2017年12月定例会一般質問(12月12日) |
◎31番(坂本茂雄君) 県民の会の坂本でございます。お許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきたいと思います。
まず、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。知事も就任されまして、高知県政を10年間担ってこられたという節目の年でもあります。この間、5つの基本政策と2つの横断的な政策を柱に、その方向性を維持した上でさらなるバージョンアップを図り、県勢浮揚の実現に向けて尽力されてきたことに対して、評価もさせていただいているところでございます。
しかし、その全力投球ぶりの中で、12月10日付け高知新聞「尾ア県政10年」の中にもあるように、時間外勤務が増加していることや、知事の思いに応えようとするあまりの繁忙感を懸念する声、さらには、副知事の「『全速力の知事への忖度が過ぎれば、無駄な仕事が増えてしまう』と戒め交じりの不安を口にする」と記事があり、そのような中で、懸念がどうなっているのか、まず、県政運営のあり方などについてお聞きします。
平成24年4月12日の知事講話の中で、「県民の皆さまの声を生かしていただきたい」との思いで、職員が得た県民の生の声を、ぜひ上へ上へと上げていただきたい、「悪い情報ほど上に上がってくると、そういう組織でなくてはなりません」そして、そのことが「結果として県民の皆さま方のお役に立ったということでなくてはならない」のであると述べられています。
そこで、現在の県庁は、「悪い情報こそが上がってくる組織」となっており、それが組織の改善や施策の拡充につながったものがあるのかどうか、お尋ねします。
また、そのことを踏まえて、今の県庁組織は、風通しがよい組織となっていると考えるかどうか、お聞きします。
次に、その講話の際に「活力ある職場づくりと公務能率の向上」について、「休むべきときには休むということも非常に重要だ。非常に残業が多いということと、一部の職員に偏っているということが明らかにもなったが、一定偏りが大き過ぎるということ自体問題だと思う」また、「例えば、水曜日、ノー残業デーということで今までやってきたが、まだ徹底されていない。水曜日の夜は、よほど緊急事態、例えば、危機管理事象とかそういうことを除いて知事室の協議も入れないことにして、徹底をしたい。さらには、時間外の協議を行うときは、幹部職員以上の方でやっていただき、ほかの職員の皆さんができるだけ休めるようにする」などと述べられていますが、その際の知事自身の工夫が、徹底されるとともに、時間外勤務の縮減につながっていく効果になったのか、お聞きします。
知事が、この10年間取り組まれて、実績を上げられた課題は多くあると考えますが、どうしても結果を出さなければならない喫緊の課題として、「ルネサス高知工場閉鎖問題」における承継先確保の問題があろうと思われます。この問題が浮上した直後の平成27年12月定例会で「従業員の皆様、御家族の皆様には一日でも早く安心して生活を送っていただけますよう、私自身先頭に立って全力で取り組んでまいります」との答弁をされましたが、事態は来年5月末の閉鎖に向け、従業員や家族の皆様は、不安や悩みを抱えつつ、会社側の行うグループ内での配置転換か、退社後の再就職支援を希望するかの意向調査への回答が迫られています。
そのような中で、今定例会の知事提案説明で「承継先の確保を必ず成し遂げる」という決意を述べられました。私は、その言葉に並々ならぬ決意の強さを感じると共に、そこまで言い切れる裏付けは何なのかと感じたのですが、お伺いします。
さらに、承継先が確保された場合は、現在会社で行われている配転などの意向調査については、希望者は一旦白紙として、承継先への雇用が確保されるのか、あわせてお聞きします。
次に、衆院選における「自民党の政権公約2017」と安倍第4次政権の憲法論議についてお尋ねします。
10月22日投票の衆院選挙の結果を受けて、安倍政権のもとでの憲法論議が、具体化を帯びてこようとしています。特に、衆院選における「自民党の政権公約2017」の中の「現行憲法の「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3つの基本原理は堅持しつつ、憲法改正を目指す」とあることを踏まえて、幾つかの課題で順次お聞きします。
まず、第1次安倍内閣での長勢甚遠元法務大臣が、平成24年5月10日の創生「日本」東京研修会の場で、安倍首相も同席のもと「国民主権、基本的人権、平和主義 この3つをなくさなければ、本当の自主憲法にはならない」と述べらていますが、「政権公約2017」とは真逆のようなことを話す人物が、第1次安倍内閣の法務大臣を務めたことをどのように考えるか、お聞きします。
次に、「政権公約2017」では、自衛隊の明記、緊急事態対応、教育の無償化・充実強化、参議院の合区解消の4項目を改憲テーマとして国民に問うていますが、このテーマの議論についての知事の所見をお伺いしたいと思います。
まず、憲法第9条の3項に「自衛隊の明記」をするということの議論でありますが、今年5月3日、日本国憲法施行70周年の日、安倍首相が、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せて「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」とした上で、「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方、これは国民的な議論に値するだろうと思う」と言及して以来、1項、2項をそのまま残すから変わらないと言われてきたが、そうはならないというのが多くの識者の考えであると言われています。
9条に何らかの形で自衛隊が書き込まれた場合、この自衛隊は安保関連法によって集団的自衛権行使や他国軍への「後方支援」の権限を付与された自衛隊であって、「専守防衛の自衛隊の合憲化」ではありません。
そして、そのことによって第1項の「戦争放棄」や第2項の「戦力不保持」は空文化してしまうことになるのではないかと考えられます。
また、9条に位置づけられた自衛隊が合憲ということになれば、物資の保管命令だけでなく業務従事命令なども罰則つきで義務づけられたり、軍法会議の設置が要請されたり、さらに、土地収用法の第3条から自衛隊の活動とそのための施設設置を除外できなくなることも想定されるのではないかと考えます。
知事は、9条に自衛隊が明記されることで、9条そのものはどのように変わり、自衛隊法の変更などを含め影響の出る法律はどのようなものが、考えられるか、お聞きします。
次に、教育の無償化・充実強化について、憲法に無償規定を設けなければ、できないかどうかについてお尋ねします。
義務教育は憲法26条2項により、無償とされていますが、旧民主党政権時代に高校の授業料も無償化されました。当時、野党だった自民党は「選挙向けのばらまき」「恒久財源がない」などを理由に反対していましたが、政権交代を果たすと、第2次安倍内閣は所得制限を設けて継続してきました。
それを大学まで広げ、憲法にも盛り込むということだったのだが、選挙が終われば、大学を含む教育の無償化を憲法改正の柱に位置づけていた自民党が、改憲案から無償の表現を外す可能性が出てきたと言われています。既に、義務教育以上の高等教育に拡大している現実があり、教育無償化を実現するために憲法を改正する必要はないというのが多くの皆さんの考え方だと思います。
知事は、どのようにお考えかお尋ねします。
次に、参議院の合区解消について、お伺いします。
全国知事会は、昨年7月29日付けで「今回の合区による選挙はあくまで緊急避難措置として、公職選挙法の附則において、抜本的な見直しが規定されていることもあり、合区を早急に解消させる対応が図られるよう求める。また、同時に将来を見据え、最高裁の判例を踏まえ憲法改正についても議論すべきと考える」との要請書も出されています。
しかし、この合区解消という課題を改憲によって、成し遂げようとすれば、都道府県を憲法上の特別な団体として承認することになり、地方自治の大枠を見直すことが必要になると思われます。
そこで、参議院の合区解消のために、改定が必要とされる条項は、どの部分をどのように改定されるべきと、知事は考えられているのか、お聞きします。
また、一票の格差をクリアした上での、都道府県選挙区割りが可能となるのか、あわせてお聞きします。
次に、朝鮮半島の危機回避の問題について、お尋ねいたします。午前中の西内議員への答弁の繰り返しになるかもしれませんが、そこのところはよろしくお願いいたします。
「自民党の政権公約2017」には、「北朝鮮の脅威から国民を守り抜きます」、「わが党は平和に向けた外交努力を続け、断固、国民を守り抜きます」とあります。北朝鮮の核実験やミサイル発射は許されざる暴挙であり、断じて認めることはできないものですが、朝鮮半島の危機は、米朝両国による朝鮮半島周辺での非難の応酬と軍事プレゼンスが続いていることによる緊張の高まりがもたらしているものであると言えるのではないでしょうか。
そのような中で、安倍首相は、国連という場で、条件つきにせよ「北朝鮮を完全に破壊する以外に、選択肢はない」と語るアメリカトランプ大統領の発言を受けて、「『すべての選択肢がテーブルの上にある』とする米国の立場を一貫して支持する」と語り、米国の軍事的対応も辞さないという姿勢への支持表明ともとれる発言をし、口を開けば「もはや対話の時ではない」「圧力を最大限まで高め、北朝鮮の側から『政策を変えるから対話をしてほしい』と言ってくる状況をつくらなければならない」と述べられています。
このような姿勢が、平和に向けた外交努力を続けているという姿勢なのでしょうか。本来なら「もはや対話は無理」というのではなくて、米朝の緊張を和らげるための努力こそ日本がなすべきことなのではないでしょうか。
安倍首相が取り続ける対話抜きの圧力姿勢で、朝鮮半島の危機という国難は本当に回避できると知事も考えているのか、お聞きします。
アメリカは、この4日から8日まで、最大規模の米韓合同軍事演習を朝鮮半島近海で行っており、斬首作戦と称して金正恩朝鮮労働党委員長をはじめとした指導部の殺害計画を公言したり、空母機動部隊を朝鮮半島近くに派遣するなど、北朝鮮への威嚇行為にほかならぬ行動をとっています。
北朝鮮がグアムへのミサイル発射をにおわせた際には、小野寺防衛大臣が「もしそういうことが起きれば、存立危機事態になる可能性がある」と発言したが、つまりこのことは、日本はアメリカと一緒になって集団的自衛権を発動するかもしれないということを示唆していると思われます。
そのようにミサイルが飛んできたときに、打ち落とせる国になるべきか、それともミサイルが飛んでこないよう努力する国となるべきか、どちらが選択されるべきと考えるか、知事にお伺いします。
午前中に西内議員が、「ミサイルが落下するなどの事態が発生した場合の消防、警察、自衛隊との連携」や「ミサイルなどが、例えば、山中に落下し、火災が発生した場合の初動対応」などについて、質問をされましたが、そのような場合には、武力衝突の契機となり、米、韓なども巻き込んだ戦争状態に入ることも想定されるのではないでしょうか。その場合に、このような対応を取ることが、現実的なのかと思わざるを得ません。
いずれにしても、このようなことを想定したときに、竜巻からの身を守るための行動と遜色のない、弾道ミサイル落下時の行動で、本当に身を守れると思われているのでしょうか。
だからこそ、このような事態を万々が一にも起こさないように努力する国にならなければならないと思います。
いずれにしても、現在行われているミサイル対応訓練が、いざというときに本当に役立つと考えられているのか、素朴に県民が抱かれている疑問についてお答えいただきたいと思います。
次に、南海トラフ地震対策について、お伺いします。
