2013年03月定例会代表質問(3月8日) |
◎副議長(佐竹紀夫君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
議案に対する質疑並びに一般質問を続行致します。33番、坂本茂雄君。
◎33番(坂本茂雄君) お許しをいただきましたので、県民クラブを代表いたしまして、質問をさせていただきたいと思います。
去る1月、2回目の3.11を前に、全国で避難生活を送られている福島県からの避難者の皆さんの被災者交流会に参加し、当事者の声を聞かせていただく機会がありました。被災者・被災地の格差を固定化することなく、一人一人の生きる基盤を社会全体で取り戻すことが、これからの地震・津波と向き合う行政や政治の責務ではないかと強く感じさせられました。
そして、南相馬市から避難して愛媛で暮らされている方が、ぽつんとおっしゃいました、「これだけのことが起きたのに、この国は変われない」という言葉がずっと耳に残っています。
変わるどころか、この国は、何も変われずにむしろシステムを逆戻りさせるように、歯車が逆回転し始めているのではないかと懸念する昨今ですが、順次質問をさせていただきたいと思います。
まず、最初に知事の政治姿勢についてであります。
国の予算は、一般会計総額92兆6,115億円で伸び率は、昨年当初比プラス2.5%にとどまっていますが、一方で補正予算は総額13.1兆円と大きく膨らんでいます。
しかもその財源としての約8兆円の借金のうち2.6兆円は消費税増税で返済するという消費税の前借りとでもいうようなもので、極めて問題の多い補正予算ではないかと思われます。
その中でも、当初予算では、公共事業関係費は地域自主戦略交付金の廃止等の財源で5兆2,853億円に増加したほか、防衛関係費は4兆7,538億円と11年ぶりに増加させており、補正予算関係ではPAC3ミサイルの購入やF15戦闘機の性能向上に1,805億円、国連平和維持活動の分担金411億円と緊急経済対策とは言いがたいものも含まれているように思われます。
また、安倍内閣のもとで行われた、国と地方の協議の場は、地方の側からすれば極めて問題があり、地域自主戦略交付金の廃止や地方公務員給与をカットするため、地方交付税の削減を受け入れるよう地方に迫るなどの姿勢は、分権姿勢の後退につながるようなものであると言わざるを得ません。
そこで、午前中に中内議員への答弁でも触れらましたが、順次知事にお尋ねします。
今回の政府予算や地方財政対策の決定までのプロセスと内容に、分権・自治の理念からみて、問題があると思われますが、知事は分権・自治の理念から見たとき、どのようにとらえられているかお聞きします。
次に、地域自主戦略交付金、いわゆる一括交付金の廃止が、地方分権の後退や自立した自治体の再生の支障になるのではと懸念しますが、知事の考えをお尋ねします。
また、地方交付税を使って、地方自治体に給与削減を誘導する手法は、使途の制限がない一般財源としての性格をもつ地方交付税制度に反するものであり、特定の政治的な意向に基づき、そもそも関連性のない給与関係経費と地域の元気づくり事業等の財源を入れかえ、その財源を行革状況に応じて算定するということは、行政需要に基づき財源保障を行う地方財政制度を政府自らが否定することになるものであると考えられますが、知事のお考えをお尋ねします。
次に、税制改革に見られる地方との関係についてお尋ねします。税制改革のうち自動車取得税については、消費税10%引き上げ時に廃止し、適切な補てん措置を講じることを前提に2014年度に結論を得るとしています。
一方、自動車重量税は、特定財源として復活するかの記載も見られ、一般財源の堅持を強く求めるとともに、見直しが見送られたゴルフ場利用税、償却資産に関する固定資産税と同様にその動向は財源確保の面や分権に逆行する流れからも注視し、もの申すべきは申すという姿勢を堅持していく決意についてお伺いいたします。
政府予算に対応する県の補正予算も382.3億円に上っており、南海トラフ巨大地震対策等の加速化関係としてリストに上がっているものが、全てその目的にかなった事業と言えるものばかりと確信されているのでしょうか。
また、住宅耐震化促進事業費補助金の3億700万円などは市町村負担も含めて、来年度使い切ることが可能と判断されるなど、緊急経済対策にふさわしく、この際とばかりに前倒ししたと言われないような事業であるか、総務部長にお聞きします。
そして、政府は、補正予算で60万人の雇用創出を図るとしておりますが、公共投資の雇用創出効果は、産業の需要一単位の増大が生む効果は、介護や社会福祉と比較して大きくないとも言われています。本県における経済対策分の普通建設事業費293.1億円分と基金として活用する79.6億円分それぞれにおける雇用創出効果を総務部長にお聞きします。
また、これらについては、今後その効果をしっかり検証されることも要請しておきたいと思います。
次に、県内談合問題への対応について、お尋ねします。
独占禁止法に違反した建設業者37社に対する指名停止処分の短縮等を求める請願に対する県の対応については、県民の関心は大変高いものがあります。
そこで、昨日の中西議員への知事答弁を受けて、重複を避ける形で、改めてお尋ねします。
私は、業界のコンプライアンスが現在進行形ではなく、具体的に確立されて、県が、県発注工事等における談合防止対策についてで報告している、談合が行われにくい入札制度の見直しに対応した入札がある程度実施されて、その間の検証がなされない限り、真にコンプライアンスの確立が図られたかどうかは見定められないと思っています。
まず、指名停止期間の短縮措置の判断となる重要なポイントは、コンプライアンスの状況や経済動向などとされておりますが、実効性がどのように上がったかなどの判断は、極めて難しい面もあると思いますが、それぞれの見極め方について、土木部長にお聞きします。
また、指名停止措置期間については、早い業者でこの17日には解除となり、さらに新年度になれば5月17日に13者が解除となる中で、他の業者に対して、その後短縮措置を図ることになれば、公平性を欠くこととなると考えられます。その意味では、実質的には短縮措置を行うことにはならないというふうに考えられますが、そういう受けとめでよろしいか、知事にお尋ねします。
次に、大学の地域貢献と短期大学の発展的解消問題について、知事にお伺いします。
先日、高知大学と県議会の間で意見交換を行った際に、大学が地域貢献として果たす役割は、地域や地域資源をどう活用するかという意味で地域を対象とした研究とその中から育つ人材育成こそが地域貢献で果たす役割ではないかなと感じました。
知事も委員の一人である、大学設置認可の在り方の見直しに関する検討会の第4回議事録には、「高等教育機関で学びたい人がいつでも学べるチャンスがあるという状況を目指すべき」という意見や「これまでなら大学を卒業しなくても就けていた職業に進むような子供たちにも、都会と地方の格差なく、大学で学ぶ機会を提供できるようにすべき」「経済的に厳しい状況の家庭の子供にとって、大学が家の近くにあることも大切」「社会人の入学者の割合が少ないことが日本の大学の問題の一つ」などの意見が出されており、大学と地域との関係の重要性についても、大学新設の場合のポイントとされていました。
そういう意味では、高知短期大学学生論集が創刊された14年前からだけでも、学生たちによって『都市近郊の中山間地域における定住条件』や『街路市の展望』『商店街の活性化に向けた現状と課題』『地域通貨とまちづくり』『グリーンツーリズムの研究』『直販市の展開と地産地消』『中山間地域高齢者の食施策に関する分析』『限界集落における地域政策・地域づくりに関する分析』などの多種多様な研究がなされています。
私は、大学の地域貢献で果たす役割は、学内のみでなく地域における人材の育成であり、人材が地域の知の資源として蓄積されることだと思いますが、知事の考える大学の地域貢献とはどのようなものか、御所見をお伺いします。
昨日、塚地議員も触れられましたが、私は少し違う観点からお聞きします。産業振興計画の中で、各施策を進めるに当たって共通して意識すべき三つのことの一つとして「全国一学びの機会が多い県を目指す」と昨年来強調してきました。しかし、なぜ、教育の場では、学ぶ機会を奪うようなことをするのでしょうか。短大のよい点は県立大学と工科大学に引き継ぐとおっしゃいますが、一方で廃止すれば、引き継ぐ内容と廃止する内容がイコールでない限り、少なくても、学ぶ機会を奪われる方は生まれるのです。
なぜ、このような矛盾する判断をされるのか知事にお伺いします。
次に、県職員の健康管理と残業問題、そして給与削減問題について、お尋ねします。
知事は、一昨年9月定例会予算委員会での私の質問に答えて、「厳しい職務環境だと思います。その職務環境を少しでもいいものにできるように、心身ともにやりがいのあるものとなるように、体の健康が保てるように、そういうものとなるように、私自身、一生懸命努めていかなければならない」と答弁されています。そして、昨年4月には、「活力ある職場づくりと公務能率等の向上について」という副知事通知が出され、時間外勤務の縮減にむけて全庁挙げて取り組むこととされたとお聞きしています。
そうした取り組みがされているということも踏まえて、お尋ねします。2011年度の職員一人当たりの時間外勤務実績は、知事部局で過去最高を記録したと認識しておりますが、知事部局で、2012年12月段階において対前年同月比でどういう状況になっているのか。増加している部局の状況とその要因を明らかにするとともに、その要因を解消するための改善策についても、総務部長にお聞きします。
また、教育委員会及び県警察の状況についても、教育長、警察本部長にお聞きします。
次に、職員の健康管理の問題ですが、長期病休者に占めるいわゆるメンタル疾患の割合は2012年12月現在、対前年を下回っていると聞いています。ただ、長期病休者の半分近くに達しているということで、相変わらず高どまり状態と言えます。
とりわけ、私が心配するのは若い職員の方々です。先ほど述べたように、時間外勤務の増加、余裕のない働き方が、職場における人間関係を希薄にさせ、結果として個人差はあるでしょうが心身の健康をむしばむことにつながっていると言わざるを得ないのではないかと思っています。
知事は、先ほども述べた、一昨年9月定例会予算委員会での答弁に基づいて、どのような努力をされてきたのか、お聞きします。
そのことを考えたとき、新行革プランでは、2010年度から14年度の期間に、知事部局3300人体制を目指すとされていますが、数値目標ありきで、業務の整理は手を入れずに、ただ職員を削減するためだけのものになっていないでしょうか。
来年度の定数配置案についても、相変わらず人員削減基調となっており、職員からは「職員を削減して業務に支障がないかどうかでなく、削減を前提に、業務を回すことを考えてくれ」と言われて非常に困ったという話を聞いています。
加えて、国の補正や来年度予算に連動して本県も公共事業予算が大幅に伸びており、土木部では150億円近い伸びを示していますが、事業費連動での増員はたったの6人、はたしてこの体制でこなし切れるのでしょうか。建設技術公社への委託も考えているようですが、建設技術公社からすれば、市町村からの委託もあろうし、体制にも限りがあります。かなり職員に無理がいくのではないかと懸念するものです。
県政の課題解決に向けて取り組んでいく中では、これ以上職場の人間関係を希薄にさせるような職場環境破壊をすべきではないということからも、行革プランによる削減目標はしばらく棚上げにする考えはないか。あわせて大幅に増額となった13カ月予算の人的対応は十分配慮されたものと言えるのか、副知事にお尋ねします。
次に、県が昨年12月定例会でも押し詰まった中、強行した退職手当削減、そして、国から迫られている給与削減問題の対応について、お尋ねします。
まず、2月28日に早期退職という苦渋の判断をせざるを得なかった82名の県職員の皆さんの心中を察すると、このような欠陥のある制度を突きつけた知事の責任は大きいものがあると言わざるを得ないと思っています。
全国の都道府県で本県のように施行日が年度途中となって分断されたのは、18都府県で、その他の多くの県が独自の判断をされています。
まさに、今回のような問題が生じることを承知の上で、職場や同僚、県民との間に気まずく、ぎくしゃくした関係を生じさせてしまった責任を知事は感じているかどうか、お聞きします。
改悪した退職手当の減額措置制度であれば、来年度以降も経過措置が年度途中切りかえである以上同様の課題が生じると考えますが、経過措置について見直すことを考えるつもりはないか、知事にお尋ねします。
次に、地方公務員の給与削減の問題であります。
先ほど少し触れましたが、地方交付税は、その総額は国が予算措置するものの、どのように使うかは地方自治体の専権事項であり、基準財政需要額という地方自治体の運営に関する標準的な必要額を算出し、自主財源が不足する自治体にはその不足額を交付するのが国の役割であり、法律的には義務であり、人件費部分を削減するなどというのは暴挙としか言いようがありません。そのような暴挙をテコにしてまで、地方公務員の給与削減を強要するのは、自治体としては当然受け入れられないものであります。
そのことに関して、5日付け高知新聞一面でも、「交付税カット反対8割」「給与減前提に反発」との見出しの報道がありました。
本県では、2004年7月議会で財政危機宣言を発し、同年9月に財政危機対応指針に基づき、2005年度から職員等の給与カットを始め、集中改革プランに基づく人員削減など国に先んじてかなりドラスティックな取り組みを行ってきた結果、ここ数年人件費総額自体は右肩下がりとなっています。これらの取り組みで全体としてどれくらいの削減効果があったのか、総務部長にお尋ねします。
