2012年02月定例会代表質問(2月29日)

◎議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。議案に対する質疑、並びに一般質問を続行いたします。

◎33番(坂本茂雄君)
 お許しをいただきましたので、民主党・県民クラブを代表いたしまして、順次質問をさせていただきます。
 まもなく、3月11日、東日本大震災から1年を迎えようとしています。私は、県議会南海地震対策再検討特別委員の一員として、昨年の6月、被災地に初めて立って、そして、初めてその時、目に焼きつけた光景を、この質問の前に、もう一度確認をしておきたいとの思いで、2月5日、石巻市を訪ねてまいりました。
 昨年6月に訪問した門脇小学校の周辺は、7カ月たってもほとんど変わることなく、ただ、当時と違っていたのは、雪で白い薄化粧をしていたというような状況でした。一部の残った建物も、そのまま放置されていた状況でした。
 そして、「笑う、避難所」という本にまでなった在宅避難者を支援する自主避難所「石巻・明友館」を、避難所運営の課題について調査するため訪問した際には、在宅避難者や仮設住宅に住んでいる方も、人とのつながりを求めて、集い、笑顔と笑い声がこぼれていました。しかし、在宅避難者の方の「困っていることはいっぱいあるけれど、何も言いません、みんな一緒だから。でも自立に向けて頑張ります」という声が、胸に突き刺さりました。
 そして、駅前周辺の中心商店街の閑散とした状況を見るにつけ、復興特需とも言えるような満杯の駐車場を見せつけられる郊外大型店との復興格差を感じざるを得ず、この格差を放置した復興事業では、中心商店街の空洞化が固定化してしまうことを懸念したものでした。
 そんなことを痛感させられたわずか5時間弱の被災地滞在ではありましたが、そのことを踏まえて、今から、南海地震への備えの加速化を始め、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想、そして、中山間地域の総合対策など課題解決を進めようとする知事の県政運営姿勢の柱に、いずれ被災地となる我々が暮らすこの高知県において、少しでも被害を減らすために、さまざまな課題の脆弱性の克服に向けた県政方針をしっかりと構築していただくことを願いながら、順次質問をさせていただきます。
 まず、知事の政治姿勢について、お伺いいたします。
 開会日における知事の提案説明には、基本政策の多くで10年後の姿を描くという表現が見受けられました。その一方で、基本的には、各計画の中には、4年後の目指すべき姿ということが網羅されておりますので、任期中の4年後というのが第一段階としてあるということになるのかもしれませんが、最終的な課題解決のめどとなる時期は10年後となるのかどうか、お伺いします。
 また、10年後の姿を描くという表現のない南海地震対策を通じた防災対策については、いつをめどに課題解決をされようとしているのか、お伺いします。
 次に、課題解決のためには、常にトップスピードで走る知事頼みではなく、あらゆる分野における県民の参加意識と行動が伴う必要があるのではないかと考えています。県民も一緒に目指す解決すべき課題と目標を明確にし、参加意識を共有できる政策立案と県政運営手法を心がけ、県民がみずからも課題解決に参加したくなるというインセンティブを働かせるための仕組みを、どう築いていけばよいと考えられているのか、お聞きします。
 さて、この間、県としての談合対策については、今定例会において報告すべしで、談合防止対策検討委員会で議論されては来ていますが、公正または円滑な審議が著しく阻害され、会議の目的が達成されないと認められる場合なのかどうか、非公開で行われてまいりました。
 また、さまざまな本会議が場所の狭さを理由に、「会議は公開ですが、スペースの関係上報道関係者以外の入室はできません」とのことで、マスコミが全ての発言を報道してくれない限り、県民にとっては、実質非公開と言わざるを得ませんし、プロジェクトチームやワーキンググループの多くは非公開とされているのは、知事にとっても決して本意ではないと推察いたします。
 今後も引き続き、検討委員会で談合問題について議論し、談合防止対策の取り組みを進めていくとのことですが、二度と談合の疑いを持たれない透明性のある議論であるためにも、さらには、県民の参加意識を醸成する手段としても、これらについて公開するという姿勢を貫くことはできないかどうか、お尋ねします。
 政治姿勢の最後に、今回「対話と実行座談会」から「対話と実行行脚」へと進化させようとする姿勢が打ち出されており、対話重視の県政運営姿勢は評価できるものでありますが、問題は、その結果をどう受け止めるかであろうと思います。特に、県の方針に反する考え方の意見を排除することなく、より慎重に対応すべきで、そういった方の意見も十分に斟酌する必要があろうかと思います。そのためにも、パブリックコメントというものをどのように扱うかという基本姿勢をお聞きします。
 その上で、今回の高知短大のあり方に寄せられた存続を求める圧倒的多数のパブリックコメントや2万4,000人を超える署名の存続を求める声がありながらも、当初の案どおりの結論を導いた今回の判断においても、その声を考慮したと米田議員への昨日の答弁でお答えになりました。だとすれば、定員や夜間主コース、学費面など、今、検討していることが実現できなかった場合や、さまざまな条件が支障となって進学できない人は出ないのか、また、働きながら学ぶ30人枠以外の方を排除することになるのではないか、といった懸念なども考慮されたのか、お聞きします。
 次に、防災・減災・南海地震対策について、何点かにわたってお尋ねします。
 今回の質問に際して、1月下旬から2月中旬にかけて取り組んだ県政アンケートはがきで、県民の皆さんの御意見をいただきました。私が議員になってから、ずっとこの間、節目節目で取り組んでまいりました県政アンケートはがきも、今回で5回目となります。
 「加速化の図られる南海地震対策で、本県にとって優先されるべき課題に順番をつけてください」として、質問いたしました。11の選択肢の中でも、「避難場所・避難路の整備確保」が圧倒的な多さで優先すべき施策として選択されました。これを見ても、逃げるということが、相当に徹底されようとしていることが伺えるのではありますが、その一方で「避難場所・避難路の整備確保」がおくれていることの裏返しでもあろうかとも思います。
 1位の半分ほどの支持にはなりますが、「地震対策を兼ねた道路網の整備」が続き、「ライフラインなどの早期復旧対策」「福祉避難所など災害時要援護者対策」「防災教育の充実」「自主防災会の組織化と活性化」「防潮堤の整備・既存防潮堤の耐震化」「住宅の耐震化促進」「長期浸水対策」、そして「可動式防波堤の整備」「液状化対策」と続いていました。
 さらに、回答のあった413通のはがきに記載されていた、地震対策への提言や地域の課題などについて、記載していただいた方が5割以上に及んでいたことからも、県民の皆さんの関心の高さを物語っているのではないだろうかと感じたところです。
 後ほど、アンケート結果は、知事と危機管理部長にお渡しをいたしますので、ぜひ、今後の南海地震への備えの参考にしていただきたいと思います。
 南海地震対策について、知事には「最悪のことを最短で備える」姿勢で今後臨んでほしいと、昨年9月の予算委員会でも私は要望いたしました。来年度予算においても、そういった姿勢が伺えるかのように、当初予算ベースで前年度比1.56倍の予算計上となっていますが、その中でも、いろんな仕組みづくりの必要性について、お尋ねしたいと思います。
 まず、広域災害への自治体間連携のあり方についてです。
 昨年の9月定例会で、川井議員も触れられましたが、仁淀川町と高知市二葉町地区の発災後の復旧・復興段階への備えのための自治体間・地域間交流についてであります。
 9月定例会以降でも、昨年11月には、二葉町地区も参加した昭和小学校区のイベントに、仁淀川町から地産の食材や加工品を出店いただき、その次には、二葉町地区を始め下知地区の自主防災会の方々が仁淀川町を訪ね、避難場所として考えられる場所の視察や仁淀川町の防災の取り組みに学ぶなど、交流が行われ、私も自主防災会の一人として、ともに参加し、いろんな課題について聞かせていただきました。
 さらに、最近では、都市部の被災者を山間部で受け入れる支援拠点づくりの可能性を探る、香美市の「平山防災拠点プロジェクト」として取り組みが始まろうとしていることが報道されるなどの広がりを見せています。
 9月定例会で危機管理部長は、この事例について「大切な活動で、こうした取り組みが民間レベルで広がることは大変有意義。市町村とそのあり方等について協議を行い、自治体間での話し合いができる体制づくりを検討したい」と答弁し、知事は11月11日付けの新聞で「地震対策を実利につなげたい。例えば、避難協定を生かし、普段から都市と中山間の交流を図る」と述べられています。
 そこで、このことについて、具体的に検討は進んでいるのか。また、進んでいるとしたら、どのような仕組みや県としての支援の方法を考えているのか、危機管理部長にお尋ねします。
 このような取り組みを進めていく際に考えられるパターンとして、例えば、今回の仁淀川町と高知市二葉町地区、さらには、高知市と香美市のような自治体間の支援交流や、高知市内における沿岸地区と鏡地区や土佐山地区、さらには、四万十市の沿岸地区と西土佐地区など同一市町村内のパターンなどが考えられるのではないかと思われますが、具体的なモデルケースを念頭においた取り組みが支援できないか、あわせてお伺いします。
 また、発災後の円滑な支援体制と人のつながりを築くためにも、日常平時からの取り組みの一例として、沿岸都市部が中山間地の小さな農業を支えるということで、Community Supported AgricultureいわゆるCSA農業によって、小規模農家が多様な種類の作物を栽培したり、食の生産と消費について、直接的なつながりを持たせることで、生産者とそれを支持する地域のコミュニティとの間に、かかわりあいとパートナー・シップを生み出すことが、日常のきずなづくりにもなると考えますが、そのようなあり方についてどのように考えられるか、農業振興部長にお聞きします。
 もう一つは、昨年11月21日、大規模な広域的災害に備えるため、相互支援に関する基本合意書を締結し、東海、東南海、南海地震などの災害に備え、被災県への効果的で密な支援活動を図るため、本県は島根・山口両県の間でカウンターパート制を導入してきましたが、県の間だけでなく、市町村間の事前相互支援システムが必要ではないか、そのように感じています。
 また、この自治体間共助とでも言うべき制度を導入し、事前の連携した災害訓練なども取り組む中で、直後の支援体制の立ち上げについても手順を決めておくことなどが必要と思われますが、知事の御所見をお伺いします。
 また、発災後、速やかに、財政的負担を心配することなく支援体制を立ち上げることができるようにすべきだと思いますが、可能なのかどうか、お伺いします。もし、支障となる法制度があれば、どのような点で、それを改善に向けて取り組む決意があるか、あわせて知事にお伺いします。
 次に、復旧・復興をスムーズに進めていくための拠点のあり方について、危機管理部長にお尋ねします。
 県が来年度予定している、総合防災拠点の整備に向けた基本構想の策定を進めるに当たって、応急復旧期の支援体制だけでなく、被災自治体を被災していない多数の自治体が、行政機能も含めて長期的、継続的、包括的に支援する支援のあり方や、震災で生まれたさまざまな自治体・機関・団体・個人との縁を、より太く強いきずなに紡ぐ「『縁』がつなぐ後方支援プロジェクト」として取り組まれた岩手県遠野市などの教訓をもとに考えたときに、あらかじめ、県の発災後の復旧機能を分散させるなどの事前の段階から準備しておく視点も、この構想の中に入れておくことが望ましいのではないかと考えますが、お伺いします。
 そして、その際のあり方として、優先的に道路啓開を行う路線とその沿線の自治体などに拠点とすべき施設や箇所をあらかじめ想定し、そこに県の復旧機能を重点整備し、カウンターパートで入っていただいた支援自治体との調整機能を持たせたりすることも想定されるのではないかと考えられますが、いかがでしょうか。
 また、その際には、幡多、高幡・高吾北、中央、南国・香美・香南、安芸・室戸などの5ブロックが想定されますが、ブロック割りや想定される拠点施設及び箇所などについて、お伺いします。
 続いて、避難場所・避難路の確保についてであります。
