2014年02月定例会代表質問(3月3日) |
◎議長(森田英二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。
◎33番(坂本茂雄君) お許しをいただきましたので、県民クラブを代表して質問させていただきます。
3.11東日本大震災からまもなく3年が過ぎようとしています。震災や福島第一原発事故に学ぶことが多すぎたこの国は、そのことをすっかり忘れたかのように、望まぬ方向へと暴走し始めているように思えてなりません。その暴走に、少しでも歯どめをかけ、後に述べる、生き心地・暮らし心地のよい高知県へと歩みたいとの思いで、順次質問をさせていただきたいと思います。
まず、知事に、安倍政権への評価とそれに関する政治姿勢についてお伺いします。
知事は、昨年9月定例会の提案説明で、安倍政権の発足以降、矢継ぎ早の政策の結果、景気回復に向けた歩みが着実に進んでいると受けとめている。さらに、アベノミクスの三本目の矢である成長戦略をスピード感持って進めることで、民需主導の持続的な経済成長、そして、景気回復が実感できる実体経済の好循環につなげていただきたいと考えている旨を述べられました。
しかし、現状は、一部の経済指標は改善したかもしれませんが、物価は上がるが消費拡大は鈍いという、悪いインフレの様相を呈し、さらに経常収支が急速に悪化し、国際収支1月分では1兆円を超える赤字となる見通しで、2013年度全体でも33年ぶりにマイナスになる可能性があると報じられています。
さらに、企業が輸出を海外生産に置きかえれば、国内の雇用が失われ、経常赤字は円安につながりやすく、賃金とは関係なしに物価だけが上がるし、4月には消費税の引き上げが待っているという状況を控えて、多くの県民・国民にとって景気回復を実感できる状況ではないと思われます。
そこで、まず、安倍政権の行った施策が、知事が期待したように、景気回復が実感できる実体経済の好循環につながったと評価しているのかどうか、お伺いします。
また、1995年に当時の日経連がまとめた「新時代の『日本的経営』」で、労働者の雇用類型を「長期蓄積能力活用型」「高度専門能力活用型」「雇用柔軟型」に分け、労働力の「弾力化」「流動化」を進め、総人件費を節約し、「低コスト」化を図ってきた20年近い間に、賃金は下がり続け、非正規雇用はふえ続けてきました。
しかし、安倍政権は、労働分野のさらなる規制緩和を成長戦略の一環と位置づけており、そこには、労働者が雇用や賃金を得ようと思えば、企業の業績をよくするしかない。企業がもうかるようになれば設備投資を行い、採用をふやすから、いずれは利益が労働者にもしたたり落ちてくるという破綻したトリクルダウン論が貫かれています。
そのような中、安倍政権は、成長戦略において、産業競争力会議がまとめた、日本再興戦略の日本産業再興プランの具体化によって、日本を、世界で一番企業が活動しやすい国にしようとしています。これは裏を返せば、労働者には、働きづらい国になるのではないかとの思いでお尋ねします。
日本産業再興プランには、雇用制度改革・人材力の強化を図るための、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換とありますが、今の労働者は、行き過ぎた雇用維持と言われるほど、雇用が維持されているとお考えでしょうか。
また、適正な雇用維持とは、どのようなものと考えるのか、あわせてお聞きします。
主に、中小企業などが雇用を守るために充ててきた雇用調整助成金の予算を大幅に削減し、労働移動支援助成金の増額など大胆に資金をシフトさせ、対象企業を中小企業だけでなく大企業に拡大し、支給時期を支援委託時と再就職実現時の2段階にするなどというのは、大企業が再就職支援会社を今まで以上に利用しやすくし、労働者の意思でない早期退職を促すことにつながるのではないかと思われるのですが、御所見をお伺いします。
さらには、多様な働き方の実現にある、今国会に提出されるかもしれない労働者派遣法改正案による、労働者派遣制度の見直しやイメージの悪いジョブ型正社員と言われる限定正社員が衣を変えたと思われる、多様な正社員モデルの導入などが、働く者にとって望ましい雇用環境をつくり、県内における労働者の雇用環境の改善につながると考えられるのかどうか、お伺いします。
次に、原発の再稼働問題ということで、まずお聞きしたいのは、知事は、昨年9月定例会の提案説明で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの招致活動の際の関係者に敬意を表し、祝意を述べ、開催地の東京決定を大変うれしいと歓迎されていることについてです。
私はその際、安倍首相が、招致に当たってのIOC総会で発言した福島第一原発事故に関しての「みなさんに保証しましょう。事故はコントロールされております」いわゆるアンダーコントロール、「汚染水の影響を完全にブロック」という発言をどのように受けとめられて歓迎されていたかということについて、疑問を感じていました。
汚染水だけでも全体像すら把握できていなかった状況のもと、汚染水問題の解決と原発事故の早期収束に関し、根拠のないまま国民と国際社会に約束したのです。この場での発言以降も、言い繕いに追われ、発言は変転し、周囲からも批判を受けました。
先月27日には、福島県いわき沖で、水揚げされた試験操業のユメカサゴから、国の基準を超える110ベクレルの放射性セシウムが検出され出荷停止となっています。このようなことが、いろいろと散見されている状況も中でも、アンダーコントロール、汚染水の影響を完全にブロックということは、事実だとの認識で歓迎されていたのか、お聞きします。
また、汚染水の影響を完全にブロックということが事実であるとの認識であれば、何を根拠にそう判断しているのか、お聞きします。
今の安倍政権は、福島第一原発事故以降、いかなる問題も解決していないと言ってもよい福島を切り捨てたかのように、原発の再稼働に前のめりになっているとしか言いようがありません。
福島原発事故による避難者数は、この2月26日現在でも135,906人に上り、事故後、9つの町村が役場機能を他の自治体に移転し、一部自治体は、役場機能を元の地に戻しつつありますけれども、住民の帰還は見通しがたいという状況にあります。にもかかわらず、政権が経済外交の柱に据えるのは、原発輸出であり、首相は、アラブ首長国連邦と輸出の前提となる原子力協定を結んだほか、トルコを2度訪問、日系企業連合が受注し、インドやベトナム、中東などへの原発輸出を強めようとしています。
原発再稼働への前のめり姿勢、海外に向けては、原発セールスマンと見まがうかのような安倍首相の姿勢をどのように評価されているか、お伺いします。
吉良議員への答弁を前提としても、伊方原発再稼働については、安全対策を徹底的に求めるということだと思いますが、安全確認について、知事が納得される基準はどこにあるのか、まず、お伺いします。
また、2月3日付け高知新聞における、伊方原発再稼働一問一答において「勉強会を通じて県民の素朴な疑問の声をぶつけ、その回答を得て、納得いくまで問い続ける。そういうやり方のほうが実があると思う」と答えてられていますが、県民の素朴な疑問を把握する場、また、その疑問をぶつけて、回答を得て納得いくまで問い続けるという場は、県民には具体的にどのように担保されるのか、あわせてお尋ねします。
今回の税制改正は、消費税増税を4月1日に控え、景気の腰折れをしないということを大義名分にした、大企業優遇のものとなっているように思われます。そこで、税制改正に見られる課題について、順次お聞きします。
まず、復興特別法人税の1年前倒し廃止やさらなる法人実効税率の引き下げによって、雇用の拡大や労働者への賃金引き上げに回り、それが消費への増加を通じてさらなる景気回復につながると考えられているか、お聞きします。
関連しますが、復興特別法人税を1年前倒し廃止することで、減収となる税収は年間約8,000億円と見積もられる中、国民が25年間にわたって納める復興特別所得税の税収は、年間約3,000億円と見込まれています。個人所得への還元が不確かなこのような所得拡大促進税制より、復興特別所得税を時限つきででも停止するほうが、個人の可処分所得を高めて、消費需要の拡大につながるのではないかとの見方もありますが、御所見をお伺いします。
都道府県ごとの偏在性が強いことから、法人事業税を暫定的に約6割を国が都道府県に按分することを目的とする国税として、地方特別法人税として制度化されていましたが、今回法人事業税の一部復元が行われる一方で、法人住民税の一部を国税に移管し、地方交付税財源として地方に再配分されることになりました。これは、本県などの提言が反映されたと言われていますけれども、このような措置に対して、地方間の格差是正をとるのか、課税自主権に基づく地方自治をとるのかを含め、地域間の利害対立を生み出すような税源交換というやり方が望ましいと考えるのか、お聞きいたします。
次に、知事が9月定例会において、答弁された集団的自衛権のあり方についてお尋ねします。
集団的自衛権について、「憲法九条で許容される必要最小限の範囲を超え、行使は許されない」とされている政府見解などなかったかのように、安倍首相は、今通常国会では、集団的自衛権の行使容認について、憲法解釈変更に絡み、「最高責任者は私だ」「閣議決定で決める」と言い、今後は、最低限の国民と向き合う憲法改正手続きすらも避けて、解釈変更で突き進み、自衛隊法改正など15本もの個別法改正で行使可能とする道を選ぼうとしています。
ここまで、集団的自衛権の行使容認に積極的な安倍政権の姿勢をどのように知事は考えられているのかとの思いで、順次お尋ねします。
昨年9月定例会で、知事は質問に答えて「我が国近隣から同盟国に向かう弾道ミサイルを、我が国が撃ち落とす能力を有するにもかかわらず撃ち落とさないでいることは、同盟国の無辜の国民を救えるのに救わないということになり、まさに政府の有識者懇談会の言う、我が国の安全保障の基盤たる日米同盟を根幹から揺るがすことになり、ひいては近隣からの弾道ミサイルが頭上を飛ぶという有事にあって、無辜の日本国民を危険にさらすことにつながる行いであると思う」と答弁されています。
私は、日本は弾道ミサイルの迎撃能力を技術的に有していないし、例えあったとしても、それは極めて困難ではないかと思っています。また、アメリカという世界最強の軍事大国が攻撃されるというあり得ない想定のもとの答弁に違和感を覚えました。しかし、知事が言うように、仮に迎撃した場合に、日本がそのことをきっかけに交戦状態に陥る可能性はないと考えておられるのでしょうか。
また、陥った場合、弾道ミサイルが頭上を飛ぶという以上に、無辜の国民を危険にさらすことにならないのか、お聞きします。
さらに、知事は「集団的自衛権の行使を一定認めるべきだと思っているが、他方で、認めるにしても、これを口実に防衛目的を逸脱するようなことが決してあってはならないし、そのことを明確に担保する法的枠組みも必要であると思っている」と答弁されていますが、防衛目的を逸脱することのない法的枠組みとは、どのようなものを考えておられたのかお伺いします。
加えて、知事は「国民的議論を経て、認めるべきとされる集団的自衛権の内容が、現行憲法では認められないということであれば、やはりこの点そのものに関し憲法改正を目指して、改めて国民的議論に付すべき」だと答弁されています。先ほども述べました安倍首相の解釈変更に対して、知事は、集団的自衛権の行使容認については、解釈変更によるべきではないとの考え方という理解でよろしいか、お伺いいたします。
次に、稀代の悪法と言われて、昨年12月の法成立後も、国民からはその撤回を求める声が静まることのない特定秘密保護法の自治体行政への影響についてお聞きします。
この法律が昨年12月6日成立直後に共同通信が行った世論調査では、「修正・廃止」を合わせて82.3%に上り、法律に「不安を感じる」との回答も70.8%を占め、知る権利侵害への懸念が根強いことも明らかになりました。
また、1月29日付け高知新聞の「扱い悩ましい秘密保護法 県内市町村 不安の暗雲覆う」の見出しにもあるように「影響は不明」であるとする一方「情報公開に萎縮懸念」と言われています。
そのような、県民の不安や自治体の懸念を踏まえて、知事にお伺いします。
まず、特定秘密保護法が地方公共団体に及ぼす影響として、どのようなことが想定されるのかお尋ねします。
特定秘密保護法における行政機関の長には、自治体の長が含まれていないので、知事は、特定秘密の提供を受けたり、取扱者となることはないと理解しておられますか、お伺いします。
一方で、警察庁長官が必要と認めた場合、県警察には特定秘密の指定や指示が行われたり、取り扱いの業務に当たったり、適性評価の調査者となり得るわけですが、それらの特定秘密は把握できないのか、お聞きします。
また、県警察において、警察本部長以外の職員の関与はどこまで及ぶものと考えるのか。その場合は、警察内部の関与のあり方について、知事に報告するのか、これは、警察本部長にお尋ねします。
さて、例えば、次のような事例についてどのようにお考えになるか、お伺いします。
県が、今後もオスプレイを活用した日米共同統合防災訓練を計画する際に、オスプレイの新たな事故において原因調査の中で明らかになった原因や欠陥内容などは、特定秘密とされて、照会をしても回答がなかった場合、県民の安全が確保されていると判断し得るのかどうか。
また、特定秘密保護法の制定以前においても、福島第一原発事故の際に情報公開が操作された、炉心溶融や緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、SPEEDIなどが、今後あってはならない伊方原発事故が起きた時、県を初め県内自治体に明確に迅速に提供されると考えられるのか、あわせて知事の御所見をお伺いします。
さらに、県警察が把握している、特定秘密の情報を県民に明らかにするため、情報取得の働きかけを行う議員や県民などの行為は、特定秘密保護法第25条の独立教唆として処罰の対象となるのかどうか、お伺いします。
次に、生き心地・暮らし心地のよい社会へ高知県が目指すべき課題について、幾つかお尋ねします。
私が、「生き心地のよい社会」というキーワードと出会ったのは、自殺予防対策の調査過程においてでした。徳島県旧海部町の現地調査を行った岡檀さんの『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある』という著書から学ぶ中、町で見つけた自殺予防因子の中から「生きていくのがつらい、生きづらさの高じた先に自殺があるとすれば、自殺の少ない社会は『生き心地のよい』社会であると言える。自殺対策とはすなわち、人間にとって生き心地のよい世界をどうつくりあげるかという、試行錯誤そのものである」ということが導き出されていました。
