09年02月定例会代表質問(3月2日)

◎議長(西森潮三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。議案に対する質疑、並びに一般質問を続行いたします。
◎30番(坂本茂雄君) お許しをいただきましたので、県民クラブを代表いたしまして、知事以下、執行部の皆さんに、順次御質問をさせていただきたいと思います。
 この一年間、アメリカ発の国際的不況の以前から、国内外を問わず、格差社会の拡大は貧困層を大きくクローズアップさせてきました。私は、岩波新書でベストセラーとなった堤三果さんの「貧困大国アメリカ」、湯浅誠さんの「反貧困−すべり台社会からの脱出」、阿部彩さんの「こどもの貧困−日本の不公平を考える」、この3冊を称して、貧困3部作と勝手に称しています。その中で共通のテーマとして明らかになっているのは、貧困の連鎖であるとも言えます。そして、それは、子どもから若者、中高年層をはじめとした労働力年齢層、そして、高齢者層と悪循環を繰り返すシステムの中で、人間らしく豊かに生きることが奪われるということであり、これは政治の責任であるとも考えられます。
 そこで、県民が、人間らしく豊かに生きることへの満足感を与えることのできる自治体として自立していくには、決して条件が整っていない、この高知県では、単独でその責任を果たすことはできないかもしれません。しかし、知事には、その思いだけは持ち続けて、県政運営に当たっていただきたいと思います。
 そのような中で、新年度予算案が、知事の言うように「攻めとぬくもり」を実感されるものとして、県民から評価されるに値するものだとの自信と確信を持たれているのか、まずお聞きします。
 私も、知事の対話と実行座談会に3箇所で同席させていただきましたが、極めて熱心にフロアーからも含めた県民の皆さんの声に耳を傾け、熱く意見交換をされていた姿勢は大変印象的でありました。
 そこで、なぜ、対話と実行なのかという時に、知事は、地域の課題の把握とあれかこれかの厳しい選択の判断基準とするためだとおっしゃっていましたが、対話と実行座談会での意見を、厳しい選択の判断材料とした具体例はあるのか、お聞きしようと思いましたが、中内議員に対する答弁と同様であれば、省いていただいても結構であります。
 また、対話と実行座談会のあり方について、敷居の低さを維持することは大変かもしれませんが、相手を選ばない、対話の姿勢を保ち続ける決意についてもお聞きします。
 次に、予算編成についてお尋ねします。「攻め」の積極予算を編成できた背景には、高知からの情報発信で、全国でも高位の金額の交付金をはじめとした一般財源に充てる財源が確保できたことによるものだと思いますが、その意味では、翌平成22年度については、国の緊急対策的な措置がもしなければ、金額的にも県民サービスの量的にも大きく後退することになるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、ブレーキをかけた部分として、財政の健全化を図ったとしています。確かに、県債残高はピーク時の8割程度まで減少するなどしていますが、臨時財政対策債の占める割合が年々増加し、三位一体のスタート時点と比して、2.7倍と大きく伸びています。その分、相対的に地方交付税が減額されている中で、償還のための財源は、確実に後年度において交付税措置が担保されていくのか、財源措置の見込みなどについてお伺いします。
 次に、「攻めとぬくもり」の「ぬくもり」についてお伺いします。「ぬくもり」の象徴として、高知型福祉が強調されますが、新しい支え合いの仕組みとして、あったかふれあいセンター以外に、高知型福祉と言えるものとして、どのようなものがあるのでしょうか。昨年、予算委員会で取り上げた自殺対策やひきこもりへの支援については、高知いのちの電話支援事業、自殺予防情報センターの設置、ひきこもり地域支援センターの設置などに早速予算化していただいたことについては、高く評価するものです。
 しかし、本来、制度上のセーフティネットから滑り落ちている人が、「ぬくもり」を感じられてこそ、ぬくもりのある予算と言えるのではないかと考えますが、そのような人たちに対する新たな高知発の支え合いの仕組みとしての事業は、どのようなものがあるのかお聞きします。
 さて、これまで行われてきた県立社会福祉施設のドラスティックな見直しは、養護老人ホームや南海学園、身体障害者リハビリテーションセンターの民間移管を強行し、今回療育福祉センターを診療所化しようとしており、給食調理のアウトソーシングなども含め、対人サービスの面での将来的な量的後退は否めないのではないかと考えています。そのような中で、新たなニーズにこたえるため、質的サービスの向上も含めて、今後どのように改善していくつもりか、お聞きします。
 また、中・四国社会就労センターが利用者を対象に、障害者自立支援法に関するアンケートを実施し、半数以上から、「施設の利用負担を無料化すべき」との回答を得ていますが、この結果から見える一般的傾向として、利用者負担金が障害当事者の生活そのものへの影響とサービス利用の抑制につながっており、利用者負担金の廃止という視点に立脚することが求められています。したがって、利用者負担金の有無及びあり方そのものの議論が求められている中、政府・与党も応益から応能への転換も視野に入れた検討が行われようとしていますが、このような時にこそ、高知型福祉にふさわしい積極的な高知独自の見直しや国への働きかけが行われるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、産業振興計画などに関連して、知事にお伺いします。
 さて、この一年間、産業振興計画の策定の先頭に立たれた知事、検討委員会委員、専門部会委員を務められた各種団体代表、県民の皆さん、パブリックコメントを寄せていただきました方々、そして、関連部局職員の皆さんに、まず敬意を表しておきたいと思います。今後は、成長戦略と地域アクションプランの具体化に向けて始動することとなりますが、基本的なことについてお伺いします。
 とらぬタヌキの皮算用であってはいけませんが、産業振興計画が具体化され成果を上げ始めたとき、活発な経済活動の結果として得られる税収などをどう活用していくのか。まさに、攻めの予算で獲得した財源は、今後の「ぬくもり」の政策拡充に充てるべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 また、常に県民に一体感を持ち、自らも参画していただく計画であり続けるためにも、産業振興計画の具体化と進捗状況についての見える化を図るべきだと考えますが、必要性を感じるとしたら、どのように図っていくのか、お尋ねします。
 次に、見える化の一つの指標でもある目標数値についてでありますが、地域アクションプランに置かれた目標数値と産業成長戦略目標の数値について、私の試算では、一部その積み上げに関連性があるのかなと思えるものもありますが、その整合性については、どのようになっているのか、政策企画部長にお聞きいたします。
 産業振興計画の進捗状況は、産業振興推進部によって管理されることとなるわけですが、地域アクションプランのローリングのあり方として、意欲ある県民の提案や参加方式をどのように考え、県民が今こそ県勢浮揚のチャンスだと思う仕掛けをどうつくっていくかについて、政策企画部長にお聞きします。
 また、地域資源活用共有会議の敷居を低くすることで、県民の知恵を生かしていくことも重要であります。先日、私の知人が「イチゴ大福ならどこにもあるが、高知の特産になれるものは」と試行を重ね、土佐市の文旦農家と高知市のお餅屋さんとのコラボレーションで「文旦大福」を誕生させました。マスコミなどで取り上げられましたこともあって、生産が追いつかない状況になっています。しかし、文旦故の季節性の克服がなんとかできれば年間通しての生産、そして、ネット販売などと夢を膨らませていますが、知恵を貸してくれるところがあるだろうかと言われておりますが、まさに、商品開発を技術面から支援していくというシステムとしてのワンストップの窓口の顕在化を図る必要があると考えたところですが、政策企画部長、いかがお考えでしょうか。
 県政改革におけるチェック機能については、午前中の武石議員の質問で触れられました。産振計画の具体化に当たってお聞きしますが、対象事業に対する事前の客観的評価を得るための仮称「事業審査アドバイザー」を置き、チェックをされるようですけれども、団体・事業者などへの支援が特定の利益追求のみではなく、真の意味で県勢の浮揚における公益性や透明性の担保なども考慮されるようPDCAサイクルのチェック段階で、財政的支援の内容と効果の検証に当たる第三者の検証委員会を設置した方がよいのではないかと考えますが、知事の考え方をお聞かせ下さい。
 次に、雇用政策について、商工労働部長にお伺いいたします。
 今朝ほど部長も述べられたように、先週金曜日に公表された1月の有効求人倍率は0.67倍と8ヶ月連続の下落で03年9月以来の低水準となっており、本県は0.43倍で全国下位7道県に入る厳しい状況です。さらに、正社員の有効求人倍率は0.43倍で過去最悪。そして、非正規労働者の失業も、昨年10月から今年3月にかけて15万7,806人に上り、1月調査に比べ約3万3,000人増加しています。しかも、失業した派遣労働者の雇用保険の受給状況では、調査した約4万人のうち、受給資格を得たのは2万3,559人にとどまっているなど、雇用のセーフティーネットが十分に機能していないことも明らかになっています。
 雇用を取り巻く厳しい状況の中で、国の緊急雇用創出臨時特例基金事業やふるさと雇用再生特別基金事業を活用した「あったか高知・雇用創出プラン」に対する県民の期待は大きいものがあろうかと思います。そこで、商工労働部長にお尋ねします。
 緊急雇用創出臨時特例基金事業を活用した6ヶ月の臨時的雇用者を雇用期間が終われば、後の雇用先は自助努力でということでなく、次につなげていくことが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、臨時職員としてこの2月から県庁で雇用した失業者の4月以降に向けた就労支援について、どのように考えられているのか、お聞きいたします。
 これまでも、国への意見反映で改善を求められてきたとのことですが、まだこれらの雇用に関する基金事業の使い勝手が悪い面もあるやに思われますが、今後さらなる、改善に向けて、どのような視点で働きかけていく御予定か、お聞きします。
 また、高知カシオが業績悪化などのため正社員257人と臨時社員82人を4月から一時的に休業させ、請負会社社員59人と派遣社員37人については3月末以降、解雇する方針を決めたことが明らかになっていますが、年度末を控えて、他にも予測される県内の企業があるのではないか、お尋ねします。
 あわせて、これらへの対策を今から講じておく必要があるのではないかということも、お伺いしておきます。
 景気悪化の影響が広がる中、去年4月から12月までの間に職場を解雇された障害者は全国で少なくとも1,400人余りに上り、昨年度1年間の1,523人を大幅に上回るペースで増加しており、特に、去年の秋以降急増していることが、厚生労働省の調査で明らかになっています。さらに、厚生労働省から都道府県に対して「障害者を多数雇用する事業所、障害福祉施設等に対する官公需の発注等の配慮について」との通達が出されるなど、仕事確保も求められています。
 そこで、本県における障害者の解雇は、昨年同期と比して、どのような現状となっているか。また、現状より悪化させないためにどのような支援が行われているのか、健康福祉部長にお聞きします。
 この項の最後に、地域資源の活用とまちづくりのあり方についておたずねします。
 土佐経済同友会の日本一の田舎づくりへの提言にもあるように、今のままでは高知は、中途半端な都会になってしまっていくような懸念をしています。そうならないためにも、どこにでもある地方都市ではなく、せっかくの地域資源を再発掘し、ブラッシュアップするというまちづくりに転換すべきではないかと考えています。そのためには、知事も本庁での対話と実行座談会での記憶にあろうかと思いますが、例えば、高知城郭を活用したまちづくり、地域の観光資源やまちあるき観光など今ある有形無形の地域資源を壊すのではなく、再整備しながら磨き上げていただくことが求められていると思うのです。
 先日、視察をいたしました川越市は、この4月からNHK朝の連続ドラマ「つばさ」の舞台となる蔵づくりの町並みが有名で、観光客は現状でも、高知が県全体で目指す400万人を超えており、今後は500万人を目指すとのことです。なぜ、川越市にそれほどの魅力があるのか。東京都心から1時間で都会が失った街並みの散策とストーリー性を体感できることが、魅力なのではないでしょうか。
 ある意味、時代の流れに取り残されたはずが、時代の変化でよい町になってしまったと言われる方もいますが、そんな町の魅力を生かすために、川越伝統的建造物群保存地区「まちづくりガイドライン」を定めて、歴史と暮らしを大切にしたまちづくりを行ってきたのです。
 埼玉県では、知事が、2期目の公約で自動車税の5%を積み立て、緑と川の再生基金をつくり、田園と都市生活のバランスのとれた暮らしのできる埼玉を次世代に残したいとの取り組みをされています。
 翻って、本県でも地域資源の再発掘をうたう一方で、毎回私が指摘する都市計画道路「はりまや町一宮線」の4車線化などで、地域資源を分離分断、埋設させるような事業として継続され、まちづくりのコンセプトに齟齬を生じているように思えてなりません。