 新年度から制度化されます津波避難対策新交付金制度、仮称でありますけれども、この制度に多くの地域住民や自治体が期待しております。その意味では、相当加速化されるものとは思いますが、これから市町村が地域の皆さんと協議し、計画される避難場所・避難路確保の事業に県として、全てこたえていく決意があるのかどうか、知事にお尋ねします。
 次に、この新交付金制度は、津波避難対策に特化されたものですが、津波避難対策と長期浸水対策はある意味効果が重複するものもあると思われますので、それらをどのように位置づけ、制度でカバーしていくのか、危機管理部長にお尋ねします。
 まず、例えば、津波以前の液状化や地盤沈降などによる長期浸水対策において、検討されている課題でリンクする施設整備や事業も新交付金制度の対象とすべきではないでしょうか。
 また、例えば、先ほどの事例で取り上げた沿岸都市部と発災後の集団避難先である中山間地の支援連携などで必要となる受け入れ避難体制の拡充整備事業なども対象とすべきではないかと考えますが、お尋ねします。
 さらに、いわゆる既存ビルを津波避難ビルとして活用する場合に、事業対象とされるのかなど、考え方についてお聞きします。
 高知市では、津波避難ビルへの支援装備として、昨年9月補正予算で簡易トイレやゴムボートの配置支援をすることとなりましたが、今後も津波避難ビル指定を加速化する上で、必要となる支援装備品なども対象とすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 そして、高知市などでは公的施設は、ほぼ津波避難ビルとして指定された中で、今後は民間ビルや分譲マンションを津波避難ビルとして指定することが急がれていますが、そのための取り組みについて必要な事業についても、対象とすべきではないかと考えますが、いかがかお伺いします。
 先ほどのアンケートはがきの結果にもあったように、津波避難場所として活用する道路網の整備も期待されています。しかし、道路からは離れているが高台までは遠く、なおかつ新たに道路建設が予定されていないところも沿岸地域によってはあると思われます。避難場所としての人工地盤については、当然この新交付金制度の対象として考えられますし、その具体化を求める県民の声もある中、今後も現実的な課題として検討されているのかどうか、お伺いします。
 この項の最後に、2年間限定で整備された新交付金事業が地域住民の安心感を満たすものでなかったとき、その後の対策をどのように講じるつもりか、知事にお尋ねします。
 次に、長期浸水対策についてです。
 長期浸水予測地域にお住まいの方は、津波が来る前から浸水が始まるかもしれないし、その段階で避難困難な状況に陥るかもしれない。さらには、一体どれぐらいの期間浸水が継続するのかという不安にさいなまれており、津波からの避難対策と同様に深刻な課題です。
 そのような中で、知事の提案説明でも、長期浸水対策については一言も触れられていないことに代表されるように、この検討は、当初予定より随分おくれているのではないかと思われます。途中の議論経過も非公開のワーキンググループで行われているため、県民には極めて不透明な形で、年度末に提言書が示されることになろうかと思いますが、それ以降の加速化と提言の具体化をどう図る予定なのか。
 あわせて、止水対策、排水対策、住民避難対策、救助・救出対策、燃料対策のそれぞれのワーキンググループで、想定されている極めて困難な課題はどのような課題であり、課題解決の可能性についての見通しを、危機管理部長にお尋ねいたします。
 昨年の3.11東日本大震災は、さまざまな教訓を残しましたが、中でも釜石における奇跡が防災教育の本質に迫るとともに、幾多の教育現場で防災教育の見直しを求められることにもなりました。
 群馬大学片田教授の「想定にとらわれず」「正常化の偏見」を打ち破り、「同調性バイアス」でみんなを巻き込む「率先避難者」として「最善を尽くす」ことを教えてきた教育は、「脅しの防災教育」でもなければ「知識の防災教育」でもない「姿勢の防災教育」と言われてきました。
 教育委員会でも、これまでに被災地で学んできた防災教育の手法を導入し、新年度には学校安全対策課を新設し、体制と内容の充実を図ろうとされています。その体制強化が、成果を上げ、将来の地域や職場の防災リーダーとして成長されることを願いながら、教育長に質問をさせていただきたいと思います。
 まず、これからの学校における防災教育が、今まで行われてきた防災教育と内容で大きく異なるのはどのような点か。また、そのことでどのような成果を期待されているのか、お伺いします。
 次に、防災教育の担い手は、本来なら、各学校に専門的に指導可能な教諭を配置することが望ましいのですが、場合によっては教育事務所単位で配置し、いつまでも学校防災アドバイザーに依存するのではなく、各学校に防災教育のプロを養成するぐらいの決意で取り組めないものでしょうか。そして、集合研修ではなく、学校内で多くの教職員が継続的に学べる研修の場づくりをしていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、地域における避難場所としての学校と地域の関係について、お尋ねします。
 地域または自主防災会単位で防災訓練が予定された段階で、必ず学校に届け出て、学校はその地域在住の生徒に参加することを要請し、学校での教育の成果発揮の場とするという仕組みづくりはできないものでしょうか。
 一方、学校で生徒たちの訓練を開催する場合には、必ず校区内の防災会に案内し、可能であれば一緒に参加してもらうなど、生徒の訓練に学ぶことなども、あわせて行える仕組みづくりはできないか、お伺いいたします。
 さて、全国で初めて環境防災科が設置され、昨年10周年を迎えた兵庫県立舞子高校での生徒たちの学びや、この間あらゆる大規模災害の際に、実践してきたことには、胸を打たれるものがあります。今回の東日本大震災においても、4月6日から8月までの間に5たびにわたって、東日本を訪れ、兵庫の気持ちを被災地に届けるというボランティアと交流を行っています。被災地神戸で命の大切さ・助け合いのすばらしさなど、震災の教訓に学ぶ「防災教育」は、「自分たちの命は自分たちで守ろう」ということを具体化するためのプロセスであると言われています。「災害と人間」「環境と科学」「社会環境と防災」「自然環境と防災」など、すべて学校設定科目として学校独自に科目をつくられたそうです。被災地兵庫だからこそ、このようなスタートが切れたのかもしれませんが、これまでも台風、豪雨常襲の被災地でもあり、やがて巨大地震の被災地となるこの高知だからこそ、命を大切にする人間育成であり、あらゆる防災人材を育成するため、舞子高校環境防災科のように高校への防災科の設立は考えられないか、お尋ねします。
 次に、いわゆる災害弱者の課題について、お尋ねします。
 「日本一の健康長寿県構想」にも「南海地震対策の加速化・強化の取り組み」として災害時要援護者を念頭においた保健、医療、福祉の分野で、県民の安全・安心レベルが向上するような取り組みがなされており、一日も早い具体化を求めておきたいと思います。さまざまな施設においては、その避難対策の具体化も可能ではあろうかと思われますが、津波避難困難地域にお住まいの在宅で暮らされている災害時要援護者を助ける困難さが多くの住民の胸を苦しめています。
 けさのライフジャケットとか、ヘルメットというお話もありますが、「私を置いて逃げたらえいわね」と言わせない仕組みを、どうつくっていくかが問われているのです。東日本大震災の教訓を踏まえて、在宅の難病患者や障害者や高齢者等迅速な避難に支障がある、災害時要援護者の皆さんについての避難支援の仕組みを抜本的に見直して、悔いを残さない仕組みづくりをすべきではないかと考えますが、地域福祉部長にお尋ねいたします。
 また、この間、東日本大震災で、避難所において視覚障害者の方たちが、いかに情報へのアクセスに困難を極めていたか、また、避難所生活での食事やトイレの問題など、課題が山積していたかを学ぶ機会がありましたし、災害弱者と位置づけられた人たちへのケアのありようとその提供の仕組みを急ぎ整える必要があることが、被災地から発信されていました。
 震災関連死が、今回の東日本大震災における被災3県では、阪神淡路大震災をはるかに上回る1,300人に上っている中、せっかく助かった命を、どんな理由であれ諦めるようなことがないよう事前の避難所のあり方が問われていると思います。
 そのようなことを考えたとき、福祉避難所指定の加速化と指定の時期的な目処と量をどのように考えられているのか。さらに、障害種別なども配慮した指定や運営のあり方なども検討されているのか、あわせてお伺いします。
 また、東日本大震災でも、阪神淡路大震災でも被災者の中に占める女性の割合は大きなものがあり、なおかつ女性高齢者の被害が際立っています。
 さらに、避難所運営のあり方においては、ジェンダーの視点が欠落していることが明らかになっています。このことは、一昨年の予算委員会で指摘し、昨年3月策定された「こうち男女共同参画プラン」には、防災対策に女性の視点を反映させ、関わりを促進すると、取り組みの方向も盛り込まれていますが、地域防災計画や避難所運営のあり方において、女性の視点を反映させる取り組みを検討しているか、危機管理部長にお尋ねいたします。
 次に、雇用政策と公契約条例についてお伺いします。
 先日の雇用対策本部会議で、緊急雇用基金の一部が来年度まで延長されたため目標を見直し、09年から12年の間での雇用を1万1,500人と見込むこととされました。
 当初09年にスタートした高知県緊急経済・雇用対策本部では、「働く場の確保・創出」に重点を置いた取り組みを行うということが議論されていましたが、「働く場がない」ことの解消は時間がかかるが、「ミスマッチ」に対してはすぐに手が打てると、即効性のある取り組みが中心になり、その後も、これまでは基金事業を中心とした緊急雇用対策に終始してきた面があると感じています。今後は、この基金事業から脱却して、中・長期スパンでも仕事をつくる・働く場をつくる雇用対策が構築されるべきではないかと思うところです。そのためには、年に一度の1時間程度の県雇用対策本部のあり方でよいと考えられているのかどうか、商工労働部長にお聞きします。
 また、各部局の事業で、継続的な雇用拡大につながる事業を明確にし、どれだけの雇用が創出されるのか、可視化すべきではないかと考えますが、あわせてお聞きします。
 雇用拡大の取り組みとしては、継続的な雇用を求めるという意味からも正規雇用が本来であって、非正規雇用ばかりが拡大する現状には問題があります。しかし、せめて、その非正規雇用の労働条件を、自治体の公契約が底上げしていくためにも、公契約条例について知事にお尋ねします。
 私どもの会派では、前知事の時から、何度もこの課題についてお尋ねしてきましたが、知事は「最低労働条件は、国において定められることが基本で、県が公契約条例を制定して何らかの義務づけをするということは、なじまないのではないか」と答弁されてきました。
 09年に施行された野田市公契約条例は、公共工事の設計労務単価の全国平均が6年間で7%も下落して「これでは後継者がいなくなる」ということが背景となったように、地域の貧困につながる問題をはらんでいる今の公契約のあり方に警鐘を鳴らしたものでした。そして、その後、質の低下にもつながりかねない安さだけを追求する入札から、従事する建設労働者や委託労働者の賃金の最低額を、入札や落札の条件として入札・契約の中で定めていこうとして、多くの自治体で検討されています。
 そこで知事にお伺いしますが、「なじまない」という知事の見解は「違法」であるとの認識なのか、どうでしょうか。
 また、これまでにも、「本当に効果につながるかどうかという判断の難しい面」もあるので、全国の動向についても見極めたいと答弁されてきましたが、野田市での制定以降、昨年4月に川崎市で施行されたほか、12月には相模原市と東京都多摩市の各市議会で条例案が可決されていますし、今2月議会においても、提案されている自治体もあると聞いております。そういう中で、類似の条例の制定の現状と効果における検証がされているか。されていたら、その内容について、会計管理者にお尋ねいたします。
 公契約条例について、労働者代表も入った形で、「公契約条例研究会」を設置し、研究が重ねられている県も見受けられますが、本県においても、そのような研究・勉強をしていく場からでも一歩踏み出せないか、知事にお考えを聞きます。
 次は、脱原発の課題について、お尋ねします。
 人災と言われた福島第一原発事故は、被災地の復興をおくらせるだけでなく、「或る者たちの利益が、他のものたちの生活、命、健康、日常、財産、尊厳、希望などを犠牲にして生み出され、維持される。犠牲にする者の利益は、犠牲にされるものの犠牲なしには生み出されないし、維持されない」という犠牲のシステムの上に、原発システムが成り立っていたことを明らかにしました。