また、NPO自殺対策支援センターライフリンク代表の清水康之さんも、その目指すところは「生き心地のよい社会」であるとされています。
ライフリンクの目指すものについて「生き心地のよい社会」であり、「現代日本社会の自殺の多くは、社会的な対策があれば『避けることのできる死』です。その意味で、自殺対策とは『生きる支援』『いのちへの支援』でもあると言えます。誰も自殺に追い詰められることのない社会。自殺で大切な人を亡くした人が安心して悲しむことのできる社会。それはきっと、自殺とは無関係と思っている一人一人にとっても生きていて心地のよい社会であるはずです。『生き心地のよい社会』の実現をめざして」とあります。
しかし、「生き心地のよい社会」とは、決して自殺予防対策のためだけのキーワードではなく、県民の誰もがそういう社会を望んでいるのではないかと思います。それに加えて、雇用面や教育、医療や福祉施策など暮らしていくための環境が整い、暮らし心地がよければ、人口流出も抑制され、移住してくる人たちにとっても、決断しやすい環境になるのではないかと考えます。
そのことを踏まえたとき、2013年の人口移動報告では転出超過は1,780人となっていますが、この高知県を「生き心地・暮らし心地のよい社会」とすることで、高知県から流出させない、そして、移住も歓迎するということが必要ではないかと思います。
その意味で、高知県が課題解決の先進県となることで、転入超過に転じることは可能と考えられているのか、知事にお伺いします。
また、そのためのキーワードとして「生き心地・暮らし心地のよい高知県」を目指すことが必要ではないかと考えますが、今掲げている県政の課題解決施策だけでなく、さらに補わなければならない課題として、どのようなものがあると考えられるか、知事にお尋ねします。
さて、先日、私が開催した県政意見交換会に参加された県民の方から、もっと子供の貧困の問題について光を当ててほしいとのお声をいただいたこともありますので、次に、子供の貧困対策についてお尋ねします。
潜在化していた子供の貧困に目が向けられ顕在化してから5年目となった昨年、貧困家庭の子供への教育支援などを国の責務とする、子どもの貧困対策推進法が成立しました。
政府は、これから子供の貧困率などの指標を定め、改善施策を明記した、子供の貧困対策に関する大綱を策定することとなっていますが、大綱のあり方が子供の貧困対策推進の焦点となるだけに、県は国の大綱策定を待つのではなく、しっかりと高知県の課題解決にもつながるような大綱となるよう提言してはどうかと思いますが、まず、地域福祉部長にお聞きします。
また、その際には、次のような課題での提言はできないか、健康政策部長、教育長にそれぞれお伺いします。
一つは、保育所は最初の貧困の砦とも言われる中、貧困の連鎖を見極め、早期の段階で支援していくために、保育所で貧困層の親のニーズを把握し、福祉事務所や就労支援など必要な支援につなぐことのできるよう保育の現場にもソーシャル・ワーカーの役割を果たす人材の必要性が求められること。
二つには、医療サービスへのアクセスを保障することが大事で、無保険の子供がいなくなったとしても、医療費の自己負担の問題は残っており、全て窓口無料化となるような施策の拡充が求められていること。
三つには、高知県の小中学校における給食実施率の低さが改めて確認される結果が出ました。保育所や学校での給食は、貧困層の子供にとって非常に貴重であり、学校給食で食をつないでいる生徒もいると言われる中、貧困層の子供が、学校に行けば、お腹いっぱい、おいしいものが食べられる場として、給食の実施率を高めること。
四つに、放課後格差の解消を図るために、学習支援も大事でありますけれども、高校を中退した子供や、不登校の子供、クラブ活動費が賄えない子供などにとって、深刻な放課後の孤立の解消を図るためのメンタープログラムのような学校という場から離れた居場所事業の実施。
最後に、2012年度の調査で、就学援助制度の支給対象者の割合が15.64%と過去最高となり、本県は大阪、山口に次ぐ24.38%という高さとなっています。生活保護費基準額の引き下げの悪影響を懸念する声が大きい中、就学援助制度の拡充が求められていること。
などを求めておきたいと思いますが、それぞれの御所見をお伺いします。
次は、子育て支援の一つとしての、産後ケア事業についてであります。
知事は、提案説明の中で、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダーとして、子育て支援の環境整備に取り組まれてきた中で、地方独自の取り組みを後押しする、地域少子化対策強化交付金の創設も果たされたとの報告がありました。
子育てに悩む母親も体を休めながら、助産師から授乳や沐浴、母子の健康管理などの指導を受け、育児不安を軽減することを目的とした産後ケア事業のスタートを求めて、昨年11月27日、県に対して助産師会の皆さんや事業のスタートを願うお母さん方とともに要望させていただきました。
不安を抱えるお母さん方からは、病院などでお産を終えて退院した母子が、家庭でスムーズな日常生活を始められるように、助産師のいる施設で日帰りや宿泊で、その都度不安や悩みを相談しながら過ごしたい。また、新生児期、特に出産施設退院後から子連れで外出できるようになるまでの期間、母親には支援がほとんどなく、新生児期の母親をねぎらい支えることのできるサービスが必要という声が高まっています。
そのような中、補正予算においてニーズ調査、検討会、担当者研修会などを行う、高知家の産後ケア体制づくり事業の予算が計上されています。今後ニーズ調査結果なども踏まえた検討会での議論がされることになると思いますけれども、検討会では母親の代表なども選任し、できるだけ現場の声が反映されやすい形で検討されていくのでしょうか。
また、これらを踏まえて、県下の市町村すべてを視野に入れた体制づくりを具体化していくことへの決意を知事にお伺いいたします。
財源としての地域少子化対策強化交付金は、自治体独自の少子化対策に対して、都道府県には上限4,000万円、市町村には上限800万円の交付金を支給するものですが、待ったなしの少子化対策と言われる中、県内自治体でこの交付金がどれだけ活用されようとしているのか、地域福祉部長にお伺いいたします。
次の自殺予防対策については、初日、中西議員からも質問があり、私も、この項の冒頭で取り上げた、生き心地・暮らし心地のよい社会というキーワードのもとに、これからの自殺予防対策のあり方の前提について述べさせていただきましたので、ここでは、県の自殺予防対策との向き合い方について、自殺対策行動計画などを踏まえて、地域福祉部長にお伺いします。
人が自殺するとき、自殺せざるを得ないときは、生きることの阻害要因が促進要因を上回る時だと、先ほど紹介したライフリンクの清水康之代表はよく言われていますが、本県での阻害要因は特に何が大きいと考えられているか。そして、それを軽減し、促進要因として増大させるための施策の拡充こそが、抜本的な対策と思われますが、自殺対策行動計画の自殺予防のための相談・支援の充実で、十分と考えられているかお伺いします。
また、自殺の主な原因の1位は健康問題で、中でもうつ病によるものが最も多いとなっておりますけれども、うつ病は、自殺の一歩手前の要因であると同時に、他のさまざまな要因によって引き起こされた結果でもあります。その要因が発現するまでに連鎖してきた要因の数である危機複合度は、うつ病の場合3.6と極めて高いと言われている中、うつ病対策に力を注ぐだけでなく、そこに至る過程で連鎖している要因のスタート時点に対策が打たれなければならないと言われていますけれども、そのような取り組みとなっているのかお伺いします。
さらに、若者の自殺の特徴として就活自殺ということが言われるようになっています。本県でも増加傾向にある若者の自殺の特徴にはどのようなものがあり、その対策はどのように講じられようとしているのか、お伺いします。
自殺予防対策の先進自治体である東京都足立区では、「自殺は孤立の病。行政や民間など関係機関で連携して生きる支援のつながりをつくる」ということで、全職員がゲートキーパー研修を受講し、係長以上に中級研修の実施を進めるなどを背景に、自殺者の減少も図られています。本県でも、県職員がこの研修を受けることによって、県庁組織の中で、また、地域で、孤立の病に気づき、生み出さないような環境づくりの担い手になることは、自殺対策だけでなく、職場組織の健全性や地域での見守り体制を強化することにつながるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
次に、昨年12月、通常国会で、酒類による、酒類というのはお酒のことですけれども、酒類による健康被害、家族や社会への影響などについて総合的な対策を目指す、アルコール健康障害対策基本法が成立したことを踏まえて、本県における酒害予防対策について、地域福祉部長にお尋ねします。
アルコール飲料は、古くから国民の中に存在し、暮らしに潤いを与えるとともに、人間関係を円滑化するものとして親しまれてきましたが、その一方で、不適切な飲酒によるアルコール健康障害が、飲酒者本人の健康の問題であるのみならず、その家族や周囲の人々、さらには、社会全体に深刻な影響をもたらしています。
毎日飲酒をする人の率が男性34.6%、女性7.8%と全国と比べても高い本県では、日本一の健康長寿県構想の中でも、アルコール関連問題対策に力を入れられてきました。
そのような中、アルコール健康障害対策基本法を踏まえて策定されることとなる国の基本計画に対して、高知発の提言・意見反映を盛り込ませるべく提言をしてはいかがでしょうか。
また、その場合には、どのような課題が盛り込まれるべきだと考えられるのか。さらに、その際には、仮称、高知県アルコール健康障害対策関係者会議のようなものを設置するなどして、提言内容を検討してはどうか、地域福祉部長にお尋ねします。
国の基本計画を受けてから、策定されることとなる県の推進計画には、相談・治療・リハビリをそれぞれの役割とする機関を設置することが盛り込まれるなどの必要があると思いますけれども、これも先に述べた関係者会議からの提言を受けて、恒常的な協議会の設置をし、さらに県下の一定の規模で協議会やネットワーク会議が機能するスキームも検討してはどうか、お聞きします。
また、法の第三章に各種基本的施策がありますが、その最初に「教育の振興」というのがあります。これまでにも、県内の公立高校でも断酒会のアルコール依存症経験者を講師とした継続的なアルコール教育などが取り組まれたりしてきましたが、家庭、学校、職場において、展開し得る体制を今から検討していくべきだと考えますが、この項については、健康政策部長にお伺いします。
この項の最後に、第19条に「国及び地方公共団体は、アルコール健康障害に関連して飲酒運転、暴力行為、虐待、自殺未遂などをした者に対し、当該者に係るアルコール関連問題の状況に応じたアルコール健康障害に関する指導、助言、支援などを推進するために必要な施策を講ずるものとする」とされています。この責任を果たすためにも、あってはならない県庁職員や教職員の飲酒運転に対して、機械的に解雇とする処分ではなく、アルコール健康障害に関連したものかどうかを見極めながら、必要に応じて、指導、助言、支援などを推進することが必要ではないかと考えますが、総務部長のお考えをお伺いします。
次に、南海トラフ地震対策の取り組みについてであります。
助かった命をどうつなぐかという課題に向けて、これから取り組もうとしている県の視点は、極めて重要かと思います。
そこで、助かるための備えとしての災害時要配慮者支援対策と、助かった命をどうつなぐかという視点での津波火災について、お尋ねします。
まず、災害時要配慮者支援対策について、地域福祉部長にお伺いします。
3.11東日本大震災においては、被災地全体の死者のうち65歳以上の高齢者の死者数は約6割であり、障害者の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍に上っています。また、消防職員や消防団員、民生委員など避難を支援する立場の方も多数犠牲となられました。さらに長期にわたる避難生活でさまざまな困難な状況が生じるなど、災害時要配慮者の避難支援における課題が改めて浮き彫りになっております。
だからこそ、これらのことを教訓にするため、本県としても要配慮者支援対策として、先月21日までパブリックコメントを公募してきた「災害時における要配慮者の避難支援ガイドライン」を策定されようとしています。
しかし、その内容を見るにつけ、極めて迅速な策定と必要性が高い一方で、具体化の困難性も高いものであると感じざるを得ない面もあります。
そこで、まず現状における、災害時要援護者名簿の整備自治体と個別計画の策定自治体はどうなっているのか、沿岸自治体とそれ以外の自治体に分けてお聞きします。
また、個別計画の策定に至るには、要配慮者情報の収集がどれだけ実効性を持つかということから始まると思いますが、改正災害対策基本法における避難行動要支援者名簿の作成や要配慮者情報のスクリーニング、さらには、平時からの個人情報の活用に関する本人同意の取得などにおける、自治体と地域の連携や役割分担がどのように図られるか、ガイドラインの実効性についてお尋ねします。
さらに、津波浸水区域における、避難支援者の安全確保のための対策の退避ルールの検討の際には、いわゆる判断の際の責任論なども出かねないと心配する向きもありますが、それらの議論の方向性をどう指し示すか、お尋ねいたします。
2011年2月定例会で、香南市にお住まいの当時27才の女性が進行性の先天性筋ジストロフィという難病と在宅で向き合いながら暮らしていることについて、在宅生活を継続するための支援策を求めた質問をさせていただきました。
その後、県を初めとして、高知大学付属病院や香南市さらにはいろんな支援者の支援の中で、在宅生活の継続をされています。
そのような中で、在宅における自立への一歩を目指すことと、津波浸水地域にお住まいということの中で、浸水域外での公営住宅への入居希望の困難さに直面することになりました。清遠市長を初め香南市の皆さんも真摯に向き合ってくれてはいるものの、ここでも種々制度の壁に阻まれることになっています。
