09年05月臨時会(5月29日)


◎30番(坂本茂雄君) 県民クラブを代表いたしまして、議題となっている第2号「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案」について、知事と人事委員長に質問させていただきたいと思います。その前段に、第1号の「高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例及び知事等の給与、旅費に関する条例の一部を改正する条例議案」については、異議のないことを表明しておきたいと思います。
 さて、今回の一時金支給月数の一部凍結という人事委員会勧告の異例さ、悪影響、問題点につきましては、ただいま、塚地議員の質問でもるる述べられたとおりで、できるだけ重複は避けてお聞きしたいと思います。なお、答弁者が答弁できないことも明らかになった質問項目もありますので、それは削除して質問しますので、よくお聞きください。
 今の景気後退の状況を見ましたときに、今回のように、職員の給与の減額措置に加えて、夏季一時金の支給月数を一部凍結するよりも、むしろ、民間の夏季一時金の落ち込みで消費低迷に拍車がかかりかねないところを、公務員の一時金で一旦は多少なりとも底支えすることが、流通・小売業界などからは、期待されていたのではないでしょうか。
 昨年来の世界的不況の中で、内需拡大はG20での国際公約でもあり、国をあげて内需主導経済を目指し、消費を活性化させることが大きな課題になっています。
 そのような意味でも、県職員に対して、あえて、この時期に行う一時金引き下げは、民間への引き下げ影響を及ぼすことや内需主導経済、消費拡大に水を差すこととなる懸念については、議場にいらっしゃるお互いが共通の認識に立てるのではないかと思います。
 そこで、人事委員長にお聞きします。
 まず、今回の勧告自体が、極めて不正確な数値に基づいて出されているということです。特別調査の時点では、県内民間では、夏季一時金が決定しているところはごくわずかで、先ほど塚地議員から指摘があったとおり、人事委員会自らも、「県内動向を的確に示しているとは言いがたい」と言わざるを得ない中で、このような回答率で適当と言えるのでしょうか。本来どれだけの回答率であれば、適当正確であると判断するのか。また、先ほど来、本調査における凍結分の調整ということが言われておりますけれども、今回の特別調査と通常の民間給与実態調査の対象事業所に、連続性・整合性は担保されるのかお聞きします。
 さらに、公務員の一時金の調査の仕方と勧告のルールを逸脱してまで、異例の勧告をしたわけですが、今度は逆に、景気回復によって、民間の一時金支給率が改善されたときには、臨時的に特別調査を行って、勧告するつもりはあるのか、お尋ねします。
 さて、特別調査にもあるように、県内ではこれから夏季一時金が決定する企業がほとんどであります。今回のように、県が民間に先んじて一時金を引き下げれば、これまでと違い、県が県内の民間事業所の一時金相場を形成し、引き下げ圧力をかけることになるのではないか。県が一時金の支給月数の一部凍結を実施することで、民間への影響があるなら、ある、ないなら、ないと具体的に根拠を示した上で、その有無について明確にお答えをいただきたいと思います。
 他県では、調査結果に正確性が担保されていないことや本来の調査で勧告することが適当であること、また給与カットの現状などを踏まえて、特例勧告を見送ったところなどもあり、そのような委員会こそ専門的で公正な中立機関と言えると思います。本県人事委員会は何らの主体性を感じられないわけで、そのような中立機関であるべき人事委員会の長としての自負はあるのか、お聞きします。
 また、今回、勧告するに当たって、既に、県職員の場合は、給与の減額措置ということを5年間にわたって実施していることについては、先ほども質問がされたところでありますけれども、そういったことが斟酌されたのか、されなかったのか、その点についても、お答えをいただきたいと思います。
 次に、知事にお聞きします。
 知事は、この議案を提案するに当たっては、随分と苦慮されたことと思います。そして、「100年に一度の厳しい経済状況で、民間や国に合わせて勧告を尊重するのは基本だと思う」と言われていますが、この勧告に沿って、実施することによって8割が未定という民間事業所における一時金交渉に及ぼす影響や県全体の経済波及効果などについて、どのような数的根拠に基づいてどのように判断され、なおかつ、その影響を考慮しても心配するに足らないとの判断で実施するのかどうか、お聞きします。