 最近の報道では、今後の交通量見通しでは、2020年ごろまではふえ続けるとしていた従来予測を改め、おおむね横ばいから減少に向かうとしたもので、このことが、今後の道路整備などにもたらす影響は大きくなるのではないかと報じられ、自動車交通量を取り巻く環境は大きく変わっています。にもかかわらず、道路交通計画調査委託業務報告書にある「すべての交通需要に対応するための4車線整備が必要」だということを金科玉条とした都市計画道路事業を立ち止まっての検討は、まだ先のことです。立ち止まって検討することをよい契機として、滞在体験型の観光まちづくりのための明治維新期のストーリー性を持たせた地域資源の再発掘と、磨き上げのまちづくりに転換することを要請するものですが、その決意は示せないものでしょうか、知事にお尋ねします。
 次に、県庁組織の再編成とアウトソーシングのあり方について、総務部長にお尋ねします。午前中、武石議員も触れられましたけれども、来年度に向けた例を見ない大幅な県庁組織の再編は、さまざまな懸念を生じさせています。組織を再編成するに当たって、その位置づけの明確な説明責任を果たすことで、安心して新年度を迎えられるようにしていただきたいと考え、お伺いいたします。
 まず、産業振興推進本部を構成する産業振興推進部と商工労働部、観光振興部、農業振興部、林業振興・環境部、水産振興部のかかわり方です。とりわけ、産業振興推進地域本部における地域産業振興官と農業振興センター、林業事務所、漁業指導所の所長との指揮命令系統が錯綜しかねないという不安が、現場には生じております。地域産業振興官は、午前中の知事答弁にもありましたように、コーディネート役に徹するなら徹するということで、これらの不安を払拭する明確な組織的位置づけについて、お聞きいたします。
 また、農業振興センター、林業事務所、漁業指導所には、日常の業務がある中で、産振計画がらみの業務との関係で、どの業務が優先されるかによって、日頃からの農業者や林家、漁業者や団体などとの信頼関係を失うこととなってはいけません。そのような業務の進め方が横行することのないように留意すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、療育福祉センターの診療所化については、医師確保が困難な中でのやむを得ない面があるのかもしれませんが、一方で、発達障害者支援センターなどの新たな機能も充実させなければならない点があり、利用者の満足度を確保していくことについての担保はされるのか。
 また、70年代後半から80年代にかけて、この職場で看護師さんたちに多く発症した非災害性腰痛症という職業病の歴史を忘れることなく、看護師の勤務態勢の維持については、現場の意見を十分踏まえて検討されていくのか、健康福祉部長にお聞きします。
 1月に公表された「高知県版アウトソーシングの総括〜3年間の取り組みの検証〜」における「アウトソーシングを実施する課題」において、本当の意味で改善方法が示されているとは言いがたい面があると考えています。とりわけ、適正な請負の確保や低入札価格への対応が不十分なために、今年度4月に強行実施した試験研究機関については、再直営化を判断せざるをえなかったことを考えれば、数値目標ありきの無理なアウトソーシングについては、今後強行すべきでないと考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、これらの3年間の総括と評価は、あくまでも内部で評価されたものであり、第三者の評価委員会が評価する必要があるのではないかと考えます。また、これだけ請負、派遣における労働者の雇用条件が劣化・流動化している中で、アウトソーシング先の労働条件について検証できるシステムを早急に構築すべきだと考えますが、総務部長にお聞きします。
 次に、教育課題と子育て支援について知事にお尋ねします。
 最近、知事の教育に対する熱い思いを聞く機会がよくありますが、中学校の学力において一定の水準を保障し得ていないということを、憂う気持ちを強く吐露されることがあります。その際、私は、それぞれの立場で聞かれている方々にとって、それぞれに受けとめがあるように思うのです。先生方にとって、保護者の皆さんにとって、何よりも子どもたちがどう受けとめているのだろうかと思うことがあります。
 そこで、教育問題を語るときの知事の熱い思いは、よく分かるのですが、もう少し自然体で語る必要もあるのではないでしょうか。今朝の答弁トーンは、少しそういうふうな感じもいたしたところでありますがが、私は、子どもや子を持つ親としての県民に語りかけるつもりで話すところから、対話と課題の共有が始まるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。時として、大きな声で強い調子で迫ることのある私に言われたくはないかもしれませんが、先生方にしても、いかにも何もしてこなかったかのような受けとめだけしかできないような問いかけであれば、次への一歩が踏み出せないような気がしてしまいます。
 さて、今年度の三つの仕込みを踏まえて、来年度は、学力向上・いじめ問題等対策計画の充実強化と課題のある地域への積極的な支援が図られることとなりますが、知事はしきりと「凡事徹底」ということを言われます。
 実は、沖縄県の教育長も、「みんなで、当たり前のことが当たり前にできる、いわゆる『凡事徹底』を、教育のあらゆる場で推進していきましょう」と呼びかけています。沖縄県も学力テストの結果を見る限りにおいては、本県同様厳しい結果となっています。そこで、凡事を徹底するための基盤にも目を向ける必要があるのではないかと思うのです。
 それは、秋田県が、子どもたちの授業に臨む姿勢や家庭での学習習慣の定着が正答率を引き上げた一因ということの共通の背景として、家庭・地域と学校との連携がうまくいっており、家庭や地域に学校を支えていこうという姿勢が比較的強いということを、阿部昇秋田大学教授が述べられていること。さらに、土佐の教育改革にも関わっていただいた志水宏吉大阪大学大学院教授は、近著「全国学力テスト」で「学力テストから見る背景」として、秋田のような安定性が維持されている地域では、安定した生活リズムを築き、確かな学習習慣を育みやすく、安定性が崩れてきている地域では、しっかりした基本的生活習慣・学習習慣を形成しにくいということが見てとれると分析されています。これらのことからも、凡事を徹底するための基盤としての地域社会や家庭、学校との連携を図っていくことも必要ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 また、学力と就学援助率との間にも、かなり高い関連性が見られることも最近よく指摘されています。04年度の文部科学省調べで、公立小中学校に通っている児童・生徒を対象にしたもので、本県は17.86、秋田県7.47となっており、学力テストの結果で上位群にいる県の就学援助率は低く、下位群にいる道府県の就学援助率は高くなっていることからも、一定の関連性が見られるのではないかと思います。このような状況を見たときに、単に放課後における子どもたちの学びの場の保障だけで、支援の効果が上がるということでもなく、長期的には社会的経済的基盤の改善などにも目を向ける必要があるのではないかと考えますが、教育長にお尋ねします。
 そして、高知市への緊急支援事業における、中学校学力向上補助員や放課後学習支援員と学級担任や教科担任などとの間で緊密な連携がとれていないと支援体制に齟齬が生じるのではないかと懸念しますが、その点についてはいかがでしょうか、教育長にお伺いします。
 子育て支援については、私も開会日に最終報告をした少子化対策・子育て支援特別委員会の委員として、審議にかかわってきました。最終報告にもあるとおり、「子供を生みやすくする環境を整えるためには、根本的には、経済政策、産業政策の問題が底辺にあり、働き方の改善を含む、労働政策にも大きく関連してくる問題でもあり、本来そうした分野についても、踏み込んだ調査、検討をすべきであるが、当委員会では議論を尽くせなかった」と報告せざるを得ませんでした。
 しかし、冒頭に述べたように、今私たちの前に突きつけられている貧困の問題は、「貧困と学力」「貧困と子育て環境」「貧困と健康」「貧困と虐待」「貧困と疎外感」という形で、子供にも連鎖していることを踏まえたとき、今後の教育の拡充や子育て支援の拡充を考えるときに、我々委員会で議論を尽くせなかった課題としっかりと向き合って、少子化対策・子育て支援を検討していただきたいと考えておりますが、知事に御所見をお伺いいたします。
 次に、地震・防災対策、危機管理の課題について、危機管理部長にお尋ねします。
 昨年4月から、高知県南海地震による災害に強い地域社会づくり条例を施行し、この条例の実効性を高めるために、県として実施すべき取り組みを、高知県南海地震対策行動計画としてりまとめられました。今後は、産業振興計画同様、県民総ぐるみで計画の具体化が図られることを期待したいと思います。
 行動計画の実施状況は、推進本部で毎年点検し、公表し、その結果を踏まえて、必要に応じて行動計画を見直すこととされていますが、推進本部内だけでの見直しなのか、県民の声も取り入れた見直しなのか、ローリングの仕方について、あわせてお聞きします。
 この計画のなかでも、一つの柱だと思いますが、自主防災組織の組織化・活性化はソフト面でも、最も急がれるものです。これまで、南海地震に備える基本的な方向と当面の取り組みで示してきた、平成19年度末で津波浸水想定地域内での自主防災組織率100%、県内全域21年度末の自主防災組織率100%という目標数値の未達成という状況について、どのように原因を分析されているのか。そして、今回の行動計画で修正した平成26年度末達成の見通しの可能性について、お聞きします。
 住宅耐震補強助成の拡充は、要件緩和なども図られる中で、今年度は12月補正を組まざるを得ないところまで進んでおり、来年度も400棟分の予算化がされています。順調に進めば、これまでの実績と合わせて、来年度末で859棟ということになりますが、どうしても手がつかない高齢者層、低所得者層への支援として「家屋の倒壊から県民の生命を守る方法の一つとして、耐震シェルターや耐震ベッド等の簡易な安全対策について検討する」とのことで、やむを得ないながらも、私は一歩前進だと考えています。そこでお聞きしますが、これまで住宅の耐震対策について重点的に取り組んできたことを、今回どのように整理し、耐震シェルターや耐震ベッド等の簡易な安全対策にも取り組むこととされたのか。
 また、先日、調査で訪問した葛飾区など、緒についたばかりではありますけれども、東京の一部の特別区では、東京都が選定した6種類の「安価で信頼できる耐震改修工法・装置」に当たるものについては、所得制限なども設けながら助成をされています。本県の検討の中には、そのようなことも視野に入っているのか、お聞きします。
 そのことと関連して、三重県では、スギやヒノキなど県産材を使った木製耐震シェルターの開発を目指しており、需要が減っている木材の利用拡大と住宅の耐震強化推進の一石二鳥をねらった試みとして、来年度に開発費400万円を予算化し、専門家の協力を得て構造や工法などを研究し、この秋までに30万円程度のモデル製品を開発し、業者にノウハウを提供し、普及を図る計画と聞いています。
 また、高知市内では浄水器販売業者の方が、災害時に利用できる浄水器を開発しており、インドネシアでのビジネスチャンスを得ようとしています。このようなことからも、地震・防災対策を進めれば進めるほど、県内に金が落ちる仕組みもあわせてつくっていくことを考えるべきではないのでしょうか。
 産業振興を図っていく中で、高知発の防災産業を真剣に考えてみる必要があるのではないかと考えますが、この項は商工労働部長にお聞きします。
 危機管理の課題で、最後に、新型インフルエンザへの対応について、お尋ねします。国の想定では、本県でも最悪の場合、約16万人が医療機関を受診し、1万2,500人が入院し、死者が4,000人を超すと試算されている新型インフルエンザに対しては、患者入院医療機関の整備や抗インフルエンザウィルス薬の購入備蓄が予算化されています。県として平成17年に策定した高知県新型インフルエンザ対策行動計画について、市町村と連携強化する中で見直しがされようとしていますが、パンデミック対応に向けて早急な見直し策定が求められています。
 2月に、市町村に対して高知県の行動計画が改定されることなどについて、説明会を開催されたとのことですが、新型インフルエンザの大流行や県民がパニックを起こさないために、今後の予定をいかに前倒ししていくのか、県民への啓発普及をどうしていくのかなどその対応や取り組みについて、お伺いします。
 次は、高知医療センターの経営改善などについてです。
 高知医療センターをめぐる議論については、私が6年前に県議になったときの質問で、「高知医療センターの建設・運営を受託する高知医療ピーエフアイの主体はオリックスグループであり、このオリックスの会長宮内義彦氏は、総合規制改革会議座長を務め、医療への株式会社参入を強く主張している人物だけに、オリックスグループ経営の巨大な民間病院が出来上がるのではないかと危惧する。そうなった場合、結果的に多額の公費を投じて民間病院をつくったということになりかねず、将来にわたって公的病院としての高知医療センターの医療サービスを提供していくことを、県民に約束ができるかどうか」と当時の知事に迫ったことがあります。
 現状は、高知医療ピーエフアイの十分な協力が得られない中で、シミュレーションを大幅に上回る赤字幅の大きさは、ついに7億6,000万円の資金不足を生じさせるに至り、平成21年度においても、約14億円近い赤字予算を計上するに至っております。構成団体である本県として、この資金不足による資金ショートを生じさせないための長期貸し付けは、本県の医療体制を維持していく上でも、やむを得ない判断と考えています。
 しかし、いつまでも手をこまぬいているわけにはいかない問題として、高知医療センターの経営改善について、知事にお尋ねします。
 知事は市長とともにオリックスに要請に出向いた際に、慎重に言葉少なにコメントをしておりますが、オリックス側が示した、会議資料は的を射たものだと思いましたか、それとも、首を傾げる部分もあったのか、いかがでしょうか。