そこで、要配慮者支援対策として、浸水域外の公営住宅を事前に活用することで、避難行動の困難さを解消しておくということが検討できないかとの思いでお尋ねします。
津波浸水域における耐震性の確保ができない公営住宅がどれだけあるのか、また、それらを浸水域外に移転確保することに取り組むことが検討されているかどうか。その際、浸水域外の公営住宅を津波浸水域にお住まいの災害時要配慮者のうち、避難行動要支援者で転居を希望される方に優先的に入居してもらうことができないでしょうか。
そして、そのことによって、津波浸水における要配慮者の避難支援の事前の備えにつなげることはできないかとの思いで、この項は土木部長にお尋ねします。
次に、これまでにも何度か質問をさせていただいた津波火災対策についてお伺いします。
昨年12月4日、資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課と一般財団法人エルピーガス振興センターの主催で、私の住む高知市下知地域において、高知市災害対応液化石油ガス懇談会が開催され、災害対応におけるLPガスの活用について、液化石油ガス産業の現状と課題などについての情報提供と関係者間での意見交換が行われました。
地域の消費者委員として出席させていただいた私は、津波避難ビルに頼らざるを得ない下知地域の対面には、石油タンクやLPガスタンクが設置された基地を目の前にしており、自動車やLPガスボンベなど、さまざまな津波漂流物による津波火災への不安を感じていることについて意見を述べさせていただきました。
同席していた東洋大学社会学部関谷直也准教授からは、「この地域では、津波火災の危険性はある。まずは、命を守るための津波避難ビルであるということを考えたら、できるだけのことをやって備えておく必要がある」との助言をいただきましたが、一方で「一旦、発火すれば燃え尽きるまで、待つしかない」というお話もあり、二度逃げが不可能な津波避難ビルでの避難者の安全の確保は喫緊の課題ではないかと思います。
24年9月定例会の予算委員会での私の質問に対して、消防研究センターによる消火活動の研究結果を受けた国の対応方向を待ちたいとのことにとどまっていました。
県でも津波避難ビル指定に取り組むことの一方で、津波火災に取り囲まれる可能性における不安要素を取り除くことは、優先課題であります。
最悪の被災シナリオを描きながら、発火源となる石油タンクやLPガスタンクの流出防止対策は講じられようとしていますが、それ以外の自動車などの流出防止は現実的に無理な中で、今後、どのような対策をいつまでに検討されるのか、危機管理部長にお聞きします。
そして、この課題は、まさに避難場所まで避難し、助かった命をつなぐことができるかどうかの瀬戸際であります。昨年の、南海地震対策再検討特別委員会で気仙沼市を調査した際、津波火災についての質問に対して津波火災を念頭に置いたとき「津波避難ビルには、慎重にならざるを得ない」と言われていました。
そのような中、最悪、浸水深5メートルほどの浸水域で3階の津波避難ビル屋上に避難している避難者は、津波火災が迫った場合どうなると想定されるか。それを救助、または、鎮火させる方法はどのようなことが考えられるのか、あわせてお尋ねします。
次に、県内の雇用問題と県庁職場の課題について、お尋ねします。
冒頭、知事に対して、アベノミクスによる第三の矢が、働く者にとって厳しい環境を招きかねないことの懸念を指摘しましたが、昨年12月時点で見たときの有効求人倍率は0.78と高まっていますが、正規雇用は0.44で、求人数12,273人に対して、新規4,220件中、パートが1,714人で40.6%と求人の4割が非正規という状況になっています。
そのような中で、提案説明で「県と高知労働局、産業支援団体など7者で求人情報の拡大に関する協定を締結し、求人情報の掘り起こしやハローワークに提供する連携体制を構築することにより、求人数の総量や正社員求人数の拡大を目指す」と述べられましたが、連携体制を構築するということだけで、正社員求人数が拡大することの実効性が上がるのだろうかと疑問を感じる面もあります。
潜在化していた求人情報が顕在化するということだけではなく、具体的に正規雇用につながるのかどうかの見通しについて、商工労働部長にお尋ねします。
また、高知県建設業活性化プランを取りまとめ、入札の不調・不落への対応として、実勢価格を速やかに積算価格に反映する仕組みづくりを行うなどの方針も打ち出されており、これも雇用の面でも影響のある課題だと考えますが、労務単価の改善が具体的に賃金となって建設業労働者の所得として手元に届いているかどうかの検証がなされる必要があると考えますが、土木部長にお尋ねします。
さて、たびたび取り上げさせていただいている県庁職員の時間外労働の解消について、副知事にお伺いします。
昨年の2月定例会においても、同様の質問に対して、知事は「決して楽な仕事環境ではない中に置かれている」と述べ、副知事は、「県政の課題解決に向けた取り組みを進めていく中で、職員の忙しさがましていることは確か」と述べ、総務部長も「今後とも、適正な人員配置に努めるとともに、適切な業務管理、勤務時間管理の徹底」を示されました。
しかし、「活力ある職場づくりと公務能率向上について」という副知事通知が出された2012年度も前年度比1.5%増と減少には転じていません。
また、いわゆる目安時間と言われる年間360時間超過の時間外勤務者は、53職場217人と前年を上回っていますし、720時間超過者は12職場40人と高どまっています。
そのような中、抜本的な解消にはつながらない、勤務時間の弾力的な運用でお茶を濁そうとする姿勢ではなく、これまでも指摘してきたように、業務量に見合う人員配置によって取り組むべきではないかと考えます。
そこで、これまで知事、副知事ともに認めてきた業務量の増大に対して、一方で行革プランに沿って人員削減をしてきたことが、時間外勤務が解消しないことの背景にあるとの認識はないか、副知事にお伺いします。あわせて、今の業務量に対して、適正な人員配置が行われていると認識されているのかどうか、お伺いします。
また、昨年2月定例会では、今の段階で行革プランの方針を変える考えはないが、やみくもに職員数を減らすのではなく、緊急性、重要性の高い分野には、重点的に人員を配置して、県民サービスの向上につながるよう、取り組みを進める、との考え方でありましたが、現状のように人員削減が進む中で、時間外勤務が増加し、平時においてさえ組織が疲弊するという状況から脱却するために、来年度最終年度を迎える行革プランの改定に当たっては、目指す数値目標を定めた人員体制を、組織のスリム化方針に盛り込まないようにすることが考えられないかどうか、お伺いします。
また、東日本大震災以上の広域大規模災害となる南海トラフ地震への備えを考えたとき、他自治体からの支援が極めて困難であることなども想定される中、非常時を想定したとき、どれだけの人員配置が望ましいと思われるか、あわせてお伺いします。
次に、職場でハラスメントのない組織について、総務部長にお伺いします。
『こんな上司が部下を追いつめる』という産業医の荒井千暁さんの著書には、1990年代以降、組織体を取り巻く環境が大きく変わったとして、自分最優先というスタンスから上司と部下の関係性が薄れる中で、「何かが置き去りにされたまま、職種を越えて、職場そのものが崩れようとしている。置き去りにされたのはコミュニケーションだ。心の病が多発するほどコミュニケーションが粗雑になっているのか。思い当たることがある。それは職場環境の逼迫と『わからないこと』の厖大化である」と指摘していますが、それは、県職労女性部のアンケートにも現れている、特定の者だけにきつく当たったり、気に入らない職員には返事すらしなかったり、結婚した女性職員に人事権をちらつかす上司など、県庁の職場とあまりに似通っていないかと感じたところです。
しかし、県では、このような事例に対して、パワーハラスメントではなく、行きすぎた指導と言うことで、多くの事例が根本的な解決に至らず、組織としての病根を残し、職員間の不満を残したままの対処で終わっているのが、実態のようにうかがえます。県は、謙虚にハラスメントがあるという前提で対処をするべきではないかと考えますが、総務部長のお考えをお伺いします。
この間、県警察がハラスメントの調査を行い、少なくとも4人に1人が何らかのハラスメントを受けているということを明らかにしました。まずは、そのような実態把握からスタートすることになろうと思いますが、知事部局を初めすべての県庁組織で実態把握を行い、その実態を把握することから組織の健全性を確立することを目指すべきではないかと思いますが、総務部長にお伺いします。
既に、第1日の吉良県議の質問に、教育長が答弁された点もありますので、そのことも踏まえて、県立高校再編振興計画前期実施計画(案)における、いわゆる県立南中高校の再編統合計画案について、お尋ねします。
先週、土曜日、1日に、私は、第25回南高校卒業式に出席させていただきました。
生徒たちは直接、母校の将来については触れられませんでしたが、南高校を大切に思う卒業生たちの気持ちを守り続けると結ばれた送辞、そして、南高校のさらなる発展をお祈りしてという卒業生の答辞の結びにも、通常なら常套句のように思われるかもしれないその言葉に、強い気持ちが込められていたように思わざるを得ませんでした。このような状況にありながら、誰もが口々に評価していた立派に卒業式をなし遂げられた卒業生を初めとした生徒たちや保護者、教職員関係者の皆さんの気持ちを思うと本当につらいものがありました。
教育長は、吉良議員の質問に答えて、「生徒一人一人へのアンケートなどを通じて、生徒の心の状態の把握に努め、スクールカウンセラーなども活用しながら、卒業まで安心して学べるよう、しっかりと対応していく」と答弁されていましたが、そこまでしなければならない状況をつくり出した教育委員会の責任は極めて重いのではないかと思います。
大型外国客船サン・プリンセス、高知寄港の際に果たす南高校ボランティアガイドの役割、INAP2013高知会議での南高校国際科生徒による英語スピーチなど、国際教育の成果も県は充分に承知されていることだと思います。
にもかかわらず、これまでの南中・高校の役割と成果が何ら総括されないまま示された、いわゆる県立南中・高校の再編案は、幾らたたき台であると言っても提案内容、手順のどれをとっても、関係者や県民の理解を求めるには極めて不十分なもので、納得できるものではありません。
そこで、教育長にお聞きしますが、ゆっくりと時間をかけてと言われた検討期間の延長ができるのであれば、なぜ、あの時期に公表したのかということは厳しく問われなければならないと思います。在校生や出願者及び保護者を初めとした関係者に思いをはせたときに、あの時期に公表しなくてもよかったのではと反省されているのか。
また、たたき台の議論を今後より慎重に行っていくということでありますが、それによって現在のスケジュールが大きく変わっていくことがあるのか、あわせて教育長にお聞きします。
最後に、2月18日付け高知新聞には、高等学校課長に対するロングインタビュー記事を掲載してありました。そこでの課長の説明に逐一疑問を投げかけたい思いはありますが、これだけは看過できないとの思いでお尋ねします。
各校学級減という方法における教員定数減少に伴う教員人件費の県費負担について「県民が道路とか建物とかは構わんとなればやれるかもしれないが、(教員の配置で)そんなことになるとは思えない」と述べているが、教育行政を担う者が語るべき姿勢ではないというふうに私は思いました。高知県教育委員会としてもそのような姿勢なのか、教育委員長にお伺いして第一問とさせていただきます。
◎知事(尾ア正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。まず、安倍政権の行った政策が景気回復が実感できる実体経済の好循環につながったと評価しているかとのお尋ねがございました。
安倍政権は、長引くデフレからの脱却と低迷する我が国経済の再生に向けて、アベノミクスの三本の矢である大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を着実に進めております。その結果、実質GDPが四半期連続でプラス成長となるなど、わが国経済は着実に上向いているものと受けとめておりますし、先月19日に内閣府が発表しました2月の月例経済報告においても、基調判断として景気は緩やかに回復しているとされており、景気は回復基調にあるものと考えております。これは、久方ぶりのことであり、喜ばしいことだと思っております。
他方、有効求人倍率は、1を上回りましたものの、昨年の労働者一人当たりの平均賃金を示す現金給与総額は一昨年と同水準であります。全体としては、景気回復を皆が実感するまでに至ったというより、至ろうとする力強い回復過程にあるという状況にあるのではないかと思っております。こうしたことから、国におきましては、現在の景気回復の動きを確実なものとし、持続可能な経済成長につなげていくために、第三の矢である成長戦略を強力に推進していただきたいと考えております。そして、経済の好循環を生み出していただきたいと考えており、その好循環が本県のような地方にも及ぶことを期待しております。また、県としましても、国全体の景気回復のトレンドとしっかり連動できるよう、引き続き産業振興計画初め、各般の取り組みを強力に推進してまいります。
次に、国の雇用制度改革に関連し、雇用が維持されているか、適正な雇用の維持とはどのようなものと考えるのかとのお尋ねがありました。
国は、リーマンショック以降の急激な雇用情勢の悪化に対応するため、雇用調整助成金の支給要件の緩和や助成額の拡大を行い、さらには、一時的な雇用機会を創出するために緊急雇用基金事業を創設するなど、雇用を維持するためのさまざまな取り組みを行ってまいりました。リーマンショック後の雇用対策の効果については、厚生労働省が平成24年5月に検証を行っており、雇用調整助成金を利用した事業所の1年経過後の廃止率が0.71%、また、助成対象となった労働者の半年経過後の雇用維持率が93.8%となるなど、この検証結果を見る限り、雇用の維持には一定の効果があったと認識しております。
一方、雇用情勢は、例えば、産業集積の状況や成長産業の有無など、各地域の産業構造によって大きく違ってまいります。高知県の場合は、成長産業が少なく、有効求人倍率が過去最高になったと言いましても、たかだか0.79倍でありますし、また、意に反して非正規の職に就いている方も全国平均と同様の2割程度はおられると思われます。