 国レベルでは、政府与党が政治的意図をもって動いたと言われる夏季一時金凍結勧告でありましたが、都道府県では給与の抑制措置や、既に国を下回っている一時金の支給率の自治体も多くある中、「国に準じた」看過できない措置が行われようとしているのです。そして、そのあおりを食った形の本県の場合でも、14日人事委員会勧告、15日職員組合への提案、18日団体交渉という日程であり、この課題についての交渉時間は一時間そこそこで、結果して交渉は決裂したと聞きますし、総務部長みずからも「妥結できないというのはわかる。」と言わざるを得なかった中で、職員組合に理解を得るための十分な努力は行われたのか、お聞きします。
 また、国準拠ということも一つの勧告根拠とされていますが、国の職員は、給与カットに踏み込んだことはない中で、本県は連続5年間の給与の減額措置を講じており、先ほど塚地議員からも言われましたが、一人平均にしますと、約60万円の減収につながっています。その意味でも、国の一時金凍結と同列にはならないと思うのですが、その点についてはどのように考えられたのか。15日に判断した時点と、他県の状況や国の衆・参両院での附帯決議なども明らかになった現時点における状況なども踏まえてお答えいただきたいと思います。
 これまで指摘していますように、勧告そのものにも疑義がある中で、その実施には理解しがたいものがあります。百歩譲って夏季一時金の一部凍結をもし強行する場合、せめて職員の給与の減額措置で行われている年収の削減額と調整するような検討がなされるべきではないかと思うわけですが、給与の減額措置によって財源が16億円抑制されている中で、今回の凍結によって11億800万円の財源が圧縮されるとすれば、例えば、差し引き5億円の減額措置にとどめると言うことも、一つの方法であると考えますが、そのようなことは検討されたのか、どうか、お聞きいたしまして、第一問とします。

◎人事委員長(起塚昌明君) 坂本議員の人事委員会勧告のあり方に関する、一連の御質問にお答えいたします。
 最初に、給与勧告に当たっての調査の回答率についての判断、及び、今回の特別調査と通常の民間給与実態調査との対象事業所に連続性や整合性が担保されるかとのお尋ねがございました。
 今回の勧告につきましては、極めて厳しい経済情勢の中で、人事院が民間の夏期一時金調査を行い、可能な限り国家公務員の6月期の期末勤勉手当てに反映できるようにとの経過がございました。県職員につきましても、給与決定の原則から国の動きに準じて、一定の判断を求められることが想定されましたので、県内の民間事業所の夏期一時金を臨時的に調査をいたしました。その結果、極めて異例の調査ではございましたが、人事院としても、約2割程度の調査結果から、全体的な見通しなどを判断しながら、勧告に至った経緯なども踏まえ、本県でもほぼ同様の傾向の統計データが得られたことなどから、勧告に当たって、一つの判断材料としたところでございます。
 また、今回の措置は、先ほども申し上げましたけど、あくまでも県職員の6月期の期末勤勉手当ての一部を暫定的に凍結するという趣旨であり、現在実施中の職種別民間給与実態調査で、県内民間事業所の状況を正確に把握した上で、凍結分の取り扱いを改めて勧告いたしますことから、調査対象事業者が一致していないことによる影響はないものと考えております。
 次に、景気回復によって、民間の一時金の支給率が改善されるときには、臨時的に特別調査を行って勧告するつもりがあるかとのお尋ねがございました。職員の期末勤勉手当てなどの給与勧告につきましては、毎年5月から行っております、職種別民間企業実態調査をもとに行うとの基本的な考え方には変わりありませんが、お話にもありました場合には、地方公務員法に定める情勢適用の原則や、均衡の原則など、給与決定の原則を踏まえながら、適切に判断していくことになるものと考えております。
 次に、今回の職員に対する措置が、県内の民間に与える影響があるかどうかという、お尋ねがございました。塚地議員にもお答えしましたように、県職員の給与を参考にしている民間の事業所もあろうかとは思います。今回の職員に対する措置が、そのような事業所に与える影響については、考えられないわけではございませんが、民間事業所は、主に業績の反映などを含めて従業員の夏期一時金を決定されるものと考えております。
 次に、特例勧告を見送ったところもある中で、専門的な、公正な中立機関であるべき人事委員会の長としての自負があるのか、とのお尋ねがございました。今回の勧告は、給与決定の原則のもとで、単に人事院勧告に準じるのでなく、県内の特別調査の結果や本県職員と国家公務員の間にある期末勤勉手当ての支給月数の差などを総合的に判断して、勘案して行ったものであり、高知県人事委員会として、主体的に判断したと考えております。