今回の国の措置について、撤回を求めるために高知県が独自に行ってきた人件費削減の努力など、丁寧に説明・アピールするなど理解を求めるために、国や県民向けにアクションを起こす必要があるのではないかと思いますが、知事のお考えをお聞きします。
5日付け高知新聞では、知事は給与引き下げについて、検討中とされておりますが、これ以上心苦しさを抱えないためにも、本県は、引き下げしないと判断できないのか、知事にあわせてお聞きします。
この項の最後に、労働基本権が制約されている職員の給与決定システムは、人事委員会が民間給与実態調査を行い、必要な勧告を知事と議長に行い、労使交渉を経て条例化され、決定されるというものですが、今回の国の給与減額要請は勧告等に基づくものでなく、そう言う意味では地方公務員法違反とも言えると思いますが、人事委員長の認識をお尋ねします。
次に、南海トラフ巨大地震への備えについて、質問をさせていただきます。
昨年の新想定に基づく極めて大きな被害想定が予測される中でも、備えることでこれらを大きく抑制することができるということを前提に、自助・共助の仕組みづくりのために、それぞれの分野で懸命の努力をされている県民の姿があります。その方たちに諦めを生じさせないための取り組みをいかに継続させていくかということが問われているのではないかと思うところです。
とにかく、揺れから身を守り、津波から逃げるために、多重防御でどう備えていくかが急がれます。そのために、まず避難手法の検討、津波避難場所の選択肢の検討を、県民参加のもと進め、津波避難放棄者ゼロ宣言を発することについてお尋ねします。
津波避難計画策定指針、中間とりまとめは、「より実効性の高い避難計画にしていくため、この指針に記載されている基本的な情報を参考に、自主防災組織と市町村が協働して、地域での訓練と、計画に見直しを継続していくことが重要」としており、さまざまな避難手法や避難場所のあり方のガイドラインが示されています。
この中にもありますが、横断歩道橋併用津波避難タワーなども、最近では国土交通省がこれを後押しする形の法令改正が検討されていますが、地域では早くから住民の方が提案もされていました。また、この場所での命山構想こそ日常使いのメリットも含めて低コストで実現可能なはずだとか、この場所なら大量に避難可能な、人口浮体構造物を公園内に設置すればとか、さまざまな避難手法や避難場所・施設への御提言をお持ちの県民や企業の方がおられます。
だからこそ、中間取りまとめの段階で、広く県民の意見を聞く場を設けて、そういった知恵をお借りして、その避難手法や避難場所の選択肢について、納得づくで進めていくことで、逃げることを自らのものとすることができるのではないかと考えますが、危機管理部長にお伺いします。
そして、現在、パブリックコメントを求めている南海地震対策行動計画を軸としながらも、揺れへの備え、津波避難経路、津波避難路、津波避難場所整備、災害弱者の避難支援のあり方など、そして避難する意識と仕組みのスキームづくりなどの目標と到達時期を明確にして、津波避難放棄者ゼロ宣言を発して、県民とともに歩んでいく方向性を示せないものか、知事にお尋ねします。
そのためにも、災害対策、備えの情報は、あらゆる形で県民と共有する方法が必要です。本来備えが検討されたり構築されているにもかかわらず、情報が少ないことによって、不安になったり、諦めたり、公助への不信感を募らせたりと言うことになりかねません。
県民に極めて身近なところで、いかなる方法によっても情報へのアクセスを可能とするスキームの構築を求めたいと思いますが、危機管理部長にお尋ねします。
次に、津波避難路確保の面から、今回予算化されています空き家対策としての老朽住宅除却事業について、土木部長にお尋ねします。
この制度は、南海地震対策再検討特別委員会でも関心を持っていたところですが、総務省の2008年統計資料でも、総住宅数の13.1%が空き家であり、757万戸に上っています。
そのような中で、2010年の埼玉県所沢市の、空き家等の適正管理に関する条例制定が火つけ役となって、条例を策定するところ、要綱などで助成するところと、さまざまでも確実に広がっていくことが想定されます。
そこで、この老朽住宅除却事業における、南海地震対策行動計画の3年後の250棟目標は、地域の実情を踏まえた対象総数をどれだけ把握して、どれだけの進捗状況を目指そうとしているのか、お尋ねします。
また、空き家が社会問題化している背景として、認識的・経済的・税制的・行政的・法律的理由などが挙げられます。
中でも、私が先日調査させていただいた、災害で一人も犠牲者を出さないまちづくりを目指す東京都荒川区では、老朽空家住宅除却助成制度によって、補助率2/3限度額100万円ということで、加速化を図られていますが、担当の防災都市づくり部の職員の方からは「上物が除去されることで、固定資産税がはね上がるという税制上の理由は大きなネックになっている」という悩みもお聞きしました。
そこで、これら先行自治体における事業の進行を図る上で支障となっている点はどのようなものがあり、本県ではそれらをどのように克服しながら進めていくつもりか、お尋ねします。
また、本県にとっては、防火・防犯の面だけではなく、津波避難路確保の面からの視点で重視されている方も多くおられます。
そこで、対象老朽住宅が津波避難路に面したものとそうでないものに、優先順位などはあるのか。また、なければそういったことについての検討は必要なのではないかと考えますが、御所見をお伺いします。
次に、発災後の雇用の復旧・復興のあり方について、お聞きします。
阪神・淡路大震災における孤独死について調査した医師の額田勲氏は、「仮設住宅での孤独死は、孤立・失業・慢性疾患の相乗において発生する」と述べています。すなわち、仕事を失うということは、単に所得を失うということにとどまらず、社会から被災者を孤立させ、震災からの復興過程で新たな犠牲を生む可能性が高いということだと言われています。
私たちが、南海地震対策再検討特別委員会で、昨年調査をした岩手県大槌町で、仕事を求めて転出する働き盛りの年齢層の多さが目立ちました。その転出後に、幾ら復興事業が行われ、街がきれいに整備されたとしても、特に働き盛りの若い人口が地域から流出していては、被災地域の衰退を加速化させることとなり、真の復興につながりません。
そこで、災害後にどう仕事を確保し、雇用の復旧・復興を図る方策と仕組みを事前からつくっておくかということで、質問させていただきます。
大正デモクラシーの旗手で、福祉国家論の先駆者でもあった経済学者の福田徳三氏は、関東大震災の折に、災害復興を「復興事業の第一は、人間の復興でなければならぬと主張する。人間の復興とは大災によって破壊せられた生存の機会の復興を意味する。今日の人間は、生存するために生活し、営業し、労働せねばならぬ。すなわち生存機会の復興は、生活・営業・及び労働機会の復興を意味する。道路や建物は、この機会を維持し、擁護する道具立てに過ぎない。それらを復興しても本体たり実質たる営生の機会が復興せられなければ何にもならないのである」と、定義しています。
福田徳三氏が述べた「営生の機会を保障する」ための「働く・営業する・生活する権利」を保障するために、雇用と営業の保障における支援の面において区別されることなく、被災地で働く人たちがすべて等しく復興の支援の対象となるべきという前提に立って、雇用創出と営業再開への支援策を備えておくという考えがあるのか、知事にお尋ねします。
さて、災害後に仕事を確保し、被災者の収入と生きがいを維持するための新しい仕組みとして日本災害復興学会の関西大学永松伸吾教授などによって提唱された、キャッシュ・フォー・ワークというしくみがあります。
これは、自然災害などの被災地において、その復旧・復興のために被災者自身が自ら働いて関与し、その労働に対して対価が支払われることで、被災者の生活を支援する手法です。平常の経済活動が被災地で再開するまでのつなぎのプロジェクトとして行われるもので、東日本大震災においても、キャッシュ・フォー・ワークにつながるさまざまな取り組みが展開されました。そして、つないだ後、撤退するのではなく、例え小規模でも地域社会に、ある程度恒久的な雇用として継続させるような、満たすキャッシュ・フォー・ワークとしていくなどの発災前からの仕組みづくりを検討しておくことが求められるのではないかと考えますが、商工労働部長にお尋ねします。
また、その際には、特に女性は避難所での炊き出しという無料ボランティアなどの役割分担に陥りがちな面が指摘されているだけに、この仕組みの中でも避難所の食事提供など避難所運営に関わること自体も、仕事として創出することなども含めて、震災対応事業の事例検討がされるべきだと考えますが、あわせて商工労働部長にお尋ねします。
そして、事業再開に向けた中小企業などへの支援は、地域の復旧・復興には欠かせないものでありますが、東日本大震災では、中小企業等復旧・復興支援補助金、いわゆるグループ補助金などによる支援を受けたくても、その構成要件や機能要件、さらには用意された資金のハードルなどもあったとされています。そうならないためにも、いかに支援のための制度のハードルを下げておくかということなども重要であると思いますが、どのような制度が望ましいと考えるのか、商工労働部長にお尋ねします。
次に、社会的包摂と支え合いの仕組みについて、地域福祉部長にお尋ねします。
昨年暮れからことしにかけて、二度ほど岩手県宮古市の前市長で、被災地で診療に当たられた医師の熊坂義裕さんから、東日本大震災における、地域・生活の復興ということで、社会的包摂のあり方について聞かせていただきました。
社会的包摂サポートセンター「よりそいホットライン」を開設する中で、社会の矛盾が噴き出た形の生きにくさを感じている方たちと向き合ってきた熊坂さんのお話は、被災地からの訴えであるようにも受けとめました。
しかし、熊坂さんは「ホットラインで受ける相談は、明日の自分のことであり、それを自覚できるかどうかである」とおっしゃられており、震災によって顕在化する前に、今の社会の中で、生きにくさを感じる方々としっかり寄り添っていかなければならないと感じたところです。
さまざまな社会的リスクによって、人々が社会から切り離されてしまうことを、社会的排除と言いますが、社会の仕組みの不都合でさまざまな生活上の困難を抱え、生きづらくなってしまう状態の人々を、社会の仕組みでしっかりと受けとめ、自立できるようにすることが、社会的包摂なのです。
経済社会の構造変化の中で、地域や職場、家庭でのつながりが薄れる中、さまざまな社会的リスクが連鎖・複合し、人々を社会の周縁に追いやる社会的排除の危険性が増大しつつある今の社会の中で、県政施策の中において、社会的排除の状況に陥り、社会的包摂の対象となる分野や者としてどのような方々が想定できるのか、お伺いします。
県民一人一人が社会のメンバーとして居場所と出番を持って社会に参加し、それぞれの持つ潜在的な能力をできる限り発揮できる環境を整備するために、その方たちへの支援策が、日本一への健康長寿県構想にも一定盛り込まれてはいるとは思いますが、さらなる支援策を拡充していく決意があるかどうか、お伺いします。
これらのことを考えたとき、しっかりとした社会的包摂戦略のもとで、官民含めた関係者が社会的排除を生む社会の構造や要因に向き合い、排除ではなく包摂の方向に社会の仕組みを組みかえる取り組みを、地域から協働して進めていくことが必要ではないかと思いますが、高知県版社会的包摂戦略を策定するつもりはないかお尋ねします。
さまざまな機関による支援の輪が広がっている今日においても、それらの取り組みのはざまで、さまざまな支援にたどり着くことができず、生活困難が深刻化し、自ら命を絶つまでの事態に追い込まれる人が後を絶たないのも事実です。
一人一人が支援にたどり着けるよう、それぞれの分野や対象ごとに発展してきた取り組みが、その分野や対象ごとの縦割りを克服されて、一元化されたどこからでもアクセスできるワンストップの、生きづらさの相談支援窓口を設置し、生きづらさを感じる人たちの心に寄り添うシステムを構築するつもりはないか、お尋ねします。
先日、福島県の「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」で代表をされている佐藤幸子さんのお話を聞く機会がありました。
震災直後の情報隠蔽で作り出された、健康被害や生活破壊、子供たちのために何もせず、間違いだらけの対応しかしてこなかった行政、そして、県民健康管理調査への不信感が生じる中で、子供たちを守るためなら何でもやろうとつながった親たちの姿を、私たちは傍観しているときではないと思ったところです。
親たちは、子供たちの避難、疎開、保養、移住に対しての支援拡充や内部被曝を防ぐための食の提供、住民の立場に立った医療体制の整備などに取り組まれておりますが、それは福島だけの取り組みでなく、私たちにも求められている支援です。
会場からの「今、高知で何ができるか」との問いに、佐藤さんは「野菜の供給と保養の受け入れ」と言われた。昨日、産業振興推進部長も少し触れられました、昨年からこの高知でも民間レベルで取り組まれてきた保養キャンプの取り組みなどが求められているものであると思ったところです。
先月5日には、県知事宛てに「放射能汚染の影響を回避し、子供らの健康管理支援の受け入れ体制確立を求める要望書」を提出させていただき、母子避難をされて高知に移住されている方たちとともに、副知事らと意見交換をさせていただきました。
その際に、原発事故がもたらした現在の暮らしそのものの破壊だけではなく、将来にわたる健康被害への不安を少しでも取り除くために、福島に限らず放射能汚染被災地で発生する可能性のある健康被害からできるだけ多くの子供たちを守るために、尽力していかなければならないということでは、認識を共有していただけたと思っているところです。