こうした状況を考えますと、本県として、適正な雇用が維持されているというには、まだまだ課題もあると考えております。雇用の情勢は、その時々の経済環境、人口動態や企業の状況、働き方に対する人々の価値観など、さまざまな要因が重なり、影響し合うものと考えます。雇用政策は、そういった諸要因や経済の発展という面も踏まえ、その時々において決定されるものであると、適正な雇用の維持が何かについても、そうした政策や状況のもとで判断されるものと考えております。
次に、雇用調整助成金の予算を削減し、労働移動支援助成金を増額するなどの抜本的な見直しは、早期退職を促すことにつながるのではないかとのお尋ねがありました。アベノミクスの成長戦略の政策として打ち出された政策転換は、個人が経済成長の担い手として活躍できるよう能力を高めるための支援策の充実や求職者と企業とのマッチング機能を強化することなどによりまして、成熟産業から成長産業へ、失業なき労働移動の実現を目指すものと認識しています。議員が言われますように、既存の雇用を守ることに力点を置いた雇用調整助成金を大幅に削減し、成長産業への雇用の移動を目指し、労働移動支援助成金を増額するなどの見直しが急激に実施されました。移動の受け皿となり得る成長産業が少ない地域では、既存の雇用の確保が難しくなることや円滑な移動が進まないといった懸念もあります。
今回の政策転換については、現在、産業競争力会議の雇用人材分科会で転職者を企業に受け入れていただく仕組みの強化や、円滑な再就職につながる教育訓練の充実といった実効性を高めるための議論がされており、今後も引き続いて検討されるものと認識をしております。
県としましては、地域によって円滑に移動が進まない、既存の雇用の確保が難しくなるといった事態が起こらないよう、今後の国の検討において、適切な制度設計を行っていただきたいと思っております。あわせて、繰り返しになりますが、産業振興計画などに全力で取り組んでいきますことで、成長産業の育成にも努め、雇用の場の創出につなげてまいりたいと考えているところであります。
次に、多様な働き方の実現が望ましい雇用環境の改善などにつながるのかとのお尋ねがありました。
成長戦略では、経済のグローバル化や少子高齢化への中で、今後経済を新たな成長軌道に乗せることを目的に思い切った雇用制度改革に取り組もうとしています。この中の、主要な取り組みとして、個人がそれぞれのライフスタイルや希望に応じて、社会での活躍の場を見出せるよう制度の見直しを進め、多様な働き方の実現を目指すことが明記されております。議員のお話にありました労働者派遣制度の見直しは、労働政策審議会におきまして、派遣労働者の保護及び雇用の安定を積極的に図ることや、キャリアアップを推進することなどを基本的な視点にして、検討がなされておりまして、今後国会で議論されることとなっております。
また、多様な正社員の普及拡大につきましては、国の産業競争力会議において、職務や勤務地、労働時間などが限定される正社員、いわゆるジョブ型正社員のあり方も含め、今後議論が深めるられることになっています。この議論が進み、柔軟で多様な働き方が拡大されれば、転勤や長時間労働に対応できない方々にとりましては、有効な働く場となると期待されます。また、本来正式職員として働きたいが、非正規で働かざるを得ない方々に対する改善策にもつながるものと思われます。一方で、派遣労働者の受け入れ期限が事実上撤廃されることで、派遣などの非正規雇用が一層拡大され、不安定な働き方がふえるのではといった懸念の声もあります。
いずれにしましても、今後、各方面でさまざまな意見が出されると思いますので、国の産業競争力会議でも検討が進められますので、これらの動きを注視してまいりたいと考えているところでございます。
次に、東京オリンピック・パラリンピック招致の際、安倍首相のプレゼンテーションにあった汚染水の影響を完全にブロックは事実であるとして、今回の招致を歓迎しているのか。また、事実であるとしたら、その根拠は何かとのお尋ねがありました。
総理は、昨年9月に開催された国際オリンピック委員会総会におけるオリンピック招致のためのスピーチでの発言について、その後の予算委員会において、The situation is under control. と言ったのは、私が責任者として状況を把握していて、それに対する対応をしっかりと行っているということであり、近海で行っているモニタリング結果においても、その数値が基準値をはるかに下回っているという状況を含めてコントロールしているということであり、ブロックされているというのは、健康への影響について影響は完全にブロックされているとの趣旨の発言だったと答弁されております。私は、そのような趣旨だと受けとめさせていただいております。また、こうした一連の発言を受けて、その後、国際オリンピック委員会の委員から、日本での開催に異論が出たということは伺っておりません。
いずれにいたしましても、先の9月議会でも申し上げましたとおり、2020年のオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることは、スポーツの振興はもとより、今後の経済成長にも大いに弾みがつくものと思われ、素直に喜びたいと思いますし、本県の経済活性化等につなげてまいりたいと思うところでございます。
次に、原発に関する安倍総理の姿勢について、どのように評価しているかとのお尋ねがありました。
安倍首相は、今国会の施政方針演説において、原発依存度は可能な限り低減させていくこと、原子力規制委員会が定めた世界で最も厳しい水準の安全の規制を満たさない限り、原発の再稼働はないことを表明しております。
私としても、原発への依存度は、徐々に徐々に低減していくべきであること、新規制基準に基づき、厳格な上にも厳格な審査を行った上で、基準に該当しない原発は稼働させないとの姿勢を堅持するべきであることを前々から申し上げており、その点において、大筋の方向性はそれほど違っていないと思います。
ただ、私が国にお願いをしたいのは、原発への依存度を低減していくためのリアリティーを持った道筋をしっかり示していただくことであります。これが大切かと思っております。
次に、伊方原発の再稼働について、安全確認に納得する基準、また県民の素朴な疑問を把握する場などについて、お尋ねがありました。
まず、伊方原発の再稼働については、従前から申し上げておりますように、一たび、伊方原発で事故が起きれば、本県も事故の影響を直接的、間接的に受けるおそれがあります。そのため、伊方原発の安全確保については、非常に強い関心を持っており、第一に、国の説明内容の妥当性と四国電力の追加安全対策を含めての真摯な取り組み姿勢。第二に、東海・東南海・南海地震、3連動に対する安全性の確保。第三に、異常発生時等の本県に対する迅速な通報・連絡体制の確立という三つの条件を満たしていることが必要てあるとの考えに変わりはありません。原発は、高度な技術の塊であるため、その安全性については、国の原子力規制委員会において、専門的な立場からしっかりとチェックしていただくことが大前提であります。あわせて、県民の皆様の伊方原発に対する強い不安や御心配の声があることを踏まえて、県民の安全に責任を持ち、また、県民の声を代表する者として、四国電力に対して、勉強会を通じて、伊方原発の安全対策について詳細な説明を求め、確認を行っているところであります。
御質問のございました、県民の皆様の疑問を把握する方法につきましては、マスコミでの報道等から拾い上げることもできますし、これまでにも、県に対して、直接県民の皆様から多くの声が届けられているところであり、それらの中で、共通する疑問や安全上キーポイントとなるような疑問については、我々としても確認すべきだと考えております。
勉強会では、福島原発事故で問題となった事象や県民の皆様からの疑問も踏まえ、いわゆる、とめる、冷やす、閉じ込めるの機能が、地震や津波に耐えることができるのか、火災に対する対策はどうか、プルサーマルの安全性はどうか、万一の事故による防災対策、これがどれだけ強靭であるかなどについて確認をしているところであります。
勉強会の中では、それぞれの項目について細分化して突っ込んだ質問を行い、その回答を得て、納得行くまで問い続けると、そういう形で進めており、マスコミを含め、公開の場で議論しておりますので、議論の過程については必要に応じ、知っていただくことが可能となっております。
また、勉強会での議論につきましては、しかるべき時期に内容を取りまとめ、公表させていただきますし、仮に、国が再稼働の判断をした場合には、それまでの積み重ねに立って、本県としての意見を述べさせていただきたいと考えておるところであります。
次に、復興特別法人税の1年前倒し廃止や、さらなる法人実効税率の引き下げによって、雇用の拡大や労働者の賃金引き上げに回り、それが消費への増加を通じて、さらなる景気回復につながると考えているのかとのお尋ねがございました。
言うまでもなく、復興特別法人税の1年前倒し廃止や、現在議論されておりますさらなる法人実効税率の引き下げにより拡大することが予想される企業の収益を、雇用の拡大や労働者の賃金引き上げに使うかどうかは、個別の労使間の交渉などを通じて決定されるものでございます。そうした認識に立って、政府と経済界、労働界は真摯な議論を重ね、昨年12月、賃金上昇に向けた取り組みを含め、政労使が経済の好循環実現に向け、一致協力して取り組むとの共通認識に至ったものと理解をしております。
また、国におきましては、平成26年度の税制改正の中で、生産性の向上につながる設備投資促進税制措置の新設や、所得拡大促進税制の大幅な見直し、拡充を盛り込んでおりますし、さらには、中小企業に対する物づくり補助金におきまして、賃上げを行う企業を優先的に採択するなど、企業の競争力強化や賃金の引き上げに向けた環境整備に取り組んでおります。
こうした取り組みが着実に行われることを通じて、それぞれの企業の雇用の拡大や労働者の賃金引き上げにつながり、消費の拡大にもつながっていくのではないかと考えているところであります。
次に、個人所得への還元が不確かな所得拡大促進税制より、復興特別所得税の期限つき停止のほうが個人の可処分所得を高めて、消費、需要の拡大につながるのではないかとのお尋ねがありました。確かに、議員からお話にございました所得拡大促進税制は、給与等の支給額を増加させた場合に法人税額から税額控除を行うものであります。確実に労働者の賃金引き上げにつながるものではないことから、復興特別所得税の停止により直接労働者等の可処分所得を高めてはどうかという考え方もあるのではないかと思います。しかしながら、その規模感で見た場合、復興特別所得税は夫婦、子2人で年収500万円のサラリーマン世帯で、年間1,600円の負担とも言われております。消費の全般的な拡大という面では、効果に疑問があるのではないかと思っております。むしろ、経済のグローバル化が進む中で、持続可能な経済の好循環を実現していくために、今、求められているのは、企業そのものの収益の拡大を図り、その拡大した収益を労働者の賃金上昇に使っていただくとともに、加えて、設備投資などにも活用し、雇用の拡大や競争力の強化というプラスのスパイラルを生み出していくことではないかと考えています。所得拡大促進税制は、こうした流れを労働者の賃上げにもつなげていくための環境整備の一つではないかと、そのように受けとめさせていただいておるところであります。
次に、法人住民税の一部を国税に還し、地方交付税財源として地方に再配分されることとなったことについて、お尋ねがございました。
本年4月からの消費増税に伴いまして、地方交付税の不交付団体には、社会保障支出の増加額を上回る増収が生じる一方、交付団体については、これが地方交付税の減少と相殺されることとなりますため、不交付団体と交付団体の間で財政力格差がさらに拡大するおそれがあります。さらに、景気が回復基調にあり、今後、地方法人2税の税収加が見込まれる中で、地域間での税源偏在のさらなる拡大も懸念されるところであります。
こうした、地域間の財政力格差や税源の偏在性の拡大は、特に本県のような財政力の弱い団体にとっては極めて深刻な問題でありますことから、私自らが四国知事会を代表しまして、昨年末に国に対して緊急提言を行ったところであります。
具体的には、今回の地方消費税の充実とあわせまして、地方法人課税のあり方の見直しにより、税源の偏在是正処置を講ずることが必要不可欠であり、偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築の観点から、偏在性が小さく税収が安定的な消費税と、偏在性が大きく税収が景気にされやすい地方法人課税との税源交換などについて検討すべきと訴えてまいりました。最終的に、平成26年度の税制改正におきましては、法人住民税、法人税割の一部を国税化し、地方交付税原資化することによる税源の偏在是正措置が来年度から導入されることとなりました。
今回の措置につきましては、税源の偏在是正方策を確実に実現すべきとの四国知事会の緊急提言を踏まえたものと理解しておりまして、また、本県のように歳入に占める地方交付税の割合が高い団体にとって、一定の偏在是正効果が見込まれることを踏まえましても、税源の偏在是正のための現実的な選択肢として一定評価できる内容だと考えております。
また、今回の措置によりまして、法人住民税の一部が国税化されるものの、その全額は国の一般会計を通さず、交付税特別会計に直接繰り入れ、地方の固有財源である地方交付税の原資とすることが明示されております。今回の措置は、地方財源の充実という点にも一定の配慮がなされているものと考えておるところであります。
次に、我が国近隣から同盟国に向かうミサイルを、我が国が仮に迎撃したとして、日本が交戦状態に陥る可能性はないか。陥った場合、弾道ミサイルが頭上を飛ぶという以上に、無辜の日本国民を危険にさらすことにならないかとのお尋ねがございました。
議員のおっしゃるような事態は、決してあってはならないし、そうした事態に陥らないよう関係国が懸命の外交努力を行うべきことは当然でありますが、仮にも、我が国近隣から同盟国に弾道ミサイルが発射される事態となった場合は、この場合、両者の間は既に交戦状態であると考えられます。こうした状態に陥った場合、我が国がミサイルを打ち落とす、打ち落とさないにかかわらず、同盟関係にある我が国にとっても相手国からの攻撃が切迫している状態にあることを意味しており、そうした状態において、我が国がミサイルを打ち落とす能力があるのに打ち落とさないままでいれば、我が国の安全を守るために必要不可欠な同盟国との信頼関係を決定的に損ない、その助けを期待できないものとすることによって、日本国民を著しい危険にさらすこととなってしまいます。