 最後に、県職員の場合は、給与の減額処置を5年間にわたって実施していることについて、勧告の中に一切触れなかったのは、どのような判断によるものかとのお尋ねがございました。塚地議員の質問にもお答えしましたように、人事委員会としましては、本年2月の特例条例の提案時にも、減額措置が長期間継続されることは遺憾であると意見を申し上げてきたところです。しかしながら、今回の勧告は、極めて厳しい民間給与等の動向を考慮したものであり、職員の期末勤勉手当てが民間の動向と乖離することは、適当ではないというふうに判断をいたしました。
 以上でございます。

◎知事(尾ア正直君) 坂本議員にお答えをいたします。
 まず、今回の勧告実施に伴う民間事業所における労使交渉への影響や、県内経済への波及効果について、お尋ねがございました。先ほどの、塚地議員の御質問へのお答えと重なりますけれども、公務員の給与につきましては、情勢適用の原則などに基づきまして、社会一般の情勢に適応させることを原則としております。人事委員会が実施する県内の民間事業所の実態調査に基づいて行われる勧告制度を尊重することを基本姿勢として、改定を行っているものであります。
 今回の改定は、勧告は、決定済み事業所が少ない中での暫定的なもので、これまでにない凍結という形での勧告であり、最終的な県職員の一時金の水準は、今後個々の企業の業績等によって決定され、民間の支給状況の確定を待って、秋に人事委員会から勧告があることになっております。これまでと同じく、民間で決まったボーナスの水準に、官が準拠するという原則は崩しておりません。民間の皆様には、こうした今回の措置の経緯や趣旨をきちんと説明することが重要であると考えております。
 経済対策の観点から申し上げますれば、先ほど、塚地議員の御質問にもお答えをいたしましたけれども、21年度当初予算と2月補正予算等合計した普通建設事業費の対前年度増加額は、今回の影響額である11億円超をはるかに凌駕する、およそ10倍となる115億円となっておるわけでございます。国の補正予算にも呼応し、さらなる追加対策も検討しているところでございます。経済対策としての馬力は十分であると、そのように考えております。いずれにしても、景気対策は、しっかりと講じていく一方で、県職員の給与については、情勢適用の原則、均衡の原則に基づいて定めていくことで、何よりも県民の皆様の理解を得ていくことが重要だと考えております。
 次に、職員団体に理解を得るための十分な努力が行われたかとのお尋ねがございました。今回の人事委員会の勧告を実施するためには、6月期の期末勤勉手当ての基準日である6月1日までに職員の給与に関する条例等の改正について、県議会で議決をいただき、その改正条例を公布、施行する必要がありますことから、県議会の日程等を考慮し、職員団体とも協議の上で、お話にありましたような日程での交渉となったところであります。交渉においては、誠に残念ながら、妥結には至りませんでしたが、日程の点においては、限られた時間の中での対応となったことについては、職員団体にも理解をいただき、お互いに短い準備時間ではございましたが、真摯な話し合いはできたものと考えております。
 最後に、国は、職員の給与カットがない中での勧告であるが、そのことを考慮したのか、また、今回の一時金の一部凍結を実施することと、給与カットによる年収の削減額等を調整することを検討したのかとのお尋ねがありました。関連しますので、合わせてお答えをいたします。給与カットは、勧告に基づかない異例の措置であり、こうした状況が5年目となっていることについては、職員に対して、大変心苦しく思っております。一方、今回の期末勤勉手当ての支給割合の一部凍結は、現在の厳しい経済状況の中で、県内の民間企業の夏期一時金が前年より減少する傾向が伺われることから、給与カットが行われているという事情のもとにはありますが、人事委員会から暫定的な措置として、勧告されたものであります。
 県としましては、これまでも、人事委員会の勧告は尊重してきましたし、100年に一度と言われる経済状況の中で、民間給与等の動向を考慮し、暫定的に期末勤勉手当ての支給割合の一部凍結を行うことは、地方公務員の勤務条件は、社会一般の情勢に適応しなければならないという情勢適応の原則など、また、国や多くの都道府県で同様の措置が採られることを考慮しますとき、給与カットを職員にお願いしている中ではありますが、勧告どおりの実施が必要であると判断したものであります。また、そのことにより、県職員の給与に対する県民の皆様の信頼も確保されるものと思っております。