昨年6月、健康上の不安を抱え、生活上の負担を強いられており、その支援の必要性が生じていることや当該支援に関し、特に子供への配慮が求められていることにかんがみ、子供に特に配慮して行う被災者の生活支援等に関する施策を推進し、被災者の不安の解消及び安定した生活の実現に寄与することを目的として、超党派の議員立法で「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」いわゆる「原発事故子ども・被災者支援法」が制定されました。しかし、未だ理念法であり、具体的な支援の内容は当事者など国民の意見を踏まえた基本方針、政令、省令を作成することで決めていくこととなっています。
そこでお尋ねしますが、この法律は、被曝から避難する権利を認めるものとして、支援内容が定められるべきものであると考えますが、知事の御所見をお伺いします。
また、支援対象地域として、最低でも追加放射線量が年間1ミリシーベルトを超える地域が対象となるべきだと考えますが、健康政策部長にお聞きします。
避難者に必要な支援として、避難に必要な実費補助、雇用への支援、帰郷のための交通費補助、居住者に対する被曝量低減化のための支援、法第13条による健康への影響の調査と医療の提供について、国の責任で避難先や福島県外の線量が高い地域においても子供・妊婦の医療費を免除する新たな制度が考えられますが、どのような内容が盛り込まれるべきであると考えられるか、副知事にお伺いします。
次に、福島県など放射能汚染被災地に暮らす親子を短期保養の形で、本県に積極的に受け入れる体制の整備を図ることについて、今後どのようなことを検討しようとされているのか、副知事にお伺いします。
そして、短期保養期間中、または、本県に放射能汚染被災地から移住している子供たちの継続的な健康調査を行い得る医療体制の整備について、日本一の健康長寿県にふさわしい対応を検討されてはどうかと考えますが、これも副知事にお伺いします。
以上のことを行うため、国で制度化されるまでの間、本県としての可能な限りの取り組みを先行することについて、知事はどう考えになれますか、お伺いいたします。
昨日、塚地議員の質問で、原発の再稼働反対、電力料金の値上げの問題点などが質疑されましたので、重複するので質問は避けることとしましたが、放射能汚染からの避難者の短期保養や移住受け入れを初め、県民の安心と安全を考えたとき、一日も早い伊方原発の廃止に向けた方向性を明確にできる本県のエネルギー政策を確立していただきたいことを要請しておきたいと思います。
産業振興計画第2期の取り組みの中でも、地域の資源を余すところなく活用すると言えば、林業分野であります。10年後の目指す姿として原木生産量65万立方メートル以上を目指すとされていましたが、それも今年度末には上方修正されることとなっております。
昨年度設立された高知おおとよ製材株式会社も、操業に向けた準備が進められており、高知おおとよ製材はもとより、県内の製材工場も安定的な原木供給のための増産体制の強化や集荷体制の整備など、スピード感を持って取り組みを進めていくこととされています。
また、木質バイオマス発電の事業化の取り組みも順次進められており、これらの取り組みにより、年間16万トン余りのチップが消費され、県内の豊富な森林資源をトータルで活用する体制を整えることとなっています。
林業・木材産業の将来について、さらに検討すべき課題があるのではないかとの思いで、林業振興・環境部長にお尋ねしたいと思います。
国の森林・林業基本計画では、目指す木材自給率が50%で、これを本県に置きかえた場合には約92万立方メートルの原木生産量という試算もあり、産業振興計画で見直しを予定している目標の81万立方メートルでは及ばないということになりますが、御所見をお伺いします。
県内の森林の蓄積量からしても、92万立方メートル程度生産しても問題はなく、検討の余地はあるのではないか。むしろ、この程度は生産し、中山間地域における就労の場を確保することが必要ではないのかと考えますがいかがでしょうか。
また、92万立方メートル程度の生産を達成するためには、担い手数は、現在の目標である1,720人に対して、どれだけ増加するのか、あわせてお伺いします。
次に、供給量と流通の面から考えてみたいのですが、2011年度の実績から、50.7万立方メートルの生産量の内、17.1万立方メートル、約33.7%が素材のまま県外に流出しています。
今回見直しがされようとしていますが、現状の計画では、県の10年後の素材生産の目標は65万立方メートルとなっておりますので、この段階では高知おおとよ製材が稼働しているので、その量が県外への流出から差し引かれるとしましても、およそ14万立方メートル程度の量が県外へ流出することが予想されます。
しかし、これを92万立方メートルと想定したときに、県内での製材量は65万立方メートルのときと同量であれば、チップは全て県内で生産すると仮定しても、県外で製材せざるを得なくて、流出する素材は相当量に上ると思われます。
いずれにしても、他県が県内での製材を初め、加工部門を大型化して付加価値をつける方向で、大きく動いているときに、本県が手をこまぬいていたら、本県の材が今まで以上にターゲットにされる懸念も増すだけに、早急に具体的な検討に着手する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
また、建築用の材料としての加工品が、大量に県外から流入してきていることが考えられますが、この分野についても県内において加工し、提供していく態勢を整えていくことが必要でありますし、同時に県外へ提供していくだけの能力を備えることで、雇用の場の拡大と森林産業の発展を目指す必要があります。
そのために、県としても個別事業者の加工力強化について打ち出してはいますが、現在県内における木材加工の業種が、モルダー等の加工機械を設置し、県内で完成品を提供できるようにして、他県への流出を少しでも抑えるだけの力を備えるために、加工機械の設置・更新などへきめの細かな支援策を検討する必要があるのではないかどうか、お尋ねします。
いずれにしても、本県の膨大な森林資源である森林・木材については、本格的に取り組む必要があり、他県におくれをとらないよう、対策を急ぐ必要があると考えますが、この項については、知事にお伺いします。
最後に、新堀川を初めとした地域資源を生かしたまちづくりについて、質問します。
尾ア知事が就任された最初の2月定例会で、私は、都市計画道路はりまや町一宮線事業のあり方について、シオマネキを初めとした希少野生動植物が生息できるという自然環境保護の視点や江戸期の工法による階段護岸、明治維新の息吹の残る歴史・文化遺産を守ることからも、この工事の見直しを求める提言をさせていただきました。
知事からは、「追手筋弥生町線から南の区間については、水辺や掘り割りという歴史的な資産を生かしたまちづくりの観点から、広く県民や関係者の皆様の御意向も伺いながら、今後の方向性を検討していく」と答弁され、翌2009年2月定例会では「水辺を生かしたまちづくりや高知市のまちづくりの方向性も踏まえて、整備のあり方について総合的に判断してまいりたい」と答弁されております。
そのような経過を経て、昨年11月には、はりまや工区アンケート調査が行われました。その結果も待たれるところではありますが、調査締め切りを前後して、新聞の読者の投稿欄には相次いで、周辺地域のみのアンケートという県民からの意見の求め方や掘り割りや維新期などの歴史的価値、シオマネキやトビハゼという希少野生動植物やアカメの生息する自然環境の保護の観点などから、工事の見直しを求める12件ほどの投書がありました。
知事は「渋滞を緩和するとともに、高知市中心部を通過する交通を排除することにより、人が中心で高齢者などに優しいまちづくりにつながる、中心市街地の活性化のためにも重要な道路」と言われていますが、はりまや町一宮線周辺の高齢者や新はりまや橋小学校の生徒を初めとした子供たちにとっては、交通量の増加した危険きわまりない道路となるのではないでしょうか。
多少の渋滞緩和のために、人を遠ざけ、歴史的な価値を失わせ、希少野生動植物の生息環境を奪うはりまや町一宮線の残工区の今後の工事再開の必要性は、今でもあると考えておられるのでしょうか、知事にお伺いします。
いずれにしても、今後のあり方について検討するときには、広く県民、関係者の意向も聞く過程なども含めて、どのようなプロセスをたどるのか。そして、その際には、部内の生態系検討委員会ではなく、環境審議会による審議と高知県希少野生動植物保護条例に基づく、対応が必要ではないかと考えますが、土木部長にあわせてお尋ねします。
また、生物多様性国家戦略に対応する生物多様性こうち戦略策定との関連性からも、新堀川や江ノ口川など、町の生態系を保護することについて議論もされているようですが、町の生態系が守られず、生物多様性こうち戦略と言えるのでしょうか。町の生態系の保護との観点から、どのように保護するのか、林業振興・環境部長にお伺いします。
以上述べましたように、この新堀川では、シオマネキやトビハゼがアカメとともに暮らし、その界隈には龍馬や半平太の維新の志士が半平太の道場で学び駆け抜けた息吹、岡本寧甫や中江兆民の思想が感じられます。
7年ほど前から、環境・文化的価値を持った水辺空間を生かしたまちづくりの視点をもった議論をすすめるようにアドバイスいただいていた法政大学大学院エコ地域デザイン研究所の陣内先生からは、一昨年来高された後、「新堀川の一部が道路でふたをされたことを悔やみつつも、江の口川の再生とともに多様な水域を21世紀の価値観で生かせば、高知の未来は明るいはずだ」とのエッセイをしたためていただいています。
司馬遼太郎の『竜馬がいく』立志篇風雲前夜には、
「ほらをふくな」
「ほらなものかい。弥太郎、お前がいま立っちょる土佐の高知の菜園場前のこの土地が」
と竜馬はしゃがんで、大地をドンと打ち、
「やがて世界を動かす軸になるぞ」
という一節があります。新堀川界隈には、こんな夢の描ける地域資源があることを情報発信してみませんか。
そして、今こそ21世紀の価値観で歴史・文化・環境の地域資源が残された水辺空間を生かしたまちづくりへの転換を図るお考えはないか、知事にお尋ねして、第一問とします。
◎知事(尾ア正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。
まず、今回の政府予算や地方財政対策の決定までのプロセスと内容について、分権自治の理念からどのようにとらえているか。次に、一括交付金の廃止が地方分権の後退などにつながるのではないか、さらに、地方交付税を使って、給与削減を誘導する手法についてのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
安倍総理は、地方が自らの発想をもって、魅力あふれる地方づくりができるよう、地域ごとの創意工夫を生かすための地方分権改革を進めることを表明されております。こうした中で、大型の補正予算と平成25年度当初予算とが一体となりました、今回の予算編成は、日本経済の再生に向けた力強いものとなっております。
また、緊急防災減災事業や地域の元気づくり事業を地方交付税の需要額に積み上げることで、地方の一般財源総額を確保するとともに、補正予算では、地方負担の軽減を図るための交付金が創設されますなど、地方にも配慮がなされたものとなっております。本県にとりましても、約1兆円の防災安全交付金が盛り込まれ、事前の防災減災対策の重点化が図られましたことは、南海トラフ巨大地震対策などの大きな後押しになるものと考えております。
以上、全体として、大いに評価するものでありますが、ただ、予算案の決定までの時間が限られます中で、地方との間で十分な協議がされないまま決定に至ったものもあります。
1点目として、先の選挙公約を踏まえ、地方の自由度の拡大に向けて創設された地域自主戦略交付金を廃止、各省庁で計上する交付金へと戻りましたが、今回の見直しを地方分権の趣旨を生かした取り組みへと今後つなげていく必要があります。
このため、今後は、事業継続の配慮や事務手続きの簡素化とあわせまして、事業執行の面で、これまで以上に地方の意見を十分に反映していただくことを、大いに期待をしております。
2点目といたしまして、国家公務員給与の削減に伴います地方交付税の削減問題につきましては、そもそも地方交付税を国の政策目的を達成するための手段として用いることは、地方の固有財源という性格を否定するものであり、断じて行うきではないと考えます。
また、これまで行ってきた地方の行政改革の努力を適切に評価することなく、国家公務員の給与減額措置に準じて、地方公務員の給与削減を求めること自体に加え、これを反映して、地方交付税を削減したことは、本県のような財政力の弱い団体ほど、その影響を受けるものであり、問題があります。
もとより、地方公務員の給与は、公平、中立な知見を踏まえつつ、議会や住民の意思に基づき、地方が自主的に決定するものでありながら、今回の措置については、国が地方財政計画の中で決め、さらにその削減部分の使途までを決定すること自体に問題があると考えておりまして、今回のような事案は、十分な時間をかけて、国と地方が対等で議論を積み重ねるプロセスを経た上で、決定がなされる必要があったものと考えます。
今後、今回のような一方的な措置が、2度と行われることのないよう、国に対し、強く求めるものであります。また、国と地方の協議の場、これを積極的に活用することで、国と地方が対等の場で協議を行う、そういうシステムを早期に確立していただくことを強く期待をいたしております。
