2015年03月定例会代表質問(3月3日)

33番(坂本茂雄君) 

 お許しをいただきましたので、県民クラブを代表いたしまして、順次質問をさせていただきます。


 まず、知事の政治姿勢についてお伺いします。

 これまでの代表質問で知事の続投に関する質問はなかったので、続投意思を前提に質問をするわけではありませんが、後ほど質問させていただく世論調査結果などを見るにつけ、県民に今まで以上の納得感を得ていただけるような政策の策定手続きと運営手法を講じる必要があるのではないかとの思いで、知事の今後の県政運営手法について、まず、お尋ねします。

 確かに、知事は対話と実行座談会や行脚を精力的に続けられております。しかし、そこには執行部や市町村主導の課題や地域や住民の選択基準が大きく作用しているのではないかというふうに思われますし、知事自らが足を運び、直接双方向の議論を重ねることには限界があると思われます。

 そこで、あらゆる施策のあり方や具体化の検討を行うに当たって、その過程において、検討会などに、専門分野の方に限らず、その施策やサービスを受けることとなる県民代表の委員を参加させて、審議を重ねることが重要ではないかと考えております。そのことが結局は、4年前にお尋ねして、知事も同調していただいた「県民の皆様が納得感を得られるように手を尽くすことは、大変重要なこと」ということにつながると考えるのですが、そのような検討委員会などの構成に腐心するつもりはないか、知事の考え方をお聞きします。

 次に、県が毎年実施しています、県民世論調査の平成26年度版と、高知新聞社が1月に実施した県政世論調査の結果において見られる、優先施策のあり方についてお尋ねします。

 まず、これらの結果において、県の実施した県民世論調査では、いわゆる優先課題と見て取れる「より一層力を入れて取り組むべきだと考える項目」は1位から順に、「経済の活性化」「教育の充実と子育て支援」「南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化」「少子化対策の抜本強化と女性の活躍の場の拡大」「中山間対策の充実・強化」となっていますが、高知新聞社の県政世論調査においては、「県政の優先課題」として選択された上位5項目は、「雇用対策」「保健・福祉・医療対策」「少子高齢化対策」「過疎・中山間対策」「防災対策」の順となっています。

 両調査の1位は「経済の活性化」と「雇用対策」であり、類似性はありますし、「南海トラフ地震対策の抜本強化・加速化」「少子化対策の抜本強化と女性の活躍の場の拡大」「中山間対策の充実・強化」なども順位に多少の違いはあるものの、大きくは違うものではないと思いますが、「教育の充実と子育て支援」の課題や「日本一の健康長寿県づくり」に違いの大きさが見て取れるように思います。

 そこで、これら両調査の優先施策の結果の違いをどのように受けとめられているか、お尋ねします。

 とりわけ、県民世論調査において、「より一層力を入れて取り組むべきだと考える項目」で「日本一の健康長寿県づくり」が連年で最下位という結果について、どのように考えられているか、お聞きします。

 なぜ、このようなことをお聞きするかと申しますと、高知新聞社の県政世論調査では、「評価できる点」として「医療や健康、福祉対策が進んだ」との回答は、4.8%と極めて低位にあるからこそ、優先的に取り組んでほしいとの回答が、35.3%と上位にありますが、これは、県として、県民のニーズを十分にとらえ切れていないのではないかとの思いがありますが、いかがでしょうか。

 また、本来であれば、この「日本一の健康長寿県づくり」こそ、満足度を高めなければならない課題だと思うのですが、あわせてお聞きします。

 次に、地方創生について、お聞きします。

 補正予算で、国の経済対策への対応として25.7億円の「地方創生先行型事業」関連予算で、地方版総合戦略の策定や同戦略に掲載予定の先行的な取り組みが図られようとしています。そして、全国の自治体も県版または市町村版の総合戦略づくりへと突き進もうとしている雰囲気は、「地方創生」熱にあおられているようにも感じます。

 石破地方創生大臣はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、1月22日「競争しろというのか、そのとおり。そうすると格差がつくではないか、当たり前だ」と述べ、各自治体に競争原理を導入することが地方活性化に不可欠だとして、結果として格差が生じることもやむを得ないとの認識を示されたとしています。そして、先日来高された麻生財務大臣が「地方創生は、地方が競争することを意味する」と講演の中で述べたことが報じられていました。

 いわゆる増田レポートの骨格である、選択と集中を踏襲した地方創生が、自治体間競争をあおり、人口減少対策としての移住政策も自治体間の人口獲得競争になるのではないかと思わざるを得ません。先日、『地方消滅の罠』の著者で、首都大学東京の山下祐介准教授のお話を聞く機会がありましたが、「競争が切磋琢磨で互いを高め合うものならばよい。だが勝った、負けたのつぶし合いでは、敗勢となった自治体からの人口逃散を誘発し、さらなる東京一極集中を加速させるだけだろう。競争は自治体になじまない」と言われています。

 そのようなことを考えると、今後、巨大災害、広域災害への備えとして、自治体間の広域連携支援の仕組みがあらかじめ構築されることは望ましいことなのですが、自治体間競争が激化し、それに巻き込まれたときに連携・協働の基礎となる、つながりが断ち切られることになるのではないか。そして、そのことで、南海トラフ地震の復旧・復興のとき、地方創生による自治体間競争が、災害時の復旧・復興力を空洞化させたと言われることになるのではないかということも、私は心配しています。

 知事は、提案説明の中で、「国の地方創生の動きを受け、今後、他県においても、地産外商や移住促進などの取り組みが活発化し、地域間での競争がさらに激しくなることが想定される中で、本県としても、この他県との競争に打ち勝つことができるよう、より実効性のある施策へと常に施策のバージョンアップを図りながら、官民が一体となって産業振興計画の取り組みをさらに加速していく」と述べられましたが、結果して、地方創生に名を借りた自治体間競争に巻き込まれることになるのではないかと懸念しますが、御所見をお聞きします。

 そんな危険性もはらんだ地方創生だからこそ、慎重に取り組むべきではないのかと考えます。

 昨年1229日の高知新聞「現論」で鳥取県知事を務められた元総務大臣の片山善博慶応大学教授は、「地方創生急がずに」と題して「地方創生を掲げる国は、相変わらず、頑張る自治体を応援するという。頑張った成果が、またぞろ施設整備と積み重なる借金ということでは、地方創生どころか事態はますます悪化し、消滅可能性自治体をふやすだけに終わる。やみくもに頑張るのではなく、地域の現在、将来にとって何が必要か。まずは、自治体が住民と一緒にじっくり考えることから始めなければならない」そして、国も「それをじっと待つだけの度量と忍耐力が必要」と指摘されていました。

 昨日の中西議員への答弁で、県版総合戦略の確定版を来年度半ばには策定すると言われましたが、そんな短期間でどれだけ県民の思いを反映した総合戦略ができるのだろうかと懸念します。そうでなくても、自治体間競争に巻き込まれがちな中で、単なる産業振興計画の焼き直しではなく、本当に高知県のあるべき自治の姿、県政浮揚の姿を描いたものを県民参加のもとにじっくり策定すべきではないのかと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。

 次に、これも安倍政権の成長戦略の一つでもありますが、女性の活躍についてお尋ねします。

 安倍政権のもとでは、世界で一番企業が活動しやすい国の労働力としての女性の活躍ということになろうと思われますので、私は、そうではなく、男女がともに安心して活躍できる職場や労働環境の改善があればこそとの思いで質問をさせていただきます。

 県の県民世論調査「少子化問題について」の項で「少子化対策について特に力を入れるべき施策」の上位は「若年層が結婚・子育てへと向かう所得面を含めた雇用環境の改善」「子育てや教育にかかる経済的な負担の軽減につながる支援策の充実」「出産しても働き続けられる就労環境の整備」の順番になっています。

 そこで、本県としては、女性の活躍の場の拡大として「女性就労支援事業」や「登用支援」などと並んで「働き続けられるための環境整備」を掲げていますが、少子化対策にもつなげながら女性が活躍できるためにも「働き続けられるための環境整備」に力を傾注していただくことを求めておきたいと思います。

 「働き続けられるための環境整備」の中で、次世代育成支援企業認証制度の普及を図るとしていますが、認証制度を普及させるためには、認証企業では、出産後も継続して就業する女性就労者が多いなど、その優位性を可視化することなども重要ではないかと思います。

 そこで、今後、認証制度の普及、認証の促進を図るために、どのようなことが考えられるか、商工労働部長にお聞きします。

 また、次期、次世代育成支援行動計画の策定に当たっては、結婚前後及び出産前後の継続就業者割合を指標として盛り込む必要があるのではないかと考えますが、地域福祉部長にお尋ねします。

 次に、知事として、県庁の次世代育成支援のための、特定事業主行動計画の実効性をどのようにして担保するつもりなのか、お尋ねしたいと思います。

 この計画の策定過程では、職員からの声も昨年実施した「県職員の子育て等に関する意識調査」で反映されているとは思うのですが、そこにある意見には、計画の実効性を担保する上で重要なポイントがあると思います。

 それは「職場に仕事と子育ての両立に関して理解があると思うか」の問いに対して「管理職の意識、職場に周りをサポートする余裕があるかどうかが大きく影響」「上司から心ない言葉をかけられている事例もある」という声や「人員増、適切な人員配置、代替職員の確保」「所属長の意識改革、全職員の理解」というものに代表されているように思います。

 5年前の前回調査との比較でも回答者中配偶者ありが8.5ポイント低い71.6%に低下し、女性は11.6ポイントも低下しているだけに、県庁内の次世代育成支援の環境は後退しているのではないかと思います。

 そこで、お聞きします。

 人員の確保については、現行行革プランの次期プランでも、3,300人の体制を維持するとしていますが、今のような恒常的な時間外超過勤務が強いられる状況では、特定事業主行動計画は、担保できないと考えますが、いかがでしょうか。

 また、次世代育成支援への取り組みを担保できるように、徹底して所属長の職場環境への配慮を意識づけること、そして、次世代育成支援への取り組みの担保に支障を来すような職員管理を行った所属長への指導が必要ではないかと考えますが、どうか、お尋ねします。

 次に、南海トラフ地震対策の加速化についてお伺いします。

 今年は、阪神・淡路大震災から20年、そして、まもなく東日本大震災から4年目を迎えようとする中、それぞれの教訓に学ぶことが多すぎるわけですが、学べることはとにかく先手を打っておくことが必要だと思います。

 そんな中で、県の南海トラフ地震対策は、守った命をどうつなぐかというステージに移ろうとしていますが、日々県民と向き合っていると、まだまだ命を守ることへの備えにさえ躊躇されている方もいらっしゃいます。

 津波浸水などから避難するために、まずは、揺れから命を守るための住宅の耐震化と家具転倒防止は必須のことでありますが、そこに至っていない状況もあります。

 私も機会あるごとに、木造住宅の耐震化の必要性については、繰り返しておりますが、高齢者の方ほど耐震化工事の費用のことがネックになるようです。しかし、そういった方の住宅ほど耐震性が十分でないことが見受けられており、一部屋耐震化などにも補助をしてもらいたいとの声が、高齢者の方を中心に寄せられます。

