2016年09月定例会一般質問(10月4日) |
◎30番(坂本茂雄君) お許しをいただきましたので、順次、質問をさせていただきたいと思います。
昭和南海地震から70年目、3.11東日本大震災から5年目の今年、熊本地震という震度7の前震と本震がおよそ28時間の間隔で発生し、深刻な被害をもたらし、この夏は豪雨や台風被害が多くの地域に及ぶなど、改めて災害大国に暮らしていることを実感させられています。そのことを念頭においた国民の間には、原発再稼働への不安が広がったにもかかわらず、川内原発については、鹿児島県知事が停止を求めても、受け入れることなく、伊方原発についても多くの反対の声をよそに、再稼働が強行されました。また、沖縄県においては、衆参ともに全ての選挙区で、オール沖縄の議席となったにもかかわらず、参院選挙後には、高江のヘリパッドの移設工事が強行着手されました。
「県民がいくら意思表示しようと、国策のため政府は容赦しない」という姿勢が貫徹されるこの国は、政府の意のままにならない、国民の意思であれば、切り捨てることも明らかにしたと言えます。そのような、国に私たちは暮らしているのですが、せめて本県では、県民が安心して暮らせる県政施策をより県民目線で進めていただくため、順次質問させていただきたいと思います。
まず、知事の政治姿勢について、お伺いします。南海トラフ地震対策に臨む姿勢の優先度について、お伺いします。
先日、私の住む高知市下知地域では、10カ国14人のJICA総合防災行政特別研修生の受け入れ交流を、昨年に引き続き行いました。防災非常食を一緒に食べたり、地域内の木造密集地区、電車通り沿いの津波避難ビルめぐり、さらには、鏡川沿い低地の防災まち歩きをしていただき、地域内の災害への脆弱な実態を実感していただきました。
そして、ワークショップでの、研修生からの御指摘は、要配慮者の避難の仕組みや、建築年が古く津波避難ビルになれないビルへの耐震補強対応などの質問や道路面への避難コースの指示標識や津波避難ビルの表示の工夫などの提案もいただいたりと、災害から命を守るための視点は、国内外を問わず共通していることを学ばされました。
しかし、その指摘された課題や提案に対しては、行政の支援も必要な課題も多く、まさに、命を守るために、優先すべきことは、脆弱な地域やしくみの中で被害の集中する災害対策こそが優先されるべき施策であることを、日々の地域の防災活動の中で痛感しています。
そのような中、7月30日高知市で講演をされた元総務大臣片山善博氏は、「地方が活力をもってやっていくためには、何が必要かと考えたら、何をおいても教育だと考えた。しかし、それ以上に重要視したのは安全ということである。どんなにいいことをやってもある日とてつもない災害で、地域としてダメージを受ける。だから、事前に備えて、人間の営みで被害を小さくする。何も準備せず、間違っても人災と言われることのないように備えなければならない。地域振興や地方創生よりも、地域の安全こそが大事である」と、鳥取地震を経験した、知事時代のことを振り返りながら話されていましたが、尾ア知事には「南海トラフ地震対策ファースト」という思いで、県政施策の中で、何よりも最も優先する施策として取り組んでいただきたいと思いますが、その決意を改めてお聞きします。そして、「南海トラフ地震対策ファースト」の決意で、事前に備えることでこそ力を発揮する公助に全力を挙げ、防災減災に備えていただきたいが所見をお伺いします。
また、これまでの取り組みの中で、私たちの地域では、まちづくりや見守り活動、日常の取り組みを通じたコミュニティ活動が活性化するときにこそ、防災にも強いまちができるのではないかと思っています。自助・共助を高めることにつながる自主防災活動が活性化すればするほど、さまざまな課題が見えてきます。
私は、先日、障害者が集う下知地区のある作業所の津波避難訓練に参加させていただきました。軽度の障害者が重度の障害者を介助したり、作業所のスタッフが一人で二人を介助したりと、皆さんが本当に懸命に避難行動をとられていました。
しかし、健常者にとっては普通の避難路でも、障害のある方には多くの支障があったり、最も近い避難ビルまで遅い方は20分以上かかり、さらにそこから避難場所までの駐車場スロープを登る困難さなどを考えたら、老朽化した自らの施設が津波避難ビル・避難所機能を持つ施設へと改築されることで、周辺に津波避難ビルがなく、高齢者の多い地域住民にも安心が与えられるのではないか、など意見が出されています。
このように、自主防災活動や地域防災活動が活性化したとき、新たな「命を守り・つなぐ」気づきが発見されることが多々あります。そのような、県民から発信される災害対策への提言について、本気で支援し、その提言を尊重することが行政の姿勢であるべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
次に、午前中の弘田議員の立場とは異なりますが、私は、憲法に緊急事態条項の創設は必要ないとのスタンスで、質問をさせていただきます。これまでにも、私が、なぜ緊急事態条項を憲法に創設することについて反対しているかは、議場でもその都度述べてまいりましたが、今回は、6月定例会の浜田英宏議員の質問にあった、東日本大震災の復興の障壁となった事例と憲法や災害対策基本法との関係について聞くことで、知事の考え方を明らかにしていただきたいと思います。
まず、浜田議員は「憲法第29条で保障された財産権の壁に阻まれ、瓦れきの処理が遅れ、復興の大きな障害となりました」と言われましたが、瓦れきの処理が遅れたのは憲法第29条のせいでしょうか。
災害対策基本法第64条2項には「災害を受けた工作物または物件等に必要な措置を執れる」とあり、憲法を変えなくても、災害対策基本法第64条2項で対応できたのではないか、お尋ねします。
さらに、浜田議員は、「本来届けられるべき避難所に燃料が供給されず、発災後3カ月時点の震災関連死は、1,324名、現在まで約3,400名を記録するに至った」と述べられましたが、燃料が供給されなかった避難所がどれだけあり、そのことが震災関連死につながったと理解されているのか、お聞きします。
一方で、「事前の法整備が必要なのです」と言われていますが、まさに、そのとおりで、事前に法整備をして対応することこそが求められているのです。
広田一、元参議院議員が3月30日の参議院災害対策特別委員会で、「防災対策推進検討会議 最終報告 〜ゆるぎない日本の再構築を目指して〜」に言及して、「東日本大震災の教訓に基づく、今しなければならない法改正は全て終わっている。言いかえれば積み残しの課題はないということか」と尋ねたことに対して、当時の河野内閣府特命防災担当大臣は、「検討した結果やらないというものもあるが、それらも含め、必要な措置を講じた」と答弁されています。
さらに「最終報告の提言の中には、緊急措置の範囲を拡大する必要があるのではないか、それを検討すべきだという提言もあったが、これらも含めて、いわゆる緊急事態条項を法改正して追加する必要はないということか」との質問に対して、「これらについては、検討の結果、やる必要はないということです」と大臣は答弁されています。
まさに、防災担当大臣も、緊急事態に関しては、必要な法改正で対応できるし、3.11の教訓に基づいた法改正は、既に行われているということなのです。法改正でもこれ以上の緊急事態措置の範囲拡大は必要ないと考えているものを、緊急事態条項として憲法に定める必要はないと考えられます。むしろ、事前に法整備をして、徹底的にその法律に基づいた備えや訓練をしておくことこそが、効果的だと思うがいかがでしょうか。
この項の最後に、知事は、6月定例会の浜田議員の質問に対して、「憲法における緊急事態条項によって、権力の濫用があってはならないことは当然であり、緊急時に名を借りた過剰な人権制限を防ぐ必要があることにも鑑みれば、大規模災害時に制限できる人権やその期間の制限を憲法に限定列挙して規定することを検討していくべきではないかと考えられる」と答弁され、午前中の弘田議員への答弁や、あるいは、私の2月予算委員会での答弁に対するものと同趣旨ではなかったかと思います。本日、私が伺いたいのは、その趣旨も含めて、では、今の自民党改憲草案第98条、99条であれば、その考えが具現化されたものであるか、あるいは、この文言は、懸念される心配があるので、望ましくないとか、条文に沿った考え方をお聞きするものでありますので、繰り返しになるかもしれませんが、お尋ねさせていただきます。
次に、再生可能エネルギーと原発政策について、お尋ねします。
商工農林水産委員会では、8月31日秋田市の「あきた次世代エネルギーパーク」について調査した際、秋田市の再生可能エネルギーの導入状況に、驚かされました。現在の風力発電39基で、秋田市民の消費電力分が発電可能となっており、今後20基の新設、さらには洋上風力発電15基が整えば、事業所分も含めて秋田市が必要とする電力を風力発電だけでも賄えることになるそうです。
さて、知事は、提案説明の中で、「原発への依存度の低減に向けた具体的な努力を求めていく。あわせて、県としても、再生可能エネルギーの導入促進などの取り組みを進めていく」と言われましたが、四国電力に対して、具体的な努力を求める以上、県としても「再生可能エネルギーの導入促進などの取り組み」をさらに進めていくべきではないかと思うところです。
本県の新エネルギービジョンの導入目標における新エネルギー電力自給率について、現状の13.8%を長期目標の30%にとどめることなく、45%まで高める計画に改訂し、達成できれば、水力発電とあわせた再生可能エネルギー発電電力自給率が100%になります。そのことを前倒しで達成する努力をしてこそ、四国電力に対して、胸張って、原発への依存度の低減に向けた具体的な努力を求めることができるのではないでしょうか。決意をお伺いします。
次に、原子力災害避難等実施計画の実効性について、お伺いします。
これまでに、四万十市や檮原町の原子力災害避難計画の策定に続いて、県は、伊方原発再稼働の直前に何とか間に合って、高知県原子力災害避難等実施計画を公表しました。
県は、最寄りの伊方発電所から最も近い県境で45キロにあり、国の定める重点区域の範囲外ではあるが、危機管理上の観点から、県や市町村、関係機関が迅速かつ的確な防護措置を実施することにより、原子力災害から県民の生命及び身体を守ることを目的としています。
計画の目的、ポイントには、「南海トラフ地震等の大規模複合災害の発生を前提としつつ、現在、本県で取り組みを進めている建物の耐震化や道路の防災対策、応急救助機関との連携といった南海トラフ地震対策を推進することで、本計画における避難対策等の実効性が向上するものと考えている」とありますが、一方、避難路の確保などにおいては、「南海トラフ地震の発生によって県内の道路が寸断されることが想定されているため、平成28年2月に、高知県道路啓開計画を策定して、優先して啓開すべき防災拠点と防災拠点に至るルート、啓開作業を行う建設業者や作業手順を事前に定め、早期の啓開を目指す」こととするなど、南海トラフ地震の被災状況などを鑑みれば、現時点では、どこまで実効性があるのかと問いたくなります。
避難計画の中で、最も懸念されるのは、複合災害の場合の被害想定であろうかと思います。今回の計画には、熊本地震を踏まえた第3期南海トラフ地震対策行動計画の見直しなどの影響は反映されているのか、お伺いします。
避難訓練は、あらゆる被害想定に基づいた訓練を行った上で、そこで明らかになった問題は、県民に明らかにすべきだと考えるが、どうかお聞きします。
とりわけ、屋内退避については、四万十市及び檮原町は、それぞれの計画の中で、屋内退避対象施設の耐震化を進めるとしていますが、現状で耐震性を確保できていない施設はどれだけあるのか、この項は、危機管理部長にお聞きします。
また、耐震性を確保できていない小学校などの休校校舎についても、確保するための改修工事をするのか、あわせてお伺いします。
最後に、現時点では十分な実効性が担保されず、これからも訓練を繰り返し、課題を解決しながら、より実効性を高めていかなければならないような原子力災害避難等実施計画の状況では、本来、伊方原発など原子力発電所の再稼働は認めるべきではなかったのではないか。また、避難計画がなければ動かせないような代物の原子力発電は廃止すべきであると考えますが、あわせてお聞きします。
