9月定例会代表質問(9月27日) |
◎32番(坂本茂雄君) お許しをいただきましたので、県民クラブを代表しまして、質問を順次させていただきたいと思います。
知事も開会冒頭の提案理由説明や昨日の浜田議員への答弁で、これまでの小泉内閣による改革は、「市場原理の下での競争が重視されたあまり、勝ち組や負け組といった言葉に象徴されるように、さまざまな形で格差の拡大を生み出した。中でも、地方分権を目指すという本来の趣旨とは懸け離れた内容になった三位一体の改革で、地方交付税などが大幅に削減された結果、本県のように財政力の弱い自治体では、かつてないほどの財政的な危機に直面するなど、地方自治体の財政力の格差も大きく広がっている。」と述べるほど地方の財政状況を悪化させており、昨日発足した安倍政権のもとでも、大きく変わることはないだろうと思います。
その様な状況は、本県においてもさまざまな局面で格差を生じさせることとなっており、県の施策が、そのことを助長するようなことになりつつあるのではないかと懸念をしているところです。
財政状況が厳しい中でも、施策におけるプライオリティーのつけ方や県のやろうとしている事業の考え方において、部局間でそごを生じていないのか、コスト論だけに走らないサービス確保の課題などを念頭に置いた来年度予算編成の作業に入っていただきたいとの思いから、順次質問をさせていただきます。
まず、知事の県政運営の姿勢について、お尋ねします。
最近、公共工事のあり方に一石を投じることがありました。御存じのようにそれは、「和歌山県が都市計画道を全面見直し」し、県内の都市計画道路のうち、人口減などに対応するため、県が未着工の106路線、358キロの廃止も含め、全面的に見直しを決めたことであります。
本県においても、財政状況が厳しい折、公共事業のあり方を見直す時期にも来ていることから、新規の公共事業の事前評価を行ったり、公共事業の効率性及び実施過程の透明性の一層の向上を図るため、「高知県公共事業再評価委員会」を開催し、「事業採択後、5年経過して未着手」「事業採択後、10年経過して継続中」「事業採択前の準備・計画段階で5年経過」「再評価実施後、5年経過」「その他、社会経済情勢の変化等により事業の見直しが必要」な事業を、再評価の対象として検討されています。
確かに中止に至ったものもあるようですが、事業の促進を求めるものが多く、抜本的な見直しとは言いがたい議論状況のように思われます。そこで、今後この議論をする際に、提言を受けて県が判断する前段に、提言内容と事業の進捗率、残事業費等を県民に明らかにした上で、議会への報告やパブリックコメントを求めるなどして、県民の判断を仰ぐという手法はとれないものか、知事にお伺いします。
そして、次に、具体の事業である都市計画道路はりまや町一宮線の、はりまや工区の工事についてであります。
昨日、谷本議員への、答弁を踏まえ重複を避けて、お尋ねします。
この工事を進めるに当たってかかわった土木部の職員の皆さんには、用地買収やさまざまな工法の検討など、多くの御苦労があったことだと思います。しかし、昨日の知事答弁による一たん立ち止まり、今後の方向を検討する姿勢が示されたことを受けとめ、今後さらにいい仕事ができてよかったと言えるような御検討をお願いしておきたいと思います。
実は、先日、法政大学大学院のエコ地域デザイン研究所の建設工学及び都市環境デザインの先生方と意見交換をする機会を得まして、環境・文化的価値を持った水辺空間を生かしたまちづくりの視点をもって、議論をすることのアドバイスをいただいてきました。また、その際に、「駅舎景観検討委員会委員で、高知県文化環境アドバイザーの前東大教授篠原修先生なら、きっと一たん立ちどまって検討し直した方がよいとおっしゃると思います。」との御意見もいただいたやさきの昨日の答弁でした。
まさに、これからの検討いかんでは、2002年3月高知県政策総合研究所「これからの高知都市圏 都心部整備のあり方」の中で、「鏡川と並んで、歴史や地域が誇るべき河川であるが、水害対策や都市開発を優先するあまり、市民から水辺を遠ざけてきた。木屋橋から北上する歴史ある堀川を修景するなど、高知市の水辺空間を再び市民に開放する。これらは、他の多くの水辺を再整備していくきっかけ、シンボルとなる。」また、「都市における河川及び水辺の空間は景観の向上に寄与するだけでなく、都市の冷却機構も持つ。補修して水辺の空間に演出を加えれば、市民の潤いの空間となるだけでなく、観光スポットとしても機能しうる。」と報告されているようなまちづくりにつながっていくかもしれません。
そこで、お尋ねしますが、追手筋弥生町線につなげる区間は予定どおり工事を進めると、いわゆる階段護岸の上を通ることになりますので、そのあり方において「よりよい方法」が検討される間、21年度完成の工期を延長してでも、待つということなのか。それともあくまで、21年度完成は目指すと言うことなのでしょうか。また、「よりよい方法」というのは埋設ではない方法ということだと思いますが、当面四車線にすることなく現状の道路を整備する形で、追手筋弥生町線につなげるということで検討できないのか、お聞きします。