 県も、昨年来コスト面に考慮した耐震化促進策として、低コスト工法による耐震化工事も推奨されています。また、私はこれまで、住宅の部分的耐震化によって命だけでも守ることに検討の余地はないのかということも提起し続けてきました。しかし、昨年8月29日京都大学防災研究所公開講座が高知で開催された際にも提起された、間伐材を利用して壁柱を補強する一部屋耐震化の有用性についても、県はその検証を見守っている段階とのことでありました。

 そこで、とにかく木造住宅の耐震化について、高齢者や低所得者が工事費用が負担となって躊躇するのではなく、一歩前に踏み出し、耐震化の加速化に支障を来さないよう、現状の補助制度の改善や支援策を講じることができないか、土木部長にお聞きします。

 次に、マンションなど民間集合住宅の耐震性の確保についてお聞きします。

 木造戸建て住宅は、先ほど述べたような課題はあるにしましても、順次進んでいる現状にあります。しかし、多少老朽化した民間集合住宅も見受けられるにつけ、揺れに対して何らかの備えがされなければと思わざるを得ません。

 また、高知市内では、自然高台のない中心部におけるマンションを津波避難ビルとして指定されていますが、その指定に当たって津波浸水域内の町内間格差が生じています。地域によっては、例えば高さは満たしていても、1981年以前の建築年であったりすることから、指定されていないということがあります。

 しかし、要配慮者の避難場所確保に苦慮されている地域では、距離的、時間的に近い場所に指定津波避難ビルがなければ、旧耐震基準であろうが倒壊していなければ避難したいとの思いで、避難協力の要請を重ねています。

 そういった民間協力津波避難ビルを指定避難ビルにしていくためにも、耐震化工事がされることが、居住者にとっては「命を守る」ことになり、地域住民にとっては「守った命をつなぐ」ことにもなるのではないかと思われます。

 非木造の集合住宅の場合、耐震被覆工法など低コストの耐震化も可能になっている中、旧耐震基準のマンションなどは耐震化することによって、津波浸水域における津波避難ビルの確保につながるため、そのための支援の対象施設として耐震化につなげることができないか、土木部長にお伺いします。

 次に、避難空間の確保について、知事にお聞きします。

 来年度、津波などから「命を守る」対策の総仕上げの年度と位置づけて、津波避難施設の整備に、引き続き最優先で取り組むこととされていますが、各市町村の避難計画について各地域での現地点検を徹底し、津波避難計画や地区防災計画に基づく避難訓練を行うことなどを通じて、新たに避難空間の整備が必要となる場合も考えられます。それらに対する支援は、2015年度以降も継続されるべきだと考えますが、知事にお伺いします。

 さて、最初の知事の県政運営手法の項でもお聞きしたのですが、特に、南海トラフ地震対策の加速化については、さまざまな検討委員会でその具体化を検討されることが多くなってきています。

 それだけに、県としては「検討委員会で議論をしているから待っていただきたい」、一方、県民は「その検討経過が見えないから、何も対策が進まない」という受けとめの関係が、生じているように思えてなりません。

 例えば、一昨年の3月、県は「南海地震長期浸水対策検討会検討結果とりまとめ」を公表していましたが、そのボリュームの多さからも、ほとんど県民の目に触れることはありませんでした。私の住む長期浸水エリアの自主防災会の連絡組織である下知地区減災連絡会では、県と市の職員に出向いてもらって、この検討結果について報告をしてもらい、意見交換の場を設けたら、会場は満杯、資料は足りなくなるということがありました。

 そのようなことからも、検討中から県民参加のもとで行われていたら、より自らの対策・計画と言うことになるのではないかと、つくづく感じました。

 特に、南海トラフ地震対策は、自助・共助に頼らなければならない対策です。その意味からも、地震対策の検討については、可能な限り被災想定地区の県民の声を聞くという県民参加の形で、進めるべきではないかと思います。

 そこで、危機管理部長にお尋ねしますが、例えば、長期浸水対策については、県は高知市と連携して、南海トラフ地震長期浸水対策連絡会で、具体の議論をし始めていますが、長期浸水地域の自主防災会代表の意見をあらかじめ反映させるために、出席を求めるなどしてはどうでしょうか。また、同様の形で、高知県地震火災対策検討会や石油基地等地震・津波対策検討会にも参加を求める考えはないのかどうか、お尋ねします。

 次に、公契約条例の制定について、お尋ねします。

 この問題については、私はこの12年間の間に何度となく質問をし、尾ア知事になってからでも今回が3回目の質問となります。

 その間に、公契約を巡る状況も変化し、県内においては建設業界の談合事件で揺れ、そして、東日本大震災復旧・復興工事を巡る資材高騰や人材不足などの要因による入札不調・不落もあり、新図書館や高知城歴史博物館でも事業費の大幅な見直しがされました。

 しかし、その間も労務単価の改善が、建設労働者の所得として手元に届いているのか、ブラック企業のようなことが公契約の事業請負業者の中で横行していないのかということが、ずっと懸念されてきました。

 そのようなことを回避するためにも、全国で労働報酬下限額を定めた公契約条例の制定に踏み込む自治体が続いていることからも、情報収集・勉強の域を本県が脱し切れていないことに対して、一歩踏み出す決意を促したいとの思いで、質問をさせていただきます。

 昨年2月定例会において、「労務単価の改善が、賃金となって建設労働者の所得として手元に届いていることの検証」についての私の質問に対して、土木部長は「建設業者との意見交換会や聞き取り調査を行い、建設労働者の賃金実態の把握と検証に努める」と答弁されましたが、どのように検証し、どのような状況にあるか、土木部長にお尋ねします。

 続いて、アウトソーシングにおける適正な請負の確保や低入札価格への対応が現状でどうなっているか。また、予算見積もりの際に、人件費は、労務費単価一覧表で算出することとされていますが、落札業者の入札額の人件費算出について検証がされているか、総務部長にお尋ねします。

 昨年、全国で最初にこの条例を制定した千葉県野田市長なども迎えて開催された「公契約条例セミナー」に出席し、条例制定によって市民サービス向上や品質確保、地域経済の活性化、労働者の雇用の安定、賃金水準の確保などにつながっていることの報告や、「労働者のためだけでもなく、事業者のためでもある公契約条例。労働者も事業者もハッピーになることを目指そう」ということにも、随分と学ばされました。

 公契約条例の意義は、改めて申すまでもなく、ダンピング防止対策であり、公正競争の実現を目指し、官製ワーキングプアをなくすことによって、公共サービス基本法を踏まえた公共サービスの質を守ることであります。そして、公契約条例によって、賃金低下に歯どめをかけ、建設技能労働者が定着し、技能・技術を維持・向上していくことになり、事業者にとってもメリットがあることも理解され始めています。

 県には、県民の命と暮らしを守り、人間らしい生活を保障する責務があります。また、公共サービスは安全で安心なものでなくてはなりません。公共サービスが、安かろう、悪かろうであってはなりません。責任ある公共サービスの提供体制を県がつくることは、市民生活の安心・安全をつくり出すことにもなる。その意味でも、県民にも、行政にも、事業者にもメリットのある条例として、今こそ制定に向けた取り組みを始めるべきだと思います。

 そこで、これまで、他自治体の公契約条例について、県としてどのような情報収集、勉強を行ってきたのか、そして、現在の到達点について、会計管理者にお伺いします。

 高知市が、昨年9月議会で、高知市公共調達基本条例の一部を改正し、今年10月1日施行で、労働報酬下限額を定め、事業者に適正な支払いを義務づけることとなりましたが、このことをどう受けとめられているか、知事にお伺いします。

 この項の最後に、本県でも、公契約条例の制定に向けて着手するという決断ができないか、知事にお伺いします。

 次に、厳しい環境にある子供たち及び生きづらさへの支援について、お伺いします。

 来年度に向けた県政施策の重要なポイントの1つとして、厳しい環境の子供たちへの支援の充実を図ろうとする姿勢が見受けられます。

 子供の相対的貧困率が2012年調査で16.3%と調査開始以来最も高く、2010年の国際比較では、OECD34カ国中25位と極めて劣位にあり、1人親世帯では、調査結果のない韓国を除くとワースト1位となっている状況のもと、国が、昨年1月、子供の貧困対策推進法を施行し、子供の貧困対策に関する大綱を閣議決定する中で、県としても、子供たちをとりまく貧困などが世代を超えて連鎖することのないように施策を充実・強化されようとしています。

 問題は、これからは、それぞれの施策が、厳しい環境にある子供たちに、しっかりと届くのかが問われてこようと思います。

 そこで、子供貧困対策に関する大綱には、「子供の貧困率、生活保護世帯に属する子供の高等学校等進学率等子供の貧困に関する指標及び当該指標の改善に向けた施策」とありますが、県内では、子供の貧困に関する指標の現状がどのようになっているのか。また、貧困の連鎖を断ち切るための目標として、どこまで改善を図りたいと考えているのか、あわせて知事にお伺いします。

 来年度予算においては、高知県子供の貧困対策計画をつくってから、具体的な支援策を講じるというのではなく、まずは、拡充・支援策を取り組むということになっておりますが、本来は、骨子となる、高知県子供の貧困対策計画の策定が前提となるべきではないかと考えます。策定のめどはどのようになっているのか、知事にお伺いします。

 今回の関連事業の中で、スクールソーシャルワーカーの増員を図られようとしていますが、スクールソーシャルワーカーいわゆるSSWの果たす役割は、子供の厳しい環境と向き合うためには極めて重要な役割だと感じています。

 私は、先日、高知市のSSWの方のお話を聞かせていただきました。

 SSWは、子供と取り巻く環境の双方に働きかけ、子供を多面的に理解するために必要な情報を収集し、親とのかかわりが乏しい子供たちなどさまざまな事例と向き合い、寄り添いながら、支援を行っています。しかし、虐待やネグレクト支援の困難さや関係機関との協働の難しさや子供や家族への貧困に対する支援体制のあり方など、1人の子供と向き合ったときに関係する支援組織や機関の多さに驚かされました。

 その方が、整理していた連携諸機関としての、子供と家族のための社会資源は、児童相談所を初めとして、社会的養護、生活支援、障害・発達、民間・NPO、子育て支援、女性と子供、医療・保健、就労・自立、司法・警察、そして、もちろん教育ということで、その数は延べおよそ60機関・団体に及んでいました。

 そのようなことを考えたときに、マンパワーとしてのSSWの増員は当然ですが、その連携のあり方について、教育委員会だけでなく、あらゆる部局や市町村及びNPOなどとの連携が必要となる中、今後の連携のあり方で教育委員会がどのようにコーディネートしたり支援していくつもりがあるのか、教育長にお聞きします。

 次に、児童虐待の問題について、知事にお尋ねします。

 知事は、香南市の児童虐待死亡事例に関して、提案説明及び昨日の答弁の中でも「極めて痛ましく、児童のことを思うと、深い悲しみを覚えるとともに、大変残念で悔しい思いがする」と述べられ、平成20年に発生した児童虐待死亡事例にも言及し、「このような痛ましい事件に至ったことは痛恨の極み」と大変重く受けとめておられる心情を吐露されていました。これは、知事に限らず、かかわった職員を初め、関係者そして県民に共通するものだと思っています。

