2011年02月定例会代表質問(3月1日)

◎31番(坂本茂雄君) 
 お許しを頂きましたので、民主党・県民クラブを代表して、知事以下執行部に順次質問させていただきます。
 さて、「再結成」で物議を醸している土佐勤王党結成から150年、大逆事件から100年、教科書無償化闘争から50年という節目の年に改めて土佐人の進取の気性や反差別・人権尊重の風土の息吹を感じているところです。
 そんな節目の年に、午前中の武石議員の質問に答えて、知事は秋の知事選挙を経て許されるならば、引き続き県政を担いたいとの決意が示されたところですが、私からも若干の質問をさせて頂きたいと思います。
 知事は、就任当初から、一つは、県経済の活力を再生し、雇用と収入の確保を図る。このことによって、地域に若者が住み続けられる。そのような、高知県を作っていきたい。そして2番目は、子育て支援や教育改革をはじめ、若者がまた、新たに生まれてくる子供達を、安心して、大切に育てることができる。そういう、高知県にしていきたい。そして3点目は、地域の医療の問題などに真剣に取り組むことで、高齢者の方々が、子供を産み育てる若者達を、安心して、見守って暮らしていける。そのような高知県にしたいと述べられ、それらを5つの基本政策として具体化されているところであり、その意味では、結果がどのように出ているについてはまだ全てが評価すべき時期にあるかどうかは道半ば、現在進行形と言うところではないかと思われます。
 そこで、任期最後の年度を評価する意味でも、次の点についておたずねします。
 まず、知事の就任当初の3つの約束を具体化した5つの基本政策は、今後も県政の重点施策の柱としていくつもりなのかおたずねします。
 また、その中でも特に重点化する柱や新たに重点施策にする柱はあるのか、併せてお聞きすると共に、それを今後の県勢浮揚や県民生活の向上にどうつなげていくのか、決意をお伺いします。
産業振興計画関連だけでも、来年度も含めこの間の予算総額412億円を投じることができたり、日本一の健康長寿県構想にしても、南海地震対策などにしても2008年度からの国のさまざまな緊急経済対策に呼応する形で予算措置がされてきた面があるだろうと思います。その意味では、19基金事業のうち、9事業が2011年度中に条例の失効を迎える中、県の財政運営上の不安感はないのかお聞きします。
これまでにも、知事は「対話と実行」を県政運営における基本姿勢とされ、私の以前の「異なる意見を対話せずに切り捨てるのではなく、まず、聞く姿勢が必要だがどうか」との質問に対して「今のような厳しい状況だからこそ、そういった意見にも真摯に耳を傾け、しっかりと対話を重ねて、県民の皆様にも、関係者の方々にも、それぞれ納得を得られる政策をつくっていこうとする、そういう姿勢が大切だ」と仰いました。
 先ほど武石議員の再質問答弁において少し触れられましたが、「対話」の姿勢を今まで以上に強く打ち出すことができるのか。また、任期最終年度にどのような姿勢で県政運営を行うつもりか、併せてお聞きします。
 さらに、私は昨年の2月定例会で「スピード感は必要かもしれないが、新歴史資料館なども場所ありきからスタートしたような感も受けるだけに、現在の図書館、文学館、永国寺キャンパスなど施設整備に多額の費用も必要となるだけに、慎重さと一体感と合意も兼ね備えたプランにしていただきたい」ということを要請させて頂きました。「それぞれ納得を得られる政策をつくっていこうとする、そういう姿勢が大切だ」とも仰っておられる中、何事にも「スピード感」は必要かもしれませんが、県民との合意を図る上では、「納得感」も必要であると考えます。「納得感」を感じてもらう手の尽くし方をどのように考え、追求しようとしていくのかお聞きします。
ところで、県が昨年実施した「高知県県民世論調査」の結果は武石議員が述べられたところで、県民の皆様からの雇用の場の確保に対する要望が極めて高いことが明らかとなっています。
 また、地元紙が昨年実施した「県政に関する世論調査」でも、回答比率の最も高かったのは「雇用対策」となっていました。
 さらに、08年9月に、当時の私たち県民クラブが実施した「県政アンケートハガキ」による調査では「産業振興計画の策定と実施による経済活性化」と「県内就職率を高めるような雇用対策」が上位二位を占めていました。
 これらは、それぞれの選択肢に多少の違いはあるものの、雇用に対する県民の関心と期待の高さが如実に表れたものだと言えます。
 また、私がこれまで市内の各所で実施してきた「県政意見交換会」でも最近特に雇用の保障に対する意見の多いことにも共通しています。
 そのような中、昨年12月時点では、県内の就職件数は、前年同月比で3%減の1215件で、前年同月を21ヶ月連続で上回った11月から減少に転じています。このうちパートが5.1%増で就職件数全体の30.3%を占めるという厳しい状況です。
 そこで、雇用拡大につながる施策が県民から期待されている中、雇用対策については、三段構えで進めていくという基本姿勢は分かりましたので、具体的な取り組みについての決意を知事に聞きたいと思います。
 まず、来年度一杯で終了予定の「ふるさと雇用再生特別基金事業」で生まれた760人の雇用者がどうなるのかということへの県民の関心は極めて高いものがあると思われます。例えば、産業振興計画の地域アクションプラン関連の雇用者数が520人にのぼっていますが、そのうちふるさと雇用関連が34%を占めています。一方では、「あったかふれあいセンター」事業などのように、その継続を強く意思表明されているものもありますが、ポスト「ふるさと雇用再生特別基金事業」を見据えて、この1年間で十分な検証を行い、2011年度以降における対策を講じていただくための課題と対策についてお聞きします。
 また、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想など5つの基本政策に関連して、これらを具体化することで、想定される雇用者数は明示されている分野も一部あるが、全体でどれだけの雇用の拡大につながると考えられているのかおたずねします。そして、今後どのような分野で、どれだけの雇用を目指そうとされているのかお伺いします。
 さらに、今回の産業振興計画の改定のメーンでもある「ものづくりの地産地消の抜本強化」によって、総合相談窓口である「ものづくり地産地消センター」を新設することとされているが、今後ものづくりの分野をはじめとした製造業などの分野での雇用拡大をどのように考えているかお伺いします。
 この項の最後に、今後、雇用問題を県政の大きな柱に据えて、取り組んで頂きたいとの思いでおたずねします。
 知事もご存知の事と思いますが、県内の就学援助率が09年度は21.2%と増加傾向にあるとともに、県内の半分の自治体が全国平均を上回るなど全国でも大阪、山口、東京に続いて高い方から4番目という厳しい状況にあります。こんな厳しい状況でも、やっと育て上げた親御さん、学校の先生方は卒業させても働く場がないということが一番つらいと仰います。就職先がなければ、その卒業生たちが不安定な就業状態におかれることで、その子どもさんも将来的に就学援助を受けることになるかもしれないというまさに貧困の連鎖を招くことになります。
 この連鎖を何としても絶つという強い決意のもとに雇用の拡大・確保策を講じて頂きたいと思いますが、その決意と対策をお伺いします。
 今、「日本一の健康長寿県構想」でも目指そうとしている「支え合いのカタチ」でありますが、支え合いの綻びが「単身急増社会」の中で「無縁社会」と言われる「孤族の国」のさまざまな課題を提起しています。だからこそ、「支え合いのカタチを築いていこうとする「日本一の健康長寿県構想」をより内実のあるものにしていかなければなりません。
 昨年は、所在不明の高齢者が相次いで発覚するという異常事態に、多くの国民が驚き、引き取り手もなく死亡されている行旅死亡人という「無縁死」の方が3万2千人にのぼるという「無縁社会」という言葉が裏付けられる事象が明らかになりました。
 その意味でも、来年度、各市町村で予定されている介護保険事業計画策定のための高齢者の実態調査が、高齢者を少しでも無縁社会に放置したままにしない施策の拡充につながることを願うものです。そこで、この調査は市町村が実施主体であり、国から調査様式が示されてはいるものの、本県独自で調査項目を付加したり、回収率を高めたりするなど、地域での孤立化を防ぐ施策などに反映させるための工夫をする予定はないか、地域福祉部長にお聞きします。
 次に、昨年末来、全国に575箇所あるといわれる児童養護施設のあちこちに、タイガーマスクこと「伊達直人」が、クリスマスプレゼントを届けるといういわゆる「タイガーマスク運動」が広がり、さらには今日東京では、父親の育児支援に取り組むNPO法人が「タイガーマスク基金」発足の記者会見もするなど、改めて児童養護施設についての認識を深めていただく機会が生まれています。
 しかし、社会的な養護の対象となっている約4万7千人の児童の内約3万人の児童が児童養護施設で生活しているといわれる中で、施設における児童の権利の擁護やケアの質の向上・標準化・持続的な支援が求められている中で、いくつかの課題について地域福祉部長におたずねします。
 まず、子ども・子育て新システムでも検討されている児童養護施設の職員の配置基準の見直しについて、どのような見直しを期待し、県として見直された内容にどのように措置していくつもりかお聞きします。
 次に、タイガーマスク運動でランドセルが多く届けられましたが、CMなどで有名なランドセルは48000円〜59800円という単価の中で、児童養護施設入所児童に対する入進学支度金は小学一年生で39500円でしかないということも知られるようになりました。その意味でも、就職・大学進学等自立生活支度費まで含めた教育費の改善が図られるべきではないかと思いますがどうかお聞きします。
 次に、入所年齢は一応18歳までとなっていますが、特例措置として20歳まで延長できることとなっています。この自立に向けた時期の支援の充実と退所に向けた支援がどのように行われているかおたずねします。
 また、県内乳児院が少ないことから、虐待や経済的理由などから親と一緒に生活できない乳幼児が増加する中、定員オーバーの状況に、「受け入れ先」を求める声が高まっていますが、どのような形での改善が望ましいと考えるかお聞きします。
 この項の最後に、民間DVシェルターとの連携について文化生活部長にお聞きします。
 県女性相談支援センターにおける本年度上半期の相談状況では、DVや親子間の暴力の相談件数が過去最多にのぼっていることが公表されています。「女性たちのDVに対する意識の向上と近年の経済状況の悪化が大きな要因」との増加要因が分析されているようですが、被害者の受け入れ先としては、女性相談支援センターだけではなく、民間シェルターが受け入れるケースも少なくありません。2月11日付の新聞にもあるように、ある民間シェルターでの07〜09年の3年間での利用者が約130人75世帯にのぼっていることなどからも、その必要性は高まっているのでしないでしょうか。しかし、その記事では、シェルターや倉庫などとして借り上げていた県の施設が耐震性不足によって、3月末に退去を迫られているとのことでありましたが、予測されていたこととは言え、何らかの対応策を講じて引き続き連携した対応ができないのかお聞きします。
 そして、鳥取県が「住民生活に光をそそぐ交付金」で、DV民間シェルターの新築・増改築に必要な経費などにDV民間シェルター等支援事業として6600万円を計上している状況を見るにつけ、例えば新図書館の基本設計委託費などに1億円余を充てるのではなく、鳥取県のような使い道こそが「住民生活に光をそそぐ交付金」の真あり方だと思ったところです。そこで、それができていないとしたら、県の責任で民間シェルターの確保財源などを措置されるよう要望しますが、如何でしょうかお伺いします。
 これまでにも、高知県の平和行政のありかたは種々議論されてきましたが、今から4年前に宿毛湾港に初めて米国イージス艦「ラッセル」が寄港するとの話があった際、私は当時企画建設委員会副委員長でありました。そして、自らも参加する平和憲法ネットワーク高知をはじめさまざまな平和団体のみなさんと「県内すべての港において非核三原則を順守し、県民に親しまれる平和な港としなければならない。」とした1997年12月19日の「高知県の港湾における非核平和利用に関する決議」を踏まえての対応を求めてきました。
 以来、本年1月26日寄港の米海軍揚陸艦トーテュガまで4度にわたって、米軍艦船の寄港がありました。しかも今回は、海上自衛隊輸送艦「しもきた」とともに宿毛湾港に入港するというもので、両艦は1月24日から27日までの共同海上輸送訓練中に寄港したもので、その目的は「海上輸送に関する戦術技量の向上及び日米の輸送部隊間における連携要領を演練」することであり、その最中の寄港に「親善及び友好」などという大義名分は、消失していると言っても過言ではないと思われます。
 昨年2月定例会における塚地議員の「県下港湾の軍事利用」の質問に対して、知事は「米国艦船の入港は、親善及び友好を目的とするもので、軍事活用へ道を開くという懸念はないもの」との考えを披瀝され、「高知港、須崎港も含めて、これらの港湾はすべて商業港であり、民間による利用が優先されます。今後も民間利用優先の原則にもとづいて、港湾の管理・運営にあたっていく」と答弁されています。
 しかし、先ほど述べましたように、今回の寄港などは、決して「親善及び友好」という目的でなく、マスコミ報道でも「友好親善いずこ」「寄港のかたち変化」と報じられるような状況です。一回当たりの警備費用などに232万円もかけて受け入れて、なおかつ、宿毛湾における水産業への不安さえ与えているだけに、米艦船の寄港は民間港湾や漁場となる海域での訓練を認めることになるということで、その使用を許可しないという立場をとって頂きたいとの思いで、知事に質問いたします。
 まず、米艦船が本県港湾を中止も含めて5年間で5回も寄港地として使用していること、そして、今回のように「休養」「友好・親善」を理由とした寄港ではなく、日米の合同軍事演習の一環としての寄港は平和利用に反しないのかお聞きします。
 また、米艦船の船底には、日本で禁止された有機スズが塗られていると言われていることや、バラスト水による調整などによって宿毛湾漁場の汚染を心配する漁民の声に応えるため、環境影響調査をするべきだと考えるがどうかお聞きします。
 そして、今後、海上自衛隊の「潜水艦隊」の配備が予定されている中、佐世保市などはその誘致に動いているが、万が一にも宿毛湾港に誘致するなどということはないと思われますが、知事もいわれる「本県のように自然に強みを持っている県においては、強みを殺してしまう施設」の誘致には反対されるかどうかお伺いします。
 さて、今回の2月補正予算に計上された新図書館等整備事業費には、1億1768万円余の基本設計等委託料が含まれていますが、新図書館整備に関連する予算がこのような形で計上されることに、検討委員の方からも第7回検討委員会で疑念の声があがっていたことは知事はもちろんご承知のことだと思います。「最終案が出てから予算が出るのが筋」「スピード感をもってというが、こういうことを日本語では『拙速』という」というご意見や「『中間報告』がどれだけ修正されるかと思っていたが、この程度の修正のために三日間のフォーラムがあったのか」などの意見が最終とりまとめの段階でも出されていました。また、2月8日の「新図書館等複合施設のあり方検討委員会」の場で、図書館利用に障がいのある利用者に配慮した議論の不十分さも科学館の検討委員会ともどもに指摘されるような場面も見受けられました。
 その意味では、今回の新図書館議論は、高知県として進むべき図書館行政の方向性を十分に議論し、図書館振興計画などを利用者や県内市町村の図書館行政関係者、専門家などとともに県民参加のもとで策定した上で、進めることが望ましかったとしか言いようがありません。
 「合築」という建設手法が、「利便性」を高めることになるのかどうか。「利便性」の評価一つとっても、利用の仕方によっても違ってくるでしょう。生じた財政的メリットやマンパワーで、市町村図書館の支援力が高まると言っても、県内の図書館未設置地域の解消に向けた支援にまでつながるのか。
 「建設場所」の評価を巡っても、郡部から公共交通機関を使用されるか、自家用車を利用されるか。また、市内でも、市内中心部にお住まいか、市内周辺部で日常的には分館・分室を利用しているか。また、高齢者か子どもかなどによっても全く評価が違ってくると思われます。
 今回の新図書館議論は、その意味では、県民が図書館の機能と役割を意識しながら議論され始めた機会でもあり、県立図書館の未来を語った上で、絵を描いたらどうかと考えることもあります。
 しかし、その際、また場所問題によって新館建設はたなざらしになるのではないかということに対しては、駅前県有地という適地があるではないかという意見を多く聞くようになりました。
 駅前県有地の利活用はあくまで暫定的なものであって、「龍馬ふるさと博」終了後の将来の利活用について考えたとき、一階は従来の「とさてらす」のような情報発信機能を残し、そこに訪れた方が、より土佐の歴史、風土などについて知りたい方は県立図書館で情報を得て、県内に誘うという二次効果も期待できるのではないかということなども捨てがたい意見として届けられます。
 いずれにしても、この図書館議論、市民図書館は合併特例債という財源の課題で期限が迫ってはいますが、これに県立図書館が相乗りしたために県民世論を二分した議論になっているのではと思われます。
 かつて、橋本前知事が、駅前複合施設構想で議論をしたときには、「バックギア付きの新しい行政プロセス」だとして、県民向けの討議資料をつくって、県下で意見交換がされました。最終、構想段階でバックギアが入ったという経過があります。
 しかし、現在の新図書館議論は、議論中に関連予算を出して、否決されない限りバックギアは入らないというやり方では、私は県民の「納得感」が得られにくいと思うのです。
 そこで教育長におたずねします。合築によるイニシャルコストやランニングコストで節減される経費によって、新図書館の機能充実や点字図書館・科学館の整備を可能とされてきましたが、各検討委員会の中間報告段階で各館ののべ床面積やプラネタリウムなどの附帯機能や駐車場などWG案との相違が生じている中、教育長は今朝ほど三施設合わせて100億を超す事業とおっしゃいましたが、新図書館・科学館・点字図書館についてのそれぞれと合計のイニシャルコストとランニングコストの試算をお聞きします。
 また、中間報告によれば、合築と単独整備の比較についても、単独整備における「合目的に運営でき、効果を出すのが早い」という役割や機能面においてメリットがあるとしながら、合築においては「ワンストップで多様な資料が利用でき、運営コストの節減効果で、それぞれの役割や機能を強化できる」というメリットがあるとしています。しかし、一方で、「単独整備であろうが合築整備であろうが、その役割や機能に大きな違いが生ずるものではない」と述べてもいます。合築で進むのであれば、結局のところ単独整備は何故望ましくないのかということについて県民にその明確な理由を説明しなければならないと思うが、その理由をお聞きします。