次に、追手筋弥生町線から国道32号線までの区間については、広く県民や高知市の意向も聞き、その方向性を改めて検討するとのことですが、その場合に、どのような手法でどれだけの期間をかけて検討されるつもりか、お尋ねします。
そして、検討の方向性として、四車線化ありきではなく自然環境との共生や文化的・歴史的意義を持つ史跡と共存する、中心街の貴重な水辺空間を生かしたにぎわいのまちづくりへと方向転換することも、一つの選択肢としてとらえてよいのか、改めてお尋ねします。
次に、来年4月に向けた組織改正について、お尋ねします。
改めて、現在の組織の大きな問題点として「部、局、理事所管という部局の構成がわかりにくい」「課室の所管する業務と名称の関係がわかりにくい」という二点を挙げていますが、これまでに議会で指摘されてきたことを認めざるを得なかったということだと思います。
さて、今回の部局再編案で違和感があるのは、企業局と病院局の統合による公営企業局の新設です。単に地方公営企業という共通点だけで、「高知県組織改正検討委員会」でも議事録を見る限りほとんど審議されず、会計も統一できず、議会の常任委員会も分割状態になり、全く畑違いの業務を行い続ける組織の統合が、本当に必要なのかどうか、慎重に検討されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
さらに組織改正のキーワードとして「職員の業務に対する意欲とやりがいの向上(職員が仕事をしやすい組織へ)」を掲げていますが、その意味で言えば、部局再編よりも課室再編の方が、県民や職員にとっては関心のある課題であると言えます。これから煮詰めていく課室再編の議論段階では、どれだけの声を聞くつもりがあるのでしょうか。県民からは、「高知県組織改正検討委員会」で聴取したということにはなろうかと思いますが、職員の声を聞くことにも腐心しなければ、機能性を発揮し得ないと考えますが、職員の声を聞く方法について、お尋ねします。
また、課室の再編についても、今回の部局再編のように、その都度に意見を求めるという丁寧な議会対応をされるつもりなのかどうか、お尋ねします。
次に、組織再編とも連動する課題ではありますが、高野議員とは少し違う視点から、職員の勤労意欲や志気の課題について、お尋ねします。
実は、知事が在職されたこの15年間で警察本部、教育委員会を除いた職員数は約1,200名、2割が削減される中で、仕事の密度は高まり、職種転換の強行などさまざまな要因で、メンタル疾患による病休者の増加や定年前退職者の増加が顕著になってきました。先日、社会経済生産性本部メンタルヘルス研究所が行った、県庁職員に対する健康調査組織分析報告では、一カ月以上の病休者に占めるメンタル疾患による病休者の割合が、この7年間で4倍を超え43.8%に増加しており、全国平均より10%近く高い割合を示しています。内向的で、自己顕示は低く、劣等感がこれだけ強くあらわれる自治体は見たことがないと言われるほど、勤労意欲の面で消極的傾向があらわれており、揚げ足をとられることを心配し、チャレンジの風土が低いのではないかと分析されています。そして、それは減点評価によるものではないかとの研究員の説明もあり、知事が常日頃「加点主義」を標榜していたにもかかわらず、このような結果になっていることは大きな疑問と言わざるを得ません。
これらの結果を見ても、組織のあり方や労働環境の悪化、さらには職場の廃止に伴う職種の転換や異動などにより、職員の専門性や意欲が生かされる人事配置となっていないのではないかと思われるのですが、どのように認識されているか、お尋ねします。そして、これらの状況を改善するためにどのような方策を講じられるつもりなのか、お尋ねします。
さらに、行革プランに基づく「職の全廃」を突きつけられてきた技能職については、この調査で「帰属意識」「仕事への意欲」「将来への希望」の三項目が、他の職種に比べ圧倒的にマイナス数値を示しています。それだけ、今までの技能職に対する扱いが、仕事への志気を低下させていたことのあらわれだと思います。今回の技能職の全廃については、職員組合との話し合いの中で、一定の方向性が見出されていますが、行政職へと転職する技能職員への転職後のアフターフォローに留意し、健康状態を損なったり、途中退職に追い込まれたりすることなく、意欲を持って職務に専念できるような配慮をしていただきたいと思います。
また、これまでも技能職の否定をしないと言いつつ、常にアウトソーシングのターゲットにされる中で、自らの仕事に対するプライドや長年の専門性を否定されたりと、まさに勤労意欲を後退させんがための差別的なねらい打ちがされてきたことに、不信感を抱かれています。ぜひ、不信感を払拭するような人事管理の改善を図っていただきたいことを申し述べておきます。