 次に、病院企業団から、高知医療ピーエフアイに対して要請した、委託料の見直し等に対する回答に対して、企業団が明らかにした見解について、オリックス側と協議した知事はどのように受けとめておられるのか、お聞きします。
 そして、先の病院企業団議会での補正予算、21年度当初予算の採決に当たって、全会一致で可決された、高知医療センターの経営改善と医療体制の維持向上を求める附帯決議について、どう受けとめておられるのかも、あわせてお聞きします。
 いずれにしても、決議にもあるように「厳しい経営状況下であっても高知県の基幹病院としての高知医療センターの人的体制をはじめとした、医療体制の質の確保は今後も求められることから、医師をはじめとした高知医療センター職員のモチベーションを維持しつつ、県民の医療ニーズに応えられる体制の維持・向上を念頭に置いた病院運営は、必須の課題である」という要望は、知事におかれましてもしっかりと受けとめていただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 さらに、高知医療センターの救急医療体制の維持の課題でもありますし、県内の救急医療体制を維持し、本県において他県のような救急患者の、受け入れ困難な状況をつくり出さないためのお考えについて、健康福祉部長にお尋ねします。
 2月27日付け高知新聞でも紹介されていましたが、私も参加させていただいた高知市医師会の市民フォーラム「もしもの時、行き場がなくなったら−高知の救急医療を守るために−」で、高知赤十字病院の救急部長が、繰り返し訴えられていた「医療療養病床が減らされることで、救急病院の出口が失われる。むちゃな減らし方をしないでください」という提起は、医療難民に対する問題提起に加えた、もう一つの高知の課題でもあるのではないかと感じたところです。
 地域ケア体制整備推進事業によって、療養病床の再編を進めようとされていますが、急性期から亜急性期へと受け入れる体制の確保も含めて、この訴えにどのようにこたえていくのか、お聞きします。
 この項の最後に、医療センターに精神科病棟整備を行うとともに、県立安芸病院、芸陽病院の改築を迎えるに当たって、高知発のローコストの自治体病院建築を念頭においていただきたいということで、健康福祉部長、公営企業局長にお尋ねします。
 自治体病院が、往々にして高い建築費になることはこれまでにも随分と指摘されており、04年建築統計年報のデータ加工で見る、病院・診療所の種別建築単価によると1平米当たり、平均単価は19.9万円ですがが、都道府県では25.5万円、市町村では32.4万円と高額になります。高知医療センターは33.2万円で、1床当たりとなると、3,435.5万円となっており、自治体病院共済会の調査による1997年以降に建設された、約100の公立病院の一病床当たりの平均建設費約3,300万円を上回っています。
 また、総務省の07年調査では、病棟など固定資産の取得額を長期にわたり費用に計上する減価償却費の医業収入に対する割合も、民間病院は4.6%ですがが、公立は8.1%と高くなっています。
 そこで、高知医療センターで経営悪化の一因ともなっているように、元利償還金負担、過大な減価償却を抱えることを他山の石として、十分に将来へのキャッシュフローも考えて、安ければいいでは困りますが、ローコストの建築設計に取り組んでいただきたいと考えますがいかがでしょうか。
 最後に、警察が県民の安全を守るに足りる信頼回復を図っていただきたいとの思いから、質問をさせていただきます。まず、捜査費関連予算についてであります。
 捜査費については、御承知のとおり平成15年夏、不適正な支出が報道されて以来、議会においてもその真相について随分と議論をし、県議会としても監査請求を行い、平成18年2月22日には当時の監査委員が、「支出の実体がないと判断するもの、支出が不適正と判断するもの及び支出が不自然で疑念のあるものが数多く見られた」との結論を報告し、それに当たる合計金額は約1,791万円余に上りました。しかし、警察本部は、その年の9月20日に内部の調査結果報告書を発表し、組織的な裏金づくりを完全否定し、個々の捜査員の手続き上の誤りであったとして約347万円を返還するにとどまりました。
 この事案が表面化した翌年の平成16年には、交付額に対する決算額が20.1%まで下落し、ピークの12年の98.8%とは比較にならないものであり、捜査費全体の支出額は85.3%も減少していた事実があるのです。そして、今年度までは3年連続の900万円の予算額だったものが、今年はなぜに1,500万円まで増額されるのかと言うことです。
 知事は、捜査費について、20年度予算編成の際に、マスコミ取材に答えて「900万円程度であれば適当と判断した」と言われてますが、その時の状況と今回1,500万円を適当と判断した違いとその根拠を、知事にお尋ねします。
 また、知事は「捜査に支障が出ているとの意見がある」と聞いているとのことでしたが、検挙率の推移がどうなっているのかなど根拠も示して、どのような支障が出ているのか具体的に本部長にお聞きします。
 さらに、昨年12月6日付け高知新聞では、県警会計課は「必要な捜査費は使える環境が整ってきた」と説明されたとのことですが、使える環境とは、どういうことを意味するのか、本部長にお聞きします。
 次に、警察本部として全部署に導入された取り調べ監督官制度について、お聞きします。これは、容疑者の身体への接触や大声を出すなどの行為を、監督対象行為に指定し、取調室に設置したドアスコープから幹部署員らが、取り調べ監督官としてチェックし、密室の取調室で容疑者を調べる際の捜査側の違法行為がないか、監督するものであります。昨年9月以降県警本部と高知署など6署で試行してきたなかで、問題点などなかったのか、試行結果をどう評価しているか、公安委員長にお聞きします。
 この制度は、人権に配慮した取り調べの適正化に一定の効果はあるでしょうが、身内同士による甘さが生じる懸念もぬぐい切れません。監督対象行為とされている被疑者を殴ったりという直接の有形力行使や、机をたたいたりする間接の有形力行使などは、だれが見ても判断できることでありますが、殊更に不安を覚えさせることや、尊厳を著しく害する言動ということについては、その線引きは難しいと思われます。そのようなことからも、広く第三者による検証を可能にすることで監督制度としての取り調べ適正化がより図られるべきではないか、あわせて録音・録画による可視化にも早急に踏み出すべきだと考えますが、公安委員長にお伺いします。
 最後に、2006年3月3日に、国道56号線新荒倉トンネル南春野町側で発生した仁淀川町のスクールバスと白バイが衝突し、白バイ隊員が亡くなられた事故について、お尋ねいたします。くしくも、明日が白バイ隊員の命日に当たると言うことで、まず、哀悼の意を表させていただきたいと思います。
 ところで、この事故は、スクールバスが安全確認不十分のまま道路に進入したことによって事故を起こしたとして、逮捕・起訴されたスクールバス運転手が、起訴事実はなく、バスは停止しており、地裁、高裁判決を不服として最高裁に上告していたが、昨年8月20日付けで上告棄却となり、現在、元運転手の方は収監中という事件です。
 さまざまな経過がある中で、元運転手が申立人となり、走行中に衝突したと装い、事故の過失を申立人の責に及ばせる目的で、バス左右前輪の後部にスリップ痕様のものを偽造し、もって他人の刑事事件に関する証拠を偽造したものであるとして、被疑者不詳のまま証拠隠滅の疑いで地検に告訴していた事件で、不起訴処分となったことに対して、高知検察審査会に審査申し立てがされました。そして、検察審査会は、今年1月28日に、1つには、検察官は、衝突現場の写真撮影報告書及び実況見分調書添付の写真及びネガフィルムを鑑定、分析するなどの捜査を行う必要があると思われる。2つに、検察官は、衝突現場にはバス車内の同乗者のほか野次馬等もいる中、捏造し得る状況ではなかったという先入観をもとに、捜査の結論に導いているのではないか。3つに、バスの同乗者などの供述も参考にする必要があると思われる。4つに、申立人が実施した走行実験による鑑定結果に対して、検察官は別の専門家による検証を踏まえ、反論を行う必要があるのではないか。5つに、被疑者を特定するための検査を行った形跡が認められない。として、なお捜査が尽くされていないという感を完全にぬぐい去ることはできず、不起訴とした検察官の判断は市民の感覚として納得できないとして、検察官の再考を求めるための議決をされました。しかし、その再捜査の詳細も明確にしないまま、2月23日に再度不起訴とする処分をしたものです。
 そこでお尋ねしますが、警察本部にテレビ放送を見て、この件で電話で照会した方に対して、対応した県警職員が「一方的な報道ばかりで困惑している。大半は全然違う」と答えているようですが、本当にそのように考えているのか、本部長にお聞きします。
 また、検察審査会の議決を受けて高知地検が行った再捜査に対して、県警として協力しているとすれば、その際に協力した内容について明らかにできないのか、お聞きします。
 次に、争点となっているバスのブレーキ痕についてですが、元運転手側が、急ブレーキをかけたとして、事故当時同様の前提条件にのっとって行った走行実験でできるブレーキ痕と証拠とされているブレーキ痕の違いが明らかなために、証拠ねつ造などということが言われているわけです。警察としても、同様の前提での実験を行うことこそが、多くの疑問に答えることになると思うが、なぜできないのか、本部長にお尋ねします。
 最後に、昨年4月11日の衆議院法務委員会で、本県出身の民主党細川議員が、この件も含めて警察の身内による捜査の問題点を追求し、そのやりとりを聞いていた当時の鳩山法務大臣が、「警察庁の答弁を聞いておりましても、余りすかっとしないですね。だから、何か先生の持たれる疑念のようなものは、国民に持たれてはいけないわけで、どういうことができるかというのは、今後やはり研究すべき問題であるということは、よくわかりました」と答弁されていますが、法務大臣にも、すかっとしてもらうためには、どうすればよいと考えるのか、公安委員長と本部長にお聞きいたしまして、第1問とします。
◎知事(尾ア正直君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、新年度予算案は、「攻めとぬくもり」を実感できるものとして、県民から評価されるに値するものだとの自信と確信を持っているかについて、お尋ねがございました。私は、平成21年度、県民の皆さまとともに力を合わせて、県政浮揚に向けて、具体的に行動する実行元年にしてまいりたいと思っております。そのため、新年度予算では、経済対策については、「攻め」の姿勢で臨んでおります。具体的には、産業振興計画を強力に推進していくための予算として、84億6,000万円余り。県内の厳しい雇用情勢に対応するため、積極的な雇用創出に取り組むための予算として、32億円を確保するなどの対応をいたしております。
 また、教育福祉の面では、本県の実情に沿った「ぬくもり」を大切にした積極的な予算といたしました。具体的には、小学校、中学校の放課後の学びの場を拡大、充実させるための予算として、3億円を。地域の支え合いの起点となる、あったかふれあいセンターの設置を進めるための予算として、1億5,000万円を確保いたしております。
 こうしたことが、積み重なりまして、来年度予算は、平成11年度以来10年ぶりに、前年度の予算規模を上回る4,186億円余りとなっております。「攻めとぬくもり」の予算として、編成をさせていただいた予算でございますけれども、この予算を速やかに実行に移し、具体化させていただく過程で、県民の皆様にも実感していただけるものになっておるのではないだろうかと、そのように考えておる次第であります。
 次に、対話と実行座談会での意見を、厳しい選択の判断材料とした具体例について、お尋ねがございました。対話と実行座談会の会場では、対話を通じて、地域の実情を把握させていただくということが一つと、そして、もう一つは、あれかこれかの厳しい選択をしなければならない時において、でき得る限り、納得ずくで、政策をつくらせていただくこと。その上で、つくらせていただいた政策を、スピード感を持って実行していく。ゆえに、対話と実行でございますということを、皆様方にお話をしてきたところでございますけれども。
 厳しい選択というもののあらわれた一つの例として、幾つも例があるわけでございますが、典型例は、私は、何度も繰り返しますけれども、あったかふれあいセンターではないのかというふうに思っております。高知県の福祉を追求いたしていきますときには、どうしても、中山間地域、多様な、さまざまなニーズはありながらも、それぞれの利用者の方々の数が少ないという実情を踏まえていかなければなりません。本来、それぞれの機能をそれぞれの施設で果たす。そこで赤字が出ても、すべて公費で面倒を見ていくと、赤字が出ても、それは福祉だから仕方ないのだという選択ができるのであれば、ことは簡単でございました。しかしながら、それではなかなか進まない。民間の参入も進まない。公的資金の無制限な拡大というのも、なかなかうまくいかない。そういう中で、高知県の実情に合った、そして、持続可能な福祉のあり方とはどういうものであるか、これを考えて行き着いた先が、小規模多機能型のあったかふれあいセンターではないかと思った次第でございます。厳しい財政状況、民間の参入がなかなか進まないという事情、そして、地域のニーズ、これらを判断し、選択した結果が、あったかふれあいセンターではないかというふうに考えています。これが、実情と沿ったものとなっているかどうか、これも何度も座談会の場で、この関連の話を申し上げ、皆様からの御意見も賜って、確認をしてまいったそうでございます。その結果、これで、高知県の福祉について、一定の対応ができるんではないかという思いから、あったかふれあいセンターについて、予算計上させていただきましたし。また、一挙に10カ所、県内でこういう場を構えさせていただきたいという形で、随分思い切った形での予算計上をさせていただいたところでございます。