(「そのとおり」と言う者あり)
さらに言えば、いずれの国も、一国では自らの平和と安全を維持することが困難な現況下において、同盟国等との連携、国連の安全保障の枠組みの重要性がましている中で、ひとたび同盟国の国民を救えたのに救わないでいたという行いをしてしまえば、同盟国はもとより、国際社会の信頼を後世に至るまで失い、結果的としてわが国の安全保障の基盤を決定的に損ない、日本国民を長きにわたり著しい危険にさらすことになりかねないものと考えております。
次に、防衛目的を逸脱することのない法的枠組みについて、さらに、集団的自衛権の行使容認に関する解釈変更についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
これまでも申し上げておりますように、私は、集団的自衛権の行使を一定に認めるべきと考えておりますが、そうであっても、防衛目的を逸脱するようなことが決してあってはならないと考えています。このため、どのような場合に行使を認め、どのような場合に認めないのかという議論を徹底して深めていく必要があると考えており、ぜひ、国民的議論を行っていくべきだと考えております。
お尋ねのありました防衛目的を逸脱することのない法的枠組みにつきましては、憲法の中で集団的自衛権が行使できることを位置づけた上で、自衛の目的を超えるものが際限なく行使されることがないよう歯どめとなる立法措置、例えば、行使できる事例の限定列挙、行使する際の手続の法定化などが必要であるという考えを述べさせていただいたものであります。
そうした議論を経て、認めるべきとされた集団的自衛権の内容が現行憲法で認められないということになるのであれば、やはり、この点そのものに関し、憲法改正を目指して改めて国民的議論に付すべきだと思っております。いずれにせよ、憲法のありようや我が国の将来を大きく左右するため、とにかく慎重に、しっかりと国民的議論に付していくことが非常に大事だと考えておるものであります。
次に、特定秘密保護法が自治体に及ぼす影響としてどのようなことが想定されるのかとのお尋ねがございました。
特定秘密保護法は、我が国及び国民の安全を確保するために、安全保障に関する情報のうち、防衛に関する事項を初めとする4つの事項について、特に秘匿することが必要な情報を特定秘密として指定し、保護に必要な措置を講ずるとともに、取扱者の制限などを定めることにより、その漏洩の防止を図ろうとするものでございます。
こうした情報を国が保護していくことは、国民にとって非常に重要なことであり、私自身もこうした制度は必要であると考えております。地方公共団体に及ぼす影響につきましては、現在、国が制度の構築に向けて、さまざまな検討を行っているところであり、現時点において確定的な判断はできませんが、同法は、我が国の安全保障に関する情報のうち、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止に関する情報など、地方公共団体の活動には直接関係するものを対象とはしておりませんので、この点においては、直接的な影響はないのではないかと受けとめております。
ただ、同法が施行されることにより、これまで国から情報提供があった県民にとって重要な情報についても提供されなくなるのではないかなどの懸念の声があることも事実であります。国からは、これまで以上に秘密の範囲を広げるものではないとの見解は示されておりますが、今後、どういったものを特定秘密とするかなど、国における議論を注視していきたいと考えているところであります。
次に、知事が特定秘密の提供を受けたり、取扱者となることはないのか。一方で、県警察が保有する特定秘密は、知事にも把握できないのかとのお尋ねがございました。
同法においては、特定秘密は国の行政機関、都道府県警察及び基準に適合するとされた事業者のみが取り扱うこととされており、また、安全保障や公益上必要があると認められる場合などに限り、国会や裁判所などに特定秘密を提供することができることとされております。知事を初めとする地方公共団体の長につきましては、特定秘密を取り扱うことや、または、提供を受けるといったことについての規定がなされておりませんので、基本的に、知事が特定秘密の取扱者になることはないものと、現段階では理解しております。
また、県警察が保有する特定秘密にについてのお尋ねにつきましても、県警察から知事に特定秘密を提供できるといった規定もございません。今後の法整備にもよりますが、基本的に、これを把握することはないと理解をいたしております。
次に、今後、日米共同の防災訓練を計画する際に、オスプレイの事故原因などが特定秘密とされ、照会しても回答がない中で県民の安全が確保されていると判断するのか、また、原発事故が起きたとき、炉心溶融や緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムなどの情報が、県を初め、県内自治体に迅速に提供されると考えるのかとのお尋ねのございました。
この法律が、国民の命を守るためのものであるという原点に立てば、航空機事故に関する情報は運航の安定を通じて国民の安全に大きくかかわるものでありますので、積極的に開示されるべきであり、特定秘密に指定されるべき性質のものではないと考えております。
オスプレイに関して言えば、過去の事故原因に係る情報を踏まえて、我が国での飛行の運用に関する日米合意がなされ、先日の訓練では、その合意を前提として、当方より侵入経路や飛行モードの転換場所の配慮など安全性の確保について申し入れを行ったところであります。このようにオスプレイの安全対策に関しても、これまで情報の開示、対策と一連の流れが確保されてきたところでありますけれども、国においては、今後もこうした姿勢を堅持していただきたいと考えております。
また、原発事故が発生した場合においては、住民の安全確保が何よりも優先されなければなりません。本県の場合、四国電力からは、例えば、発電所の敷地境界付近で放射線が検出された段階で、直ちに情報が提供されることとなっております。また、お話のありました炉心溶融などの過酷な事態に至った場合は、原子力災害対策特別措置法に基づき、直ちに公示するとされていますし、SPEEDIの予測計算結果については、災害対策基本法に基づく防災基本計画に基づき速やかに公表されます。SPEEDIの情報を含む原発事故の情報につきましては、先の国会審議において、特定秘密には当たらない、住民の避難に必要な情報は迅速に公開されるべきである旨の政府見解も示されておりますので、特定秘密に当たるとして情報が公開されないといったことにはならないものと受けとめております。
次に、県警察が把握している特定秘密情報を県民に明らかにするため、情報取得の働きかけを行う議員、県民などの声が特定秘密保護法第25条における処罰の対象となるのかとのお尋ねがありました。特定秘密保護法に規定される教唆につきましては、国会において独立教唆が成立するためには、教唆者が漏洩を唆している対象が特定秘密であるとの認識がまず必要である。また、独立教唆が成立するためには、犯罪を実行させる目的をもって、人に対してその行為を実行する決意を新たに生じさせるに足りる、唆す行為をすることが必要で、どの程度の行為が必要かについては、個別具体的な事案に即して判断すべき事柄であり、一概に述べることは困難であるが、単に語気を強めて特定秘密を教えるように迫るだけでは犯罪行為を実行する決意を新たに生じさせるに足るものとは言えず、本法第25条の独立教唆は成立しないものと考えるとの答弁がなされているものと承知しておりまして、御質問の件は、独立教唆には当たらないと考えております。
この法律につきましては、全般として、国民の間にさまざまな懸念や不安の声が残っていることも事実であります。今後、国においては、同制度が適正に運用されるためのしっかりとした基準をつくり上げていくこと、さらには、行政機関以外のチェックも働く重層的な仕組みを構築することなど、運用のあり方について検討を深めていくとともに、広く国民の理解が得られるよう、その過程を明らかにするなど、丁寧な説明に努めていただきたいと考えております。
次に、高知県が課題解決の先進県になることで、転入超過に転ずることは可能と考えているのか、また、生き心地、暮らし心地のよい高知県を目指すために、さらに補わなければならない課題について、お尋ねがございました。
私は、五つの基本政策を通じて、生き心地、暮らし心地のよい高知県づくりをも目指していきたいと考えております。
産業振興計画は、経済の活性化を目指すものでありますが、あわせて、個々人にとっても生きる糧を生み出すとともに、やりがいや志を持つ、そういう取り組みを新たに生み出していく、そういう側面もあるものと考えているところです。
日本一の健康長寿県構想は、健康で長寿な生活を送ることができるよう、保健医療の体制を整えるとともに、高齢化、過疎化が進む中において、ますます必要となってくる高知型福祉の推進、そういったことを目指すものであります。一人でも多くの皆様の心身ともの健康を確保し、超高齢化、過疎化社会の中においても健やかに暮らしていける高知県づくりを行おうとするのが、健康長寿県構想であります。
そして、教育改革はすべての基本であり、南海トラフ地震対策も、安全安心の確保という点において、すべての前提であります。また、こうした取り組みを進めていく上で、本県において大きな課題となるインフラ整備にも着実に取り組んでまいります。
このように、五つの基本政策というのは、人々が心身ともに健康で誇りと志を持って暮らしていける高知県づくりを目指すものであり、また、そうした人生が送れるように、未来の高知県を担う子供たちをはぐくみ、また、高齢者の皆様方の暮らしを支えようとするものであります。
さらに補わなければならない課題は何かとの御指摘でありますが、私としては、生き心地、暮らし心地のよい高知県を目指すためにも、引き続き、この五つの基本政策に着実に取り組んでいきたいと思っております。
全国的に人口減少、高齢化社会が進展し、厳しさがましていく中で、こういう諸課題に真っ先に取り組んで解決先を提示しようと、五つの基本政策に取り組んでいる県として、また、すばらしい人の魅力を持つ県として、これらの諸点を大いにアピールし、移住促進を図り、若者の定着を図ることで、転入超過に転ずることを目指していきたいと考えているところでございます。
最後に、全市町村を視野に入れた産後ケア体制づくりについて、お尋ねがございました。
子供を安心して産み育てられる環境整備には、妊娠から出産、子育て期までの切れ目のない支援が必要であり、産後ケア事業については、出産後の休息と心身の回復を促し、育児への支援や母親の孤立化を防ぐために、とても重要であると考えております。
厚生労働省においても、妊娠出産にかかる相談支援サービスの充実と連携の強化のために、来年度新たにモデル事業を創設し、母子保健コーディネーターの配置と産前産後サポート事業、産後ケア事業の3つの事業を一体的に実施する市町村を対象に、補助を行うこととしております。
しかしながら、県内の市町村では、子育てサークルなどによる仲間づくりや、新生児訪問時の産婦支援などが個別に実施されているところはありますが、包括的に提供されているところはありません。このため、3事業を一体的な事業として展開するには、サービス提供の場の確保と専門的な人材の育成や確保が必要となり、国のモデル事業をこのまま本県で活用することは困難な状況にあります。
そこで、来年度は、内閣府の地域少子化対策強化交付金を活用しまして、まずは、乳児を持つお母さんにアンケート調査を実施をし、本県に必要な産後ケアに関するニーズを明確にした上で、産後ケアに関する専門家や市町村関係者のほか、育児中の母親の皆様などで構成する検討会を開催させていただきまして、本県にあった産後ケア体制の仕組み、これを検討したいと考えております。
この検討を通じまして、県内のどこの地域で出産しても、出産直後のお母さんが必要とされる産後ケアサービスを受けることにより、心身の健康が保たれ、育児や健康管理の能力が獲得されるとともに、孤立を防止する環境を整えてまいりたいと考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
◎警察本部長(小林良樹君) 特定秘密の保護に関する法律に関しまして、2点御質問をいただきました。順次、お答えを申し上げます。
第一に、県警察において、警察本部長以外の職員の関与は、どこまで及ぶものと考えるのかとの御質問をいただきました。
この点に関しましては、まず、特定秘密保護法第3条の規定に基づき、警察庁長官は、特定秘密を指定することとされております。さらに、同法第7条の規定に基づき、警察庁長官は、特定秘密を県警察に提供したりする場合には、当該情報を取り扱う職員の範囲を限定するなどの措置を指示するものとされております。したがいまして、県警察といたしましては、当該指示に従って、特定秘密を取り扱うことになるというふうに理解をしているところでございます。
第二に、警察内部の関与のあり方について、知事に報告をするのかとの御質問をいただきました。
特定秘密保護法の具体的内容につきましては、いまだ、政令及び運用基準が策定されておりません。したがいまして、どのような情報が特定秘密として指定されるのか、そして、県警察に提供されることとなるのかなどの点については、現段階では判明しておりません。こうしたことから、県警察といたしましては、今後の政令及び運用基準の策定にかかる動向に注視しつつ、適切な対応が図れるよう万全を期していくこととしたいと考えております。
いずれにいたしましても、県警察といたしましては、引き続き高知県公安委員会の管理のもと、法令の規定に従い、県民の皆様の安全安心の確保に努めてまいりたいと思っている次第でございます。
以上であります。
◎地域福祉部長(井奥和男君) まず、子供の貧困対策について、国の大綱策定を待つのではなく、大綱策定に向けて国への提言を行ってはどうかとのお尋ねがありました。
子供の貧困問題に焦点を当てた法律が、我が国で初めて制定されましたことは大変意義深いことだと受けとめています。さまざまな要因が複雑に関連する貧困の連鎖を断ち切るためには、国、県、市町村が協力しながら、教育、福祉、労働などといった多方面にわたる各種の施策が総合的に、横断的に進められていくことが必要になってまいります。