高知新聞が9月5日から14回にわたって連載された「共助の地図 障害者と考える震災ハザード」を読みながら、わかっていたつもりでも、改めて南海トラフ地震対策が、支援の側に回る人にも、支援される側の人にもまだまだきめ細かく届いていないことを感じさせられました。とりわけ、高知県に暮らす身体、知的、精神の障害者手帳を持っている人たち約5万5,000人の方たちをはじめ、いわゆる災害時要配慮者の目線に立って考えさせられることの多い記事ばかりでした。
「震災時、どんなバリアーがあるのか。それは、どうすれば取り除けるのか。私たちの社会は、ともに生き延びるためのハザードマップを描けているか」と問いかけられており、要配慮者の方々との日ごろのつながりの中で、誰もが助かるための共助の地図を描いていかなければならないと思ったところです。
また、熊本地震の際に、インクルーシブな避難所として全国から熊本学園モデルとして注目された、熊本学園大学の避難所運営の統括をされた熊本学園大学社会福祉学部花田教授をお招きして、排除も隔離もしない避難所運営についての講演会を地域の下知地区減災連絡会の主催で、開催しました。自主防災会の方などをはじめとして、参加者の中には、視覚障害の方や障害者の家族会の方、看護師さんや行政関係者、社会福祉協議会の方も参加してくださり、皆さん熱心に質問などもなされました。
家族会の方が講師に対して、「高知市内の共同作業所を利用する知的・身体・精神障害、発達障害の利用者の家族で話し合っていると、ほとんどが避難所利用を諦めるところがある。ほかの方々に迷惑をかけないかと心配している、いづらくなるならぐらいなら諦める。結局在宅で避難生活を送らざるを得なくなったとき、拠点避難所からの支援は受けられるのか」との質問をされました。
講師の花田先生は「ほかの人々に迷惑をかけるという考え方は改めてほしい。むしろ、自分たちで避難所を運営していきましょうよ。自分たちで、コミユニティに関わる。そのためにも事前に備えておきましょう。」と答えられました。
しかし、なかなか当事者の家族たちは、その一歩が踏み出せないのが現状です。だからこそ、あきらめないでほしいし、私たちはあきらめさせてはいけないと思うのです。障害の種別や程度によって、困りごとはさまざまです。当事者が必要としている支援と用意されたマニュアルや制度がかみ合わないこともあります。そのためにも、受け入れる側が一緒になって、地域に暮らし、いざとなったら同じ場所で避難生活を送らなければならない方たちが、どんなことに困っているのか、共通理解をできるための関係を日ごろから構築しておくことこそが必要なのではないかと痛感させられました。
そこで、災害時の要配慮者支援のあり方について地域福祉部長にお尋ねします。
懸命に取り組まれている福祉避難所の量と質の確保も大変重要なのですが、そこへ避難する前に、まずは揺れから守った命をつなぐための津波避難ビルや緊急避難場所においても、要配慮者が避難可能であるための施設や一時的に滞在可能な環境をどう整えるかが求められてきます。
そのために、例えば、障害のある方でも、階段など施設改善が必要なものや電源を欠かすことのできない方に対して、それを確保することなどの避難所機能を整備することなどに対しての支援の仕組みが必要と考えますが、お聞きします。
次に、要配慮者及び避難行動要支援者への避難支援対策として「みんなで逃げる みんなで助かる(災害時要配慮者の避難支援の手引き)」を作成していただいておりますが、もっと具体的でわかりやすいパンフレットを作成して、全ての津波避難ビルや緊急避難場所に常備し、受け入れる側の支援体制を整備するための日ごろの勉強会や訓練を全てで実施するための支援の仕組みができないか、お伺いします。
また、災害時における避難行動要支援者の個別避難計画の策定については、平成33年度以降となる自治体が9自治体に上っていますが、それまでに策定できるめどのある自治体も含めて、策定に向けて尽力していただきたいと思います。
しかし、ただ形だけできればいいわけではなくて、真に支援者と避難行動要支援者や家族、さらには、関係者が共に策定する過程を歩むことができてこその計画ではないかと思いますが、このことが追求されているのかどうかお尋ねします。
「共助の地図 障害者と考える震災ハザード」の連載記事の第1回に、「県災害弱者支援センター」の準備室を開設された方々のお話がありました。また、その方々は、助けられる側の人も助ける側に回ったりもできる、誰もが弱さと共に、生きる力や誰かを支える力を持っている中で、減災ケアコミュニケーター育成も目指されています。
これらの取り組みに、県として行える支援について、お尋ねします。
次に、住宅耐震化について、土木部長にお聞きします。
今議会では、耐震改修の取り組みを加速させるべく、住宅耐震化への支援として。2億2,156万9,000円の補正予算を計上されています。
そのような中、午前中の土木部長の答弁にもあった、恒久的制度のことではないかと思われますが、広田一衆院議員が、12月6日の国土交通委員会で国土交通大臣に質問されて、今後も見据えて、「住宅耐震化にかかる総合的な支援メニューを現行のものに加えて、補強設計費、それから耐震改修工事費、あわせて定額補助方式も含めた補助制度の検討」もなされており、来年度予算の概算要求がなされていることが確認されています。
しかし、この制度でも、定額ということですから、実際にかかった費用との格差によって、経済的自己負担が生じることは当然あろうかと思います。県としても、経済的自己負担の軽減策として、これまで、代理受領制度や段階的耐震改修の制度を導入してこられましたが、段階的耐震改修制度を導入された市町村は5自治体にとどまっており、利用者もゼロと聞きます。制度導入後に熊本地震が発生したことから、段階的改修よりもフル耐震を求める傾向があったのかもしれませんが、であるならば、フル耐震化のための、経済負担をさらに抜本的に軽減させ、耐震化を加速化するための方策を検討できないか、土木部長にお聞きします。
全般的には、補正予算も計上せざるを得ないほど耐震化が進んでいるように受けとめられますが、その一方で、耐震化をあきらめる生活保護世帯など生活困窮世帯もおられることが、耳に届いてまいります。とりわけ、生活保護世帯の場合の改修となると、補助金内で収まるのかどうかによって、自己負担持ち出し金の不安が躊躇させることとなります。まずは、耐震改修工事に入る前の耐震改修設計にかかった費用の補助は3分の2、上限20.5万円となっていることから、自治体によっては、そこから一歩踏み出せないとの声も聞きます。生活困窮世帯の方が、揺れから命を守るための耐震化を諦めないようにするための方策を検討できないのか、お聞きします。
次に、仮設住宅の確保について、これも土木部長にお伺いします。
11月27日の朝日新聞によりますと、L2レベルの南海トラフ地震の場合、仮設住宅が県内で最大7万7,000戸必要と見込まれていますが、みなし仮設として使える可能性がある住宅は7,200戸。そして、建設型仮設住宅を建設する候補地の確保も含めて、1万5,000戸分程度の確保にとどまっているようです。東日本大震災では、建設型だけでは対応しきれず、仮設住宅12万3,723戸のうち約6割がみなし仮設になり、熊本地震では仮設住宅2万255戸のうち、みなし仮設は約8割に上ったと言われています。今後もその傾向は強まるのではないかと思われますし、特に大規模震災であればあるほど、その傾向は強まるのではないかと思います。
だとすれば、県内集合住宅でも耐震性を確保したい希望のある旧耐震基準の集合住宅について、耐震改修を行い、事前には、できるだけ命を守る備えとし、災害後には空き室を仮設住宅として利用していただくような仕組みができないか、お尋ねします。
熊本地震では、みなし仮設住宅では、地域ごとに一括して入れない場合もあり、その後の見回り支援の大変さも直接現地でお聞きすることがありました。その意味でも、みなし仮設などにも頼らざるを得ない以上、公的な家賃補助制度があれば、被災者が最初に入居したみなし仮設の空き家を恒久住宅として、引き続き使用可能とすることで、いち早い生活再建につなげられますし、そこから移転しなくてもよいということで、早く近所とのコミュニティ形成に努められるのではないでしょうか。
そのような仕組みを今からつくっておく必要があると考えますが、お尋ねします。
次に、都市計画道路はりまや町一宮線はりまや工区工事再開問題について、お伺いします。
9月定例会でも、弘田議員、吉良議員と私から、それぞれ質問しておりますので、これまでの「はりまや町一宮線(はりまや工区)まちづくり協議会」の経過などは省略させていただきますが、12月5日に第3回検討会が開催され、第2回パブリックコメントなども踏まえて、交通の状況、希少動植物、歴史・文化、まちづくりの課題について検討され、出された意見を踏まえて、次回最終案を提案されることとなりました。
私は、この工事に関して10年近く関心を持ち続けてくる中、当初案にパブリックコメントの意見なども反映しつつ変更計画は提案されてきたものの、結局は、希少動植物、歴史・文化、まちづくりのテーマに優先したのは、南北交通の円滑化に寄与する唯一の4車線の幹線道路として、平成7年に決定された都市計画であり、4車線化に必要な9,600台以上だからという交通量であったと言うようにしか考えられません。
知事は、9月定例会で「いつまでも引き延ばせるような状況ではない。安全確保のためには決断をしなければならない」と答弁されましたが、安全確保ということを優先しながら、現在の制限速度40キロの道路から、設計速度50キロへと緩和するための道路工事を行うというのは、小学校周辺の道路として妥当なのかと思わざるを得ません。
走行速度が30キロを超えると歩行者の死亡事故率が上昇することは、県警察本部のホームページ、高知県警察速度管理指針でも示されており、同じホームページの事故発生地点情報マップでも、市内4車線の幹線道路での事故発生状況が多いことが明らかになっています。そして、自転車歩行者道を整備しても、自転車対歩行者事故件数はふえ、自転車歩行者道では自転車も徐行運転しなければならないというマナーがいかに徹底されていないかということなども明らかになっています。
それらのことなどを考えれば、本当に子供の安全確保を優先したいなら、現行道路で制限速度を抑え、子供の安全を優先した自動車、自転車運転マナーの徹底を呼びかけることでこそ達成できるのではないかと考えますが、教育長にお尋ねします。
このはりまや町一宮線はりまや工区工事再開問題では、トビハゼやシオマネキやアカメやコアマモなど、希少動植物の生存環境の保全も大きな課題でありました。これまでにも、このテーマについては、長い時間をかけて議論がされていますので、単刀直入にお伺いしたいと思います。
11月19日付けで発刊された高知新聞の別冊で、「第14回新聞感想文コンクール」特集を手にして、驚かされるとともに、随分と考えさせられました。
そこには、小学生高学年の部で、最優秀としてはりまや橋小学校6年生の「いろんな生き物がすむ新堀川」との感想文が掲載されていました。そこには、「毎日をより快適に過ごせるよう公共のものを充実させることは、とても大切だと思います。だけど、それを求め過ぎるあまり、ほかの生物の住みかを奪ったり命の危険に追い込んでしまうのは、人間の勝手な行動だと思います」と指摘されていたのですが、この言葉を、教育長はどのように受けとめられるか、お聞きします。
先ほども述べたように、推計交通量は4車線が必要となる交通量をオーバーするとされていますが、高齢化に伴う自動車運転免許自主返納者も5年前と昨年を比較すると年間2,120人で2倍にふえ、免許所有者全体も昨年までの5年間で8,625人と約2%減少し、毎年の減少数も徐々にふえています。そのようなことを踏まえれば、少子高齢化の中で、今後は交通量は減少していくでしょうし、過剰なクルマ依存のまちづくりから、公共交通機関利用にシフトしていくことが、あらゆる面から今まで以上に求められてくるのではないかと考えます。