次に、自動車取得税の廃止に当たっての代替財源の確保、及び、自動車重量税を一般財源として堅持することなどについて、お尋ねがございました。県税である自動車取得税につきましては、平成23年度実績で、7.7億円余りの税収があり、貴重な財源となっておりまして、その7割にあたる4.8億円余りが、市町村に交付されています。また、国税である自動車重量税につきましては、その税収の約4割が市町村に譲渡されることとなっておりまして、平成23年度実績では、24.8億円余りとなりますなど、それぞれ県内市町村にとっても貴重な財源となっております。
このうち、自動車取得税につきましては、今年度の税制改正の議論において、廃止することが検討されておりましたが、先ほど申し上げましたとおり、県だけでなく、市町村にとっても貴重な財源でありますことから、市町村とも連携をし、具体的な代替財源の確保なくして、見直すことは断じてあってはならないと強く主張してまいりました。その結果、消費税を10%に引き上げる時点で廃止される方向となりましたが、一方で、廃止に当たっては、安定的な財源を確保し、地方財政の影響に対する適切な補てん措置を講じることを前提とするなど、一定、地方の声に配慮することとされました。
また、自動車重量税に関しましては、従来、市町村への譲与税も含めまして、道路特定財源としてその使途が道路に関する費用に充てられるよう限られていたものが、平成21年度より、それが自由化され、一般財源化されたものであります。この自動車重量税につきましては、今年度の税制改正の議論により、道路の維持管理、更新等のための財源として位置づける方向で見直しを行うこととされたところです。
これらの車体課税の見直しにつきましては、平成26年度税制改正で、具体的な結論を得ることとされておりますので、地方分権の流れに逆行することのないよう、今後の動向を注視しますとともに、代替財源の確保につきまして、引き続き、全国知事会などを通じまして、強く国に求めてまいりたいと、そのように考えております。
次に、県内談合問題への対応について、指名停止期間が今月終了する事業者との公平から、指名停止期間の短縮措置を行うことにはならないということでよいかとのお尋ねがございました。
昨年12月の定例会で採択をされました、独占禁止法に違反した建設業者37社に対する指名停止処分の短縮等を求める請願についての対応につきましては、請願に業界全体としてコンプライアンスが確立された上はとされておりますことから、まずは、建設業界の状況が、コンプライアンスが確立され、県民の皆様からで安心感や信頼感を得られる状況となっているのかどうかを見極める必要があります。
このため、従前より申し上げておりますように、請願にあります指名停止期間の短縮の判断につきましては、コンプライアンスの状況や指名停止による、県経済、雇用への影響といった経済動向、また、議員から御指摘のあった公平性の観点なども含めまして、引き続き多面的に検討するお時間をいただきたいと考えております。
次に、大学の地域貢献とは、どのようなものと考えるのかとのお尋ねがありました。
大学にとりまして、地域貢献は、重要役割の一つであり、とりわけ人口減少や高齢化が進む本県のような地方の大学にありましては、その研究開発力や人材育成機能を発揮し、地域再生や地域振興、産業振興に大きな役割を果たしていただいております。
高知県におきましては、自治体の防災計画の立案や医師確保など南海地震対策、福祉医療といった地域の課題解決に向けた取り組みに、県内の大学が積極的に取り組んでおられます。また、産業人材の育成でも、県内の大学に、講師の派遣といった点で御協力していただき、ビジネスの基礎から応用実践までを系統的に学ぶことのできる、土佐まるごとビジネスアカデミーの取り組みを行っています。さらに、県内の大学等と産業界で構成する、産学連携会議を立ち上げまして、産業の創出を目指した共同研究を実施しています。こうした産学官連携の取り組みから、スラリーアイス製造装置の開発などの成果も生まれてきております。加えて、大学と中山間地域の住民の方々が連携して、新たな観光資源や魅力の発掘に取り組み、若い観光客を呼び込むための旅行プランを作成するなど、地域再生に向けた活動も行われております。
このように、特に地方におきましては、大学に対して多様な観点から高い期待感がございます。これまで以上に地域振興に取り組んでいただきたいとそのように考えておるところでございます。
次に、短期大学の発展的解消に関し、産業振興計画で全国一学びの機会が多い県を目指すとしながら、学ぶ機会を奪うようなことをするのかとのお尋ねがございました。このたびの高知短期大学を発展的に解消することに当たりましては、高知県立大学に夜間や土日のみに受講し、4年間で学士の資格を取得できる夜間主コースを設置すること、高知工科大学の社会科学系学部の設置と高知県立大学の文化学部の拡充により、入学定員が合わせて170人ふえること、推薦入試枠が現在の20人よりも両大学合わせて40人以上拡大されること、両大学で、社会人入試制度を導入することなどにより、働きながら学ぶ機会や社会人教育の拡充が図られることになります。
また、社会人教育をさらに充実させるために、来年度から、文化生活部におきまして、産学官の連携により、地域を担う人材育成の仕組みづくりに取り組むこととしたいと考えております。
ただし、高知短期大学の発展的解消に伴って生じうる、もろもろの影響にも十分対応する必要がありますことから、高知県立大学では、経済的負担に配慮し、夜間主コースの授業料を通常の半額とし、現在の短期大学とほぼ同程度とすること、従来からの聴講制度や、科目等履修制度に加え、1年、2年のまとまった学習プログラムを提供し、修了者に、履修証明書を発行する制度を導入すること、4年間の授業料で最長8年まで計画的に学ぶことのできる長期履修学生制度を導入することなどの措置を講ずることとしております。
以上のような大学改革によりまして、高知短期大学の発展的解消に伴う諸影響にも配慮しつつ、進学指向や教育ニーズの変化に対応した教育研究体制充実が図られることとなるのでありました。学ぶ機会が減るというよりは、むしろ充実するものと考えております。
次に、職員の健康管理や職務環境の改善について、どのような努力をしてきたのかとのお尋ねがありました。
多くの県民の皆様に、あらゆる面で県政浮揚を実感していただくことを目標に、全力で取り組みを進めている中では、職員には、本当に一生懸命頑張ってもらっていると思っております。職員が意欲を持って、県民のために働き得るような組織づくりに努めることが重要だと考えておりました。
平成24年度からは、活力のある職場づくりと公務能率等の向上を図るための取組みといたしまして、職員の健康管理に留意しつつ、適切な業務管理や勤務時間管理を行うことについて、管理職員等に徹底し、全庁的に推進をいたしております。この取り組みでは、管理職員等が組織のマネジメントにおいて、仕事の仕方の見直しや業務改善、勤務時間管理の徹底を行うとともに、職員とのコミュニケーションを図り、職員の心身の健康管理やリフレッシュの促進にも取り組むこととしております。
また、昨年度からは、ストレスが少なく、働きやすい職場づくり、職場のコミュニケーションの向上を目的として、職員参加型の職場環境改善事業、いわゆる職場ドックにも取り組んでいるところであります。平成25年度の当初予算編成におきましては、課題解決先進枠を創設し、事業のスクラップ・アンド・ビルドに積極的に取り組み、事業効果の高い事業へと新陳代謝を図ることにより、事務事業の見直しや効率化にも努めました。これによりまして、職務負担、この一定の軽減にもつながると、そのように考えております。
さまざまな県政課題の取り組みにおいて、職員には、創造性豊かで質の高い仕事が求められております。決して楽な仕事環境ではない中に置かれている、そういう中にあるからこそ、職員の心と体の健康には、特に心を配りながら、組織として、より効率的に仕事を進めていくことにも意を尽くしてまいりたいと考えております。
次に、給与削減問題への対応として、本県が独自に行ってきた行財政改革の努力などについて、国や県民に向けてアクションを起こす考えはあるのかとのお尋ねがございました。
まず、国に対しては、これまでも全国知事会を通じて、国が今回、0.6兆円の給与削減措置を決定する前から、すべての都道府県で、独自の給与削減措置を実施してきており、平成11年度から平成24年度までの削減額が2兆円を越えていること、また、職員数も平成13年度から23年度までに、国が3%の削減にとどまるところ、都道府県全体で、19%も削減していることなど、既に、都道府県は、国を大きく上回る行財政改革を断行してきていることを、繰り返して主張してきております。
今後も、引き続き、全国知事会として、都道府県が足並みをそろえてアピールをするとともに、今回のように、地方との十分な協議を経ないまま、地方交付税を一方的に削減するようなことは、二度と行わないよう、国に対して強く申し入れる必要があると考えておるところでございます。
ちなみに、本県におきましても、これまで給与カット累計額は、約109億円に至ります。さらに、職員の数の削減につきましても、ピーク時から比べますと約27.8%の削減を行ってきておるところでございまして、全体として、職員給は、約209億円の縮減という状況に、現在なっているところでございまして、他の都道府県に比べても、十分以上の行革努力を行ってきたところでございます。
県内各界の代表者で構成します、高知県行政改革フォローアップ委員会で、毎年度、職員数削減による人件費の縮減効果や給与削減の累計額等について報告を行っていますし、これまでの私の記者会見でも、国家公務員の給与削減措置に関する御質問への回答の中で、本県の行財政改革の取り組みの実績について、同様の御説明をしておりますが、今まで身を切った努力をしてくれた職員のためにも、今後ともさまざまな機会を通じて、情報発信に努め、県民の皆様にこの点、御理解いただけるよう、努めてまいりたいと、そのように考えておるところであります。
次に、退職手当条例の改正を行った結果に対する受けとめと、経過措置の見直しについてお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
職員の退職手当につきましては、12月県議会でもお答えいたしましたように、人事院による実態調査の結果を受けまして、民間との均衡を早期に図る必要がありました。あわせて、国から国家公務員退職手当法の改正に準じた措置を講ずるよう要請があったことも踏まえまして、条例の改正を行い、本年3月1日から施行したところでございます。本県の退職手当制度は、これまでも国準拠を基本とし、また、職員にとっては、大変厳しい内容ではありますものの、国家公務員の支給水準を上回る退職手当を県職員に支給することは、県民の皆様の理解を得られるものではないと判断をいたしました。今回も制度として国に準じて引き下げを行うこととしたことは、県知事として下さなければならない決断だったと考えております。
他方、県庁職員の長といたしましては、長年県民のために働いてこられた職員に対し、心情的には非常に心苦しいとの思いがあります。条例施行日前に退職した職員が一定数おられた状況を見ますと、それぞれ相当悩まれた末の結論であったと推察しておりますし、そうした意味で、職員の皆さんを悩ませてしまうような心苦しい制度であるということは、否めないと思っております。
また、このたびのいわゆる早期退職に関して、職員や県民の皆様の中にも、いろいろと思いが交錯し、受けとめもまちまちではあったかと思いますが、いずれにいたしましても、県政運営に支障が生じることがあってはなりません。その点につきましては、現在、職員の皆さんが協力して業務が停滞しないよう、尽力してくれておりますので、大変感謝しております。
経過措置の見直しにつきましては、条例を改正するに当たり、可能な限り、職員に配慮しますとともに、県民の皆様から理解を得られるぎりぎりの内容としまして、適応年度を国に合わせながらも、施行日を平成25年3月1日とし、経過措置として、第2段階目の適応日を平成26年1月1日に、第3段階目の適応日を平成27年1月1日にといった形で、国よりも長くとったところでございます。こうした本県独自の判断も行っておりますので、心苦しさは残りますものの、経過措置の見直しについては考えておりませんが、年度途中で退職を希望する職員が出た場合は、その時点で、取りうる手立てを講じ、県政運営に支障が生じることのないよう、適切に対応をしてまいります。
失礼しました。順番、間違えました。失礼いたしました。先ほどの、人件費削減の努力について、何らかのアクションを起こすお考えはあるかという答えについては、先ほど申し上げましたとおりであります。
それに続きまして、次に、給与について、現時点で引き下げしないと明言できないのかとの、お尋ねがございました。
本県におきましては、今後、国の地方財政計画における地方公務員給与費の削減措置が本県の財政運営等に与える影響、職員の負担等と総合的に勘案し、慎重に検討を進めていく必要があると考えているところでございます。
次に、南海トラフ巨大地震への備えにつきまして、津波避難放棄者ゼロ宣言を発して、県民とともに歩んでいく方向性を示せないかとのお尋ねがございました。
昨年3月末に内閣府が発表しました南海トラフの巨大地震による津波高の推計では、発生頻度は極めて低いものの、こうしたことも起こり得るという最大クラスの津波高が公表をされました。以来、県としましては、県民の皆様の間に、不安やあきらめだけが広がることを防ぐために、津波の浸水予測を公表する際には、県と市町村が進める対策も合わせてお示しをしてまいりました。もとより、東日本大震災以降、すぐに取りかかるべき項目としまして、例え想定を上回る津波が襲来したとしても、命だけは確実に守れるよう、どこにどうやって逃げるか、もう一段、高いところに逃げる、逃げ場所をつくる必要はないかなどといった見直しを、地域地域で進めさせていただき、まずは、避難空間の整備を最優先させてまいりました。また、短時間で、水平、あるいは、地下に逃げることが可能となる津波避難シェルターの技術的な検討を行うなど、あらゆる可能性を排除することなく、避難施設の選択肢をふやす取り組みを進め、確実に命を守るための方策をお示ししてまいりました。