次に、先ほど知事にお尋ねした基本姿勢のもとでお答えいただくことを期待いたしまして、南海トラフ地震対策の強化について、危機管理部長にお聞きします。
私は、8月2日に、熊本地震の被災地を短時間ではありましたが、訪ねる機会を得ました。それは、震度1以上の余震が2,000回を超えた日でもありましたが、数値的には1カ月ごとに発生回数が半減はしているようでした。
益城町での家屋の倒壊ぶりは報道などで見ていたとおりで、7月から半壊以上の家屋の解体撤去を始めていましたが、約3,000棟の撤去は、平成30年3月までかかるということで、復旧への大変な道のりを感じるとともに、改めて揺れ被害の大きさに、旧耐震基準家屋の耐震化の加速化を痛感させられました。
その深刻な被害をもたらした熊本地震を本県でも踏まえた上で、第3期南海トラフ地震対策行動計画の見直しを図られるという姿勢は評価するものですし、想定外を想定内にしていこうとする県の真摯な取り組みであると思います。
しかし、その中における今回の熊本地震を踏まえた第3期南海トラフ地震対策行動計画の見直しが必要な75項目に関して、影響を与える様相が「遅れる」または「3日遅れる」などとされており、影響の内容についても、「3日分不足」とか「3日分遅れる」とかなっていますが、L2地震の3日後にL1地震が起きたときに、なぜ「3日分の不足」とか「3日分の遅れ」でとどまる被害で済むと言えるのかと疑問を抱かざるを得ません。
そこでお尋ねしますが、影響を与える様相と影響の内容は、いかなる想定根拠に基づいて、提示されているのか、危機管理部長にお尋ねします。
次に、木造家屋耐震改修工事の完了検査など、耐震性確保の検証と改修工事の担い手養成について、土木部長にお聞きします。
熊本地震は、被害棟数が16万棟を超え、過去の大地震と比べて、新耐震基準導入以降の比較的新しい住宅被害も目立つなど、県民の耐震化に対する意識も変えさせるような影響があったと思います。
だからこそ、耐震診断の実施が加速化しているのだろうし、今後耐震改修工事も一層進むことを期待するものでありますが、その効果がいざというときに、発揮されることへの確証がなければならないと思います。
平成22年2月定例会で、改修後の検査や効果の検証について尋ねましたところ、当時の土木部長は「事業の完了検査は、市町村が、工事写真のほか、耐震診断士が確認した耐震診断結果などの添付が義務づけられた完了実績報告書に基づいて実施。また、工事中についても、必要に応じて、市町村担当職員が現場検査を実施。今後、さらに工事の適正化を図るため、耐震診断士による現場確認記録の義務づけや、市町村からの要望に応じて、現場検査に県職員が同行するなどの制度改正を行う予定」と答弁されたが、予定どおりに実施されているのか、お聞きします。
また、市町村からの県職員同行の要望などはどれだけあり、県は、その要望に応え切れているのか、お伺いします。
さらに、熊本地震の木造家屋の倒壊状況を見たとき、従前の耐震診断及び耐震改修工事で十分なのかどうか、お聞きします。
今後、耐震改修工事のニーズが、さらに高まっていくことを考えたとき、耐震改修工事に携わることができる事業者及び技術者の確保が必要と考えますが、本県における技術者の養成の現状と、今後措置されなければならないこととして、どのようなことが考えられるか、お尋ねします。
さらに、震災後の復旧・復興のことを考えたとき、木造建築の技術の継承が図られていなければならないことから、今後、木造建築に携わる事業者及び技術者そのものの養成が必要であることを指摘するとともに、養成に向けた取り組みを進めるよう要請させていただきたいと思います。
私は、今年の夏、地元の高知市立昭和小学校の先生方と東日本大震災のとき、避難所となった学校関係者や、復興に向けて小学校と連携されている東北大学災害科学国際研究所の先生方、保育園児を全員避難させた関係者の方を、仙台市、石巻市、名取市に訪ね、聞き取り調査をさせていただきました。
私たちは、その場で、お会いした先生方に無理をお願いして、いただいた昭和小学校の生徒たちへのビデオメッセージ内容は、場所も被災状況もそれぞれに違っているのに、ほとんど共通していました。
それは、「自分の命は自分で守ってください」ということです。加えて、そのために、「急いで高いところに避難できる体力をつけてください」「こんなとき、どうしたらよいか、自分で判断できる勉強をしてください」「人を助けてあげてください。人とのつながりを大事にしてください」。これは、生徒たちだけでなく、これから災害と向き合う私たち全ての高知県民に対するメッセージだと受けとめました。
だからこそ、「高知市防災意識調査」結果を知ったとき、私たちは、どんなことをしても、市民・県民の防災意識の啓発に取り組まなければと思ったところです。
そこで、高知市防災意識調査を踏まえた、長期浸水対策、及び、自主防災会活動や啓発活動について、お聞きします。
長期浸水が予想される高知市の4地区に対して実施された「高知市防災意識調査」結果で長期浸水想定を4割の住民が知らず、自主防災組織があると答えた人でも、42.3%が活動に参加したことがないと答えられています。
知事が提案説明でも触れられましたが、住民一人一人が確実に避難できることを保障するための「地域津波避難計画の見直し」「津波避難ビルに避難された方々の迅速な救助・救出態勢の検討」を進めていくということに、長期浸水予想地域の住民は多大な期待をしています。これができていないから、長期浸水予想地域内の自主防災会も長期浸水について、地域で住民と検討することに躊躇されている面もあるのではないかと思います。
この見直し・検討結果をできるだけ早期に出す必要があると考えますが、その決意を、この項は、知事にお聞かせいただきたいと思います。
自主防災会活動の活性化が求められている中で、第3期行動計画「震災に強い人づくり」の項の「見えてきた課題」で、「養成した防災士が地域で活動できる環境ができていない」とありますが、活動できる環境を求めて待っているとしたら、それは本末転倒で、防災士自らが環境を求める、または、つくる必要があるのではないかと思います。それは、自らが自主防災活動に参加することから始まりますし、それが居住区域になければ、防災士さんこそが、リーダシップをとって組織化すればいいのです。まずは、所属する単位防災会で、そして、地域の連携組織で、役割を担っていくことだと思います。
そこで、お聞きしますが、県及び市町村が養成した資格取得者が何人いて、そのうち居住地区での防災会役員を担っている方がどれだけいるのか、お聞きします。
啓発活動の一環を担っている『南海トラフ地震に備えちょき』のバージョンアップが図られようとしていますが、県民にとっては、一番身近で、活用されるべき防災啓発冊子だと言えるようなものとして、改訂していただきたいということをまずはお願いしておきたいと思います。
そこで、例えば、返信用アンケートはがきを挟み込んでおくなど、冊子の活用状況や今後への要望を把握できるような仕組みも検討していただきたいと思いますが、お聞きします。
この項の最後に、防災訓練への参加者拡大とシェイクアウト訓練について、お聞きします。
昨年の「地震・津波に対する県民意識調査」結果によれば、「地域や職場の防災訓練への参加状況」では「参加していない」が4割にも達しており、毎年、9月1日前後の日曜日に行われる「地域のみんなで自主防災訓練」も自主防災組織が中心に訓練を実施しているものの、県民全体への広がりに苦慮していることがうかがわれます。
そういう状況を打開するために、参加しやすい訓練で意識づけをするという方法として、シェイクアウト訓練の活用を考えていたところ、先ほど述べました8月31日に委員会調査で訪れた秋田市役所には、庁内のあちこちに、シェイクアウト訓練の呼びかけのポスターが張られていたことから、改めて、訓練への参加拡大の手法として触発されました。全国で、道県が主催しているのは10道県にとどまっていますが、市町村も含めると、今年は463万人が参加しています。シェイクアウト訓練は、地域や職場などで、同日・同時刻一斉に地震の際の安全確保行動「まず低く、頭を守り、動かない」をとるもので、どこにいても短時間で取り組める訓練です。
日ごろ、訓練への参加が困難な方に対して、自分の住まい、地域、学校、職場などの組織が訓練の場となり、非常時の対策の見直し、防災グッズの確認、けがを防ぐための身の回りの安全対策をとるように促すことにもつながるもので、効果的であることから、県民総訓練として取り組むことはできないか、お伺いします。
これまでにも自殺予防や子どもの貧困など、「生きやすさ、暮らしやすさ」への支援についてお尋ねしてきた経過はありますが、今回は、フードバンク事業と子ども食堂への支援について、地域福祉部長にお尋ねします。
このフードバンク事業の問題についても、平成24年2月定例会でも取り上げさせていただきましたが、その後解消されることのない食品ロスと生活困窮者支援の仕組みがつくられたことで、そのニーズはより高まっているのではないかと思われます。
多くの生活困窮者から、命を繋ぐ食べ物を求めて相談を受けられた福祉事務所や母子支援課、社会福祉協議会、女性、母子、高齢者、地域定着生活、若者サポートなど各相談支援センター、スクールソーシャルワーカー、民生委員の方々がフードバンク高知に支援を求めてやってくるそうです。3.11東日本大震災以降、今年の熊本地震でも、震災時におけるフードバンクの役割も非常に大きくなってきています。
さらに、子どもの貧困においては、子ども食堂への食料支援だけでなく、その背後にある貧困家庭に食料を届け、自立への支援を行うことで一人でも多くの子供に安全安心を届けられています。また、食品確保のためにフードドライブで家庭への呼びかけに協力する学校や職域なども広がりつつあります。食料を確保し、提供するというその対象が広がるほど、運営に必要なマンパワーと機能の継続性が求められてきます。
平成24年2月定例会でのフードバンク事業への支援に関する質問に対して、配布にかかるコストや大量に届く食品などの保管が負担となっていることやボランティアスタッフでの対応に限界があることから、その支援について検討するとされていましたが、どのような検討がなされてきたのか、お尋ねします。
そして、フードバンク事業を継続するには、スタッフや有償ボランティアも確保しながらの機能強化が必要だと考えますが、そのことへの支援こそが必要ではないかと思いますが、あわせてお伺いします。
次に、子ども食堂についてです。
全国的には、2012年ごろから、地域のおとなが貧困家庭や孤食の子どもに無料や安価で食事を提供し、安心して過ごせる場所として、子ども食堂という名前が使われ始め、本県でもひとり親や共働き家庭など、さまざまな事情を抱える子どもたちに低料金で食事を提供する子ども食堂や、それに類似する取り組みが広がり始めています。高知新聞社の調べでは、県内では、子ども食堂は2016年春以降、高知市や南国市など4市で6カ所が開設され、こうした呼び名が定着する前から続けている団体を含めると7カ所に上っているようです。
子ども食堂の広がりに関心が高まっていますが、県が実施したひとり親家庭実態調査でも、「子どもに関する悩み」の問いに対して「子どもの食事・栄養」は母子家庭で10.5%、父子家庭で15.8%となっているだけに、潜在的なニーズはさらに広範囲にあるのではないかと考えられますが、お尋ねします。
また、9月27日付けの高知新聞に、子ども食堂については、「児童家庭課は、居場所づくりの視点を重視して、県内で進んでいるとの認識を示し、支援を検討している」とありましたが、どのようなことが検討されているのか、お聞きします
その際の課題として、本当に困っている子どもや家庭にどうアプローチするか、頻度をどう上げるか、ということが認識されていなければならないと考えられますが、そういう認識に立っているのか、あわせてお聞きします。
さらに、子ども食堂の運営形態によっては、営業許可が必要となるようですが、そのことによって円滑な運営と展開の拡大の支障とならないような措置が講じられないか、この項は、健康政策部長にお尋ねします。
次に、住まいへの不安を抱えた県民のための居住確保の支援策について、土木部長にお尋ねします。
昨年9月定例会の高齢者の貧困の生活支援の質問で取り上げた、住まいへの不安解消の問題は、『下流老人』の著者、藤田孝典氏の近著『貧困世代』では、若者の問題であることにも及んでおり、住宅の貧困の問題、いわゆる「ハウジング・リスク」を抱えているのは、ほかにも世帯内単身者、母子世帯、不安定就労層と幅広く潜在的に存在していることが明らかになっています。また、日本居住福祉学会会長の早川和男さんによれば、「住まいの安定は、人間生存と福祉の基盤としての役割が極めて大きい」ということが明らかにされています。