 合築という建設手法や建設予定地についての賛否は検討委員会では、結論が出ていないと思われますが、教育長は検討会の場で「追手前小跡地への合築整備手法でよいのではないかというのが大勢の方向ではないか」との趣旨で感想を述べられました。そこで、検討会の席上、明確に賛意を示した委員が多数を占めていたのかどうかおたずねします。
 教育長は、臨時総務委員会で「事の順序からいけば、最終報告後の議案が筋」と言われましたが、今回の基本計画・設計関連予算の提出の仕方は、このようなことでよいのでしょうか。このような審議の仕方は、「方向性については了承頂いた・大きな骨格については変更ないものと考えている」という基本姿勢であり、最終報告でも変わることのない「追手前小跡地への合築整備手法」ありきの前提での議案提出となっています。このような議案提出のあり方は、県議会、検討委員会、県民の声を軽視していると言えないか知事にお聞きします。
 この項の最後に、昨年9月頃には、「最終報告を23年5月頃まで延ばすこともありうる」とか「基本計画・設計関連予算」についは、最終6月補正でも間に合うと言っていたが、だとすれば、最終報告でさらに県民の声を聞き、6月定例会で審議するなどということは考えることはできないのか知事にお聞きします。
 さて、先月22日にニュージーランドを直撃したマグニチュード6.3の地震で多くの日本人を含む被災者が出ていることに対して、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。日本人28人を含む200人以上の行方不明者にとっても、確かに「72時間の壁」を乗り越えるには時間が経ちすぎましたが、少しでも希望をつなぎながら見守らせて頂きたいと思います。
 高知でも南海地震に対する備えをハード・ソフトともに拡充するために取り組まれているところですが、逐次報道される余りに巨大すぎる「敵」を知れば知るほど、県民の方に諦めを生じさせることになってしまってはならないと思います。しかし、地域を回って県が取り組んでいる「備え」について、ご説明をしても海抜ゼロメートル地帯の地区によっては、「地盤沈下して揺れた直後から浸水し始めたら津波がくる前に逃げろと言われても逃げられん。もう揺れたらどうせ無理よ」との諦めにも似た気持ちを言葉にされると、無力さを感じてしまうこともあります。県民をそういう気持ちにさせないためにも、我々は力を合わせて県民の安心と安全を守っていかなければとの思いを改めて強くしているところです。
 そこで危機管理部長にお尋ねします。
 現在、南海地震対策行動計画に沿った取り組みが進められている中、平成24年度からの後期計画を来年度中に見直す予定となっていますが、どのような工程作業で進めていくのかお聞きします。また、その際、当初計画と比べて新たに付加されたり、重点化するような課題があれば、どのような課題があるのか、併せてお聞きします。
 私は、これまでにも年に一回は必ず南海地震対策に関して質問をさせて頂いて、具体化して頂いた施策もいくつかありますが、津波対策等でその進捗状況が遅々としているのではないかと思われる課題についておたずねします。
 一つは05年9月定例会で、「津波避難ビル等に係るガイドライン」の早期活用を求め、民間ビルを津波避難ビルとして指定することを求めてきましたが、現状がどのようになっているかお聞きします。また、指定を促進させるためのインセンティブを働かせる手法などについては検討できないか、併せてお聞きします。
 二つめには、その際、当然耐震性が確保されている新築マンションなどをはじめマンションを津波避難ビルとして指定することも提言しており、「建築確認申請時にお願いするなど、今後どのように効果的に働きかけるか仕組み作りを考えたい」とのことでしたが、そのことを促進するための方策として、これまで検討されてきたことについてお聞きします。そして、町内会など自主防災会任せではなかなか進まない現状の中で、行政がコーディネートを図るなど一定関与することも求められているのですが、このことに関してどのような取り組みを考えられているのかおたずねします。
 三つめに、06年9月定例会で、質問提案させて頂いた家具転倒防止対策の担い手養成や取り付け困難な世帯に対する支援制度の創設なども求めましたが、家具転倒防止対策の進捗状況についてお聞きします。また、そのための人材育成について、来年度予算化がされていますが、これまでの人材育成の在り方及び今後の見込みについて併せてお聞きします。
 さて、先ほども触れました「日本一の健康長寿県構想」のもう一つの大きな柱としての、「障がい者が生き生きと暮らせる地域づくり」の課題に関連して「地域でともに暮らすこと」「地域でともに学ぶこと」「地域でともに働くこと」の視点から見たとき、見落とされがちな課題や「健康長寿」の範疇に入りがたいのか、その課題が取り上げられていない分野があることにも気づきました。よりきめ細かな支援策を届けることで「生きる権利」や「学ぶ権利」「働く権利」を保障することを願うものとして以下質問させていただきます。
 香南市にお住まいの27才の女性が進行性の先天性筋ジストロフィという難病と在宅で向き合いながら暮らしていることについては、マスコミなどでも報道されたことがあり、ご存じの方も多いかと思います。この方は、日常生活はほぼ全介助で、人工呼吸器を装着して、在宅生活を送られています。
 在宅生活を決断するまでの経過とかさまざまな困難さについては、言葉を尽くせませんのでここでは省かせて頂きますが、ご本人の決定を支えるための退院支援を通してさまざまな課題も明らかになっています。基本は重度の障がいがあっても地域で自分らしく、生き生きと笑顔で暮らせる地域社会の実現こそが高知県の目指すべき「障がい者が生き生きと暮らせる地域づくり」であるべきであって、このような課題と向き合わないわけにはいかないと思います。
 「難病特別対策推進事業」の対象となる方の場合は、家族等の介護者の休息いわゆるレスパイト等の理由により、一時的に在宅で介護を受けることが困難になった場合の一時入院は制度化されていますが、在宅難病患者でなくても極めて医療的ケアを必要とし、ショートスティでも受け入れ困難な障がいのある方などが在宅生活を継続するための支援策がとれないのかおたずねします。
 その場合に、受け入れ医療機関での受け入れ態勢の困難さを解消するための支援策なども合わせて考えるべきではないかおたずねします。
 これらの支援策が進めば、在宅で生活することを求める方たちの選択肢が広がるということでご回答願います。
 また、これは質問ではありませんが、この事と合わせて難病問題についての声を聞けば聞くほど昨年12月定例会で塚地議員も質問された難病相談支援体制の充実が急がれていることにぶつかります。特に、各地域福祉保健所の難病相談支援センター機能の充実とそれらを統括的・専門的にコーディネートするセンター機能の設置や相談体制の拡充に向けて、難病指定されていなくてもお困りになっている方をはじめ相談支援体制の拡充を求められている方の期待に応えられるような取り組みを要請し、今後の対応を注視させて頂きたいと思います。
 続いて、「地域でともに学ぶ」ということについて教育長におたずねします。
 この課題は、丁度一年前にもこの場でおたずねしました。小学、中学でともに学んできた友達とともに地域の普通高校で学びたいとのダウン症の生徒さんの思いが入試制度の壁で阻まれました。しかし、彼はその後私立の総合学科単位制高校で、いきいきと学んでおり、このお正月には「あけましておめでとうございます。ぼくは太平洋学園でがんばっています。今年もよろしくお願いします。」というしっかりした字で書かれた年賀状を頂きました。ボランティアなどにも取り組み、いきいきと頑張っています。
 その際にも紹介させていただいた、大阪府立高等学校における知的障がいのある生徒が、障がいのない生徒とともに学びあう機会の充実を図るために、制度化されている自立支援推進校に調査のため訪問させていただきました。高槻市にある阿武野高校の「ともに学ぶ、ともに育つ」と「自立支援」を目的とした自立支援コースでは、一学年三名の生徒たちと障がいのない生徒たちとの関係を築くために、入学した直後から、日々の授業や学校生活を通じて、きめ細かな取り組みがされています。自立支援コースの生徒を「ピアの生徒」と呼んでいますが、その生徒たちだけで受ける「学力保障」のための個別指導の抽出授業と「ともに学ぶ」クラス授業があり、クラス授業には授業理解のサポートや個別課題での指導を必要とする「入り込み授業」などがありますが、個人の状態を常に把握しながらの丁寧な取り組みがされていました。
 09年度には3名の定員に対して22名が応募するというニーズの高さに、小・中とともに地域で学んできた友達とともに、高校でも学びたいと思う生徒たちの気持ちが表れているのではないかと感じました。そして、この学校の取り組みから報告された「高等学校における特別支援教育の実践」書には、「この取り組みが全国に広がって欲しい。大阪だけではもったいない。すべての生徒をどれだけ学校が受け入れることができるのか。というのがインクルージョンの根本理念であり、最も排除されてきた知的障がい生徒から入っていくと必然的に他の生徒もそこに含まれてくる。」また「ぴあ生徒が過ごしやすいクラスは、みんなにとっても生活しやすい空間」だと関わった先生は語られています。校長先生が「自立支援コースこそ教育の原点」だとおっしゃっていたのもすごく印象的でした。
 そのような中、教育長は昨年「我が国の教育制度では、高等学校において、生徒一人一人の障がいの種類や程度に応じた弾力的な教育課程を編成することができないことから、知的障がいのある子どもを対象とした大阪府のような制度を、高知県が独自に導入することは難しいと考えている。」と答弁されていました。そこで、障がい者制度改革推進会議の「障がい者制度改革の推進ための第二次意見」の中で、「障害者権利条約は、障がいのある子どもとない子どもがともに教育を受けるインクルーシブ教育制度の構築を求めている」ことから「現状を改善するために実施することを求めている」ことも踏まえてお聞きします。
 まず、普通高校において知的障がいのある子どもとない子どもが、同じ場でともに学ぶことができるような環境を整えるためにも、大阪府が取り組む「知的障がいのある生徒の自立支援コース」などに学ぶつもりはないかおたずねします。
 また、就学先の決定に際し、本人・保護者の意に反した決定がなされないことを原則とする環境を整備すべきだと考えますが、どうかお伺いします。
 次に、障がいのある子どもが小・中学校等とりわけ通常の学級に就学した場合に、例えば分かりやすい授業や教材、必要なコミュニケーション、学校における移動支援、医療的ケアなどその他各人の個別のニーズに的確にこたえるため、合理的配慮や必要な支援が提供されるために必要な施策を講ずるとともに、そのことが十分に相談できるシステムを構築できないかお聞きします。
 一方、特別支援学校に通っている児童や保護者にとっても、決して合理的配慮や必要な支援が提供されていないケースも耳にすることがあります。
 通学バスに乗れない子どももたくさんいる中で、保護者が車で送迎する場合のガソリン代などは就学奨励費の交通費として支給されますが、それも学年や重度・重複障害に限るとかさまざまな制約があるとともに、介護タクシーやガイドヘルパー、有料ボランティアなどの支援を受けて通学する場合は全て自己負担となっています。ある方は介護タクシーで片道4200円を支払って通わせたり、保護者の仕事の時間帯の関係で、民間サポートセンターの方に送迎を毎月平均5万円支払ってお願いするケースもあるなどのお話を聞くことがあります。
 国の定めた基準に沿ってと言うことであれば、特別支援学校に通学する際の就学奨励費については、児童の教育を受ける権利として保障するための実態に即した基準に変えさせなければなりませんし、それができないのであれば、県として何らかの支援策を考えることができないかお伺いします。
 また、特別支援学校における医療的ケアの必要な生徒への支援のあり方についても改善の余地があるのではないかと思われますがおたずねします。
 さらに、以前にも「発達障がい児を持つ親、家族を一時的に、一定の期間その児童の療育から解放することによって、日ごろの心身の疲れを回復し、ほっと一息つけるような援助をすることで、暴力や虐待への抑止効果を持つと考えらることから、レスパイトサービスが受けられるような検討」を求めましたが、「そのような効果はあると思われるが、国の検討が途上にあるということで今後早期に支援の体制確立を働きかけていく」との答弁でした。
 今、このようなニーズは以前以上に高まっていると思われますので、発達障がい児を持つ親や家族など子育てに困難を抱えている方を支援するレスパイトサービスが受けられるような発達障がい児童の通所及び一時入所の機能を確保することについてどのように考えているのか地域福祉部長にお伺いします。
 この項の最後に、障がい者の方や就業が困難な方が、地域でともに働き、自立していくためのとりくみについておたずねします。
 昨年5月福祉ネットワークという番組で放送された「ソーシャルファームの挑戦」で目にした滋賀県の社会的事業所制度は、「障がい者従業員全員と雇用契約を締結することが要件であり、小規模な事業主体による継続的な障がい者雇用を可能とする仕組み」で、「障がいのある人もない人も対等な立場で一緒に働ける新しい職場形態の構築を進め、地域社会に根ざした障がい者の就労の促進ならびに社会的、経済的な自立を図ることを目的」としたものです。
 滋賀県内の社会的事業所においては、昨年度までで8事業所で55人の障がい者が雇用されており、平均賃金が103,813円となっています。
 実際案内いただいたいくつかの事業所現場では、知的障がいの方を含め、障がいがなくてもいわゆる就労が困難とされている方などが、最低賃金を上回る時間単価で、ともに働き、達成感を得られており、次に進んでいけるのではないかと感じさせられました。
 本県においては、障がい者の就労支援や施設利用者の工賃アップのためにも取り組みを強められているところですが、新たな事業形態として障がいのある人もない人も対等な立場で一緒に働ける職場形態の構築を図り、地域でともに働く障害者の就労の促進、社会的、経済的自立を図る社会的事業所の制度化について検討されてみてはどうかと考えますがいかがでしょうか。
 最後に、昨年から提言させて頂いておりますが、本県の「まちづくり」に「自転車をものさし」とする発想について質問させて頂きます。
 一昨日には、高知自動車道・須崎西と中土佐インター間が開通するのを記念して、サイクリングイベントが開催されました。参加者は主催者の予想を遙かに上回り800人以上の自転車愛好家が「通り初め」をされました。また、今年の秋には、コグウェイ四国 2011「四万十川するっとライド」という世界のサイクリストと共に約500人が参加のサイクルイベントも予定されています。
 環境にも家計にも優しく、生活習慣病の予防にもなり、五感による地域の魅力の再発見にもつながり、公共交通との役割分担もできることなどから自転車利用の促進は、欧米を中心に加速化しています。先日、視察調査してきた宇都宮市をはじめとして国内の自治体でも、さまざまな先進的事例がある中、高知にも潜在的な自転車利用促進の要因は多くあると思われますので、東西軸エリア活性化プランにおける自転車・歩行者快適空間形成の取り組みや自転車観光推進事業費が新年度予算で計上されている今年を契機として、自転車利用の促進を図るための課題について質問させて頂きます。
 まず、新年度予算で自転車観光推進事業として、サイクリングによる旅の誘致を図ることとされていますが、そのための環境整備にはどのようなことが必要とされているか観光振興部長にお聞きします。
 次に、県内の観光スポットを自転車だけでは移動できないほどの長距離の場合、サイクルトレインは有効であると思うが、観光振興の面からどのように考えているか。また、観光振興における自転車利用は快適で安全な走行空間の確保の面からも検討されるべきと考えるが、部長のお考えをお伺いします。
 さらに、サイクリングによる旅の誘致を図る際に障がい者の方にも参加してもらえるように複数のサドルとペダルを装備し、複数人が前後に並んで乗り同時に駆動することができるタンデム自転車の走ることができる環境も整備できないものか。そのために高知県道路交通法施行細則の改正などが検討されないものかどうか警察本部長にお聞きします。
 現在の自転車・歩行者の快適な空間形成計画については、基本方針では高知市中心部等を想定したエリアに限られているが、県内の市町村まで広げていくことで、観光振興にもつながるし、まちづくりそのものに「自転車をものさし」とした考え方を取り入れることで自転車利用促進にもつながることになると思うが、拡大の方向について土木部長にお聞きします。
 次に、自転車の利用促進を図るには、自転車を利用することによって交通事故に巻き込まれるようなことがないようにハード・ソフトの整備がなされるべきだと思いますのでおたずねします。
 国内において、ここ10年で対歩行者の自転車事故は3.7倍、自転車同士は4.4倍と急増し、自転車乗車中の事故死者は08年に971人にのぼっています。本県でもこの5年間の自転車事故による死者は年平均7.8人と高止まりの状態です。先日も2月7日に、高知市内で自転車歩行者道で無灯火の自転車と衝突した高齢者が亡くなられるという不幸な事故がありました。私も年間60日ほど早朝や夜間に街頭での交通安全指導に立ちますが、自転車歩行者道での危険な状態をたびたび目にします。
 それは、「交通戦争」と称され、交通事故死者が史上最多となった1970年に、警察庁が車と自転車の分離による事故防止を目指して道路交通法を改正し、自転車の歩道走行を認め、当時の建設省が、自転車も走れる幅の広い歩道として「自転車歩行者道」の規定を盛り込むという「自転車の歩道走行という緊急避難的措置を恒常化して40年間放置」したことが原因ではないかと言われていますが、自転車と自動車、自転車と歩行者の事故の増加について、どのようにとらえているか警察本部長にお伺いします。
 自転車による交通事故の増加は、自転車歩行者道の延長距離76,108qに対して自転車専用道路や専用レーンは2,530qという整備の遅れなど、考えられる課題は多くありますが、自転車の走行空間の整備について、今後どのように取り組むべきと考えているか土木部長と警察本部長におたずねします。
本来、自転車は「自転車歩行者道」においては、「徐行」が義務づけられており、「徐行」とは、国土交通省のサイト上の参考資料の中では「時速6〜8km程度」という記述があることをいったいどれだけの方が知っているでしょうか。
 このようなことを含めて、自転車のルール・マナー教育を命の問題として取り組んでいただくため、小学校、中学校、高等学校のいずれの段階でどのような取り組みを行うか教育長にお伺いして第一問とします。