 県は、改めて、今回の香南市の児童虐待死亡事例に関して、高知市とともに検証委員会を設置し、5月末までに報告書をまとめるとしています。

 私は、今回の検証の項目などを報道や知事答弁で見る限り、両親への支援内容、施設からの自宅に戻した際の判断、市に担当を移した判断、県と市の連携のあり方などとなっていますが、あくまでも、虐待が起きた後の対応の検証にとどまっているのではないかと危惧しています。これまで、さまざまな形の児童虐待という事例に心を痛め、そのような事例を繰り返さないためにさまざまな関係者が御努力をされてきました。しかし、これまでは、虐待を起こさないための予防の視点での検証が欠けていた面があるのではないかと思ったりもしています。

 私も、親に寄り添う子育て支援による虐待予防を実現するために活動をされているNPOカンガルーの会での研修に参加させていただき、学ばせていただくことの多い中で、子育てなどに混乱した母親とどう寄り添い、指導ではなく支援をしていくのかということを考えさせられてきました。

 そして、それは、母親にそっと寄り添い、優しさ、暖かさ、熱意などで刻々と変化する状況にぴったりとあった共感的対応、連続した心の響き合いとも言える間主観的かかわりの中で、いつまでもとぎれない雰囲気に包み込むことが必要で、そういった支援のあり方が虐待の予防につながるのではないかと思っています。

 そこで、今回の事例の検証に当たっては、親の心の問題・内面に迫り、予防につながるような検証がなされることを求めたいと思うのですが、そのような視点を検証委員会の検証項目に加えることはできないでしょうか、知事にお尋ねします。

 また、先ほど述べたような支援が可能な人材として、研修などによって磨かれた間主観的感性や受容的心を身につけた助産師さんや看護師さん、保健師さんや保育士さんなどがいらっしゃいます。中央児童相談所の職員体制の充実も重要ですが、多忙を極める職員さんのみで、親の心の問題や内面に迫ることには困難さもあるでしょうから、理屈としてだけでなく感性としてわかっている現場の力を大切にしたり、外の力を借りるということも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 また、検証に当たっては、先ほど述べたような視点を検証委員会として共通認識のもとで進めるためにも、世界乳幼児精神保健連合副会長の渡辺久子先生など有識者の参考意見を聞くなどされてはどうかと考えますが、あわせて知事にお尋ねします。

 次に、ひきこもりへの支援についてお尋ねします。

 私も、当事者や家族の方たちとのつながりを持たせていただくようになってから8年がたちました。その間には、県のさまざまな支援施策もとられて、当事者の居場所や青年期の集いの場、家族サロンやひきこもり地域支援センターや研修の場など少しずつ充実されてきました。

 しかし、先日、地方開催では高知が初めてという「ひきこもりフューチャーセッション庵in高知」に参加して、当事者や家族の方のさまざまな御意見を聞く機会をいただきました。そこで、考えさせられたのは、ひきこもりの問題を長年取材されているジャーナリストの池上正樹さんが会場で述べられていた「当事者の中に起こっていることを知る。そのことを出せる場、受けとめる場はあるのか」ということに、今の支援のあり方はこたえ切れているのだろうかということでした。

 そして、その場で、来年度予算に向けて、高知の居場所の存続の危機感を当事者や親の皆さんが抱えていることを初め、求められている居場所として「段階によって必要な居場所は違うのではないか」「誰もが集まれる場で、親やスタッフの皆さんも、元気になれる場でないと意味がない。親が参加して疲れると子は大変な気持ちになる」などの視点にもこたえなければならない、高知の居場所もまだまだ途上であることを痛感させられました。

 居場所一つ取ってみても、さまざまな課題があり、そんな声を大事にしながら発展させていくことこそが求められている中、新年度予算には関連予算も継続して計上されましたが、県としては、当事者たちに存続の危機感ばかりを抱かせるのではなく、支援を切れ目なく続けていただくことを、まず、要請しておきたいと思います。

 現在、県では精神保健福祉センター内の、ひきこもり地域支援センターが、地域の第1次相談窓口としての機能を担うことや、関係機関からなる連絡会の開催による連携強化の要として役割を果たされていますが、高知市でも生活困窮者自立支援法に基づく、高知市生活支援相談センターが、ひきこもり相談の窓口となって、関連機関との連携を図り、相談者と一緒になって個別支援活動を行うこととなっています。

 今後は、この高知市生活支援相談センターと県のひきこもり地域支援センターや関係機関からなる連絡会が緊密な連携を図ることで、より緻密な支援・サポートにつながるのではないかと考えますが、そのような連携体制を築いていく考えはないか、地域福祉部長にお聞きします。

 次は、伊方原発再稼働・原子力災害対応についてです。

 先日、東京電力は、福島第一原発の汚染水が外海に流出し続けていたのを放置し、公表もしなかったということが明らかになりました。

 安倍首相は、2013年9月のIOC総会で、福島第一原発について、「アンダーコントロール」と明言し、汚染水漏れが続いていた201410月の参院本会議で、この発言の撤回を求められた際にも「全体として状況はコントロールされている」と繰り返しています。

 しかし、今回明らかになったのは、東電が漏出の兆候として201311月ごろ、排水溝を流れる水に含まれる放射性セシウムなどの濃度が高いことを規制委員会に報告し、昨年4月以降の測定で、法令で放出が認められている濃度基準を上回る数値であり、雨になると濃度が急上昇することも確認していました。しかし、先月24日に東電が高濃度汚染水の漏出のデータを報告するまで、規制委員会は明確に状況を把握できていなかったとのことです。

 このようなことからも、かねてから指摘されてきた原子力業界の隠蔽体質は、福島事故という大惨事を起こしながら、何ら変わることもなく、命や安全を軽視し続けていることは明らかです。

 これが、福島原発事故後、一向に進まない事故処理の現実なのです。

 次々とこういうことが明らかになる中、高知新聞社の県政世論調査では、伊方原発の再稼働について、いずれも「どちらかといえば」という選択肢も含めて聞いたところ、反対は62.2%、賛成は24.6%で、前回調査より賛成は3.7ポイント減少しているという県民の思いと、「原発をなくし、自然エネルギーを推進する高知県民連絡会」が昨年8月20日付けで提出した「伊方原発再稼働・原子力災害対策行動計画に関する公開質問状」に対する12月9日付けの県の回答を踏まえて、県の伊方原発再稼働・原子力災害対応姿勢について、お聞きします。

 知事は、伊方原発の安全確保については、「国からの直接の説明及びそれを受けた四電の対応」「地震に対する安全対策の確立」「異常が発生したときに通報連絡体制の確立」という3条件を満たしていることが必要であるとの考えに変わりはないと繰り返されていますが、これには法的拘束力はありません。

 また、愛媛県と四国電力の協定についても、法的拘束力はありませんが、県も回答書で述べているように「事実上、同意なしに再稼働はできない」という拘束力を持つものとなっています。

 だからこそ、「250キロ圏内にも被害が及ぶことを重く受けとめる必要がある」としているように、高知県民は、伊方原発で事故が起これば、多大な被害を被ることになることを踏まえるならば、本県も愛媛県並みの協定締結を四国電力に求めるべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いします。

 次に、高知県原子力災害対策行動計画は、回答書で述べているように、事故などの緊急時は年間20から100ミリシーベルト、事故後の復旧時には年間1から20ミリシーベルトとした国際放射線防護委員会(ICRP)の基準を前提として策定しています。

 計画は、ICRP基準に基づいて策定しているとのことですが、放射線被曝には、諸説ありますが、しきい値なし直線説をとるべきで、ICRP自体が原発推進の立場に立つ機関であることを踏まえるべきだと考えます。ICRPの年間1ミリシーベルトという基準自体が、「経済的及び社会的要因を考慮に入れて、被爆線量を合理的に達成できる限り低く保つ」として、1万人に1人のがん死を容認する年間1ミリシーベルトを推奨しているに過ぎないわけで、これが年間20ミリシーベルトとなると、この20倍のがん死を容認する値であり、放射線管理区域に働く人間に対する基準となります。

 そのようなことからも年1ミリシーベルト以下に抑えることを前提にした避難計画でなければならないと思いますが、知事の御所見をお伺いします。

 また、昨年の2月定例会で、知事は、私の質問に答えて「四国電力との勉強会での議論については、しかるべき時期に内容を取りまとめ、公表する」とされていましたが、一体しかるべき時期とはいつなのかと県民から疑問の声が上がっています。その都度、内容を取りまとめ、公表すべきだと考えますが、お聞きいたします。

 本県の南海トラフ地震対策推進本部アドバイザーも務めておられる河田恵昭先生らが、昨年3月31日、関西大学社会安全学研究紀要4号で、「南海トラフ巨大地震における中長期的な電力需給ギャップ推計方法の一試案」と題して、東日本大震災で火力発電所の津波被災を検証し、南海トラフ巨大地震の津波被災の想定を行い、その結果、「四国の火力発電所の全てが5カ月以上の間停止する」と発表されています。

 もし、伊方原発が稼働していた場合に、この地震で過酷事故を起こしたときに、原子炉を冷却するための自家発電機の対応が50%の確率で可能だとしても、その燃料は2週間しか持たないという中で、この長期広域停電がもたらす影響を想定した対策は考えられているのか、林業振興・環境部長にお尋ねします。

 さて、福島第一原発事故以来、災害大国・日本で、改めて、地震と原発の共存は不可能と言われてきました。1997年に、原発震災という言葉で警鐘を鳴らしてきた神戸大学名誉教授で中央防災会議専門委員、原子力安全委員会専門委員などを歴任された石橋克彦さんは、昨年発行の近著『南海トラフ巨大地震』では、「伊方も南海トラフ巨大地震の震源域の上にあると言ってよく、ここで原発を運転するのは無謀なことである」と述べ、「伊方原発3号機がもし重大事故を起こせば、四国・九州・中国地方のほとんど全域に放射能をまき散らし、南海トラフ巨大地震の災害を桁違いに悲惨なものにする。また、瀬戸内海も致命的に汚染する。絶対に再稼働するべきではない」と指摘しています。

 だからこそ、原発の再稼働はあってはならないし、再生可能エネルギー発電社会を早急に確立させなければなりません。それが実現するまでの間の代替発電システムとして、ガスコンバインドサイクル発電は、極めて有力であります。県の回答書には「今後の電力会社の設備投資については、国のエネルギー政策を踏まえた上で、経営面、環境面、需給状況、燃料の多様化などについて総合的に検討した上で、経営者として判断することが基本と考えます」とありますが、大株主としての高知県は、当面する代替エネルギーとして、ガスコンバインドサイクル発電にシフトすることを四電に求めるべきだと考えますが、林業振興・環境部長にお尋ねします。

 最後に、県産材利用促進に向けた行動計画について、林業振興・環境部長にお伺いします。

 県は、林業分野の産業成長戦略で、「成熟した森林資源をダイナミックに活用した所得の向上と雇用の創出」を図るため「原木生産の拡大」や「加工体制の強化」など6つの柱を軸に、さまざまな施策の展開を図られており、とりわけ今後は、加工体制が強化されることで原木生産の拡大にもつながるという施策の充実が図られようとしています。