現在、とりまとめを急いでおります第2期南海地震対策行動計画におきましては、揺れや津波への備えなどを含めた180項目余りの具体的な取り組みを位置づけ、3年後の到達目標を明確にしていく予定であります。その中でも、大きな人的被害が想定される津波から、県民の皆様の命を守るためには、早期避難の意識を高めることが最も重要だと考えておりまして、3年後には、意識率を100%とすることを目標として、行動計画のトップに掲げております。こうした取り組みを行動計画に基づいて進めることが、すなわち、津波避難放棄者ゼロ宣言そのものでありまして、最大クラスの津波からも避難することを決してあきらめないという意識が、確実に高まっていくものと考えております。
次に、被災後の事業事業者の営業再開への支援と、地域での雇用創出への支援策に対する考えについて、お尋ねがありました。県では、地震津波の被害を少しでも軽減できるよう、ハード、ソフトを織り交ぜながら、多重的に対策を講じていくとともに、被災後の速やかな被災者救援や、県民の日常生活を再建するため、早期復旧、復興に向けた、事前対策にも、積極的に取り組むこととしております。議員のお話にありました、雇用と営業を保障するという観点では、事業者の皆様に、できるだけ早く事業を再開していただくという視点とともに、災害で仕事を失われた方々の働く場を早期に確保し、地域で暮らし続けていくことができるようにするという視点が重要だと考えております。
そのため、まず、事業者の皆様に、早期に事業を再開していただくことができますよう、BCP策定の支援や、地震対策に活用できる低利の融資制度などにより、事前の対策を促進しますとともに、高台における工業団地の整備も加速していくこととしております。
こうした対策を着実に進めていくことで、震災による被害を最小限にとどめるとともに、被災した事業所の改修や資金繰りへの支援など、復旧に向けた対策を迅速に実施していくことで、早期の事業の再開につなげていただくことが重要だと考えております。
また、こうした取り組みとあわせまして、被災後には、仕事を失われた方々の働く場を地域の中で、できるだけ早く確保していくために、国や関係機関と連携した対策を実施していくことも必要となります。先の東日本大震災におきましても、瓦れきの撤去や避難所の運営などの業務に、被災された方々に従事していただくことで雇用を確保したり、災害発生後、すみやかに就職支援窓口を立ち上げることで、早期の求人の確保と就職に結びつけたなど、数多くの事例がありますので、そうした取り組みの情報収集も行いながら、今後の対策に生かしていけるよう、検討を重ねてまいりたいと考えております。
次に、原発事故子ども・被災者支援法は、被爆から避難する権利を認めるものとして、支援内容が定められるべきではないかとの、お尋ねがありました。
いわゆる原発事故子ども・被災者支援法は、東京電力福島第1原子力発電所の事故により被災されました子供を初めとする住民等の生活を守り、支えるため、さまざまな生活支援等に関する施策を推進することを目的として、昨年6月に議員立法により、全会一致で成立した法律であります。
この法律では、国において、放射線による健康上の不安が早期に解消されるよう、最大限の努力がなされること、また、被災者一人一人が、他の地域への移動や帰還などについて、みずからの意志によって選択できるよう、適切に支援することも基本理念として規定をされておりまして、議員御指摘の被災者の方々の被爆から避難する権利の趣旨も含んだ内容になっているものと思われます。
支援内容に関する基本的な事項につきましては、今後、政府が策定する基本方針において定められることとなっておりまして、法の目的、及び、この基本理念を踏まえまして、被災者の不安の解消と安定した生活の実現に向けた実効性ある施策が盛り込まれることが必要だと考えます。
次に、本県として、被災者支援の取り組みを先行させることについて、お尋ねがございました。
東日本大震災の被災地や被災者への支援につきましては、南海地震の切迫性が高まっている本県にとりまして、明日は我が身との強い思いから、庁内に支援対策本部を設置し、物資や人的支援のほか、被災者の受け入れにも積極的に取り組んでまいりました。これまで、本県へ避難された被災者の方々には、公営住宅等への入居や保育園などへの入所支援、就労相談など、さまざまな支援を行ってまいりました。一方で、避難生活が2年近くに及んできたことを考えますと、比較的短期間を想定した支援スキームだけでは、十分とは言えないケースも、今度は想定されるため、新たな課題への対応も検討しながら、支援を継続してまいりたいと考えております。
次に、第2期産業振興計画の林業分野における取り組みについて、本県の膨大な森林資源である木材の扱いを、他県におくれをとらないよう対策を急ぐ必要性について、お尋ねがありました。
本県の成熟した森林資源をダイナミックに動かすため、現在、第2期産業振興計画におきまして、木材産業の再生に取り組んでおります。特に、来年度、四国最大級の大型製材工場であります高知おおとよ製材が稼働する予定となっておりまして、このことは、本県の木材産業再生に向けた強力なエンジンとなるものと考えております。あわせまして、県内製材業者の加工力向上の支援などに、今後も取り組んでまいります。
さらに、木材の需要拡大につきましても、県産材を利用した木造住宅の建築促進などの地産地消の取り組みとあわせまして、関東や関西など、大消費地へ流通拠点の設置や土佐材パートナー企業の拡大などの外商活動に本格的に取り組んでおります。
今後、土佐材が他県に先駆けて飛躍的に販売拡大し、県内の林業関係者の所得向上で山の産業が元気になるためには、これまでの外商戦略をもう1歩進めることが必要となっております。このため、販売窓口の1本化に向けた販売組織の抜本強化、土佐材住宅のパッケージ化など、消費地のニーズにあった商品の品ぞろえ、新たな製品開発による高付加価値化、県外プレカット工場や県外ビルダーなど、大口取引先の開拓など、販売力の抜本強化などによりまして、県外への販売を大きく伸ばしていきたいと考えております。
販売力の抜本強化は、今後、県がリード役となり、業界と一緒に力をあわえて、もう一段、土佐材の商品力をアップさせてまいる取り組みを進めていくことを中心にしたいと思っています。今後、外商活動を次なるステージへ向けて高めていくため、スピード感を持って、取り組んでまいります。
次に、はりまや町一宮線の残工区についての今後の工事再開の必要性について、お尋ねがありました。
はりまや町一宮線は、高知市北部地域と中心市街地を結ぶ、延長約4.7キロの都市計画道路でありまして、電車通りや産業道路と一体となって、高知市の都心環状機能を担っております。平成23年3月には、新堀小学校北側の交差点までの4車線が完成をしました。その後に行った3回の交通量調査によりますと、はりまや町一宮線の交通量は、北側区間の完成前に比べて、大幅に増加し、引き続き増加の傾向にあります。また、南側区間の交通量は、4車線整備に必要な交通量に達しておりまして、渋滞も発生しているところであります。
また、平成24年11月に周辺住民の方々に対して行ったアンケート結果では、北側区間の4車線整備に対して、よくなったと答えられた方が約6割いる一方、2車線区間に対する意見については、バスなど大型車両が多くなり、歩行者や通学児童への危険度が増していることや、渋滞が以前に比べてひどくなっていることなど、2車線区間に支障を感じている人の割合が半数を超えているところです。
こうしたことから、南側区間の4車線整備の必要性は高まっていると感じてはおりますが、今後さらに、交通の流れや、新堀川の環境変化の推移を広く県民の皆様にお示しし、御意見を伺いますとともに、さらには、判断の大きな前提となる高知市のまちづくりの方向性を見きわめながら、検討をしたいと考えているところでございます。
最後に、歴史、文化、環境の水辺環境を生かしたまちづくりへの転換について、お尋ねがありました。
道路整備に当たりましては、地域の歴史や文化、あるいは水辺空間などの自然環境に配慮しながら、地域の個性を生かしたまちづくりを支援する取り組みを行ってまいりました。はりまや町一宮線の整備に当たりましては、工事計画の段階から、専門家による生態系検討委員会を設置をしまして、生態系に配慮した工法の提言をいただきますとともに、地元の方々とワークショップを開催し、水辺、歴史、緑などをテーマに、歩道や護岸の整備イメージについて御提案をいただきました。さらに、これらの機能を踏まえまして、地元の方々や学識経験者が参画したはりまや工区検討会で議論を重ね、はりまや町一宮線の整備計画を立案したところであります。これにより、既に整備が終了している北側区間については、道路構造の桟橋形式への見直しや、工事に先立つ希少種の移植などを行ってまいりました。南側区間につきましても、これまでの議論の結果も尊重しながら、水辺空間の確保や、生態系の保護の視点に立ちまして、先ほど述べましたように、高知市が進めるまちづくりの方向性を踏まえ、検討を進めてまいりたいと、そのように考えております。
私からは、以上でございます。
◎総務部長(小谷敦君) まず、県の補正予算に関し、本県にとって必要な事業が計上されてるのかというお尋ねがございました。
国の補正予算は、去る1月11日に閣議決定された日本経済再生に向けた緊急経済対策に基づき、復興・防災対策や、成長による富みの創出、それから、暮らしの安心・地域活性化の3分野を重点として、即効性や需要創造効果の高い施策を優先的に実施することとされております。このような国の経済対策の趣旨を踏まえ、県の補正予算におきましては、当然の前提として、事業の執行可能性を十分踏まえました上で、住宅耐震化促進事業費補助金などの南海トラフ巨大地震対策を初め、県民の皆様や市町村、地域のニーズが強く、緊急性の高いものや、事業の前倒し効果を発現できるものなど、本県にとって必要不可欠となる事業を、早期に、かつ、大幅に拡充して計上することができたところでございます。
次に、補正予算にかかる普通建設事業費と基金の雇用創出効果について、お尋ねがございました。
まず、基金のうち、緊急雇用創出臨時特例基金、35.2億円ございますが、これにつきましては、これまでの実績も参考に、1,271人の雇用創出を見込んでおります。緊急雇用創出臨時特例基金以外の基金と、普通建設事業費分につきましては、本県の産業連関表で雇用を誘発効果を試算いたしました。その結果、普通建設事業費分では4,688人、緊急雇用創出臨時特例基金以外の基金分では626人の誘発効果が見込まれるところでございます。経済対策分の補正予算全体では、6,585人の雇用誘発効果が見込まれるものでございます。
次に、知事部局の職員の時間外勤務の実績についてお尋ねがございました。
平成24年度における知事部局の職員1人当たりの時間外勤務実績は、平成24年12月末の対前年同月比で、知事部局全体で約2%の増加となっております。増加している部局は、危機管理部、文化生活部、農業振興部、林業振興・環境部、会計管理局となっております。
このうち、主な増加要因といたしましては、例えば、危機管理部につきましては、平成24年3月31日に国が発表した南海トラフ巨大地震による震度分布、津波高の推計結果を受けての本県版の津波浸水予測の推計や、新たな避難方法の選択肢としての津波避難シェルターの検討、第2期南海地震対策行動計画の策定などの南海地震対策に関する業務などでございます。文化生活部につきましては、中国安徽省政府等訪問団の来高や、日本韓国双方で開催された、田内千鶴子さん生誕100周年記念事業への対応などの国際交流に関する業務、世界的に著名な県出身の写真家からの作品等の寄贈への対応に関する業務など。また、林業振興・環境部では、再生可能エネルギー導入に関する業務、高知型地域還流再エネ事業スキームの検討でございますとか、原子力発電所の安全対策等の対応に関する業務など、このような年度当初には想定していなかった業務増への対応が必要であったためとの報告を受けております。
時間外勤務縮減に向けた対応としましては、まずは、部局内で、業務分担や仕事の仕方の見直し、応援体制の構築等を行った後に、さらに人的な対応が必要な場合には、部局と協議をした上で、年度途中での増員を行うなど、柔軟な対応をしているところでございます。今後とも、適正な人員配置に努めるとともに、適切な業務管理、勤務時間管理の徹底に取り組んでまいります。
次に、本県の行政改革のこれまでの取り組みの効果について、お尋ねがございました。
先ほど、知事から御答弁しましたとおり、一般職員の給与の削減措置については、平成17年度に財政危機の回避を目的に行って以降、これまで削減額、累計でおよそ109億円となっております。また、教育部門、及び、警察部門を含んだ一般職員の数は、給与削減措置前の平成16年度と比較しますと、1万5,034人から、平成24年度は1万3,248人と、1,786人、率にして11.9%減少しております。これらの職員数削減の行政改革の結果、普通会計決算の職員給で比較いたしますと、平成16年度は、およそ1,077億円のところ、平成24年度の12月補正後の職員給は、およそ868億円となっており、およそ209億円減少しております。
今回、国の給与削減措置は、初めての措置であり、かつ、一時的なものでございますけれども、本県における行政改革の取り組みは、長年にわたり継続的に積み上げてきたものであり、国をはるかかに上回る行政改革の努力を既に行ってきたと言えるものと考えております。