◎知事(尾ア正直君)
 坂本議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、五つの基本政策は、今後も県政の重点施策の柱となるのか、その中でも、特に重点化する柱や新たに重点施策にする柱はあるのか、そして、それを今後の県政浮揚や県民生活の向上にどうつなげていくか、とのお尋ねがございました。
 知事に就任させていただいて以来、五つの基本政策を中心に、産業振興計画、教育振興基本計画、日本一の健康長寿県構想といった三つの計画を策定し、県政の浮揚に向けた取り組みを進めてまいりました。
 また、あわせまして、これら三つの計画、対策、これを支えていく共通の課題といたしまして、本県の場合、インフラ整備が重要であるということ。そして、また、南海地震対策をはじめとした、安全・安心の取り組みが重要であること。これも、それぞれの柱として掲げ、取り組みを進めてきたわけでございます。
 また、このような五つの基本政策にかかわる横断的な対策といたしまして、中山間地域の総合対策、さらには、鳥獣被害対策の強化などについても、着実な進展を図っていかなければならないとしての取り組みを続けてまいりました。
 来年度の当初予算編成においては、これまでに取り組んでまいりました五つの基本政策を中心とする施策について、県政の浮揚に向けた具体的な成果につなげるための政策効果の判断を徹底して行った上で、具体的な対応策として数多くの事業を予算計上をいたしたところでございます。来年度は、県政の浮揚と県民生活の向上につなげるための正念場の年でございます。政策効果の早期の発現に向けて、全力で取り組む必要があります。引き続き、この五つの基本政策に基づいて、取り組みを進めさせていただきたいと、そのように考えておるところでございます。
 これを、それぞれ具体的にどのように県政浮揚や県民生活の向上につなげていくかということでございますが、産業振興計画にいたしましても、日本一の健康長寿県構想にいたしましても、教育振興基本計画にいたしましても、それぞれ一定手がかりとも言えるような成果、これ、龍馬伝の追い風も非常に大きかったわけでございますが、それが見えてきておるところでございます。これを、いかに確かなものとし、さらに、その先に進めていくかということが大きな課題かと考えています。予算編成では、その点に大いに留意をいたしました。
 引き続き、今後とも、県政浮揚に向けまして、五つの基本政策を柱に据え、取り組みを進めさせていただきたいとそのように考えております。
 次に、国のさまざまな緊急経済対策に呼応する形の19基金事業のうち9事業が、23年度中に条例の失効を迎えるが、県の財政運営上の不安はないのかとのお尋ねがございました。
 本県におきましては、平成20年度の国の経済対策以降、臨時交付金により積み立てを行った各種基金も有効に活用し、産業振興計画の推進や雇用対策、おくれている社会資本の整備促進などを行うともに、財政の健全化の取り組みを進めてまいりました。来年度当初予算におきましては、これらの基金から約254億円を取り崩し、県民の命を守るために、特に対応が急がれております社会福祉施設の耐震化などの南海地震対策や、地域の雇用を守るためのあったか高知雇用創出プランの推進などに、有効に活用することといたしております。
 こうした中、来年度末には、御指摘のとおり、ふるさと雇用再生特別基金を含む、九つの基金が廃止予定となっております。廃止予定の基金の中には、社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金のように、入所施設の耐震化が完了し、設置目的を達成するものもありますが、他方、雇用対策や介護職員の処遇改善など、引き続き本県にとって必要な事業に活用される基金もございます。このため、これまで実施してきた事業の成果や必要性を改めて検討した上で、今後必要な事業や財源などについて、検討していくことが必要であると考えておるところでございます。
 その上で、こうした課題は、本県のみならず全国的な課題でもありますことから、全国知事会などとも連携をいたしまして、国に対して、基金の延長や廃止した場合に講じるべき措置も含め、適切な対応が図られますよう、しっかりと政策提言をしてまいりたいと考えております。
 なお、仮にこれらの基金が廃止された場合であっても、これまでの財政健全化の取り組みにより、将来への備えも一定できている部分もありますことから、例えば、高知型福祉の中核であります、あったかふれあいセンター事業など、本県にとって必要な事業については、県単独でも実施してまいりますし、県経済の状況も踏まえ、必要な事業を実施していくことなど、今後とも適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
 こういう一連のことを、23年度を通じて実施していかなければならないと、そのように考えているところです。
 次に、対話と実行の姿勢について、お尋ねがございました。対話と実行と言いますのは、私の県政運営の基本姿勢であるとともに、知事就任当初から一貫して申し上げてまいったところでございます。
 そこで、地域の雇用、庁内で共有し、県政に反映させる取り組みとして、県内の皆様との種々の意見交換の場を設けてまいりましたけれども、中でも、対話と実行座談会は、平成20年度からこの3年間で、57回開催をさせていただきました。座談会では、参加いただいた多くの県民の皆様のお声から、厳しい中山間地域の実情を肌身に感じたり、その中にあっても希望をッ持って取り組んでおられる姿に強く感銘を受けたりと、県政運営に当たり貴重な糧となるものをいただいてまいりました。
 座談会でいただいた御意見は、例えば、高知型福祉の取り組みとして進めている、あったかふれあいセンターという形で具現化をいたしておりますし、また、事業化に至る前のアイデアや芽出しの段階の地域の取り組みのステップアップを支援するための産業振興の総合補助金メニューの拡充、すなわち、ステップアップ事業の投入。これなども、対話と実行座談会でいただいたアイデアをもとに、政策に反映させていただいたものでございます。
 また、座談会のほかにも、できるだけ多くの県民の方々の御意見を反映するため、パブリックコメントやブロックごとの意見交換の場を設定したり、知事への手紙、メールにより、私の就任以来、毎年約500件の御意見をお寄せいただくなど、私はもとより、全職員が県民の皆様の御意見に真摯におこたえしていくよう、取り組んでいるところでございます。
 そして、もう一つ、何よりも、私自身何度も講演会、そういうところに出かけていきまして、講師としてお話をさせていただき、双方向で意見交換をさせていただいてまいりました。週に2回も3回も、講演をしたこともございます。私自身、これまでのこうした取り組みを土台として、1歩も2歩も前に進んで、県政浮揚への足がかりをしっかりと築いていくことができるかどうか、その分かれ目の年となる正念場の年、この年に当たりまして、対話と実行の姿勢を、今まで以上に強く堅持して持っていきたい、そうすることによりまして、いろいろな形で御意見をいただき、お知恵を賜り、また、そして、次の問いにも関係しますが、納得感を感じてもらえるように、そういう取り組みを進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 県民との合意を図る上で、納得感を感じてもらう手の尽く方をどのように考え、追求しようとしていくのかとのお尋ねがございます。一部重複をいたしますけれども、私も、県政運営におきまして、県民の皆様が納得感を得られるように手を尽くすことは、大変重要なことだと考えています。
 そのため、これまでも、地域の実情や課題を正確に把握した上で、地域の雇用施策に反映して、あわせて、施策の内容を詳しく御説明しようとするとの姿勢で、取り組みを進めてまいりました。先ほども申し上げましたが、例えば、平成20年度から開催してまいりました対話と実行座談会は、今年度末までで57回を数えますし、そのほかにも、産業振興計画の説明会や数多くの講演会などに、私自ら出向いて県民の皆様と双方向で意見交換を行い、議論を交わしてまいりました。
 県が進めます施策について、県民の皆様に広く知っていただくことが重要だと考え、ホームページや資料をできるだけわかりやすいものとなるように努めますとともに、テレビやラジオ等の広報手段を効果的に活用して、積極的な広報に努めてまいったところでございます。
 今後も、引き続き県民の皆様との対話を重ね、地域の課題を正確に把握した上で、官民協働の県政運営を進めますとともに、市町村との連携をより強化し、県議会とも十分な議論を積み重ねることを県政運営の基本とする姿勢を堅持し、職員と一体となって、誠意をもって対応をしていかなければならないと、そのように考えております。
 ふるさと雇用再生特別基金事業の今度の課題と対策についてのお尋ねがございました。ふるさと基金事業は、今後の地域の発展につながる事業を実施し、継続的な雇用を創出することを目指して取り組んでおり、21年度から来年度までの3年間で県と市町村を合わせて、306事業を実施し、御指摘のように760人の新たな雇用の場を創出することとしております。
 この基金事業は、人件費も支援の対象となっておりまして、新たに事業を立ち上げる際の初期経費を大幅に軽減することができますことから、事業の開始とその後の展開が円滑に進むため、本県では、地域アクションプランや産業の各分野での成長戦略などで、約150事業に活用されており、産業振興計画を推進する上で、重要な役割を果たしています。こうした状況から、基金事業が終了いたします平成24年度以降も、これらの事業を継続し、雇用された方々の安定した雇用へとつなげていくことが課題となってまいります。
 この3年間で基金で実施してきた事業ですが、幅広い分野にわたっております。事業継続に関しましても、第1に、ビジネスとして自らが事業を継続していくもの、第2に、あったかふれあいセンター事業のように、事業の性格上、一定の公的支援を前提に、事業の継続を行う必要のあるもの、第3に、残念ながらそのままでの事業継続は困難であるが、事業により培ったノウハウや人材等を今後に生かしていくものなどに大別されると考えているところでございます。
 来年度には、県庁各部局や市町村が、それぞれの事業効果や成果を検証した上で、事業の継続等についての判断行い、基金事業終了後に必要な支援等を検討するよう雇用対策本部で指示をいたしたところであります。
 あわせて、国への政策提言としまして、地域の産業振興や地域の活性化につながる事業を実施する場合に、ふるさと基金事業のメリットを引き継ぐような新たな制度の創設について、訴えてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想の具体化による雇用の拡大等について、お尋ねがございました。産業振興計画による県経済の活性化に向けた足腰の強い産業の育成と、日本一の健康長寿県構想による健やかで心豊かに支え合いながら生き生きと暮らしていける社会の構築は、ともに県政の最重要課題であり、県民生活を豊かにしていくために、施策面での連携を図りながら、効果が十分に発揮されるよう、努めていかなければならないと考えております。
 雇用の創出につきましては、まず、緊急的な対策として、平成21年度からあったか雇用創出プランの着実な実行に努めておりまして、本年度末までで6,355人、23年度末で9,350人の雇用が見込まれておるところでございます。あわせて、より抜本的な雇用対策といたしまして、産業振興計画、日本一の健康長寿県構想に基づく施策を、働く場の創出と雇用の安定ということを強く意識しながら、進めておるところであります。
 これまでにおいて、雇用確保という面では、主に四つの取り組みでは効果があらわれつつあります。
 1点目は、一次産業の生産地の足腰の強化と担い手確保の取り組みであります。担い手全体としては、高齢化による減少傾向にあり、この傾向に歯止めがかかるまでには至っておりませんが、新規就農者が昨年6月までの2年間で358人に達したほか、林業分野、漁業分野でも、着実に新規就業者が増加しております。
 第2点目は、企業誘致の取り組みであります。厳しい社会経済情勢の中、企業の倒産、撤退などもありましたけれども、地道な取り組みによりまして、この2年間で新たに11件の立地が実現し、フル稼働時には400人余りの雇用が達成される見通しとなっております。
 3点目は、県内各地域で進めています地域アクションプランの取り組みであります。総合補助金や国の雇用対策の交付金等を活用しながら、雇用の受け皿が広がりつつあり、2年間で520人の雇用が生み出されております。
 4点目は、介護福祉分野での取り込みであります。あったかふれあいセンターの整備に伴い、30市町村39カ所で113人が雇用をされるなど、中山間地域での雇用の受け皿の一つとなっておりますほか、第4期介護保険事業支援計画において、特別養護老人ホームやグループホームなどの施設が順次整備される中で、新たな雇用も見込まれておるところでございます。
 産業振興計画、日本一の健康長寿県構想、ともに、全体や分野ごとの雇用の目標数値を掲げているわけではございませんけれども、全国に先駆けて高齢化が進む本県において、同、両計画の推進は、大きな雇用の受け皿をつくり得るものと考えているところでございます。
 今後とも、物づくりの地産地消の抜本強化、新エネルギーの導入促進など、新たな産業の創出などなど、また介護福祉分野における担い手の育成など、雇用の観点から見ても効果的な取り組みというものについて、大いに力を入れていきたいと、そのように考えております。
 次に、物づくりの地産地消に取り組むことによる製造業などの分野での雇用拡大について、お尋ねがありました。
 物づくりの地産地消のねらいは、県外からの供給に依存している機械や設備を、県内製に切りかえること、県外に流出している生産工程を県内に取り戻すこと、農林水産物の加工に取り組み、付加価値を上げることなどによって、県内での所得の循環を高め、産業の振興、ひいては、雇用の創出を図ろうとするものであります。
 このため、これまで、県内のニーズにこたえる機械や装置の試作開発に対する資金的な支援や、工業技術センターによる技術指導などを進めてきたことで、かんきつ類の搾汁システムのような県外製品にとってかわることのできる機械も生まれてきており、物づくりの地産地消が着実に動き出しております。
 金属加工における表面処理や食品加工におけるボトリングなど、県外に依存している物づくりの工程を県内に備えるために、地場企業の事業拡大や県外企業の誘致を実現することで、新たな産業集積も徐々にではございますが、生まれてまいると、そのように考えています。農林水産業などに付加価値をつける加工品の開発や販売が広がることで、製造業はもとより、原材料の調達先となる農林水産業の生産の増大につながるという効果も期待ができるわけでございます。物づくりの地産地消、これは、雇用の拡大に大きな効果をもたらすものと考えています。
 貧困の連鎖に歯止めをかけるという意欲を持って、雇用対策を講じていくつもりはないかとの、お尋ねがございました。
 知事就任以来、取り組んでまいりました五つの基本政策は、そのどれもが本県にはなくてはならないものでございます。特に、雇用につきましては、産業振興計画の推進、日本一の健康長寿県構想の推進よって、雇用の創出、雇用の安定を図っていくということが必要だと考えておりまして、議員のお話にありました貧困の連鎖に歯止めをかけるという意味でも、根本的な対策はこれだと、私は考えておるところでございます。
 ただ、あわせまして、緊急的な対策というものも、そういう観点からは非常に重要だと考えています。厳しい雇用情勢の中で、あったか高知雇用創出プランに取り組んでおりますものも、そういう観点でございます。
 また、特に、職についていただくための職業訓練、こういう取り組みも生活の基盤を安定化していくために必要な取り組みではないのかなと考えています。必要な技能や知識を習得するための職業訓練、国と県を合わせまして今年度は過去最大規模の訓練の機会を提供しておりますし、来年度も同規模の職業訓練を行っていくこととしております。中には、生活費の支給を受けながら、受講ができるコースもございますし、この2年間に訓練を終了された方々のうち、約半数の方が安定した就職をされたりしている場合もあるわけでございます。
 加えまして、マッチング支援のための諸取り組み、これらも強化をいたしていくことで、できるだけ多くの方々が職につき、貧困の連鎖が絶ち切られ、そうなっていくように取り組みを進めなければならない、そのように考えています。
 次に、米国艦船の本県への寄港について、お尋ねがございました。本県の港湾は、すべて商業港であり、民間利用が優先されています。また、平成9年の県議会における高知県の港湾における非核平和利用に関する決議に沿って、核搭載の有無を外務省に確認した上で、県民の安全や安心の確保を前提に、港湾の使用許可をしております。
 今回の自衛隊と米国艦船の宿毛湾港への寄港目的は、使用許可申請書によると、自衛隊が訓練後の休養寄港、米国艦船が親善および友好となっておりました。一方、自衛隊の広報では、日程の中に寄港中の相互研修が位置づけられていたため、内容を申請者に確認をいたしましたところ、一部の隊員が艦船を訪問し合うという内容でございました。これをもって、県民の安全や安心を脅かすようなものであるとは考えられませんので、入港を許可したものであります。実際に、そのような内容のものでありましたし、日程は短いものでしたが、地元の方々を招待した船内見学や食事会も行われており、申請目的どおりの寄港であったと考えています。
 過去5回の寄港や、今回の両艦の寄港においても、寄港目的は友好親善および休養等を目的としたものであり、軍事活動への道を開く懸念はないものと考えております。
 次に、米国艦船の宿毛湾港への寄港に関連して、環境影響調査を実施すべきとのお尋ねがありました。
 有機すず化合物の船舶への使用については、国内では船舶安全法により、国際的には条約により、使用が禁止されています。この使用規制に関する危険性や取り締まりについては、海事行政を主幹する国において実施されていますが、米軍等の艦船については、条約の対象外となっております。バラスト水については、これを規制する条約を、日本は批准していませんし、批准国が少ないため、発行されていません。このような国際条約上の課題や安全保障上の課題もあることから、本県が今直ちに、独自に調査することは適当でないと考えておりますが、県民の皆様の安全や安心に影響が考えられる場合には、国への要望を含め、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、今後、海上自衛隊の誘致に反対するかどうかというお尋ねがございました。
 海上自衛隊を含めた自衛隊の防衛力の整備については、平成23年度から平成27年度を期間とした中期防衛力整備計画に示されており、潜水艦については、新たに整備を行うこととされています。一方、具体的な配備等の計画については、国からも発表されていないことに加え、現段階で本県に対して、全くお話もございませんし、当方から積極的に誘致を働きかけるつもりもございません。
 次に、新図書館の基本計画等の予算議案の提出の仕方について、お尋ねがありました。
 私が、今議会に、新図書館の基本計画、基本設計関連予算を提案をいたしましたのは、新図書館基本構想検討委員会で取りまとめられました中間報告書案において、検討委員会が示した図書館像の実現に向けて、両図書館の役割や機能、運営方針や運営体制などについて、県市の間で協定書等の文書を交わし、連携した取り組みを継続していけば、合築で整備される新図書館がその役割と機能を果たしてことができるとされていること。第2に、検討委員会の中で、建設場所を追手前小学校敷地とすることについては、予定地は、新図書館を建設するための条件を満たしている。さまざまな条件すべてに対し、100点満点という場所はないし、全体のバランスとしてどうなのかという考えで判断しないといけないといった肯定的な意見がある一方で、14人のうちの4人の委員からは、日曜市との調整や周辺の交通混雑に不安があるなどといった否定的な意見がありましたが、御指摘の不安といった点については、今後具体的な検討を進めていくことによって工夫して対応することが可能であると考えたこと。こうしたことから、基本計画、基本設計といった、より具体的なステージでの検討が必要であると考え、判断したものでございます。
 最終報告の後に、基本計画、基本設計の関連予算を提出することが筋、また、今回の議案提出は、議会、検討委員会、県民の声を軽視しているのではないかとの御指摘でございますが、昨年9月に、追手前小学校敷地に合築で整備する新しい図書館の基本構想に取り組んでいくとしたワーキンググループの報告書に対して、また、現在は、検討委員会で取りまとめられた中間報告書案について、異例とも言える2回にわたるパブリックコメントを実施をいたしております。また、これまでの検討委員会での議論、フォーラムでの県民の皆様からの御意見を踏まえますと、最終の報告書において、今回取りまとめられた基本構想中間報告書の骨格が変わることはないとの教育委員会からの報告に納得したところでありますし、建設が実現できる全体のスケジュールなども総合的に判断をいたしまして、先に申し上げましたように、基本計画、基本設計といった、より具体的なステージでの検討が必要であると考え、今議会での議案提出をしたものでございます。
 最後に、基本計画等の予算議案について、最終報告でさらに県民の声を聞き、6月定例会で審議することはできないかとのお尋ねがありました。
 今議会で審議をお願いしましたのは、これまで御説明しましたとおり検討委員会の最終報告書は、今回取りまとめられた中間報告書から、骨格部分は変更されることはないという説明に納得いたしましたので、早めに議論をしていただくことが、選択肢の幅が広い中で十分に議論をしていただくことが可能だと考えたからでございます。6月議会での審議となりますと、その審議却下によっては、高知市は合併特例債という有利な起債の活用が困難となり、合築だけでなく、単独整備であっても財源の見込みが立たなくなるなど、非常に選択肢が狭まった中での審議となります。幅広い選択肢がとり得る状況の中で、早めに真剣な議論をしていただくことがよろしいのではないかと、そのような判断のもと、新図書館を合築で整備することについて、今議会に審議いただくべきだと判断をしたものでございます。