藤井聡京都大学大学院教授は、「クルマを捨ててこそ地方は甦る」との著書の中で、「モータリゼーションとグローバリゼーションが生み出す「病理的問題の構図」として、「モータリゼーション」、「都市の郊外化」、「地方の衰退」、「グローバリゼーションの浸透」が互いに強化しながら展開していくという最悪のスパイラルが、いわば「四位一体」となって展開していった。その中で、人々はクルマ依存の度合いを深め、私的なデメリットとして、「肥満化・病気」のリスクが高くなって、「家計負担」が重くなり、「50年間運転」すれば125人に1人が死亡事故を起こし、クルマ依存家庭で育った子供たちが、「傲慢」になり、「攻撃的」になっていくと同時に、自らが愛着を持つ「地元・故郷」が疲弊するとともに、「地域社会から隔絶」されて、寂しい存在になっていく」という、行く末が待っていることが描かれています。
そんな行く末が待つ過剰なクルマ依存社会から脱するために、そして、高知市の真ん中の生物多様性環境の水辺、幕末を生き抜いた人々の生活を知ることができる場所など、かけがえのない高知県が誇るべき財産を失ってはならないと思うのです。
先日も、横堀公園の武市半平太道場跡を訪ねてこられた山口県の方が、「いくら碑やプレート掲示で残しても、本物をなくしたら意味がな。高知の人はそれが下手だ」とおっしゃられたそうです。そのようなことを言われないためにも、判断を引き延ばせないということではなく、新しいまちづくりをするために英知を結集するという発想に転換できないのか、知事にお伺いします。
次に、自治体などで働く非正規職員の処遇改善について、お伺いします。
地方公務員の臨時・非常勤職員といういわゆる非正規職員は、総数が平成28年4月で約64万人と増加しており、また、後ほども取り上げますが、保育分野などを初めとして教育・子育てなどさまざまな分野で活躍されていることから、現状において地方行政の重要な担い手となっています。しかし、その給与等の勤務条件は極めて劣悪で、「官製ワーキングプア」という言葉さえ生まれてきました。地方自治体で働く臨時・非常勤職員の多くは、ワーキングプアのボーダーラインといわれる年収200万円にも達していません。
これらの課題を解決するため、本年5月、地方公務員法及び地方自治法の一部が改正され、会計年度任用職員制度が整備されることとなります。この法改正を機に、ワーキングプアを解決すべき立場にある行政がワーキングプアを生み出しているという状況を変えていくことこそが求められていると考えます。
そこで、新地方公務員法などにより新たに創設される、会計年度任用職員制度の整備にあたり、雇用の継続と正規職員との均衡を求める改正法の趣旨を踏まえた制度設計を進めるため、県の考えや対応について、総務部長に順次お伺いします。
この制度によって、これまで曖昧だった、県で働く臨時・非常勤職員の任用根拠が、法改正により明確になるとともに、常勤職員との均等待遇が一定進むと考えられますが、今回の法改正を県としてどのように受けとめているのか、お聞きします。
また、2017年4月1日時点における、本県の臨時・非常勤の職員数と、全職員数に占める臨時・非常勤職員の割合についてもお聞きします。
次に、公共サービスの多様化に対応し、安定的にサービスを提供するためには、現在の職を改めて検証し、正規職員での配置はもとより、恒常的な職に対しては常勤職員への転換を図ることも検討すべきではないかと考えますが、検討に当たって、そのような考え方はあるのかどうか、お伺いします。
また、制度移行に当たっては、経験やスキルのある人材を確保するためにも、現在、県で働く非常勤職員の継続雇用に留意されるのか、あわせてお尋ねします。
そして、会計年度任用職員の給料又は報酬の水準、期末手当などの手当支給、休暇制度については、常勤職員との均衡を図ることは基本であり、「官製ワーキングプア」解消に向け取り組む責任があると考えますが、お尋ねします。
また、具体的に本県で、制度実施をするためには、必要なことを国に対して要請すべきこともあろうかと思います。
そこで、法改正の趣旨を踏まえ、地方財政計画に必要な財源を盛り込むよう、全国知事会などを通じて国に要請するべきではないかと考えますが、お伺いします。
働き方改革の目玉の一つでもある、非正規労働者の格差是正を求める同一労働同一賃金などを踏まえ、引き続き、公務における給与体系のあり方、任用のあり方の検討を行うよう、これも全国知事会を通じて国に要請すべきではないかと考えますが、お尋ねします。
次に、非常勤職員の障害者雇用の状況について、総務部長にお伺いします。
先ほど述べました2020年度の改正地方公務員法及び地方自治法の施行を待たなくても、改善すべき又は改善できる課題があると考えています。その最大の問題は、非常勤職員として雇用されている障害者の方々の給与面での扱いが、合理的なものでなく差別的な扱いをされているのではないかと思われる状況にあることです。
障害者雇用促進法に基づく「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」において「賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取り扱いをしてはならない」とされています。しかし、この指針に反する取り扱いではないかと疑われ事案が見受けられるため、質問させていただきたいと思います。
まず、障害者の雇用の促進等に関する法律で定められている、障害者の法定雇用率が来年度から引き上げられます。短時間労働者も1人0.5人としてカウントされていると思いますが、県の障害者雇用の中に非常勤職員は何人含まれているのか、お伺いします。
しかし、その障害者雇用の非常勤職員の報酬単価の決定が、妥当なものではないと思われものが見受けられます。非常勤職員の報酬は、職群ごとに細分化されており、その中で総務事務補助は職群1と位置づけられ、月額報酬は144.800円です。しかし、障害者雇用の非常勤職員の多くが事務補助と位置づけられ、同じ勤務時間数でありながら、3万円以上も低い月額110,000円となっています。
まさに、本県の報酬単価の決定(算定基礎)には妥当性はなく、合理的配慮を欠くものであると言わざるを得ないと考えますが、その根拠と改定の必要性について、お伺いします。
公社等外郭団体における労働契約法改正に伴う対応について、公社等改革推進会議会長の副知事にお尋ねします。
これまで、有期労働者は働く期間を決めた上で契約を結んでおり、雇用期間が半年や1年など短いことが多く、不安定な働き方だと指摘されてきました。しかし、平成25年4月1日に施行された改正労働契約法では、アルバイトやパートなど有期契約の労働者が会社に申し込むと、無期雇用となる無期転換ルールが定められました。これによって、多くの有期労働者が正社員と同様、定年まで働けるようになるわけですが、使用者側に説明義務がないため、全国的には制度を知らない労働者も多く、又5年を前に使用者側から契約更新を拒まれる雇いどめを心配する声もあります。
そこで、県出資の公社等外郭団体においても、法改正への対応が必要となっており、平成27年3月には、一旦副知事通知における対応方」が出されましたが、それにかわって、本年8月末に改めて対応方針が出されました。そこで、各外郭団体において労働契約法改正の趣旨、有期労働契約職員の職務内容、労働時間、契約期間、更新回数などの状況を踏まえ、無期労働契約への転換のルールについて適切な対応を求められていますが、その際には、業務の必要性や職員の役割の観点から各外郭団体内の業務を整理し、効率的、効果的な人事管理・人材活用に努めることを求めています。
しかし、その中には、今回の法改正への対応が無期労働契約への転換を防ぐための雇いどめではないかという誤解を招くことのないようとの懸念も示されており、そのような懸念が具体化することがないよう徹底されたいと思いますが、どのようにお考えか、お尋ねします。
また、今回の法改正に伴う対応の対象となる県出資の関連団体で有期労働契約職員の人数と、そのうち、平成29年度末で通算5年が満了する職員数もあわせてお伺いします。
また、本年8月末の副知事通知にある「その他」の項が、無期労働契約への転換の障害とならないよう当事者の申し込みを尊重した対応をするため、改めて周知徹底するとともに、当事者にこの制度の趣旨が徹底されるべきと考えますが、あわせてお伺いします。
最後に、保育士の確保と処遇改善について、お伺いします。
この間、議会においても教員の多忙化の問題が多く論じられ、その改善に向けた取り組みも検討されているところですが、子育て支援策が拡充されればされるほど、保育現場の保育士さんの多忙感についても、深刻であることが明らかになっています。現場の保育士さんは、「高知県教育・保育の質向上ガイドライン」で求められる質の高い教育及び保育に応えるための多様なニーズや特別な配慮を要する子供を初めとした気にかかる子供との向き合い方や親育ち支援など、より充実した保育サービスを提供し、子供さんたちの健やかな成長を保障していくために全力で取り組まれていることと思います。
さらに、そのために行われる勤務時間内の研修は、残された保育士に負担がかかり出席しづらい実態や、園児の個別指導計画を初めとしたさまざまな記録及び提出書類の作成など、保育士さんたちの働き方は、休憩時間も取得しづらく、持ち帰り残業をしなければならない苛酷な労働実態であると言わざるを得ません。
そのことの背景にもなっている保育士の正規職員確保の抑制、補う臨時・非常勤保育士が多数を占める中、短期間・短時間の非正規保育士の確保の困難な状況が続いています。
県の調べによりますと、平成29年4月1日時点の保育所・幼稚園数は325施設で、正規保育士数は2,118人となっていますが、臨時・パート職員など非正規保育士数はその数を上回る2,559人となっており、正規の1.21倍となっています。
そのような実態を踏まえ、近年、現場では、非正規の保育士さんに頼らざるを得ない状況になっていると聞きますが、なぜそのような傾向になっているのか、お伺いします。
また、これら施設の保育士の配置は、現場のニーズに対して、十分充足されていると考えているか、あわせてお伺いします。
次に、保育士の賃金水準は、2016時点で全産業の平均よりも月10万円以上低く据え置かれていると言われている中、保育士の処遇改善のために、国は本年度予算でも492億円を計上して、4月から全職員に2%、月6,000円程度の賃上げを実施し、技能や経験を積んだ職員には月4万円ほどを上乗せするとしています。
しかし、実際には、同一職場内での職員間格差のある上げ幅や研修の受講義務づけなど、月4万円の上乗せ要件が現実的にはクリアしがたいとの意見がある中で、この措置が県内でどれだけ行われているのか、お聞きします。
給与面だけでなく、保育士の労働環境が、改善されないことが、保育士確保の困難性を高めているのではないかと思われますが、保育士確保の困難性の要因についてお聞きします。
多様な保育サービスの提供や、園児たちとの保育時間の確保のため、また、持ち帰り残業の軽減、休憩時間の取得などを可能にするため、記録書類の簡素化や研修開催・受講の工夫などを図ることができないか、お伺いいたしまして、私の第1問とさせていただきます。
◎知事(尾ア正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。
現在の県庁の組織について、悪い情報が上がってきて、組織の改善施策の拡充につながったものがあるか、また、風通しのよい組織となっているのかとのお尋ねがありました。