◎土木部長(奥谷正君) コンプライアンスの状況や経済動向などの見極め方について、お尋ねがございました。
まず、高知県建築業界におきましては、本年1月に改善計画表を提出いただき、外部の有識者のみで組織された倫理委員会の設置や、法令違反を確認したときに通報を受け付ける広域通報制度など、実効性の期待できる取り組みが始まっております。
今後、さらに、今般の事案の総括を踏まえ、例えば、どのような言動が談合の疑いを持たれることになるかなど、事業者やその従業員の方々が、日々の事業活動の中で、疑問に思っていることを相談できる窓口を設置するなど、事前防止の実が上げられる対策が講じられ、全体としてコンプライアンスの確立の動きが確かなものとなっていることを確認できる必要があると考えております。
また、独占禁止法違反を認定された事業者においては、全社でコンプライアンスの確立に向けた基本方針を策定され、相談や通報の窓口を設置するなどの具体的な取り組みを始めております。今後も、社内研修など、基本方針に基づく取り組みが順次実施されていることを確認できる必要があると考えております。
一方、県経済や雇用への影響につきましては、県として、建設業者と建設業に関連した業種の事業所にアンケート調査を実施するとともに、商工団体や金融機関への聞き取り調査などを実施しながら、詳細な状況把握に努めてまいります。
このように、コンプライアンスの状況や指名停止による県経済、雇用への影響、また、事業者間の公平性の観点なども含めまして、引き続き、多面的に検討してまいりたいと考えているところでございます。
次に、老朽住宅除去事業について、南海地震対策行動計画の3年後の250棟目標は、総数をどれだけ把握し、どれだけの進捗状況を目指しているのか、お尋ねがありました。
南海地震の強い揺れによって、老朽化した空き家が倒壊し、通行人への被害や、避難や救助、消防活動の阻害などが、考えられるところでございます。このため、老朽住宅除却事業としては、津波などから確実に避難をするため、住宅が立ち並ぶ地域や、緊急輸送道路、避難路沿道の老朽化した空き家の除却を行う市町村に対して、その費用の一部を補助するものとして、当初予算に計上しております。
平成20年度、住宅土地統計調査によると、本県には、売却用や賃貸待ち以外の空き家が、約3万棟存在するとされております。その5%から8%程度が、老朽化が進み、倒壊の危険性が高い空き家と推定しております。このうち、道路事業、あるいは、個人の建てかえなどによって除却されるものを除けば、この事業の対象となる空き家は1,000棟程度と考えております。平成25年度から事業を開始した場合、初年度は50棟、次年度以降は、補助制度が浸透することによる棟数増を期待し、年に100棟程度の実施を見込んでおり、今後、10年間で危険な空き家をおおむね除去することを目標としております。
次に、事業の進行を図る上で、支障となっている点として、どのようなものがあるのか、また、本県で想定されることをどのように克服しながら進めていくつもりなのか、お尋ねがありました。
御指摘のとおり、空き家を除却して更地にした場合、住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例による最大6分の1までの軽減措置が適用されなくなることから、固定資産税の額は増加いたします。県内の空き家の除却実績のある町においては、除却すると固定資産税の額がふえることを承知した上で、当該空き家の除却を行っておりますが、事業実施における特段の支障はないものと聞いております。これから始まる事業であり、事業実施に当たって、支障となる事象がありましたら、市町村と連携して、課題解決を図ってまいりたいと考えております。
次に、対象となる老朽住宅が、津波避難路に面したものとそうでないもので、優先順位などはあるのか、お尋ねがございました。
老朽住宅除去事業は、住宅が建ち並ぶ地域、緊急輸送道路、避難路沿道の老朽化した住宅を対象とすることを考えており、現段階では、津波避難路に面したものを優先することは考えておりません。なお、事業主体となる市町村において、優先順位を設けることはできるものと考えております。
最後に、はりまや町一宮線について、今後のあり方についての検討プロセスや対応について、お尋ねがありました。
まず、検討プロセスについてですが、昨年11月に周辺住民の方々を対象に実施しましたアンケート調査の結果について、4月中を目途に御協力をお願いした周辺住民の方々に、御報告したいと考えております。
次に、平成20年8月から継続的に実施しております新堀川駐車場を一部撤去したことによる新堀川の環境変化の調査について、専門家の御意見を伺った上で、その結果をことしの秋ごろを目途に、広く県民の方々にお示しし、御意見をいただきたいと考えております。
その際には、平成21年から継続的に実施をしている交通量調査の結果や、先ほど申し上げたアンケート調査の結果についてもあわせてお示しする予定でございます。
また、高知市が、来年度末を目標に都市計画、マスタープランの策定を予定しておりますので、その方向性を見きわめながら、高知市のまちづくりに貢献できるよう検討していきたいと考えております。
次に、環境審議会による審議についてですが、環境部局からは、環境審議会は、工事の可否について言及できる立場ではなく、指定種を含む、希少野生動物の環境に対し、意見を述べる立場であるとお聞きしております。したがいまして、前回同様、土木部が主体となって、専門家の方々からなる委員会を開催し、環境部局とも連携しながら、高知県希少野生動物保護条例の趣旨に沿った対応をすることになると考えております。
◎教育長(中澤卓史君) 教育委員会事務局職員の時間外勤務の状況について、お尋ねがございました。
職員1人当たりの時間外勤務実績は、平成24年12月の対前年同月比で、約7%の減少となっております。本年度は、時間外勤務縮減のための具体的な事例等も紹介をし、各所属において、職員の健康管理に留意しつつ、適切な業務管理、及び、勤務時間管理が行われるよう徹底を図ったところでございますが、他律的な要因も相まって、減少したものというふうに考えております。
今後も、効率的な業務の執行による時間外勤務の縮減に取り組んでまいります。
◎警察本部長(加藤晃久君) 職員1人当たりの時間外勤務実績についてのお尋ねがございました。
警察職員、1人当たりの時間外勤務実績は、平成24年12月の対前年同月比で、2.2%の増加となっており、増加の主な要因といたしましては、暴力団犯罪捜査や衆議院議員選挙違反の取り締まりにかかるものでございます。
警察の第1線の業務は、突発する事件、事故に直ちに対処し、早期解決を図らなければならない場面も多いことから、時間外勤務の縮減には、困難な面もございますが、県警察といたしましては、事務の合理化や勤務日の振りかえなどによって、時間外勤務の管理を徹底するとともに、時間外勤務の多い職員については、ストレスチェックや産業医の面接を行うなど、職員1人1人の健康管理にも努めてまいりたいと考えております。
◎副知事(岩城孝章君) 行革プランによる職員数削減目標の棚上げと、13カ月予算への人的対応について、お尋ねがございました。
本県では、平成27年4月までに知事部局を3,300人体制にすることを行革プランの目標に掲げ、組織や定員のスリム化に取り組んでいます。この数値目標を立てるに当たりましては、官民協働で県政浮揚に取り組むことを念頭に、前プランの3,000人とした削減ペースを緩和したところでございます。
近年は、議員御指摘のとおり、県政の課題解決に向けた取り組みを進めていく中で、職員の忙しさが増していることは確かです。しかしながら、事務事業の見直しや外郭団体等への派遣の縮小など、職員の配置を見直す余地は残されているものと考えております。
このため、今の段階でプランの方針を変える考えはございませんが、その都度状況を見きわめるとともに、ただ、やみくもに職員数を減らすのではなく、引き続き組織体制のスクラップ・アンド・ビルドを徹底し、産業振興計画の推進や日本一の健康長寿県づくりなど、緊急性、重要性の高い分野には、重点的に人員を配置して、県民サービスの向上につながりますよう、取り組みを進めてまいります。
また、来年度におきましても、こうした考えのもと、13カ月予算による南海トラフ巨大地震対策やインフラ整備への対応に、できる限り多くの職員を配置することとしました。あわせて、業務の必要に応じ、臨時職員の雇用や業務の外部委託を行いながら、円滑に事業を執行してまいりたいと考えております。
次に、原発事故子ども・被災者支援法に関して、避難者に必要な支援として、避難に必要な実費補助や雇用への支援など、新たな制度が考えられるが、どのように盛り込まれるべきと考えるのか、とのお尋ねがありました。
いわゆる原発事故子ども・被災者支援法では、基本理念にのっとり、被災者の生活を支援するさまざまな施策が、国の責務において実施されるよう定められています。その中には、移動の支援に関する施策や移動先における就業の支援、また、一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住し、または、居住していた子供や妊婦の方々が医療を受けたときの医療費の減免などが盛り込まれております。これらの支援に関する基本的な事項などは、政府が策定する基本方針において定められることとなっており、被災された方々が、真に必要とする支援が速やかに行われますよう、早期に基本方針が策定されるべきものと考えております。
次に、福島など放射性物質汚染被災地に暮らす親子を短期保養の形で、本県に積極的に受け入れる体制の整備についてのお尋ねがございました。
被災地から本県に避難された方々の支援につきましては、先ほど知事からも申し上げましたように、さまざまな御相談に対しまして、全庁を挙げて、可能な限りの対応をしてまいりました。また、今後におきましても、避難された方々に寄り添ったフォローを行いますとともに、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
お話のございました短期保養といったケースでは、昨日、産業振興推進部長より、塚地議員にお答えしましたように、昨年7月に民間の方々が中心となって、香美市で短期間の受け入れが行われた際、県としても、必要な支援を行ったところでございます。
来年度からは、移住促進策を抜本強化して、相談体制の拡充や短期間高知での暮らしが体験できますお試し滞在住宅の整備の促進などにも取り組んでまいりますので、こうした施策などを積極的に活用しながら、今後も、県としてできる限りの支援を行っていきたいと考えております。
最後に、本県に放射能被災地から移住している子供たちの継続的な健康調査の実施について、お尋ねがございました。
健康調査は、原発事故により健康に不安を抱えている子供さんの状況を踏まえ、長期にわたり、子供の健康を守り、健やかな成長につなげていくことが必要なことから、その調査データを蓄積、分析できるよう、国が統一した内容で継続して、実施していくものと考えております。
現在、福島県の避難区域から本県に来られている子供さんを対象に、甲状腺検査などが行われておりますが、県といたしましては、こうした検査の円滑な受診に向けて、対象者の皆様からの相談への対応など、できる限りの協力を行ってまいりたいと考えております。
◎人事委員長(山本俊二郎君) お答えをいたします。国からの給与削減に関する要請について、地方公務法違反とも言えるのではないか、とのお尋ねでございました。
今回の総務大臣から、知事及び議長に対してなされた要請につきましては、地方自治法等に基づく、いわゆる技術的助言としての要請であり、国家公務員の給与の改定、及び、臨時特例に関する法律の附則で、地方公務員の給与について定めています、地方が自主的かつ適切に対応するものとするという考え方の枠組みの中のものと整理をしているとお聞きをしております。
そうした意味におきましては、違法とは言えないと考えますが、今回のような、こうした要請自体、あまり例のない対応ではないかと感じたところでございますし、あわせて、実施をされます交付税の減額措置なども考慮をいたしますと、これまで関係法のもとで行われてきています給与決定システム等に照らし、残念な対応であるというふうに受けとめています。
私ども、人事委員会といたしましては、関係法の趣旨に照らし、人事委員会が適正であるとした給与勧告に基づきまして、それに沿った対応をしていただくということが、第一義的にお願いしたいことでございますし。給与の削減を行わなければならない状況となった場合には、できる限り早期にそれを解消していただく必要があるというのが、一貫した基本的なスタンスとしているところでございます。
◎危機管理部長(高松清之君) 南海トラフ巨大地震への備えに関しまして、まず、津波避難計画策定指針の中間取りまとめをもとに、民間企業も含めて、県民の皆様に御意見をお聞きしてはどうかとのお尋ねがございました。
2月に公表しました津波避難計画策定指針の中間取りまとめは、昨年6月から有識者や社会福祉団体、消防団等の皆様に委員として参加いただいた検討会において、策定を進めてまいっております。この中では、沿岸6市町村におきまして、自主防災組織やPTA等で活動をする住民の皆様に対して、津波から逃れるために、みずからがとる行動やそういった行動をとる際の課題や不安などに関するヒアリング調査を実施しておりまして、その中で、地域の皆様の避難場所や避難手法についての御意見につきましても、お伺いをしておりまして、そういったものを中間取りまとめに反映をいたしております。
なお、今後、6月ごろを目途に、最終取りまとめに向けて進めていくわけでございますけれども。この最終取りまとめに際しましても、地域の住民の皆様とともに、避難計画づくりに取り組んでいる市町村の御意見も、改めてお聞きをし、反映させていきたいというふうに考えております。