◎地域福祉部長(小田切泰禎君) 
 まず、高齢者の生活実態調査について、お尋ねがありました。
 各市町村では、平成24年度からの第5期介護保険事業計画を策定するに当たって、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らしていけるよう、地域の高齢者に関する介護サービスの必要性を把握するとともに、サービスの内容や、サービス料を適切に見込むため、実態調査を行うこととしております。
 この調査は、結果を第5期計画に活用するだけでなく、市町村が高齢者自身や御家族に関する情報を把握することにより、1人暮らしの方など、援護が必要な方への見守り活動につなげることや、介護予防が必要な方に参加を促すなど、さまざまな取り組みに生かすことができるのではないかと考えています。
 また、この調査を、より有効な調査とするためには、議員のお話にありましたように、回収率の向上や、内容を工夫することも大事だと思います。このため、例えば、調査に当たっては、単に調査票を郵送するだけでなく、民生委員、児童委員に、配布先を訪問していただき、調査票の提出を直接依頼するなどで、回収率の向上を図ることや、市街地と中山間地域では高齢者の生活実態も異なることから、地域の実情を踏まえ、設問を追加するなどの工夫も必要と考えています。
 県としましては、これまでも、市町村に対して調査の有効活用について助言を行っており、既に調査を行っている市町村の中には、こうした考え方に基づき、調査結果を今後の支援等に生かすため、買い物の困難さや、住みかえのニーズといった、地域の課題に関する設問を追加して、調査に当たっている事例もありますので、引き続き、市町村に対して調査の有効活用について働きかけてまいります。
 次に、児童養護施設の職員の配置基準の見直しへの期待と、見直された内容に、どのように措置をしていくのかとのお尋ねがありました。
 現在の児童養護施設の職員の配置基準は、昭和51年に、措置費を支給する直接処遇の職員定数が改定され、以後、据え置かれたままとなっています。そうした中で、平成20年に、厚生労働省が行った児童養護施設入所児童等調査の結果では、児童養護施設に入所する児童のうち、虐待を受けていた児童が53.4%と、半数以上となっており、そうした児童へのきめ細やかな支援を行う上で、現在の配置基準では、施設職員に大きな負担がかかっています。
 また、虐待に限らず、児童の抱える問題が複雑多様化している中、施設においては、質の高いケアが十分に行き届くように、ケア形態を小規模化して、できる限り家庭的な雰囲気の中で支援していくことが求められています。そのため、多くの施設では、個別対応職員の加配や、小規模グループケアの実施などによって、それぞれの児童の状況に応じた支援に努めているところです。
 こうした中で、内閣府の子ども・子育て新システム検討会議や、1月に設置された、厚生労働省の児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会で、職員配置基準などの見直しなどが検討されています。
 県としましては、今回の見直しが、入所児童を、できる限り家庭的な雰囲気の中で養育し、また、児童の自立支援や心理的なケアなどを含め、子供に寄り添い、きめ細やかな対応ができる職員配置基準となるよう、施設等関係者の御意見もお聞きしながら、国に対し、提案、要望を行っていきたいと考えています。
 次に、児童養護施設の子供たちへの入進学支度金や、就職・大学進学等自立生活支度費の改善が図られるべきではないかとのお尋ねがありました。
 現在の措置費の基準では、入進学支度金等として、小学校に入学する児童には、3万9,500円。中学校に進学する児童には、4万6,100円。高等学校へ進学する児童には、5万8,500円が支給されています。また、就職や大学進学などの支度費は、7万7,000円が支給され、保護者がいない場合や、保護者からの経済的援助が見込めない場合には、さらに13万7,510円が加算されます。
 小学校、中学校などの入進学支度金は、ランドセル、学用品や制服などを買いそろえるためのものですが、それだけでは十分とは言えず、足りない分を、施設が措置費全体の中でやりくりをして購入しているのが現状です。また、就職や進学のために施設を出ていく子供たちは、アパートの敷金などのほかに、スーツなどの衣類や、家財道具、布団、電気製品など、生活必需品を買いそろえる必要がありますが、現在の支度費では、すべてを賄えないのが実情です。そのため、多くの子供たちは、高校生のときからアルバイトをして貯金をしていますし、また、各種団体からの支援金や奨学金などによって、不足分を補っている子供もいると、お聞きをしております。
 県としましては、こうした実情を踏まえ、子供たちの就職や進学のために必要な支度費が支給されるよう、国に対し、改善の要望を行ってまいりたいと考えています。
 次に、18歳から20歳までの時期の支援の充実と、対象に向けた支援が、どのように行なわれているのかとのお尋ねがありました。
 県内の児童養護施設等に入所している、18歳以上の子供のうちで、この春、高等学校の卒業などにより、施設を退所する予定の子供は、22名となっています。施設等では、高等学校と連絡をとりながら、子供の希望に沿った進路選択について、一緒に考えたり、アドバイスをするとともに、就職のために、ハローワークやジョブカフェこうち、地元企業への同行訪問など、自立に向けた支援を行っています。また、あわせて、自立生活を送る上で必要な金銭管理や、コミュニケーションの図り方などが身につくような支援も行っています。
 しかし、高等学校を中退した子供や、運転免許を取得してない子供などで、なかなか正職員の採用に結びつかない事例や、もともと家庭的な基盤が弱い子供たちの中には、退所後の生活の乱れや、就職の計画が心配される子供もいることから、施設の指導員は、就職先の確保や、退所後のアフターケアなどに御苦労されていると、お聞きをしています。
 県としましても、学校やハローワーク等の関係機関と連携し、こうした支援が円滑に行えますよう、情報提供や家族調整など、必要な支援を行ってまいります。
 次に、県内乳児院については、定員がいっぱいという状況だが、どのような形での改善が望ましいかとのお尋ねがありました。
 経済的理由や虐待等で、親と一緒に生活できない乳児を養育する施設は、高知市内に定員30人の乳児院が1カ所と、四万十市に4人の対応が可能な児童養護施設が1カ所あります。このうち、高知市内の乳児院は、平成18年度以降、入所率は90%を超えており、最近では、定員いっぱいとなる場合もあります。
 このため、乳児院の定員の増について、施設と協議を重ねてきた結果、今年の4月から、定員を5人増員していただけることとなりました。乳児院は、対象年齢が概ね2歳までと短いこともあり、例年4月には、親元への引き取りや、児童養護施設への措置変えなどもあって、入所児が減ることから、今回の増員で一定対応できると考えております。今後とも、乳児の措置状況も見ながら、必要な支援ができるように取り組んでまいります。
 次に、医療的なケアを必要とする重度の障害のある方が、在宅での生活を継続するための支援策について、また、入院された場合の支援策について、お尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えいたします。
 筋ジストロフィーや、筋萎縮性側索硬化症・ALSなど、重度の障害のある方の在宅生活を支援するためには、疾病や障害の状態に応じた適切な介護とともに、訪問看護などの医療的ケアを提供することが必要です。このため、市町村において、利用される方の意向を丁寧にお聞きし、適切な個別支援計画を作成した上で、サービス支給料の上限を設けず、重度訪問介護などの必要なサービスを提供することにより、在宅での生活が継続できるよう支援を行っています。
 また、こうした方を、在宅で介護している家族の負担を軽減するためには、一時的な入院により、家族が休息できるようにすることも必要です。しかしながら、会話によるコミュニケーションがとれない方や、24時間の介助が必要な方が入院した場合、看護師など、医療機関の職員と意思疎通が図りにくいことや、きめ細やかなケアを十分に受けられないといった課題があります。
 現在、こうした課題について、国の障がい者制度改革推進会議などにおける、障害者自立支援法にかわる新たな制度の検討の中で議論がされているところです。この推進会議の総合福祉部会の作業チームから、ことし1月に出された報告書では、重度訪問介護の利用者が、入院が必要となった場合にも、利用者と意思疎通を図ることができる、日常的に介護しているヘルパーが、継続的に支援を行う制度が必要であると提起されました。今後も、さらに検討が進められ、今年の夏には、新たな制度の骨格が提言されることとなっています。
 県としましても、こうした国の制度改革の動向に留意するとともに、重度の障害のある方が希望する地域生活を継続することができるよう、ヘルパー等を対象に、たんの吸引の研修を行うなど、さらにサービスの充実に努めてまいります。
 次に、発達障害のある子供さんの保護者などが、レスパイトサービスを受けられる、通所や、一時入所の機能の確保について、お尋ねがありました。
 発達障害のある子供さんの保護者の皆様からは、子供を預かってくれる施設が少なく、家族の負担が大きいといった声をお聞きしており、お話のありましたレスパイトサービスの充実については、御家族にとりまして切実な問題であると受けとめています。しかしながら、知的障害などを伴わない発達障害のある方は、これまで福祉サービスの対象となっておらず、また、障害の特性から専門性の高い支援が求められるため、レスパイトサービスを行う児童デイサービスや、短期入所などの事業所が少ない状況となっています。
 こうした課題に対応するため、昨年12月に、障害者自立支援法や児童福祉法が改正され、発達障害のある方が、福祉サービスの対象として明確になるとともに、障害児施設の再編や、放課後等デイサービス事業の創設などにより、障害支援の強化が図られることとなりました。
 今回の改正では、現在、障害種別ごとに分かれている障害児施設が、平成24年4月から、多様な障害の子供の受け入れが可能となるよう、通所と入所の施設に、それぞれ一元化されますので、これまで施設の利用ができなかった発達障害のある子供さんも、地域の身近な施設を利用しやすくなります。また、放課後等デイサービス事業の創設により、放課後や夏休みなどの受け入れ体制も強化されます。
 平成23年度は、県内で、新たに5カ所の児童デイサービス事業所が開設される見込みですが、発達障害の特性に応じた専門性の高いサービスが提供されますよう、療育福祉センターによる施設への技術支援などを強化するとともに、今後も制度の見直しにあわせて、必要なサービスが提供されるよう取り組み、子供さんの発達と御家族の支援の充実に努めてまいります。
 最後に、障害のある方が働く、社会的事業所の制度化について、お尋ねがありました。
 お話のありました、滋賀県の社会的事業所は、障害者自立支援法の施行前の平成17年度に、障害のある方の雇用の場を創出するため、無認可の小規模作業所を発展させ、制度化したものと、お聞きしています。社会的事業所は、障害のある方全員と雇用契約を結び、最低賃金以上の賃金を保証し、障害のある方も、ない方も、対等な立場で働く場となっており、障害のある方の自立に大きな役割を果たされています。一方、平成18年に施行された障害者自立支援法に基づく、就労継続支援A型事業所も、雇用契約により、障害のある方の就労を支援する事業所で、最低賃金の保障もあります。
 この二つの制度を比較しますと、A型事業所は、運営主体が法人格を有し、定員が10人以上であることが要件となっていますが、社会的事業所は、法人格の有無を問わず、障害のある方の雇用が5人以上とされているなど、A型事業所よりも、小規模で、柔軟な運営が可能となっています。ただ、事業所で働く障害のある方にとっては、両事業所の支援内容に大きな違いはないものと考えています。
 本県では、障害のある方の就労を促進するため、A型事業所の開設に当たって、設備整備の助成を行うなど、積極的に支援しており、既に、県の障害福祉計画で定めた整備目標を上回る、定員285人分が整備されています。A型事業所は、利用定員により、3割から5割まで、障害のない方を雇用することが可能な制度となっていますが、本県においては、そうした事例はない状況です。また、県内に17カ所あるA型事業所では、ケーキや弁当など食品の製造販売、クリーニング、老人ホームでの介護、また、建材の加工販売など、さまざまな事業が行われており、障害のある方の就労に対する多様なニーズに対応できるよう取り組まれています。
 県としましては、今後とも、障害者自立支援法に基づくA型事業所の整備を進め、障害のある方の働く場を確保し、自立を支援してまいりたいと考えております。