 議員御指摘のように、国においては、給与カットは行われておりませんが、本県より踏み込んだ給与カットを行っている多くの県において、今回の一時金の暫定的な凍結措置は行われることが決まっております。
 また、今年度の給与カットについてでございます。先ほど、塚地議員にお答えいたしましたとおり、今後、この経済情勢の中で、県税収入がどうなるのか、また、交付税の動向もあります。さらに、今回の凍結措置が秋の人事委員会勧告でどうなるのかなど、経済の状況が大きく動いている中、不透明な状況にありますので、現時点では、見直すことは、考えておりません。
 いずれにいたしましても、職員の給与に関しますことですので、職員団体とは、誠意を持って対応をしてまいります。
 私からは、以上であります。

◎30番(坂本茂雄君)
 2問を行います。人事委員長、答弁を明確にしていただきたいんですね。こちらの聞いていることに答えてない。例えば、どれだけの回答率が適当、正確かということに対して、2割程度であること、それは、さっきからずっと言われていることで、それが適当、正確なのか。それが、もし適当、正確でないとすれば、どれだけあれば、適当、正確と言えるものなのか。単に、それは、特別調査であるとか、臨時的な調査であるということで、言い逃れできないと思いますよ。調査をしてるわけですから。その点について、明確に答えてください。
 そして、対象事業所については、一致していないことによる影響はないと言いますが、この特別調査で、実施した事業所と、今行われている民間給与実態調査で行われている事業所が半分ほど違っていて、どうやって比較するんですか。それは、そのことによる、一致していないことによる影響は、一切ないと言い切れるんでしょうか。それ、もう一度、聞かせてください。
 それと、もう一つ。これも答弁漏れやと思いますが、臨時的に特別、景気が上向いて、一時金の改善がもしされるようなときに、勧告するつもりがあるのか、ないのかということを聞いてるわけで、そのことについては、答えてないと思いますよ。
 それと、先ほど、給与の減額措置との関係で言われました。2月に給与の一部改正条例に対して、人事委員会として意見を述べているというようなことも言われておりますけれども、そのことについてお聞きすれば、その中で、給与の減額は、職員の生活に大きな影響を及ぼすものであることから、「早期」に解消されることを強く望みますと意見しているんですね。この言う、「早期」というのは、どういうことを指しているのか。早ければ早いほどよいのか、そのことについて、お聞きしたいと思います。それによって、ほんとは、今回の勧告の中で、どういうふうに触れるかということはあったはずだと思うんですね。ですから、ここで言う、「早期」というのは、どういうことを指しているのか、お聞きしたいと思います。
 それと、知事にお伺いいたします。先ほど、民間への影響、あるいは、経済波及の状況などについてお聞きしました。一方で、普通建設事業費の増額などを含めて、十分景気対策のことは、今年度予算でもやってきていて、それは、随分と今までとは違うんだというふうなことを言われました。そういういうふうに、普通建設事業費で組んだ予算に対して、今言われる、先ほど、例えば、言われました市町村も含めると18億円になんなんとする国の職員、市町村、そして県の職員などに全体で今回の一時金カットにおいて、18億円の削減がされるとしたときに、もし、18億円という消費の減額があれば、それがどういうふうに波及額となって及んでいくのかというのは、試算されたのかどうか。その上で、100億円と比べてどうなのかということも言ってもらわないと、私は、先ほどどのような数的根拠に基づいてどのように判断されたかということをお聞きしてますので。普通建設事業費のことだけでなくて、一方で減額することによる、凍結することによる影響額を明確に示していただきたいというふうに思います。
 それと、もう一つ。国準拠等との関係で、お尋ねいたします。例えば、民間への影響などについて、民間は民間でそれぞれ労使の交渉などがあって、みずからの経営状況なども踏まえて、判断をされるだろうということで、直接、この県職員の一時金の支給凍結が影響することは余りないのではないかというお話がありました。
 ただ、一方で、先ほど私言いましたように、昨日、参議院ですけども、衆参両院ともに、附帯決議が付されているわけですね、給与法の一部改正法案に対して。その附帯決議の中では、人事院の特別調査時点において、夏期一時金が決定済みである企業の割合が極めて低いことにかんがみ、今回の措置が今後決定される民間の夏期一時金を引き下げる圧力として働く本末転倒の結果を招くことのないよう、広く今回措置の経緯や、趣旨の周知徹底に努めることという懸念を示して、附帯決議をつけているわけです。