 ほかにも、たくさん例はございますけれども、いずれにしましても、こういう形で、対話と実行座談会でいただきました、お知恵を生かさせていただいておるということでございます。
 次に、対話と実行座談会の成果と今後の対話のあり方、相手を選ばない対話の姿勢について、お尋ねがございました。県内34市町村すべてで開催させていただいたわけでございますが、座談会で、私がいかに勉強させていただいたかということは、るる申し上げさせていただいたところでございまして。あわせて、この座談会には、出先の所長、職員始めまして、地域支援企画員、そして、また、本庁におきましては、特に、地域づくりに関係する職員も同席をさせていただきました。私自身大いに勉強になりましたけれども、県民の皆様方の生の声に接する機会ということでございました。同席をさせていただいた職員も、大いに勉強になったのではないのかなと、そのように考えております。
 座談会において、敷居の問題についてでございますが、始めの数回の開催では、市町村に選定していただいた参加者の方のみとの意見交換でございましたけれども、やはり、会場に傍聴に来ていただいた方々からも、御意見や御要望を承る機会は、絶対に必要だという思いから、8回目の座談会からは、会議の後半には、傍聴者の皆様との質疑の時間を確保し、かつ、発言を希望して、手を挙げていただいたすべての傍聴者の方々から、御意見や御要望を承り、そして、私自身もお答えをさせていただくということをやらさせていただいたわけでございます。
 結果といたしまして、1回の開催時間が4時間近くに迫るということもございました。いずれにしても、こうした意見交換を通じて、政策の方向観、具体的な施策の必要性、地域でどういう問題があるのか、本当に肌身に感じさせていただいたと思っております。
 今後とも、県民と対話する県庁づくりを目指して、対話と実行座談会はもとより、日常の業務におきましても、常に県民の方々と目線を同じくし、相手を選ばず、声なき声にも耳を傾け、決して聞きっぱなしにしない、対話と実行の姿勢を県庁全体で持ち続けていきたいと考えております。
 また、対話と実行座談会に、類似をした取り組みというものも、来年度以降も進めさせていただきたい。少しスタイルは違うかもしれませんが、そのような取り組みを進めさせていただきたいと思っております。
 次に、平成22年度の予算については、国の緊急対策的措置がなければ、大きく後退することになるのではないかとのお尋ねがございました。平成20年度の2月補正予算、21年度の当初予算につきましては、国の緊急的な経済対策も追い風となって、積極的な予算を組むことができたわけでございますけれども、しかしながら、単に、経済対策があったというだけでは、21年度の予算のような編成はできなかったというふうに考えております。
 有効求人倍率を指標に用いて、配備するよう、本県から提言した結果が、例えば、地域活性化生活対策臨時交付金について、全国平均の2倍以上にわたる115億円の確保ということにつながった。これは、全国1位と、県民1人当たりでは、全国1位の額ということになるわけでございますけれども。経済対策が実施されるに当たりまして、これを本当に厳しい状況にある本県に、振り向けて来させることができたからこそ、21年度予算のような編成に至ったのだというふうに考えているわけでございます。
 平成22年度以降の予算についても、もちろん、その時々のマクロ経済の状況や、時々の政策ニーズを見極めて、アクセルとブレーキを踏み分けて編成をしていくという方針になるわけでございますけれども。ただ、いずれにしても、来年度も引き続き、国に対して、財源確保に向けた積極的な政策提言というのを行っていく必要があると考えています。去年も、骨太の方針の段階から働きかけを行ってまいりました。今年も同様のプロセスを繰り返していくと言いますか、さらに、パワーアップしていくことになると、そのように考えております。
 次に、臨時財政対策債の償還のための財源は、確実に後年度において交付税措置が担保されるか、償還のための財源措置などについての考えについて、お尋ねがございました。臨時財政対策債は、地方が標準的な行政サービスを住民に提供するために必要な額を、地方交付税では確保できなくなったことから、それを補てんするために設けられたものであります。その元利償還金相当額につきましては、全額を後年度の基準財政需要額に参入することとし、地方団体の財政運営に支障が生じることのないように措置するとされておるわけであります。臨時財政対策債が導入される前までは、地方交付税の不足分を国が借金をして、地方交付税として配分をしておりました。臨時財政対策債は、国が借金をして地方交付税として配分するかわりに、地方が借金をして元利償還金を後年度に交付税措置するという考え方に基づき、導入されたものであります。臨時財政対策債の償還については、確実に交付税による財源措置がなされるものであると考えております。
 自主財源の乏しい本県にとりまして、臨時財政対策債は貴重な財源でありますし、今後も地方交付税と合わせた総額の確保及び財政の厳しい地域への重点配分がなされるように、財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、あったかふれあいセンター以外の高知型福祉について、お尋ねがございました。あったかふれあいセンターにつきましては、るる申し上げたとおりでございます。高知のような中山間地域で、通用しうる福祉の形を追求するものでございます。これまで、国に対しましても、中山間地域の厳しい実情を伝えながら、本県の実情に即した小規模多機能の福祉サービスが提供できる、そのような提案、要望をしてきたところでございました。その結果、例えば、この度のふるさと雇用再生特別交付金を活用して取り組む、このセンターについても、本県の提案が取り上げられることとなり、国全体のモデル事業例ともなるなどという形となり、結果として、本県にとっても、これを実施することができたというわけであります。このような中山間地域の実情をとらまえた福祉を、我々として実行するとともに、また、国全体にもこのような提案を制度として、取り入れるように働きかけていかなければなりません。
 21年度予算において、あったかふれあいセンター以外にも、「ぬくもり」が感じられる政策を盛り込ましていただいております。障害福祉サービスの資源が少ない中山間地域等において、新たに送迎を伴うサービスを提供する小規模な事業所への助成を行うなどということ。これによって、障害者が身近な地域で必要なサービスを確保できるようにすることとか、これなども例でございます。また、中山間地域における集落の維持、再生のための支え合いを応援する補助事業なども、まさに「ぬくもり」にあたるものであると考えておるわけでございます。多様な形で、集いの場ができていくようにすること、そのことで、「ぬくもり」の感じられる高知の実情に合った、そして、持続可能な高知型福祉というもの追究していきたいと考える次第であります。
 次に、セーフティーネットで対応できない人たちに対する支え合いの仕組みとしての事業について。お尋ねがございました。坂本議員のお話にあります、地域の中にはさまざまな御事情から、制度の隙間に置かれている方々や、深刻な悩み事を抱えておられる方々がおられます。また、それをどこに相談していいか、わかられない方々もおられるものと思います。そういう場合には、まずは、身近な市町村や地域の福祉保健所に御相談をいただき、御事情や悩み事を聞かせていただければ、解決に向けて一緒に考えていくことができると。状況に応じて、適切な関係機関につなぐことができるというわけでございまして、まずは御相談をいただく、そして、御相談をいただけるようにする。そのような体制をいかにつくっていくかと、窓口をたくさんつくっていくということ、これが、県として大切なことだと考えておるわけでございます。
 そういうことから、来年度から、御相談を受ける体制づくりとしまして、引きこもりにあられる方々の社会参加を支援する、引きこもり地域支援センターや認知症の相談などに対応するコールセンターを、新たに設置するなどの取り組みを行ってまいります。あわせて、そうした方々を早期に発見し、このような相談を受ける体制にお導きするとか、そういうような仕組みづくりといたしまして、現在、民生児童員や市町村社会福祉協議会などが行っています、声かけ、見守り活動などを充実していきますとともに、先ほど来申し上げております、あったかふれあいセンターなども、そのような早期発見、そして、支え合いという場にもなり得るものと考えているところでございます。いずれにいたしましても、地域、地域で住民の皆さまが集い、交流する場づくりや支え合いの仕組みづくりに取り組み、人と人がつながり、ぬくもりが感じられる地域社会づくりと、こういうものを目指して、積極的に取り組んでいきたいと考えておる次第であります。
 次に、社会福祉施設の見直しに関しまして、新たなニーズにこたえるため、質的サービスの向上も含めて、どのように改善していくつもりかとのお尋ねございました。これまで、民間移管を進めてきた県立の社会福祉施設につきましては、効率的な施設運営や利用者ニーズの変化への対応などが十分できていなかったという課題があり、外部の委員による検討会を設置し、各各の施設の課題や運営主体のあり方、また、民間施設との役割分担などを十分に検討した上で、民間に移管することが適当であると判断したものでございます。
 移管した施設では、例えば、高齢者の施設では、グループホームやデイサービスなど在宅支援の新たな取り組みが始められていますし、障害者の施設においても、地域生活への移行や、医療機関などとの連携を強化した利用者の積極的な受け入れにも取り組むなど、利用者のニーズに応じた幅広い支援を行っていただいております。
 今後も、移管しました法人との協議を定期的に行いながら、移管後の状況を把握しますとともに、法人から提案のあった地域生活への移行のための支援や、よりの質の高い支援を行うための専門職員の配置などといったことを積極的に進めていただき、サービスの質の向上と新たなニーズへの対応を行っていただけるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、障害者自立支援法における利用者負担について、お尋ねがございました。障害者自立支援法に対する要望の中で最も大きなものは、これまでの所得に基づく応能負担から、原則利用したサービスの1割を負担する応益負担となり、多くの方の負担が増加したため、利用者負担のあり方を見直すべきではないかということだというふうに認識をいたしております。そのような声が上がる中、県では国に対し、利用者負担の軽減を始め、障害程度区分など制度上の課題について改善の要望を行うとともに、平成19年1月からは、在宅サービスや障害児施設の利用者負担の軽減といった県独自の取り組みを行ってまいりました。
 今回の障害者自立支援法の抜本的な見直しの中で、当事者や関係者の声を反映させる形で、利用者負担については定率負担から、原則所得に応じた応能負担に見直されることが検討されております。また、現在実施されています利用者負担の軽減措置は、平成21年度も継続し、資産要件の撤廃などにより、軽減措置を受ける範囲についても拡大するということが検討されておると承知をいたしております。
 県としては、こうした見直しの状況を注視してまいりたいと考えておりますけれども、その他にも、補装具に関する利用者負担の問題や、障害程度区分の見直しの内容が明らかでないなどの課題も残されておるところでございますので、今後とも利用者にとってよりよい制度となりますよう、関係の皆様のお声も十分お聞きして、国に対して積極的に働きかけを行っていきたいと、そのように考えております。
 次に、産業振興計画が具体化され、成果を上げ始めたとき、活発な経済活動の結果として得られる税収をどう活用していくのか。「攻め」の予算で獲得した財源は、今後の「ぬくもり」の政策拡充に充てるべきではないかとのお尋ねがありました。産業振興計画を着実に実行していくことにより、本県経済の体質が高まれば、県民の皆様の所得も向上し、税収の増加も期待されると思います。そうした税収の使途につきましては、その時々の課題に応じて、各年度の予算を編成する中で検討することになるわけでございますけれども、教育や福祉の分野につきましては、「ぬくもり」を大切に、引き続き今後も重点的な予算配分に努めていきたいと考えておりますし、またこれが、少子高齢化が進む、学力問題に、体力問題に課題を抱える本県にとっては、飛翔のコツであると考えております。
 次に、産業振興計画の具体化と進捗状況についての見える化を図るべきではないかとのお尋ねがございました。産業振興への取り組みをさらに成熟させ、全県的に広げていくためには、計画の進捗状況や成果を明らかにし、県民の皆様に関心を持っていただくことは大切なことだと考えております。そのため、策定の段階からできる限り数値目標を掲げることや、5W1Hを明らかにすることを意識してまいりました。
 新年度からは、実行段階に移りますけれども、その際には、PDCAによる進行の管理や課題の把握を行い、新たに設置いたします計画のフォローアップ委員会を通じて、取り組みの進捗状況を県民の皆様にわかりやすくお示ししたいと考えています。
 あわせまして、計画が具体化されている姿につきましても、地域産業振興官が中心となり、県内各地での取り組みの様子などを、地域の皆様に御紹介してまいりますとともに、県の広報誌や広報番組、県庁ホームページ上の政策トピックスの欄などを通じて、広く情報を発信してまいりたいと考えております。