また、この指針では、実用段階にあるさまざまな避難空間などの選択肢をお示しをしておりますが、今後、民間企業などにおいて、技術開発も進んでいくものと思われますので、新たな選択肢となる可能性を持つ情報の収集、そういったものにも努めてまいりたいというふうに考えております。
次に、災害対策や備えに関する情報の提供方法などについて、お尋ねがございました。県民の皆様に事前の備えをすれば、地震や津波からの被害を軽減できることや、県が進める南海地震対策の全体像をお示しをし、ともに取り組んでいただくためには、それらの情報を得ることができる機会を多く設けることが重要であり、県のホームページはもとより、パンフレットや広報誌、マスメディアなど、さまざまな媒体によって、積極的に情報を提供していく必要があると考えております。
このため、南海地震対策行動計画の策定後には、できるだけ早期に概要版を作成いたしますほか、新たな想定を踏まえて改訂をいたします、啓発冊子、南海地震に備えちょき、これを市町村の御協力もいただきながら、県内全世帯に配布することとしております。また、こうした地震や事前の備えに関します情報は、その内容に応じて、お伝えしたい対象の方も異なってまいる場合がございますので、例えば、若い世代の方々向けには、コンビニエンスストア、また、高齢者や障害者の方々向けには、あったかふれあいセンターや病院、その他、例えば、家具転倒防止対策に関するパンフレットということになれば、ホームセンターや家具店に御協力をいただくなど、お伝えしたい方の身近な場所に情報をお届けしていくいうことが効果的ではないかというふうに考えております。
いずれにいたしましても、来年度は、さまざまな媒体を使った情報提供と啓発を積極的に進めまして、県民お一人お一人に、地震や津波に備えていただけますよう、積極的な取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
◎商工労働部長(原田悟君) 震災後の雇用の確保に関して、被災者自身が働いて、その労働に対して対価が支払われる仕組みづくりと、避難所運営に関わること自体も仕事としてとらえてはどうかとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。
議員からお話のありました自然災害などの被災地において、その復旧、復興のために、被災者自身が働いて、その労働に対して、対価を支払い、被災者の生活を支援する手法であります、キャッシュ・フォー・ワークによる仕事の創出や、その後雇用の場として継続させていくという考え方は、大変大切な視点だと考えます。
復旧、復興までの緊急的なつなぎの仕事として、東日本大震災では、基金を活用した震災等緊急雇用対応事業が実施されており、飲食の配膳などの避難所の運営業務、高齢者宅への配食サービスなどの復興事業、避難所や仮設住宅などでの高齢者、障害者の見守りなどの安全、安心の確保事業などが実施可能となっており、女性や高齢者など、さまざまな方々の雇用の場の創出につながっております。
災害時には、住民ニーズを的確に把握し、一時的なつなぎの業務を仕事として位置づけ、円滑な復旧、復興を促していくことが大切ですし、つなぎの仕事を復興状況や地域のニーズにあった、小規模でも地域社会に恒久的な雇用として継続させるような仕組みづくりは、重要だと考えますので、国の支援策や東日本大震災の例などを参考にしながら、本県としてどのような準備が可能であるか、検討してまいりたいと考えております。
次に、震災後の事業再開に向けた中小企業への支援のあり方について、お尋ねがありました。大規模災害から、速やかに復旧、復興していくためには、住民の生活基盤の安定とあわせて、地域産業の復興を迅速に進めていくことが重要だと考えています。東日本大震災からの復旧、復興に向け、国や関係自治体は、被災した事業所の改修や建てかえなど、設備投資への補助、また、信用保証制度や公的融資の拡充、あるいは、地域コミュニティーの再生に向けた商店街の改修への支援など、幅広い支援制度を設けて、ハード、ソフトの両面で、事業者への支援を行ってまいっております。
こうした支援制度は、被災地の復旧、復興に役割を果たしてきていると受けとめておりますが、お話のありました設備投資への補助制度につきましては、補助対象が建物や生産設備等に限定され、土地や重機等は、支援の対象にならないという声や、また、申請のための書類作成の負担が大きいなど、事業者にとっては使いづらいという意見も寄せられていると伺っております。
こうした状況を踏まえ、全国知事会においては、昨年7月に、より多くの事業者が支援を受けられ、小規模零細企業も採択されやすくなるよう、制度の拡充と要件緩和等を求める提言を行ったところであります。震災後に、中小企業の皆様に、できるだけ早く復旧、復興を実現していただくためには、多くの事業者にとって、使いやすい制度とし、迅速な支援を実施していくことが重要となってまいりますので、今後とも、情報収集に努め、国の動向等にも注視しながら、支援のあり方を検討してみたいと考えております。
◎地域福祉部長(小田切泰禎君) 社会的排除の状況に陥り、社会的包摂の対象となる方々の想定について、また、その方たちに対するさらなる支援策の拡充、高知県版の社会的包摂戦略の策定、及び、総合的な相談支援窓口の設置について、お尋ねがありました。関連をいたしますので、あわせてお答えをさせていただきます。
人口減少や高齢化が進み、地域の支え合いの力も弱まる中、地域では孤立死や引きこもりなど、さまざまな生活課題が生じています。また、制度サービスの枠に収まらないケースや、縦割りで、全国一律の基準では利用者が少ないために事業が成り立たず、サービスが届かないといった課題も生じています。
こうしたことから、お話にありました対象者としては、例えば単身の高齢世帯などで、御近所とのつきあいもなく、社会的な孤立状態にある方や、ニートや引きこもりの状態にある若者、失業や病気などにより収入が減少し、経済的に困窮している方、過疎地域などで制度サービスが十分に行き届いていない高齢者や障害者、こうした問題を複合している方などが想定をされます。
そのため、日本一の健康長寿県構想の中で、制度サービスのすき間を埋め、子供から高齢者まで、年齢や障害の有無にかかわらず、1カ所で必要なサービスが受けられる、あったかふれあいセンターや、利用者の少ない中山間地域においてもサービスが行き届き、事業を継続できる支援策の実施。また、地域の支え合いの意図的、政策的な再構築を進める地域福祉アクションプランの策定などに取り組んでまいりました。
来年度は、これまでの取り組みに加え、官民一体となって見守り、支え合う地域づくりを推進する、こうち支え合いチャレンジプロジェクトを展開し、支援の必要な方を専門機関も含めた地域のネットワークで支えていく仕組みづくりを進めることとしており、その中で、制度のはざまにあり、見えにくい課題や、新たなニーズの把握にも取り組んでいくこととしています。
また、地域の課題は福祉分野のみならず、さまざまな分野が関連するなど、複雑多様化しておりますが、お話のありました社会的包摂戦略の策定というよりも、日本一の健康長寿県構想のPDCAサイクルをしっかり回すとともに、関係部局と十分に連携を図ることで、支援の必要な方に必要な支援がつながる仕組みづくりに努めてまいりたいと考えております。
その際には、お話にもありましたワンストップの相談支援窓口や、心に寄り添う対応などは重要であると考えております。
現在、国においては、生活困窮者の就労自立のための新たな支援策として、課題を抱える方を早期に発見し、本人の状況に応じて丁寧な対応を行う、総合的な相談支援体制の構築が検討されており、県としましてはそうした国の事業の活用も含め、制度のはざまにある方々へのさらなる支援策を検討してまいりたいと考えております。
◎健康政策部長(入福聖一君) 原発事故子ども・被災者支援法の支援対象地域の設定についてお尋ねがありました。支援対象地域につきましては、支援法第5条の基本方針の中に規定されることとなっており、今後、国におきまして科学的、専門的な知見を持った内外の有識者等の意見を聞き、復興庁が関係省をとりまとめて基本方針を策定すると聞いております。
支援対象地域の設定につきましては、多様な事情を総合的に勘案して決めていく必要があることから、専門的、科学的知見のもとに国レベルの高度な判断により決定されるものと考えております。
◎林業振興・環境部長(田村荘児君) 第2期産業振興計画の林業分野における取り組みに関する一連の御質問にお答えします。
まず、国の目指す木材自給率から試算すると、本県の原木生産量は約92万立方メートルになるが、見直しを予定している産業振興計画の目標、81万立方メートルは少ないのではないか。また、92万立方メートル程度を目標とし、中山間地域の就労の場を確保することが必要ではないか。その場合の担い手数は、現在の目標値からどの程度増加するかというお尋ねがありました。関連いたしますので、一括してお答えします。
第2期産業振興計画の林業分野では、10年後の目指す姿として、山で若者が働く全国トップ3の国産材産地を掲げ、これまで原木生産量は65万立方メートルを目標としておりました。
しかしながら、資源量の増加に加え、国の補助制度が、搬出間伐主体に改正されたことなどから、原木の出材圧力が高まっており、第2期計画の取り組みを開始する前から目標値の基礎としました年間の原木生産量は10万立方メートル余り増加しております。
また、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を受けまして、当初の想定よりは多くの木質バイオマス発電所の事業化が見込まれることになりましたので、来年度に向けての計画改定で、10年後の目標値を81万立方メートルと大きく上方修正することといたしました。
それにあわせまして、担い手数は現在の目標値の1,720人から、1,756人に見直すことにしております。
議員御指摘のとおり、国の目標値から試算されました92万立方メートルを県の目標値として設定することは、本県の森林資源の年間成長量が300万立方メートルを超えていることからも、検討可能な数値だと考えます。また、そのときの担い手数は、概数で1,890人となり、見直し前の目標値から170人ほど増加する試算となります。
ただ、一方で、原木の増産については供給過剰による価格の低下を招かないよう、木材加工体制の強化や、木質バイオマスの利用拡大など、需要拡大の取り組みとのバランスを取りながら進めることが重要であり、第2期産業振興計画におきましては、いわゆる川上から川下までの原木の流通を総合的に考慮いたしまして、目標を設定することとしております。
今回の見直しで目標としようとしております、81万立方メートルという原木生産量は、平成22年の原木生産量、40万立方メートルを倍増させるという、非常に高い目標です。
このため、原木生産という林業の川上分野における生産性の向上とともに、加工、流通等を含めました川下の業界の皆様とも、これまで以上に連携、協力を進めて、木材の需要を拡大していくことで目標を達成し、中山間地域の雇用拡大にもつなげてまいりたいと考えております。
次に、県内での大型製材工場設置への取り組みについてお尋ねがありました。近年の木材需要は、円高を背景として増加した外材製品との厳しい競争の中で、外材に負けない価格、品質のものを安定供給していくことが求められております。
これらの需要に対応していくには、製材工場の大型化によるコスト削減をはじめ、乾燥などにより、高品質製品を大量に製造できる施設整備が必要と考えております。
このため、本県でも四国最大規模の大型製材工場である、高知おおとよ製材の整備に取り組み、現在、急ピッチで操業に向けた準備が進んでいるところでございます。
一方、県内の製材事業者においても、これまでJAS製品や乾燥材の生産など、付加価値の高い製品づくりを進めてきましたが、これに加えまして、県内事業者による工場の大型化を目指して、経営分析や課題の洗い出しと解決方法の検討、大型化への戦略づくりをワークショップ形式で実施することなど、大型製材工場の整備に向けての計画づくりを支援してまいりました。大型製材工場の計画の具体化には、多額の資金や広い土地が必要となることなどから、複数の事業者が協同して進めることが必要となります。
今後は県もより積極的に関与して、事業化の機運を高めるとともに、関係市町村や関係機関にも側面的支援を求めながら、計画の実現に向け、努めてまいります。
次に、木材加工機械の新設、更新などのきめ細かな支援策の必要性について、お尋ねがありました。
第2期産業振興計画では、加工体制の強化の項目の一つとして、県内製材事業者のおのおのの加工力の増強を掲げております。これは、木材価格の長期低迷により、経済状況が悪化した事業者の施設更新を促進し、加工力、競争力の維持、増強を図ることを意図したものでございます。
このため、平成24年度より県産材加工力強化事業を創設し、国の補助事業の要件を満たさない小規模な製材関連施設の新設や更新に対し、新規だけではなく中古機械についても支援をしております。来年度もさらに支援を強化をしたいと考えており、予算額の増額を提案させていただいているところでございます。
最後に、新堀川など、地域資源を生かしたまちづくりや、生物多様性高知戦略に関連し、町の生態系の保護についてのお尋ねがありました。
現在、生物多様性の保全に関する生物多様性基本法及び生物多様性国家戦略2010に掲げられたすべての都道府県が、2012年までに地域戦略の策定に着手するという目標に基づき、来年度の完成を目指して、本県の地域戦略を検討しているところでございます。