そのことを考えたとき、住まいへの不安解消は、国土交通省と厚生労働省の壁を取り払い、憲法第25条の規定を受けて、「健康で文化的な最低限度の生活水準を維持するに足る住宅を供給する」目的の住宅確保策を自治体と一緒になって推進することこそが求められているのではないかとの考え方を述べさせていただいた上で、順次、質問させていただきます。
昨年9月定例会での質問に対して、四万十町で取り組まれようとしている、所得などの配慮を必要とする高齢者向け住まいの整備など「高齢者向け住まい確保対策推進モデル事業補助金」の有効活用を進められました。しかし、先ほど述べたように、この問題は高齢者だけの問題ではないことも明らかになっています。これも、昨年度実施のひとり親家庭実態調査では、母子世帯でマンションも含めた持ち家にお住まいの方は、24%にとどまっていることからも、住まいの不安を抱えた方は多いと思えます。
そこで、県内の「ハウジング・リスク」の実態を明らかにする必要があると思われますが、この項は地域福祉部長にお伺いします。
また、その結果を踏まえて、住宅確保要配慮者つまり低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子供を育成する家庭、その他住宅の確保に特に配慮を要する者への支援が本来の役割であるはずの本県居住支援協議会も、移住希望者への情報提供業務に傾斜することなく、ハウジング・リスクを抱えた県民への支援を行えないか、お尋ねします。
また、提案説明にもありましたが、移住希望者向けの住宅の確保のため、空き家を移住者用住宅として有効に活用できるかどうか、市町村が行う空き家の実態調査を支援し、利活用が可能な家屋の掘り起こしを行うとともに、移住希望者向けの住宅確保だけでなく、住まいへの不安を抱えた県民のための居住確保の支援策としても活用すべきではないかと考えますが、お尋ねします。
次に、新図書館の開館と現県立図書館の跡施設利用について、質問いたします。
当初予定から多少遅れてはいますが、オーテピア高知図書館の開館も2年後、2018年夏ごろに迫ってまいりました。新図書館は、「これからの高知を生きる人たちに、力と喜びをもたらす図書館」との理念のもと、「課題解決を支援する図書館」「情報提供機関として地域を支える図書館」「セーフティネットの役割を果たす図書館」「進化型図書館」「図書館利用に障害のある利用者に配慮した図書館」を目指す図書館像として、多様で充実したサービスが提供されることとなっています。
その際、基本構想・基本計画に加えて、昨年度からの「知の拠点としての新図書館サービス検討委員会」での「図書館サービス」「ビジネス・農業・産業支援サービス」「健康・安心・防災情報サービス」「中心市街地の活性化・周辺施設との連携」など4分科会の議論をもとに、さらなるサービスの拡充を図るため、策定中のサービス計画にもその内容が盛り込まれようとしています。
また、平日20時、祝日18時へ開館時間の延長、さらには7、8月限定ではあるものの土曜日も20時まで延長されようとしています。
これらの基本構想・基本計画に加えて、拡充されたサービスも履行し、延長される開館時間に対応できる職員体制の強化が図られるべきだと考えますが、必要な図書館司書の採用、養成など開館に間に合わせることも含めて、どのように考えられているのか、教育長にお尋ねします。
続いて、県立図書館の跡施設利用と公文書館のあり方について、総務部長にお聞きします。
平成26年9月定例会での私の公文書館のあり方についての質問に対して、知事は「保存環境のさらなる充実を図るとともに、歴史的価値のある公文書を、県民にこれまで以上に利用していただくためには、公文書館の設置が必要であると考えており、県立図書館の跡施設のメイン機能として、公文書館を設置してはどうかとの方向で検討を進めている」と答弁されましたが、検討の状況及び現時点の公文書館の役割と機能はどのようになっているか、お聞きします。
とりわけ、2年前に高知で開催された「シンポジウム 私たちの歴史を守るため―地域資料・公文書・個人記録の保存と継承―」以来、知事はこの間も東大、吉見教授と震災アーカイブなどについて意見交換をされているようですが、このような新たな機能も求められることを考えたとき、公文書館の機能と役割はますます重要になってくると思われます。
県立図書館の跡施設のメイン機能として、公文書館を考えておられるとしたとき、ほかの機能は、どのようなものを考えられているのか、お聞きします。
その際、これまでや今後の公文書館のあり方を考えた場合、公文書館に必要な面積はどのように考えているのか、あわせてお尋ねします。
次に、本県文化芸術振興と地域版アーツカウンシルについて、文化生活部長にお尋ねします。
まずアーツカウンシルとは、一般に、芸術文化に対する助成の審査・決定、助成された活動の評価などを行う専門家等による第三者機関のことを指し、欧米諸国や韓国などの各国に設置されており、その機能や組織体制は国によってさまざまですが、公的な助成の目的が達成されるよう、専門家による審査・評価・調査研究を行う組織という点で、おおむね共通していると言えます。
国が、昨年閣議決定した「文化芸術の振興に関する基本的な方針」の重点戦略の1番目に掲げる「文化芸術活動に対する効果的な支援」の一つであるアーツカウンシルの本格的導入は、文化芸術、町並みなどの地域資源を戦略的に活用した地域創生を企図しているのと、アーツカウンシルを設置することで、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおいて、アーツカウンシルの専門職員と地域の方々の二人三脚で、多種多様な文化プログラムの開催が可能になることを狙っているものです。基本方針には、「日本版アーツカウンシル」という言葉が掲載されていますが、日本版というより、本当は、地域、大きくは四国エリアをリードしていくための、地域版アーツカウンシルの設置が推奨されており、そのために「地域における文化施策推進体制の構築促進事業」が行われており、地域版アーツカウンシルの導入の支援がなされています。
そこでお聞きしますが、県文化芸術振興ビジョンの改定作業において、先ほど述べた国の基本的な方針に沿って、ビジョンの新たな方向性と具体的な施策を策定することとすれば、国の「文化芸術活動に対する効果的な支援」の一つとして、日本版アーツカウンシルの本格導入も着目されてしかるべきだと思います。
本県にも高知県文化財団という組織がありますが、現在の活動と職員の専門性は、国の言うアーツカウンシルとは違っているように思えますが、現在、改定作業中の本県の文化芸術振興ビジョンには、地域版アーツカウンシルの導入が盛り込まれるのかどうか、お尋ねします。
そして、「地域における文化施策推進体制の構築促進事業」に早急に応募して、国の支援を受けながら、いわば、地域文化専門職とでも呼べる人材を、高知版アーツカウンシルが起用し、取り組みを進めることなどが、文化芸術による地域の活性化を図り、四国を高知がリードしていくことにつながると考えますが、お尋ねします。
これまでに、私は、観光のバリアフリー化について取り上げてきて、今年度からユニバーサルツーリズムをテーマとした講演会が開催されるなど、取り組みがスタートした感があります。このこととも関連性もありますが、根底である、日常の県民の移動の権利を保障すべき公共交通のバリアフリー化の推進について、副知事にお尋ねします。
これまでにも、車椅子で移動されている方から、とさでん交通バスの利用の不便さをたびたび聞かされていましたが、とさでん交通の直近のバス路線の再編・ダイヤ改正が実施された10月1日当日、車椅子でのバス利用は予約が必要となっていることから、事前予約もしてあったのにその便に通過されてしまい、電話で問い合わせると、今日は車椅子対応のバスが手配できず、後の便に乗ることもできないと言われたそうです。
社内での連絡体制の悪さ、運転手の確認ミスで、その方は、朝8時台にヘルパーさんに玄関前の段差の移動を介助してもらい、10時台しかバスが手配できないというので長時間待った挙句に通過されて、その日1日出かけられず自宅にいなければならなかったそうです。こんなことが、繰り返されていていいのでしょうか。
そこで、このようなことを今後繰り返すことのないように、2014年9月定例会での私の質問を踏まえてお尋ねしますが、中央地域公共交通改善協議会において、公共交通機関の不便さ・不自由さを感じている利用者のニーズや意見のくみ上げは、どのように行われているのでしょうか。その現状と反映結果について、お聞きします。
なお、今のあまり機能しない、接遇センターではなく、利用者の意見を反映できる体制、さらには、ワンストップのわかりやすい、苦情解決相談窓口を設置・明示することが必要だと考えますが、あわせてお聞きします。
とさでん交通では、事業再生計画に沿った対応や路線の効率的な再編成などで職員の皆さんも繁忙を極めているとは思いますが、障害者、高齢者などへの配慮ある対応については、最優先すべきではないでしょうか。
そこで、中山間対策・運輸担当理事にお尋ねしますが、とさでん交通の障害者サポート研修の実施状況はどうなっているか。また、それ以外の公共交通事業者の社員に対する研修の実施状況について、あわせてお聞きします。
3年ほど前に、JR四国の特急列車で車椅子利用乗客がデッキで5時間も過ごさなければならなかったことが報道されて、私もその際に難病連の方とともに、JR四国に申し入れましたが、事業者任せでは限界があるのかとも思った次第です。
そこで、県内路線のバス車両及び鉄道車両のバリアフリー化の推進状況がどのようになっているのか、お伺いします。
今、安倍政権が働き方改革ということを、声高に叫び始めましたが、『働きすぎの時代』などの著作があり、過労死問題を研究されてきた森岡孝二・関西大学名誉教授は、「働き方の改革は、本来なら社会政策の一環。働く人の過労死や貧困や失業といったゆがみを是正するために社会保障などと一体で議論されるべきものです。だが、安倍政権では、こうした社会政策をずっと棚上げしてきた。今回の働き方改革も、社会政策としてではなく、経済政策の柱として議論しているに過ぎない」と指摘されています。
そんな長時間労働を巡る状況がある中で、県庁職員の時間外労働の解消について、副知事にお尋ねします。
平成25年及び26年2月定例会と続けて、県庁職員の時間外労働の解消について取り上げてまいりましたが、副知事自身が「時間外勤務については、2013年度から、私自身が先頭に立って、縮減に向けた取り組みを進めており、その趣旨は各所属にも一定浸透してきているものの、思うような結果までには至っていないことについて、私自身、大変残念に思っている。引き続き、管理職員に対し、私から、直接、業務の効率化やスクラップを促すなど、その取り組みの徹底を図っていきたいと考えている」と答弁されていました。
しかし、副知事が通知を出し始めた2012年以降も、職員一人当たりの年間時間外労働は増え続けており、尾ア知事が知事に就任した2007年以降一人当たりの年間時間外労働時間数は69.6時間から昨年の154.1時間と2.2倍となっており、また、目安時間と言われる年間360時間超過の時間外勤務者は、2012年度の217人を、2015年度は32人上回っています。
このような状況の中で、これまでのいわゆる時間外勤務の縮減に向けた副知事通知の効果はあったと言えるのか、お聞きします。
また、いかなる効果があったかはわりませんが、あったとしたら、その効果は何が原因だったと考えているのか、あわせてお聞きします。
さらに、今次「職員の創造性の発揮と業務の質の向上に向けた取り組みについて」の副知事通知が、職員の健康増進や時間外勤務の縮減につながることになると思っているのか、お聞きします。
昨年4月の県政運営指針では、「財政の安定性に配慮しつつマンパワーの維持を図る」として「知事部局3,300人体制を維持する」とされていますが、副知事が2年前に答弁してきた「さまざまな課題の解決に向けて、全庁一丸となって、真正面から取り組んでいる中、職員の忙しさが増している」という状況には変わりありません。そこには、仕事量の増大に見合った人員体制となっていないことが大きな背景として、横たわっているのではないかと思います。