 次に、財政的支援の内容と効果の検証について、第3者の検証委員会を設置してはどうかとのお尋ねがございました。まず、地域アクションプランの策定過程そのもの、この段階におきまして、市町村長や地域の関係団体の方々に入っていただくという公的なプロセスを経ております。コンプライアンス上の問題があるようなものは、計画の策定段階で排除されておるものと考えております。ただ、その上でなお、計画の実行段階におきましても、生産から販売まで支援をしていく新たな総合補助金の適用を行う場合などに当たりましては、お話のありました外部のアドバイザーの方々に、コンプライアンスや公益性の確保という視点に加えて、さらには、事業の確実性や実効性、さらには、地域への波及効果が高いか、本県産業の底上げにつながるかなどといった観点からも、専門家の視点で、査定を厳しく審査をしていただくことにしておるわけであります。
 さらに、新たに設けます県の執行管理室においても、コンプライアンスや費用対効果などの観点からの予算の執行をチェックすることといたしております。執行段階でも、二重のチェックをかけるということであります。
 その上でさらに、補助事業の実施後におきましても、地域アクションプランの進捗管理を行っていただく組織によりまして、補助事業を含む、個別具体の取り組みにつきましてPDCAサイクルを徹底し、その際、必要に応じ外部のアドバイザーも活用してまいりたいと考えておるわけであります。
 次に、地域支援の活用とまちづくりに関して、はりまや町一宮線の整備のあり方について、お尋ねがありました。はりまや町一宮線は、高知市北部地域と中心市街地を結ぶ延長約4.7キロメートルの都市計画道路であり、JR土讃線連続立体交差事業と合わせ、南北交通の円滑化に資する重要な幹線道路であります。また、この道路は、電車通りや産業道路などと一体となって、高知市の都心環状機能を担っており、中心部を通過する交通を減少させ、混雑を緩和することで、人が中心の高齢者の方々にも優しいまちづくりや、高知市が目指す中心市街地の活性化にも寄与するものと考えております。
 御指摘のありました将来の交通需要につきましては、平成17年度の道路交通センサスや19年度に行った高知都市圏のパーソントリップ調査の結果をもとに、今後都市圏全体の交通需要予測を行うこととしております。追手筋弥生町線から南側の区間につきましては、この需要予測に加えまして、北側区間が完成した後、平成22年度に実際の交通の流れを調査することとしておるわけであります。
 さらには、水辺を生かしたまちづくりや、高知市のまちづくりの方向性も踏まえて、整備のあり方について、総合的に判断してまいりたいと考えております。
 次に、教育課題と子育て支援について、教育問題を語るとき、子どもや子を持つ親としての県民に語りかけるつもりで話すところから、対話と課題の共有が始まるのではないかとのお尋ねございました。本県の教育の現実は、本当に危機的な状況であります。県民あげて、教育に取り組んでいくためにも、まずは、県民の皆様に今の厳しい状況やその根深い課題を御理解いただければならないとの強い思いを持っておるところであります。並みの状況ではございません。おとなたちが強い危機感を持つ必要があると考えておるわけであります。そういう思いを持って、教育問題について熱く話をさせていただいておるわけでございますけれども。学力問題についての危機感が行き渡り、何とかしなければならないとの思いが、教育関係者の皆様方にも満ち満ちて、具体的な行動が実際に行われるようになれば、私は完全に自然体となれるんだろうと思う次第でございます。
 だが、いずれにしても、御指摘のありましたとおり、子ども、私はいつも子どもがかわいそうだという話をし、大人の責務であるという話をしてきたところでございます。子どもたちを大切にしていかなければなりません。子どもをかわいいと思う、真にかわいいと思う気持ち、これを発言していくためにも、おとながしっかりがんばらなければならないとの思いでございますが、いずれにしても、TPOをわきまえた対応をしていきたいと、そのように考えております。
 次に、凡事を徹底するための基盤として、地域社会や家庭、学校との連携を図っていくことが必要ではないかとのお尋ねがございました。議員の御指摘のとおり、例えば、全国学力学習状況調査結果からも、子供の学力は、基本的生活習慣の定着や家庭学習の習慣化と深い相関関係があるということが見えてきております。
 このようなことから、県教育委員会では、これまでもPTAと協働しまして、基本的生活習慣の確立と生活リズムの向上を目的に、「早ね早おき朝ごはん」県民運動を推進してまいりました。本年度はさらに、高知家族強化月間を設定し、親子あるいは子供自らが家庭学習を含む基本的生活習慣の改善に取り組んでいるわけであります。その結果、およそ1万人の子ども達が、自らの生活を振り返るとともに、PTAや各家庭では子どもの学びを支援していく機運が、これまで以上に高まっているとお聞きをしております。
 また、小学校区では、放課後児童クラブや放課後子ども教室を活用した学びの場を提供し、中学校区では、地域ボランティアが学校の支援を行う、学校支援地域本部事業を16市町村でモデル的に実施をいたしました。
 このような取り組みによりまして、地域の学校に対する協力体制の整備が進み、子どもの学習意欲の向上などの効果もあらわれてきているのでないかと期待をいたしております。こうした取り組みを21年度以降、全県下に広げていきたいと考えておるわけでございます。こうした取り組み自体が、地域住民の皆様方との協働ということにもつながっていくのではないか。特に、学びの場への参加を促していく、こういうことが、ぜひ地域との結びつき、これにつながっていくのではないのかなと期待をいたしておるところでございます。
 さらなる、課題もございます。いろいろな取り組み、例えば、県内のおやじの会が中心となって取り組んでおられます、子ども達の安全を見守る運動などとか、こういう取り組み、こういうもののすそ野も広げていきたいというふうに考える次第であります。
 さらには、平成22年度に、本県で実施します全国生涯学習フェスティバルも一つの契機とし、また、教育の日の制定も含めまして、県民全体で教育にかかわる風土づくりを行ってまいりたいと考えておる次第であります。
 つぎに、今後の少子化対策、子育て支援について、お尋ねがありました。お話にありました貧困の問題が、学力や健康、子育て環境といったさまざまな面で、子どもに影響を及ぼしていることは、県としても重要な課題だと受けとめております。このため、県では、これまで県立学校での授業料の減免や、奨学金の貸与、乳幼児医療費への助成や一人親家庭への支援など、経済的な理由により子どもが教育や医療を受けられないといったことのないように、諸策展開を図ってまいりました。
 加えまして、来年度からは、第3子以降で、3歳未満児の保育料の軽減や無料化への支援及び就学前の第3子以降の乳幼児医療費の原則無料化、また、放課後の学びの場の拡大などにも取り組むこととしておるわけでございます。
 少子化対策・子育て支援特別委員会の最終報告でも御指摘をいただきましたが、確かに少子化の問題の根底には、経済政策と産業政策なども関連した課題があると考えております。こうしたことから、あったか高知雇用創出プラン等の緊急対策とともに、産業振興計画を着実に実行することで、経済の抜本的体質強化を図っていきたいと、そのように考えているところであります。
 いずれにしても、子どもを産み育てやすい高知県を実現するために、子供の貧困の問題も念頭に置きながらの対策が必要であると考えております。
 次に、高知医療センターの経営改善について、オリックス訪問時の資料について、お尋ねがございました。1月20日に、高知市長とオリックス本社の西名副社長を訪ねた際、オリックス側が作成した資料により説明を受けましたが、その資料は、オリックス側の考え方を主張するために作成された資料であり、その場ではオリックス側からの御説明をお聞きしたということでございます。
 なお、その会議資料につきましては、公営企業会計などの観点から過っている点がありましたので、後日、企業団からSPCに対し、指摘をしたとお聞きをしておるところであります。
 次に、SPCからの回答に対し、企業団が示した見解についてのお尋ねがございました。昨年12月9日のSPCからの回答書に対しましては、材料費や委託料の減額を含めたVFMの考え方などについて、企業団としての考え方を取りまとめ、先月16日に企業団からSPCに対し、見解をお示ししたところであります。この見解につきましては、企業団がSPCと今後協議を進めていくに当たり、SPCからの回答に対する企業団としての見解を示しておくことが必要であると考え、PFI事業の経緯やPFI事業契約書などをもとに、VFMの考え方などについて、現時点で企業団の見解を示したものであり、県としても妥当なものであると受けとめております。
 次に、先の企業団議会において採択された附帯決議についての受けとめについて、お尋ねがございました。高知医療センターは、県内の救急医療や高度医療を担い、県民の命を守る重要な役割を持った基幹病院であります。県にとりましても、また、高知市にとりましても、なくてはならない重要な医療機関であります。高知医療センターの経営改善につきましては、そうした重要な役割を担っている高知医療センターの医療体制や職員の士気に影響を及ぼさないように十分配慮しながら、進めていかなればならないと考えております。そうした意味からも、先日、企業団議会で採択されました附帯決議につきましては、企業団も重く受けとめていると思いますし、構成団体である県としても、大変重く受けとめております。
 今後行われます、企業団とSPCとの協議において、企業団は附帯決議を踏まえ、早期の経営改善に向け、精力的に取り組むものと思いますし、県も構成団体として、企業団とともに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県警の捜査費について、お尋ねがございました。未曾有の経済危機の中で、全国的に急激な治安の悪化が懸念されております。実際に、景気が一時的に悪化した平成13年から15年にかけて、全国の刑法犯の認知件数が増加しており、本県でもほぼ同様の傾向が見られるわけであります。昨年との大きな違い、これは、昨年の秋以降、急激に悪化した景気の状況でございます。この状況にかんがみ、捜査費を、治安の悪化を懸念し、それに対応し得るものとして、捜査費を増額することとしたわけでございます。1,500万円という金額については、景気が本格的に悪化し始めた平成19年度、20年度の執行状況などから見て、妥当な金額であると判断したものでございます。
 私からは、以上でございます。
◎政策企画部長(千葉健君) 産業振興計画に関連しまして、地域アクションプランの目標数値と産業成長戦略の目標との整合性について、お尋ねがありました。今回の計画づくりでは、産業成長戦略、地域アクションプランともに、具体的な成果に結びつき、その到達度が把握できるようにいたしますために、できる限り、数値目標をあげることに努めてまいりました。目標の設定に関しましては、産業成長戦略では、おおむね、10年先の中長期的な視点に立ちながら、短期的に目指すべき姿として、平成23年度末の目標をあげておりまして、地域アクションプランでは、現時点での取り組みの熟度が高いものを中心に、平成23年度末の目標をあげております。
 ともに、密接に関連はいたしますが、産業成長戦略の目標は、県全体で取り組むさまざまな施策の目標値や目指す姿をあらわすものですし、一方、地域アクションプランの方は、個別の取り組みの成果としてあらわす目標値ですので、地域アクションプランの目標の積み上げは、成長戦略の目標の一部をなすものとの位置づけでございます。
 次に、地域アクションプランのローリングのあり方として、県民の皆様の御提案や参加方式、機運を高めるための仕掛けについて、お尋ねがございました。計画を実効あるものにしていくためには、計画のローリングを進めてまいります中で、県民の皆様にできるだけ多く参画していただくように、取り組んでいく必要があります。そのため、県民の皆様からの新たな御提案や事業化への取り組みをサポートする窓口として、産業振興推進地域本部を各地域に配置し、統括責任者として、地域産業振興官を配置しまして、地域支援企画員や出先機関の職員とともに、積極的に地域の声を拾っていくことにしております。
 このほか、県の関係機関や市町村に加え、生産者や商工業者の方々など、民間の皆様にもお入りいただく、地域資源活用共有会議も立ち上げ、新たな取り組みの掘り起こしにつなげることとしております。
 また、県民の皆様に、計画についてより知っていただくことも重要です。知事からもお答えいたしましたように、各地での取り組みの様子など、広報誌や広報番組、ホームページなどを通じまして、広く情報発信し、御意見や御提案をいただくこととしております。こうしたことを通じまして、地域アクションプランのローリングにあわせまして、県民の皆様に御提案の機会を設けますとともに、実際の取り組みの過程や成果などを見えるようにすることによりまして、自らも取り組んでみようという意識を持っていただけるようにしたいと思っておりますし、一つでも多く新たな取り組みにつながっていくよう、積極的に取り組んでまいります。
 次に、商品開発を技術面から支援していくための窓口を顕在化する、わかりやすくすることについて、お尋ねがございました。地域アクションプランの中でも、商品開発にかかる技術面からの支援につきましては、県内の各ブロックに新たに配置します地域産業振興官が県の一元的な窓口となって、御相談をお受けすることにしております。
 具体的には、出先機関や地域支援企画員で構成します、産業振興推進地域本部、先ほど申し上げたものですが、これを統括して、地域アクションプランにかかる県民の皆様からの御相談への対応や、個別の事業プランごとの計画づくりから、実行までをワンストップで支援することにしております。その際、必要に応じて、県の試験研究機関や外部の専門家を活用した支援体制の構築や新たに設けます総合補助金の活用などを通じて、県民の皆様の活動を技術面からもサポートしてまいります。