 そのような中で、施策を展開する県の足下での森林資源の活用としての、県産材利用促進に向けた行動計画についてお尋ねします。

 現在の県産材利用促進に向けた行動計画は、今年度で終了し、次年度以降の行動計画も策定されています。県の資料によりますと、2013年度までの4年間の総括では、公共施設の木造化は県有施設で85%、木質化は91%、公共土木工事における工事費1億円当たりの県産材利用は県発注工事で58%、市町村発注工事で78%となっている一方、木材型枠使用率と木製資材の使用率は県発注工事が100%近くになっているにもかかわらず、市町村発注工事では50%程度にとどまっています。

 さらに、この計画に基づいた取り組みの成果としては、公共施設の木造化率の向上や森林整備の促進、環境への貢献などがありますが、「森のものの活用」の最たるものとしての、県産材利用促進への本気度がうかがえるのが、この行動計画の策定と進捗状況にあるのではないかと思います。

 そこで、県として、向こう5年間の新たな、県産材利用促進に向けた行動計画の策定に当たって、今年度までの取り組みをどう評価し、新たな計画の策定にどのような決意を込めたのか、お尋ねします。

 次に、新計画を策定する際に、現計画策定時と違うのは、本県がCLT工法の先進県になろうとしていることだと思います。CLT関連予算も補正も含めると約10億円が計上されておりますが、CLT関連産業の育成が、次年度以降の県産材利用促進に向けた行動計画の中にどれだけ盛り込まれているのか、お聞きします。

 さらに、先日、CLT建築の最先端地オーストリアの大学教授を招いたセミナーでは、2005年には5階建て、2012年には10階建てと高層建築物への利用も進んでいることが報告されています。今後のCLT工法のさらなる発展と生産量の増加などによって、公共施設の木造化はさらに進むことになると思うのですが、その及ぼす影響をどのように考えられているのか、お尋ねします。

 そして、まず、隗より始めるとした公共施設への利用促進などには、どのようなものがあるのか。例えば、現在建築中の新図書館や高知城歴史博物館などの床材として利用される予定などはあるのか、お聞きして、第一問とします。

◎知事(尾ア正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。まず、県のさまざまな検討会などに県民代表の委員を参加させて審議を重ねることが必要ではないか、そのような検討会などの構成に腐心をするつもりはないかとのお尋ねがありました。

 県政の運営にあたりましては、知事就任当初から一貫して申し上げてまいりましたとおり、対話と実行に基づく県政の実現を基本姿勢としているところであります。これまでも、テーマを決めて、県民の方の御意見を伺う、対話と実行座談会や1日かけて1市町村をじっくりお伺いをする対話と実行行脚などを通じて、多くの県民の皆様との直接対話を重ね、地域の課題をしっかりと把握した上で政策を練り上げていくよう努力するなど、県民参加による官民協働の県政運営に努めてまいりました。特に、対話と実行行脚では、これまでに30市町村にお伺いをし、現場で地域の生の声をお聞きすることにより、私自身、さまざまな気づきがあり、着実に課題解決のための施策につながっていると考えております。

 また、お話にありました検討会などにつきましても、例えば、産業振興計画フォローアップ委員会では、有識者の皆様に加え、市町村関係者や第一次産業、商工業、観光関係の団体の皆様など、実際に計画に取り組んでいただく皆様にも参画いただき、議論をいただいてるところであります。その他、高知男女協働参画プランの改訂などを審議する、高知男女協働参画会議のように、県民から公募委員として参画いただいている附属機関もございます。

 今後も、会の目的や役割に応じて、県民参加の方法を検討させていただきたいと考えております。引き続き、県民の皆様と正面から向き合い、県民の皆様の目線に立って、地域の声や県民の皆様の声にしっかりと耳を傾け、県政運営に取り組んでまいります。県民と対話する県庁づくり、私自身、このことを改めて肝に銘じ、また、あわせまして、現在、県政運営の指針となるプランを策定中であり、その中におきましても、県民と対話する県庁づくりを基本姿勢の1つとして位置づけ、職員にも徹底してまいりたいと考えているところであります。

 次に、県が実施した県民世論調査と高知新聞社の世論調査における優先施策の違いをどのように考えるか、また、県民世論調査において、より一層力を入れて取り組むべき施策で、日本一の健康長寿県づくりが連年で最下位ということについて、どのように考えるかとのお尋ねがございました。あわせてお答えをいたします。

 県の調査では、より一層力を入れて取り組むべきだと考える政策として、5つの基本政策と基本政策に横断的に関わる2つの施策、合計7つの施策についてお伺いをしております。高知新聞社の調査では、15の選択肢を選定し、最も優先すべき県政課題を質問しております。それぞれ選択肢が異なっておりますことから、単純に比較はできませんけれども、高知新聞社の調査で高い割合を示しております保健、福祉、医療対策と、少子高齢化対策につきましても、県の調査の、教育の充実と子育て支援や少子化対策の抜本強化と、女性の活躍の場の拡大、日本一の健康長寿県づくりなど、保健、福祉、医療等に関係する項目を合計いたしますと、高知新聞社の調査と同様高い割合となります。

 こうしたことから、議員から御指摘がありましたことについては、県民世論調査における日本一の健康長寿県づくりが連年で最下位という結果にはなっているものの、県民の保健、福祉、医療分野への関心が、決して低いわけではないものと考えているところであります。

 他方、県の調査では、教育の充実と子育て支援は、約35%となっているのに対して、高知新聞社の調査では、少子高齢化対策が約30%となっており、この中には、子育て支援を想定された方もいらっしゃるでありましょうけれども、教育改革が約8%となるなど、傾向が異なっているとみられるものも見受けられますが、これは、両調査の設問の選択肢が異なっていることによるものだと考えています。

 いずれにいたしましても、両調査ともに、県が3,000人、高知新聞社が2,000人を対象にした無作為抽出に基づく世論調査でありまして、その結果をそれぞれ率直に受けとめる必要があると考えております。日本一の健康長寿県づくりも、教育改革も、県政にとって重要な課題でございますので、しっかりと取り組んでまいりたいと考えておるところであります。

 次に、高知新聞社の世論調査における、医療や健康、福祉対策に関する調査結果について、お尋ねがありました。保健、医療、福祉の分野では、日本一の健康長寿県構想において、さまざまな課題と、県民のニーズを把握をし、目指すべき姿を明らかにしながら、課題解決に取り組んでまいりました結果、乳幼児健診やがん健診の受診率は向上し、医師不足には改善の兆しが見られ、また、あったかふれあいセンターなど支え合いの拠点の整備が進むなど、一定の成果もあらわれています。

 しかしながら、構想に掲げる目指す姿にはまだ道半ばであり、多くの方に成果を実感していただけるまでには至っていないことから、高知新聞社の世論調査において、「医療や健康、福祉対策が進んだ」を選択した方が少なかったということではないかと考えております。

 この日本一の健康長寿県構想では、PDCAサイクルによる進捗管理を通じて成果を確認するとともに、構想の土台となるそれぞれの計画にかかる審議会や協議会の場などを通じて、多くの関係者から御意見もお聞きした上で、もう一段、しっかりと取り組みを強化するため、先月、第2期構想をバージョン4へと改定をいたしました。改定のポイントとしましては、県民の皆様のニーズの高い健康、教育やがん対策、血管病対策などの日々の健康づくりの推進、在宅療養ができる環境整備や、医療、介護、福祉、住まいの整備などによる包括的なネットワークづくりの推進、待ったなしの少子化対策などを強化することとしており、これらの目指す姿の実現に向けて、今後とも全力で取り組んでまいります。

 次に、地方創生に名を借りた自治体間競争に巻き込まれるのではないかとのお尋ねがございました。

 従前から申し上げておりますとおり、今回の地方創生につきましては、少子化、人口減少、地域の活性化の3つを歴代初めて三位一体の問題としてとらえて、構造的な問題に正面から取り組もうとされており、大いに期待をしておりますし、おそらく全国の自治体も同じ思いだと受けとめております。

 また、地方の自主性を重んじて支援しようとする交付金や、全国移住促進センターの創設、小さな拠点の取り組みへの支援など、本県の政策提言が国の施策に数多く取り入れられているところであります。

 ただ、これは、裏を返せば、例えば、本県が行っている移住促進の取り組みをより地理的に有利な自治体も同様に実施し始めることとなりかねないとも、とらえられるところであります。こうしたことから、好むと好まざるにかかわらず、さまざまな分野で、全国の自治体間での競争がさらに激しくなると想定しており、したがって、常に、施策のバージョンアップを図りながら、官民が一体となって産業振興計画の取り組みをさらに加速してまいりたいと申し上げたところであります。

 これまで、本県が抱える困難な課題に、真正面から取り組んできたがゆえに、先行県としての優位性がある分野もあり、こうした分野では、その優位性を生かしていきたいと考えておりますし、あわせて、他県の先行する良い事例も参考にさせていただきたいと考えております。

 このように、健全な意味での自治体の創意工夫の競い合いが行われますことで、地方の活性化にもつながっていくのではないかと考えております。この地方創生という風を生かし、産業振興計画などをさらに加速し、県勢浮揚につなげてまいりたいと考えているところでございます。

 次に、県版総合戦略は、単なる産業振興計画の焼き直しではなく、県民参加のもとに、じっくり策定すべきではないかとのお尋ねがございました。

 本県におきましては、いわゆる人口減少の負の連鎖を断ち切るため、経済の活性化を初めとする5つの基本政策と、基本政策に横断的に関わる政策に積極的に取り組んでまいりました。とりわけ、経済の活性化に関しては、多くの県民の皆様にかかわっていただき策定した産業振興計画の取り組みを通じ、本県経済の根本的な課題に真正面から向き合い、県勢浮揚に努めてまいりました。

 また、集落活動センターの普及拡大を初めとする、中山間対策、あったかふれあいセンターに代表される高知型福祉の取り組み、さらには、出会い・結婚・子育て応援コーナーの開設など、少子化対策の抜本強化などにも積極的に取り組んできたところでございます。

 こうした計画や施策群の作成に当たりましては、多くの県民の御意見をお伺いしてまいったところであります。例えば、産業振興計画については、その当初の策定に当たり、じっくり時間をかけて、延べ1,500人を越える各産業分野の皆様や各地域の住民の皆様に御参画をいただきました。また、計画を策定した平成21年度から現在に至るまで、毎年度、フォローアップ委員会、各産業分野の専門部会や連携テーマ部会、県内7つの地域ごとに開催する地域アクションプランフォローアップ会議、これらを開催し、近年は、移住推進協議会、新エネルギー導入促進協議会を加えまして、延べ250名を越える委員の皆様に、進捗確認やバージョンアップについて御議論いただいてきているところでございます。日本一の健康長寿県構想につきましても、そのもととなる、それぞれの計画について、延べ800人を越える関係団体や県民の皆様に委員として御参画をいただき、御議論をいただいております。

 また、対話と実行座談会では、平成24年度以降の産業振興計画をテーマとした座談会だけでも、48名の県民の皆様に御参加いただき、傍聴された方を含めますと、約500人になるなど、先ほど申し上げましたとおり、広く県民の皆様の御意見をお聞きし、施策に反映をしてきているところであります。