先ほど、尾ア知事が就任してから、職員一人当たりの年間時間外労働時間数が2.2倍となっていることを指摘しましたが、3,300人体制にこだわり始めた2014年から、時間外労働時間数は横ばいになってはいますが、縮減にはつながっていないということを考えれば、一人当たりの仕事量を減らすための人的体制がない限り、縮減にはつながらないのではないかと考えられます。
基本的には、3,300人体制にこだわらず、仕事量に見合った増員を図ることと、当面の間、県職員定数条例の2条2項にある「職員の定数の外に置くことができる」職員を規定どおりに措置していくことについてお聞きします。そのことを行って、時間外勤務縮減への方向性を示してほしいということを求めまして、第1問とさせていただきます。
◎知事(尾ア正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。
まず、南海トラフ地震対策を何よりも優先する施策として取り組むことへの決意について、お尋ねがございました。
南海トラフ地震への事前の備えをしっかりと行い、地域の安全性を高め、一人でも多くの方の命を救うことは、県民の安心確保の前提として、非常に重要なことであり、県政の最重要課題であると認識しております。このため、東日本大震災の発災後、それまでの取り組みを抜本的に強化し、県独自の手厚い支援制度も創設し、対策の加速化を図ってまいりました。
これまでの取り組みにより、平成28年3月末で、避難路、避難場所1,361カ所、津波避難タワーは89基の整備が進んでおり、住宅の耐震化や津波からの早期避難の意識啓発等による取り組みによりまして、対策の効果として、当初の想定死者数4万2,000人は1万4,000人まで縮減できる見込みとなっています。しかしながら、いまだ1万4,000人もの想定死者数がおられるわけであり、全力でもって今後もこの南海トラフ地震対策を進めていかなくてはなりません。
他方、人口減少に伴う諸問題への対応も現在進行している、極めて重要な課題であります。このため、南海トラフ地震との闘いと、人口減少に伴う負のスパイラルとの闘いが、県政運営上の二大柱であると考えているところでございます。
この認識のもと、この2つの柱に対応するため、経済の活性化、日本一の健康長寿県づくり、インフラの充実と有効活用などの五つの基本政策と、中山間対策、少子化対策と女性の活躍の場の拡大との2つの横断的な政策について、強力に施策の展開を図っているところであります。
今後も引き続きPDCAサイクルをしっかりと働かせ、各種の施策をさらに展開発展させ、災害から命を守る高知県、そして、地域地域で若者が住み続けられる高知県を目指してまいりたいと考えております。
次に、公助での防災減災への備えと、県民から発信される災害対策への提言についてのお尋ねがございました。南海トラフ地震による被害を最小限にとどめるためには、自助共助の取り組みが重要であるとともに、県や市町村が行う公助の取り組みも当然のこととして重要であることは言うまでもありません。このため、県として、南海トラフ地震対策行動計画に住宅の耐震化の加速化や、避難所の運営体制の充実、事業所BCPの策定といった、自助共助への支援とともに、津波からの避難路、避難場所の整備、河川堤防の耐震化といったハード対策や、救助救出体制の整備、物資配送計画の検討といったソフト対策など、公助の取り組みについても考えられる対策は全て位置づけて取り組んでいるところであります。
今後も、県民の皆さまによる自助共助の取り組みに対して、市町村と連携を図りながら、積極的に支援するとともに、県民の生命、財産を守るため、引き続き公助として取り組むべき対策を全力で推進してまいりたいと考えています。
また、県民の皆様からの災害対策への御意見につきましては、これまでもできる限り生かすべく対応してきたところであります。私自身も、対話と実行座談会や対応と実行行脚を始め、地域に出向いて、その地域の実情と課題を直接お聞きしておりますし。さらに、平成26年度には、県内5カ所に南海トラフ地震対策推進地域本部を設置をし、防災の専任職員が日々の活動の中で、地域地域の皆様と、顔の見える関係も築きながら、地域から寄せられる課題や要望に対して、市町村と連携し、きめ細やかな対応をしているところであります。今後も、県民の皆様の御意見に対しては、謙虚に耳を傾けながら市町村と協働して、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
次に、東日本大震災での瓦れきの処理について、災害対策基本法で対応できたのではないかとのお尋ねがありました。
東日本大震災では、津波により流出した家屋や、自動車、船舶などの瓦れきが大量に発生したことが、迅速な救助や救出活動はもちろん、その後の復旧復興にも大きな支障となったと認識しています。被災市町村では、災害対策基本法に基づき、応急対策を実施する中で、撤去した瓦れきの所有者から損害賠償を請求されるといった事例や、瓦れきの保管場所の確保や運搬などに時間と手間がかかったといった、復旧復興段階の事例など、被災3県に関する課題も明らかになっています。ましてや、最悪で死者数約32万人、避難者数約950万人に上り、死者数では約16倍という、東日本大震災をはるかに上回る被害が想定される南海トラフ地震におきましては、より対応困難な事例が多数噴出する状況を想定しておかなければならないものと考えます。
したがいまして、現行の財産権等のあり方のままでは、迅速な応急救助活動に支障になることはないのか、しっかりと議論をしておく必要があるものと考えているところであります。
次に、東日本大震災で、燃料が供給されなかった避難所がどれだけあり、そのことが、震災関連死につながったと理解しているかとのお尋ねがありました。
東日本大震災において、燃料が供給されなかった避難所の数につきましては、調査が行われておらず把握できておりませんが、燃料不足が深刻な問題となっていることが報道によっても度々伝えられましたし、現地の関係者などからも同様に聞いております。また、震災関連死の原因について、調査分析した結果では、避難所等における生活の肉体・精神的疲労が約3割、避難所等への利用中の肉体・精神的疲労が約2割、病院の機能停止による初期治療の遅れなどが約2割などと分析されています。震災関連死の原因は多様だとは思われますけれども、寒さによるものとする報告事例もあり、燃料が供給されなかったことがその背景となったことも当然にあるものと考えられます。
私どもが、南海トラフ地震対策を考えるに当たっては、冬場、極寒の時期に地震が起こった場合でも、避難所において飢えや寒さにより、多くの関連死が発生することのないように、暖房への配慮や食料の配布が行われるようにしなければならないと考えるわけでございますが、そのためにも燃料の供給が地域地域で行われるよう検討することは当然だと考えております。かように、避難所への燃料供給は、災害対応として考慮すべき重大事だと考えるところであります。
次に、事前に法整備をして、その法律に基づいた備えや訓練をしておくことが効果的ではないかとのお尋ねがありました。
南海トラフ地震のような大規模災害への対応のための法整備を事前に行っておくことは大切であり、大いに検討すべきだと考えております。国は、東日本大震災における多くの課題と教訓を踏まえ、災害対策基本法の一部改正を3回行うなど、災害対策法制度等の見直しを進めてきました。本県としても、他県と連携して、南海トラフ地震対策特別措置法の制定などを政策提言し、訴えてきた内容が一定実現しております。
しかしながら、大規模災害が発生した緊急時には、憲法上の財産権、居住移転の自由といった私権を制限してでも、迅速な応急救助活動を行って生命の維持を図る必要がある、そのような事態も想定されます。こうした制限は、果たして法律で行うということでいいのか、また、法律が最後の根拠ということでいいのだろうかと考えているものでございます。そうした緊急事態であることを理由に、政府に過度な権限を付与することや過剰な私権の制限を認めることがあってはなりません。まして、大規模災害への対応のための制限が災害以外の目的に使われるといった権力の乱用は、絶対にあってはならないことは当然であります。憲法に比して、容易に改正できる法律を最終根拠とするのではなく、これを縛る規定を憲法に置くことが大事ではないか、政府が行使できる権限の範囲やその期間について、また、大規模災害時に及び得る人権制限の範囲を限定するためにも、憲法に限定的に規定しておくべきではないかと、そのように考えるものであります。
次に、今の自民党改憲草案第98条、99条に関してのお尋ねがありました。
自民党の憲法改正草案は、第98条で、内閣総理大臣による緊急事態の宣言の要件や手続きを規定するとともに、第99条では、その宣言の効果として、内閣が緊急政令を設定し、緊急の財政支出を行うことができることや、国民保護のための国等の指示に従う義務、衆議院の解散の制限や国会議員の任期及び選挙期日の特例を規定していると承知しております。私がこれまで申し上げてきたことを自民党の草案と照らし合わせてみた場合、国会議員の任期や選挙期日の特例、さらには緊急時に法律制定や補正予算の決定と同等の効果を有する権限を政府に付与するための根拠となる規定については、方向性は同じてあると思われます。一方で、大規模災害時に制限できる人権やその期間の制限を限定的に列挙して規定することについては、自民党の草案には見受けられません。他方、基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならないと定められており、人権の制限を限定するべきという点では同じであると認識しております。
いずれにしても、甚大な被害が想定される南海トラフ地震を避けることができない高知県の知事として、憲法における緊急事態条項については、国会において政党間で建設的に議論していただきたいと思っており、国民的な議論の高まりにも期待をしているところであります。
次に、新エネルギービジョンにおける新エネルギー電力自給率の長期目標を45%に高める改訂を行い、四国電力に原発依存度の低減に向けた努力を求める決意について、お尋ねがありました。
本県の強みである全国一の森林率や、トップクラスの日照時間など、全国でも優位な新エネルギー資源を生かし、新エネルギーの更なる導入を促進するために、新エネルギービジョンを今年3月に改定しました。この中で、平成26年度末における県内の新エネルギーによる電力自給率11.8%を、平成32年度に21.2%とする中期目標、平成37年度に30%とする長期目標をそれぞれ掲げております。
しかしながら、本県の送電網は脆弱であることから、新たに新エネルギーによる発電を行いたくても、送電網への接続はできないという問題が生じており、この問題を解決するためには、大きな費用負担を伴いますことから、新エネルギーの導入促進にとって大きな課題となっています。本ビジョンに掲げています、長期目標の30%を達成していくためには、この大きな課題が解消されることが必要となっておりますことから、この30%という目標自体が相当高い目標であると考えています。こうした送電網への接続にかかる課題は、本県だけでなく全国的なものであることから、これまでも全国知事会等とも連携して、国に対して地域の送電網を増強することなどを求めてきており、今後も、引き続き国に対して課題の解決に向けた取り組みを強く求めてまいります。
本県としましては、電力自給率の長期目標である30%を見据えて、まずは、平成32年度の中期目標である21.2%の達成に向けて取り組んでまいりますとともに、四国電力に対しましても、新エネルギー導入促進のための具体的な努力を求めてまいりたいと考えております。
次に、今回の、原子力災害避難等実施計画には、熊本地震を踏まえた第3期南海トラフ地震対策行動計画の見直しなどの影響が反映されているのかとのお尋ねがありました。
本年4月に発生した熊本地震では、極めて大きな揺れが繰り返すなど、東日本大震災では見られなかった事象が見受けられました。このため、繰り返す大きな揺れに対する建物の耐震対策や避難所運営、物資の配送といった熊本地震での課題を踏まえ、5月には、南海トラフ地震対策推進本部会議を開催し、第3期行動計画における課題の洗い出しを行い、その後、具体的な施策について検討を進めてきたところであります。