 まずは、こうした支援制度や相談窓口がどこなのかといったことを、県民の皆様に知っていただくことが重要になりますので、地域支援企画員などが地域に入って御説明することはもちろん、地域資源活用共有会議の場などを通じまして、業界団体や企業の皆様にもお知らせしてまいります。加えて、県の広報や市町村の広報など、あらゆる機会を活用していきたいと考えております。
◎商工労働部長(岡村孝雄君) 雇用政策についての御質問にお答えいたします。まず、緊急雇用創出臨時特例基金事業による臨時的雇用者を、次の仕事につなげることが必要ではないかとのお尋ねがありました。緊急雇用創出臨時特例基金事業は、厳しい雇用情勢の中で、離職を余儀なくされた失業者に対して、次の雇用を見つけるまでのつなぎとしての雇用、就業機会を提供する事業ですので、就労期間は原則6カ月未満となっています。こうした方々には、6カ月の間にハローワークでの職業紹介などを活用して、次の仕事を見つけていただくことになりますが、県といたしましても、ジョブカフェ高知や本日開始いたしましたハローワークジョブセンターはりまやで、きめ細かな就職相談を行うなど、再就職を支援していきたいと考えています。
 また、この期間中に就職先を確保できなかった方々には、IT技術の習得や介護福祉士資格などを目的としました職業訓練制度もあり、来年度は定員を大幅に拡大することとしていますので、こうした制度も活用し、安定した仕事に早期についていただけるよう、ハローワークなどと連携して、支援してまいります。
 次に、2月から雇用した県の臨時職員の4月以降に向けた就労支援についてのお尋ねがありました。お尋ねのありました臨時職員につきましては、厳しい雇用情勢の中で緊急的に採用を行ったもので、3月末に採用期間が満了することとなります。こうした方々への就労支援につきましては、先ほど申し上げました6カ月の臨時的雇用の方と同様に、ハローワークでの職業紹介、ジョブカフェ高知などを活用した就職支援を行うことになりますが、あわせて、就職のための支援の仕組みですとか、また、この4月からは、緊急雇用を始め、基金事業による求人も始まりますので、このような求人に関する情報などもお知らせし、就職に役立てていただきたいというふうに考えております。
 次に、二つの基金事業の改善に向けて、どのような視点で働きかけていくか、お尋ねがありました。二つの基金事業につきましては、午前中に、知事が、武石議員にお答えいたしましたように、全国知事会を通じた要望活動の結果、事業費に占める人件費割合が緩和されるなど、要望に沿った見直しが行われました。現在、商工労働部では、国に提出する3カ年の事業計画を取りまとめるため、県の関係課や市町村とのヒアリングを行っているところでございますが、こうしたヒアリングを始め、今後、実際に事業を進めていく中で、関係の方々から、幅広くこの事業に対する御意見や御提案をお聞きし、制度の課題や運用上の問題点などを把握してまいりたいと考えております。
 そうした中で、より使い勝手がよく、地域の創意工夫が生かせるような制度となりますよう、国に対し必要な要望を行っていきたいと考えております。
 次に、年度末を控え、新たな雇用契約を結ばないことが予想される企業があるのか、その対策を講じておく必要があるのではないかとのお尋ねがありました。全国的に事業の縮小や円高の影響により、急激に企業業績が悪化しておりますが、厚生労働省の発表では、2月18日時点で、非正規労働者の雇いどめは、年度末までに、全国で15万8,000人と見込まれております。その中で、本県は、前回の173人が、今回183人と増加しております。
 また、県内でも、企業における生産調整などの動きが広がっているといったこともあり、今回の議員御指摘のような派遣社員の雇いどめなどの事例が、今後増加することを懸念をしております。
 こうした状況を踏まえまして、国では、雇用調整助成金制度を見直しておりまして、昨年12月から、中小企業への助成率を3分の2から、5分の4に引き上げるとともに、派遣労働者を助成の対象に加えるなど、制度改正を行っております。県といたしましては、今後一層厳しい雇用情勢が見込まれることから、高知労働局と連携して、企業の雇用調整助成金の一層の利用促進に向けて、制度の周知に努めますとともに、引き続き県内の主立った企業を訪問いたしまして、雇用の安定維持について要請活動を行っていきたいと考えております。
 次に、地震防災対策についての質問のうち、高知発防災産業を真剣に考えてみる必要があるのではないかとのお尋ねがありました。南海地震に対するさまざまな取り組みによりまして、県民の防災意識も高まってきておりますので、県といたしましても防災に関連するビジネスに着目し、企業の取り組みを応援してまいりました。具体的には、太陽光発電を利用した停電時でも使用可能な避難誘導灯や、停電時に機能する照明器具、津波避難シェルター、耐震の鉄骨工法など、本県発の技術を生かした製品を、高知県モデル発注制度を始め、がんばる企業総合支援事業、地場産業大賞といった産業振興施策の中で、支援を行ってきております。
 ただ、現状では、防災用品などはベンチャー企業などが中心となって展開しているニッチなビジネスが多いのが実情であり、大きな市場形成には至っていないこと、また、普及している防災関連用品は、日常的に使用される商品や製品への付加機能として商品化されている事例が多いことから、防災のみに特化した産業育成は、現時点ではハードルが高いのではないかと思っております。
 こうしたところから、防災産業につきましては、今回の産業振興計画の中に取り上げるところまでには至っておりませんが、お話がありました点は大切に受けとめまして、今後、県内での事例や先進県の取り組みも参考としながら、防災産業について研究をしてまいりたいと考えております。
◎健康福祉部長(畠中伸介君) 障害者雇用の現状についての御質問にお答えします。障害者の雇用を取り巻く環境は、急激な景気の低迷を受けて、その厳しさを増しており、平成20年度下半期の県内の障害者の解雇者数は、前年同時期の7人を大幅に上回ることが予想されています。
 こうした状況を受けて、国では、ハローワークに障害者専門支援員を増員しますとともに、障害者雇用の維持及び雇用機会の拡大を図るため、経済団体、個別企業への障害者雇用の維持、拡大の要請や、離職者に対する早期再就職への支援などの取り組みを行っているところです。
 県としましては、こうした国の動きを踏まえ、ハローワークを始めとする関係機関との提携を一層強めながら、障害者就業生活支援センターでの個別支援の強化や、企業における職場訓練の実施、また、雇用主への障害者雇用に関する啓発など、障害者雇用の維持確保に向けて、積極的に取り組むこととしております。
 次に、療育福祉センターに関しまして、利用者の満足度の確保と、診療所化した後の看護体制について、お尋ねがありました。療育福祉センターにつきましては、自閉症などの発達障害にある子どもさんの利用が増加する一方で、肢体不自由児施設の利用が減少するなど、利用形態と利用者ニーズが大きく変化しております。そうした中、肢体不自由児施設につきましては、昨年の3月から今後のあり方を考える会を立ち上げ、これからの肢体不自由児に対する支援や医療機能のあり方などを検討してまいりましたが、医師確保などの問題もあり、この4月から診療所化することにしています。診療所化しましても、民間病院との連携などにより、肢体不自由児に対する医療は確保しますし、現在入院されている子どもさんの利用や、外来診療の継続といったことにつきましては、保護者の方にも個別の面談などを通じて、説明をさせていただいております。
 また、利用者のニーズは、施設から在宅へと変化していますので、新たに、就学前の肢体不自由児を対象とした、通園事業を実施するほか、地域の医療機関と協力しながら、より身近な地域で療育訓練が受けられる体制づくりなど、在宅支援の取り組みを強化していきたいと考えています。
 御指摘にありました今後の看護体制につきましては、当面、これまでの体制を維持してまいりますが、保護者の御意見をはじめ、現場の職員の声も聞きながら、必要な見直しを行っていきたいと考えています。
 次に、療養病床の再編成に伴う医療救急体制の確保について、お尋ねがありました。救急医療体制を維持していくためには、救急救命センターなどの救急医療機関が、救急患者の受け入れを確実に行えるよう、救急医療機関において、急性期の治療を終えた患者さんが、回復期や維持期の医療を担う医療機関に転院し、病状に応じた適切な医療を受けることができる体制を確保することが必要です。
 このため、県としましては、昨年度策定しました保健医療計画に基づき、脳卒中や急性心筋梗塞などの急性期医療を担う医療機関の連携体制の整備を支援することにしています。また、急性期から回復期、維持期の医療を担う医療機関への円滑な移行を強化する、地域連携クリニカルパスを推進し、適切な医療が切れ目なく提供され、早期に在宅復帰できる効率的で質の高い医療が提供される体制の整備を進めています。
 療養病床は、急性期医療を担う医療機関からの受け入れや、在宅等で容体が急変した患者さんを受け入れる役割を担っています。しかし、現在の療養病床には、医療の必要性の低い方が50%程度入院しており、維持期の医療が必要な方と介護保健施設等のサービスがふさわしい方が混在しているため、利用者の状態に応じた適切なサービスが提供されるよう、再編成の取り組みを進めているところです。
 また、地域ケア体制の整備につきましては、施設の転換支援に加え、急性期から在宅への切れ目のない医療サービスを提供し、高齢者の在宅での支援体制の構築に向けて実施する事業について、助成を行っているところです。
 療養病床の再編に当りましては、療養病床が果たすべき役割を十分に考慮し、地域の医療や介護施設のバランスを図りながら、救急医療体制への影響を与えることのないよう、また、行き場のない入院患者さんを出さないよう取り組んでまいりたいと考えています。
 次に、高知医療センターへの精神科病棟整備の建築設計について、コスト面を念頭に置いて取り組むべきとのお尋ねがありました。高知医療センターへの精神科病棟整備につきましては、公立病院として果たすべき役割を踏まえて、必要な機能を確保することを基本にしながらも、建設費のコストをできる限り抑制することは、議員御指摘のとおり、当然のことだと思っております。来年度実施することにしています基本設計では、本体と共用可能なものは共用を図るなど、病院企業団と十分に協議し、効率的な設計となるように取り組んでまいります。
◎総務部長(恩田馨君) まず、来年度の組織改正に関しまして、産業振興推進本部におけます産業振興推進部と関係する部との関係について、また、産業振興推進地域本部におけます地域産業振興官との関係する出先機関の所長との関係、これらの出先機関の業務の進め方につきまして、お尋ねがございました。関連する質問でございますので、あわせてお答えさせていただきます。
 来年度の組織改正におきましては、部局の枠を超えまして、産業振興計画を推進するために、知事を本部長といたします産業振興推進本部を設けまして、その強力なエンジンとして、産業振興推進部を設置することとしております。産業振興推進部は、関係いたします各部との情報の共有、連携を図りながら、これらの部に対します総合調整を行うとともに、必要に応じまして、職員の兼務発令を行いますなど、県庁が一丸となりまして、産業振興計画を着実に実行できるよう、指導的な対応を図ることとしたいと考えております。
 また、地域におけます産業振興計画のマネジメントを行いますため、安芸、物部川、嶺北、仁淀川、高幡、幡多の六つのブロックに、産業振興推進地域本部を統括いたします地域産業振興官を配置することとしております。
 地域産業振興官は、この地域本部の本部長といたしまして、農業振興センター、林業事務所、漁業指導所など、地域本部を構成する出先機関を統括するとともに、関係機関との調整を行うこととなりますので、副部長級の職員を配置いたしまして、地域アクションプランの進行の管理、実行の支援をしっかりと行っていきたいと考えているところでございます。
 その際には農業者、林業者、漁業者や団体の皆様と県が携えて、官民共同で取り組むことが大切でございますので、従来からの業務とあわせまして、信頼をいただけるしっかりとした業務の進め方をしていきたいと考えているところでございます。
 次に、今後のアウトソーシングの進め方につきまして、お尋ねがございました。県業務のアウトソーシングの取り組みでは、平成20年4月までの3年間で知事部局の1,260人役に相当する業務をアウトソーシング、または廃止、縮小することを目的に掲げたところでございます。
 この数値目標は、アウトソーシングという新しい取り組みをすることを契機に、従来の県庁の仕事を大きく見直すという意識を全庁で共有する必要がございましたので、一定のめどを示したものであり、このことによりまして、一定の成果があったものと受けとめておるところでございます。
 ただ、一方で、一律に数値枠を進めてきたことによります試行錯誤の結果、労働者派遣によりますアウトソーシング業務の見直しをするなど、幾つかの課題もあると認識しておるところでございます。
 これからますます多様化していきます公共サービスへの要請にこたえていきますために、民間との協働で支え合っていくという仕組みが必要でございます。アウトソーシングはその仕組みにつながる有効な手段であると考えておるところでございます。
 このため、アウトソーシングの次期方針をつくる際に、来年度、行政改革プランを練り直す中で、これまでの成果でございますとか、課題について十分に踏まえまして、具体的な方針を明らかにしていきたいと考えておるところでございます。