 今議会には、こうした多くの県民の皆様から知恵を賜りながらバージョンアップした産業振興計画など、地方創生に関係する施策を実施するための予算も提案させていただいているところであります。これらの施策が、本県の総合戦略におおむね当たるものだと考えているところであります。

 次に、特定事業主行動計画の実行性の担保と、次世代育成支援の取り組みに関する所属長への意識づけと指導について、お尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。

 次代を担う子供たちが健やかに生まれ、育てられる環境を整備していくことは、日本全体の課題であり、すべての世代が協力し、子育てをともに支え合う社会を築いていかなければなりません。このため、現在策定中の高知県特定事業主行動計画では、高知県職員であると同時に、父親や母親という立場にもある職員が、全力で公務に当たりながら、しっかりと大切な子供たちを育てることができる環境を事業主である県と職員が一体となって整備していきたいと考えております。

 課題解決先進県を目指して、県庁が率先して汗をかかなければならない状況にある中で、県庁全体の県民サービスの質と量を確保しながら、子育て世代の職員が安心して子供を産み育てられるようにすることが重要であります。

 このため、職場の中でのバックアップ体制の構築など、育児休業等を取得しやすい環境づくりに努めるとともに、全庁を挙げて時間外勤務の縮減に向けた業務の効率化や、計画的な休暇の取得に取り込むなど、メリハリを利かせて仕事を進めることで、この計画を実行あるものにしていきたいと考えております。

 また、そのためには、所属長が次世代育成支援の意識を持って、しっかりと職場をマネージメントしていくことが重要であり、このことについては、これまでも一定取り組んでまいっております。具体的には、年度の当初にすべての所属長を対象に、次世代育成支援の取り組みを徹底をする。子供が生まれた、または、生まれる男性職員に対し、所属長自らが、子育てに関する休業制度などについて説明をするとともに、職員の意向に応じて必要な措置を講ずる。妊娠した女性職員に対し、所属長自らが、母性保護や育児休業等に関する制度を説明するとともに、職員の意向に応じて必要な措置を講ずるといった取り組みを実施しております。

 今後も、こうした取り組みを徹底するとともに、状況に応じた指導をするなど、所属長の意識をさらに高め、子育て世代の職員を職場全体で支援するよう努めていきたいと考えているところであります。

 次に、南海トラフ地震対策の加速化に関して、新たに避難空間の整備が必要となった場合の支援について、お尋ねがございました。

 津波から命を守る対策の根幹となります避難路、避難場所、津波避難タワーなどの津波避難空間の整備につきましては、市町村の実質的な財政負担をゼロとする津波避難対策等加速化臨時交付金制度を設け、整備を加速化してまいりました。現在、沿岸部19市町村では、1,445カ所の避難路、避難場所と115基の津波避難タワーの整備を進めており、本年度末で、約8割が完成をいたします。津波避難対策の総仕上げに向け、残る避難空間を着実に完成させるため、本年度までとしていた交付金制度を来年度まで1年間延長することといたしました。

 他方、本年度から、地域本部の職員が、市町村や自主防災組織と連携し、地域ごとに津波避難計画で策定した避難経路が実際に使えるのかを確認するための現地点検に着手しており、この点検結果により、新たな避難路の整備が必要となる場合も考えられます。また、避難空間が整備されたことに伴い、これらの施設を活用し、実際の避難に即した訓練を行った結果、新たに避難空間の整備が必要となる場合も考えられます。こうして、新たに必要となった避難空間の整備や、平成27年度に市町村が予算化を行うものにつきましては、県として、引き続き、交付金により支援を行いますし、それ以降につきましても、南海トラフ地震対策特別措置法に基づき、補助率がかさ上げされた国の事業を活用し、津波から県民の皆様の命を確実に守るための整備に努めていただきたいと考えているところであります。

 次に、高知市が、高知市公共調達基本条例の一部を改正し、労働報酬下限額を定め、事業者に適正な支払いを義務づけることとなったが、どう受けとめているのか、また、本県でも、公契約条例の制定に向けて着手するという決断ができないか、お尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。

 公契約条例につきましては、これまでも申し上げてまいりましたように、労働条件の最低基準は、やはり、国における共通のルールで定められることが基本であると考えております。そのため、我が国の労働条件の最低基準は、最低賃金法や労働基準法などで定められておりまして、個々の労働条件は、こうした国の関係法令を遵守した上で、労働者の能力や技術などにより、労働者と使用者との間の契約で決定されることになっております。県が発注する事業につきましても、適性な労働条件を確保すべきことは当然でありますので、労働関係法令を含めた法令の遵守義務を契約書に明確に定め、契約の相手方とこれを締結し、履行していただくとともに、特に、契約の履行や品質の確保が必要なものなどは、最低制限価格の設定もしているところでございます。こうした中で、さらに県が公契約条例を制定して、何らかの義務づけをすることはなじまないという、これまでの考え方に変わりはありません。

 お尋ねのありました、このたびの高知市公共調達基本条例の一部改正につきましては、高知市のこれまでの経緯や状況を踏まえて、高知市議会としての御判断があったものと受けとめております。また、今後の公契約条例への対応として、引き続き、国や全国の自治体の動向について情報収集を行いながら、高知市の条例の運用状況も注視してまいりたいと考えております。

 厳しい環境にある子供たちの県内における現状と貧困の連鎖を断ち切るための改善目標についてのお尋ねがございました。本県においては、平成24年度の生活保護率が、全国平均の約1.7倍となるなど、依然として高い水準が続いており、生活保護世帯に属する子供の高等学校等への進学率や、小中学校における就学援助の実施率、さらには、ひとり親家庭の子供の就園率などは、いずれも全国と比べまして、非常に厳しい状況となっております。こうした状況の中、生活の困窮という経済的な要因のみならず、家庭の教育力や、地域社会の見守り機能の低下などといったことも重なって、学力の未定着や、虐待、非行、いじめなどといったさまざまな形で問題が顕在化し、子供たちは大変厳しい環境の中に置かれており、その状況についても、深刻の度を増しているものと重く受けとめております。

 このため、来年度からは、教育の分野において、厳しい環境に置かれた児童生徒に対して、十分な学習の機会を確保するための放課後などの学習支援の取り組みや子供たちの育ちを支援するための学校と地域が連携した取り組み、さらには厳しい環境にあるがゆえに不登校などといった課題を抱え込んでしまう子供たちへの支援などといった取り組みを県内に拡大させることといたしております。あわせて、修学前の子供には、保護者を支援する保育士の増員や、保育所の一時預かり利用料を減免するなど、子育て支援策の強化も図ってまいります。

 また、こうした取り組みにとどまらず、いじめや少年非行、さらには児童虐待の問題などを含めまして、総合的な取り組みを進めることとしており、今後とも効果的な施策を追加的に盛り込むことなどによりまして、子供の貧困に関する指標の改善につなげることで、貧困の世代間連鎖の解消を目指してまいりたいと考えております。

 次に、子供の貧困対策計画の策定のめどについてのお尋ねがございました。すべての子供たちが家庭の経済環境などに左右されず、夢を希望を持って育つことのできる社会をつくるための子供の貧困対策に関する計画づくりは、本県の将来を支える人材の育成にもつながります。早急に取り組むべき重要な課題だと認識をいたしております。

 一方で、本県では、これまでも教育振興基本計画での学力保証と、就学支援などに向けた取り組みや、日本一の健康長寿県構想における、高知家の子ども見守りプランに基づく、少年非行の防止対策などに全力で取り組んでまいりました結果、一定の成果もあらわれてまいりましたが、生活の困窮という経済的な要因などから、依然として、一定数の子供たちが厳しい環境に置かれた状況にあります。

 このため、まずは、教育振興基本計画や長寿県構想に基づくさまざまな取り組み、これなども念頭に置いて、一定の全体像を描きながら、来年度からこうした厳しい環境に置かれている子供たちへの支援、県政の重点課題と位置づけ、教育と福祉の分野などを中心に総合的な対策として取り組みの抜本強化を図ることとしたところであります。

 今後は、これまでの取り組みなどを含めまして、子供の貧困対策大綱で示されました教育、生活、保護者に対する就労、経済的支援といった4つの分野を中心に、大綱で示されました25の指標とも関連づけた再整理などを行い、平成27年度中の子供の貧困対策に関する計画の策定に向けまして、総合的な視点に立った計画づくりを進めてまいりたいと考えているところであります。

 次に、香南市の児童虐待死亡事件について、両親の心の問題や内面に迫るといった視点による検証の必要性についてのお尋ねがありました。

 児童虐待を予防するためには、保護者が持つ子育てに対する負担感や不安などといった心理的背景を十分に理解し、その心に寄り添いながら、きめ細やかな支援に取り組む必要があることは、十分に認識をいたしております。議員のお話にありましたような視点につきましては、今回設置いたしました児童虐待死亡事例検証委員会において、委員から、事件発生の背景にある子供や親子の状態を掘り下げてみる必要があるとの御意見などもいただいておりますし、検証委員会の委員には、精神科医療の専門家にも参加いただいていますので、御指摘のあったような視点も踏まえた検証作業が進められるものと受けとめております。

 次に、児童虐待の予防の取り組みにおける、現場で活躍されている専門職などの積極的な活用と、児童虐待死亡事例検証委員会における有識者からの意見聴取についてのお尋ねがありました。児童虐待は、子供とその家庭が抱えるさまざまな課題が要因となり、複雑に絡み合って発生いたしますことから、その予防につきましては、虐待に至るリスクの高い保護者に対する直接的な支援はもちろんのこと、子育て家庭への支援策などを含めて、総合的に取り組む必要があるものと考えています。

 このため、こうした取り組みを進める際には、子育てなどの面で、不安を抱いている保護者などが孤立することのないよう、地域において主体的に活動されている民間の専門職などのお力もお借りしながら、児童にかかわる地域住民等を含めた行政と民間との連携による地域における支援のネットワークを強化していく必要があるものと考えております。

 また、児童虐待死亡事例検証委員会におきましては、さまざまな角度から検証作業が行われることが重要であり、今回の委員の委嘱に当たりましては、事件の経緯等を踏まえ、多方面にわたる分野からの就任をお願いしたところです。さらに、議員のお話にありましたように、さまざまな有識者から御意見をお聞きし、幅広い分野で議論を深めていただくことは大変有意義なことだと考えておりますが、具体的に御意見をお聞きするかなどにつきましては、検証委員会で判断されることとなっているものであります。

 次に、原子力災害対応についての一連の御質問にお答えをいたします。

 まず、伊方原発で事故が起これば、高知県民は多大な被害を受けることを踏まえるなら、本県も愛媛県並みの協定締結を四国電力に求めるべきではないかとのお尋ねがありました。議員も指摘されていますが、再稼働に当たっての自治体の同意については、立地自治体と四国電力との間の協定に基づくもので、法令等の定めにより付与されたものではありません。現在は、立地自治体である愛媛県と伊方町が四国電力と協定を締結しておりますので、これに基づいて、事実上同意なしには再稼働できないことになっております。また、伊方原発周辺に位置する八幡浜市などは、事前協議などについて定めた覚書を締結しており、このように、距離に応じて協定や覚書という形で強い発言力を持つということは、従前より申し上げているとおり、合理的な姿であると考えております。