8月に策定した高知県原子力災害避難等実施計画、いわゆる避難計画には、こうした課題と検討を踏まえた上で、繰り返す大きな揺れへの対応として、住宅や避難所の耐震化を進めること、また、住宅での屋内避難が困難な場合には、近隣の避難所へ避難すること、さらには、道路の寸断への対応として、道路啓開計画を踏まえて複数の避難ルートを設定するとともに、孤立に備えてヘリコプター離着陸場を明示し、ヘリによる救助を行うことなど、複合災害を前提とした対応を既に書き込んでおります。
さらに、本年度中には、第3期行動計画の平成29年度版を取りまとめることとしておりますので、その内容も踏まえて、本避難計画の内容を改めて検証し、より実効性のある計画となるよう必要なバージョンアップを行ってまいりたいと考えておるところです。
次に、あらゆる被害想定に基づいた訓練を行った上での課題を明らかにされたいとのお尋ねがありました。
原子力災害避難等実施計画は、南海トラフ地震等の大規模災害の発生を前提として、道路啓開計画の成果を踏まえるなど、現時点でも相当実効性のあるものになっていると考えております。一方、これでよしとするのではなく、あくまでバージョン1との位置づけと考えております。今後、この計画をもとに、集落の孤立の発生や大雨時の対応など、さまざまな被害を想定した訓練を、四万十市や檮原町とも連携して実施をし、課題の洗い出しを行った上で、一つ一つ検証を行い、計画のバージョンアップを図ってまいりたいと考えています。
次に、実効性のある原子力災害避難等実施計画がまだ確立していない段階で、本来原子力発電の再稼働は認めるべきではなく、避難計画がなければ動かせない原子力発電は廃止すべきではないかとのお尋ねがありました。
原発の安全対策につきましては、新規制基準において、福島第一原発事故の教訓を踏まえ、有効な複数の対策を用意する、深層防護の考え方を基本として、最新の知見に基づき安全対策の基準が強化されております。避難計画につきましては、こうした安全対策を講じたとしても、安全に絶対はないことから、万が一の重大事故に備え、国の防災基本計画に基づき、原子力施設からおおむね30キロメートル以内の区域にある都道府県及び市町村が責務として策定することとなっております。本県においては、国が、原子力災害に備えた計画の策定を義務づけている原発から半径30キロメートルの重点区域には入っておりませんが、伊方発電所の再稼働を念頭に、危機管理上の観点から、万々が一の事故に備えて原子力災害避難等実施計画を策定いたしました。本計画は、あくまで、バージョン1ではありますが、南海トラフ地震による複合災害も想定した上で、道路啓開計画を踏まえて、複数の避難ルートを設定するなど、相当実効性のあるものになっていると考えております。
本県としましては、原発に依存しない社会を目指して、原発への依存度を徐々に減らしていくべきだと考えておりますが、伊方発電所の再稼働については、安全対策は万全であることを前提に、県民の生活や経済活動に不可欠な電力の安定供給を図る観点から、現時点ではやむを得ないと考えているものであります。
次に、高知市の地域津波避難計画の見直しや津波避難ビルに避難された方々の迅速な救助・救出の検討結果を早期に出す必要があることについてお尋ねがございました。
高知市の長期浸水区域には、約6万人もの方々が取り残されると想定されており、お話にあったこの地域への津波からの確実な避難と迅速な救助・救出も重要な課題となっており、現在、県と高知市が連携した取り組みを進めているところであります。
本年6月には、長期浸水区域にお住まいの方が、地震が発生した場合にいつどこに避難するのかなど、避難行動の傾向を把握するため、高知市において、アンケート調査を実施したところです。その調査結果をもとに、現在の状況で確実に避難ができるか、津波避難ビルで収容人数が足りているのかなどを検証するためのシミュレーションを今年度内に実施することとしています。
来年度には、このシミュレーション結果を踏まえ、要救助者をできるだけ減らすために、浸水区域外への避難を優先すべき地域の設定や、それぞれの地区で具体的にどの避難ビルに避難すべきかの検討、また、浸水区域内の避難ビルに避難された方々の迅速な救助・救出体制の構築を検討いたします。
平成30年度には、この地域の津波避難計画の見直しを行うとともに、救助・救出体制の検討結果をとりまとめ、アクションプランを策定することとしております。このアクションプランには、県や高知市、応急救助機関、それぞれの役割や、取り組みの期間と目標を明確に定め、この目標達成に向けて、関係機関と連携した進捗管理をしっかりと行っていきたいと考えているところであります。
私からは、以上でございます。
◎危機管理部長(酒井浩一君) まず、原子力災害時の避難に関して、四万十市及び檮原町の屋内退避対象施設で、耐震性を確保できてない施設がどれだけあるのか、また、耐震性を確保できてない休校校舎の工事をするのかとのお尋ねがありました。
本年6月に、原子力災害避難計画を策定した四万十市及び檮原町は、自宅における屋内退避を基本としつつ、さらに、学校などの公共施設を屋内退避対象施設として避難所に指定し、計画に明記しております。
まず、檮原町につきましては、指定されている避難所は3カ所であり、それら全てが耐震化されているとお聞きしております。一方、四万十市の西土佐地区に指定されている避難所は、14カ所であり、主に校舎と体育館を活用しています。そのうち、耐震化されていない校舎は4カ所あり、それらは全て休校校舎であるということです。それで、耐震化の予定はないとお聞きしております。なお、西土佐地区の全住民は、耐震化されている施設で収容できるとお聞きしております。
次に、南海トラフ地震対策の強化について、熊本地震を踏まえた第3期南海トラフ地震対策行動計画の見直しにおける、影響を与える予想と影響の内容の想定根拠についてお尋ねがございました。
熊本地震では、繰り返す大きな揺れにより、次々と被害が拡大していくという、今までの地震では見られなかった教訓が得られました。このため、第3期行動計画に位置づけた全ての対策につきまして、この教訓を踏まえた事前の備えとして、新たに追加すべき取り組みはないか、既存の取り組みを拡充または加速化させる必要はないかといった確認を行い、131項目の見直しを行いました。
さらに、地震後、再び大きな揺れが起こったときに、具体的にどのような対策をすればよいかといったことについても確認することにいたしました。3日目に、L1地震を発生させ、道路啓開などの対応が振り出しに戻り、再び同様の対策を繰り返すことや、3日分の備蓄を使い切ってしまった状態で、さらに、3日間支援物資の配送を待たなければならないという厳しいシナリオを描き、確認作業を行いました結果、見直しが必要な75項目が洗い出されました。お話にありました、対応が3日遅れることや、物資が3日分不足するということは、この確認作業を行う上で、テストケースとして設定した条件でございます。
次に、県及び市町村が養成した防災士の資格取得者が何人いて、そのうち地域の防災に関する会の役員になっている方についてのお尋ねがございました。
防災士は、平成15年度より始まったNPO法人日本防災士機構が認証する資格で、現在、全国に約11万5,000人の防災士がいらっしゃいます。本県におきましては、地域や事業所での防災活動の担い手となる人材を養成するために、平成25年度に、県と高知市が防災士養成の研修実施機関として認証を受け、これまで県外に行かなければ受講できなかった研修を県内でも受講することを可能とし、研修の機会を拡大いたしました。平成28年9月末現在、高知県全体で防災士の資格取得者は、2,278名。そのうち、高知県及び高知市が主催した養成講座において、それぞれ669名、473名が防災士になられております。
これらの防災士の方々が、地域の防災に関する会の役員になっているかどうかについての調査は行っておりませんが、平成27年度に防災活動の状況を把握するため、県の養成講座において資格を取得された防災士の方々を対象に、アンケート調査を実施いたしました。その結果では、8割以上の方が、それぞれの地域や職場において、日ごろの防災活動に携わっていただいており、防災士養成の狙いが一定形としてあらわれているのではないかと感じています。
また、活動を充実させるためには、地域や行政とのつながりを求める意見も多くあることから、今後、防災士の方々にさらに活躍いただくためには、行政の支援がまだまだ必要な状況ではないかと考えております。このため、まずは、防災士の方々が交流する場を設け、具体的にどういった支援が必要か直接御意見も伺ってみたいと考えております。
次に、『南海トラフ地震に備えちょき』の活用状況の把握について、お尋ねがございました。
現在、平成25年度に作成した『備えちょき』のバージョンアップを行っており、年内には全戸配布を開始する予定であります。今回の改定では、避難所の運営など、県民の皆様に担っていただきたい役割を理解していただくことや、事前の備えを充実するため、発災から復旧復興までの一連の流れをイメージしていただくことなど、新たな内容を盛り込むこととしております。特に、自助共助の行動を日ごろから取り組んででいただくためには、災害を自分事として捉えていただくことが大事だと考えていますので、家族の防災ルールを書き込むページや、お住まいの地区の各種のハザードマップをまとめておくページを設けるなどの工夫も行っていきたいと考えております。
今後、『備えちょき』をさらに利用しやすい冊子とするためにも、活用状況や御意見を把握し、紙面に反映させることが重要と考えております。このため、県民世論調査や平成30年度に実施する地震津波に関する県民意識調査において、活用状況を把握することを検討していきたいと考えております。
最後に、シェイクアウト訓練の取り組みについて、お尋ねがございました。
南海トラフ地震に備えた避難訓練は、市町村や自主防災組織を単位として、積極的に取り組んでいただいており、県としても、補助制度を設けて支援をしているところです。
また、県全体の取り組みといたしましては、毎年、8月30日から9月5日の高知県南海トラフ地震対策推進週間にあわせて、県内一斉避難訓練を市町村と連携して実施しています。この訓練は、県人口の1割に当たる、約7万人の参加者を目標として実施しており、一定の成果は上がっているため、今後も継続した実施が必要だと考えております。
一方、この訓練に加え、さらに、参加者を拡大していくことも必要ではないかと考えています。お話にありましたシェイクアウト訓練は、合図で、「姿勢を低く、頭を守り、動かない」という、スリー・ステップの安全を確保する行動をとるものであり、時間もかからない、簡易な訓練であることから、多くの方が参加しやすく、防災意識の向上が期待できることや、屋内、屋外の場所を問わず実施できるため、訓練の参加者を拡大するには、有効な訓練だと考えています。
一方で、スリー・ステップの行動の前に、必ず安全な場所を探し、安全な場所に移動するという行動をプラスするという必要も考えられますため、既に導入している都道府県の御意見もお伺いしながら、シェイクアウト訓練の実施に向けて、前向きに検討してまいりたいと考えております。
◎土木部長(福田敬大君) まず、耐震診断士によります現場確認記録の義務づけや、市町村からの要望に応じて現場検査に県職員が同行するなどの制度改正が予定どおりに実施されているのか、また、市町村の現場検査の県職員同行の要望などはどれだけあり、その要望に応え切れているのかとのお尋ねがございました。
住宅の耐震改修工事の質を確保するために、平成22年度に補助金交付要項を改正し、住宅所有者が選任した耐震診断士が現場確認等を行うことを補助要件としております。あわせて、耐震診断士登録制度要綱を改正し、現場確認等の具体的内容として、全ての補強箇所の写真撮影や現場確認記録の作成、工事完了後の補助要件への適合確認等を明記いたしました。これらの写真や確認書類が補助事業の実績報告書に添付され、完了検査時に適切な審査がなされております。
また、市町村が行う現場検査の県職員の同行につきましては、毎年度おおむね20件程度の要望がありますが、要望のあった全ての現場に同行して技術的な支援を行っており、市町村職員の技術力の向上につながっております。
今後も、これらの取り組みにより、引き続き、耐震改修工事の質の確保に努めてまいります。