県では、今後、国において策定されることとなります教育、生活、保護者の就労、経済の4分野を中心とする支援策の大綱を踏まえ、本県の実情に応じた具体的な支援計画を策定することが必要になりますので、今後の国の動向などを含めて、情報の収集に努めてまいります。あわせて、関係部局とも連携を図りながら、本県の課題解決につながる必要な施策については、全国知事会などとも連携をいたしまして積極的に国に提言してまいりたいと考えています。
次に、地域少子化対策強化交付金の活用状況についてのお尋ねがありました。
地域少子化対策強化交付金につきましては、結婚、妊娠、出産、子育てなどのライフステージに応じて、切れ目のない支援を実施することを目的に、自治体による独自の創意工夫を生かした新たな取り組みを支援するものとなっております。
このため、県の計画では、結婚から子育てまでにとどまらず、女性の就労支援までをも含めて、相談者の方が求める幅広な情報の最適な窓口へとワンステップでつなぐ総合相談窓口の設置とあわせて、婚活セミナーの開催や男性を対象とした妊娠出産などの正しい知識の普及啓発事業などに取り組むこととしております。
一方、県下の市町村におきましては、現在4市町村と広域連合を含めた5団体において、子育て中の保護者の孤立化を防ぐために、地域のコミュニティー力を強化する取り組みや、集団生活への不安があったり、発達が緩やかな子供たちを対象に集団生活への不安感を取り除き、基本的な生活リズムを身につけるための体験プログラムを実施する事業、あるいは、地域における独身者の婚活活動を支援する取り組みなどが具体的に検討をされております。
県といたしましても、こうした市町村などの今回の交付金の趣旨を生かした創意工夫に富んだ新たな取り組みを支援してまいりますとともに、今回創設されました地域少子化対策強化交付金を足がかりといたしまして、引き続き、国への抜本的な少子化対策の強化に向けての政策提言活動などに取り組んでまいります。
次に、自殺予防対策について、本県における生きることへの大きな阻害要因とそれへの対策として、自殺対策行動計画の相談支援の充実に向けた取り組みで十分かとのお尋ねがありました。
本県における自殺に至る原因動機別を見てみますと、全国とほぼ同様、健康問題、経済、生活問題、家庭問題の順となっております。こうした中、今年度、高知県自殺対策行動計画の見直し作業を行った結果、中山間地域となります町村部や男性高齢者の自殺死亡率が高どまりしていることなどが明らかとなりました。その背景といたしましては、孤独感や経済的な要因などが生きることへの大きな阻害要因として関係しているものと考えております。
このため、今後は、見直し後の高知県自殺対策行動計画に基き、重点的な取り組みを進めていくこととしております。中山間地域への対策といたしましては、これまでの地域ごとの関係者によるネットワーク会議を活用した相談支援体制を強化いたしますほか、地域の中で悩んでいる人に気づき、受けとめるゲートキーパーなどの養成による、悩みを相談しやすい環境づくりに努めてまいります。あわせて、高知命の電話の相談員の確保やスキルアップに向けた取り組みへの支援を強化いたしますとともに、心の無料相談会の開催などにも引き続き取り組んでまいります。
こうした取り組みなどを通じまして、自殺予防のための相談、支援体制の充実強化を図ることにより、誰もが孤独に陥ることなく、地域ぐるみで見守り支え合うネットワークづくりを推進してまいります。
次に、うつ病などの精神疾患に至る原因となるさまざまな要因を取り除くような自殺予防対策の取り組みになっているかとのお尋ねがありました。
自殺は、社会経済的な要因とあわせて、その人個人や家族の問題などが複雑に絡み合って生じることとなります。このため、自殺を予防するためには、精神疾患への対策のみならず、自殺の背景にある社会経済的な要因などが与える影響を軽減するための、総合的な取り組みが必要だと考えております。
こうしたことから、県下で自殺死亡率が高くなっている福祉保健所管内などにおいて、失業や多重債務などの問題に、経済面と心の健康面の双方からの相談に応じる、くらしとこころ・つながる相談会などの取り組みを強化することとしております。また、あわせて、消費生活センターや商工会議所、あるいは、ハローワークなどで自殺に至るさまざまな原因と密接に関係する相談業務などに従事している職員への自殺予防に関する正しい知識の普及啓発などにも取り組んでまいります。さらには、地域ごとの関係機関などが連携強化を図ることにより、相談内容に応じた最も適切な機関において効果的な支援が可能となるような体制づくりに向けた取り組みも進めていく必要があるものと考えております。
次に、本県の若者の自殺の特徴とその対策についてのお尋ねがありました。
本県で平成20年から24年の5年間に自殺で亡くなられた20歳代の方の原因、動機といたしましては、全国とほぼ同様、最も多いのが精神疾患となっておりまして、2番目に多いのが経済、生活問題、次いで、家庭、勤務問題の順となっております。特徴といたしましては、健康問題と勤務問題に起因する若者の自殺者が他の動機と比べまして増えます一方で、家庭問題による自殺者が減る傾向となっております。
こうしたさまざまな悩みを抱えて自殺に追い込まれる若年層への対策といたしましては、今年度から若者をターゲットとするゲートキーパーの養成に着手したところであり、来年度以降も取り組みを強化することによりまして、学校や職場で、若者同士が支え合うセーフティーネットの強化につなげてまいります。
あわせて、県内の大学生などにも御協力をいただき、自殺がいつでも身近に起こりうる課題だと受けとめてもらえるようなテレビCMやポスターを作成することなどにより、若者向けの普及啓発活動にも取り組んでいるところです。
こうした取り組みを通じまして、今後とも若者の自殺予防対策を積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、県庁職員がゲートキーパー研修を受講することにより、組織全体の健全性が高まり、地域における見守り体制の強化にもつながるのではないかとのお尋ねがありました。
県庁組織の健全性を高めるための研修につきましては、悩みを抱えた人の話を傾聴する技能を身につけ、職場などにおいて、身近な人の精神的な不調に気づくことなどにつながるものとして、これまでも管理職やチーフを対象とするメンタルヘルス研修などを通じて行われてきているところです。
こうした中で、来年度からは、自殺死亡率が高くなっている中山間地域などへの見守り体制の整備に向けて、ゲートキーパーの養成や、地域のネットワーク会議の活動を強化することとしております。
県といたしましては、地域ぐるみの自殺予防の取り組みをサポートしていく上で、自殺予防の業務に携わる職員が、ゲートキーパー養成研修などによる専門的な知識を身につけることによる効果などについては、今後の検討課題だとの認識をいたしております。
次に、アルコール健康障害対策基本法を踏まえた酒の害の予防に関しまして、国の基本計画策定に向けた県からの政策提言、及び、県の推進計画の策定と、関係機関によるネットワークの構築についてのお尋ねがありました。関連いたしますので、あわせてお答えいたします。
昨年12月のアルコール健康障害対策基本法の制定によりまして、アルコール依存症などについての正しい知識の普及啓発を初め、健康障害にかかる医療の充実や社会復帰に向けた支援などの取り組みが義務づけられましたことは、大変意義のあることだと受けとめています。
また、酒の文化が生活とも深く関係しております本県におきましては、アルコール依存症への対策とあわせて、健康障害の予防対策の推進や自殺対策などとの連携などが、基本的施策として示されたことが、今後、本県がアルコール関連問題への取り組みを進めていく上で、その具体的な施策について大いに期待をいたしているところです。
県といたしましては、国の基本計画の策定に向けました今後の動向を注視いたしますとともに、アルコール関連問題に取り組んでいる県内の関係機関の御意見などもお聞きしながら、国に対する政策提言など、必要な対応に努めてまいりたいと考えています。
また、国の基本計画の策定を踏まえて策定することとなります県の推進計画につきましては、議員のお話にもあります、当事者や御家族を初め、専門家などからの御意見をお聞きする協議の場などを設けまして、本県の実情に沿った計画となりますよう、十分に検討を行う必要があるものと考えております。
さらには、法が掲げる基本理念にのっとり、取り組みを進めていく上で、関係機関との連携も重要となってまいりますことから、地域における効果的なネットワークづくりなどについても、あわせて検討を行ってまいります。
次に、南海トラフ地震への取り組みについて、災害時要援護者名簿の整備と個別計画の策定、自治体の現状についてのお尋ねがありました。
災害時におけます要援護者の名簿の整備と、個別の避難計画づくりにつきましては、全市町村で取り組みに着手してはおりますが、現在のところ、災害時要援護者の名簿が整備済みの市町村は23市町村、また、個別計画が既に策定されているのは10市町村となっています。
沿岸部とそれ以外の市町村にグループ分けして見てみますと、沿岸部に位置する19市町村では、災害時要援護者の名簿の整備済みは13市町村、個別計画については5市町が策定済みです。また、沿岸部以外の15市町村では、災害時要援護者の名簿の整備済みは10市町村、個別計画については5町村が策定済みとなっており、沿岸部とそれ以外の市町村では、ほぼ同様の策定状況となっております。
次に、災害時における要配慮者の避難支援ガイドラインの実効性についてのお尋ねがありました。
このガイドラインは、避難行動要支援者名簿の作成はもとより、避難行動支援対策の実施手順や地域の共助力を高めるための役割分担など、適切な避難支援が確実になされるための取り組み指針として作成し、今月末には市町村への説明会を開催することとしており、あわせて、市町村を個別に訪問し、防災や福祉担当部局との協議の場などを持つことも考えております。
また、地域におけるガイドラインに基づく取り組みを推進するため、自主防災組織や民生委員、社会福祉協議会などといった、地域において避難支援の取り組みを推進する関係者向けの避難支援の手引きや、住民向けの啓発用リーフレットなどを作成し、地域で活用していただくこととしております。
今後は、このガイドラインに沿って、行政と地域のしっかりとした連携と役割分担のもと、より実効性の高い避難支援対策の推進に向けまして、地域における取り組みを支援してまいります。
次に、津波浸水域における避難支援者の安全確保のための対策を検討する際における退避ルールの議論の方向性についてのお尋ねがありました。
津波からの避難を支援する際の関係者などの安全確保対策につきましては、災害対策基本法の改正により、支援者の安全確保に十分配慮することが明記されております。また、昨年8月に出されました内閣府の避難行動要支援者の避難行動指針に関する取り組み指針においても、支援者本人、またはその家族などの生命及び身体の安全を守ることが大前提とされております。そして、その際には、あらかじめ地域において支援者の安全確保の措置を決めておくこととされ、具体的には、地域の住民全体が話し合いを行い、ルールを設定の上、計画の策定後に周知を図ることが適切であるとされております。あわせて、支援者は全力で助けようとはするものの、助けられない可能性があることを理解していただくことも大切だとされております。
こうした対応を原則といたしまして、退避ルールを検討する際には、特定の避難支援者に過度の負担となることのないよう、役割分担を明確にすることや、あらかじめ、津波浸水予測時間などを考慮した避難の判断基準などを定めておくといったことなども重要であり、支援者の安全確保を最優先に話し合っていただきたいと考えております。
◎健康政策部長(山本治君) まず、子供の貧困対策の大綱策定にあたって、子供の医療費助成制度の拡充に関する国への提言について、お尋ねがありました。
子供の医療費への助成については、地方が単独事業として実施しており、各市町村により対象年齢などの助成内容が異なっています。子供が、生まれ育った環境によって左右されず、全国どこでも治療費を心配することなく、安心して医療を受けられるよう、社会全体で支えていく必要があると考えています。
そのため、子供の医療費助成については、必要な財源の確保と、統一的な実施に向けて検討するように、全国知事会において提言しているところです。
次に、アルコール健康障害対策基本法を踏まえた教育の振興等を、家庭、学校、職場において展開する体制についてのお尋ねがありました。
平成23年の健康栄養調査によりますと、毎日飲酒する人の割合は、男性の場合、全国の32.0%に対して本県は34.6%、女性では、全国の7.1%に対して本県は7.8%となっています。
この法律の目的にもありますように、アルコールは国民の生活に豊かさと潤いを与えるものであり、酒類に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒は、アルコール健康障害の原因にもなります。
このため、県では、適正飲酒や休肝日を設けることなどを啓発するため、健康応援ハンドブックを活用した出前講座や、情報紙、テレビスポットによる啓発を行っています。
職場においては、特定健診の結果に基づいて保健指導が行われていますし、啓発のための要請があれば、県の福祉保健所などが職場に出向いて健康教育などを実施しています。
また、学校においては、中学生、高校生を対象にした副読本などを活用して、保健体育の授業などで、アルコールが脳や体に及ぼす影響について学ぶようにしており、教職員の指導力向上のための研修会も実施していくことにしています。
県としては、今後も、県民の皆様がアルコールに関する理解を深め、アルコールによる健康障害の予防に注意を払うことができるよう、学校、職域、保健、医療などの関係機関の委員で構成された健康づくり推進協議会の場などで協議を行いながら、学校や職場、地域における普及啓発活動などを推進してまいります。
◎教育長(中澤卓史君) まず、子供の貧困対策に関する大綱について、国への提言にかかるお尋ねがございました。教育に関連して御提案がありました四つの項目についてお答えをいたします。
一つ目の、保育の現場でソーシャルワーカーの役割を果たす人材の配置についてでございます。将来の社会を担う子供の健全な育成を図る上で、家庭への支援は非常に重要でございまして、保護者の悩みや不安に関し、身近な場所で適切に対応できる体制を整備することは有効な対策だと考えます。ただ、各保育所への配置となりますと、保育所の本来の役割との関係や、人材確保といった面で課題もございます。