悪い情報こそ早く上げるということにつきましては、危機管理や県政の円滑かつ適正な運営の観点から、私としても平成23年度以降、毎年度の知事講話など機会あるごとに職員には徹底をしているところであります。この悪い情報には、職員の不祥事や民間における事件、事故などに限らず、県の施策に関連した仕事がうまくいっていないこと、例えば、施策を進める中で、関係者との調整がこじれたり、当初計画をしていた想定と現実が食い違っていたりして施策が思うように進まない場合なども含まれております。こうした情報が、私や副知事に迅速に共有されることは極めて大事であり、この徹底を繰り返しております。あわせて、私と職員との協議の場などにおいて、批判的、多角的な議論が闊達に行われることも極めて大事だと考えており、さらに幹部職員と部下職員の間でも議論を活発に行うこと、また、そういう関係を築いていけるよう、お願いもしているところであります。実際、産業振興推進本部のなどの会議においては、そもそも多くの場合、その政策を進める上での悪い情報に基づいてPDCAサイクルを回しており、その情報の本質を分析し、改善を加えることで、これまでさまざまな施策の拡充や新たな展開につながっていると感じているところであります。逆に言えば、PDCAサイクルは、悪い情報が表に出てくる組織的な仕掛け、仕組みであり、その定着にこれまでも意を用いてきたところであります。
風通しのよい組織づくりということにつきましては、昨年度、職員に対して実施しましたアンケート調査結果によりましても、例えば、現在の職場は人間関係が良好で働きやすいと回答した職員は8割を超えるとともに、職場内でさまざまな意見が出る雰囲気があると回答した職員は75%と、概ね肯定的な評価となっております。
こうしたことからも、多くの職員が風通しのよい職場環境で日々仕事に取り組んでくれているものと考えておりますが、今後とも不断の努力が必要だと考えております。風通しのよい職場は、職員のモチベーションの向上や、職場の活性化はもちろんのこと、職員による不祥事の防止にもつながるものであります。引き続き、私を初め幹部職員が率先して風通しの職場環境をづくりに努め、職員が能力を最大限発揮できる組織づくりをしていきたいとそのように考えております。
次に、ノー残業デーにおける私自身の工夫の徹底や、時間外勤務の縮減についてお尋ねがありました。
職員が心身を健康に保ちながらよい仕事をしていくためにも、メリハリをつけて日々業務に当たることが重要であります。このため、例えば、全庁において毎週水曜日をノー残業デーとしており、私としましても、できる限り水曜日には時間外の協議を入れないように心がけております。また、土日や休日につきましても、できる限り協議を入れないような、そのような対応をしているところであります。
しかしながら、予算編成など時期によってはやむを得ず時間外に協議をせざるを得ない場合がありますし、時期にかかわらず県民生活への影響を鑑みたときには、緊急の対応を要する場合も多々あります。このため、必ずしもノー残業デーを徹底できていないのが実情であります。ただ、土日や水曜日に時間外に協議を行う場合でも、極力管理職員以上で対応をすることを徹底しており、一般の職員に負担がかからないようにするなどの工夫に取り組んでいるところであります。
また、今年度からは、各課の残業時間を月ごとに私自身、報告を受けることとしており、これを組織管理や仕事の進め方に生かすといった工夫もしているところでございます。
そもそも人口減少の負のスパイラルへの対応や南海トラフ地震対策などの重要課題に対応し、県勢浮揚を果たしていく中で、県庁全体としては業務が増えており、限られた職員でさまざまな取り組みを推進するためには、私自身工夫することとともに、組織的な工夫や対応が必要だと考えております。
このため、庁議の場などで、幹部職員に対し、職員の健康に留意するとともに、職員が創造性豊かな仕事するためにも、会議等の見直しや資料作成の簡素化など仕事の仕方や仕組みを見直すなどの工夫をすること、また、何よりも、重要でなくなった仕事をスクラップするよう、しつこく指示をしているところであります。
このような中、一人当たりの時間外勤務の時間数については、平成24年度以降微増又は横ばいの状態で、全都道府県との比較では中位の水準を維持しているところであります。年度末に向け、県庁全体の業務も増えてまいります。やむを得ず、時間外で協議を行う必要がある場合は、極力管理職員で対応することなどを改めて徹底し、職員の健康管理にも十分配慮しつつ、時間外勤務の縮減にも努めてまいりたいと考えているところであります。
次に、ルネサス高知工場について、今回提案説明でしました承継先の確保に向けた決意の裏付けと、あわせて、現在行われている意向調査について、お尋ねがありました。
ルネサス高知工場の承継先の確保につきましては、平成27年12月の工場閉鎖を伴う集約の方針の発表以来、従業員の皆様の雇用の維持を第一に承継先の確保を必ず成し遂げるという強い決意のもとで、これまで全力で取り組んでまいりました。私自身、ルネサス社には、香南市長とともに幾度か足を運び、承継先の確保に全力で取り組んでいただくよう強く要請するとともに、県としてもルネサス社だけに任せるのではなく、独自に300社を越える企業に対して、高知工場の活用の意向を確認して、幾つかの企業には工場を視察していただきました。さらには、業界内の投資行動に詳しい有識者などに御協力をお願いして、有力な企業に高知工場の活用を働きかけていただくとともに、県内での企業から得た情報をもとに、県として企業に直接アプローチするなど、ルネサス社と緊密に情報を共有しながら、あらゆる手段を講じて承継先となる可能性のある企業へのアプローチを精力的に続けているところであります。
こうした取り組みは、承継先の確保を必ず成し遂げるという当初からの強い決意のもとで続けてきたものであり、現在もその思いに変わりはございません。来年5月末の工場の閉鎖まで時間が刻々と経過する中で、これまで以上に緊張感を持って決して諦めることなく全力で取り組んでまいりたいと、そのように考えています。
また、あわせて御質問がございました現在行われている意向調査においては、承継先企業の確保に至った折には、ルネサス社において、新たな選択肢として、従業員の皆様にお示しして、改めて全員の意向を確認し、承継先企業への再就職も含めたそれぞれの御意向に添った雇用の維持に最善を尽くすことを確認しているところであります。
次に、長勢甚遠氏が法務大臣を務めたことについて、どう考えるのかとのお尋ねがありました。長勢元法務大臣については、法務大臣就任前の内閣官房副長官時代に短期間であるものの私自身秘書官としてお仕えしており、よく存じておりますが、第一次安倍内閣における法務大臣としての重責を立派に果たされたものと認識しております。議員からお話のありました長勢元法務大臣の発言については、既に法務大臣を退いて3年以上経過した時点のものであり、発言前後の状況についても不明であることから、コメントについては差し控えさせていただきます。
いずれにしても、私は、日本国憲法における国民主権、基本的人権の尊重、平和主義は引き続き遵守すべき極めて重要な基本原理であると考えているところであります。
次に、憲法第9条第1項、第2項をそのままにして、自衛隊の明記、いわゆる9条3項による改憲をすれば、9条そのものはどのように変わり、自衛隊法の変更などを含めて影響が出る法律はどのようなものが考えられるのかとのお尋ねがありました。
まず、私は、現行憲法の条文からも自衛隊の存在は合憲であると考えております。しかしながら、自衛隊に対する国民の理解、支持というものが非常に高い中で、いまだに一部に自衛隊が違憲だという声があることも確かであり、国民的議論を通じて自衛隊の合憲性にかかる議論に決着をつけることの意義は大きいと考えております。その際、仮に3項を追加するなどといったことになったとしても、私は、平和主義は堅持すべきであり、現行の憲法9条1項、2項の解釈は維持されるべきだと考えております。このため、憲法に自衛隊を明記する場合には、既存の憲法9条第1項、第2項の条文の解釈に影響が及ばないかについて、今後慎重かつ徹底した議論を行った上で、国民に丁寧な説明を行っていく必要があるものと考えております。
憲法9条の改正により、自衛隊法など影響が出る法律につきまして、憲法9条が実際どのように改正されるのか不明であるため、現時点で想定することは困難でありますが、安倍総理は、国会で、自衛隊の存在が憲法に明記されることによって、自衛隊の任務や権限に変更が生じることはないと考えていると答弁されているものと承知をいたしております。
次に、自民党が、政権公約で掲げた教育の無償化・充実強化について、憲法に無償規定を設ける必要があるのかとのお尋ねがありました。
先の衆議院選挙における自民党の選挙公約では、憲法改正を目指す項目として、教育の無償化・充実強化が掲げられ、国会の憲法審査会及び党内外の十分な議論を踏まえ、憲法改正原案を国会で提案、発議するとされております。これまで国会の憲法審査会での御議論では、教育の無償化は法律改正で対応すべきといった御意見があった一方で、憲法に無償化を明記することで、政府に実現を促す大きな力になるといった御意見がありました。また、有識者の中にも、憲法改正でなくとも法律ですぐに対応できるといった御意見がある一方で、教育無償化は憲法改正に値するといった御意見もあると承知しております。
教育の無償化については、これまで、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、段階的な幼児教育の無償化の必要性を強く訴えてまいりました。これに対し、政府においては、教育の無償化を進めるため、新しい経済政策パッケージを先月金曜日に閣議決定し、3歳から5歳までの全ての子供たちの保育所、幼稚園、認定こども園の費用の無償化や低所得世帯の生徒が大学に進学する場合の授業料の減免措置などに取り組むこととされたところであり、このことについては大いに歓迎したいと思います。
御指摘の教育の無償化を憲法に位置づける必要性や妥当性については、今後大いに議論を行なっていくべき課題だと思いますが、いずれにしても、教育の経済負担軽減、その質の充実強化につながる方向で議論がなされることを期待するものであります。
次に、参議院の合区解消のために、憲法のどの部分をどのように改訂すべきと考えているか、また、1票の格差をクリアした上で、都道府県選挙区割りが可能となるかとのお尋ねがございました。
参議院の合区問題は、このまま放置すれば、全国で10県、20県と合区が広がり、大都市など人口の集中する地域ほど国会議員の数が増え、有利な政策が展開され続け、結果として大都市などと地方の格差がさらに広がるという負のスパイラルを招きかねないものでありますことから、何としても解消しなければならない問題であると考えております。
しかしながら、一連の憲法訴訟では、現行憲法の地方自治の規定の少なさ、薄さに起因して、その重要性よりも1票の価値の平等が圧倒的に重視されてきたがゆえに、最高裁の憲法判断を受け、合区という事態になってしまったものと考えております。また、そもそも、現代において地方自治が果たす役割の大きさに鑑みたとき、憲法上の地方自治の規定について、その役割にふさわしい形でより一層充実することも求められているものと考えております。
このため、憲法上、地方自治の重要性に関して、もう一段重きを置いた構成とすることができないか、また、そのことを通じて合区の解消も図れないかということについて、全国知事会においても議論を重ねてまいりました。先月には、私自身も参加した全国知事会の憲法における地方自治のあり方ワーキングチームによる報告書が取りまとめられ、全国知事会議で報告、公表されるとともに、政府主催、全国都道府県知事会議における安倍総理との懇談の中でも紹介されたところです。
この報告書では、地方自治は国民主権の原則及び憲法第13条に規定される幸福追求権の実現のために、地方に固有に備わったものであるとの考え方に基づき、憲法第92条の改正により、地方自治の本旨を具体化するとして、住民自治や団体自治などを明確に位置づけることとしております。あわせて、地方公共団体の条例制定権や財産権などについても憲法上に位置づけることにより、地方自治規定の充実強化を図ることとしております。