次に、熊本地震の木造家屋の倒壊状況を見たとき、従前の耐震診断及び耐震改修工事で十分なのかとのお尋ねがございました。
熊本地震の倒壊状況等につきましては、国が設置いたしました熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会において分析がなされ、9月30日にその結果報告書が公表されたところです。この報告書によりますと、接合部等の仕様が明確化された現行耐震基準による木造建築物の倒壊率は低く、今回の地震に対する倒壊防止に有効であったと認められると報告されております。現在の耐震診断及び耐震改修工事はこの基準に沿ったものであることから、これまで実施してきた耐震改修工事も引き続き有効と考えております。
なお、熊本地震では、複数回の大きな揺れが発生いたしました。この対応として、最初の揺れによって少しでも被害が見られた場合は、安全性が確認されるまで自宅に戻らないことも重要であると考え、周知を図っているところです。
今後も、熊本地震の分析結果を踏まえた国の動向を、引き続き注視してまいります。
次に、耐震改修工事ができる事業者及び技術者の養成の現状と、今後措置されなければならないこととして、どのようなことが考えられるのかとのお尋ねがございました。
耐震改修工事に携わる技術者を確保するため、建築士を対象とした耐震診断士養成講習会を開催しております。また、耐震改修事業に携わる事業者の登録促進を目的とした説明会などを開催をしております。その結果、今年9月末の時点で、耐震診断士は平成25年度末からの2年半で約100人増の579人、登録設計事務所は約50件増の256件、登録工務店は約250件増の627件と、それぞれ増加しております。
これらの耐震診断士や登録事業者の技術力の向上を目的とし、低コスト工法を活用した模擬設計を行う実践的な講習会や、空き家を利用して模擬診断を行う講習会などを行ってまいりました。さらに、昨年度からは、耐震改修に必要な技術等をまとめて学べる耐震改修技術学校を開校しております。この中では、設計や施工の技術だけでなく、住宅所有者と信頼関係を築くためのコミュニケーション力やニーズにあわせたリフォームプランの提案力などの向上に役立つ講座を盛り込んでおります。
今後も、これらの取り組みを継続することにより、耐震改修に携わる技術者等の確保と技術力の向上に務め、さらなる住宅の耐震化の加速化を図ってまいります。
次に、高知県居住支援協議会においても、ハウジング・リスクを抱えた県民への支援を行えないのかとのお尋ねがございました。
高知県居住支援協議会は、高齢者や低額所得者などの住宅確保要配慮者や民間賃貸住宅オーナーへの情報提供等により、住宅確保要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居を促進させることを目的として、平成25年に設立されております。
この協議会の設置により、住宅確保要配慮者向けのリフォームを行うオーナーに対する国の補助事業が活用できるようになりました。この補助事業を利用したものも含めて、これまでに、住宅確保要配慮者向けの賃貸住宅約150戸が供給されております。これらの住宅やサービスつき高齢者向け住宅、再生した空き家などに関する情報については、協議会のホームページを通して提供をしております。
今後、住宅確保要配慮者の実態やニーズを踏まえて、福祉部局と連携し、これらの住宅に関する情報の充実や、入居の円滑に関わる協議、検討など、住宅確保要配慮者の居住支援に努めてまいります。
最後に、空き家対策を、住まいへの不安を抱えた県民のための居住確保の支援策としても確保すべきではないかとのお尋ねがございました。
県は、市町村が所有者から空き家を借り上げるなどし、公的住宅として再生・活用する費用の一部を補助する、空き家活用促進事業を平成26年度から実施しております。この事業を活用することで、良質で低廉な家賃の公的住宅を提供することなどが可能となり、移住希望者だけでなく、低所得者や子育て世帯などの住宅確保要配慮者に対する居住支援にも資するものとなっております。
今後は、市町村による空き家の実態調査を支援することにより、活用可能な空き家の掘り起こしを図るとともに、地域の実情に即した居住支援につながるよう、市町村に働きかけるなど、県民の皆様の住まいへの不安の解消に努めてまいります。
◎地域福祉部長(門田純一君) フードバンク事業への支援について、どのような検討がされてきたのか、また、フードバンク事業を継続するための支援についてのお尋ねがございました。関連をいたしますので、あわせてお答えをさせていただきます。
フードバンク事業は、各種の福祉制度の隙間を埋める重要な取り組みであり、モデル事業等ではなく、継続的なスキームで支援していくことが必要であることから、県から出資しております、高知県福祉活動支援基金を活用して、支援することが適当と考え、これまでもフードバンク事業を行っている団体へ、平成24年度から毎年度、食品保管用の倉庫の整備費や、食品輸送にかかる経費など、必要な経費について助成を行ってきたところです。
今後も、個別の団体の要望もお聞きしながら、活動に必要な経費について支援を続けていきたいと考えております。
また、県では、こうしたフードバンク事業を個別の団体に任せ切るのではなく、高知県社会福祉協議会や市町村社会福祉協議会を中心としたネットワークにより、生活困窮者支援のその他の取り組みとも連携しながら、個別の団体の負担を軽減しつつ、必要な方に安定して食品を届ける体制を構築することを目指し、取り組みを進めているところでございます。実際に、高知県社会福祉協議会と民間の団体とが共同して定期的にフードドライブ活動のイベントを実施するようになるなど、少しずつ多様な主体が関わる形でフードバンク事業が活発になっていくと考えております。
今後も、こうしたネットワークをさらに強化していくことにより、フードバンク事業が県全体として、さらに活発になるよう支援してまいりたいと考えております。
次に、子ども食堂に関します潜在的なニーズ、また、支援の検討内容、支援の際の課題に対する認識について、お尋ねがございました。関連をいたしますので、あわせてお答えをさせていただきます。
本県では、この春以降、安芸市や南国市を初めとして、子ども食堂の開設が広がってまいりました。その活動状況を見ますと、食事の提供を核として、厳しい環境にある子どもたちが家庭や学校以外で安心して過ごせる新たな居場所になるとともに、親同士の情報交換の場になるなど、食事への対応だけでなく、親にも安心感を与え、負担の軽減や孤立感、疎外感の解消、さらには、地域の見守りなどにつながる取り組みとなっております。
また、潜在的なニーズにつきましては、新たな開設が今後も計画されているなど、地域地域で開設の機運が高まってきておりますし、議員のお話にありました、ひとり親家庭実態調査を見ましても、食の面からのニーズもまだまだあるものと思われます。さらには、家庭、学校以外の居場所を求める子どもたちも多くいるのではないかと考えておりますことから、県として、子ども食堂の取り組みを広めていく必要があると認識をしております。
このため、それぞれの地域の実情に応じて、子どもたちの居場所づくりを持続可能なものとしていかに進めていくか、県としての支援のあり方とともに検討をしているところでございます。
具体的には、県内で子ども食堂を実施している方からお聞きしております、資金や人材の確保等における課題や、いただきました御意見なども踏まえまして、個々の取り組みに対する支援や実施団体同士で情報交換などができるネットワークづくり、子ども食堂をより拡充していくための広報面での支援などについて、検討してまいります。
その際には、議員のお話にありましたように、真に困っている子どもやその家庭を子ども食堂へ確実につなげる方法や、食事、栄養面の必要性も踏まえまして、いかに開催頻度を増やしていくべきかといった点につきましても、大変重要な視点、課題でございますので、しっかりと検討し、対策を考えてまいります。
最後に、住まいへの不安を抱えた県民のための居住確保の支援策に関しまして、県内のハウジング・リスクの実態を明らかにする必要があるのではないかとのお尋ねがございました。住まいの安定は、日常生活を維持していく上で重要であるとともに、雇用の基盤をつくることにもつながり、その不安をなくすことは貧困対策としても重要なことだと考えています。
そうしたことから、まず、実際にどのような方が、どの程度、住宅への不安を抱えているのか、実態を把握することは必要であると考えています。現在、各市町村社協では、生活困窮者自立相談支援事業を実施する中で、住民の方々からさまざまな相談を受けており、その中で、住宅への不安に対する声も一定把握をしております。しかしながら、ハウジング・リスクの実態調査の対象としましては、世帯内単身者や単身の女性、ひとり親世帯、障害者、さらには、多子世帯、児童養護施設の退所者など、さまざまな方々、世帯が想定されるところでございまして、まずは、どのような形で調査をすれば実態が把握できるのか、検討させていただきたいと考えております。
◎健康政策部長(山本治君) 子ども食堂への食品営業許可の取り扱いについて、お尋ねがありました。
子ども食堂は、子とせもの貧困と食の対応、居場所づくりなどを目的として、無償または低廉な価格で食事を提供されており、地域社会全体で子どもを支える意味で、大変意義深いものと考えています。しかしながら、子ども食堂の中には、営利性は低いものの、対象を不特定多数とするものや運営形態、運営施設の形態や目的にもさまざまなものがあり、食品衛生法上の許可の要・不要について、全国の自治体が苦慮しているところです。
県としては、福祉目的の事業の中で、実費以外の対価を徴収せず、かつ、食事の受給対象者を特定して行うものは、基本的には食品衛生法に基づく営業許可は不要と考えています。したがって、子どもたちに真に必要な事業が円滑に進んでいくよう、関係課と連携を図り、事業者に対して対象者を登録制にするなどの措置が講じられないかなど、助言してまいります。
なお、営業許可の要否にかかわらず、何よりも食の安全対策は大切ですので、施設や食品の取り扱いに関する衛生管理は確保していただけるよう、あわせて指導も行ってまいります。
◎教育長(田村壮児君) 新図書館の開館に向けて、拡充されたサービスや開館時間の延長に対応できる職員体制の強化についてのお尋ねがございました。
新図書館で実施するサービス等については、図書館専門家や関係機関の者で構成する、知の拠点としての新図書館サービス検討委員会などでの検討や、県と高知市による図書館サービス計画の策定作業を通じて、だんだんと具体的な内容が固まってきたところです。
また、新図書館は、中心市街地に立地する大規模な施設であり、少しでも多くの方に利用をしていただきたいことや、商店街が行うイベント等と連携協力することで中心市街地の活性化にも寄与したいことなどから、7、8月については、土曜日の開館時間についても延長する方向で考えているところです。
これまでも、基本構想や基本計画に示された地域を支える情報拠点などといった機能が果たされるよう、正職員の数を平成22年度の21名から26名にふやし、その中で司書の比率を高めるなど、体制の強化や専門性の向上等に取り組んできたところですが、具体的なサービス内容が固まってきたことを受けて、改めて、県・市で人員体制の検討をしているところです。新図書館における人員体制については、業務の外部委託や非常勤職員や臨時的任用職員の活用等も含め、県・市の職員を合わせたトータルで考える必要があります。その上で、必要であれば、県として司書等の採用についても検討していきたいと考えております。
このようなことについて、年内には、大枠を取りまとめる予定でございます。
また、新図書館では、課題解決支援サービスを初め、さまざまなサービスを関係機関等と連携協働しながら実施することとしており、司書には高い専門性が求められます。このため、これまでも、県外の先進図書館へ一定期間職員を派遣し、業務を経験させるなど、計画的に司書の資質向上に取り組んできましたが、平成30年夏ごろの開館を見据え、さらに研修等を充実してまいります。
◎総務部長(梶元伸君) まず、公文書館の検討の状況とその役割や機能について、お尋ねがございました。