 依然として、事故原因の徹底究明は不足し、事故の責任の所在が明確にならず、原因究明に基づいた原子力行政の徹底的な改革もなされない中で、原子力村への不信感は高まるばかりで、再稼働への国民の反発は強まるばかりです。
 一昨晩、確認のため改めてビデオに録画していた「六ヶ所村ラプソディー」という映画を見ました。その中で、班目春樹内閣府原子力安全委員会委員長が、就任前の2005年当時のインタビューで「原子力に対して安心なんてできるわけがないでしょ。あんな不気味なもの」「最後の処分地は、結局最後はお金でしょ」との発言を目の当たりにして、原子力ムラが構築してきた「犠牲のシステム」から私たちが脱却することが、将来の子供たちに対する責任の取り方ではないかと、そう思ったところです。
 そこで、昨年9月定例会の予算委員会では、質問時間が残っていない中でのやりとりでしたので、ここで改めて知事にお伺いいたしたいと思います。
 知事の基本的な姿勢は、「原子力から脱却する方向を国全体で目指すべき」との考え方だと思いますが、地域防災計画については「原発事故という点も視野に入れて、防災計画なんかについて、いろいろ考えを深めていくということが重要じゃないか」と答弁されていますが、今後の計画の見直し検討の予定と、どのようなことを視野に入れる予定かをお聞きします。
 また、2月11日、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが、四国電力伊方原発付近で、原発事故時の放射性物質の拡散範囲を調べるために紙風船を飛ばした結果、南東に85キロ離れた四万十市竹島付近の四万十川河口で、同日午後6時頃に発見連絡があったそうです。福島第一原発事故の際にも明らかでしたが、このようなことから、20キロとか警戒区域だとか計画避難区域とかいうのは、あまり関係ないと思われる放射能汚染の拡大が予想されることが身近でも明らかになりました。もし、伊方原発で事故が起きた際に、四万十市中心部などで住民の暮らしや一次産業などの産業面において、どのような影響が出ると想定されるか、お伺いします。
 このような中で、全機停止している伊方原発の再稼働を求めるのではなく、再稼働しなくてもよいエネルギー政策を確立することが急がれます。本県でも「こうち再生可能エネルギー事業化検討協議会」が先だって安芸市、高知市、宿毛市をメガソーラー候補地としたことの報告もされていますが、香川では既に、民間2業者によるメガソーラー2基の建設が決まったことが報じられました。
 四国における脱原発の代替エネルギーを確保するため、本県の新エネルギー産業を加速化することも当然だとは思いますが、四国全体でも、代替エネルギー確保が可能となるよう、本県がリーダーシップをとって取り組んではどうか、決意をお伺いします。
 さて、御承知のように、四国電力の全発電設備の約5割を占める火力発電所の稼働における使用燃料は、石油、石炭が主たるものですが、西条発電所では、木材チップを細かく粉砕し、石炭と混焼する取り組みが行われていて、徳島県などからも木皮チップを供給しているとのことです。阿南火力発電所を始めとして、四国内の火力発電所における木材チップ利用について、検討していくことはできないか、林業振興・環境部長にお伺いします。
 次に、Power Producers and SuppliersいわゆるPPS特定規模電気事業者からの電力購入について、総務部長にお伺いします。
 電力小売事業の自由化が進む中、2000年のPPS制度の創設以降、段階的に自由化部門が拡大し、資源エネルギー庁や経産省など中央省庁の大半が東京電力以外のPPSから電気を買っているという実態で、宮崎県に至っては52.6%もPPS電力を購入しています。3.11以降多くの自治体でも、入札によってPPS事業者が落札し、電気購入料金が大幅に下落するとともに、原発の電気を使っていないということが住民の理解にもつながっています。
 そんな中で、芸西村がPPSから電力購入を決定したとの報道ありましたが、県としてPPSから電力購入をした場合に、四国電力管内の託送料を負担しても、メリットはあるかと思いますけれども、どのように試算しているか、本庁、西庁、北庁などについて、限定された形で結構ですけれど、その試算の内容と、購入の検討などがされているのかどうか、お聞きします。
 次に、食料における放射能汚染と給食食材について、教育長にお尋ねいたします。
 福島第一原発事故によって、大量の放射性物質が放出されてから一年がたとうとしていますが、土壌汚染の全体像はいまだわからない中、食を取り巻く環境は大きく変わっています。食品の検査不足や国際法と比較しても大変緩い食品暫定基準値により食の安全性は確立しておらず、また、基準値を超過する食品が流通するなど、公的検査の信頼性は失墜しています。
 汚染された食品を摂取することによる内部被曝は微量であっても深刻な問題であり、とくに子供たちは、体重が軽く新陳代謝が活発なため、内部被曝による被曝線量は大人の5倍に達すると言われています。現在、国の設定する暫定基準値は、チェルノブイリ原発事故が起こったベラルーシと比較しても、異常に高い状態であり、その暫定基準値をクリアしたとしても本当に安全といえるのか、親御さんの不安は高まっています。
 住民の不安に丁寧に向き合う姿勢として、お伺いします。
 食品の放射線量測定体制が万全ではない現状において、子供たちの給食では東日本の食材を使わず、地元高知県産、もしくは西日本産食材の使用を働きかけるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 やむを得ず東日本の食材を使う場合、放射線量測定を必ず行い、4月からの国の新基準値以下で「不検出」の食材ではなく、検出限界一桁以下で「不検出」の食材を使用すべきと考えますが、お伺いいたします。
 続いて、放射線等に関する副読本の活用について、教育長にお伺いします。
 昨年の福島第一原発事故以降、文部科学省から2010年に配布された「原子力に関する副読本」が希望に応じて回収されるという一方で、「放射線等に関する副読本」の配布がなされようとしています。文科省は、この副読本については、放射性物質が大量に発電所の外に放出されるという特別の状況に国民一人一人が適切に対処していくため、まず、放射線等の基礎的な性質について理解を深めることが重要と考え、配布することとしたようです。
 しかし、この放射線等に関する副読本作成委員会の委員長は、中村尚司東北大学名誉教授で、厚労省から意見諮問を受けた文部科学省放射線審議会の前会長でありながら、「食品に含まれる放射性セシウムの新規制値案」について「厳しい規制は、福島県の農漁業に甚大な影響を与える」などとして、「反対意見の投稿要請」とも受け取れる依頼を、関係学会の会員らにメールで送っていたという方であります。さらに、この副読本には、原発の危険性や過去の原発事故や核燃料サイクル、さらには、小学生向け副読本には食品の放射能についての記述などがなく、プルトニウムという単語自体は全く存在しない極めて偏った内容の代物です。そして、文科省から委託されてつくったのが、電力業界とつながりの深い「日本原子力文化振興財団」であり、文科大臣でさえ「適当でなかった」と言っています。
 さらに、高校生用の副読本の最後のコラムには、「放射線のリスクとベネフィット」と題して、「リスクを完全に無くしてベネフィット、便益だけを得ることは不可能である。」と結んであるようなこの副読本が、教育現場で活用されることが望ましいと考えられるかどうか。もし、活用されるとした時、このままで活用されてもよいと思うかどうか、お尋ねします。
 次に、観光振興とユニバーサルデザインについて、観光振興部長に質問いたします。
 新年度予算でも、観光振興分野には相当力が入っていますが、今までのキャッチフレーズとは少し趣も違って「わざわざ行こう志国高知へ」と銘打ち、「あらゆる観光客の満足度の向上を目指す」こととされています。
 毎年毎年イベントを大きく打ち上げての観光振興策というものには、限界もあるのではないかと考えていましたので、改めて「観光施設等の課題検証と改善に取り組み、幅広い視点から観光客の受け入れ体制を推進する」ということで、地道な観光資源の発掘や磨き上げにも繋げながら「わざわざ志国高知」に来てもらえればと思います。
 そのためには、どのような観光客層に対して、受け入れ態勢の課題検証と改善に向けた取り組みを強化する予定か、お聞きします。
 さらに、最近は、産業振興計画の関係で、グリーンツーリズムとかブルーツーリズムとかに取り組まれ、ここへきて随分とスポーツツーリズムにも力が入れられています。
 しかし、私は、04年に、当時の高知県政策総研と県と高知市の共催で開催されたユニバーサルデザインシンポ「これからの都市と観光」で、「住んでよし、訪れてよしのまちづくり」との話を拝聴させていただいて以来、バリアフリーのまちづくりと観光をリンクさせた取り組みこそが、これからの観光振興の柱になるのではと思っていました。あれから8年、日常の歩行などに障害のある県外観光客が高知で4泊もしてくれたのに、お風呂やトイレに入るのに一苦労し、フロントに相談しても親身に相談に乗ってくれなかったとの話をお聞きして、残念な思いをしました。これからの高齢社会で、スローツーリズムのキーマンになる高齢者や障害のある方に対して、高知県観光は対応ができないのではと心配したところです。
 トラベルボランティアという旅専門の有償旅先介助者を添乗させるバリアフリーツアーが商品化されたり、岐阜県高山市では、「住みよい町は行きよい町」としての福祉観光都市づくりを推進されていたりする中で、この高知県で車椅子でも宿泊可能なバリアフリーのアクセシブルルームが整備された宿泊施設は、県内にどれだけあるのか、お尋ねします。
 また、今後、宿泊施設で、浴室・トイレも含めてバリアフリーの受け入れ可能な施設改善と介助ができる介護人材の養成や雇用が必要ではないかと考えますが、あわせてお聞きします。
 最後に、「フードバンク」事業を高知における食のセーフティネットとして取り組めないかとの思いで、地域福祉部長にお伺いします。
 2010年9月に、この事業についての理解を求めるため、国内でフードバンク事業を中心的に展開しているセカンドハーベスト・ジャパンの方とともに、農業振興部に提案させていただきましたが、残念ながらあまり関心を示していただけなかったように感じました。
 09年の政府広報によりますと、日本では毎年約1,900万トンの食品廃棄物が発生しており、その中の約500から900万トンは、食べられるのに捨てられている「食品ロス」が生じており、「食品をむだなく使うことの重要性」が求められています。その一方で、食料が必要でありながら、その確保が困難な立場も存在しているのです。例えば、ホームレスの支援団体、高齢者や障害者などの生活困難者に対する支援団体、ドメスティックバイオレンスのシェルターなどの多くは財政基盤が脆弱であるため、食料を始めとする物資の確保が難しい面があり、「余剰」の現場と「欠乏」の現場が切り離されている現実がある中で、これを繋ぎ、その解決を図ろうとする取り組みが「フードバンク事業」であると言えます。
 この事業に高知で取り組んでおられるフードバンク高知も、少ないスタッフで御苦労されていますが、県内事業者で食品ロスを解消するための支援ネットワークや、生活困難を感じている人へのフードライフライン、自立支援サポートシステムとして活用することについて、お尋ねします。
 ちょうど、先週金曜日にフードバンク高知を視察されていた内閣府本府参与の湯浅誠さんと意見交換する中で、ヒントをいただいたのですが、このフードバンク事業の県内ネットワークの構築のために行政としての何らかの支援ができないか。その仕組みづくりに緊急雇用対策事業臨時特例基金で対応する社会的包摂・「絆」再生事業の対象として取り組めないのか、お尋ねします。
 また、山梨県南アルプス市などで取り組まれている生活保護制度を活用する前段階で、現在持っている相談者の資源にあわせ、食糧支援や就労支援を行うことで自立支援につなげるシステムや、あらゆる生活困難者への食糧支援を可能とするシステムなど、福祉的活用を検討してはどうか、お尋ねします。
 さらに、このフードバンク事業が、東日本大震災の被災地で活躍したことも評価されている中で、本県においても、災害時に食料支援に欠けている部分を補う形として、フードバンクの自立支援サポートシステムやフードライフラインとしてのネットワークが構築できれば、災害直後に食料支援の役割を果たせるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、そのための災害時支援協定の締結などを検討してはどうか、あわせてお伺いをいたしまして、私の第一問といたします。