このため、保育所の保護者への支援に、スクールソーシャルワーカーを活用している市町村の事例なども参考に、効果的な支援のあり方などについて検討することが必要ではないかと考えております。
二つ目の、給食の実施率の向上についてでございます。児童・生徒の学力、体力を下支えするのが食事であり、学校給食において栄養のバランスのとれた食事を提供することは、児童・生徒の心身の健康づくり、望ましい食生活習慣の定着という観点から、重要だと認識しております。
このため、国においても、全国の学校給食の実施率向上を目指し、市町村の学校給食施設の整備を促進するため、財政支援措置を拡充するなど、必要な施策を講じていただくことが重要だと考え、これまでも全国都道府県教育長協議会を通じて要望をしております。
三つ目の、高校を中退した子供や不登校の子供などの居場所づくりについてでございます。本県では、高校中退者や不登校児童生徒の割合が高い状況を踏まえ、若者サポートステーションによる就学、就労に向けた支援、学校にスクールカウンセラー等を配置することによる個別相談体制の充実のほか、心の教育センターや市町村の教育支援センターなどでのさまざまな支援を行っております。
しかしながら、よりきめ細かな支援を継続的に実施していくためには、こうした取り組みの充実に加え、身近な地域で支援していく場の確保が重要であり、国においても支援制度の拡充などの施策を講じていただくことが必要ではないかと考えております。
四つ目の、就学援助制度の拡充についてでございます。就学援助制度は、児童生徒が経済的な理由によって教育を受ける機会を妨げられることのないよう、学用品や学校給食費等について、市町村が必要な援助を実施しているものです。国による一定の財政措置もありますが、現状では、市町村によって支援の内容に格差が生じております。
国においては、市町村の実態を踏まえ、支援の水準が保たれ、安定した制度運営が行われるよう、十分な財政支援措置を講じていただく必要があるものと考えております。このことにつきましても、全国都道府県教育長協議会を通じて要望いたしております。
以上のように、いずれも本県にとってはもちろん、全国的にも重要な課題でありますので、ただ今申し上げた考え方のもと、知事部局と連携し、また、全国都道府県教育長協議会を通じるなどして、提言をしていきたいと考えております。
次に、県立高等学校再編振興計画に関して、まず、検討期間が延長できるのであれば、なぜこの時期にたたき台を示したのか、また、今後のスケジュールが大きく変わるのかとのお尋ねがございました。
再編振興計画の策定に向けましては、昨年2月に県立高等学校再編振興検討委員会からいただいた報告書を踏まえながら、生徒数が大幅に減少し、社会環境も大きく変化する中で、県立高等学校の振興に向けて、学校の再編や統合という課題にどう取り組むべきか。また、震災に強い教育環境をどのようにしてつくっていくのかなどといった観点から、慎重に協議を重ねてまいりました。
たたき台を公表する時期について、県立の高等学校や中学校への受験を予定している生徒や児童、保護者の皆様のお気持ちなどを考えますと、できればこの時期は避けたいという思いはございました。
しかしながら、生徒数の減少が急速に進む中で、将来にわたって高等学校教育の振興を図っていくために、再編振興計画の策定は待ったなしの状況でございます。特に学校の統合については、計画が決定してからも統合までに長い時間を要する課題でありますし、それぞれの高等学校でよりよい教育活動を行うための振興策をできるだけ速やかに実施していくためにも、再編振興の議論を先送りしていくことは許されないと考えています。
こうしたことから、今回、統合の対象としてお示ししたいずれの学校についても、今春に入学する生徒の皆様は、卒業まですべての学年がそろった状況で学ぶことができるという、学習環境に配慮した計画とした上で、1月末にたたき台を公表したものです。
結果として、受験を控えた時期の公表となりましたことについては、大変心苦しく思っております。
今後、高知南中高校等に入学される生徒や、在校生の皆様などに対しましては、丁寧な情報提供に努めるとともに、スクールカウンセラーなども活用しながら、安心して学んでいただくことのできるよう、しっかりと対応してまいります。
今後のスケジュールにつきましては、当初は、できれば3月下旬にパブリックコメント案を取りまとめた上で、4月にパブリックコメントを実施したいと考えておりました。再編振興計画の策定は待ったなしの状況ではございますが、県民の皆様に十分御理解をいただいて取りまとめることが重要でございます。
このため、今後より具体的でわかりやすい情報提供を行い、学校関係者を初め、県民の皆様の御意見もお聞きしながら、丁寧な議論を重ねていきたいと考えておりますので、現時点では、明確なスケジュールをお示しすることは困難ですが、当初の予定からすると、少なくとも二、三カ月は遅くなるのではないかと思っております。
◎総務部長(小谷敦君) 飲酒運転を行った職員の処分と、アルコール健康障害の職員に対する支援等の御質問がございました。
飲酒運転については、時として人の生命を奪うなど、重大事故につながる極めて危険な行為であることから、原則として免職処分とする方針で臨んでおります。
懲戒処分に当たっては、違反行為の内容、動機、社会に与える影響や職員の職責、日ごろの勤務態度などを十分に把握し、判断しておりますが、飲酒運転を行った者に、アルコール依存症など、アルコール健康障害があることをもって、特別にこの点を情状酌量して処分を軽減することにはならないと考えております。
一方で、不適切な飲酒は、飲酒運転や自殺など、重大な社会問題を招くことも憂慮されますので、県職員に対しましても、さまざまな点からアルコール健康障害対策を推進していくことは、使用者である県としての責務であると考えております。健康診断時の保健指導はもとより、アルコールによる健康障害が疑われる職員には、産業医等による指導や、医療機関と連携した支援を行っております。また、管理職研修やチーフ、班長研修等、さまざまな場面を活用して、アルコール問題を含むメンタルヘルス研修を開催し、問題の早期発見と対応に努めているところでございます。
次に、ハラスメントへの対処と実態把握について、お尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。
パワーハラスメントは、対象となった職員の意欲を低下させるだけでなく、職場の秩序や環境を乱し、正常な業務運営の障害ともなり得るものであり、その防止及び解決に、組織全体で取り組むことが必要でございます。ハラスメントの防止対策としましては、平成21年度から、それまでのセクハラ研修にパワハラ研修を加えて、管理職員等を対象とした研修を実施しております。
お尋ねのありました実態把握につきましては、この研修の中でアンケート調査を実施しており、毎回、パワーハラスメントがあるという回答が10%前後ございます。
また、所属長と職員が相互に信頼し、納得して業務遂行ができる職場づくりのため、部下による所属長の評価の取り組みも行っております。所属長の仕事の進め方や職員への接し方を、部下が評価を行うことで、所属長の気づきを促し、自己啓発や研さんの契機を提供することなどを目的としており、評価結果から得た気づきも踏まえて、日常の業務の進め方や改善点などについて、所属長と職員の間で話し合いを行っております。なお、この評価結果については、私も報告を受けているところでございます。
さらに相談体制についても拡充を行っており、平成24年度からは、それまでの外部相談員に加え、専門の民間事業者に委託して、庁外窓口を設置するとともに、個別の相談については、総務部の関係課が連携して対応をしております。こうした取り組みなどにより、実態把握に努めてきております。今後とも引き続き努めたいと考えております。
ハラスメント対策の取り組みを効果的に進めていくためには、組織マネジメントが大切なことから、平成24年度からは、研修の対象を、管理職を指導する立場である部長、副部長級の幹部職員にも拡大しております。
今後とも、ハラスメントがあるという前提に立ち、引き続き組織全体としての対策を強化するとともに、全職員への意識啓発にも努め、生き生きと仕事ができる職場づくりに取り組んでいきたいと考えております。
◎土木部長(奥谷正君) 津波浸水域における耐震性の確保ができていない県、市町村の公営住宅の数、及び、それらの浸水域外への移転の検討の有無、また、避難行動要支援者で転居を希望する方の浸水域外の公営住宅への優先的入居の検討について、お尋ねがありました。
県営住宅については、約4,100戸のうち、約600戸が津波浸水域内に立地しておりますが、すべて耐震性が確保できております。これらの住宅につきましては、耐用年数も残っていることから、当面は津波想定深さに応じて、入居者が上層階や最寄りの津波避難タワー等に避難が可能かどうか確認した上で、使用を継続することとしておりますが、今後、周辺地域で高台移転等の津波対策の動きがあれば、これとあわせて移転等を検討する予定です。
一方、沿岸部の19市町村の市町村営住宅については、約1万1,000戸のうち、約6,000戸が津波浸水域内にあると聞いております。今後、除却する予定の住宅もあることから、これらの耐震性が確保できていない住宅の戸数は正確に把握できておりませんが、津波浸水域外も含めた19市町村全体での耐震化率は約80%となっております。
これらの住宅につきましては、耐震性がないものや建てかえ時期が来たものについて、安全な高台への移転を計画している市町村もあり、県としましては、こうした市町村の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
次に、公営住宅法に基づく県や市町村の公営住宅は、住宅に困っている低額所得者の方に対し、安くて良質な住宅を提供することを目的としております。また、県営住宅では、高齢者、障害者、子育て世帯などの方々について、空き家の入居募集の抽選の際に優遇をしていますが、募集戸数に対する応募者の割合が、平均8倍程度となっており、必ずしも避難行動要支援者の転居の希望がかなうことにはつながらないと考えております。
なお、平成26年度の当初予算において、地震被害を軽減し、県内でふえ続けている空き家の廃屋化の防止と、再生・活用を図るため、市町村が公的住宅として所有、または借用する空き家の耐震改修や断熱改修など、住宅リフォームに要する費用の一部を補助する、地震対策空き家活用促進事業費を計上しています。
市町村がこの事業を用いて、津波浸水域外の空き家を活用することにより、津波浸水域内にお住まいの高齢者、障害者、子育て世帯などの避難行動要支援者向けの低廉な家賃の公営住宅として、優先的に提供できるなど、事前の備えにつながるものと考えております。
次に、労務単価の改善が賃金となって、建設労働者の所得として手許に届いているかの検証についてお尋ねがありました。
昨年4月に国土交通省が設計労務単価を引き上げたことに伴い、本県においても国と同様に単価を引き上げ、同時に、業界団体に対し、建設労働者の賃金引き上げを要請しました。さらに、県としましては、昨年9月から11月にかけて行いました建設業協会各支部との意見交換会の中で、事業者側の賃金支給実態などもお伺いしながら、引き上げた設計労務単価が建設労働者の賃金につながるよう、重ねて要請を行ってきたところです。
国の毎月勤労統計調査の結果を用いて、県内建設業者の月額現金給与総額を見ると、昨年4月から12月までの前年同月との比較では、すべての月で給与総額が増加し、月額の増加率も平均10%を超えております。また、全産業と比較すると、建設業の増加率が10ポイント以上上回っております。
これらのことから、引き上げた設計労務単価が建設労働者の賃金に、一定、反映できているものと推測できます。本年2月にも設計労務単価を引き上げており、県としましては、できるだけ多くの建設業者の賃金引き上げに結びつくよう、引き続き要請を行ってまいります。
あわせて、建設業者との意見交換会や聞き取り調査を行い、建設労働者の賃金実態の把握と検証にも努めてまいりたいと考えております。
◎危機管理部長(高松清之君) 津波火災対策について、どのような対策をいつまでに検討するのか。また、津波火災が避難ビルに迫った場合の救助、鎮火の方法はどのようなことが考えられるのかとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
津波火災が発生した場合に、お話にありましたような5メートルほど浸水する地域で、3階建ての津波避難ビルの屋上に避難した住民が火災に取り囲まれ、炎や煙から逃げられないといった過酷な状況が起きることは、しっかりと想定しておくべきケースだと思います。
そうした状況において、まず、消火という点では、避難ビルの屋上などに消火器具を備えておき、避難者自身が消火活動を行うこと、あるいは、天候や時間帯にもよりますが、消防ヘリや自衛隊のヘリによる空からの消火などが考えられます。また、救助・救出という点では、迫ってくる火災の反対側へ移動することで、時間を稼ぎ、ヘリなどによる救助を待つ、あるいは、火災が迫る前に脱出できるよう、避難ビルにボートを備えておくといった、二次避難を念頭に置いた対策が考えられます。
実際に、東日本大震災では、火災が間近に迫ったとき、備えつけられていた消火栓を使う準備をしたホテルや、建物内で火災から逃れることができる場所に移動することによって、その後、全員が救助されたという老人ホームなどの事例があります。
しかしながら、こうした方策も含め、現時点では、お話のような過酷な状況では、県民の皆様の命を確実に守り切ることができる消火対策や救助・救出対策は、残念ながらございません。
このため、津波火災対策としては、消火対策、救助・救出対策とあわせて、できるだけ火災を起こさないということや、火災が起きても、延焼による大規模な火災としないことが重要だと考えております。
こうした考え方に立って、浦戸湾における津波火災の大きな要因として懸念されます石油基地対策などを検討するため、昨年10月に検討会を設置をし、揺れや津波でタンクから燃料を漏らさない対策、漏れたとしても、石油基地の外に流出をさせない対策、こういったものの検討を先行して進めているところであります。