 本県においては、一たび、伊方原発で事故が起これば、その影響を直接的、間接的に受けるおそれがあり、原発については、想定外をも想定した、最大限の安全対策が必要であるとの思いを強くしています。そのため、四国電力に対して、勉強会を通じて安全対策の徹底を求め、県民の皆様が、日ごろ心配されている疑問をどんどんぶつけていますし、そのプロセスを公開の場で行うことで、多くの皆様にとって納得できる安全対策が講じられる状況を担保したいと考えております。本県が、同意権をもって条件づける状況にないのは確かですが、だからこそ、このような実のある手段を選択しているものであります。

 次に、原子力災害対策行動計画について、年1ミリシーベルト以下に抑える計画にすべきではないかとのお尋ねがございました。

 本県は、国が原子力災害に備えた計画の策定を義務づけている原発から半径30キロメートルの範囲外にありますが、伊方原発で万一事故が発生した場合に備えて、高知県原子力災害対策行動計画を独自に策定しております。この計画は、本県にも放射性物質が到達し、一定の放射線量となる事態を想定した上で、事故の発生直後から復旧までの行動を定め、県民の皆様の健康などへの影響を最小限に抑えることを目的としております。

 この計画における一時移転や、避難の開始を判断する放射線量は、国の原子力対策指針と同様に、国際原子力機関IAEAや世界各国の安全基準の基礎とされている国際放射線防護委員会、いわゆるICRPの基準に基づいて定められております。具体的には、住民の方などが原子力施設から受ける放射線量を、事故発生直後から集束までの緊急時は、年間20から100ミリシーベルト、その後の復旧時には、年1から20ミリシーベルトに抑えられるよう、一時移転や避難を実施することとしているものであります。なお、御指摘のあった年間1ミリシーベルト以下というのは、事故が発生していない平常時の基準であると承知しております。

 福島第一原発の事故においても、国は、ICRPの基準に従い、住民の方などが受ける放射線量を、年間1ミリシーベルト以下に抑えることを長期目標として、除染などを行っており、本県でも事故後の長期的な目標としては、年間1ミリシーベルト以下に抑えることは当然のことだと考えております。

 最後に、四国電力との勉強会での議論については、その都度内容を取りまとめ公表すべきではないかとのお尋ねがありました。

 これまで、四国電力との勉強会は、すべてマスコミに公開して開催しており、平成26年5月の勉強会からは、一般傍聴も可能としております。あわせて、四国電力に対して、県民の皆様が日ごろから心配されている原発の安全性に対するさまざまな疑問を率直にぶつけ、規制委員会等で行われている専門的な議論も、我々にも納得できるよう、わかりやすく説明するよう求めているところであります。

 先月20日に開催しました勉強会では、昨年12月に規制委員会がおおむね了承した耐震設計のもととなる地震の揺れである基準地震動について、申請当初の570ガルから650ガルに引き上げられた理由などについて、四国電力から説明を受け、質疑を行ったところです。現在は、重大事故等対処施設の耐震設計の考え方などの根本的な議論が、規制委員会で行われており、今後、新たに策定された基準地震動に対しての施設ごとの耐震安全性の審査に移ることを確認しています。このように、審査の過程で、規制委員会からの指摘により、安全性がより進化している段階でありますことから、御指摘のありました勉強会の内容の公表につきましては、審査が終了した段階などの節目において取りまとめ、時期を逃すことなく県民の皆様にお示ししていきたいと考えているところでございます。

 私からは、以上でございます。

◎商工労働部長(原田悟君) 次世代育成支援企業認証制度の普及や認証の促進を図るために、どのようなことが考えられるかとのお尋ねがありました。

 この認証制度では、従業員が過去5年以内に育児休業を取得した実績があることや、2歳までの育児休業、時間単位で取得できる年次有給休暇といった、育児介護休業法の規定を上回る制度を設けるなど、男女ともに働きやすく、子育てしやすい職場環境づくりに取り組む企業を、次世代育成支援企業として認証しており、本年2月末現在の認証企業件数は、118社となっております。

 これらの認証企業からは、子育てを理由に辞める職員が非常に少なくなった。男性の育児休業取得によって、より効率的な仕事の進め方を考えるようになったといった声や、職場環境を重視する若者がふえてきており、人材採用の際に有利になるといった働きやすい職場環境づくりや子育て支援の取り組みが、企業経営にとってメリットになるといった声も多く聞かれております。

 こういった企業にとってのメリットを、この認証制度を通じて広く広報することは、県内企業の子育てしやすい職場環境づくりを推進することにつながると考えますので、今後とも認証企業をふやしていくことや、制度の周知徹底を図っていくことが重要だと考えています。

 このため、来年度は、企業の働きやすい職場づくりに向けた意識の醸成や、認証制度の周知を図るセミナーを開催することに加え、企業ニーズにあった講師派遣型の研修を実施し、制度の周知と企業自らの取り組みの支援を行ってまいります。このほか、認証制度の普及啓発を図る、次世代育成支援アドバイザーを2名に増員し、訪問する企業数をふやすとともに、働きやすく子育てしやすい職場環境づくりが企業にとって大きなメリットになるということを伝えるなど、よりきめ細かく働きかけていきたいと考えています。

 加えまして、認証を受けられた企業の取り組み事例を広く紹介することも大切ですので、県のホームページや広報紙の活用とともに、従業員の声を載せたパンフレットなども作成し、広くPRをしてまいります。

◎地域福祉部長(井奥和男君) まず、新たな次世代育成支援行動計画の策定に当たって、結婚及び出産前後の継続就業者割合を指標として盛り込む必要があるのではないかとのお尋ねがありました。

 国の出生動向基本調査によりますと、結婚後も就業を継続している女性は、平成22年で約70%と、1980年代後半から10%ほど増加してはおりますものの、第1子出産後も就業を継続する女性の割合は、約40%と、ここ数十年間大きな変化が見られておりません。

 一方で、本県の1人当たりの県民所得は、全国の約75%程度にとどまるものの、勤労者世帯1カ月平均の収入で見ますと、全国を約10%を上回るなど、働く女性の割合が全国1位の本県では、特に女性の結婚や妊娠、出産が離職につながることなく、生き生きと働き続けていける就労環境の整備といったことが、女性の活躍を支える重要な社会基盤の整備となることはもちろんのこと、少子化対策の抜本強化を図る必要性の視点からも、大変重要な取り組みだと認識をいたしております。

 このため、新たな次世代育成支援行動計画においては、職場における総合的な就労環境の整備に向けまして、女性の継続雇用はもちろんのこと、男女が共に働きやすく、子育てしやすい職場環境づくりに取り組む、次世代育成支援認証企業の増加などを成果指標に掲げる方向で、現在検討を進めているところです。

 議員の話にもありました、結婚や出産の前後における女性の就業状況につきましては、さまざまなデータの調査、分析などを行う中で、本県の動向を把握する有効な指標の可能性などについて、まずは検討を行ってまいりたいと考えております。

 次に、県のひきこもり地域支援センターと高知市との連携体制の構築についてのお尋ねがありました。

 ひきこもりは、期間が長引くほど、復帰が難しくなる一方で、家庭にとっては大変デリケートな問題でもあることから、表面化しにくいこともあり、専門的な相談窓口となります、ひきこもり地域支援センターと、市町村や保健所、さらには、地域の支援団体などが連携した早期の発見と適切な支援に向けた取り組みが大変重要だと考えています。

 このため、ひきこもり地域支援センターでは、高知市を含む3市町のほか、医療、保健、福祉、教育、労働分野などの関係機関による、ひきこもり支援者連絡会議を開催し、ネットワークの構築強化に取り組んでいるところです。こうした取り組みを進める中で、高知市の生活困窮者の相談窓口である生活支援相談センターと、ひきこもり地域支援センターが連携した支援を実施することなどによりまして、ひきこもり状態にあった方を就労支援へとつなげたケースもお聞きをいたしているところです。議員のお話にもありました、ひきこもり地域支援センターと高知市との連携体制の構築といったことは、ひきこもり状態にある方に対する関係機関のネットワークによる切れ目のない支援といった面で、大変意義のあることだと考えております。

 今後は、ひきこもり支援者連絡会議に、高知市生活支援相談センターから継続的に参加をしていただくとともに、高知市の生活困窮者の支援検討部会には、ひきこもり地域支援センターの職員が参加するなど、相互の連携強化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

◎土木部長(奥谷正君) まず、木造住宅の耐震化について、加速化に支障を来さないように、現状の補助制度の改善や支援策を講じることができないかとのお尋ねがありました。

 現在、県は、木造住宅の耐震改修に対して、市町村と協力し、最大925,000円の補助を行っております。この補助制度を活用しても、経済的な負担が理由で、耐震改修をあきらめている住宅所有者に、いかに耐震改修を行っていただくかが課題であると認識しております。

 そのため、耐震診断士や事業者を対象とした低コスト工法の講習会を開催し、既存の天井や床を壊さないで補強する工法や、外壁から補強する工法など、従来の工法と比べ、7割から8割程度の費用で済む低コストの工法の普及、定着に取り組んでおります。

 また、初期費用の負担を大幅に抑えるため、耐震改修工事を分割して実施する、段階的耐震改修の仕組みの検討や、住宅所有者が工事費の全額を準備しなくて済むよう、市町村から事業者に直接補助金を支払う仕組みの導入に向け、市町村との協議も進めております。県としては、住宅所有者の経済的な負担軽減に向け、こうした補助制度の拡充などを含めて、市町村と連携した取り組みを進めてまいります。

 次に、津波避難ビルとなり得る旧耐震基準のマンションなどを支援の対象施設として、耐震化につなげることができないかとのお尋ねがありました。

 津波浸水域において、一定の高さを有するマンションなどを耐震化し、津波避難ビルとして地域住民の津波避難空間を確保することは有効であると考えております。現在、市町村が防災に関する計画に定め、県の耐震改修促進計画において防災拠点として位置づけられることが確実な建築物については、耐震化にかかる市町村補助額の4分の3を国と県が補助する支援制度があります。したがいまして、津波浸水域における一定の高さを有する旧耐震基準のマンションなどについても、市町村が津波避難ビルとして市町村の防災に関する計画に定める前提で、県計画への位置づけを御要望いただければ、この支援制度の活用は可能と考えております。

 次に、建設労働者の賃金実態の把握と検証の状況について、お尋ねがありました。

 県では、昨年度に引き続き、本年度も10月から11月にかけて、建設業者の経営環境や入札制度、コンプライアンスへの取り組み状況などについて、建設業協会各支部に出向き、意見交換会を行いました。これに先立ち、経営環境などについて、全会員、397社に対して、アンケート調査を行ったところ、回答のあった243社のうち、48%の会社が技術者や技能労働者の賃金を上げたことがわかりました。これは、前年度に行った同様の調査結果である26%を上回るものとなっております。また、昨年に引き続き、今年2月にも、賃金の実態調査に基づく設計労務単価が引き上げられたことや、毎月勤労統計調査の結果による県内建設労働者の月額現金給与総額が、前年同月との比較で平均約10%上昇していることからも、建設労働者の賃金は着実な上昇傾向にあるものと受けとめております。