◎文化生活部長(大崎富夫君)
 民間団体のDVシェルターに関して、教職員の旧宿舎からの退去についての対応と、住民生活に光をそそぐ交付金の活用について、お尋ねがございました。関連いたしますので、あわせてお答えをいたします。
 DV被害者の支援につきましては、県の女性相談支援センターの取り組みに加え、民間におきましても、思いを持って自主的に取り組まれている団体がございます。このように、行政と民間とにおいて、幾つかの支援の道があり、互いに連携して取り組むことは、さまざまな事情をお持ちの被害者の方々のお気持ちに寄り添った取り組みを進める上で、重要なことであると考えております。
 そうしたことから、お話のありました民間団体に対しまして、県はシェルターとなる民間アパートなどの借り上げ費用や、光熱水費などを助成するとともに、教職員の旧宿舎を、平成22年度末までのお約束で、無償貸付してまいりました。その時期が近づきましたことから、この団体とは、本年4月以降の対応について、協議を重ねてまいりました。そうした中で、住民生活に光をそそぐ交付金が創設されましたので、その活用につきましてもお話をしてまいりましたが、その結果、エアコンや地デジ対応テレビなどの生活用品の整備にとのお話をいただき、これらに交付金を活用していただくことを予定しております。
 現在、この団体には、県民の方々から、スペースを提供したいとの申し出が幾つか寄せられていると伺っておりますので、県といたしましては、こうしたお話の進展状況を見ながら、必要な協力を検討してまいります。今後とも、支援に携わる民間団体の自主性を尊重しつつ、一層、連携を密にしながら、力を合わせて、DV被害者の支援の充実に努めてまいります。