こうした地方自治規定の充実強化に加え、合区問題の解消については、参議院議員は地方の視点や知見を持って国全体のために存在する全国の全国民の代表であるとの、これまでの性格を変えるべきではないとの考え方のもと、憲法第43条は変更することなく、憲法第47条に、参議院議員の選挙において選挙区を設置する場合は、広域的な地方公共団体ごとの区域を単位とする選挙区を含まなければならないとの条文の追加を提案しております。
このように、憲法において、地方自治やそれを担う自治体の重要性を明確に位置づけることにより、選挙区制度のあり方をめぐっては1票の価値の平等とともに、地方自治の重要性をあわせて鑑みられることとなり、よりバランスのとれた制度体系となるものと考えているところです。そして、これにより、合区といった事態も防ぐことができるものと考えております。
次に、朝鮮半島の危機回避について、安倍総理の姿勢で危機は回避できると考えているのかとのお尋ねがありました。
安倍総理は、検証可能かつ不可逆的な方法で北朝鮮が核ミサイル計画を放棄するよう、日米韓で協力をして、中国ロシアを含む関係国とも緊密に連携をしながら、安保理決議の完全な履行を通じて国際社会全体で北朝鮮への圧力を高めて、問題の解決に向けて全力を尽くしていきたいといったことを国会でも答弁されているものと承知しております。
我が国を含む国際社会では、これまで、1994年に北朝鮮に対して核計画を断念させる米朝枠組み合意が成立をし、2005年には日米韓3国に、北朝鮮と中国、ロシアを加えた6者会合において、北朝鮮は全ての核兵器を放棄することについて合意するなど、北朝鮮に対し、対話の努力を続けてきたものと承知しております。
しかしながら、北朝鮮の軍事的挑発はいまだエスカレートしており、非常に深刻かつ重大な脅威となっています。これまで積み重ねた国際社会の外交的解決努力をも踏みにじろうとする行為であり、断じて容認できることではありません。関係各国が対話の努力を積み重ねてきたにもかかわらず、北朝鮮の軍事的挑発度が上がってきているという現状を踏まえますと、現実的視点に立てば、強い圧力をかけ続けることによって、北朝鮮の姿勢を変えさせる努力が求められている時期であると言えるのではないかと考えております。
現在、国連安保理決議の実効性の確保を図る取り組みが進められていますが、これは制裁の強化を通じて、平和的な解決こそ有益な道であると北朝鮮に理解させる取り組みであると考えており、こうした国際社会による制裁を含む外交的な対応によって事態が解決することを望むものであります。
次に、北朝鮮問題に対するわが国が取るべき立ち位置について、ミサイルが飛んできたときに打ち落とせる国になるべきか、それとも、ミサイルが飛んでこないよう努力する国となるべきか、どちらが選択されるべきと考えるか、お尋ねがございました。
北朝鮮の問題につきまして、私は、より平和的な解決手段を模索するほうが有益であるということを、北朝鮮に理解させることが重要だと考えており、国際社会による制裁を含む外交的な対応によって事態が解決するよう努力をし続けるべきだと考えています。
他方、万が一の場合に備えて、わが国の平和と安全の確保のため、ミサイルへの防衛体制などをしっかりと講じていくこともまた大事であると考えております。ミサイルが飛んでこないよう努力する国となるべきであります。そして、その努力が真に実効あるものとなるためにも、ミサイルが飛んできたときに打ち落とせる国になるべきだと考えているところでございます。
次に、現在行っているミサイル対応訓練は、いざというときに本当に役立つと考えているのかとのお尋ねがありました。
北朝鮮は、弾道ミサイルの発射を繰り返しており、8月には、中国四国地方上空を通過させ、米領グアム島沖に弾道ミサイルを発射する計画を表明しました。さらに、北海道上空を通過させる弾道ミサイルを立て続けに発射するなど、いまだに軍事的挑発をエスカレートさせています。
誠に残念ながら、こうした状況を現実の問題として捉え、訓練をしておかなければならないと考えております。北朝鮮がミサイルを発射したときには、本県上空を通過することが予想される中であっても、ミサイルの軌道がずれて本県に向かうことも危機管理上は想定しておく必要があります。そのため、万々が一に備えて、県民の皆様にミサイルの爆風などから身を守るための行動をとっていただくために、訓練を実施しておくことが非常に重要であると考えております。
こうしたことから、先月、各市町村と情報伝達訓練を行いますとともに、本県としては初めて高知市で住民避難訓練を実施したところです。建物の中へ避難するといった身を守るための行動はそれほど難しいものではありませんが、ミサイルは発射から極めて短時間で到達することが想定されるため、初動対応によって被害を大幅に軽減できるかどうかが決まってくるという側面があります。したがいまして、例えば、小さな子供さんであっても、速やかに身を守ることができるよう、実際の行動訓練で体験しておくことは大事であり、いざというときに役立つものと考えております。
訓練について新聞やテレビで報道されたこともあり、県民の皆様に対しまして、弾道ミサイルが落下する可能性がある場合に、屋内退避が有効であることを周知することに役立ったのではないかとも考えているところでございます。
最後に、都市計画道路はりまや町一宮線について、工事再開の判断を引き延ばすことはできないという発想ではなく、新しいまちづくりをするために英知を結集するという発想に転換できないのかとのお尋ねがありました。
はりまや町一宮線は、21世紀に向けた新たな高知のまちづくりを目指した高知駅周辺都市整備のJR土讃線連続立体交差事業や、高知駅周辺土地区画整理事業と一体となった街路事業であります。南北交通の円滑化に寄与する唯一の4車線の幹線道路であり、かつ、高知市の都市内環状機能を有する道路であります。このはりまや工区の整備により、平成9年から始まった高知駅周辺の土地基盤が概成することとなります。はりまや工区の駅前通りからはりまや橋小学校までの区間は、平成23年に4車線整備が完成しましたが、そこから南の電車通りまでの区間は、工事が中断してから6年が経過し、この間渋滞が発生し、通学児童や高齢者の安全が損なわれています。少子高齢化や人口減少下の社会構造を反映した将来交通量の推計においても、これらの課題に対して何らかの対策が必要であると分析されているところです。
本年9月の第2回まちづくり協議会でお示しした新たな道路計画案は、工事を再開するのか、事業を中止するのかの2つの選択肢だけではなく、パブリックコメントの多くの御意見や協議会委員の皆様、高知市など関係者の意見を取り入れた新たな第3の計画案であります。この案は、まさに県民の皆様からの知恵を結集したものであると考えています。
具体的には、新堀川を被っている駐車場約160メートル区間を取り払った上で、児童や高齢者が安全に通行できる道路の構造を確保しつつ、道路幅を縮小するなど、できる限り川面を拡大するとともに、横堀公園の一部を切り込むことで、希少動植物が生息、成育する新たな干潟や水面を創出し、さらには石垣の復元等により、歴史的な掘り割りの風景を保全することを提案しています。また、高知市からは、歴史まち歩きの土佐っ歩の活用や、横堀公園のリニューアルなど、まちづくりの面からも提案をいただいているところです。このため、新たな道路計画案は、歩行者を含めた交通の安全性や利便性を高め、自然環境や歴史的景観の保全創出を図るなど、まちづくりにも貢献できる案となっているのではないかと考えております。
今後、年明けには、まちづくり協議会から提言をいただき、高知市の意見を聞いた上で、県としての最終判断を行いたいと考えております。
私からは、以上でございます。
◎地域福祉部長(門田純一君) まず、津波避難ビルや緊急避難場所について、要避難者が避難、滞在するための必要な施設改善の支援の仕組み、また、避難支援対策のわかりやすいパンフレットを常備し、受け入れる側の体制を整備するための勉強会や訓練の支援についてお尋ねがございました。関連をいたしますので、あわせてお答えをさせていただきます。
要配慮者の皆様への対策といたしましては、これまで市町村における避難行動要支援者の名簿づくりや、具体的な個別計画の作成、計画に基づく訓練の実施に補助を行うとともに、定期的な市町村との協議の中で、地域での取り組み状況を把握し、助言も行ってきたところでございます。
あわせまして、一定期間生活することとなる福祉避難所に関しましても、指定を促進する補助金により、運営に必要な物資の整備や訓練の実施などを支援するとともに、訓練の実施については、県が作成をいたしました福祉避難所運営訓練マニュアルを活用した支援も行ってまいりました。
一方、津波が起こった際に、最初一時的に避難をすることが想定されている津波避難ビルや緊急避難場所については、一般的な支援策として、県の地域防災対策総合補助金による支援がございますものの、長期浸水により滞在が長期化するといったことなども踏まえれば、市町村においても要配慮者を念頭に置いた検討がさらに必要ではないかと考えております。
また、こういう視点も踏まえ、要配慮者のニーズに応じてさらなる対策を講じていく必要があるものと考えており、議員のお話にありました要配慮者等への支援の方法をわかりやすくまとめたパンフレットの作成や、それを活用した訓練の実施、施設の改善や必要な資材の整備も含めまして、要配慮者の方々に対します緊急避難場所などでの支援のあり方について、市町村とともに検討をしてまいりたいと考えております。
次に、災害時の避難行動要支援者の個別避難計画は、支援者が、支援者と要配慮者がともに策定をする過程を歩むことが追求されているのかとのお尋ねがございました。
避難行動要支援者の個別計画は、県内全市町村において避難行動要支援者名簿を作成をし、本人の同意を得て消防や民生委員、自主防災組織など、避難支援等関係者に名簿情報を提供した上で策定することとなっております。個別計画の策定は、避難行動要支援者御本人と避難支援等の関係者がともに話し合いながら進めていくことが重要であり、県が策定をいたしました個別計画のモデル様式でも、世話人となるコーディネーターを選定した上で支援者を事前に決定し、近隣住民や自主防災組織、民生委員なども含めて個別計画を策定することになっております。策定が進んでいる市町村においても、このような形で策定をしているとお聞きをしております。
こうした形で個別計画を策定するためには、本人の同意を得ることが大前提となりますので、まずは、平成32年度までに全市町村において、全ての避難行動要支援者に同意を求め、同意の得られた人の名簿情報を避難支援等関係者へ平常時から提供することを、南海トラフ地震対策行動計画にも位置づけているところです。
また、個別計画がこのように丁寧に策定をする必要があるため、避難行動要支援者数の多い市部においては、全員の計画を策定するまでには一定の期間が必要だとのお話もお聞きをしているところでございますが、県といたしましては、要配慮者の避難支援に関する補助の限度額の引き上げも行ったところであり、今後も引き続き、できるだけ早期に個別計画の策定ができるよう市町村を支援してまいります。
最後に、災害弱者支援センターの設立や減災ケアコミュニケーター育成のための支援についてお尋ねがございました。
議員からお話のありましたように、現在県内のNPO法人において、障害のある方々など災害弱者と言われる方々が、自分の命は自分で守るための自助力を身につけるとともに、支援を受けるだけでなく、支援ができるようになることを目指して、準備室を設立し、ワークショップを開催するなど、災害弱者が防災対策を学ぶ拠点となる災害弱者支援センターの設立に向けた活動が行われているところです。このワークショップの開催には、県にいただいた地域福祉活動の寄附金をもとに、県社会福祉協議会が造成し、運用をしております高知県福祉活動支援基金から助成が行われることとなっているところでございます。