また、この検討会では、浦戸湾内へ燃料が大量に流出するとともに、火災が発生し、市街地に拡大するといった、一連の最悪の被災シナリオを想定した上で、これまでのさまざまな地震での事例を踏まえ、また、津波火災のメカニズムを研究している機関や、防災の専門家の方々の意見もいただきながら、お尋ねのありました消火や救出方法も含めて、過酷な状況に至る被害の連鎖をどこかで断ち切るための具体的で現実的な対策を探り、27年度までに取りまとめを行っていくこととしております。
◎商工労働部長(原田悟君) 雇用問題に関しまして、県と高知労働局、産業支援団体などと連携体制を構築することの効果などについてのお尋ねがありました。
1月の有効求人倍率が過去最高の0.79倍となっているものの、依然慢性的な求人不足状態であり、また、求人がありながら、就職につながらないといった雇用のミスマッチがある中で、国の雇用安定行政を担う高知労働局からは、求人情報の掘り起こしについて、県との連携の要請もいただいておりました。
一方で、県や産業支援団体などは、日常の企業訪問で得られた求人に関する情報を、高知労働局につなげることができていない状況や、国の雇用関係の助成制度を効果的に企業支援に活用できていないという課題が見えてきました。
そういった課題の解決に向けまして、このたび、県と高知労働局、産業支援団体などの7者で、求人情報に関する協定を締結し、効果的な連携体制を構築することとしております。
今回連携いたします産業支援団体のうち、例えば、産業振興センターは、製造業を中心に、多くの職員が県内企業を支援しておりますし、商工会議所や商工会は日々、経営指導員による経営診断や相談業務を行い、地域の企業の皆さんから頼られる存在でございます。
県や産業支援団体などの職員は、年間で延べ3万件近い企業訪問を行っております。この訪問活動を通じて、雇用関係の助成制度をしっかりと伝え、活用していただくとともに、そこで得た求人情報をハローワークに確実につなげることで、求人の掘り起こし、ひいては正社員の雇用に結びつくものと考えております。
◎副知事(岩城孝章君) 時間外勤務と、人員配置の認識について、お尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
平成22年に策定いたしました行政改革プランにおきましては、平成27年4月までに、知事部局を3,300人体制にすることを目標に掲げ、組織や定員のスリム化に取り組んでいるところです。ただ、やみくもに減らすのではなく、組織体制のスクラップアンドビルドを徹底するとともに、各所属の時間外勤務の状況も参考にしながら、各年度の組織定数を決定をしてきておりますし、年度途中であっても、増員が必要な所属には対応をしてきているところです。
一方で、さまざまな課題の解決に向けて、全庁一丸となって、真正面から取り組んでいる中、職員の忙しさがましていることも事実でございます。
そうした中、時間外勤務につきましては、昨年度から、私自身、先頭に立って、縮減に向けた取り組みを進めており、その趣旨は各所属にも一定浸透してきているものの、思うような結果までには至っていないことにつきましては、私自身、大変残念に思っておりまして、引き続き、管理職員に対し、私から、直接、業務の効率化やスクラップを促すなど、その取り組みの徹底を図ってまいりたいと考えております。
今後の人員配置につきましても、引き続き、南海トラフ地震対策を初め、産業振興計画の推進や、日本一の健康長寿県構想づくり、中山間対策など、緊急性、重要性の高い分野には、重点的に人員を配置をし、時間外勤務の状況や業務量に応じた適正なものとなるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、組織のスリム化の数値目標、及び、南海トラフ地震に対する人員配置について、お尋ねがございました。
数値目標につきましては、行政改革プランに限らず、PDCAサイクルに基づき、取り組み状況を点検していくためには必要なものであると考えております。また、中長期的な財政状況や、人口減少が進む本県の状況を考えますと、先ほど答弁しましたとおり、組織体制のスクラップアンドビルドを徹底し、メリハリをしっかりと効かせながら、簡素で効率的な組織を構築するというスリム化の方針は、引き続き必要であると考えております。
一方、県庁組織としては、知事の提案説明にもございましたとおり、課題解決の先進県となることを目指して、常に成果を意識し、新しい物事にチャレンジしていく積極的な姿勢を持ち、想像力を発揮していくとともに、これまで以上に職員が地域に出て、市町村との連携や、官民協働の取り組みを、さらに進めていく必要があります。
また、南海トラフ地震が発生した際には、まずは、参集できる職員により、応急期の業務などを行うこととなりますが、復旧や復興までの業務の多様性やボリュームの大きさ、市町村に対する支援の必要性なども考えますと、もとより本県の職員体制だけで対応できるものではありません。そのため、行政経験のある県退職者に協力いただくことを検討するとともに、中国・四国地方の災害時の相互応援協定に基づく、カウンターパートである島根県や山口県を初めとする、他の都道府県との連携、応援の体制整備などに取り組んでいるところです。
いずれにしましても、今後の本県の組織体制につきましては、さまざまな視点から議論し、検討していく必要があると考えておりますが、まずは、現在のプランの目標に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◎教育委員長(小島一久君) 県立高等学校再編計画に関しまして、地元新聞が掲載した、高等学校課長のインタビュー記事の内容につきまして、お尋ねがありました。
お話にありました記事で、高等学校課長がコメントしました趣旨は、今後、県中央部の高等学校を統合せずに、一律に入学定員を減じていく場合、国による財政措置だけでは、高等学校教育の質を維持するための教員数を配置することができず、今以上に、県費での負担を続けていかなければならないということになります。一方で、学校を統合することで、県費の負担を抑えながら、教育の質を充実させていくという選択肢がある中で、県民の皆様は、どのように考えられるのかというものであったと聞いております。
厳しい財政状況にあります本県におきまして、将来にわたって安定して行政サービスを提供していくためには、限られた財源を有効に活用し、最大限の効果を上げていくという視点が不可欠でございます。また、本県には教育の問題のほかにも、産業の振興や福祉の充実、インフラの整備など、多くの課題があります。こういった課題に対応するため、教育行政を預かる立場である教育委員会といたしましても、県全体のバランスを見据えた上で最も適した方法を考えながら、教育政策上の課題に対して、適切に対応していくことが必要だと考えております。
◎33番(坂本茂雄君) 大変、質問が多い中で、それぞれに御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございました。幾つか、再質問をさせていただきたいと思います。
まず一つは、原発の関係で、安全確認の問題など含めて、私が質問したことに対して、知事のほうから、県民から届けられている声というのは、いろんな形でありますと。そういったものを踏まえて、四国電力との勉強会の場で疑問をぶつけて回答を得ていくというふうなことをされていると。しかも、それは、公開の場で行っているというふうなことでありました。
そういう中で、やはり、県民から届けられている声というのは、もっと、例えば、じゃ、こういう形で受け付けますと言いますか、原発の再稼働なり、安全性の問題なり、そういう形のものを受け付ける場は、こういうふうに県として構えてありますと。ぜひ、そこへ届けてくださいというふうなことを踏まえて、じゃ、次の勉強会の場では、これとこれを課題にして話し合いしていきましょうと。そして、それは、公開の場であると言っても、なかなか、皆さんがそれをわざわざ傍聴に来れるかどうか、県民の皆さんがですね。わからないわけですから、それは、結果をきちんと、また、県のホームページで公表していくとかいうふうなことを通じて、ぜひ、県民の皆さんが、よりアクセスできるような、疑問点の投げかけと、それの課題整理というもののあり方のシステムをつくっていただきたいというのが、答弁を聞いて感じたことですので、その点について、もう一つ、再度、お答えを願いたいと思います。その上で、国の判断に対して、本県の積み重ねた意見を、きちんと述べていくということですから、その姿勢を堅持するためにも、ぜひ、県民の皆さんの声をきちんと把握した上でやっていくということにお願いしたいと思います。
二つ目が、自治体に及ぼす特定秘密保護法の影響の関係ですけれども、私は一番、例えば、情報公開条例などを後退させる、そういうことになりはしないのかと。結局、県として、いろいろ問い合わせをして、情報公開求めたときに、それが果たして公開できるのかどうかということの判断で、自治体がちゅうちょするというふうなことは、あり得るんではないか。それが、秘密に相当するか、しないかというようなことを含めて、懸念したときに、どういうふうなことになるのかということで、情報公開の自治体の制度との関係というのは検討されているのかどうかということを、お聞きしたいと思います。
それと、時間がありませんのであれですが、高校再編の関係ですけれども、先日の吉良議員への質問に対して、教育長、アンケートなどを行い、生徒たちに対して、スクールカウンセラーも活用したケアをしていくということですが、アンケートはどういう形で実施し、スクールカウンセラーを活用したケアは、どういう形で行われているのか。一方で、今、現場では、何か生徒さんに声を聞いてるみたいところもあるみたいです。それが、どういうものなのか、今度、新たに県として、そういうことを新たにやろうとしているのか。今、学校がやってることを、そういうふうに活用するということなのか、どうなのか、そこのところをお伺いしたいと思います。
それと、最後に教育長が言われたところで、新聞の記事のあるところ、教育委員会として、全体の県行政のことを考えなければならないということですが、一方で県民の世論調査の5つの基本政策の力を入れるところでは、インフラの充実と有効活用の4倍近い41.2%が、教育の充実と子育て支援だということが、県民が答えられてます。そういうことも含めて、そしたら、県民に問うと、たたき台も含めて県民に問うということも、ぜひ、やっていただきたいということをお聞きして、第2問とします。
◎知事(尾ア正直君) まず、勉強会について、いろんな声を受け付けるシステムをというお話でありまして、ごもっともなことだというふうに思います。そもそも、勉強会については、公開の場でやって、何度も何度も再質問を繰り返すという形でやって、私は、これは最も実効性のあるやり方じゃないのかなと。こういう素朴な疑問に答えられないようでは、安全確保したと言えないということになるんだろうと、そういうことで、逆に四国電力さんも、しっかり答えますということで、丁寧にお答えをいただいておって、非常にありがたいことだなと思ってます。この信頼関係の上に立って、しっかり、この勉強会方式を貫いて、安全確認、これを続けていきたいと考えてるとこです。
それで、アクセスの仕方についてなんですけれども、今、一定、先ほど申し上げましたように、包括的にカテゴリを分けて、カテゴリの中で詳細な質問項目立てをして、それに基づいての勉強を始めてますから、ある意味、今が一番、幹の部分、さらに大きな枝の部分についての勉強をしてるところだと思いますので、まずは、それ、しっかりやらせていただきたいと思います。多くの皆様方の御不安の点を既に包摂しているものだろうと、そのように考えております。
でありますけれども、一定の段階で、我々として、勉強会の成果というのは公開をさせていただきます。公開をさせていただきますものにつきまして、御意見をしっかり賜りまして、さらに追加の質問をするという形で、あまねく、いろんな御意見を受け付けるというやり方をとらしていただければなと、そのように考えておるところであります。
2番目でありますが、特定秘密保護法の制定によって、情報公開条例上の何らか制約が生じることはないのかという話でございますけれども、先ほども、御答弁いたしましたように、我々、知事部局として、特定秘密を取り扱うということは、恐らく想定されないのではないかということになれば、情報公開条例上も問題ないのではないかと思いますが、まだ、これから、詳細がいろいろ定められていく中で、もしかしたら、そういう点もあるのかもしれませんので、そういう点、注視をしていきたいと思います。
ただ、いずれにいたしましても、秘密の範囲をさらに広げていくというようなことを、例えば、国から自治体に対しても、そういうことはないようにするというふうに、国の答弁もあります。また、運用上においても、できる限りの透明性を確保するようにというお話でもあるわけでございます。そういう中において、それほど、今は、心配はしてなかったんですけど、今、御指摘も受けましたものですから、さらに今後、対応について、慎重にいろいろな検討を重ね、周辺の動きを注視していきたいと、そう思います。
◎教育長(中澤卓史君) 再編計画に関しまして、生徒への心のケアということでございますけれども、今やってるやり方なのか、新たなやり方の方法も導入するのかというお話がございましたけれども、これは現場の生徒たちの状況を見て、適切な手を打っていきたいというふうに考えております。ですから、今、スクールカウンセラーだとか、一定、入っておりますが、それということではなくて、今後の状況を見ながら適切な対応をしていきたいというふうに考えてるところでございます。
それから、もう1点、委員長の答弁に関しましてでございますけれども、教育に対する要望が大きいと、そういうことも踏まえて対応しなければならないのではないかというお話がございました。もちろん、そのとおりでございます。ですから、県民の動向、希望なども踏まえた形の中で、県政全体として全体最適というものを考えながら、その中で我々は教育の充実を考えておりますので、その中で教育の充実を考えていくということでございます。
◎33番(坂本茂雄君) もう時間がありませんので、ぜひ、私、今回の質問の中で重点を置かしていただきました、高知県が、本当に、生き心地、暮らし心地のよい高知県として、将来、発展していけるように、県民一人一人を大切にした県政の実行に向けて頑張っていただきたいというふうにお願い申し上げて、すべての質問を終わります。