県のさまざまな活動や歴史的事実の記録である公文書は、民主主義の根幹を支える県民共有の貴重な知的資源であり、これを適正に管理し、後世の県民に引き継いでいくことが県の重要な役割であると認識しておりまして、これを適切、確実に行うための重要な拠点として、公文書館を考えております。こうした重要な役割を担う施設としてふさわしい公文書館の機能につきまして、現在検討をしているところでございます。
具体的な機能といたしましては、歴史的公文書を選別して、適正に保存、管理を行い、県民の皆様にご利用いただけるよう、目録などの整備を行うという主要な機能に加え、市町村が適正に公文書管理を行うための研修会の開催や個別のケースに対する助言といった市町村支援機能などを想定しております。
また、現在、公文書館の設置を視野に、県行政の推移が跡づけられる多様な価値を有する重要な歴史的な公文書を適切に選別収集し、保存、管理していく仕組みづくりに取り組んでおります。
具体的には、歴史的公文書を県民の皆様に御利用いただくための準備として、選別基準の案による選別の試行や歴史的公文書となり得る永年、30年保存公文書目録の整備、劣化した文書の現状把握と保存箱の切りかえなど、国立公文書館の専門家などの御意見もいただきながら、取り組みを進めております。
引き続き、公文書館や歴史的公文書についての制度の整備に向けて、着実に準備を進めてまいります。
次に、現県立図書館の跡施設の利用において、公文書館以外のほかの機能はどのようなものを考え、その際、公文書館に必要な面積をどのように考えているのかとのお尋ねがございました。
現在の県立図書館は、周辺に高知城歴史博物館や新図書館、官公庁、県立大学永国寺キャンパスなどがあり、また、高知城や大手門に近く、多くの観光客が訪れる立地条件に恵まれた場所に位置しております。しかしながら、高知城の一部であって、文化財保護の観点から建てかえができないことや、第1種中高層住居専用地域にあることから、その使用用途に制約を受ける場所でもございます。
こうしたことから、現県立図書館の利用については、現在の施設や立地条件をできるだけ有効に生かしますよう、公文書館をメイン機能とする方向で最終的な調整を行っているところであり、本年度内には、全体像をお示ししたいと考えております。
また、公文書館に必要な面積につきましては、先ほど申し上げました公文書館の機能が十分に発揮できるような規模について検討をしているところであります。
具体的には、今後40年以上にわたって、歴史的公文書を保管できる収蔵スペースを初め、選別を行う作業室や県民の皆様に御利用いただくための閲覧室なども確保する方向で検討しているところであります。
◎文化生活部長(岡崎順子さん) 高知県文化芸術振興ビジョンにおける地域版アーツカウンシルの導入と国の助成事業の活用についてのお尋ねがございました。関連しますのであわせてお答えいたします。
文化芸術に関する専門性を持った人材を有し、文化活動に対する助成機能を持つことで効果的に文化芸術振興を図ることが期待できる専門機関、いわゆるアーツカウンシルにつきましては、これまで本県では、高知県文化財団が高知県芸術祭の開催や、文化活動を行う個人や団体に対する助成などを通じまして、一定その役割を担ってきたと考えております。現在、県では新たな文化芸術振興ビジョンの策定に向け、有識者による委員会を設けて検討を進めております。その中では、地域版アーツカウンシルに関わっている県外の専門アドバイザーとの意見交換も行い、委員の皆様からは文化芸術活動をさらに活性化するためには、コーディネートできる専門人材の育成・確保が必要であるとの御意見もいただいております。
今後、文化財団のアーツカウンシルとしての機能をさらに充実させることも視野に入れ、議論を深めてまいります。また、その際には、国の助成事業の活用もあわせて検討してまいります。
◎副知事(岩城孝章君) まず、公共交通のバリアフリー化の推進についての御質問にお答えをいたします。
中央地域公共交通改善協議会における利用者のニーズや意見の組み上げ方法と、反映結果についてお尋ねがございました。
中央地域公共交通改善協議会は、路線バスや路面電車の利便性、収益性の向上に向けた取り組みなどについて、利用者ニーズを踏まえた上でその改善を図ることを目的として、とさでん交通の設立に伴い設置したもので、会議は公開で開催しております。これまでに会社が実施したアンケートや、社長を先頭に社員が沿線地域に出向き住民の方々から直接お聞きした御意見などを踏まえながら、国や関係自治体、利用者代表、学識経験者等の委員の間で議論を深めてまいりました。その中で、バリアフリー化の観点では、御高齢の方や障害のある方に対する利便性向上の実現につなげてまいりました。
具体的には、昨年10月から電車、バスとも、毎月第3日曜日に65歳以上の御高齢の方の運賃が半額となる割引サービスが新たに開始をされました。また、これまでの身体に障害のある方や、知的障害のある方に加え、新たに精神に障害のある方の運賃が半額となる割引サービスも開始をされております。また、計画的に低床型バス車両の導入を進めていくに当たり、低床型バス車両の走行や車いすでの乗降が困難な道路や、停留所の箇所について、会社として改めて実態状況の把握を行い、順次、道路管理者との間で改善へ向けた協議を行うこととしております。
さらに、利用者のニーズや意見を反映させる仕組みといたしましては、これまでの会社に対する電話や電子メールに加え、改善協議会からの提案に基づき、本年11月から、電車やバスの中にアンケートはがきを置くことや、ホームページ上にアンケート専用のページを開設するなど、これまで以上に利用者の方々からの御意見を聞く仕組みを充実するとの発表が、先月末に会社からなされたところです。
県といたしましても、今後の利便性の向上などについて、県民の皆様からの御意見や御要望を踏まえ、改善協議会の場などにおいて、積極的な提案などを行い、さまざまな利用者の方々にとって使い勝手のよい公共交通を形づくることを目指してまいります。
次に、利用者の意見を反映できる体制、さらには、苦情解決相談窓口の設置について、お尋ねがございました。
これまでとさでん交通では、利用者からの御意見や苦情につきましては、電話や電子メール、各営業所の窓口などでお受けをし、内容に応じたお答えを行ってきたところですが、先ほど申し上げましたとおり、本年11月から電車やバスの車内にアンケートはがきを配置することや、ホームページ上にアンケート専用ページを開設することで、これまで以上に利用者の方々からの御意見を聞く仕組みを充実させようとしているところです。
また、御高齢の方や、障害のある方が地域で自立できる環境の整備に取り組んでおられるNPO法人と、障害のある方などへのよりよい対応の実現に向けた意見交換を始めることともお聞きをしております。
相談窓口の対応や明示という点につきましては、現在、電話での相談窓口はバスと電車それぞれに専用の電話番号を明示しておりますし、接遇に関する御意見や苦情については、接遇センターが一括して取りまとめ、全社で事例を共有して改善を図る仕組みを整えております。また、会社だけで解決が難しい内容につきましては、行政など関係者の間で共有をし、具体的な対応策を協議検討することも行われております。
一方で、苦情や相談の内容にかかわらず相談窓口を一元化し明示することは、利用者にとってわかりやすいというメリットがあると考えますので、県といたしましては、改善協議会の場などを通じて、提案を行ってまいりたいと考えております。
次に、時間外勤務の縮減に関し、これまでの副知事通知と、新たな副知事通知の効果についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
県政浮揚に向け、全庁を挙げて課題解決に取り組むためには、その原動力となる職員の能力が最大限に発揮されるよう、活力のある職場づくりと公務能率を向上させることが重要であり、そうした職場環境をつくっていくことは、私の重要な役割であると思っております。
そのため、平成24年4月に通知を発出し、管理職員がしっかりと組織をマネージメントして職員の健康管理に留意をしながら、仕事の仕方や仕組みを見直すなど業務運営の改善を行うよう徹底してきました。また、このことについて、平成24年度から全所属の管理職員を対象とした年度当初の服務説明会で、私の思いを伝えるとともに、平成25年度からは、新任の本庁の所属長に個別に話もしてきたところです。
この通知を発出して以降、知事部局全体の時間外勤務は残念ながら増加傾向にあるところですが、その原因を分析してみますと、平成26年8月の台風災害及びその後の対応や、喫緊の課題である産業振興、また、南海トラフ地震対策に取り組んだことなどによるものです。一方で、管理職員による指示の明確化や、事務処理、手順の見直しなどに取り組んだ所属では、時間外勤務は減少していることが明らかとなっております。
こうした状況を踏まえ、今年8月に発出した通知では、県政浮揚に向けたとり組みが進み、新たな事業への対応や業務内容が高度化する中、より実効性のある事業に職員の力を注力できるようPDCAサイクルによる既存事業の思い切った見直しや、外部委託の推進、組織定数の最適化に取り組むこととしております。あわせて管理職員の意識とマネージメントの一層の向上を図ることとしております。こうした取り組みを通じまして、より効率的、効果的に業務を進めることで、職員がこれまで以上に力を発揮できる職場づくりを進めるとともに、平成24年の通知にありますように、仕事と休みのめり張りを効かせながら、職員の心身のリフレッシュを促進していくことが、職員の健康増進やひいては時間外勤務の縮減につながるものと考えております。
最後に、仕事量に見合った増員と定数外職員の処置について、お尋ねがございました。
知事部局の職員数につきましては、近年では、平成6年の4,700人程度をピークに、厳しい財政状況などを踏まえ事務事業の見直しや、民間委託の推進などにより職員数のスリム化に努めてまいりました。その結果、昨年の職員数は3,300人程度となったところです。このような中、産業振興また南海トラフ地震対策など本県は多くの課題を抱えており、これらの課題を解決するには、官民協働、市町村政との連携・協調によりさまざまな取り組みを力強く進めていく必要があります。
このため職員数につきましては、これまで取り組んできたスリム化を進めながらの対応ではなく一定の体制を維持することとし、昨年4月にに策定した県政運営指針におきましては、平成31年度までの5年間は3,300人体制を継続することとしております。
一方、新たな事業への対応や緊急性、重要性の高い取り組みなど行政需要は引き続き増大することが見込まれることから、3,300人体制を維持することを基本としながら、業務のスクラップアンドビルドを進めた上で、財政負担を伴う民間委託を行うことなどにより、必要な分野に職員を重点配置することで対応していきたいと考えております。
また、定数条例上で定数の外に置くことができる職員につきましては、現在の職員定数は条例で定める定数を大幅に下回っておりますので、議員からお話のありました定数外職員の措置を行う状況にはないのではないかと考えております。ただ、なお、県政運営指針により3,300人体制の外に置くこととする職員の範囲につきましては、現在の取り扱いでは育児休業中の職員のみとしておりますが、なお、育児休業以外の職員の状況についても注視をしてまいりたいと考えております。
◎中山間対策・運営担当理事(樋口毅彦君) 公共交通のバリアフリー化の推進に関して、まず、公共交通事業者における障害者サポート研修などの実施状況などについて、お尋ねがございました。
とさでん交通におきましては、昨年3月に、運転業務などに携わるおよそ20名の社員が参加をして障害者サポート研修を実施されております。研修内容は、障害のある方などへの支援方法についての専門家による講義や実技訓練で、本年度も同様の研修の実施を予定しているとのことでございます。また、乗務員の接遇向上を図ることを目的といたしまして、今年の7月に新設した社内の接遇研修施設におきまして、社員が障害のある方などの乗客役に扮し、ロールプレイング形式での実践的な研修を毎週3回実施しており、向こう1年間で200名を超える全ての乗務員が受講するよう計画的に実施することとしているとお聞きしております。