 そういう意味で言えば、本県においても、やっぱりそういうことは心配するのが、私は本来あるべき姿だと思うんですね。ですから、そこでもなお、知事がそれほど大きな影響がないんではないかというふうに言われるんであれば、むしろ、国が附帯決議をつけているこのことにあるように、県としても、今後、民間の労使交渉において、こういうことが本末転倒の結果を招くようなことのないように、きちんと指示をするとか、そういうふうなことは、商工労働部としても考えてもしかるべきだというふうに思うんですが、その辺について、どういうふうにお考えになるのか、お聞きいたしまして、2問といたします。

◎人事委員長(起塚昌明君)
 坂本議員の再質問にお答えいたします。4点ほどあったと思います。まず、20%程度の回答率、調査で正確に判断できるのかというような御趣旨であったかと思います。今回の調査につきましては、通常の調査とは違って、極めて厳しい経済情勢の中で、緊急かつ異例な形で行いましたが、その結果、人事院と同様に一定の判断ができる統計データがあるという前提で、臨時の勧告を出したところです。また、人事院の調査にはないんですけど、本県のをもうちょっと詳しくということで、まだ未定の企業、事業所にとっても、今度の見通しも合わせてお聞きしまして、その見通しの中でも、約半数が、やっぱり削減の見通しだというようなお返事もございました。そういうことを踏まえて、また、この調査だけではなくて、国の動向、他の都道府県の動向、情勢適応の原則、それから、均等の原則ですか、給与決定の原則等を踏まえまして、総合的に判断をしたものでございまして。先ほど来、申し上げておりますように、秋には、現在実施中の定例の調査によりまして、この凍結分を含めて、必要な勧告と報告を行うように考えております。
 それから、2問目は、対象事業所が定例の調査と違った場合は、どうなのかという御趣旨やったと思います。今回、あくまで臨時的な調査でございますけども、最終的には、本年の期末、民間事業所の期末手当が確定する7月末ぐらいまでの時点で、数字をきちんと把握しまして、最後には民間との率ですか、そういうものを最後の秋の勧告においては、夏の勧告の数値も考慮しながら、勧告をさせていただくというふうなことになると思います。
 それから、景気が上向いたときにも勧告をするのかという御質問であったと思います。大きな変動、経済社会情勢の大きな変動があったときは、給与決定の原則を踏まえて、今回のような措置を考える必要はあるのではないかと、現時点ではそういうふうに考えております。
 それから、2月の条例提案のときの意見で、「早期」に解消というのは、すぐなのか、いつなのかという御質問でしたけど、早期というのは、もう言葉どおり、できるだけ早くというふうに、私どもは考えております。
 以上でございます。

◎知事(尾ア正直君)
 まず、経済に、今回、減額措置がどのように影響するのか、数値的にどうなのかという話でありますが、産業連関表で調べて、いろいろそういうデータの分析はいたしております。例えば、県職員の場合、11億500万円の減額ということになるわけですが、これが、まず、消費実態調査、いわゆる貯蓄係数、回る分、貯蓄に回る分を考慮いたしまして、消費にまわる額が大体幾らになるかという、家計調査のデータをもとに考えれば、約6億2,100万円と推計をされます。これを産業連関表に入れて、そのマイナスの経済波及効果を計算しますと、7億2,300万円ということになります。先ほど、景気対策として、115億円、例えば、公共事業で115億円ということを申し上げました。この115億円について言えば、こちらの方については、先ほど言った、貯蓄分がまず剥落するということはございません。まず、一たん、一発目において、景気、実体経済にお金が流れていくわけであります。すなわち、乗数効果、産業連関表で回して得られるところの乗数効果というのは、給与減額数値よりもはるかに大きいこととなります。以上から考えましたときに、給与の減額措置に対して、はるかに大きい規模の、かつ、はるかに高い乗数効果を持つ対策を講じておるわけでございますから、景気対策としては十分であると考えております。