 次に、アウトソーシングに関しまして、第三者によります評価と労働条件の検証についてお尋ねがございました。先般取りまとめましたアウトソーシングの3年間の総括は、アウトソーシング業務の品質管理の結果や職員のアウトソーシングに対します評価、さらにアウトソーシングを受託された事業者の所感などに基づき取りまとめたものでございます。
 今回は、確かに自己評価が中心となっておるところでございますので、外部の視点によります評価も大切であると感じておるところでございます。このために、来年度に行います、先ほど申し上げましたが、行政改革プランの再検討の中で、総括に対して民間の有識者の方々の御意見も十分にちょうだいしたいと考えておるところでございます。
 また、アウトソーシング先の労働条件の検証に際しましては、今年度から雇用の効果調査を実施し、雇用の形態や労働時間、新規雇用者の人数などの調査を始めておるところでございます。
 さらに詳細な労働条件を調べますことは、受託者の経営情報やアウトソーシング業務に従事する方々の個人情報を過度に収集することにつながる懸念がございますので、この点に関しましては、国との協議も重ねつつ、慎重に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
◎教育長(中澤卓史君) 教育に関する御質問のうち、放課後における子供たちの学び場の保障による支援効果について、お尋ねがございました。平成21年度に重点的に取り組みます放課後改革では、小学生を対象とした放課後児童クラブや放課後子供教室をすべての小学校区に設置しますとともに、それらの場で学習活動を強化するため、図書や教材の整備をしたり、学習アドバイザーを配置するなどの学習環境を充実してまいります。また、新たに設置をします中学生を対象とした放課後学習室では、個別指導による基礎基本の定着と家庭学習の習慣化を図り、自主学習へつなげるよう支援してまいります。放課後、学びの場を保障するだけで学力問題が解決できるものではございませんけれども、児童生徒の基本的な生活習慣や学習習慣を形成するためには、家庭の経済状況の格差によらず、すべての子供たちが参加できる放課後の学び場を早急に整備をしまして、家庭の教育環境を補完することが必要だとの考えで、取り組んでいるものでございます。
 次に、高知市への緊急支援事業における中学校学力向上補助員や、放課後学習支援員と学級担任や教科担任との連携についてのお尋ねがございました。御指摘のとおり、今回、高知市の中学校に配置を予定しております中学校学力向上補助員や放課後学習支援員と、学級担任や教科担任との間には緊密な連携が必要でございます。互いが自らの役割を明確に自覚した上で、各教職員の協力体制があってこそ、こういった人的配置の効果が一層高まり、生徒への学習支援も強化されると考えております。
 高知市教育委員会におきましても、学校長に対しまして、補助員や支援員を含めたすべての教職員が相互に連携、協力していくことの必要性を十分に説明をしております。また、これを受けて、各学校では生徒への学習支援の仕方などについて協議をします、支援会議を開催をしまして、補助員や支援員を含めたすべての教職員が学習指導、支援の方針を共通に理解して、一体的に取り組むことになってございます。
◎危機管理部長(中村文雄君) 地震防災対策についての御質問にお答えします。まず、高知県南海地震対策行動計画の見直しに関してのお尋ねがありました。今回作成しました行動計画は、南海地震に備えるため、県民の皆様の自助共助の取り組みへの支援など、平成21年度からの今後6年間に県が進めるべき対策や目標などを定めた大変重要な計画と考えています。このため、県の組織をあげてしっかりと取り組み、その進捗状況につきましては、毎年7月ごろには公表したいと考えています。
 また、平成23年度には、前期の3年間の取り組みの状況を検証し、平成24年度からの後期の3年間において、さらに実効性の高い取り組みや新たな課題への対応などが行えますよう、計画を見直していきます。
 お尋ねがありました見直しの方法につきましては、今回の計画策定に当たって行いました有識者などによる検討会の設置や、市町村と消防機関を対象としたブロック別説明会の開催、県民の皆様への意見募集などの仕組みも念頭におきまして、今後具体的な枠組みを検討していきたいと考えています。
 また、先ほど申し上げました行動計画は毎年点検し公表することとしていますが、きめ細かくフォローアップをしていく中で、取り組みがうまく進まないものなどについては、実施方法の見直しや検討チームの設置、さらには、次の年度への予算化の調整などを行うなど、速やかな対応を行ってまいります。
 次に、自主防災組織の組織化の取り組みについて、お尋ねがありました。次の南海地震による県内全域での被害想定や、阪神淡路大震災などの教訓などから、自助とあわせ、地域の力で生き延びるための共助のかなめであります、地域の自主防災組織が早期に立ち上がりますよう、津波浸水区域では平成19年度末までに、県内全域では平成21年度末までに、組織化率100%の目標を立てて、市町村とともに取り組みを進めています。
 本年度末には、津波浸水地域で63%余り、県内全域で59%余りとなる見通しですが、既に100%となる市町村が見られる一方で、高知市などの市街地域や中山間地域の一部で組織化がおくれています。この背景としては、市街地では自主防災活動に関する住民の理解や、地域共同体としての住民意識が希薄となってきていること。中山間地域では、昭和南海地震での被害が比較的少なかったことや、津波による被害が心配されないことなどから、次の南海地震に対する危機意識が十分浸透していないことのほか、行政としての支援体制が必ずしも十分でないことなどが挙げられます。
 しかしながら、年々南海地震発生の懸念が高まる中で、津波避難対策や地域の孤立対策、さらには災害時要援護者への支援などの取り組みを進めていくためには、地域で自主防災組織を立ち上げることが重要であることから、改めて行動計画に目標を掲げ、取り組むこととしました。
 特に、人口が集中しています高知市の取り組みが重要となってきますが、高知市においては、昨年7月に南海地震対策の中長期計画を定め、自主防災組織の組織化率の目標を設定し、取り組みを進めており、県としても重点的に支援していくことや、中山間地域では、平時の豪雨災害などでも組織化の必要性の周知を図るなど、市町村とより連携を深めながら、平成26年度末までに、自主防災組織を県内全域で組織化できるよう、全力で取り組んでいきます。
 次に、耐震シェルターなどの簡易な安全対策についての一連のお尋ねに、あわせてお答えいたします。南海地震の大きな揺れから命を守るためには、住宅の耐震化を図ることが基本と考えています。しかしながら、耐震化の費用を捻出することが困難な場合などもありますので、県民の皆様の命を守るための方法の一つとして、行動計画の中に、耐震シェルターなどの簡易な安全対策を検討することを盛り込みました。
 今後、議員からお話のありました東京都の事例なども参考にしながら、土木部などの関係部局や市町村とともに、効果的な支援の仕組みやその対象などについて、検討をしてまいります。
 次に、新型インフルエンザ対策への対応や取り組みについてお尋ねがありました。県では、新型インフルエンザの発生に対応するため、平成17年に新型高病原性鳥インフルエンザ対策推進本部を立ち上げ、国の行動計画に対応した高知県新型インフルエンザ対策行動計画を策定し、県民への情報提供や注意喚起、協力医療機関の指定や抗インフルエンザウイルス薬の備蓄などに取り組んできました。
 こうした中、国ではこれまでの新型インフルエンザ発生の阻止の対策から、大流行を想定した対策に転換し、感染拡大を可能な限り抑制し、健康被害を最小限にとどめること、社会経済を破綻させないことの2点を主たる目的として、本年2月17日に新たな国の行動計画や各種のガイドラインを示しました。
 このため、庁内各部局はもちろんのこと、市町村などの関係機関や外部の有識者などからも御意見をいただきながら、来年度の早い段階で県版の行動計画の見直しを行います。あわせて、対応マニュアルの見直しや地域の医療体制の構築などのほか、県の対応体制の整備など、国のガイドラインに沿った実効性の高い対策を進めていきたいと考えています。
 また、こうした対策を進めていく上で法制面など、さまざまな課題もありますが、何よりも新型インフルエンザに対する県民の皆様の御理解や御協力、さらには市町村などの関係機関との情報共有が必要となります。このため、健康福祉部などと連携しながら、この2月には県内5ブロックで、市町村などに説明会を行ったところです。
 引き続き、関係機関との一層緊密な連携を図っていきますとともに、来年度には、県民の皆様に、新型インフルエンザの御理解とその備えや適切な対応をしていただきますように、講演会の開催やパンフレットなどによりまして、啓発に取り組みたいと考えています。
◎公営企業局長(長瀬順一君) 安芸地域の県立病院の整備に関し、コスト面を念頭においた建築設計の取り組みについてお尋ねがございました。
 新しい病院は、地域の中核病院として必要な医療機能を備えた病院でありながらも、建設費などの初期投資を可能な限り縮減することはもとより、維持経費にも十分配慮をしまして、コンパクトで良質な病院を目指して整備することとしております。
 そのため、来年度に行う予定の基本設計業者を選定しますプロポーザルにおいて、建築から廃棄に至るまでのライフサイクルコストに対する考え方を引き出すとともに、基本設計に当たりましても、設計業者から積極的に提案を求め、コスト縮減に取り組んでまいります。
◎警察本部長(平井興宣君) 捜査費関連予算の御質問にお答えします。まず、捜査に支障が出ているとの意見についてですが、平成18年度からこの3年間、捜査費の予算は900万円であります。執行額は、平成18年度がボトムで528万8,722円でしたが、平成19年度からは増加に転じ、前年度比19.6%増の632万2,974円となっております。特に、平成20年度は、1月末現在で対前年度比48.6%と、大幅に執行額が増加しており、このまま推移すれば当初予算の900万円を超えるような状況になるところでございます。
 県警としましても、こうした状況が続けば、犯罪捜査等に支障が生じかねないのではないかと危惧しているところであります。
 次に、必要な捜査費を使える環境とはどういうことを意味するかとの御質問について、お答えいたします。犯罪捜査等のために必要があるときは、捜査費を適正かつ積極的に執行しなければなりませんが、警察の不適正経理問題が大きく取り上げられるようになったこと等を背景に、一部捜査員の中には、捜査費の執行をためらう状況が認められたところであります。
 そのため、県警におきましては、監査の充実や指導教養の徹底を図りつつ、現場のニーズに即した対応のため、捜査員のための捜査費経理相談窓口を開設するなどの措置を講じてきたところであります。その結果、現実に捜査費の執行額が増加しており、捜査員が必要な捜査費を、適正かつ積極的に執行する環境が整ってきたものと認識しているところであります。
 次に、仁淀川町のスクールバスと白バイの衝突事故についての御質問にお答えいたします。本件につきましては、当時、厳正な捜査を行い、その結果を検察庁に送致しております。その結果は、高知地方裁判所、高松高等裁判所において、警察、検察側の主張が認められており、さらに、最高裁判所で上告が棄却、判決が確定したものでありまして、そのような認識を持っているものでございます。
 高知地検が行った再捜査に協力した内容について、御質問がありました。県警として検察庁の捜査に関し、必要な協力はいたしておりますが、検察庁の捜査等でもあり、具体的な内容については、回答を控えさせていただきます。
 次に、衝突実験を行い、多くの疑問になぜ答えないのかとの御質問についてでございますが、先ほど述べましたとおり、本件死亡事故の争点については、ブレーキ痕を含め、既に地裁、高裁において審理を尽くされたものと認識しております。
 次に、当事者の一方が警察職員である場合における交通事故捜査のあり方についての御質問と思いますが、今後も、正確かつ綿密な実況見分や現場鑑識活動による客観的な証拠に基づき、厳正な捜査をしてまいりたいと考えております。
◎公安委員長(近森正幸君) まず、取調監督制度の試験運用について、御質問がありました。取調監督制度につきましては、本年4月1日から施行されます。被疑者取り調べ適正化のための、監督に関する国家公安委員会規則に基づき、新たに導入される制度であり、県警察では規則の施行後、当初予期し得なかった運用上の課題や、改善すべき事項等が出てくることがあり得ること、また、その趣旨、内容等を職員に周知する必要があることから、昨年9月、警察本部と高知署、佐川署を皮切りに、順次試験運用を開始し、現在、警察本部と県下すべての警察署において試験運用を行っていることについては、公安委員会で報告を受け、承知しております。
 御質問のありました、問題点と試験運用の結果については、現在試験運用中でもあり、詳細の報告は受けておりませんが、県警察では新たな制度であり、職員一人一人に周知、徹底されることを重要な課題として挙げ、指導、研修等に組織をあげて取り組んでいるところであり、公安委員会としては、規則の施行に向けて、誠心誠意、指導しております。
 次に、広く第3者による検証を可能にすることで、監督制度としての取り調べの適正化が図られるのではないかとの御質問がありました。取り調べに関する監督については、これまで捜査を担当する部門において、犯罪捜査と取り調べの適正化を行ってきたところでありますが、今後は、捜査と関係ない部門がチェックを行い、取り調べの適正化を図ろうとするものです。県警察におきましても、刑務部門の警察官を取り調べ監督官に指名し、被疑者取り調べの監督を行っており、捜査と監督の分離を図ることによって、取り調べの適正化に向け効果が上がるものと期待しております。いずれにしましても、公安委員会といたしましては、取り調べの適正化に向けた施策を迅速かつ着実に進めるよう、県警察を指導してまいりたいと考えております。