◎知事(尾ア正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、10年後が課題解決のめどとなる時期なのかとのお尋ねがございました。
 全国に先駆けて進む人口の減少や高齢化に伴う経済規模の縮小や過疎化の進展などといった根本的な課題に、真正面から立ち向かっていくためには、第一に、短期的で対処療法的な取り組みにとどまらない、中長期な視野を持った取り組みが必要であり。第二に、官民協働、市町村制との連携協調によって、多くの方々の力をあわせた取り組みが必要となります。
 このため、2期目においては、可能な範囲で4年後の目標をできるだけ具体的な数値で明確に掲げるとともに、10年程度の中長期的な視点を基本政策の中に導入し、戦略の方向を示すともに、10年後の将来のあるべき姿を多くの方々と共有を図れるよう、アウトカム目標、成功イメージとして明確に掲げるよう取り組みを進めております。10年後には、このあるべき姿の実現を図ることにより、課題解決の先進県として見出したさまざまな先進施策が県内に行き渡り、県外にも訴求することで、時代の追い風を帆いっぱいに受けて、県政が十分に浮揚し、持続的に発展していく状況を実現したいと考えております。
 ただ、この4年の間にも、課題解決の先進県として、多くの処方せんや先進施策を見出し、実行し、県政が着実に浮揚し始めたとの実感を多くの方々に持っていただけるような状況となるよう、目指していきたいと考えているところであります。
 次に、南海地震対策を通じた、防災対策のめどについてのお尋ねがございました。防災対策に関しては、10年後の姿を描くということではなく、計画性を持ちつつも、1日1日と地域の安全度を高めてことが、何より基本中の基本であると考えております。南海地震につきましても、対策につきましても、1カ月後に起きるとしたら、半年後だとしたらという、そういった考え方に立ちまして、新たな想定が出ることを待つことなく、今すぐできる対策に全力を注いできたところでございます。
 今すぐやるべき対策として、例えば、啓発の取り組みでありますとか、計画の根本的な練り直しなどの取り組みは、既に随分前より着手をいたしております。さらに、県民の皆様の命を守る取り組みを、全力、全速力で進めているところでございまして、特に、1日も早い津波避難困難地の解消を目指し、平成25年をめどに、おおむね避難対策を完了させるよう、国の制度もフル活用して、アクセルを踏み込んでいるところであります。
 また、新たな想定にも対応した対策を着実に進めていくため、トータルプランである新しい行動計画を始め、迅速な初動対応を行うための応急対策活動計画など、防災対策に関連する諸計画の見直しを来年度中には終え、南海地震への備えに万全を期していきたいと考えております。
 他方、抜本的な対策となる一部のハード整備につきましては、整備には一定の時間と多額の費用を要することから、一気に解決をしていくことは困難でありますが、国の全国防災対策の方針を追い風にして、優先順位をつけて、今後も着実に進めてまいりたいと考えているところであります。
 次に、県民自らも課題解決に参加したくなる仕組みをどう築くのかとのお尋ねがございました。県政の運営に当たりましては、これまでも対話と実行の県政の実現を基本姿勢に、県民の皆様との対話を重ね、地域のさまざまな課題をしっかりと把握した上で、政策を練りあげていくなど、県民参加による官民協働の県政運営に努めてまいりました。
 しかしながら、今後県政の浮揚に向けて、課題解決の先進県を目指していくためには、より一層この官民協働とのことを押し進めていく必要があるものと考えているところであります。
 こうしたことから県民の皆様により広く参画していただき、官民が一体となって取り組みを進めていくために、各施策の目的、意義はもとより、取り組みの成果や成功のイメージを県民の皆様と共有することができるようにすることが大事であると考えております。第2期の産業振興計画の策定や、日本一の健康長寿県構想の改訂に当たりましては、4年後の目標をできるだけ具体的な数値をお示しするとともに、県民の皆様と共有できるよう、将来のあるべき姿として、10年後の成功イメージをお示しすることといたしました。さらには、産振計画にいたしましても、長寿県構想にいたしましても、具体の成功事例の共有を図っていくといった取り組みも進めていきたいと考えているところであります。
 あわせて、今後4年間は、県内の各地をよりきめ細かく訪問さしていただきたいと考えております。直接、県民の皆様との対話をさせていただく機会をできるだけ数多く設け、対話と実行の県政の実現という基本の基本となる姿勢を、これまで以上に強化したいと考えています。
 こうした取り組みを通じまして、官民協働がより進むよう努めてまいりたいと考えているところであります。
 次に、談合防止対策検討委員会などの非公開制は、本意ではないと思うが、本部会議や、プロジェクトチーム会議、ワーキングチーム会議であっても公開できないかとのお尋ねがございました。
 審議会等につきましては、県政改革アクションプランの県民から見える県庁づくりの実現に向けて、原則公開をしているところであります。議員御指摘のありました談合防止対策検討委員会につきましては、情報公開条例上の非開示情報であります企業の不利益情報や非公開での運用を予定している談合防止対策に係る基準を審議の対象としておりまして、公開することで会議の目的が達成できなくなることから、やむを得ず会議の公開を制限させていただいておるところでございます。なお、このような非公開な会議であっても、会議要旨は、後日公表することにしているところでございます。
 次に、本部会議やプロジェクトチーム会議、ワーキンググループ会議につきましては、時々の政策課題等について、県庁内で議論を行い、政策形成を行う場がございます。あらゆる方面からの自由闊達な議論を確保するため、また、このような内部の検討段階にある情報公開をすることは、県民の方の誤解を招くことも考えることから、これらの会議の公開は、原則控えさせていただきたいと考えております。
 しかしながら、意思決定の過程を県民の方に明らかにするということは大切だと考えており、適宜これらの会議でまとめました報告書等は公表するとともに、説明をさせていただいております。
 また、多くの政策が、例えば、産振計画も公開のフォローアップ委員会で、最終的に議論して決まっていくように、その政策決定過程の要路が公開されるように努めていくと、そういう取り組みを進めているところであります。
 次に、対話を政策にどう反映させるかについて、お尋ねがございました。
 まず、パブリックコメントをどのように扱うかという基本姿勢についてお答えをいたします。意見公募手続き、いわゆるパブリックコメント手続きは、県が定めようとする規則や計画等の案を広く一般に公表し、県民の皆様に対する説明責任を果たすとともに、県民の皆様から提出された御意見を考慮、検討することで、よりよいものにしようとのねらいで実施しておるものでございます。県民の皆様から提出していただいた御意見は、十分に考慮しなければなりません。その際、御意見の多寡にとらわれるのではなく、いただいた御意見の個々の内容に着目して検討していくことが重要でありますし、特に、県がお示しする案と異なる御意見につきましては、十分に考慮し、多面的な議論をすることで、よりよい政策の検討につなげていかなければならないものと考えております。
 次に、高知短期大学の発展的解消に伴い、定員、夜間主コース、学費面などが実現できるのか、進学できない人が出ないのかといったお尋ねがございました。
 今回の短期大学の発展的解消につきましては、外部の有識者などの御意見をお伺いし、関係する大学と協議を積み重ねてまいりました。そのうえで、パブリックコメントを実施し、また、学生の皆様の御意見も直接伺い、改めて私自身の考え方を整理し、短期大学の果たしてきた機能は、高知工科大学と高知県立大学の両大学で発展的に引き継ぐことができると判断するに至ったものであります。
 お話にありました定員につきましては、高知工科大学の社会科学系学部の設置と、高知県立大学、文化学部の拡充に伴い、入学定員は合わせて170人増加をいたします。これに伴って、県内高校生に対しては、センター試験を課さない推薦入試枠が新たに40人以上拡充されることになります。加えて、県立大学では、働きながら学ぶ方のために、昼間に加えて、夜間にも授業を行うこととし、その上で、夜間や土日のみ4年間受講することで、学士の資格が取得できる、いわゆる夜間主コースの設置にも取り組むこととしております。この夜間主コースの定員につきましては、短期大学で現在働きながら学んでいる学生さんの数を考慮して、少なくとも30名程度以上とすることを考えておりますが、さらに、開設に向けまして、志願者動向などを踏まえ、柔軟に対応していきたいと考えているところであります。
 また、両大学におきましては、短期大学と同様、社会人を対象とした特別入試制度を導入することとしております。授業料につきましては、夜間主コースでは通常の半額とし、現在の短期大学とほぼ同等にすることとしております。また、経済的に厳しい方で、授業料減免制度の要件を満たす方には、全員に減免制度を適用するよう対応をしてまいります。なお、4年間の授業料で4年を超えて最長8年まで計画的に学ぶことができる長期履修学生制度も導入し、働きながら学ぶ環境を、より充実させてまいります。
 こうした取り組みによって、幅広い年齢層の多様な学習ニーズに、これまで以上にこたえ、より多くの県民の皆様が働きながら学ぶことができる場となるよう、着実に取り組みを進めていきたいと考えておるところであります。
 次に、市町村間の相互応援についてお尋ねがございました。現在、災害時の市町村間の協定は、県内市町村による相互応援協定のほか、四国内、あるいは、四国外の市町村と協定を締結しておりますが、より多層的な支援の枠組みを構築する必要があると考えております。そのためにも、全国知事会で議論されている広域応援による構成県や、中国四国ブロックのカウンターパートの相手方である、山口、島根、両県と今後市町村間への支援のあり方などについても協議行い、協定などへの拡充も含め、検討してまいりたいと考えております。
 さらに、友好都市や姉妹都市を始め、歴史や文化、観光などを通じたさまざまな地域間交流が、平時における人とものの流れを活性化させるだけでなく、民間レベルを含めた、いざというときの迅速な支援につながるのではないかと考えております。これらの取り組みを拡充し、災害時の協定へとつなげていけるよう、市町村に働きかけていきたいと考えているところでございます。
 次に、発災後、財政的負担を心配することなく、支援体制を立ち上げることができるようにすべきである、また、支障となる法制度があれば、改善に向けて取り組むべきであると、その決意についてお尋ねがございました。
 災害発生時における救助、いわゆる被災者支援に関しましては、災害救助法に基づきまして支援の種類や費用に関する国庫負担の原則などが規定をされております。しかしながら、想定をはるかに上回る今回の震災では、被害の大きさに加えまして、被災者の避難生活が長期化するなど、法の想定する災害の範囲をも大きく超えたものと認識をいたしております。その結果、支援を受けようとする内容が国庫負担の対象となるか否か、被災県が国と協議しなければならないケースが多くありましたため、被災県はもとより、応援する自治体の双方にとって、必ずしも迅速な支援になっていなかった面もあるのではないかと考えております。
 また、国が費用を負担する際にも、一旦は、応援した県から、被災県に求償し、それを後から、国が負担をする仕組みとなっていることも、膨大な災害対応業務が発生している被災県にとっては、大きな負担ではないかと考えております。南海地震などの大規模災害を想定をいたしますと、国庫負担の対象となる支援の種類や範囲を明確にするとともに、応援した自治体が被災県に費用を求償することなく、直接国へ請求できるような制度が望ましいのではないかと考えているところでございます。
 現在、今回の震災の教訓も踏まえ、国の災害対策法制のあり方について、検討がなされております。その行方をしっかりと注視していく上で、必要なことについては政策提言を行い、強く訴えを進めてまいりたいと考えているところであります。
 次に、新交付金制度に基づいて計画される市町村の事業にすべてこたえる決意と、その後の対策について、お尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
 新たに創設する制度は、事業実施主体である市町村が、全国防災対策として創設されました有利な起債制度である、緊急防災減災事業債を活用するものでありまして、償還額の70%については、地方交付税で措置されますが、残る30%相当額につきましては、県が事業実施の翌年度に交付金として交付することによって、市町村の実質的な負担を解消しようとするものであります。あわせて、市町村においては、この交付金を財源として、避難所の備品購入や備蓄物資の充実など、これまで以上にきめ細やかな対策もなし得る制度としているところでございます。
 県としましては、こうした制度を活用しながら、市町村の要望を受けて、津波避難施設として必要と判断されるものについては、すべてに対応するという強い決意をもって、津波避難対策を進めてまいりたいと考えております。また、2年間に限定した交付金等を用いた、こうした取り組みによりまして、平成25年度をめどに、津波避難対策を概成させたいと考えております。
 なお、今後、国から新たな震度分布と津波高さ等の想定が4月までには公表され、これを受けて、県でも秋ごろには、新たな津波浸水予測を公表いたします。このような新たな想定によって、対策が追加的に必要となる箇所が出てくることも考えられますので、そうした新たな整備が必要となった箇所についても、平成26年度までには整備を完了させ、津波避難困難地域の住民の皆様がすべて避難できるような対策を、徹底して構築してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、県が公契約条例を制定して、何らかの義務づけをすることは違法であるとの認識なのか。また、公契約条例研究会を設置する考えはないか、お尋ねがありました。関連するので、あわせてお答えをいたします。
 県が、公契約条例を制定して何らかの義務づけをすることは、違法であるとの認識かどうかということについてでございますけれども、平成21年3月6日付けの最低賃金法と公契約条例の関係に関する質問趣意書に対する政府答弁書、この中で、政府は、当該条例において、地方公共団体の契約の相手方たる企業等の使用者は、最低賃金法第9条1項に規定する、地域別最低賃金において定める最低賃金額を上回る賃金を労働者に支払わなければならないとすることは、同法上、問題となるものではないと、答弁をいたしておりまして、違法かどうかということについての認識について問われれば、この答弁書と私も同じ認識でございます。
 ただ、我が国において、労働条件の最低基準は、最低賃金法や労働基準法などで定められておりまして、個々の労働条件は、こうした国の関係法令を遵守した上で、労働者の能力や技術などにより、労働者と使用者との間の契約で決定されることになっております。
 県が発注する事業につきましても、適正な労働条件を確保すべきことは当然でありますので、労働関係法令を含めた法令の順守義務を契約書に明確に定め、契約の相手方とこれを締結し、履行していただいているところであります。さらに、この上に、県が公契約条例を制定して、何らかの義務づけをするということは、なじまないものと考えているところであります。
 また、公契約条例研究会については、長野県や奈良県で設置をされ、先行自治体の調査や賃金の実態調査などを行っているとお聞きしております。こうした他県の取り組みについては、勉強をさせていただきたいと考えているところでございます。
 次に、原発災害について、今後の計画の見直し検討の予定と、どのようなことを視野に入れる予定かという、お尋ねがございました。
 今回の福島第一原発の事故の状況から、本県においても原発事故を想定した防災対策を講ずる必要があると考えております。万が一、伊方原発で事故が発生した際には、福島第一原発の事故において放射能の影響の及んだ範囲を考えますと、本県におきましても、県民の健康を守るため、また、農林水産物や観光産業の被害を最小限にとどめるため、さらには、愛媛県からの被災者の受け入れといった視点での対策を講じる必要があると考えているところでございます。県民の皆様の健康を守るためには、事故に関する速やかな情報の提供や安定ヨウ素剤の服用方針などについて、また、農林水産物や観光産業の被害を最小限にとどめるためには、放射線のモニタリング結果などの正確な情報発信などについて、さらに、避難者の受け入れのためには、受け入れ態勢の整備などについて定めることが必要であると考えております。
 現在、原子力安全委員会では、原子力災害に対応するための防災指針について、見直し作業が行われておりまして、その中で、原子力災害に係る地域防災計画の策定が義務づけられる地域について見直しが検討をされております。本年度中には、防災指針の見直しの中間とりまとめが予定をされておりますけれども、本県がその範囲に位置づけられた場合には、講ずるべき対策を地域防災計画として取りまとめてまいりますが、位置づけられなかった場合におきましても、高知県危機管理指針に基づく行動計画として取りまとめていきたいと考えているところであります。
 次に、四国における原発にかわるエネルギー確保の取り組みについて、お尋ねがありました。現在、新エネルギーへの期待は高まっており、また、固定価格買取制度や、各種の規制緩和策が国から示されるなど、新エネルギーを導入する環境条件も整いつつあることから、四国各県におきましても、さまざまな取り組みが始まっております。本県は、全国でも優位な新エネルギーの資源を有しているおりますことから、昨年3月に高知県新エネルギービジョンを策定をいたしまして、第2期の産業振興計画においても、新エネルギーを将来大きな可能性を秘めている分野として位置づけ、新エネルギーの導入促進に積極的に取り組んでいるところであります。四国4県とも、新エネルギー導入の本格的な取り組みは始まったばかりでありますので、当面は、各県がそれぞれの地域特性を生かして、知恵を絞っていくことが必要だと思います。
 こうした中で、例えば、本県が行っている地域が参画した形での新エネルギーの発電事業のスキームづくりなどの手法が確立できますれば、他県の参考としていただけるものと考えております。これまでも固定価格買取制度や各種の規制緩和策における全国共通の課題については、全国知事会などを通じて、政府への対応などを求めてきたところでありますけれども、今後、四国全体で取り組むべき共通のテーマが見えてきた場合は、その対応にリーダーシップを持って取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、伊方原発で事故が起きた際の四万十市中心部などでの影響について、お尋ねがございました。
 先ほど申し上げましたとおり、現在、原子力安全委員会では、原子力災害に対応するための防災指針について、見直しの検討がされております。その検討の中では、原発事故の際に、プルームの通過時を想定した屋内退避や、安定ヨウ素剤の服用などの防護措置の必要な範囲は、福島第一原発の事故を検証の上、半径50キロメートル圏内と想定されているところでありますけれども、伊方原発の事故発生時における四万十市中心部などでの影響につきましては、事故の規模や風向き、風速により変化をいたしますため、現在段階での想定は困難であります。しかしながら、少なくとも農林水産物や観光産業等への影響は、四万十市に限らず県内全域に及ぶことも想定をしておかなければなりませんし、また、人体への影響についても、想定をしておく必要ございます。
 そのため、先ほど申し上げました事故発生を想定した防災対策を、高知県危機管理指針等に基づく行動計画として取りまとめ、事故発生時に備えることとしたいと考えております。何よりも、安全対策の徹底を、徹底して求めていきたいと、そのように考えているところであります。
 私からは、以上でございます。