とさでん交通以外の交通事業者につきましては、県内の路線バス事業者9社のうち7社がこれまでに障害のある方への対応などに関する何らかの研修を実施され、うち2社は毎年定期的に実施されております。また、JR四国では、御高齢の方や障害のある方を介助する技術を身につけたサービス介助士の資格取得に向けた研修を毎年実施しております。土佐くろしお鉄道におきましても、一昨年、昨年と外部講師を招いて、障害のある方の介助や誘導方法を身につけるための研修を実施しているとお聞きしております。
次に、県内路線のバス車両及び鉄道車両のバリアフリー化の推進状況について、お尋ねがありました。
県内の全ての路線バス事業者における低床型車両の導入率は、国の調査によりますと平成26年度末では22.7%となっておりまして、前年度と比較して2.7ポイント上昇しております。路線バスで、県内最大手のとさでん交通につきましては、統合前は厳しい経営状況から最小限の車両更新しかできず、平成25年度末には、統合前の3社合計で44両にとどまっておりましたが、本年6月末時点では52両まで増加しており、同社の一般路線バスの車両における低床型車両の割合は36.4%となっております。とさでん交通では、今後も年間5両を目標に低床型車両を導入していく計画であるとお聞きしております。
一方、鉄道車両における車いすへの対応状況については、まず、普通列車の車両につきましては、土佐くろしお鉄道では、中村宿毛線とごめん奈半利線で運行している19両全てが乗車可能となっており、JR四国では、県内で運行している66両のうち、30両およそ45%が乗車可能となっております。また、土讃線及び中村宿毛線を走行する特急車両につきましては、現状では限られた便しか車いすでの乗車に対応できておりませんが、平成32年度に全ての車両をバリアフリー化に対応した新型車両に更新することが計画されております。
公共交通のバリアフリー化につきましては、より多くの方々が利用しやすい公共交通の実現のためにも今後もしっかりと推進して行く必要があると考えておりますが、事業者にとりましては、必要性は十分に認識していても、多額の投資を伴う場合は早急な対応を取りづらいという実情もございます。県といたしましては、国の補助制度等も活用しながら事業者が行うバリアフリー化の取り組みに対しまして、積極的に協力や支援を行ってまいります。
◎30番(坂本茂雄君) ありがとうございました。順次、再質問をさせていただきたいと思います。
いまだ、公共交通のバリアフリーの問題ですけれども、ちょっと最後に言われた今のバリアフリー化の状況なんですけども、車両がそういうふうに徐々に改善されていったとしても、やはりそこに事業者側の利用者と向き合う目線がどういう目線なのかということで、やはりそこは変わってくると思うんですね。ですから、先ほど言われたように低床バスがこれだけ改善もされてきてるけれども、やはり先ほど言うたような事例が繰り返されていると。そこを、先ほど言われたような研修なども積み重ねていくということなんですけども、ぜひここはこういうことは、絶対起きないというのはひょっとあれなのかもしれませんけども、2度と起きないようにするだけの、いわば決意そういうものをぜひ事業者側に伝えていただきたいということを、副知事に、その決意をお願いしたいと思います。お聞かせいただきたいと思います。
それと、JRの関係ですけども、全てバリアフリー化、特急はバリアフリー化されるのが平成32年度。それまでは、まさに利用ができないというふうな状況があって、かつて、私どもが申し入れをしたときに順次四国の中には車両を入れていると。その車両を入れてるけども、土讃線は走らせませんということ言われたんですね。で、何でですかと、それは採算性の問題やと。採算性で切り捨てられるということがあって、ほんとに障害を持たれた方たちが納得すると思いますかというやりとりをしたことがあったんですけども、やはりそういうことのないようなことに対して、先ほどなかなか車両の更新ということに対してのいろんな補助制度というのはJRとかの場合は余りないようなんですけども、先ほど理事のほうから、県としてもできるだけの支援をしていきたいというお話でしたんで、そこをぜひ今後強めていただきたいというふうに思いますが、その点についてもお聞かせいただきたいと思います。
それと、公文書館の関係ですけれども、一つは、先ほど言われたその機能を必要とする面積は確保していくんだというふうなことを言われてました。一方で、そのメインの公文書館機能以外にも入ってくるわけで、そこがほんとに必要な機能がどういう機能なのか、公文書館の持つ機能がどういう機能なのかということをもっと県民が具体的に納得できるような形で示していただく必要があろうかと思います。
ただ、単なる行政文書を何十年保管するとかいうことじゃなくて、先ほど歴史的文書という言葉もありましたけども、ぜひ、これまで議会でも公文書館機能というのは充実を求める議論というのはされてきておりますので、そこのところについては精いっぱい確保していただけるようにお願いしておきたいというふうに思います。そういったことを担保できるのか、再度部長にお聞かせいただきたいと思います。
それと、図書館の関係ですが、教育長、年度内、年内って言いましたかね、年内。その体制を年内に示したとして、その体制に向けた採用なども含めて、養成期間も含めて再来年の夏に間に合うような形でいけるのかどうか、そこを十分に斟酌した上で体制を示そうとされているのか、その辺について、もう一度お聞かせいただきたいというふうに思います。
さらに、時間外解消の問題はぜひ副知事、これだけ何回かここで取り上げてきて、それがなかなか解消しないということもあるわけですので、本当に力を入れてやっていただきたい。ただ、心配するのは、そういった形でそれぞれの所属長に対していろいろお話する中で、いわゆる時間外労働が、言うたら、水面下に潜ってしまうことのないように、そこはきちんと対応していただきたい、そういうことをお願いしておきたいというふうに思います。
それと、知事にお伺いしますが、地震対策については、ぜひ、もうほんとに力を入れて今後もやっていただきたいと思いますし、県民の、先ほど言ったように、ほんとに地域でいろんな活動していると、いろんな新たな課題が見えてきます。で、それは、まさに県が考えていた命を守るそしてつなぐ、その課題の中でも、こんなことがあったのかというようなことも出てきます。で、それを、ぜひしっかり受けとめていただいて、具体化できるものについては具体化もしていただきたいというふうに思っております。そのことについても、地域からの要請との関係について、ぜひ決意もお聞かせいただきたいと思います。
それとフードバンクにつきましては、先ほど、子ども食堂の関係でいわゆる持続可能なとり組みの支援をしていくというふうなことを言われました。フードバンクについても、そういうふうな持続可能な取り組みの支援が、今までやっているような形の支援で果たしていいのかどうかということを視点に置いて、検討してもらいたいというふうに思います。例えば、いつまでもいろんな基金や補助金、基金頼みというか、そういうことだけでほんとに継続的な取り組みができるのか、そこのところについて、お聞かせいただきたいと思います。
もう時間がありませんので、2問目の最後に、知事、今日改めて、自民党の改憲草案の中で、この部分がどうだとかいうようなお考えを聞かせていただきました。私も、ちょっと異議のあるところもありますが、時間がもうありませんので、今後またそのことを踏ままえて、御議論をさせていただきたいというふうに思います。
以上で2問目とします。
◎副知事(岩城孝章君) 公共交通のバリアフリー化につきましては、会社側としてはいろいろ努力はしておりますものの、そうした議員のおっしゃられたような事例が起こったということは、ひょっとしたら利用者側の目線というのがまだ足りなかったかもしれないというようなことがございます。早速、会社側とも、いろいろこうした事例について話をさせていただいて、会社側のほうとしては、既にいろんな対応策、そうしたものを考えておるようですので、しっかり連携をとりながらやっていきたいというふうに思っております。
それと時間外勤務につきましてですが、言うと、24年の副知事通知はもちろんですが、それをしっかり、また今回新たに発出した通知についても、しっかりいろんな形で管理職とも協議しながら、職員の働きやすい環境、結果として時間外縮減につながるような取り組みしていきたいというふうに思っております。もちろん、サービス残業というようなことはないように気をつけていきたいというふうに思っております。
◎中山間対策・運営担当理事(樋口毅彦君) 特急車両のバリアフリー化に関してでございますが、JRは国の財政措置が新たに講じられましたので、計画的に更新がなされるものと考えております。あわせて、県としましては、土佐くろしお鉄道が保有する特急車両の更新の計画がございますので、計画どおり更新できますように取り組んでまいりたいと考えております。
それから、鉄道事業者への支援につきましては、これまでも普通車両への車いすスペースでありますとか、トイレの設置、これにつきましては、県単補助で対応してきたということもございます。
今後とも事業者の御意見をお聞きしながら対応してまいりたいと考えております。
◎総務部長(梶元伸君) 公文書館の必要な機能の確保についてのお尋ねがございました。公文書館の必要性についての御議論あるいは今の県立図書館の跡利用についてのこれまでの御議論を踏まえた上での検討となります。公文書館をメイン機能とするということをこれまで何度かお答えしておりますけれども、ということは、公文書館の必要な機能を確保するということを基本的な考えとして取り組むということでございますので、今の御指摘に沿った対応を検討してまいりたいと考えております。
◎教育長(田村壮児君) 新図書館の人員体制について、年内に枠を決めるということなんですけれども、平成30年の夏までに体制整備は間に合うのかというお尋ねでございますけれども、先ほどの答弁でもお話させていただいたように、これまでも一定のサービスを想定しまして人員体制の増加というようなことですとか、専門性の向上というようなことにも取り組んできておりますので、基本となる体制というのはこれまでに一定できてきてるんじゃないかなというふうに思っております。
今後、課題解決サービスなどをどこまでやるかというようなことに対応して、人的な配置も検討しなければならないということでございますが、スタートから100%で対応できるということにはならないかもしれませんけれども、年末から言いますと1年半の準備期間がございますので、その間に必要な人員の確保であるとか、専門性の向上、そういったことはしっかりとやっていきたいというふうに考えております。
◎県知事(尾ア正直君) 御指摘のとおりです。南海トラフ地震対策、ほんとに焦眉の急であります。もう最重要課題としてしっかり取り組んでいきたいと思います。23年3月11日に東日本大震災が発生してから、南海トラフ地震対策についてほんとにもう最大加速して取り組みを進めてまいりました。そして、対策を進めれば進めるほど、さまざまなやはり新たな課題というのが出てくると。実践的な課題、これを考察すればするほど、さらに考慮しないといけないことが出てくると、そういう経験をしてきたわけであります。それに伴って、南海トラフ地震対策行動計画の中の対処項目というのもどんどん増えてきてるわけでありますけれども、地域の皆様のお声というのはまさにそういう実践的な課題、これを踏まえてのお声ということになろうかと思います。しっかりと生かさせていただくように対応していきたいと、そのように思います。
◎地域福祉部長(門田純一君) フードバンクにつきまして、先ほど申し上げました福祉活動支援基金につきましては金額は限りはございますけれども、持続は可能な部分として支援をしてまいってきたところでございまして、続けて、それはしていきたいと考えておりますし、先ほど申し上げましたネットワークのこと、ネットワークを活発化させることによって、その当該、個別の団体に過剰な負担が行かないようなことも考えていきたいと思いますが、なお、当該団体の方ともお話をお聞きして、支援のあり方を検討していきたいと考えております。
◎30番(坂本茂雄君) どうもありがとうございました。ぜひ、よろしくお願いします。
最後に、アメリカのショアハム原子力発電所は、避難計画が大変実態にあってないということで、この避難計画では命を守れないということで、一度も動かすことなく原発を廃炉にしたという経過があります。それだけ避難計画は大事なものです。ぜひ、そういうことを受けとめて、よろしくお願いしたいと思います。