 次に、録音、録画による可視化にも早急に踏み出すべきと考えるが、どうか、との御質問がありました。取り調べの一部録音、録画につきましては、昨年7月から警視庁、大阪など、一部の都府県警察において試行運用が開始されており、本年4月以降、全国の警察においても試行運用がされるものと承知しております。しかしながら、取り調べの一部にとどまらず、全部を録音、録画により、記録すべきではないかという、いわゆる取り調べ可視化論については、例えば、暴力団による組織犯罪の被疑者の取り調べにおいては、その供述のすべてが明らかになる状況下で、組織の一員である組員から、組幹部の事件への関与、組織的背景等についての供述が得られるのかなどの問題点があります。全面可視化となれば、取り調べの機能が大きく阻害されることとなり、ひいては被疑者の検挙や、事案の真相解明を著しく困難にするなど、捜査活動に大きな影響を及ぼすものと懸念しており、慎重な検討が必要ではないかと考えております。
 次に、当事者の一方が警察職員である場合における、交通事故捜査のあり方についての御質問がありました。警察の捜査においては、これまでと同様、厳正、公平な捜査をしていくよう求めたいと思っております。
 以上でございます。
◎30番(坂本茂雄君) それぞれの御答弁、ありがとうございました。幾つか再質問させてください。
 まず一つは、アウトソーシング関係で、総務部長。それぞれに言うて、いろいろ私も納得いかない面はあるんですが、一つだけお聞きします。個人情報を、過度に収集すると。いわゆる、派遣先の労働者の労働条件について調査するということが、そういうことに当たるんだと。だから、国との協議をしながら今後検討していきたいということなんですけども、どういう面で国と協議をしなければならないのか、その辺についてお聞きしたいのが一点です。
 もう一点は、今度は知事にですが、医療センターの関係です。当初、オリックスに出向かれた後の知事のコメントには、若干、私は心配している面が実はあったんですけども、今聞いてみると、企業団と共通の認識にあるというようなことが明確にされました。今後、私が最も御要望しておきたいのは、今後の協議の中で、さまざまな対応が考えられると思います。そういう中で、ぜひ、県、市、そして企業団、ここは決して、経営面や、あるいは安心して提供できる医療体制の維持、こういうことについて、県民にリスクを負わせないように、このことを最優先に考えながら、ぜひ協議を、一致団結して協議をしていただきたいなというふうに考えているということですが、その点について、どうお考えかということをお聞きしたいと思います。
 もう一点、今度は捜査費関係ですが、これは知事の答弁に対してお聞きします、一つは。先ほど、お話の中で、13年度から15年度の状況のことを例に挙げられたというふうに思うんですけれども、実は、13年、14年、15年、それぞれ見ても、13年の決算額は1,200万円弱、14年が1,100万円弱、15年は750万円ちょいというような執行額なんですね。それから行くと、この1,500万円というのが、その当時と同じようないろんな意味での経済的な背景とか、そういうことも踏まえて、比較対象としての時期として適当なのかどうかということを、私はちょっと納得がいきませんので、その点について、どうお考えなのかということをお聞きしたいということです。そういう意味でいけば、新聞の報道によりますと、昨年、会計課長が取材に答えて、もう一つ言ってることは、年度途中で補正しづらい性格の予算で、ある程度の手持ちも必要だというふうに説明しておるということは、これは補正は不可能なことなんですか。その点について、まず知事にお聞きしたいと思います。これについては、適正な執行による不足によるものであれば補正も可能というふうに、私は判断できるんですけれども、補正が不可能な項目なのかどうかということについて、お聞きをしたいというふうに思います。
 それと、先ほど、県警本部長は、私は業務に支障が出ているということについての理由について、一つは検挙率の推移も含めて説明してくれという質問をしたと思うんですけれども、そのことについては一切触れられなかったように思います。答弁漏れではないかと思いますので、御答弁いただきたいというふうに思います。
 それともう一つ、使える環境というのは、執行をためらっていた状況から、執行をためらわなくなったというふうに、警察本部内ではそういうふうな意識になったということなのかどうかということをお聞きしたいと思います。この項は、本来であれば、お隣の監査委員長にもお聞きしたかったんですけども、通告をしておりませんでしたので、今回は質問をしないことにしたいと思います。
 それで、もう一つ、仁淀川町のスクールバスと白バイの衝突事故についてでありますけれども、これにつきまして、これもちょっと質問に対する答弁漏れではないかというふうに私は思うんですけれども、私が聞いたのは、一方的な報道ばかりで困惑していると、大半は全然違うというふうに、県警察職員が電話で答えているけれども、本当にそういうふうに考えているのか聞くということに対して、明確にお答えはなかったと思うんですが、ただ、答弁の中で、そのような認識をしているという言葉が、ひょっとあったかと思いますが、もしそのような認識をしているということが、私が聞いたことに対する答弁であれば、そういうことであったかどうかということは、明確にしていただきたいなというふうに思います。
 実は、お別れ遠足で、このスクールバスに乗っていた当時の中学生の生徒たちは、昨日、高校を卒業しました。よく、真実は一つというふうに言われておりますけれども、彼、彼女らは、真実は一つでないという疑問を一生抱えたまま成長していくこと、そのことを私は、実は心配もしております。先ほど言いました、一部マスコミは一方的な報道ばかりで困惑していると、大半は全然違うというように答えていたり、あるいはやりとりの中で、生徒や校長先生はうそをついたんですかというふうに聞くと、そこは言葉を濁すだけで、じっと言葉を濁すだけなわけですね、やりとりの中で。そういう意味で、もし事実と違うことが報道されているのであれば、なぜ、その報道機関を訴えるなどの法的手段に出ないのか、そこのところについても、再質問でお聞きしたいと思います。
 以上で、二つ目の質問を終わります。御答弁をお願いします。
◎総務部長(恩田馨君) アウトソーシングの関係でございますけれども、国の方からは、受託者の経営情報や、アウトソーシングに関します個々の情報につきまして、できるだけ慎重に取り扱っていただきたいというふうな御指導をいただいてるところでございますから、今後、国と、どういった形で、どういった調査ができるのか、どの部分で、どういった支障があるのかというようなことについても御協議をさせていただきながら、そういったアウトソーシングの労働条件の検証をさせていただきたいと、かように考えてる次第でございます。
◎知事(尾ア正直君) まず、一番最初の医療センターについてのお話でございますけれども、構成団体の県といたしまして、それはもう先ほどから申し上げておりますように、この病院は基幹病院として極めて重要な病院であります。そういうリスクを負わせないという形で、県民の皆様にリスクを負わせないようにということを肝に銘じて、構成団体としての務めを果たしてまいりたいと、そのように考えておる次第でございます。これが、第一点です。
 それから、捜査費の話でございますが、平成13年、15年にかけての量を参考にしたということではございません。平成13年、15年において、景気が悪化したときの犯罪件数、刑法犯認知件数はふえましたねと。いかほどさように、景気の動向というものが、犯罪件数に影響を与えるのではないかということを懸念しておるということを、まず前段で申し上げたわけでございます。その時に見ますれば、昨年来、平成20年を通じて景気はだんだん悪くなって、特に秋口から急激に落ち込みを示してきている、この状況が続いてきて、失業者の方々がふえてきてる、この状況を非常に懸念をしておるというわけであります。では、その金額がどれぐらいが適当であるかということを、今度考えていかなければなりません。金額のありようの妥当性というものは、足元の執行状況から判断するのが一番妥当ではないかというふうに考えた次第でございます。19年から20年にかけて、そして直近の伸び率、これを勘案しまして、伸び率で延伸をいたしましたところ、1,500万円程度が妥当ではなかろうかと判断をしたということでございます。
 もちろん、捜査費につきましても、補正をすることはできます。しかしながら、合理的な根拠があるのであれば、当初予算に計上するよう努めることが妥当であると、そのように考えております。
 以上であります。
◎警察本部長(平井興宣君) 検挙率、その他の関係でございますが、犯罪発生件数や検挙率は、社会情勢や経済状況等のさまざまな要因に影響をされるものであり、捜査費の執行額と直接には相関関係を有するものではないと考えております。ただし、知事もおっしゃられたように、昨今の未曾有の経済危機は、多数の失業者を生み出し、社会不安の要因となるものでありますが、このような状況下にあっては、一般的に捜査費の執行が予想されるような凶悪事件、あるいは重要事件に発展するおそれある事件の捜査、あるいは暴力団による犯罪や、社会的弱者に対する犯罪のように潜在化している事案、こういうものに対する情報収集活動などが増加するものと考えられるところであります。
 それから、捜査費をためらわなくなった、使える環境になったということですが、繰り返しになりますが、先ほどの答弁と同じでございまして、一部捜査員の中に捜査費の執行をためらうような状況が認められたということで、捜査費というのは、必要があれば、適正かつ積極的に執行しなければならないものでございますので、そういうことがないように、各種監査の充実、各種の指導、教養を徹底して、捜査員が必要な捜査費を、適正な時に、積極的に執行できる環境が次第に整ってきたという、そういう認識をしているところでございます。
 それから、次に、仁淀川町の事件でございますが、そのような認識というのは、一方的な報道ばかりで困惑している、大半は違うと答えているとかどうかいうのは、ちょっと、私は確認しておりませんが、警察の考え方としましては、先ほど言いましたように、この事件は裁判となりまして、地裁、高裁で、警察、検察の主張が認められております。そして、なおかつ最高裁に上告されましたが、その上告は棄却され、裁判は確定しております。そのような結果について、我々はそのような結果であったという認識を持っているということでございます。
 なぜ、訴えないかということにつきましては、それぞれ報道機関なり、一般の方、いろんな事件に対して御意見があると思いますが、我々は裁判を通して真相を解明していくというのが職務だと思っておりまして、そのようにやってきた次第でございます。
 以上です。
◎30番(坂本茂雄君) 一つが、まず捜査費の関係ですが、知事は、これまでやはり捜査費をめぐって、高知県、そして高知県議会で、ともに特別監査を求めるというようなこともあった経過の中で、今回900万円から1,500万円に大幅にふえたということに対して、やっぱり県民の皆さんは注目していると思うんですね。その意味では、知事も今後、やっぱり県警本部がしていることについて、きちんと適正な執行状況も節目節目でチェックをしながら対応していただきたいというふうに思いますが、その点について、最後にお聞きしたいと思います。
 それと、もう一つ。白バイの関係ですけれども、先ほど、本部長は、一方的な報道ばかりで困惑している、大半は全然違うという警察職員とのやりとりのことについて、そのことについて認識していないと言いましたが、私はこのことを質問で通告しているわけで、そういうことがあったかどうかいうことは、調べずにこの場に臨んで来ちょったら、何のための通告かわからんじゃないですか。そこのところ、はっきりしてください。
 それで、最後ですから、もう全部言わんといかんですけども、そういう意味では、ただ単に結論が出てると、最高裁で上告棄却となったという結論が出てるというふうに言われますけれども、実は今晩の夜中の0時をもって、この証拠隠滅の疑いについては時効の3年を迎えます。そういうふうな中で、事故発生から3年迎えるということで、きょう、前橋本知事を始め、当時の県警本部長、交通部長など、7名を相手取った国賠訴訟が起こされたというふうに聞いておりますが、もしそのことについての感想があれば述べてください。それは、訴状を見てからでないと述べれませんというふうに、ありきたりの答弁ではなくて、感想だけでもいいですから、そういうことについて、どういうふうに受けとめられるか答えていただきまして、私の一切の質問を終わります。
◎知事(尾ア正直君) 900万円から1,500万円までふやしたということ、これは、かなりの増額ではないかという話でございますが、繰り返しますけれども、この景気の急激な悪化というのも未曾有のことでございます。県民の安全、安心を確実に守るために、逆に言うと、県民の皆様が安心していただけるための予算案づくりをすることも、また、私の務めであるわけでございます。そういう中、妥当である金額として、1,500万円と判断をいたしました。
 当然のことながら、執行が適正になされることが大前提であります。これは、記者会見でも申し上げたとおりでございます。
◎警察本部長(平井興宣君) 坂本議員の御質問の、県警本部に電話照会した方に対して、一方的な報道ばかりで困惑してる、大半は全然違うという、この具体的なものについては確認できませんでしたが、警察の立場を申し上げたものでございます。
 それから、損害賠償につきまして、私は初耳でございまして、この場で答えようがございませんが、少なくとも検察、警察につきましては、適正に捜査して、それが司法の場で適正に判断されたものと認識しております。
 以上です。