また、策定を進めております生物多様性地域戦略では、県内の生物多様性の現状、及び課題について整理することとしており、その中で里地、里山などと並ぶ生態系の一つとして、町を取り上げております。
県内の町を流れる川は、以前は都市化に伴う生活排水等の影響を受け、水質が悪化した時期もございましたが、下水道整備等により、環境が改善され、生物多様性にも回復が見られます。
現在、地域戦略の策定中ではありますが、その中では、さらなる環境の改善に向けて、下水道のさらなる整備や、市民参加型の自然環境再生活動の仕組みづくりなどが課題として考えられるところでございます。
今後、生物多様性の保全や持続可能な利用の推進に向けて、行動計画を策定していく過程で、こうした町の課題を踏まえた施策についても盛り込んでいきたいと考えております。
◎33番(坂本茂雄君) それぞれに御答弁ありがとうございました。
まず最初に、県内談合問題への対応につきまして、今までの答弁というか、県としての考え方にとどまっているように思うんですが、私がお聞きしたのは、もう目の前で解除になる業者があると。その後に短縮措置などが取られたら、短縮措置の対象とならなかった業者との関係というのは、公平性を欠くことになるのではないかという意味でお聞きしているわけで、公平性の面も含めて多面的に検討するというわけですけど、私は公平性一つを取ってお聞きしているわけです。
それで、もしそういうことで行けば、よほど早い時期に判断するというふうな、逆に考え方を持つのかどうかですね。5月には、次の17業者が解除されるというふうなことになってくると、ますます短縮措置の対象になる業者とならない業者という、差がでてくるわけで、そういうときに、公平性の問題というのは、いかがに判断するのかという意味でお聞きしてますので、その点についてもう一度、知事にお考えを聞かせていただきたいというふうに思います。
そして、短大の問題でありますけれども、昨日も塚地議員の答弁の中で、いわゆる短大運営の中で、単年度の赤字が1億1,500万円程度出ていると。新たにこれから大学改革の中で、県とすれば拡充していくというふうな一方でそういうことを引き続きやっていくことが、県民に対して説明がつくかどうかということを、きのう、お話されてたというふうに思うんですけれども。私は、逆に1億1,500万円、そういうものが生じたとして、その中で240人の人材を育てていくということにつながるんであれば、それは費用対効果とかではなくて、本当に人材を育成していくための投資として考える必要があるんではないかというふうに思います。
そういう意味で、昨日言われていた、財源等との関係で、やはり、そういった考えというのはとらざるを得ないのかどうか。私は、それらを投資しても、なお、やはり、高知県において、いろんな形で人材を育てて、そしてその人材が地域の中で活躍してくれるということは、これからの高知県にとっては大きな力になっていくのではないかというふうに考えておりますので、その点についても、知事にもう一度お伺いしたいと思います。
それと、残業の問題でありますけれども、先ほど、総務部長の答弁の中で、いわゆる年度途中であっても、いろんな課題が生じたときに柔軟な対応もしていくというふうな答弁がされたと思うわけですけれども、ただ、そのためには、それだけの、充てるための人材が確保されているかどうかということがあろうかと思うんですね。
例えば、先ほどお聞きした13カ月予算への対応にしても、いわば、来年の4月以降、土木の技術職員など、充てたくても充てるだけの採用がされてないとしたら、それらを年度途中でも早い時期に、既卒者などを含めて採用していくような対応なども考えられていくのかどうか。そういったことについても、お聞きしておきたいというふうに思います。
いずれにしても、この間、ずっと時間外が増大して、確かに今、県民の皆さんに向けての県政課題の課題解決先進県ということで、県民に向けての取り組みを全力を挙げて取り組まれているわけですから、その分、やはり、職員の皆さんには随分と負担になってきている部分というのはあると思うんですね。
そこを何とかしていくための方法として、やはり、マンパワーというのはどうしても必要になっているわけで、今は東北で一番何が復興を妨げているかというと、自治体職員が足りないというふうなことになってるわけですね。しかもこの4月、大型補正が組まれたことによって、各県各自治体が、自分とこでその補正をこなさなければならないということで、今派遣している、東北に派遣している職員の皆さんを4月で引き上げるというようなことになりつつあるわけです。
それだけ、高知県はそうしないとしても、逆に今度は高知県はそうしてないことで、県内において、土木の事業費が増大している中で、6人しか充てれないという問題が生じている。そこをどういうふうに解決していくかということで、年度途中の対応も、もう一度どういうふうに考えていくかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。
それと、給与カットの問題ですけれども、先ほど来、知事以下、県の執行部の皆さんとしては十分御理解いただいてると思うんですね。今回の国のやり方が極めて不都合な対応で、その給与のカットが迫られていると。
実は、2001年から10年間で地方の給与カットの実績というのは、都道府県分で1兆6,287億円。市町村分で1兆6,100億円。トータルで3兆2,000億円の人件費削減をしてきているわけですね。
この10年間というのは、国はゼロです。国は何らのそういう措置をとってきてないですね。今回たまたまこういうことで、7.8%カットをやって、今度はそれを県に、市町村に、自治体に押しつけてくるという、このやり方というのは、とてもではないけど、やはり認めることはできないというふうに思います。
そういう意味で、ぜひ強く、国に対して受け入れられないということを申し入れていただきたいというふうに思いますし、県としても慎重に判断するということですが、ぜひ、もう一度、できるだけ早い時期に決断をされる。7月からと国は迫ってきておりますので、早い時期に決断されることを求めておきたいと思いますが、どのような時期に決断をされるのか、その点について知事にお聞かせいただきたいと思います。
はりまや町一宮線の関係ですが、土木部のほうで、部内で検討していくということですけれども、例えば、野生動植物保護条例との関係で、土木部はこれに対応する対応が果たしてできるのかどうか。結局、捕獲等の許可を受けるにしても、捕獲等の許可申請に掲げる中には、捕獲等をした個体を使用し、または栽培しようとする場合、使用栽培施設の規模及び構造を明らかにして、図面写真を添付するというふうになっておりますが、そういうことを土木部、できるというふうに考えているのかどうか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
それで2問とします。
◎知事(尾ア正直君) まず第一に談合の話でありますが、公平性を欠くではないかと、この1点をもってできないのではないかというお話ですが、この問題については、請願が既決されておるという点、そういうことを踏まえて、真剣にいろんな多面から考えているところであります。
ほんとに本県にとってコンプライアンスの確立をしっかりするということが、本県の経済的な安定的成長にとっても必要なことだと思っています。それが本当になし遂げられているかという点。ただ、他方で、きのうもお示しをしましたが、やはり、経済的なインパクトというものも大きいというところもあるというふうに思っておるところでありまして、やっぱりこの問題というのは、いろんな側面を総合的に考えなければいけない問題だと。私も今、結論を持ってるわけではありませんけれども、ただ、言えることは、多面的に考えなければならないということでございます。恐縮ですが、もう既に答弁しましたとおりのスタンスということでございます。
2番目、短大について。240人の人材育成になるのだから、1億1,500万円の赤字、これは必要なコストではないかというお考えでございますけれども、私どもといたしましては、短大の現在の状況等々を判断をいたしまして、設立当時から比べて随分状況が変わってきている。今の時代にふさわしい、働きながら学ぶ選択肢とはどういうものであろうか。そういうものを総合的に考えまして、このたび、こういう形での発展解消という手段をとらせていただくことがよいと考えたわけであります。
お金、県民の血税を使わせていただく中で、そのときどきにおいて、ベストの選択肢をお示しをさせていただくということが、我々にとって非常に重要なことだと考えております。そういうことで、今回、このような措置をとらせていただくという決断をさせていただいたということでございます。
3点目、残業の問題でございます。ほんとにこの残業の縮減について。一面では、県民の皆様方の生活はほんとに厳しいものがあります。これを何とかするために、我々は全力を挙げていかないといけません。意気に感じて頑張って職員の皆さん、頑張っていただいておるところです。結果として、残業がふえてきておる。これをできるだけ減らすことについて、我々としても意を用いていかないといけないと思いますが。
もう一つ、体制の整備、これをしっかり図っていくべきじゃないかということ。これは確かにそのとおりだというふうに思います。これまでも特に忙しくなった部署について、年度途中において、例えば人員の増強をするとか、そういう体制、措置なんかもとってきたところでございます。既存の対応でできればそれでよし。そうでなくて、一定必要等が生じたと考えるときにつきましては、それは一定の柔軟性をもって対応しなければならんと、そのように考えておるところです。
給与カットの問題であります。今回、時間がなかったとはいえ、やや今回の国の対応については、我々としてもいかがなものかということ、これはもう先ほど来、答弁で申し上げてきたとおりです。何と言いましても、今後、こういう問題、しっかりと国と地方の協議の場、ここで話し合いをしてもらわなければならないと、そのように考えております。
ただ、今、結果として今回、国のほうの対応、予算措置について一定、もう結論が出ようとしている、結論が出て、国からの対応はされているところでございまして、これに我々としてどう対応するのかということ、これを考えていかないといけません。この問題についても、正直なところ、いろんな側面から考えなければならないだろうというふうに思っています。
確かに、職員の皆様方の給与の問題、これは非常に士気にもかかわる。そもそも、今まで給与カットをしてきた中でどうだった、そういうことも考えなければなりません。
ただ、確かに他方でいろいろとやらなければならないことが、課題山積しておることもまた確かであります。また、県民の皆さんから見たときに、国家公務員がどう、地方公務員がどうということを超えて、我々との暮らしとの対比で比べてどうなのかと、そういう御意見もまたあろうかと思います。いろんな側面を考えなければいけない問題だろうと思いまして。これについても私、今、結論を持っておるわけではありませんけれども、熟慮させていただきたいと、そのように思います。
◎総務部長(小谷敦君) 残業を減らす中でのいろいろな体制ですけれども、実際に年度途中でいろんな業務が起こったときには、まず、各部内において、課を超えてまず応援というのを各部で考えていただいており、実際に今年度につきましても、そういう対応をとってきたところでございますが、それでも足りないときについては、やはり、部局を超えての異動ということで対応してまいりました。
議員からお話がありました。もともと、そのために必要なマンパワーが確保されていなければということ、ございますけれども、まずはそういった対応によりたいと考えております。
ただ、実際に採用ということについても御提案いただきました。職種によりましては、もう現に年度途中、採用などを途中でやってることもございます。ただ一方で、事務職などの場合、年度途中の採用ということになりますと、果たして質が確保できるのか等、いろいろな問題がございますので、これまでも人事委員会などといろいろ意見交換とかしておるところでございますが、今後につきましても、必ずしも排除するわけではなく、検討してまいりたいと考えております。
◎土木部長(奥谷正君) はりまや一宮線の希少生物の関係でございますけれども、実は北側区間につきましても、委員会の御意見等をいただきまして、工事に先立ちまして、希少種を移植したという実績もございます。
この後の経過措置というものも観測を続けまして、ほんとに議員がおっしゃるように、南の区間ですね。今度は規模も大きくなります。これについては、移植等につきましても、専門家からなります委員会、これを開催しまして、その中でどういった対応があるかも含めまして、今後継続的に御検討していくようなことを考えております。
◎33番(坂本茂雄君) 今の土木部長の答弁ですけども、多分、この保護条例から考えたら、できないと思いますよ、現実的には。そのことを十分踏まえて対応していただきたいと思います。
ここに、『福島の子どもたちからの手紙』という本があります。高知でもこれの絵手紙展がされましたから、ごらんになったかもしれませんけれども、この中に、私は何歳まで生きられますかという、小学5年生の子供の手紙があります。今、福島で2011年の甲状腺検査の結果として、受検者3万8,000人のうち、10人が悪性のがんであるという疑いが出されてます。そういうことに、私たちは寄り添っていかなければならない。そういうことを二度と起こしてはならない。そういうふうな思いで、ぜひ、県民と寄り添う、避難者の皆さんとも寄り添う、そういうふうな姿勢をもって、これからの高知県政に携わっていただきたいということをお願いいたしまして、終わりにしたいと思います。
◎副議長(佐竹紀夫君) それでは暫時休憩をいたします。再開時刻は午後3時55分といたします。