 では、18億円分減額しなければ、なお、もっと効果が出たではないかという御議論もあろうかと思います。しかしながら、景気対策をやるので、ボーナスのカットをしない、それで、県民の皆様の御理解が得られるでしょうか。私は、情勢適用の原則、均衡の原則という観点から、公務員の給与については、公職にある者の公務員の給与として、県民の皆様の理解が得られる措置が必要であると、そのように考えております。
 それから、2番目の影響を及ぼすのではないかということについてでございますけれども、私も、その附帯決議、本末転倒に陥らないようにということについて、私も勉強させていただいております。議員の御指摘、ある意味ごもっともだというふうに考えておるところでございます。
 原則として、今回の措置は、凍結という措置になっておるわけでございまして、あくまで民間が先に決めていただいて、官がそれに倣って決定をするという原則は崩しておりません。しかしながら、一時的に暫定措置としての今回の勧告がなされたということにあります。あくまで、原則は、変わってない。民間の皆様に主体的な判断をしていただきたい、それに、後から官が倣うのだということは変わってないわけでございます。この趣旨をよくよく県民の皆様にお伝えしなければならないというふうに考えております。
 今後、関係の部局におきまして、例えば、ホームページでありますとか、後は、要すれば、記者会見を開くでありますですとか、その点についての広報は徹底して御主旨に従い、御指摘のとおり、徹底して広報していきたいと、そのように考えております。
 以上であります。

◎30番(坂本茂雄君) まず、先ほど、知事がこういう状況のときに、先ほど言われたいろんな状況を考えたときに、県職員の一時金をカットしないということでいいのか、というふうに言われましたけども、一時金のカットは将来的には必ずあるわけで、今回はまさに言うところの、言うたら、前倒しをしてやることに問題があるというふうに、我々言っているわけですね。ですから、こういう経済状況の中で、カットをしない、するなということを言っているわけではない。それは、けど、正確な人事院勧告、委員会勧告に基づいて、適正な勧告がなされているんであれば、それもやむなしだろうけれども、今回はそういうふうになってない。さまざまな疑義のある勧告であるから、そういったことにおいて、やることがどうなのかということを、先ほど来、ルールの問題として、塚地議員も指摘されてるわけですね。
 ですから、そこのところは、ぜひ、逆に言うと、先ほど知事が言われているような論理で行くと、県民の方に非常に誤解を与えることになると思いますのでね。逆に県民の信頼をなくすことを、知事みずからが言うことになることになりますので、そこは慎んでいただきたいと思います。
 それで、いろいろありますけれども、最後に一言、どうしてももう一度判断をお聞かせいただきたいというふうに思うのは、例えば、民間への影響のことについて、附帯決議のことも言いました。もう一つ、附帯決議の中で言われてるのは、地方自治体はもう既に給与カットとか、さまざまなことをやってる中で、国と一律の指示をしないようにということも言われているわけですね。そのことを考えたときに、本県が果たしてどうなのかということを、先ほどからも言っている。例えば、凍結勧告を見送ることで、国を上回る県も10府県に上ります。佐賀県は、正確に反映できないことと合わせて、給与の減額措置と比較した場合に、凍結分より減額措置が上回っているので、見送りもしています。さらに、愛知県は、一時金は凍結するけれども、その分給与抑制を早めに解除するという工夫もされてます。そういうことが、まさに人事委員長が言う、早期にというのは、早ければ早いほどいいわけですよ。早ければ、早く、その一方で、16億円に対しての11億円の財源が確保できるとしたら、その給与カットについても見直してみるということも、今後の課題として、ぜひもう一度考えていただけないかということを述べまして、これですべての質問にかえます。

◎知事(尾ア正直君) 今回の勧告につきましては、情勢適用の原則に基づいて、速やかにという勧告のお考えもあろうかと思います。今回の一時凍結という勧告について、我々はそれを完全実施することが適当であると考えておるところでございます。
 いずれにしましても、今後の給与のあり方について言えば、時々の勧告の内容、さらには、その他の状況を踏まえて、我々として、しっかり判断をしていく必要があろうかなと、そのように考えておるところでございます。ちょっと、現段階で、明確にはどうするかということを申せるわけではございませんけれども、私どもといたしましても、県民の皆様の理解の得られる給与の水準ということを考え、地方公務員法で定められた原則にのっとった給与の決定を、今後も行っていきたいと、そのように考えております