◎危機管理部長(森部慎之助君) 防災、減災、南海地震対策について、自治体間、地域間交流の検討と、市町村間の交流等への支援について、お尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。
 南海地震の強い揺れと津波により、県内全域で甚大な被害が想定され、特に、高知市では長期浸水などにより、多くの被害者の発生が想定をされております。さらに、今回の震災のように、複数の市町村が同時に被災したことを考えますと、より広域的な観点に立ち、市町村間で支え合える仕組みを構築する必要があると考えております。このため、昨年10月に県内の副市町村長と広域支援のあり方について意見交換を実施し、今後これらの取り組みを進めていくことについて、御理解をいただいたところでございます。
 まずは、災害時に重要となる県内の学校や公園などの公共施設、公共空地の状況と、現在想定されております仮設住宅用地の必要面積、避難者数などを比較し、市町村ごとに過不足数を整理をしているところでございます。現時点の見込みでは、避難所、仮設住宅用地、災害廃棄物の集積地などが不足する市町村が多く、広域的な観点で事前に対策を検討しておくことが重要となっております。
 今年度末には、こういった資料をもとに市町村と協議を始め、来年度にかけて広域的な自治体間の支援の枠組みを検討をしてまいります。
 次に、お話にございました仁淀川町と高知市二葉町の取り組みは、大変先進的で、防災面だけではなく、都市と中山間地域の交流や産業の育成といった観点でも、有効な活動であると考えております。特に、発災後、避難した地域で安心して生活を送るためにも、日頃からの交流は大変重要であると考えております。今後、整備をされます集落活動センターを活用することも検討し、地域間で災害時には支え合えるようなしくみづくりと、あわせて、中山間地域と都市部の交流の活性化策の検討や支援策について、検討をしていきたいと考えております。
 次に、後方支援のための拠点機能の分散や、他県からの支援に入ってきた自治体との調整機能を、拠点に持たすことなどについて、お尋ねございました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。
 本県では、南海地震で多くの地域の孤立が想定をされております。このため、県では、県庁に設置される災害対策本部のみならず、災害対策機能を県内各地に分散させるという観点で、平成18年度に、安芸、中央東、中央西、須崎、幡多の5つの土木事務所に、管内の出先機関を統合統括する災害対策支部を配置することとし、地域の拠点として応急対策等を行っていくこととしております。
 しかしながら、今回の震災のように、多くの自治体や県の出先機関が同時に被災することも想定をしますと、本部と支部の役割分担や連携方法、また、津波浸水区域にある支部の代替機能の確保等、拠点機能の強化を図っていく必要があると考えております。来年度には、検討を始めます応急対策活動計画の見直しの中で、こういったことを検討していきたいと考えております。
 また、お話にありましたように、他県などから支援に来ていただいた自治体が、速やかに被災市町村の支援に入れるよう、現在考えております支部を拠点として、本部と連携して、調整の役割を果たすことが、マンパワーや他機関との連携などの面で可能かどうか。また、可能であれば、どのような活動を行うのかを具体的に検討、また、そうでない場合はどうするのか、あわせて検討していきたいというふうに思っております。
 次に、新交付金制度におきまして、長期浸水対策や津波危難ビルへの支援策なども対象になるか、お尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをしたいと思います。
 現在、制度設計中の交付金につきましては、新たに創設された緊急防災減災事業債を活用した事業のうち、高知県津波避難対策推進事業費補助金の、避難する対策の補助対象となるものを、交付金の算定対象としております。市町村がこの機会を活用して、事業を実施した場合、起債充当額の70%が交付税措置され、残る30%につきましては、県が翌年度に一括交付することとなりますので、市町村の実質的な負担は解消をされることになります。この交付金は、原則として、地域の実情も考慮して、市町村が行います防災対策事業に対して充てることができます。お尋ねにございました長期浸水対策の一環として行う事業や、津波避難ビルの支援などに対しましても、市町村は、この交付金を充てることができるよう考えておりますので、県としましては、この制度を積極的に活用していただき、津波避難対策を最大限、加速していただくとともに、この交付金を使って、よりきめ細やかな防災対策を促進をしていただきたいと考えております。
 次に、人口地盤の新たな取り組みなどは検討しているのかという、お尋ねがございました。
 人工地盤につきましては、地域の特性によっては、津波から避難するために有効な対策であるというふうに認識をしております。整備に当たりましては、周辺の地形や土地利用の状況などから、広い用地の確保が必要となることや、事業の規模が大きくなることも考えられます。人工地盤への整備などのように、規模が大きい事業を実施する場合においては、国の補助事業の市町村負担分に、先ほど申しました緊急防災減災事業債を充当して実施するスキームを基本に考えております。この前においても、新交付金制度と同様に、市町村の事実的な負担を解消できるような仕組みを考えておりますので、このような国の補助事業を積極的に活用していただきたいと考えております。
 次に、長期浸水対策の加速化と提言の具体化をどう図るのかとのお尋ねがございました。
 高知市におきましては、南海地震による地盤沈下が予測されていることから、平成22年度から、長期浸水対策の検討を行っております。初年度は、想定される長期浸水の条件を設定し、今年度は本格的に分野別のワーキンググループでの検討を開始をしております。この長期浸水対策検討会の開催に当たりましては、県政記者室へも、情報提供をしております。また、ワーキンググループの開催についても、庁議での各部局の今週の動きという形で、情報提供をさせていただいており、非公開ということではございません。進捗状況でございますが、現在、検討を進めております止水・排水対策ワーキンググループは、当初は、今年度に計画を終える予定でございましたが、6月補正予算で海岸堤防などの水際構造物の耐震診断が進められておりますので、検討の手戻りを防ぐため、この結果を踏まえることとし、来年度もワーキングを継続する方向で、3月末の検討会に諮る予定をしております。その他のワーキンググループの検討は、予定どおり進んでおり、検討会でそれぞれのワーキンググループでの検討内容や経過を詳細に報告した上で、議論をしていただき、提言内容を取りまとめてまいります。その結果をもとに、必要な事項の予算化や、国などへの政策提言を早い時期に行っていきたいと考えております。
 来年度は、医療対策、衛生対策、廃棄物対策のワーキンググループも立ち上げることとしており、引き続き行います止水、排水対策ワーキンググループ、また、住民避難対策ワーキンググループとあわせ、予定していましたワーキンググループのすべてが立ち上がることとなり、検討の加速化が図れると考えております。
 今後とも高知市や国土交通省等、関係機関の連携も一層強化し、可能な限り長期浸水対策の検討の前倒しをしてまいります。
 次に、長期浸水対策のそれぞれのワーキンググループで想定される極めて困難な課題と、問題解決の可能性について、お尋ねございました。それぞれのワーキンググループで検討を進める中で、数々の課題はありますが、その中でも、現在検討しております極めて大きな対応の難しい課題は、次の2点と考えております。
 まず、いかに早く浸水を解消するかを検討しております止水・排水ワーキンググループでは、浸水区域の効率的な排水のための手順の構築が、非常に重要となります。まず、排水をしていく上では、堤防などが崩壊し、入ってくる水をとめる、止水をしなければならない範囲の特定が必要でありますが、このような海岸堤防、河川堤防などが地震により破損する箇所を特定することが、現状ではなかなか困難な状況でございます。現在行っております海岸堤防等の耐震診断の結果を待って、対応する必要があることが課題でございます。また、この区域には、河川や道路など、浸水エリアを分断する施設があることから、一度に全体を排水することは困難で、幾つかの排水可能なブロックに分けて対応をしなければなりません。その際、浸水した中で、実施可能な工法等の選定や、その開発、さらには、施工手順を具体的に検討していかなければならないことが、大きな課題となっております。
 また、住民避難対策では、浸水エリアから避難をした方々の受け入れ対策などが大きい課題となっております。現在、避難者数と受け入れ施設の容量を確認し、過不足を市町村ごとに算出し、他の市町村や県外を含めた広域避難について、関係市町村とともに協議を行い、円滑な避難に結びつくよう検討を進めていきたいと考えております。
 いずれも、過去にあまり例のないことでございまして、さらに、厳しい条件下で対応を行わなければなりませんので、対策の検討につきましては、非常に大きいエネルギーが必要だというふうに考えております。
 最後に、地域防災計画や避難所運営のあり方に、女性の視点を反映させる取り組みについてお尋ねがございました。阪神淡路大震災や新潟県中越沖地震など、過去の大規模災害や東日本大震災における災害応急対策の問題点が検証される中で、避難所の運営などにおいて、女性や災害時要援護者への配慮が不足していたとの課題がたびたび指摘をされております。
 こうしたことから、南海地震対策において、女性の視点を反映させることは、県としましても非常に重要であると考えております。そのため、まず、地域防災計画の策定と実施の推進を担います高知県防災会議の委員につきましては、これまでは、男性のみで構成をされておりましたが、平成22年12月に、条令改正を行い、昨年6月に新たに女性委員3人を委嘱したところでございます。
 平成24年度中に見直しを予定をしております地域防災計画には、災害予防対策、災害応急対策、災害復旧復興対策のそれぞれの段階において、女性の視点の反映が必要な項目に抜かりがないよう、事務局案づくりの段階から庁内の各部局に徹底をしますとともに、防災会議の幹事会の皆様にもこうした視点で御意見をいただきながら、新たな女性委員の意見とあわせまして、女性の視点を反映させていくこととしております。
 また、避難所の運営に関しましては、平成21年度3月に、特に乳幼児を持たれる女性や妊産婦などの相談に応じられるよう、女性を配慮した福祉避難室を設定することや、仮設トイレを設置する場合は、つい立て等で仕切るなど、女性への配慮を盛り込んだ避難所運営の手引きを作成をしております。
 今後も引き続き、南海地震対策等に関する市町村課題検討会の中で、女性にも参加をしていただきながら、議論を重ね、避難者運営における女性の視点を反映させていきたいと考えております。