 しかしながら、意見交換会において、公共事業の投資に対する先行きが読めず、賃金を引き上げる余裕がない、また、4月から6月に工事がなく、労働者の年間雇用ができないといった声も引き続き聞いており、まだまだ厳しい実態が残っているものとも認識しております。

 このため、建設労働者の賃金引き上げについて、さまざまな機会を通じて要請を行う一方で、各地域ごとの建設業者との意見交換会を続けることなどによって実態把握に努めるとともに、建設業者の経営の安定や担い手の確保につながる工事の平準化などの取り組みを進めてまいります。

◎危機管理部長(野々村毅君) 南海トラフ地震対策について、長期浸水連絡会など、県の検討会に自主防災会の代表の参加を求める考えはないかとのお尋ねがございました。

 南海トラフ地震への備えは、自助、共助、公助、それぞれの視点で抜かりなく対策を行う必要がありますが、発災直後には、自助、共助の役割が8割から9割と非常に大きな割合を占めると言われています。このため、地域の津波避難計画や避難所の運営マニュアルなど、住民の皆様が主体となる具体的な計画を検討する際には、直接意見をお聞きすることは当然のことであります。一方、被害想定や技術的な指針など専門的な検討を行うものは、住民の皆様に直接参加していただくことは難しいと考えております。

 御質問にありました3つの検討会うち、まず、高知市の長期浸水区域における救助救出を検討する長期浸水対策連絡会につきましては、救出される住民の視点も反映させるため、関係する地域の自主防災会の代表者の参加を、高知市と協議してまいります。一方、地震火災対策検討会、及び、石油基地等地震津波対策検討会では、被害想定とその対策を専門家に技術的な視点で検討していただいているところです。

 いずれにしましても、南海トラフ地震対策の県民の皆様の声を何らかの形で反映させることを、検討会の目的や役割に応じて、検討してまいります。さらに、地域において地震対策を進めるに当たっては、住民の皆様の参加が欠かせないため、南海トラフ地震対策推進地域本部が、今まで以上に市町村や自主防災組織など、地域の皆様と連携して対策を進めてまいります。

◎総務部長(小谷敦君) アウトソーシングにおける適正な請負の確保や、低入札価格への対応、落札業者の入札額の人件費算出についての検証について、お尋ねがございました。

 適正な請負の確保等につきましては、契約の履行を確保するため、必要に応じて最低制限価格を設定し入札を行うとともに、労働関係法令を含めた法令の遵守義務を契約書に明確に定め、契約の相手方に遵守していただいているところです。また、適正な履行と質を確保するため、品質管理ガイドラインを定め、一定規模以上の委託業務に関し、履行状況の点検や管理、評価を実施しています。

 これらの制度をしっかりを運用することで、適正な請負の確保を図ってまいりたいと考えており、落札業者の入札額の人件費算出についての検証につきましては、現時点では必要ないものと考えております。

◎会計管理者(大原充雄君) 公契約条例に関しまして、これまでどのような情報収集、勉強を行ってきたのか、また、現在の到達点のお尋ねがありました。

 公契約条例に関しましては、これまで全国の動向を注視するとともに、新たな動きがあった自治体には聞き取りを行いながら、条例を制定している川崎市や奈良県には直接出向きまして情報収集を行ってまいりました。私どもが調査した範囲では、現在、全国で労働報酬下限額を定めた公契約条例を制定しているのは、高知市を含む12の市と区で、県ではいずれも理念型の条例なっていますが、長野県、奈良県の2県が、公契約条例を制定をしております。

 また、労働報酬下限額の設定をした自治体に、その効果をお聞きしましたところ、それに伴うコスト増の側面があるものの、賃金アップに関して一定の効果が出てきているところもあれば、発注件数の少ないことや条例が施行されてから間もないことなどもあって、その検証はできていないといった自治体の声もお聞きをしている状況でございます。

 現在のところは、先ほど知事からお答えしましたとおり、引き続き情報収集を行ってまいりたいと考えております。

◎教育長(田村荘児君) 厳しい環境にある子供たちへの支援に関連し、スクールソーシャルワーカーの配置増や支援組織、機関との幅広い連携のための支援等についてお尋ねがございました。

 スクールソーシャルワーカーは、学校、家庭、地域、福祉などをつなぐ専門家として、子供や家庭に対して、直接支援を行うほか、福祉事務所や民生児童委員などと連携して、生活支援や見守りを行いながら、生活環境の改善を図っていくなど、専門的なスキルとネットワークを生かした支援を行っております。

 子供や家庭を取り巻く環境が多様化、複雑化する中で、経済的な要因や家庭の教育力の不足などを背景として、虐待、非行、不登校、学力の未定着といった困難な状況にある子供たちが多くいます。そういった子供たちや家庭の支援が重要となっており、学校現場などからのスクールソーシャルワーカーを必要とする声は、ますます高まっています。

 こうした状況を踏まえ、県教育委員会では、来年度、スクールソーシャルワーカーの市町村への配置を大幅に拡充し、特に厳しい環境にある7市について、新たに15名を重点的に配置することとしております。加えて、県立学校6校にも新たに配置するなど、支援体制を強化してまいります。

 子供や家庭への支援を充実するためには、スクールソーシャルワーカーの専門性のさらなる向上とコーディネート機能の強化が求められます。専門性の向上に向けては、3名の大学の教授等のスーパーバイザーによるスクールソーシャルワーカーが直面する課題などについての助言、指導や研修会を通じて、その専門性を高める取り組みを行っており、今後さらに、その充実に努めてまいります。

 コーディネート機能の強化に関して、スクールソーシャルワーカーは、日ごろから子供とつながる出発点となる学校との連携や、子供のことを知る地域住民とのつながり、また、多角的な支援につなげるための関係機関等との連携などの重要性を意識し、これまでも精力的に活動していただいております。

 また、市町村が設置する要保護児童対策地域協議会やケース会等にも参加し、その中で、教育、福祉の両面の専門性をあわせ持つ立場として活躍していただいているところでございます。

 今後、スクールソーシャルワーカーが一層コーディネート力を発揮するためには、NPO等、子供や家庭への支援活動を行う団体との連携も強化していくことが必要と思いますので、そのための交流の場づくりや必要な情報の共有などの環境整備を進めてまいりたいと考えております。

◎林業振興・環境部長(大野靖紀君) まず、南海トラフ巨大地震により、四国で長期広域停電が発生した場合に、伊方原発の対策は考えられているのかとのお尋ねがございました。

 福島原発事故を教訓として、新規制基準では、電源を確保するための対策や、原子炉などを安定的に冷却するための手段の多重化など、従来の基準が強化されたものと承知しています。

 四国電力においても、福島原発事故を受け、長期の停電に備えて、1号機から3号機に、それぞれ2台設置していた非常用ディーゼル発電機に加え、新たに、電源車などの7日間の燃料を確保できる重油タンクの3基の増設や空冷式の大型電源車を4台配置する措置を講じています。また、自主的な対策として、これまであった送電線に加え、異なる変電所からの配電線を既設し、必要に応じて、国、自治体とも連携し、陸海空のすべての運送手段を使って、発電機の燃料を補充するとともに、2ルートある送電線を活用し、遮断された外部電源を早期に回復すると聞いています。

 これらの対策に加え、今後、非常用ガスタービン発電機、直流電源、及び、非常用外部電源受電施設を設置することとしており、3号機については、平成27年度に工事が完了するとの説明を受けています。さらに、すべての電源が喪失した場合でも、原子炉等に水を注入し、安定的に燃料を冷却できるよう、ポンプ車などを配備し、冷却手段の多重化、多様化を進めることを確認しています。

 このように、四国電力においては、議員からお話がありました河田教授の論文で推計されているような長期に電力が不足する事態に備えて、燃料の給油手段を複数準備するなどの措置を講じ、安全確保に努めているものと認識しておりますが、今後も勉強会等において、しっかり確認してまいります。

 いずれにいたしましても、現在、原子力規制委員会では、新規制基準による安全審査が行われており、国においては、厳格な上にも厳格な審査を行い、基準に該当しない原発は稼働させないとの姿勢を堅持していくべきであり、四国電力においては、安全確保に向けた最大限の努力をしていただく必要があると考えます。

 次に、再生可能エネルギー発電会社が実現するまでの間に、代替エネルギーとしてガスコンバインドサイクル発電にシフトすることを、四国電力に対して求めるべきではないかとのお尋ねがございました。

 議員御指摘のとおり、ガスコンバインドサイクル発電は効率が高く、環境負荷も少ないなどのメリットのある発電方式であり、国の新しい基本計画では、地球温暖化対策の観点からも、コンバインドサイクル火力発電などの天然ガスの高度利用を進めるとの政策の方向性が示されています。四国電力にもおいても、導入のメリットを十分認識し、坂出発電所の1号機及び2号基をガスコンバインドサイクル発電に更新するなど、国の示す方向に向かっているものと承知しています。

 一方で、わが国における液化天然ガスの取引は、原油価格と連動する形で輸入価格が決定される長期契約によるものが大半である上に、世界情勢により、燃料調達コストが変動するなど、エネルギーの安全保障の観点から課題もあり、国においては、エネルギー源ごとのメリットやデメリットを総合的に判断し、早急にエネルギーのベストミックスを示す必要があると考えています。

 今後の電力会社における設備投資については、これらの国のエネルギー政策を踏まえた上で、経営面、環境面、電力の需給状況、燃料の多様化などについて総合的に検討し、経営者として熟慮の上判断されるべきものと考えています。

 次に、県産材利用促進に向けた行動計画の本年度までの取り組みの評価と新たな計画についての決意について、お尋ねがございました。

 これまでの県産材利用促進に向けた行動計画の取り組み状況は、県有施設の木造化につきましては、おおむね目標を達成しており、県における県産材率先利用の取り組みは一定浸透してきているものと考えています。

 一方、木質化に関しては、施設によって内装に木材があまり使われてない場合も見受けられるなど、必ずしも十分な成果が上がってはいないと考えています。また、公共土木工事における県産材の利用につきましては、この間、維持修繕や耐震などの工事がふえ、木材を使用する工事が減少していることなどから実績が伸びなかったものと考えています。

 こうした状況を踏まえ、来年度からの次期行動計画の改正に当たっては、特に、木質化に重点を置き、今後、新築や改築などが行われるすべての県有施設を対象に、木質化に取り組んでまいります。加えて、木質化を実感できるよう、壁や床に対する最低限の木質化の考え方を定め、行動計画の中に盛り込みました。木質化を徹底して追求し、木材が目に見える形で使われるようにすることで、木材利用が拡大するよう、今後とも積極的に努めてまいります。