災害時において、衣食住や健康面について面倒を見ることができるよう、コミュニケーションをとる減災ケアコミュニケーターの育成も含め、これらの活動は、障害のあるなしにかかわらず、日ごろから支援する人も支援を受ける人も互いに支え合おうというものであると承知をしており、特に、災害時には大切な視点だと思われますので、県といたしましては、まずは、そういった活動をされている方々から活動の内容や災害時の要配慮者への支援のあり方などにつきまして、御意見をお伺いしたいと考えております。
◎土木部長(福田敬大君) まず、住宅耐震化の経済負担をさらに抜本的に軽減させ、耐震化を加速するための方策、また、生活保護世帯などが耐震化をあきらめないようにするための方策を検討できないかとのお尋ねがござました。関連いたしますので、あわせてお答えさせていただきます。
住宅耐震化を促進するためには、住宅所有者の経済的負担の軽減が必須であることから、改修工事については、92万5,000円の定額補助を基本としつつ、市町村に対して補助金額の上乗せを促してまいりました。その結果、現在、25の市町村で上乗せ補助が実施され、補助額が最も高い市、町では、上乗せ補助金60万円を加え最大152万5,000円となっております。
また、平成25年度から継続的に低コスト工法にかかる事業者向け講習会を開催するなどして普及に努めてきた結果、平成26年度に188万円であった平均工事費が平成28年度には166万円にまで下がり、また、全体の6割の工事が150万円未満で実施されております。これらの取り組みにより、自己負担が少額で済んでいる改修工事の実績も増えており、さらには、補助金を事業者が直接受け取ることができる代理受領制度の普及も進んできたことから、住宅所有者が一時的に工事代金の全額を用意する必要もなくなってきております。しかしながら、今年度実施した県民世論調査の結果によりますと、住宅耐震に係る補助制度があることを知っている方は、いまだ約5割という状況です。
このため、より負担の少ない工法開発、普及などに努めるとともに、引き続き戸別訪問などによって、手厚い補助や工事費にかかる情報の周知徹底を図り、中でも生活保護世帯などの生活困窮世帯については、福祉部局とも連携した周知に努めてまいります。
次に、旧耐震基準の集合住宅の耐震改修を行うとともに、災害後には空室を借り、仮設住宅として利用できないかとのお尋ねがございました。
集合住宅の耐震化を進め、災害後に空室を仮設住宅として借り上げることは、住んでいる方の命を守るとともに仮設住宅確保の観点からも有効と考えます。一方で、集合住宅の耐震化は、戸建て住宅と比較して工事規模が大きく、特に木造以外のものについては、費用が多額になるとともに、入居者の合意形成といった課題もあると認識しております。県では、一定の限度はあるものの、木造以外の集合住宅も耐震化補助の対象としており、現在24の市町村も補助対象としております。しかしながら、特に、集合住宅が多く、被災時に仮設住宅が圧倒的に不足することが想定されます高知市では、補助対象となっておりません。
このため、まずは、高知市に対し、県市連携会議などのあらゆる機会を捉えて、引き続き制度化を強く働きかけていくとともに、残る9市町村についても制度化を働きかけてまいります。
最後に、公的な家賃補助制度を前提として、被災者が最初に入居したみなし仮設住宅を、恒久住宅として引き続き使用可能とする仕組みの必要性について、お尋ねがございました。
災害救助法に基づく応急仮設住宅として、県が民間賃貸住宅を借り上げて、被災者に提供するいわゆるみなし仮設住宅については、入居する被災者が家賃を負担する必要はございません。しかしながら、この提供期間の終了後も被災者が継続して住み続けるためには、被災者自ら賃貸借契約を締結する必要があり、その後の家賃を支払うこととなります。
このため、みなし仮設住宅の提供期間終了後に、経済的負担を理由に被災者が転居せざるを得ない状況も想定されております。県としても、被災者の負担を少しでも軽減するために、被災後から安定して住まうことができる住宅を提供することが必要だと考えております。
今後、東北地方や熊本県などの被災地の事例や、内閣府に設置されました検討会での議論などを参考に、被災者が転居することなく、みなし仮設住宅から恒久住宅へ円滑に移行できる仕組みについて研究してまいります。
◎教育長(田村壮児君) まず、都市計画道路はりまや町一宮線について子供の安全確保を優先するのであれば、現行道路でも制限速度を抑え、子供の安全を優先した自動車、自転車運転マナーの徹底を呼びかけることで達成できるのではないかとのお尋ねがございました。
このはりまや町一宮線のはりまや工区については、自動車の通行台数も既に4車線化の要件を超えており、交通渋滞の発生や通学児童、高齢者の安全が損なわれているという状況も現在も継続していることから、今回の計画で道路整備が進むことにより、日常生活の利便性が確保されるとともに、自転車歩行者道の整備など子供の安心安全につながる環境整備がなされることが期待できます。
一方、道路が整備されたとしても、自動車や自転車の危険な運転行為により歩行者の安全が脅かされるおそれも考えられます。そうした中、子供たちの安全を確保していくためには大人が交通ルールを守ることはもちろん、子供自身が自ら危険を回避する能力や、交通規制やマナーを守る意識と行動を身につけることが必要だと考えています。県教育委員会ではこれまでにも高知県安全教育プログラムに基づき、子供たちに被害者にも加害者にもならない交通安全教育を実施してまいりました。
今後も、子供たちへの交通安全教育の徹底を図るとともに、関係機関と連携して安全な環境整備に努めてまいりたいと考えております。
次に、新聞感想文コンクールで最優秀となった小学生の作文での意見に対する受けとめについて、お尋ねがございました。
現在、小中学校においては、例えば、道徳教育の中で自然の偉大さを知り、自然環境を大切にする心を育む学習を行い、総合的な学習や社会科においても公害の防止など環境の保全についての理解を深める学習を進めております。このような学習を通して、子供たちには人間の経済活動と自然環境が矛盾せず共存するあり方について考え、自分たちはどのように行動すべきかを話し合ってもらいたいと考えています。
議員からお話のあった小学生の作文は、身近な自然環境に興味を持ち、その環境保全についてしっかりと自分で考えた上で意見を発表しているもので、公共事業の重要性と自然環境の大切さの両面から物事を捉えている点がすばらしいと思います。このような若者が多く育っていくことにより、人間と自然が共存する高知県がつくられるものと期待しております。
なお、この作文で取り上げられたはりまや町一宮線の整備については、6月に設置されたまちづくり協議会において議論が開始されていると聞いています。9月以降はパブリックコメントなど、さまざまな意見を踏まえ自然環境に配慮し、稀少動植物と共存する新たな道路計画案について協議、検討されていると承知をしております。
次に、保育現場では、非正規保育士に頼らざるを得ない状況があると聞くが、なぜそのような傾向になっているのか。また、これら施設の保育士の配置は、現場のニーズに対して充足されていると考えているのかとのお尋ねがございました。
平成29年4月1日現在の本県における保育士の職員数は、常勤職員のうち、正規職員は2,188人、臨時職員は1,628人で、パート職員は931人となっており、議員のお話にありましたとおり非正規職員の人数が多くなっております。このうち、臨時職員は、常勤職員の42%の大きな割合を占めておりますが、これは出生数が年々減少している中、多くの施設で長期的な雇用が必要な正規職員の採用を躊躇する傾向があるためではないかと考えております。また、パート職員は年々増加をしておりますが、その要因といたしましては、朝夕の延長保育の対応や、常勤職員の休憩時間の確保、お昼寝の見守りなどにパート職員を活用したいといった施設側のニーズと、家庭の事情などにより短期間での勤務を希望する保育士側のニーズが合致し雇用の増につながっているのではないかと思います。
保育士の充足状況につきましては、県内の全ての保育所などにおいて設置基準上の必要な保育士数を確保しておりますし、保育の実態に応じて基準を上回る職員の配置を行っている保育所などもあります。
ただ、現場からは保育の質を向上するための取り組みや、多様な保育ニーズへの対応に加えて保護者への支援など携わる業務が多岐にわたるようになり、年々多忙になってきているとのお声もお聞きしているところでございます。
次に、保育士の処遇改善のための2%の賃上げや技能や経験を積んだ職員への月4万円の上乗せなどの処置が、県内でどれだけ行われているのかとのお尋ねがございました。
保育士等の人材の確保と資質向上を図り、長く働くことができる職場を構築するためには、保育士等の処遇改善を行うことが必要であり、その財源として人件費への加算が行われております。この加算は、これまで職員の平均経験年数が上昇することに伴い増加する仕組みになっていましたが、今年度からさらなる上乗せとして、2種類の加算制度が設けられました。
その1つは議員のお話にあった2%の積み増しですが、これは、賃金改善計画や資質向上のための計画などを策定した場合に行われるもので、県内では、対象となる民間の163施設のうち、133施設、82%が申請しております。
2つ目は、技能、経験を積みリーダー的な役割に位置づけられた職員を配置した場合に、今の2%の加算に加え、さらに職員に応じて月額5,000円から4万円の賃金改善のための加算が行われるものであり、これらは、職員の発令や、指定された研修の受講を要件としており、163施設のうち、75施設46%が申請をしております。
これらの加算に関する申請がまだ一部の施設に留まっている理由としては、こうした新しい加算制度の継続性への懸念や、職員間の賃金に大きな差をつけることを躊躇している施設があるためではないかと考えております。県では、より多くの施設に新しい加算制度を利用して保育士等の処遇改善に取り組んでいただけるよう、今後も説明会において、加算の仕組みなどの周知を図るとともに、個別の助言もさせていただきながら、申請に向けた支援を行ってまいります。
次に、労働環境に関連しての保育士確保の困難性の要因について、お尋ねがございました。
保育士等の人材確保に当たっては、議員御指摘のとおり、給与等の処遇の面だけでなく、労働環境の面においても改善が必要と考えます。平成26年に、厚生労働省が実施しました保育士の労働条件に関するアンケート調査におきましても、給与賞与等の改善6割に続いて、職員数の増員40.4%、事務雑務の軽減34.9%、未消化休暇の改善31.5%など、労働環境の改善への要望が大きくなっております。
また、潜在保育士の復職支援や、就職後の支援などを行う高知県社会福祉協議会人材福祉センターの再就職支援コーディネーターからも、就業時間が希望とあわない、有給休暇がとりにくいといった労働環境に起因する不安や、不満の声があるとお聞きをしております。
こうした状況に対し、県としましても、子育て支援員の配置によって、保育士等の負担軽減に取り組むことを促すとともに、所長、園長を対象とした管理職研修において、働きやすい労働環境づくりの視点を持った組織マネジメントの講座を設けるなど、働きやすい環境整備に向けて支援をしてまいりたいと考えております。
最後に、記録処理の簡素化や、研修の開催、受講の工夫などを図ることができないかとのお尋ねがありました。
毎日の保育にじっくりと向き合うことや、多様な保育ニーズへの対応、保護者とのコミュニケーションを図るなど、充実した保育を行うための時間的余裕を確保するためには、事務の簡素化や、研修の工夫は必要なことであると認識をしております。
