基づいて、もしくは、国準拠という考え方に基づいて、こういう形でですね、抑制がされてきたということでありまして、県民の理解を得て決められた給与、それが支給されてきたその結果だということであります。このように給与が下がってきた、その背景には何があったのか。県民の皆様の給与もまた厳しかったということがあるのでありまして、そのことを踏まえたですね、対応をしていくということが今後も大事だろうと、そのように考えてます。
 組織の長として、大変頑張ってきてくれた職員の皆さんには心苦しいものがございますけれども、しかしながらですね、やはり県民の理解を得て、給与手当ての金額を決めていくという原則をここで崩すべきではないと、そのように考えてます。

◎31番(坂本茂雄君) はい。知事は、かつて給与カットをせざるを得なかったときにですね、今まで身を切った努力をしてくれた職員のためにも、今後ともさまざまな機会を通じて情報発信に努め、県民の皆様にこの点、御理解をいただけるように務めてまいりたいということもおっしゃったことあります。
 そういった意味でも、今回のこのことについて、言えば、県民に理解を求めるということはせずに、理解はされないだろうという判断を、その事前にされたということではないのかなというふうに思うわけですけども、そのことについて、今後もいろんな、言えば、職員のそういう給与カットとか、あるいは、退職手当の引き下げとか、そういうようなことの事態が生じてくるときに、あらかじめ県民に、じゃあ、どうなんでしょうというようなことを問う、そういう姿勢の結果として提案をされるとかですね、そういうようなことを今後されていくようなつもりはないのかどうか、いうことをお伺いして、一切の質問とします。

◎知事(尾ア正直君) あらかじめ、「こういう給与カットをします。国よりも高いものになります。こういうことでよろしいでしょうか、県民の皆さん」ということを問うと、いうことをするのかどうか。まさに、ここで、条例という形で、皆、先生方にお示しをさせていただいて、民主主義の制度のもとで、県民の代表者たる県議会の先生方に御議論をいただくということで、県民に問うておるということではないのかなと、そのように思います。ですから、この給与の決め方については、こういう形で条例を提出させていただいて、先生方に御審議いただくということでやらせていただくことが妥当だろうと思ってます。
 他方でですね、非常に大事なこととして、職員の頑張り、これをですね、県民の皆さんに正しく御理解いただくように、これをお伝えするということも大事だろうと、そのように思ってます。県民の皆様から、職員、私も含めてでありますが、いろいろとお叱りも受けることもあります。しかし、他方、非常に頑張っていて、お褒めいただきたいとそのように思うこともあるわけであります。厳しい御意見には、耳を傾けながら、当然でありますけれども、お伺いしながら、あわせて、こういう形で職員もまた苦労しながら頑張ってますということをしっかりお伝えしていく機会、これはしっかり持っていきたいと、そのように考えています。県の広報番組もそういう側面もあるんだろうと思いますしね。また、対話と実行行脚などを含め、県民の皆さんとの対話の中において、私は、褒めるべきは褒める、そういうことでやってきたつもりであります。そういう形でですね、職員がまた、給与という面もありますが、その他の面においても県民の御理解を得て、ある意味報われる県庁職員としての仕事がですね、展開されるように、そういうふうにしていければなと、そのように考えているとこです。