 なお、木材利用の取り組みが低調な市町村に対しましても、市町村が参加する県産材利用地域推進会議など、さまざまな機会を通しまして、木材利用の拡大を促してまいります。

 次に、CLT工法が、新たな行動計画にどれだけ盛り込まれているのかについて、お尋ねがございました。

 県の県産材利用推進に向けた行動計画は、県自らが率先して実行し、県有施設の木造や木質化などを推進していくために、具体的な目標を定め、県庁全体での情報共有を図りながら、県産材の利用の拡大を図っていくために作成しているものです。この行動計画は、施設を整備する際の木造化や木質化を定めたもので、CLTに限らず、木造軸組や、ツーバイフォーといった工法に関する定めはございません。しかし、今年度の県産材利用推進会議において承認された、平成27年度に向けて重点的に取り組む事項の中で、CLTの活用方法などの情報の発信や、県や市町村施設のCLTの導入の可能性について検討し、CLTの推進に取り組むこととしています。

 最後に、CLT工法の発展と生産の増加などにより、公共施設の木造化に及ぼす影響をどのように考えているか、また、新図書館などの公共施設の利用促進などはあるのかとのお尋ねがございました。

 CLT工法については、強度や耐火に関する国の基準が整備されていないなど、CLTを普及する上でまだまだ多くの課題を抱えております。このため、国を初め、CLT建築推進協議会や日本CLT協会など、関係者と連携し、課題の克服に取り組みながら、CLTの普及に努めているところです。CLTの普及が進みますと、これまで木造化が困難であった中層建築物などを木造化することができますし、軸組工法など、従来の建築工法とCLTを組み合わせることで、木材の使用方法の自由度も増しますので、飛躍的に公共建築の木造化が進んでいくものと考えています。

 次に、公共施設へのCLTの利用につきましては、四万十町で計画しています県農業担い手育成センター研修用宿泊施設をCLT工法で、設計を進めています。また、高知県自治会館新庁舎では、6階建ての建物の4階以上の壁にCLTを利用する計画であるとお聞きしています。

 一方、議員よりお話にもありました、新図書館等複合施設、及び、高知城歴史博物館につきましては、CLTパネルの日本農林規格が制定される前に設計を完了していたこともあり、CLTを活用することはできませんでした。しかし、両施設とも、内装等に木材をできる限り利用する計画となっています。

 その他の建築物として、県森林組合連合会や漁業協同組合の事務所、高齢者福祉施設がCLTを活用して整備する計画となっており、それらの施設への支援について、今議会に予算をお願いしているところでございます。

 県では、引き続き、国を初めCLT建築推進協議会などと連携し、こうした建築事例から得られた知見を通じて、技術やノウハウを蓄積し、その成果を今後の建築物に生かし、CLTの普及拡大につなげてまいりますとともに、公共施設の木造化、木質化に一層努めてまいります。

33番(坂本茂雄君) それぞれの御答弁、ありがとうございました。

 1つは、まず、公契約条例の関係ですけれども、ずっとこれまで知事の答弁は、今までの回答と同じ状況だと思います。一方で、先ほど、会計管理局長が言われたように、全国的には、県段階でも確かに下限を定めたものではない、理念条例的なものではあるけれども、導入が図られておって、今議会でも、多分、岐阜県議会で、岐阜県は提案をするような動きで、パブリックコメントなどもとられているというふうに思いますけれども。そういった意味では、知事が言うように、国がもし、そういった形でやるべきだと言うのであれば、国に対して働きかけるというようなことはできないのかどうか、いうことについて、お聞かせいただきたいと思います。

 というのは、必要性を、もし、認めているのであれば、そういうふうな態度もとるべきではないか。野田市が一番最初に定めたときの公契約条例の前文に、野田市も、やはり国が公契約に関する法律の整備の重要性を認識し、速やかに必要な措置を講ずることが不可欠であるとは言ってるんです。そう言いながら、ただ、このような状況をただ看過することなく、先導的にこの問題に取り組みたいということで、野田市は全国で先駆けて、この公契約条例の制定に入ったということなんですね。ですから、先ほど、土木部長が言われたように、例えば、労務単価を引き上げても、それが実際、建設の現場で働いておられる方の賃金の引き上げにつながっているのは5割弱というふうなことですから。じゃあ、そういうことをどういうふうに考えて、もし、高知県でやるよりも、国がやることが重要だと考えるんであれば、国に対して、きちんと公契約法の制定を求めるという姿勢はとれないのかどうか、そのことをお伺いしたいと思います。

 それと、もう一つ、原発の問題でありますが、これも、今までお答えした回答と変わらず、また、昨年12月に、連絡会に対して県が回答した内容とも変わっておらないわけです。

 ただ、この回答の中にもありますように、いわゆる本県においても一たび伊方原発で事故が起これば、その影響を直接的、間接的に受けるおそれがあり、原発については、想定外をも想定した最大限の安全対策が必要であるとの思いを強くしているということであれば、その想定外をも想定した対応として、何ができるのかということを、高知県として明らかにしていくべきではないのかなというふうに思います。例えば、いわゆる先ほど言われた愛媛県の並みの協定を四電に求めるべきではないのかということに対しても、例えば距離に応じて強い発言力を持っているのは合理的だというふうに言われましたけれども、これなんかも、まさに、想定外をも想定した最大限の安全対策の1つとして、高知県として主体的にどうできるのかいうようなことも含めて考えたときに、求めること自体は、私は、何ら問題はないのではないかというふうに思っています。

 そういった意味では、そういうことが、いわゆる想定外をも想定した最大限の安全対策というのを、今後、高知県としてどう考えていくのか、そのお考えを聞かせていただきたいと思います。

 そして、先ほど、林業振興・環境部長が、いわゆる南海トラフ巨大地震後の長期広域停電がもたらす影響についての質問に対して、今とられているいろんな対策の中で、言うたら、この河田先生らが発表したことに対する影響はないというようなお答えだったと思うんですが、先ほど述べられた幾つかの対策ですね、電源車の確保であるとか、その燃料の確保であるとか、さまざまな電源の確保について対策を行ってきているということなんですが、それによってどれだけの期間、対応できるというふうになっているのか、教えていただきたいというふうに思います。

 あと、総務部長が言われましたが、アウトソーシングなどにおける、いわゆる落札後のさまざまな検証については、現時点では必要ないということでしたが、しっかりと運用されているというふうな前提に立たれていると思うんですが、そのしっかりと運用されていること自体が、きちんと確認できているのかどうか。そのためには、検証しなければ、しっかりと運用されているかどうかわからないんじゃないかと思うんですが、総務部長に、その点について再度お伺いしたいと思います。

 以上で、2問目を終わります。

◎知事(尾ア正直君) まず、公契約条例について、国に働きかけるべきではないかということでありますが、国に対しては、この労働条件の最低基準をしっかり定め、それを遵守させるということをしっかりしてもらいたいということを働きかけていくということなのかなと、そのように考えております。

 公契約条例について、確かに、広がりも出てきているのも確かですから、継続的に運用状況等も勉強もさせていただきたいと思いますが。私ども、これ、ひとつ率直に懸念をいたしておりますのは、民民契約と、官民間契約の間に、例えば、賃金について格差が出てしまって、で、官民契約については、比較的経営状況のいいところしか受注できないなどということになってしまいはしまいかというあたりなどということも、例えば、懸念をされるわけでありまして、民民契約も、官民契約も同一の労働条件については、最低基準以上ということで対応するのがいいのではないかというふうに考えている。そういうこともあるのではないかなと、そういうゆがみが生じはしないかな、そういう懸念を持って、現段階では、私どもとしては、なじまないと申し上げさせていただいておるところです。

 ただ、各議会の判断を経て、条例が制定されてきているところもあるわけでありますから、そういうところが、その後どうなっていったのかということについて、勉強させてもらいたいと、そのように考えております。

 また、原発について、原発に限らずですが、特に、さまざまな災害に関しては、想定外をも想定するという姿勢を持つということが非常に大事であります。そのとおりだと考えておりますし、それを常々申し上げてきました。でありますので、我々として主体的な対応をどうとるべきかということで、先ほど来ずっと申し上げておりますが、この勉強会の方式をとることとか、さらに、行動計画についても、義務づけされていない中においても、行動計画を主体的に我々として設置をすると、計画を定めるとか、そういう取り組みをとってきているわけです。

 四国電力と協定を結ぼうと言って、協調するということになったら、例えば、今回、京都の例もありましたけれども、ずいぶん長い時間がかかるんではないでしょうか。それよりも、今すぐさまざまな疑問点があるわけですから、勉強会においてそれをただす。しかも、公開しておるわけですよ、すべての会を。そういう形で、県民の皆様のもとに、県民の皆様方の目のもとに、こういう形で、疑問をただすという方向をとるということが、私は、非常に実効性があるということではないのかなと、そのように思っております。

 それから、長期広域停電について、こちらについては、今後もまだ河田先生の御議論なんかも踏まえて、さらなる検討も重ね、また、四国電力にもいろいろとお伺いをしていく点は多いというふうには思っておりますけれども、今の彼らの御回答ということは、どういうことかというと、要するに継続できると、冷却について継続できる体制であるということを、一定の方向性として示されているということなのではないかと思います。

 ただ、これが本当にそういうことになるかどうかについては、今後も継続的に検証が必要だと考えているところです。

◎林業振興・環境部長(大野靖紀君) 先ほど、知事が答弁いたしましたように、四国電力においては、燃料切れにならないように、答弁により申しましたように、陸海空すべての運輸手段をとって燃料を供給することによって、継続的に冷却は続けられるというふうな準備をしていると伺っております。

 なお、知事が申しましたとおり、これについても、確認をしてまいります。

◎総務部長(小谷敦君) 適正な請負の確保、先ほど申しましたとおり、さまざまございます。1つは、最低制限価格を設定するということでございます。また、労働関係法令を含めた遵守義務、これは、契約書に明確に定め、相手方に遵守いただいてます。また、品質管理ガイドラインでございます。これは、もう一定規模以上の委託業務に関して、履行状況の点検や管理、評価というのを実施しております。先ほど、議員おっしゃいましたしっかりと運用することで、それがしっかり運用されているかどうかという話でございますけれども、運用しているのは我々でございますので、ちゃんとやっております。

33番(坂本茂雄君) 先ほど、知事は、ずっと四電との勉強会の積み重ねの問題言われました。それを、しかも公開しているということを強調されました。これを、議事録は、その都度、そしたら、公開されているかというと、そうではないですよね。そこまで言うんだったら、議事録をその都度公開してください。そのことを要請しておきますんで、ちょっとその点についてのお考えをお聞かせいただきたいというのと。

 もう一つは、最後ですが、地方創生の問題で、やはり、自治体間競争に巻き込まれることについての懸念というのは、やっぱり多くの方が示されています。高知新聞では、今朝の社説でも、そのことを懸念する社説が載っております。ぜひ、この地方創生が、自治体間競争に巻き込まれないように、本当に、地域住民にとって大切な将来のあり方を具体化していくための、全国の自治体が足並みそろえて、そうやって地方が活性化するようなことになることを願っております。そのことは、最後に申し添えて、先ほどの点だけ、お答えただきたいと思います。

◎知事(尾ア正直君) 先ほど申し上げましたように、全面公開して勉強会をやらせていただいているわけでありますから、事実上議事録を公開しているのと同じ効果を持っているんじゃないかと思いますが、どういう形で対応するか、検討させてもらいたいと思います。