◎農業振興部長(杉本雅敏君) 広域災害への平時の取り組みとして、沿岸都市部が中山間地農を、小さな農業を支えることが望ましいのではないかとのお尋ねございました。
 中山間地域の農業では、過疎化や住民の高齢化に加えまして、平地に比べて厳しい生産条件であることにより、担い手不足を始めとする課題がさらに深刻な状況にございます。
 こうした地域の農業を、他の地域が支える取り組みといたしましては、生産者が講師となる職能教育、直販所の支援などを通じた地産地消、また、棚田オーナー制度や農作業体験を通じたグリーンツーリズムによる地域間交流などが各地で進められています。
 こうした取り組みによりまして、消費者が地域との農産物を意識して購入することや、農村集落への親近感の醸成につながり、ひいては、地域の農業を他の地域が支えることにつながるものと考えています。

◎教育長(中澤卓史君) 最初に、防災教育に関する質問のうち、これからの学校における防災教育が、今まで行なわれてきた防災教育と異なるのは、どのような点か、また、そのことでどのような成果が期待されるのかとのお尋ねございました。
 南海地震に備えて、いざというときに子供たちが自分で自分の命を守ることができるような防災教育を推進するという大前提に変わりはございません。しかし、東日本大震災の教訓をもとに、想定外をも想定して対応できるようにするためには、方法や内容を今まで以上に充実強化し、かつ、実践的なものにしていく必要があると考えています。
 従来は、一般的な避難訓練にのみ実施していた学校も多くありましたが、東日本大震災を踏まえまして、今年度は避難訓練の方法についても、津波対策を重視し、時間や想定を変えて、複数回実施したり、訓練だけでなく、防災学習も実施したりするなど、学校の意識が変わってきております。
 県教育委員会としましては、防災教育の質の向上を目指して、本年度作成しました防災学習教材の活用とあわせて、平成24年度は、防災の授業を充実するための授業を計画しております。具体的には、県内6地域を指定し、モデル校において、地域と連携した避難訓練や防災学習などの実践的な防災教育を行い、その内容を授業公開や研修会での発表を通じて、県内の学校に広めてまいります。また、安全教育の指針となる内容やモデル校での実践例を記載した安全教育プログラム作成し、全教職員に配布することによって、指導内容、方法の共通理解を図ります。このような取り組みによりまして、教職員の防災に関する指導力の向上、子供たちには、自ら判断し、主体的に行動できる力を身につけさせることができると考えております。
 次に、防災教育の担い手は、各学校に防災教育のプロを養成するぐらいの決意で取り組めないか、そして、集合研修ではなく、学校内で多くの教職員が継続的に学べる研修の場づくりをしていくべきではないかとのお尋ねございました。学校での防災教育を充実させるためには、まずは、すべての教職員が地震、津波に対する正しい知識を持ち、適切に指導していく必要があることから、専門的知識を持った講師に指導を受けることが、まずは有効であると思っております。
 県教育委員では、平成17年度から、防災教育研修会を、東部、中部、西部の3カ所で毎年開催しております。来年度は、この研修会に各学校1名は必ず参加を促すという学校を悉皆として実施をし、すべての学校で情報共有されるよう強化してまいります。また、本年度、文部科学省が、東日本大震災を踏まえで実施しました防災教育、防災管理を中心とした、学校安全に関する指導者養成研修会に、各教育事務所の指導主事を派遣しました。この研修で得た知識を、今後は校内研修や県内のいろいろな研修の場を通して、各学校に広げてまいります。このように、集合研修とそれぞれの学校での研修をあわせて、継続的に実施することで、防災に対する知識と実践力を備えた教職員を多く育成できると考えております。
 次に、学校が地域や自主防災会と共同で防災訓練を行う仕組みづくりはできないかとのお尋ねがございました。
 地域の防災訓練に子供たちが参加することは、自分の命を守ることはもちろんのこと、将来の地域の防災力のためにも非常に意義のあることだと考えております。県内でも、地域の防災訓練に子供たちが参加したり、学校での避難訓練等に地域の方を招いて一緒に行ったりする学校も少しずつふえてきております。
 県教育委員会としましては、来年度は県内の地域を指定し、避難生活を体験的に学ぶ2泊3日の防災キャンプを学校と地域が連携して実施することで、災害時に助け合うことのできる地域のきずなづくりにつなげる、防災キャンプ推進事業も計画しております。こうした取り組みとあわせまして、学校での避難訓練や防災学習を地域とともに実施することや、地域の防災訓練に子供たちが参加することなど、学校と地域が連携した取り組みができるよう、市町村教育委員会を通じて働きかけをしてまいります。
 次に、高等学校への防災科の設立について、お尋ねがございました。防災教育の先進校であります、兵庫県立舞子高等学校環境防災科では、阪神淡路大震災の教訓を生かした共生社会における人間としてのあり方、生き方を考えさせる取り組みや、大学、及び、その他の研究機関、関係機関等との連携を密にした、実践的、体験的な学習などに取り組まれていると聞いております。
 ただ、こうした科を設置する場合には、履修する総単位数の3分の1程度は専門教科を置く必要があり、そのために普通教科の単位数を減少せざるを得なくなります。さらに本県においては、震災体験者からの聞き取りや、被災地域へのフィールドワークなど、兵庫県のように、防災に関して体験的に学べる環境は十分とは言えません。
 以上のことを勘案しますと、今のところ、防災に関する専門科では、高校生の将来を見据え、進路につなげていくことは難しいのではないかと考え、防災科を設置することは考えておりません。
 しかしながら、南海大地震が予想されている本県にとって、防災に関する業務に就業できる人材や、地域における防災の核となる人材の育成は重要でございまして、防災教育の充実は大変重要であると考えております。
 したがいまして、今後は、すべての学校で、従来の避難訓練にとどまらず、総合的な学習の時間や特別活動を活用しまして、地域の方々や行政との連携を踏まえた災害への備えや、被災後の対応も含めた内容となるよう、より実践を意識した防災教育に取り組むことで、防災意識を持った生徒の育成を行ってまいります。
 次に、食糧における放射能汚染と給食食材について、地元高知県産、もしくは西日本産食材の使用に関するお尋ねがございました。高知県教育委員会では、地域の産業を知り、生産者に対する感謝の心を育てる等の食育推進の観点から、学校給食の地産地消日本一を目指して、学校給食に高知県産の食材の利用拡大を推進しております。
 その結果、高知県産の食材の活用割合は全国的にも高い状況であります。今後も引き続き、学校給食関係者に、地元高知県産の食材を多く取り入れるよう、働きかけてまいります。
 次に、東日本の食材を使う場合の放射線量測定に関するお尋ねがございました。原発事故発生以来、周辺の各都県で栽培され、国民の摂取量の多い野菜については、主に出荷前に検査を行い、放射性セシウム濃度が食品衛生法上の暫定規制値を超えていないことを確認し、超えた場合はその地域からの出荷を制限しています。学校給食に使う食材は、学校給食衛生管理基準により、生産地、品質、鮮度等を毎日点検し、記録することとなっております。
 こうした状況の中、県教育委員会では不測の事態に備え、児童生徒の学校給食による放射性物質の内部被ばくを避け、学校給食の食材の安全確認を行うために、平成24年度は文部科学省の学校給食モニタリング事業を活用し、学校給食の定期的な放射性物質の測定をすることとしております。この検査は、県内2カ所を指定して、文部科学省が安全とする新基準値に基づき、検出限界一桁以下で測定できる、より精度の高い機器を使って、児童生徒に提供した学校給食の一食分の測定を、1週間に1回することを考えております。
 ただ、学校給食の食材につきましては、当日納入、当日調理が原則でありますことから、検査結果を待って、学校給食の提供は現段階では難しいと思われます。
 なお、高知県衛生研究所において、文部科学省の委託を受けて、牛乳や野菜などの食品の放射性物質を検出限界一桁以下の精度で検査をしているとお聞きしておりますが、今まで、牛乳や野菜について放射性物質は検出をされておりません。県教育委員会としましても、今後も高知県衛生研究所が検査し、公表している結果についても、常に把握をし、学校給食関係者や保護者等に情報提供を行ってまいります。
 最後に、放射線等に関する副読本の活用について、望ましいと考えるのか、また、このまま活用されてもよいのかとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをさせていただきます。
 御指摘のありました、国による副読本は、子供たちに放射線の基礎的な性質に関する理解を深め、自ら考え、判断する力を育むために、学校教育における指導の一助として使用することを目的として、各学校へ配布されるものでございます。子供たちが発達段階に応じて、放射線について正しく理解することは重要でありますので、そのためにはこういった国の副読本も活用しながら、新聞記事や図書資料など、他の教材も用いて幅広い知識が得られるように学習していくことが大切であると考えております。
 県教育委員会としましては、放射線が生活の中で有効に利用されている面や、人体に与える影響などのリスク面についても、児童生徒の正しい理解が得られるように指導することを、教員に周知をしていきたいと考えております。