まず、事務の簡素化につきましては、県として記録作成等の簡素化に取り組んでおり、報告していただく書類の簡素化や、報告回数の縮減など、事務の軽減に努めているところでございます。また、施設側におきましても、指導計画などの様式をフォーマットしているソフトを利用して作成時間を短縮するなど、パソコンなどのIT機器を活用することも1つの手段ではないかと考えており、指導計画や記録表等の様式の提供などにより利用を促していきたいと考えております。
次に、研修については、研修に参加する保育士の穴を埋める代替職員の確保が難しいことや、郡部からは研修場所が離れており移動に時間がかかることなどから参加しにくいといった声もお聞きをしております。代替職員の確保につきましては、子育て支援員等の活用や、県が行う研修への国の補助制度の活用などの周知を図ってまいります。また、研修の場所や日程については、関係者の御意見もお聞きしながら参加しやすくなるよう工夫をしてまいります。さらに、身近な職場で研修を受けられる機会が広がるよう、保育への助言を行うアドバイザーなどによる園への直接訪問や、園内研修で中心的な役割を担うミドルリーダーの要請を充実をしてまいります。
◎総務部長(梶元伸君) まず、会計年度任用職員制度にかかる地方公務員法及び地方自治法の改正の受けとめ等について、お尋ねがございました。
今回の法改正につきましては、新たに一般職の会計年度任用職員制度を創設し、地方公務員の臨時非常勤職員の任用等に関する制度を明確にすることにより、適正な任用等を確保しようとするものと承知をしております。本県におきましても、行政事業の多様化に伴います臨時非常勤職員の増加など全国と同様の状況にありまして、臨時非常勤職員の方々が地方行政の重要な担い手として引き続き活躍していただくためにも適正な任用と勤務条件の確保が必要と考えており、今回の法改正は適切なものと認識をしているところであります。
次に、御質問のありました平成29年4月1日時点おけます臨時非常勤職員の職員数につきましては、知事部局では、それぞれ241名、438名であり、また、正職員3,340名と合わせた全職員に占める臨時非常勤職員の割合につきましては、16.9%となっております。
次に、現在の職について正職員の配置や常勤化の検討とともに、現在の臨時非常勤職員の継続雇用について、お尋ねがございました。
まず、臨時非常勤職員の職の検証につきましては、法改正への対応の一環としまして、現在、全庁的に業務内容や勤務状況等について確認を行っているところであります。
今後、その結果を踏まえまして、それぞれの職のあり方を検討する予定としており、その際には、正規職員の配置や常勤の職により対応することも選択肢の1つ考えております。このことは、会計任用職員制度を所管する総務省から同様の趣旨の助言がございますことからも、法改正の趣旨に沿っているものと認識をしております。
次に、会計年度任用職員の任用につきましては、年度ごととされており、その採用は地方公務員法第13条の平等取り扱いの原則を踏まえ、できる限り広く募集を行い、選考などの能力実証などにより、公平公正に行う必要があります。
現在勤務されている臨時非常勤職員の継続雇用につきましては、会計年度任用職員としての選考などの際に、これまでの経験やスキルが能力として一定評価されることもあるものと考えられます。その結果として、新たに任用される方もいるのではないかと考えております。
次に、会計年度任用職員の勤務条件についての認識と、官製ワーキングプアの解消に向けた責任について、お尋ねがございました。
今回の法改正により、会計年度任用職員については、一般職の地方公務員と明確に位置づけられることから、地方公務員法第24条が適応されまして、給料や報酬については、正職員と同様、職務給の原則や均衡の原則等に基づき、従事する職務の内容や責任の程度、地域の民間企業の給与水準等に十分留意しながら、適切に決定する必要があるとされております。そのほか、常勤、非常勤のいずれの勤務形態であっても、時間外勤務手当てや、通勤手当、または通勤にかかる実費弁償の支給とともに、一定の要件を満たした場合には期末手当も支給できることとなっております。加えて休暇につきましては、労働基準法の適用とともに、国の非常勤職員との権衡の観点を踏まえ、必要な制度を整備することとされております。
これらのように、今回の法改正では、給料水準や手当てなどの勤務条件についても考え方や方針が総務省から示されておりますので、今後、法改正の趣旨に沿いまして十分検討してまいりたいと考えております。
次に、会計年度任用職員制度の導入に当たりまして、地方財政計画に必要な財源を盛り込むよう国に要請するべきではないかとのお尋ねがございました。
今回の法改正を受けて、総務省の主催により、本県や香川県などで、会計年度任用職員についての説明会が実施されましたが、このような場や機会を捉えまして、財源対策について質問や要望を行ってるところであります。国においても、会計年度任用職員制度の導入による財源対策は課題と考えているものと承知をしておりまして、法改正時の国会の附帯決議においては、制度改正により必要となる財源の十分な確保に努めることとされておりますし、国会において、総務大臣は、必要となる財源については各地方公共団体の対応などについて調査を行う必要があると考えており、その実態を踏まえながら必要な地方財政処置とその処方についても検討をしてまいりたいと答弁しております。
今後、会計年度任用職員の導入に当たって、国が各地方公共団体に対して行う調査の結果を踏まえ、財政処置についても検討されるのではないかと考えております。本県としても、国の状況を見ながら、必要となった場合は、国に対して財源対策について要望してまいりたいと考えております。
次に、公務における非正規労働者の格差是正のための国への要請について、お尋ねがございました。
今回の法改正に先だって、総務省が設置した「地方公務員の臨時非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」において、国及び地方における臨時非常勤職員の実態とともに、民間労働法制や、民間企業における同一労働同一賃金の議論の動向などを踏まえた議論が行われており、その報告書による提言を受け、今回の法改正が行われたものと認識をしております。
県としましては、まずは、今回の法改正の趣旨とその内容に沿いまして、会計年度任用職員制度の実施に向け適切に対応していくことが重要であると考えております。
なお、法改正時の国会の附帯決議におきましては、本法施行後、施行の状況について調査検討を行い、その結果を踏まえて必要な措置を講ずること、その際、民間部門における同一労働同一賃金の議論の動向を注視しつつ、短時間勤務の会計年度任用年度職員にかかる給付のあり方や、臨時的任用職員及び非常勤職員にかかる公務における同一労働同一賃金のあり方に重点をおいた対応に努めることとされております。
加えて、総務省においては、各地方公共団体における制度の定着状況や運用状況を踏まえながら、今後も適正な運用や勤務条件の確保について検討していくとのことでありまして、引き続き、その動向について注視していきたいと考えております。
今後、本県においても人材確保や処遇改善等のため、特に必要がある場合には国に要請をしてまいりたいと考えております。
次に、県の障害者雇用率に関し、非常勤職員が何名含まれているかとのお尋ねがございました。
本年6月1日時点での集計では、知事部局において該当する非常勤職員の数は20名でございます。
最後に、障害者雇用の非常勤職員の報酬の根拠とその改定の必要性について、お尋ねがございました。
まず、障害者雇用率の算定方法において、平成22年7月から新たに一定の短時間労働者が含まれたことを踏まえまして、障害のある方にできるだけ多くの就業機会を提供し、県での就労経験を自立につなげていただくため、平成23年度から障害のある方を対象とした非常勤職員の職を設けておりまして、本年6月1日時点では13名の方がその職についております。この職につきましては、障害のある方により多く応募いただけるよう業務内容については簡易な事務補助とし、勤務時間や勤務日数についても週29時間勤務又は月16日以内勤務を基本としながら、御本人の体力等に応じてより短い勤務時間の設定も可能としているところであります。
御質問のありました報酬の額の根拠につきましては、先ほど申し上げました業務内容から、常勤で事務補助の業務に従事しております臨時的任用職員の単価をベースとして勤務時間に応じた算定をしております。結果として、総務事務や各業務分野で一定の専門性のある業務に従事しております他の非常勤職員との報酬額に差が生じることとなりますが、これは、先ほど御説明したように障害のある方により多く御応募いただけるよう業務内容を設定したことで、他の非常勤職員と業務の性質や内容が異なることによるものであります。このため、報酬の改定の必要はないものと考えております。
なお、こうした報酬額の設定につきましては、障害者雇用制度を所管をしております高知労働局においても確認をさせていただき、問題となる取り扱いではないとの見解をいただいております。
今後も引き続き、障害のある方により多くの就業機会を提供させていただくとともに、県での就労経験を自立につなげていただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
◎副知事(岩城孝章君) 労働契約法の改正に伴う公社等外郭団体における対応について、お尋ねがございました。
労働契約法の改正に伴い、本年8月に私名で発出しました通知は、公社と外郭団体において有期労働契約による職員の無期労働契約への転換に当たって適切な対応を促すことと、このことに関する留意事項をお知らせしたものです。で、この通知の中でお話にありました箇所につきましては、厚生労働省の考え方に沿って、団体において無期労働契約に転換するルールを導入するに当たっては、あらかじめ正職員と無期転換をした職員との役割や責任を明確にしておくよう業務内容の整理や人事管理等を適切に行うことを求める趣旨であり、通知においては、今回の法改正への対応が無期転換を防ぐためのものといった誤解を招くことのないよう、あわせて注意喚起を行ったところです。
で、無期労働契約への転換については、本年9月に、高知労働局から制度周知の協力要請を受けたところであり、各団体には改めてリーフレットの配布を行うなど、さらなる周知を図ったところですが、今後も、機会を捉え公社等外郭団体に対して適切な対応を促してまいります。
次に、県の出資団体における有期労働契約職員の人数等に関して、また、無期労働契約への転換を申し込む職員への対応について、お尋ねがございました。
まず、有期労働契約の職員に関しまして、今年5月に調査を実施した時点では、県が出資している外郭団体31団体における人数は322名。そのうち、今年度末で契約期間が通算5年を満了する職員は55名でございました。
次に、今年8月末に私名で発出しました通知のうち、お話のありました内容につきましては、公社等外郭団体において、法改正に適切に対応する際には、これまで県が取り組んできた公社等外郭団体の健全経営の確保にも引き続き留意していただくことをその趣旨とするものでございます。
で、今回の法改正への適切な対応と公社等外郭団体の健全経営への確保を両立させることは重要であることから、今後も、当事者を含む関係者に対し、法改正の周知徹底を図っていきたいと考えております。
◎31番(坂本茂雄君) どうも御答弁ありがとうございました。ちょっと順不同になりますが、再質問をさせていただきたいと思います。