◎教育長(中澤卓史君)
 
最初に、合築による、新図書館、科学館、新点字図書館のイニシャルコストとランニングコストの試算について、お尋ねがございました。
 新図書館の施設規模は、検討委員会での検討の結果、ワーキンググループで示された1万3,000平米から、1万5,000平米に見直しを行いました。その結果、新図書館のイニシャルコストは、現段階での大ざっぱな試算でございますが、駐車場を含めて、92億4,000万円を想定しています。
 また、仮に、新点字図書館と科学館の延べ床面積を、共有スペースを含め、新点字図書館が1,000平米、科学館が1,800平米と想定をいたしますと、イニシャルコストは、新点字図書館が4億8,000万円、科学館が11億9,000万円となり、3施設の総事業費は109億1,000万円と想定をしております。
 また、ランニングコストについては、駐車場の維持管理経費を除きまして、新図書館が約6億9,000万円、新点字図書館が8,000万円、科学館が7,000万円で、全体で8億4,000万円と見込んでおります。
 次に、合築で進むのであれば、県民に対して、単独整備が、なぜ望ましくないかを、どのように説明するのかとのお尋ねがありました。
 合築という手法で整備を進めますのは、単独整備が望ましくないということではなく、検討委員会の中間報告書で、単独整備であろうが、合築整備であろうが、役割や機能に大きな違いが生ずるものではなく、施設を運営する組織体制が、県立、市民、それぞれの図書館の果たすべき役割や機能を発揮できるものになっているかどうかが、大きなポイントであるとの結論となっていることから、合築整備でありましても、十分に機能が発揮できるものと考えたこと。また、合築によって、イニシャルコストやランニングコストが削減され、生まれる余力でもって、新しい付加機能の整備や、県、市の果たすべき役割や機能を充実することができること。加えて、単独で整備する場合、高知市は、追手前小学校敷地に図書館を建設することができますが、県立は、建設場所を含めて、1からの議論となり、県立図書館の整備が大幅におくれること。これらのことから、総合的に合築が望ましいと判断をしているものでございます。
 次に、検討委員会の席上、明確に賛意を示した委員が多数を占めていたのかとのお尋ねがありました。
 合築という建設、運営手法に関しましては、県と市民図書館が、それぞれのミッションをしっかり果たしていく運営体制をつくれば、十分に役割と機能を果たすことができるといった意見の集約がなされています。
 また、追手前小学校での整備に関しましては、中心市街地であることから、空間的なゆとりを確保することには、一定の制約が伴う。しかしながら、必要な建築面積は確保することができ、電車やバスなどの公共交通機関の利便性は高く、周辺には、高校や大学などの教育施設も多く、子供や学生、高齢者や障害者を始め、多くの人が集まりやすい場所にあると評価されています。
 また、高知市では、次期総合計画で、まちづくりの観点から、郊外開発を抑制して、都市機能を中心市街地にコンパクト化し、活性化を図る方向を打ち出す予定であり、今回の追手前小学校敷地への図書館整備は、その方向性に沿った考え方によるものです。
 このことについて、一部の委員からは、追手前高校の時計台を見おろす巨大な構築物ができることは、まちづくりにかかわる人間として、反対。面積に、余裕が少ない。日曜市との調整や、周囲の交通混雑による不安があるといった、反対、あるいは不安の意見がございましたが、一方で、予定地は、新図書館を建設するための条件を満たしている。また、さまざまな条件すべてに対して100点満点という場所はないし、全体のバランスとして、どうなのかという考えで判断しないといけないといった賛成意見や、是認の立場が多いと思っておりますので、そうした趣旨の発言をし、その上で、両論ある中で、検討委員会に意見のまとめをお願いしたものでございます。
 次に、インクルーシブな社会を目指して、地域で、ともに学ぶための環境を整えることについて、お尋ねがございました。
 高等学校の教育では、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とし、県立高等学校の入学者選抜では、障害のあるなしにかかわらず受験することができるよう配慮しています。
 特別支援学校においては、知的障害のある生徒が、将来、よりよく社会参加するために必要になる、自立に向けた職業教育や社会性を身につけるための教育に対応できるよう、役割を果たしております。
 このことから、現状での高知県の特別支援教育のあり方としましては、特別支援学校という教育制度のもとに、障害のある者と障害がない者が、交流及び共同学習を積極的に進めつつ、1人1人のニーズにあった教育の実現を図っていくことが望ましいと考えています。
 その具体的な事例といたしまして、平成23年4月から、中芸高等学校内に山田養護学校の田野分校を設置し、高等学校施設内の特別支援学校という特色と、インクルーシブ教育の理念を生かしながら、交流と共同学習を通した、共生社会の実現を目指した教育実践を行う取り組みを進めてまいります。
 大阪府の取り組みについて、学ぶつもりはないかということでございますが、現在、大阪府に続く都道府県はありませんが、インクルーシブの理念をどう取り入れていくかという視点で、大阪府の情報は入手をしていきたいと考えております。
 次に、就学先の決定に際して、本人、保護者の意に反して決定がなされないことを原則とする環境整備について、お尋ねがありました。
 障害のある子供の就学先について、小中学校においては、市町村教育委員会が設置する就学指導委員会において、教育、医学、心理学等の専門家の意見や、保護者、本人の意向を聞いた上で、市町村教育委員会が、特別支援学校、小中学校の特別支援学級、通常学級への就学を決定することになっています。また、特別支援学校への就学が望ましい児童生徒であっても、本人や保護者が希望をすれば、市町村教育委員会が、児童生徒の障害に対応した学校の施設設備の整備や、指導面で専門性の高い教員を配置することにより、小中学校に就学することができます。 県立高等学校の入学者選抜では、先ほど、お答えしましたとおり、障害のあるなしにかかわらず受験をすることができるよう配慮して、検査用紙の拡大や別室受験など、特別な措置を講じております。
 次に、障害のある子供の特別のニーズに、的確に答えるための合理的配慮や、必要な支援が提供されるための必要な施策、及び相談できるシステムの構築について、お尋ねがございました。
 小中高等学校においては、スロープや昇降機、障害者トイレなどの設置といった、学校施設の整備を行うことで、障害のある児童生徒が、学校生活を送る上で支障が出ないようなハード面での支援を行っております。また、特別な支援を必要とする児童生徒が、十分に学習活動に取り組むことができるように、特別支援学校コーディネーターを中心に、生徒に関する情報を集め、校内委員会を開催し、支援方法の周知や協議を行うとともに、個別の教育支援計画や、個別の指導計画を作成する体制づくりを行っています。さらに、児童生徒の障害の実態に応じて、学習支援や、支援員や加配教員を配置するなどして、より充実した学校生活のサポートに取り組んでおります。また、高等学校では、養護教諭や教育相談担当を、特別支援教育学校コーディネーターに指名する学校が多く、特別な支援の必要な生徒が、気軽に相談できるような体制を整えています。
 しかしながら、組織をつなぐコーディネート力や、個々の専門性には、まだ課題が見られる現状でございます。そのため、校内における特別な支援の必要な生徒に対する、相談システムのレベルを高めていくために、生徒の情報の共有や、支援の方法などを協議できる、校内委員会を整えるとともに、核となる特別支援教育学校コーディネーターの実践の質を高めるための研修会の実施や、専門性を高める人材育成のために、来年度から、愛媛大学への教員派遣を行っていきます。さらに、特別な支援の必要な生徒の学習面や、生活面の支援が行き届くように、特別支援学校の専門的な相談機能を積極的に活用するなど、生徒のニーズに応じた教育を充実させていきます。
 次に、特別支援学校に通学する際の就学奨励費について、実態に即した対応ができないのかとのお尋ねがございました。
 特別支援学校に在籍する児童生徒につきましては、就学に伴う保護者の経済的負担を軽減するため、特別支援学校への就学奨励に関する法律に基づいて、国の補助を受け、給食費、通学費、寄宿舎生活に伴う経費、修学旅行に要する経費、学用品の購入に要する経費などに対して助成を行っています。
 この制度では、助成の対象となる経費や助成率が、家庭の経済的な負担能力に応じて三つの区分に分かれており、第1区分は、所得が生活保護基準の1.5倍未満の家庭。第2区分は、1.5倍以上2.5倍未満の家庭。第3区分は、2.5倍以上の家庭となっております。
 助成の内容としましては、例えば、通学費に関しましては、小学部、中学部では、第1区分、第2区分、第3区分、すべての家庭を対象として、通学に要した経費の実費全額が、高等部では、第1区分に該当する家庭は全額、第2区分に該当する者は半額が支給され、また、小学部の低学年や肢体不自由の児童生徒の場合は、付添人の経費についても対象とするなどの仕組みとなっています。さらに、修学旅行の際に、複数の介助者が必要な場合の旅費については、国庫補助の対象は1名分ですが、対象とならない分を、県費で負担するなどの措置を講じています。
 本年度の所得区分別の児童生徒数の割合は、第1区分に該当する者が72%、第2区分が12%、第3区分が4%、辞退などにより支給の対象としない者が12%となっており、多くの家庭が助成を受けている状況です。
 就学奨励費制度につきましては、対象となる経費の範囲や基準が法律で定められておりますので、今後とも、制度の趣旨にのっとって、児童生徒の実態に即した、適切な運用に努めてまいります。
 次に、特別支援学校において、医療的ケアの必要な生徒への支援のあり方について、お尋ねがありました。
 文部科学省は、特別支援学校に在籍する、日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒への対応について、医療機関等での専門の研修を受けた教職員が、医療面のバックアップ体制が整った条件のもと、たんの吸引、経管栄養の医療的ケアを実施することを認めています。
 本県では、日常的に医療的なケアを必要とする児童生徒については、訪問教育、または医療機関に併設している高知若草養護学校土佐希望の家分校、同国立病院分校の2校で、教育的対応を行うこととし、同分校には、医療の専門職である看護師を複数配置し、医師の指示のもと、たんの吸引や、経管栄養の医療的ケアに対応をいたしております。
 今後は、児童生徒の障害の状態が重度化する中で、医療的ケアの内容も多様化していくことが考えられますことから、支援体制のあり方については、必要に応じて、検討、見直しを行ってまいります。
 最後に、自転車のルール、マナー教育についてのお尋ねがございました。
 自転車の利用や、ルールやマナーについては、中高生も含め、県民全体の大きな課題でございます。小学校、中学校、高等学校での取り組みとしましては、地域の警察署や、交通安全指導員の方々と連携して、自転車の運転に関する技能や、マナーの向上を図るための交通安全教室を実施するとともに、自転車の利用ルールについて指導を行っております。しかしながら、中高生の自転車マナーにつきましては、まだまだ十分とは言えない現状にありますので、各学校における指導の徹底を図る必要があります。
 県教育委員会としましては、これまでに、高知県交通安全協会の御協力によりまして、高校生を対象に、原動機付自転車安全運転講習会を実施し、その中で、自転車利用のルールについても指導を行ってきました。また、平成21年度からは、県警本部と連携し、中高生に対する、スタントマンによる自転車交通安全教室や、高校生に対する自転車交通安全リーダー研修会を開催し、自転車利用のマナー向上の取り組みを行っております。さらに、本年度からは、学校での交通安全教育を推進するために、教職員対象の研修会を実施しております。
 今後も、高知県交通安全推進県民会議など、関係機関と連携しながら、学校、家庭、地域が一体となった取り組みの中で、子供たちが交通社会の一員としての責任を持ち、被害者にも、加害者にもならない交通安全教育を、なお一層推進してまいります。