◎地域福祉部長(小田切泰禎君) まず、災害時要援護者について、避難支援の仕組みを見直すべきではないかとのお尋ねがありました。災害時要援護者の避難支援については、現在、市町村において、要援護者一人一人の避難支援をだれがどのように行うのかといったことを定めた避難支援プラン個別計画の策定が進められているところです。
 南海地震の被害想定については、4月には国において、現在考え得る最大クラスの地震、津波を想定した震度分布や、津波高の新たなシミュレーションが示され、秋ごろまでにはそれらに基づく被害想定も公表される予定であり、県としても地域ごとのよりきめ細かい被害想定を、年内を目途にお示しすることとなっています。
 このため、災害時要援護者の避難支援プランにつきましても、新たな被害想定に基づき、避難タワーなど、大津波から要援護者が迅速に避難できる避難場所の確保や避難方法などについて、検証と見直しが必要となります。あわせて、要援護者に対する、迅速かつ確実な避難支援体制を整備していくためには、日ごろからの地域における支え合いの力を再構築することが大切であると考えています。
 そのため、危機管理部とも連携を図りながら、各地域で要援護者の支援や地域福祉の活動を推進する、具体的な方策を示した地域福祉アクションプランと、津波からの避難方法などを策定する、自主防災組織等での津波避難計画が連動した、実効性のある取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えています。
 次に、福祉避難所の指定の加速化や、指定の時期的な目途と量、また、障害種別などにも配慮した指定や運営のあり方について、お尋ねがありました。
 東日本大震災では、介護の必要な高齢の方や障害のある方など、災害時要援護者の方が、一般避難所では必要なケアや情報が受けられなかったなど、深刻な状況が浮き彫りになりました。
 県では、これまでも要援護者に配慮した福祉避難所の指定促進は喫緊の課題であり、福祉避難所設置運営に対するガイドラインを策定するとともに、市町村への福祉避難所として指定できる社会福祉施設等の情報提供を行ってきたところです。
 また、東日本大震災の発生後には、福祉避難所の指定について、各市町村の首長さんに直接指定の取り組みを要請するとともに、福祉部門と防災部門への説明会も行ってまいりました。あわせて、社会福祉施設の経営者や施設長に対しても、指定の受託について、施設の社会的役割として積極的に対応していただくように要請をしてまいりました。
 さらに、平成24年度当初予算においては、福祉避難所の指定促進のため、指定を受けた社会福祉施設等に対し、ベッドやパーテーション等の福祉避難所として、必要な物資、機材を購入する経費について助成することとしていますし、高齢者施設や障害者施設において、災害時に要援護者の受け入れが可能となる、地域交流スペースの整備についても助成を行うこととしています。
 現在、11市町村で37カ所が福祉避難所として指定され、今後、新たに指定を検討している市町村が22市町村となっています。
 県としましては、平成27年度までに全市町村で福祉避難所が指定されることを目標としていますが、あわせて、すべての入所型の社会福祉施設が指定されるように、積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
 また、障害種別などへの配慮につきましては、市町村に対して、身体障害や知的障害、精神障害など、それぞれの障害の特性に対応した障害者施設等の指定を働きかけるとともに、各福祉避難所に手話通訳、要約筆記のボランティアや、精神疾患のある人などをサポートする心のケアチームを派遣する仕組みづくりなど、障害のある方に対して、適切な対応ができますよう、障害者団体や施設等の関係者間での連携、協力体制の構築に取り組んでまいります。
 次に、フードバンク事業に対する行政としての支援や、国の事業の活用についてお尋ねがありました。お話にありましたように、品質に問題がなく、まだ食べられるのに包装ミスや在庫過剰、賞味期限が近い等の理由で店頭に並べることができなくなった食品を、企業から集め、児童福祉施設や生活困窮者などに無償で配布するフードバンク活動は、全国に広がりつつあり、県内でもその取り組みが進められているところです。
 具体的には、全国各地の活動団体に食品などを配布する東京のNPO法人や、県内企業などから高知市内のフードバンク活動を行う団体に対し、食品、食材が届けられ、児童養護施設等に提供されています。団体のお話では、配布にかかるコストや、大量に届く食品等の保管が大きな負担となっていること。また、少ないボランティアスタッフで素早く配布することには限界があることなどが課題であるとお聞きをしています。
 県としましても、この活動は非常に意義があるものと考えられますことから、団体からの要望も踏まえながら、お話のありました国の事業の活用も含め、どういった支援ができるのか、検討してまいりたいと考えています。
 次に、生活困難者へのフードバンク事業の活用についてお尋ねがございました。
 福祉事務所においては、生活に困窮した方から相談があった場合、生活保護を必要とする方には、できるだけ早く保護を決定することとなりますが、保護には至らないものの、生活のお困りの方からの相談も多くございます。こうした方々への支援といたしまして、このフードバンク事業による食糧支援は、一つの有効な手立てと考えられます。
 ただ、お話にもありましたように、このフードバンク事業については、まだまだ周知が進んでいないと思われますので、生活に困っておられる方々に広く活用されますよう、まずは、福祉事務所や市町村社会福祉協議会などを通じまして、この活動を周知してまいりたいと考えています。
 最後に、フードバンク事業による災害時の食糧支援、そのための災害時支援協定の締結について、お尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
 南海地震等の大規模災害に備え、本県においては、個人や地域における備蓄、市町村における備蓄、県による備蓄、災害時の物資の提供に関する協定の締結による流通備蓄などにより、災害時に必要な飲料水や食料等の備蓄を行っているところです。
 本県で実施されているフードバンク事業につきましても、災害発生時に一定量の食品等が確保できていれば、流通備蓄の一つとして被災者支援に活用できるのではないかと考えられます。今後、フードバンク事業を行っています団体の意向などもお聞きしながら、そうした活用ができるかどうかを検討してまいりたいと考えています。

◎商工労働部長(高松清之君) まず、基金事業から脱却した雇用政策の構築と、雇用対策本部のあり方についてのお尋ねがありました。
 県の雇用政策では、働く場の拡大と求人と求職のミスマッチの解消、この二つを柱としております。このうち、まず、働く場の拡大につきましては、中長期的な視点からの雇用の創出に向けて、産業振興計画の中で各産業分野が連携をして取り組んでおりまして、その進捗管理や施策の充実、強化などについては、産業振興推進本部においても議論を重ねております。
 一方、求人と求職のミスマッチの解消につきましては、労働局などと連携した新規学卒者の就職対策や、一次産業や介護福祉分野などで必要とされる人材を育成するための職業訓練や職場体験の実施などに取り組んでおります。
 雇用対策本部はこうした雇用政策を推進する上で、二つの役割を担っております。一つは、本部会議を通じまして、先に申し上げました雇用政策に関する具体的な事業等の情報を共有するとともに、全庁的な課題として雇用政策を推進するための方針や、関係部局の連携による取り組みの進め方などについて協議し、確認を行うことです。
 もう一つの役割として、本部会議での確認を踏まえ、例えば、新規高卒者の就職促進に向けて、労働局や教育委員会とともに実施する求人開拓、あるいは、一次産業部局なども参加する、UIターン希望者向けの就職相談会の開催など、関係部局の連携が必要な取り組みを効果的に実施するために、本部の事務局を担当します商工労働部が中心となり、年間を通じて、それぞれの事業の所管部局との連絡、連携調整を行っております。
 議員からは、基金事業に終始しているのではないかとのお話もございましたが、これまではリーマンショック以降の厳しい雇用情勢の中で、当面の緊急対策として国の基金を活用したふるさと、緊急、両基金事業の着実な実施に重点を置いて取り組み、その進捗管理を担ってまいりました。
 緊急対策としての基金事業は、今後終了いたしますが、県としましては、基金事業で創出された雇用の場を、県単独の事業を創設して支援をするとともに、引き続き、第2期産業振興計画を推進することによって、継続的な働く場の創出等、雇用の安定を図っていくこととしております。
 一方、求人と求職のミスマッチの解消という視点では、地方分権の流れの中で、来年度から新たに県と国が一部のハローワークを共同で運営し、マッチング機能の強化を図る、そうした新たな取り組みも始めますことから、今後、働く場を創出する県の取り組みと、職業紹介を行う国の取り組みを効果的に結びつけていくといったことも、重要な課題となってまいります。
 雇用対策本部では、こうした課題への対応や、基金事業終了後の雇用政策のあり方の検討といったことも含め、引き続き、全庁的な連携によって、雇用政策を推進していく、そうした役割を果たしていきたいというふうに考えております。
 次に、継続的な雇用拡大につながる事業を明確にし、雇用創出について可視化すべきではないかとのお尋ねがございました。
 第2期の産業振興計画では、県民の皆様と成功のイメージを共有できるよう、施策の目標数値を明確にして、官民共同で取り組むこととしております。その中で、雇用機会の拡大などにつきましても、例えば、一次産業分野での新規就業者数、あるいは、商工業分野での企業活動の拡大に伴う新規雇用者数といった、個別の事業ごとに具体的な数値の設定を検討しているものも幾つかございます。
 県が推進する産業政策の事業ごとに、働く場の確保という側面から、その数値をできるだけ把握をし、県民の皆様にお示しすることは、今後の雇用政策としても大切な視点であると考えておりますので、どういった事業で目標数値を設定できるのかといった点などについて、雇用対策本部の取り組みとして関係部局間で協議してみたいというふうに思います。

◎会計管理者(吉田眞里君) 公契約条例に関しまして、全国における類似の条例の制定の現状と、その効果の検証について、お尋ねがありました。
 現在、公契約に関する条例を制定しています地方自治体は、4団体となっています。全国で最初に条例を制定しました野田市では、平成22年2月から、川崎市では、23年4月から条例が施行されており、多摩市と相模原市では、本年4月から施行される予定です。
 野田市と川崎市の条例が適用される契約は、工事の予定価格が、野田市では1億円以上、川崎市では6億円以上、また、警備や清掃などの委託業務は、両市とも予定価格が1,000万円以上となっており、川崎市では、すべての指定管理者との契約も対象としています。
 条例を適用しました契約実績は、野田市が、平成22年度に18件、23年度は21件で、川崎市が、23年度に指定管理者との契約を含め、247件となっています。両市とも、賃金の支払い状況の確認については、受注業者から、契約の締結後、完了までに3回報告をいただいており、野田市では、22年度のすべての契約において、条例で設定した賃金を上回り、清掃業務では、時間あたりで、およそ100円高くなったとお聞きしています。
 一方、市の予算としては、賃金の増加を予算に反映させたことで、野田市では、21年度に比べ、22年度に400万円、川崎市では、指定管理の契約で、若干予算が増加したとのことです。条例の施行から、2年を経過します野田市では、賃金がアップしたことによる効果とコスト増などの検証は行っていないとお聞きしています。
 この4月から、多摩市や相模原市でも条例が施行されますので、引き続き、その実施状況や、先ほど、知事がお答えしました他県の取り組み状況について、情報収集等を行ってまいりたいと考えています。

◎林業振興・環境部長(田村壮児君) 四国内の火力発電所における木材チップ利用を、他県と共同で検討してはどうかとのお尋ねがありました。
 既存の火力発電所で木材チップ等を利用する場合は、ほとんど、石炭発電への混焼という方法になります。発電施設の内容によって、受け入れが可能かどうか、また、受け入れるとしても、どんな形状のものを求められるか等の違いがあると伺っておりますが、木質バイオマスの利用先として有効な手段の一つであると考えます。
 一方で、電力の固定価格買取制度の導入といった追い風を受けて、県内においても、発電用燃料のほとんどを木材チップ等で賄う木質バイオマス発電所の新設につきまして、幾つかの計画を伺っており、実現すれば、木材チップ等の需要も大きく伸びていくものと考えております。例えば、仮に、1万キロワット規模の木質バイオマス発電所ができますと、原木で20万立方メートル程度、乾燥チップで12万トン程度という膨大な量が、新たに必要となってまいります。
 このため、今後は、お話があります木質バイオマス発電所の計画について、具体的な内容をお伺いしながら、まずは、県内での需要に、しっかりと対応していくための供給体制を検討してまいりたいと考えております。