まず、教育長に、保育の関係で、例えば、研修場所を工夫したりだとかいうことや、代替職員の確保についても、どこまで実効性が上がるかということは別にして、子育て支援員の活用だとか、そういったことが示されていました。ただ、研修場所を工夫されるというのは、当然県下的にそういったことは配慮するということだろうというふうに思うんですけれども、やはり、先ほど私が申し上げた課題っていうのは、特に郡部での保育の現場でやはり課題になっていることが多かろうと思うんですね。で、人材を確保したくても、例えば、高知市に集中していて、なかなかそういった短時間勤務、あるいは短期間勤務そういった方の非正規の保育士の方を確保できないだとか、そういったことっていうのは、やはり郡部のほうから特に大きな課題として挙げられていますので、そこへどういうふうに対応していくのか。そういったところでも確保できるような情報の提供だとかですね、そういったことがやられていくのかどうか。その辺についても、ちょっとお伺いをしておきたいというふうに思います。
それと、先ほどの非常勤職員の障害者雇用の関係で、部長は見直すつもりはないというふうにおっしゃったんですけども、いわゆる業務内容が明確に異なっているかどうかということについて、きちんと言い切れるのかどうかですね。で、今雇用されている方で、いわゆる非常勤職員の職群、幾つある職群のいわゆる事務補助になってくる位置の方っていうのは極めて少なくて、もうそれ以外の人は全部先ほど言われたような、それと差のある算定根拠になっていると。じゃあ、その人たちが、言われるように業務の内容とその人の障害度合いとの関係で本当に適当なのかどうかいうことをどこまで明確に判断された上でそういったことが言えるのかどうか。私、非常にそれは疑問だと思うんですね。そこのところをほんとに言い切れるのかどうかいうのを、もう一編お聞かせいただきたいというふうに思います。
それと、いわゆる会計年度任用職員制度につきましては、これも2020年度から正式に実施されるということなんですけれども、やっぱりそこまでに至っていく段階で相当精査しなければならない課題とかも出てくると思うんですね。その際に、やはり、今、県の、特に継続して毎年、単年度雇用ですけども、それを継続更新をされている非常勤の方たちが、いわゆる雇用への不安を抱かないような形の処遇も含めて、十分その現場で働いている方たちの声も聞きながら今後取り組んでいただきたいと思うんですが、今後のスケジュールですね、実施に向けてのスケジュール。どういうふうなスケジュール感で望んでいこうとしているのか。その辺について、お伺いをさせていただきたいと思います。
それと、知事が最初に言われましたルネサス高知工場の関係ですけども、ちょっと私としては、提案説明の繰り返しというか、そんなふうに受けとめてしまいまして。もちろん提案説明で言われたことはすごい強い決意というふうに、私、受けとめたわけです。その強い決意が示される以上、何らかの裏づけがあってここまで言い切れるのかなというふうに逆に期待もしたわけですね。で、そういう意味では、来年もう既に5月までということのタイムリミットがある中で、いつごろまでにこういう結果が出せるのかいうこともあると思うんです。確かに、かつての山形でのぎりぎりで決まるような事態もあったりはしているんですけれども、ほんとに今働かれている人たち、その会社側からの意向調査を受けてる人たちというのは大変不安な思いで、あるいは、家族の中で随分悩みながら、話ながら結論を出そうとしている方たちもおいでます。そういった方たちが、言えば悩み続けなければならない期間を少しでも短縮できるように、できれば、ほんとに知事の強い決意の中で結論を出せるような環境がつくれないか。それは、なかなか知事お1人だけでも難しい問題であろうかと思いますけど、その辺のところを、できれば今日御答弁いただける中で少しでも、例えば、働かれている方の御家族の方とか含めて安心ができるようなことが得られないのかどうかっていうふうに思いますので、もう一度お聞きしたいというふうに思います。
それと、それぞれ憲法論議あるいは北朝鮮の危機の問題など含めて、知事のお考えというのはそれはそれであるのでしょうけども、私は、やはり朝鮮半島の危機の問題に関してはこういう不安な思いをしなくてもいい、そういう解決をどうやって早くするのか。そのことが、今やっている方策で果たしていいんだろうかというふうな疑問を持っております。ぜひ、そこのところは、今後とも県民、国民が安心できるような対応を図っていただきたいというふうに要請しておきたいと思います。
もう時間がありませんけれども、はりまや町一宮線の工事については、先ほど年明けには結論を出すというふうなことですが、年明けにも、再度この間の検討会の結果を踏まえて最終報告案が出されます。で、最終報告案が年明けに出されて、そして、知事というか、県が検討することになると思うんですけれども、やはり私は、もう一度まちづくりをどうやって、ほんとに転換していくのか。先ほど述べたような視点で御判断いただけたらというふうなことについてお伺いして、以上で、質問を終わりたいと思います。
◎教育長(田村壮児君) 保育士の研修の場所の件でございますけれども、お話にありましたように、今現在は高知市の教育センター等で行うことが多くなっておりまして、郡部から参加するにはなかなか時間もかかってしまうと、そういう問題ございます。ということもございますので、ブロック別に開催するような形でできるだけ近くで参加しやすいようなそんなことも考えていきたいというふうに思っておりますし。それから、大方高校におきましては、サテライト会場でテレビ会議的な会場もございますので、そういった活用も考えていきたいというふうに考えているところでございます。
それから、代替職員の確保についてでございますけれども、これについては、保育士でなくても、必ずしも子育て支援員で対応できる業務もございますので、なかなか保育士を確保するとなると人材確保が難しいという面がございますが、子育て支援員であれば大分増えてきておりますので、確保が比較的可能ではないかいうふうに思っておりまして、子育て支援員の人材バンクへの登録とかいったことも進めてまいりたいですし。それから、そういったことの活用について施設への説明もさせていただきたいとそういうふうに考えております。
◎総務部長(梶元伸君) まず、障害のある方を対象として採用した非常勤職員の関係でございますけれども、先ほど御説明しましたように、障害のある方により多く御応募いただくということとしておりますので、募集の際に業務内容については簡易な事務補助とさせていただいているところであります。
一方で、今、議員の御指摘も、そのような事例なのかというのはありますけれども、補助事務に従事していただく中で、職員によっては経験あるいは能力が高まって業務内容がより高度になっていくというような場合というのはあるというふうに考えておりまして、このような場合については、一定の専門性のある業務に従事している他の非常勤職員の業務内容と同等となっているということを確認をさせていただいた上で、当該非常勤職員の報酬額と同額とするという取り扱いにしているところでございます。
したがいまして、障害がある方が勤務をしている所属にも確認をさせていただいて、所定の手続を行って報酬を見直すというような対応を個別にさせていただくということになろうと思います。
それから、スケジュールの点であります。会計年度任用職員につきましては、現在、先ほど申し上げましたように全庁的な実態調査をさせていただいております。さまざまな職があるものですから、非常にこれは時間をかけて丁寧にさせていただかなければならないと思っておりますが、一方で、平成32年度の施行に向けて、それまでに採用手続もしなければならんということでございますし、何よりも、職員団体の皆様と丁寧に交渉をさせていただく必要があります。
したがいまして、今、実態調査は、これは年度内、年度明けぐらいかかるかなと思っておりますけれども、来年度しかるべき時期に提示をさせていただいて、真摯な議論をさせていただいて、それが決着すれば、しかるべき時期に条例を提案させていただくというようなことになろうかと思いますけれども、まだ確たる時期がいつかというのは、まだこれからの検討ということでございます。
◎知事(尾ア正直君) まず、ルネサスの問題でありますけども、私も、従業員の皆さん、さらには保護者の皆さんとお会いしてお話をすることもあります。いろんな先でお会いしてお話を伺いますけれども、ほんとに不安でいらっしゃるお気持ちというのは、私もひしひしと伝わってくるところでありまして、何とかしなければならんとそういう思いであります。提案説明でもそういう思いで、できる限り安心していただきいという思いで、できる限り具体的に提案説明の段階からお話をさせていただいたところでありますが、さらに踏み込んだこととして、私どもとしての考え、ある意味戦略と言いますか、言わせていただきますれば、大きく言いますと3点あるというふうに思ってます。
第1、ルネサス社に単に雇用の継続ということに留まらず、承継先の確保ということを、これを第一義として全力を挙げてもらいたいということを強く申し入れてきているということであります。この点について、ルネサス社さんには県民の民意、そして、議員会の御指摘を踏まえて、しっかりと全力で取り組んでいただかなければならんと、そう思っております。私も強く申し入れてまいりました。
第2点でありますけれども、やはりこの問題については、半導体業界とか、こういう関係の業界の事情に非常に詳しくないと、なかなかそのアプローチも難しいというところがあると思ってます。既に300社近くいろいろと投網をかける方式でアンケートを行ったりしてきました。そういう中において、いろいろと得られた情報もあります。また、提案説明でも申し上げましたが、極めて業界内の情報に詳しい専門家の方をお雇いさせていただきまして、恐らくこういうアプローチがあるんじゃないかということで、より確度の高い形でのアプローチというものに今転換をしてきているところでありまして、こういうより確度の高いアプローチを今後も繰り返していきたいとそういうふうに思ってます。
そして、3点目ありますけれども、やはり広く情報を募るということが大事だろうと考えてます。県内の民間のいろんな方、関係の方々にも情報をいただきながら、より対象範囲を広げていきながら、アプローチも今後重ねていくということを考えていきたいと、そのように考えております。あくまでも交渉事でありまして、特に、民民ベースの話もありまして、具体的に何社何社と言えないというところがありましてね。で、申しわけなく思いますけれども、先ほど申し上げたような方針でもって、ルネサス社には本気になってもらう。もう随分本気になっていただいていると思いますけれども、その取り組み、さらには我々として業界の事情に精通してより精度の高いアプローチをすること、さらに、は多くの皆様方にお願いをして情報を広く収集すること、こういうことを通じて、何としても承継先の確保、こだわるべく努力をしていきたいとそのように考えています。山形でもギリギリの段階でしたのでね、高知でぎりぎりの段階まで何としても我々として結果を出すべく努力を重ねたいとそのように思ってます。
それから、はりまや町一宮線についてということでありますが、最終報告書案を私どもとしていただいてから、私も最終的に判断をさせていただきたいと、そのように考えているところです。
ですが、随分今回の案について、今提示させていただいている案というのは、ほんとに多くの皆さんの思いを受けとめて、いろんな方の知恵が結集されたんではないかと思います。新しい案になることによって、この第3の案によって、今駐車場でふさがれている部分なんかも全部表に出ることになるんですね。今の状況よりも水面としてあらわれてくる面積、随分広がってくる箇所もあるということなのでありまして、いろんな方の思いを反映したものではないかと思います。
ただ、最終報告書案に至るまで、まだ議論がありますでしょ。いろんな方の御意見があると思いますから、最終報告書案にはそれが反映されますでしょう。さらに出てからも、その他の意見もありますでしょ。いろんな御意見を踏まえて、私としては判断させていただきたいとそういうふうに思います。