◎危機管理部長(森部慎之助君)
 地震防災対策についての御質問にお答えをいたします。
 まず、南海地震対策行動計画の後期計画の見直しに関してのお尋ねがございました。南海地震からの被害の軽減や、地震発生後の応急、復旧、復興のための事前の準備など、県として実施すべき対策や目標を定めた南海地震対策行動計画につきましては、平成21年度から6年間の計画期間の中で前期末となります、平成23年度中にこれまでの進捗状況を踏まえて、残る後期3年間の計画の見直しを行うこととしております。
 後期計画の見直しに当たりましてあたりましては、まず、平成21年度から23年度の3年間の取り組みでの進捗状況や見込みについての検証を行うとともに、進捗状況により、新しい段階に入るものや、取り組みの加速化を図る必要のあるものなどを整理して、有識者などによります検討会での議論や、市町村と消防機関等を対象としましたブロック別説明会での意見の聴取、さらには、県民の皆様への意見募集などを経て、計画の見直しを行っていく予定でございます。
 この計画の見直しの中で、新たな段階に入るものや、重点化していく必要のあるものとして、現段階で想定されますのは、高知市の長期浸水対策の検討内容を具体的な取り組みとして取り上げていくことや、津波からの避難対策を加速化させていくことを考えております。
 次に、民間ビルの津波避難ビル指定の現状と、指定促進のための手法、。また、マンションへの津波避難ビル指定のための方策に関するお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
 津波避難ビルは、津波避難計画に基づいて、高台など避難できる適地がない地域において、耐震性が見込まれる公共施設や民間施設などを一時的な避難施設として、市町村が地域の実情にあわせて指定を行うものでございます。
 現在、県内では13市町村で102の施設が津波避難ビルに指定をされており、そのうち、民間施設は企業ビル、ホテル、マンションなど61施設となっております。民間ビルでは施設ごとに運営形態が異なり、マンションの場合では分譲であるか、賃貸であるかによって、共有部分の所有、管理方法が異なっていますので、個々の実情に応じた指定の方法をと取っていかなければならないのが現状でございます。
 このため、お尋ねの指定を促進させるためのインセンティブにつきましても、それぞれの実情に応じて、個々に検討が必要となり、課題等もそれぞれ違っておりますので、今後も引き続き、津波防災検討会などを通じて、実際に指定を行います市町村の現場での課題や御意見をお聞きしながら、インセンティブのあり方等を研究していきたいと考えております。
 次に、マンションへの津波避難ビル指定の方策の検討でございます。ガイドラインができました平成17年度以降、各市町村における指定状況を見ながら、課題等を整理し、仕組みづくりを検討することとしておりましたが、これまでに高知市以外の市町村で22のマンションが津波避難ビルと指定されたものの、いずれも賃貸マンションで、分譲マンションはない状況でございます。
 このため、マンションの運営形態ごとの指定に向けた課題等の洗い出しがまだ十分でない状況であること。また、マンションの初期の計画段階での運営形態や、箇所等の把握が難しく、事前に所有者との話し合いをすることが困難なことなどにより、一定の仕組みづくりにつきましては、まだ、その段階に至っていたってない状況でございます。
 しかしながら、適切な避難地や公共施設がない地域では、マンション等を津波避難ビルとして指定することは有効な手段であると考えますので、市町村や地域の取り組みに対して、避難計画の作成段階から県としても、人、また費用面での支援をし、その実績を上げながら、効果的な方策を検討していきたいと考えております。
 最後に、家具転倒防止対策の進捗状況と、そのための人材育成のあり方と、今後の見込みについてお尋ねがございました。室内の安全対策につきましては、まず、寝室になるべく家具を置かないことや、高いところのものをおろす降ろすなど、家具の配置を見直した上で、最終的に残る家具等について固定をしていく必要がございます。
 この家具の固定率につきましては、県内の2,000人を抽出して行いました四県共同のアンケート調査では、平成16年度の22%から平成19年度には30%と上昇しましたが、平成22年度の速報値では31%と伸び悩んでいる状況でございます。
 このため、県としましては、みんなで備える防災総合補助金を活用し、市町村や自主防災組織が行う、室内の安全対策に関する講習会の開催や、市町村が実施をする高齢者や障害者世帯の家具等を固定する費用に対して補助を行い、家具転倒防止対策の推進に努めているところでございます。
 本年度は全市町村を訪問し、要請を行いましたので、11市町村から申請が上がってきておりまして、対象世帯数は335世帯と大幅に増加をしてきております。今後も引き続き、市町村と連携をしまして、県民の皆様方に室内の安全対策の重要性を働きかけていきたいと考えております。
 次に、家具転倒防止の啓発や指導を行う人材の育成につきましては、これまでにパンフレットの配布や、市町村防災職員や、自主防災組織リーダーを対象にした講習会の開催等で、市町村が行います人材育成への支援を行ってきたところでございます。
 室内の安全対策の推進につきましては、強い揺れから身を守るために非常に重要でございますので、県としましても積極的に地域に出向き、市町村とともに人材育成にかかわっていくことが必要と考えており、室内の安全対策、講習会の開催とともに、安全対策を推進するリーダーの養成講座を設けるなど、具体的に実効性を高めていきたいと考えております。

◎観光振興部長(秋元厚志君)
 
観光振興や東西軸エリア活性化プランにおける自転車の活かし方について、まず、サイクリングによる旅の誘致の環境整備について、お尋ねがございました。
 自転車の旅は、川のせせらぎや草木の香り、体に風を感じながらゆったりと移動することで、地域での滞在時間も長くなってまいります。したがいまして、高知の強みでございます、食や自然と歴史、人情に触れていただける機会がふえ、地域を満喫できることから、本県の新たな体験型観光の一つとして有望なものと考えています。
 そうした中、ことし9月に、コグウェイ四国実行委員会により、約50名の外国人サイクリストと、国内で募集する一般参加者とが四国を一周する自転車の旅が計画されており、9月16日から19日の4日間は高知県内を観光しながらツーリングをすることとなっています。
 そこで、平成23年度予算案の自転車観光推進事業では、このサイクリングツアーの開催に際しまして、側面支援をしながら、自転車観光客用のサイクルトレインの運行やレンタサイクルの実施など、利便性の向上や、参加者のニーズなどにつきまして検証をし、今後の取り組みに活かしていきたいと考えています。
 サイクリングの旅の誘致には、まずは、安全にツーリングを楽しめることが最も基本的な要素となります。その上で、ソフト面での受け入れ環境の整備は、沿線市町村の協力を得て、地元ならではの食やおもてなしを体感していただくとともに、参加者に地域の良好な印象を与えることが、観光振興の観点では不可欠であると考えています。
 次に、サイクルトレインについてお尋ねがありました。一般的に自転車と一緒に列車に乗り込むことができるサイクルトレインは、急峻な坂道や帰り道で列車を利用することなどで、体力や技術に合わせたサイクリングを楽しむことができるようになります。
 したがいまして、高齢者や体力に不安のある方のハードルを下げますことで、幅広い層の観光客に自転車を楽しんでいただけるものとなり、観光振興の面で有効に活用できる可能性があると考えています。
 そこで、先ほど御説明しましたコグウェイ四国実行委員会によりますサイクリングツアーが実施をされる機会に、JR土讃線や予土線でサイクルトレインを実際に運行をし、その有効性や課題についての検証を行い、その効果を確認したいと考えています。
 また、観光におけます自転車の利用は、走行中の景観が優れているコースで、初心者から上級者まで幅広い層のサイクリストが、それぞれに達成感や充実感を持ってもらえるよう、多様なコース設定が必要となりますが、いずれの場合でも走行空間の安全性を十分に確保しなければならないと考えています。

◎警察本部長(加藤晃久君)
 警察関係の御質問にお答えいたします。まず、タンデム自転車が走ることができる環境の整備についてお尋ねがございました。タンデム自転車の公道利用につきましては、観光振興の観点に加え、視覚障害の方や歩行の困難な方の交通社会への参加といったメリットが考えられる反面、小回りが利かないことや駐輪場の問題など、通常の自転車と異なる特性がございます。
 タンデム自転車の公道走行を解禁している県は、昨年10月1日現在で、長野、兵庫、山形、愛媛、広島の5県となっており、その他の都道府県では公道での利用を制限している状況でございます。
 高知県道路交通法施行細則を改正して、タンデム自転車の公道での利用を可能にすることにつきましては、今後のタンデム自転車の普及状況や全国の状況、県民からの要望などを踏まえまして、道路管理者をはじめとする関係機関、団体とも協議の上、検討してまいりたいと考えております。
 次に、自転車が関係する交通事故の増加をどのようにとらえているのかとのお尋ねがございました。昨年までの全国的な事故統計を見てみますと、自転車関連事故総数は、平成17年から減少傾向にあるものの、自転車対歩行者や、自転車相互の事故件数は、ピークとなる平成20年まで増加傾向となっておりました。一方、本県では昨年の自転車事故件数は681件で、平成18年からわずかではありますが、減少傾向を示しております。
 本来、自転車は車道通行が原則でございますが、車道における自転車と自動車の重大事故などを受けて、自転車の歩道通行が認められることとなり、県内でも歩道の幅員等を考慮の上、自転車の歩道通行を可としております。
 この自転車の歩道通行が全国的な事故増加の原因ではないかという議論もございますが、警察では、自転車と歩行者の事故を防止するため、幅員の広い一部の歩道におきまして、自転車の通行すべき部分の指定ですとか、交差点内に自転車横断帯を設置するなどの交通規制を実施しているところでございます。
 さらに考えられる方法といたしましては、車道上に自転車専用レーンを設置して、自転車の走行空間を確保することがございますが、交通実態や道路状況などから課題も多く、県内では自転車専用レーンの指定には至っておりません。
 本県でも自転車事故の多くは交差点近くに集中しておりますことから、県警察といたしましては、交差点付近における交通指導取締りや、自転車利用者に対する交通安全教育を徹底するとともに、自転車横断帯の設置など、交通安全施設の整備を進めまして、自転車事故防止に努めたいと考えております。
 次に、自転車の走行空間の整備についてお尋ねがございました。ただ今の問題と関連いたしますけれども、自転車事故を防止するためには、ただ今申しましたとおり、自転車が通行可能な歩道におきまして、自転車の通行すべき部分を指定することですとか、車道に自転車専用レーンを整備することなどにより、自転車の走行空間を確保することが望ましいと考えてはおりますが、これらすべてを実現するには課題も多いことから、県警察といたしましては、道路管理者など関係機関と連携しての施設整備による自転車の走行空間の確保と、取り締まりや安全教育によります自転車事故の防止という形で、委員御指摘のハード、ソフトの両面から取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 以上です。

◎土木部長(石井一生君)

 自転車、歩行者の快適な空間形成計画を、県内の市町村まで広げられらないかとのお尋ねがございました。
 自転車や歩行者の快適な空間形成計画は、高知市の東西軸エリア活性化プランの中で、だれもが快適に過ごせる空間づくりの取り組みの一つとして位置づけられてございます。
 この計画は、東西軸エリアとその周辺の高知駅も含めた中心市街地の区域を対象といたしまして、県と高知市が合同で検討を進めてございます。また、検討に当たりましては、学識経験者や商店街等の関係団体、関係機関の職員及び観光関係者も含めました委員で構成されました、自転車・歩行者の快適な空間形成計画検討協議会を設置いたしまして、個々の施策の議論を行っておるところでございます。
 来年度以降につきましては、高知市が中心となりまして、自転車や歩行者のための具体的な施策やスケジュールを定めました、県下で初めてとなる都市交通戦略の策定に向けて検討を進める予定でございます。
 まずは、この交通戦略の策定を支援していくことが、県としては重要であるというふうに考えておるところでございます。高知市において、この戦略を策定した後に、県下の市町村の町づくりで活用できることがあれば、情報提供などを含めまして積極的に支援をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
 次に、自転車の通行空間の整備について、お尋ねがございました。
 近年急増する自転車と歩行者の交通事故に対応するために、国は、平成19年度に全国で、自転車通行環境整備の模範となるモデル地区を指定いたしました。
 本県でも自転車事故が集中しております高知市におきまして、桟橋通地区、菜園場・知寄町地区の2地区が指定され、安全で快適な自転車の通行環境の整備を行うこととなりました。
 そのうち、県が管理いたします桟橋通地区の県道桂浜はりまや線におきましては、カラー舗装によりまして、自転車と歩行者の通行を区分する手法で整備を行っておるところでございます。今年度までに450メートル間において整備済みとなり、次年度以降も電線類地中化工事にあわせまして延伸していく予定でございます。
 また、同じ桟橋通地区の県道高知港線の150メートル区間におきましては、カラー舗装による区分だけでなく、通行帯の中央に分離柵を設置いたしまして、自転車と歩行者の通行区分の分離をより明確にしたところでございます。施工後、当区間を利用している中高生に行ったアンケート調査におきましても、おおむね良好な結果が得られたところでございます。
 しかしながら、市街地での自転車、歩行者道の分離や、自転車専用レーンの設置につきましては、既設道路の幅員の狭さや、沿線の商店や住宅への出入りの影響など、解決すべき多くの課題もございます。
 そのため、今後はモデル区間におけます利用状況の実態調査などを行いまして、整備の効果を検証するとともに、国や高知市、警察など、関係機関とも協議しながら検討してまいりたいというふうに考えております。