◎総務部長(恩田馨君) PPS、特定規模電気事業者から電力を購入した場合の試算や購入の検討について、お尋ねがございました。
 PPSから電力を購入した場合の削減効果の試算につきましては、契約電力と主要電力の状況など、箇所ごとに異なるものでございますし、都市部の先行事例におきましても、数%から数十%程度の削減効果まで幅広くなっており、削減効果を具体的に試算できている状況ではございません。
 ただ、御指摘のように、本庁舎、西庁舎、北庁舎につきましては、契約電力が50キロワット以上でありますことから、PPSからも購入できる制度となっておりますので、その点につきまして、研究を行ってまいりたいと考えております。

◎観光振興部長(久保博孝君) まず、あらゆる観光客の満足度の向上を目指す取り組みについて、どのような観光客層に対して、受け入れ態勢の課題検討、検証と改善をするのかとのお尋ねがございました。
 あらゆる観光客の満足度の向上を目指すという取り組みは、基本的には、本県を訪れた観光客の皆様だれもが、年齢や性別、言葉の違い、障害の有無などに関わりなく、県内の観光施設や宿泊施設、イベント会場、公共交通機関などのさまざまな場面で、安心して快適に旅行を楽しんでもらえるような受け入れ体制を構築していこうというものでございます。
 具体的には、来年度から、おもてなし課の体制を強化し、本県を訪れた観光客の皆様や旅行エージェントの方々に対して、受け入れ対応の満足度に関する聞き取りやアンケート調査を、これまで以上にきめ細かに実施し、その結果、把握した課題を検証の上、関係者へ、きちんとフィードバックすることによりまして、改善を促していくという、これまでより一歩踏み出した取り組みを展開することとしております。あわせまして、受け入れのための基盤整備につきましても、増加する外国人観光客に対応した多言語化、まだまだ十分でない公共トイレや案内標識の整備などにも、これまで以上に取り組んでまいります。
 こうした観光客の満足度の向上を目指す取り組みを通じまして、今後、観光客に占める割合が、さらに高まることが想定されます高齢者や障害者など、何らかの配慮が必要な観光客の皆様にも、ハード、ソフト、両面からの一段と、きめの細かい対応が可能になると考えております。
 次に、高齢者や障害者が安心して宿泊できる宿泊施設が、県内にどれだけあるのか、また、受け入れ可能となるような施設改善と、介護人材の養成雇用が必要ではないかとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。
 まず、高齢者や障害者が安心して宿泊できる施設の状況につきましては、平成22年3月に、県の障害保健福祉課が取りまとめました、「みんなのおでかけマップ」によりますと、県内の主要なホテル、旅館など、74施設のうち、障害者用トイレのある施設が36施設、車いす対応の客室がある施設が14施設、車いす対応の浴場のある施設が4施設、従業員等による介助の対応ができる施設が36施設となっています。このような県内の宿泊施設の状況から、宿泊施設の整備や介護のできる人材の確保を進めていくことが必要だと感じております。
 ただ、現実問題といたしまして、宿泊施設のハード面の本格的な改修になりますと、相当な費用がかかり、経営上、なかなかすぐには対応できないということもお聞きしておりますが、まずは、入浴用の補助具の配置など、簡易な方法によるバリアフリー化の実践などにつきまして、ホテルや旅館等の関係団体と話し合いながら、そうした取り組みを広げていきたいと考えております。
 また、介護人材の養成につきましては、来年度、地域福祉部と連携いたしまして、市町村の職員や宿泊施設の従業員、交通事業関係者などを対象といたしまして、車いすの介助や手話、要約筆記等、基礎的な介助支援の研修を実施し、観光客の介助に対応できる宿泊環境を充実していきたいと考えております。
 こうしたことを通じまして、市町村や観光関係団体と連携しながら、高齢者や障害者など、何らかの配慮が必要な観光客の皆様が、安心して楽しめる観光のユニバーサルデザイン化を進めてまいりたいと考えております。

◎33番(坂本茂雄君)
 それぞれに、御答弁ありがとうございました。少しずつ、それぞれに再質問したいような疑問点も残ってますが、時間がありませんので、幾つかに限って、再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、知事の答弁の中で、短大の問題なんですけれども、先ほど、昨日来言われております、例えば、定員の問題であるとか、あるいは、夜間主コースの問題とか、学費の面などについては、これは、今、そういう形で検討をしているということで、これは、もうできる体制になっているというふうな、確実な、確約なのかどうかということを、改めてお伺いしたいと思います。
 そういう意味で、私がお聞きしたかったのは、もし、そのことが実現できなかったときに、短大の廃止ということだけが残ってしまって、ほんとに機能を継承するというふうに言われた点が、実現しなかったということになってしまうと、これは、問題があろうかというふうに思いますので、その点をまず、確認しておきたいのと。
 もう一つは、推薦枠の問題でも、県内の推薦枠、40名というようなお話もありましたが。例えば、その中に、現在、高知短大で推薦入試で、A枠、B枠で、それぞれ10人ずつ、20人の方が推薦入学を受けれるということになっておりますが、そういった方も、この県内枠とは別に、推薦入試を受けられる、そういうことが想定されているのか、どうかです。もし、それが保証されないのだったら、まず、こういった人たちが、希望するにもかかわらず、排除されてしまうということになるのではないかというふうに思います。そういった点について、もう一度、お考えをお聞かせいただきたいというのが、一つです。
 そして、ちょっと順番があれしますけども、地域防災計画と原発災害の関係で、知事のほうから、高知県のいわゆる近隣地域がどういうふうに位置づけられるか、あるいは、位置づけられないとしても、県としての危機管理指針の中で、一定対応を定めていくというふうなお話がありました。
 実は、1月の下旬に、高知市の防災人づくり塾の終了式の講演に来られていた東京大学の都司准教授、高知新聞の地震新聞にも、ずっと津波の歴史、地震の歴史などについて連載されている、東大の准教授ですが、その方が、終了式の講演の中で、地震学者として強調されていたのは、浜岡と伊方と美浜、ここだけは、やめてくれてということを力説されました。まさに、そういう状況にある中で、本来ならば、防災計画を定めなくてもいいような形になっているのが一番いいと思うんですけれども、やはり、定めなければならないような状況の中で、例えば、滋賀県の嘉田知事などは、昨年、隣接県であっても、立地県と同レベルの原子力安全協定を結ぶべきだというふうなことも考え方として示されています。
 そういう意味では、高知県としても、地域防災計画なのか、あるいは、危機管理指針なのか、そこのところは、今後の議論の課題になると思うんですけれども、よほど、やはり、慎重に対応していく、そういう考えが必要ではないかなというふうに思います。知事は、いつも、まずは立地県の愛媛県の考え方をというのがありますけれども、高知県も、まさに滋賀と同じように、隣接県であっても、そういう考えで臨むというふうなお考えを持っていただけたらなというふう思います。それは、知事にお伺いします。
 もう一つ、公契約条例の関係は、先ほど、会計管理者からもお話ありました。今後ともぜひ注視して、研究などは続けていただきたいというふうに思います。また、折に触れて、私のほうも質問をさせていただくことになろうかと思います。
 そして、先ほど、危機管理部長が、長期浸水のワーキンググループは、非公開じゃないというふうに言われましたけれども、私、傍聴したい言うたら、だめです言われましたよ。そういう意味じゃ、この間、ずっと長期浸水のそれぞれのワーキングの議論がどんなふうになっているか、私たち、一切わからんのですよ。そこのところ、もし、公開であれば、私も機会あるごとに傍聴させていただきたいと思いますので、そこのところ、よろしくお願いします。
 以上、第2問です。

◎知事(尾ア正直君) 昨日も申し上げましたが、短大について、いろいろとパブリックコメントもお話をお伺いをさせていただいて、学生の皆さんとも、いろいろ意見をお伺いをさせていただいて、いかにして、四大の学士が取れるようにするけれども、他方、生じうるさまざまなハードルというものを低くするかということを、徹底して議論をしてきたところでございました。経済的な問題、さらには、定員の問題、さらには、さまざまな入試のあり方の問題、これらについて、いかにしてハードルを低くしていくことで、学ぶ意欲がありながら、他の障害によって、学べないという方をいかに少なくするか、それをないようにできないかということを検討チーム、さらに、検討チームを通じて、大学の皆さんともさまざまに協議をしてきたところでございます。
 そういう意味において、先ほど、私が申し上げましたこと、これについては、ぜひやりましょうということで、南理事長も、そういう意志であるというものをお示しをさせていただいておるところでございます。設置者である私、そして、法人の代表者である理事長、ともにそういう意志でございます。今後、部内手続等を踏んでいく必要がございますが、現段階で確約と言わしていただいて構いません。
 そして、推薦枠でございますけれども、現在、短大は、合わせて20名の推薦枠ということになります。今度、県立大になりますと、今の県立大の定員がふえたことによって、40名の推薦枠になるということです。40名分ふえるということですね。定員分がふえる分、40名分ふえるということになるわけでございます。
 それから、原発の問題につきましては、従前より御説明をさせていただいてきているとおりでございまして、従前より、スタンスは変わっておりません。

◎危機管理部長(森部慎之助君) ワーキンググループの公開でございますけれども、場所等狭いときもあります。これは、日程や場所、時間等につきましては、情報提供しておりますので、公開というふうに考えておりますが、今後も、そういったことで公開をしていきます。傍聴は構わないというふうに思っておりますので、お出でいただいたらいいと思います。

◎33番(坂本茂雄君) 短大の問題、先ほど、知事言われました県内枠が40名にふえるということなんですが、ただ、今の短大で推薦入試A、Bで受けられている方というのは、この県内枠に入れるような対象の方だというふうに考えていますか。そこのことを、その方たちも、この40名の中に入れますよというのであれば、また、判断はあろうかと思いますが、その点について、お聞きしたいということと。
 やはり、いろんな形で、学習の場、学びの場を保証していくという意味で、今回、大学改革の中で、議論されてますが、ただ、そういうことがあったとしても、なぜ、そのニーズのある夜間の短大という学びの選択肢を廃止してしまわなければならないのか。その一番の理由は何なのか。併存したら、何が困るのか。困る理由をお聞かせいただきたいというふうに思います。
 それと、教育長が言われました給食食材の関係、それぞれの地教委の段階なんかでも、いろいろ御意見があろうかと思います。そういったところとも十分意見交換をしていただきたいというふうに思いますし。さらに、保育園とかで、保育園、幼稚園でどんなふうになっているのかいうことについても、十分、意を拝していただいて、取り組みをしていただきたいということをお願いいたしまして、もう時間がありませんので、これで、私のすべての質問とさせていただきたいと思います。
◎知事(尾ア正直君) 短大で、今、20名推薦枠の方がいらっしゃいます。今度、県立大学でも、合わせて推薦枠というものを設けることとなります。これは、県立大学の規定にのっとった推薦枠ということになりますので。ただ、通常、多くの学ぶ意欲を持っている方々が、この推薦枠、こちらに40名適用できるようになるということにおいて、枠は広がるということではないかなと、そのように考えてます。
 そして、もう一つ、御指摘は併存しては困る理由は何なのかということかと思いますが、併存するということになりますれば、丸々、例えば、学部という形であろうが、短大という形であろうが、そのための施設が必要となり、また、専属の教員というものが必要となってくるということでございます。今ある短大学士の制度よりも、よりよい制度を提供できるという状況の中で、あえて、では、多額の経費をかけて残す必要は何なのかということについて、県民の皆様方に説明ができるだろうかということでございます。むしろ、よりよいものに変えて、おりよいものを提供していったほうがいいんじゃないかということで、昨日来、御説明をさせていただいていると、そういうことです。

◎議長(三石文隆君)
 暫時休憩いたします。再開時刻は、午後3時30分といたします。