◎31番(坂本茂雄君)
 それぞれの御答弁、ありがとうございました。幾つか再質問をさせていただきます。
 まず、地域福祉部長にお伺いいたしますが、先ほど言われました、医療的ケアを必要とされる障害のある方の在宅での生活を継続するための支援措置ですけれども、答弁の中にありました、今年度、一定の制度改善がされるのではないかというふうなことが国で検討されてるやに、私、受けとめたんですけれども、これがそういった方向で改善されたら、先ほど、私が述べたようなケースにつきましても、何らかの支援策の向上になっていくというふうなものとして、受けとめていいのかどうかというのが一つと。、もう一つは、いわゆる受け入れ医療機関が今、相当無理をされてですね。無理をされてと言ったら語弊があるかもしれませんが、在宅で生活をされることを支援するために医療機関はいろんな体制を自らの努力でつくりながら、受け入れられてると。
 それで、そういったことが果たしていつまで続くのかというような問題もあろうかと思います。そういった意味での受け入れ医療機関での困難さもあわせてこれは解消するような支援策になっていくのかどうか。その辺について、教えていただきたいというのが1点です。
 もう一つ、教育長にお伺いしますが、一つは、普通高等学校における障害のある子ども、特に知的障害のある子どもさんの受け入れの問題について、昨年来、教育長とこの問題で議論をさせていただいておりますけれども、去年は、私としては、けんもほろろという感じがしたんですけれども、今年は一応大阪に学ぶために情報を入手していきたいと。それ以外の答弁は、ほとんど去年とかわってないというふうに思うんですけれども。
 例えば、先ほど、私が事例として。事例としてと言いますか、今の議論の状況でかわっていることとしてお話させていただきました、障害がい者制度改革推進会議の2次意見の中で、教育長が、先ほども言われてました、交流及び共同を積み重ねていくという、そのことについて、2次意見の中では、交流及び共同学習というのは、原則分離別学の前提が強調されるということで、意見に盛り込むのはかえって不自然ではないかというふうなことがありまして、そういうふうなことがあったということも聞かれております。
 どっちにしても、交流及び共同学習というと、その頻度の問題とか、いろんな形で十分に障害のある生徒も、障害のない生徒も、日常的にお互いのことを考えあえれるかというと、なかなかそうはならないというようなこともありますので、ぜひ、大阪の取り組みに学ばれるということで、情報を入手していきたいということですが、学校も訪問されてみて、授業の風景なども見学されて、その大阪の阿武野高校の先生が言われておりました、こういった取り組みが大阪だけでとどまっているのはもったいないと。教育長は、後に続く県がないというふうに言われましたけれども、逆に言うと、大阪の側から言うと、これが広がっていかないこと自体がもったいないんだというふうに受けとめられておりますし、昨年、教育長が言われました、大阪のようなところとは財政規模も違って、高知で独自に取り組むということはなかなか厳しいと言われましたが、そのお話をしますと、大阪の先生方は、大阪が財政状況が厳しいのは高知以上かもしれませんというふうなことを言われておりましたので、財政状況ということではなくて、その発想をどういうふうに持っていくかということだと思いますので、ぜひ、一歩も二歩も前進して、今後考えていただきたいということを要請しておきたいと思います。
 それともう一つ、特別支援学校等における、いろんな就学奨励費等の国の基準、これに沿ってやられていくということですが、一方で、実態に即した対応という面でも、運用的なことも含めて考えていかれたいということも、お話もあったと思います。
 やはり、そういう個別のいろんなケースがある中で、本当にその個別のケースに対して、きちんと耳を傾け、寄り添いながら、じゃあそういった人たちが本当に教育を受ける権利をどうやって保障していくのかという立場で考えていただきたいというふうに思いますが、そういった姿勢で、今後、医療的ケアの必要性の問題につきましても考えていかれるのかどうか、その点について再度お伺いしたいと思います。
 それと、図書館につきましてですが、実は、大変県民の皆さんが懸念しているのは、なぜ、これだけ中間報告でパブリックコメントを求めている最中、あるいは、最終報告が議会での決議を経てから最終報告が出されるという、そういう手順がやっぱりいかがなもんかということですね。
 それで、教育長も臨時総務委員会の中で言われたように、筋としては最終報告を決めてから、議案を提案するのが筋だろうというふうに言われておるわけですので、そこのところを、本当にこういった堤案の仕方でいいのかどうかということを、ぜひ、改めてあらためて考え方を聞かせてもらいたいと思います。
 特に、今回のパブリックコメントが一体どのような位置づけなのかと。幾ら県民が声を出しても、どこにどう反映されてるかわからない。この間、臨時総務委員会の中で、ここにありますとかいうことを少し言われてましたけども、それなら、こういう意見に対してはこの文言に入ってますとかいうふうなことを改めてあらためて明示するような、そういう資料を今度、総務委員会にでも出していただいて、議論したいなというふうに思ってます。
 実は、今朝の答弁の中で、議決後、ただちに基本計画の策定作業に入られるということでしたが、補正予算は、先進地視察というような旅費も入ってますね。今ごろ、先進地視察をするんですか。これまで先進地視察をして、この検討は議論されてきているべきじゃないかというふうに、私、思うんですね。先進地視察の旅費が組まれているように思いますけれども。しかも、合築をした先進地というのは、どこにもないわけですので、どうやって視察をされるのか、それも懸念を持つわけですけれども、この辺について、やっぱり予算の出し方がどうなのかということを、あらためて自信を持って出せるのかどうかということについて、お聞きしたいと思います。
 以上で、第2問を終わります。

◎地域福祉部長(小田切泰禎君)
 1点目のお話でございます。重度訪問介護の利用者が入院となった場合にということで、お答えをさせていただきました。国の障害者制度改革推進会議の総合福祉部会の作業チームの中では、重度訪問介護等において支給量の範囲の中に、例えば、通勤、勤務中、通学、授業中、通院、入院中とかいうようなことが対象と位置づけられるべきという議論がなされてます。
 まさしくこれは、議員のお話にあったような対象者の方のいろんなニーズに応じて、そういったサービスが提供されるべきではないかということが議論をされてますので、また、夏には新たな制度の骨格が提言されるということになっておりますけど、私自身もお話もお聞きをしましたり、私自身もそういった方にお目にかかったこともありますので、国に対して実情もお話をしながら、この検討の状況を、なお詳しく確認をしてみたいと思います。
 その上で、お話のあったように、これが作業チームの報告の概要の中で見てみますと、そうした方が、入院中も付き添いができれば、医療機関の負担も大きく軽減されるのではないかというふうに思っておりますので、なお、その詳細については、議論の動向等、国のほうにも確認をしていきたいというふうに思います。

◎教育長(中澤卓史君)

 再質問にお答えをいたします。まず、インクルーシブな教育の件に関してでございます。以前にこの議会でやりとりをいたしましたときに、財政問題のお話もしたかと思いますけれども、私ども、高知県の教育委員会としては、現在の特別支援教育制度にとってかわって、インクルーシブ教育を導入するという考え方はございません。現在の特別支援教育制度の中で、インクルーシブの理念を取り入れていったほう方がいいものについては取り入れていきたい。こういう基本姿勢でございます。
 大阪府の事例がよく出されますけれども、私、今、御提案いただきましたが、私も大阪に行ってこようと思うんですけれども、22人が希望して、3人だけを受け入れるということ自体が、私自身はインクルーシブの理念から見てどうなのかという疑問を持っております。
 そういう意味で言うと、インクルーシブ教育の試行的なことをされておるという思いかもしれません。ですから、そういう私の疑問もありますので、大阪には行って勉強をしてきたいと思います。そういった意味で、大阪府が取り入れておりますので、それは今後も情報を入手して勉強もしていきたい、このように考えております。
 それから、就学奨励費の件でございます。特別な支援が必要なお子さん、そして、その家庭というのは、今、坂本議員も言われましたように、個別の事例、それぞれ特殊な事情がございますので、私どもは一定のルールがありながらも、一つ一つ個別の事例に対しては、真摯に相談に応じ、対応しているつもりでございます。ただ、最初のお話の中で、坂本議員からも通学費のことでお話がございましたけれども、私どものアンテナが低いがために、そのことを見逃しておったんではいけませんので、おっしゃるようにアンテナを高くしていきたいと考えております。
 もし、ご都合がよろしければ、坂本議員のところに入っております情報も、構わなければ教えていただきたい。それを一つの突破口と言いますか、契機として実態というものに迫っていきたい、このように考えております。
 それから、図書館の件でございます。手順はいかがかというお話がございました。限られた時間の中で精いっぱい検討をし、それから、検討の過程を県民の皆様にオープンにしてやってまいりました。
 まず、ワーキンググループで報告をいただいたときに、その内容をオープンにし、インターネットで公開し、その段階で、法定ではありませんが、任意でパブリックコメントを実施をいたしました。
 その後、検討委員会もそれぞれの、一回一回の情報をホームページで公開いたしますとともに、特に、総務委員の皆様方には議事録も含めて、順次お届をしてまいりました。それから、フォーラムも3カ所で開催をいたしました。そういうふうにして、できるだけ情報をオープンにしながら、情報提供をしながら、検討を進めてまいりました。
 検討委員会の中間報告は、合築という手法そのものは、一定の取りまとめができております。それから、もう一つの大きな問題は場所的な問題ですが、これは少数ではございますけれども、異論を唱える方がいらっしゃいます。これは、最終的には皆さんが納得される場所というのは、現実問題なかなか難しいと思っておりまして、私どもはそうした検討委員会の取りまとめ、。これは集約はされておりませんが、意見の取りまとめ、これを踏まえて執行部として判断をしなければならない。
 検討委員会の中間報告では、一定、合築でやる、やらない。追手前小学校の敷地にやる、やらない。こうしたことの判断材料というものが一定そろっているのではないかということ。それから、もう一つは、パブリックコメントを2回も実施しておるわけですが、現在やっておりますパブリックコメントも、時間の制約の中で、きょう現在でその内容をお届けすることはできておりませんが、常任委員会にはそれを取りまとめ、今、坂本議員がおっしゃってましたように、その意見はどう反映したか。あるいは、反映していないか。そうしたものも整理をし、御説明をさせていただきたいと思っております。
 そうした上で、今回の予算案についての御判断を県議会でいただきたい、このように考えているところでございます。
 それから、先進地の視察がございましたけれども、それぞれ基本構想の段階、基本計画の段階、基本設計の段階で、それぞれ、私どもが考えていくテーマというものが変わってかわってまいります。そうした新しいテーマに対して、勉強になるところがあれば行くのは当然ではないかというふうに考えております。よろしくお願いいたしたいと思います。

◎31番(坂本茂雄君)
 先ほど、2問で聞いたらよかったがですが、一つは、DVのシェルターの関係ですけれども、何かお聞きしてますと、何か自主的な活動を尊重してみたいな言い方をされてますけれども、だったら、その民間のシェルターがなくても県は困らないんですか。民間のシェルターがなかったら、県はDV対策のことで困る面があるんじゃないですか。
 だとしたら、そこにどうやって支援していくのか。あるいは、そこと十分意思の疎通を図りながら、協力してもらうことは協力してもらうと。そこの連携を十分にとっていく。そういうことについては、決意を示していただきたいなというふうに思います。
 二つ目に、図書館の分は、もういろいろありますけど、総務委員会で議論させていただきます。
 知事に、最後のお考えみたいなことでお願いしたいんですが。ずっとこの間、日本一の健康長寿県構想の中で、だれもが住みなれた地域で安心して暮らせることを目指すというふうに言われました。その高知型福祉の中で、そのことがぜひ実感できるようにしてもらいたい。
 例えば、制度ではそうなってないとか、あるいは、申請主義だからということで、自ら手を添えてあげることをしないとかではなくて、情報提供や相談体制を充実するというふうなことをしながら、きちんとそういった人たちの要望に対してアンテナを張って、手を添えるような対応をしていく。そのことによって、だれもが住みなれた地域で安心して暮らせることを目指すように努力してもらいたいと思いますが、その決意をお伺いしてすべての質問を終わります。

◎文化生活部長(大崎富夫君)
 民間でDV被害者支援で活動していらっしゃる方、先ほどもも申し上げ申しあげましたが、それぞれ思いを持って活動をされております。その思いをしっかり尊重しながら連携を図っていかなければ。そういう意味を込めまして、自主性を尊重していきたいと、そういうふうに申し上げたところでございます。
 それから、連携でございますが、今まで連携もしておりますし、必要な場合は必要な場合として、県としての支援もさせていただいております。
 いずれにしましても、DV被害を受けられた方、それぞれ、さまざまな事情がございます。個々に御事情も違います。それぞれの御事情に添った沿った支援活動をしていくためには、県、あるいは民間の方々、さまざまな支援の道、チャネルがあることによって、個々の支援というものが充実してまいると。
 そのためにも、関係する機関、団体が連携していかなければならない。そのように思っておりますので、おっしゃるとおり、連携も含め、連携を密にすることも含めて、今後とも一生懸命取り組んでまいりたいと、そのように思っております。以上。

◎知事(尾ア正直君)
 日本一の健康長寿県構想の中で、高知型福祉、だれもが住みなれた地域で暮らせるようにということでございますが、これは、本当にぜひ実現をしていきたいと考えてまして、あったかふれあいセンターのような、地域でのいろんな住みなれた地域で暮らせるようにするための、ケアをするための拠点施設づくりというのを取り組んできたり、さらにもっと言えば、介護の制度について、介護保険に県単で上積みをする。これ、日本で初の制度ということでございますけれども、中山間地域での介護体制というのは、民間での対応を可能にすることによって、住みなれた地域で暮らせるようにしようとか、いろんな取り組み、本当に真剣に取り組みを進めさせていただいておるところでございます。
 御指摘のように、まず、そういういろいろな私たちの取り組みというのを、よくよく中山間地域においても情報提供をしていくということが、非常に重要かと思います。そしてまたあわせて、その際、アンテナを張って、また、ほかのニーズについても把握させていただくようにするということも、非常に重要な姿勢かと思いますので、そのような形で進めさせていただきたいと思いますが。
 それをするに当たって、非常によい機会かなと私は思っておりますのが、市町村及び市町村社協が、今回、地域福祉活動計画、そのアクションプラン、それぞれ策定をいただくことになってます。
 今回、22市町村に来年度つくっていただくことになってますが、その機会などを通じて、地域のいろんな関係者の人に集まっていただいて、地域の福祉課題なんかについて話をしていただく。そういうことを予定しておる。それを県社協と県がバックアップしている機会になっておるわけなんですが、その機会なんか、まさにそういうその情報提供とともに、アンテナを張って、新しいいろいろな状況について把握させていただくためのよい機会ではないのかなと、そのように思わさせていただいておるところです。
 日ごろから心がけていきますし、その計画、地域アクションプランづくりの機会というのを、そういう場として、ぜひ、意識して活用するようにさせていただきたいと、そのように考えております。