この項の最後に、職員の昇格制度・任用基準が改悪されようとしていることについて、お尋ねします。
これから職員組合と交渉が行われることになる今回の改悪内容は、ポストにつかない限り昇任させないというものであり、現在行政職給料表5級在級者で、課長補佐等のポストについてない方は4級に降格させるなど、実質給与改悪にもつながる勤務条件の大改悪です。これ以上引き下げた場合、勤務意欲を維持し、生活設計を担保できると考えられているのか、お尋ねします。
また、職種間によるポスト数の格差、さらには給料表間の不均衡は極めて不都合な制度であり、組織の機能すら低下させることになると思われます。これまでの制度改悪に伴う生涯実損額2,700万円に加えて、今回の改悪で約1,400万円の実損額が生じるとしたら、合計で4,100万円の制度実損額を生じることになるのです。知事は、今年7月、共同通信社の首長アンケートで「職員給与は、知事ら首長の退職金とともに『妥当な水準』」と答らえておられますが、だとしたら今回の提案は矛盾するものではないでしょうか。知事御自身の報酬や退職金は昨年度に見直したままで、また、部長級の昇格要件は向上させるなど、管理職層に対しては優遇措置を行う中で、スタッフ職のみに犠牲を強いるような手法が適当なのかという疑問も感じるところです。話し合いに臨むにあたり、検討し直すつもりはないのか、お尋ねします。
次に、アウトソーシングと公契約条例関連について、お伺いします。
今後、新たにアウトソーシングを計画する業務一覧に示されているものの中に、現在職員で行っている業務で、人件費が国からの補助金として交付されているものを、それを返上して財政負担を生じさせてまで、県費で委託してしまうなど、何が何でもアウトソーシングありきの姿勢の強引さが、さまざまな矛盾を生じさせています。
例えば、今年の2月定例会で私どもが提出した、社会福祉施設の給食調理アウトソーシング修正案の中で指摘した弊害は、6月江渕議員が指摘して以降も相変わらず続いています。ある施設では、冷凍食品が圧倒的に多く、野菜の高騰で、キャベツ・ニンジン以外はほとんど中国産の冷凍で、魚も今はすべて冷凍となっていて、明らかに「委託仕様書の委託条件、児童のための給食であることから、極力、冷凍食品は使用しないこと。食材は、県内産を優先的に調達するよう努め、県内の業者から納入させること。」に違反していると思われます。育ち盛りの子供たちが食べているみそ汁の具はついに2種類になり、最近は毎日のように子供たちから、「これだけ?」と不満を言われるようになっているとのことです。
そこで、総務部長にお尋ねします。
先の6月議会で、江渕議員の質問に答えて、アウトソーシングによって解雇された元非常勤職員のうち6人の方が再就職できなかったと報告されていましたが、いまだ再就職できていなければ、いつの時期までに再就職できるよう努力されるつもりなのか、考え方をお示しください。
さらに、現在、一部の職場では、非常勤職員の方に対して、今年度末の雇用打ち切りの下話がされているようですが、改めて安易なアウトソーシングによる雇用打ち切りなどすべきでないことを申し上げておきます。その上で、この問題が単なる定数補正という問題ではなく、非常勤職員の首切りの問題であるだけに、統一的な対応がなされるべきで、職員組合に対して事前協議がされるべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。さらに、現時点で、今年度末でどれだけの職場で何人の雇用打ち切りを想定しているのか、お聞きします。
また、アウトソーシングの受託先では労働条件面においても低賃金・長時間拘束の実態にあり、頻繁に退職、入れかわりがある状態となっています。さらに、本庁、北庁舎などの守衛業務については、昨年も労基法違反が存在することを指摘し、総務部から是正する旨の報告があったところですが、今年4月にも違反状態を黙認した勤務態勢を組んでおられたようです。このような委託仕様書や契約書すらが守られないようなサービス低下や委託先労働者の劣悪な労働条件について、委託先の問題だとして放置することは、県の責任の放棄であると言わざるを得ません。そこで今年度、締結したアウトソーシングに関する契約書及び仕様書で、単なる遵守事項としての法律ということだけではなくて、あえて労働関係法令の遵守をうたい込んだものは、何件中何件あるのか。そして、仕様書が守られていない実態や、労働関係法令が守られていない実態は把握されているのか。さらに、「品質管理のためのガイドライン」が試行中ということですが、どのような試行状況なのか、お伺いいたします。
次に、公契約条例の制定と公正労働基準について、知事にお尋ねします。
知事は、昨年12月議会での私の質問や6月定例会での江渕議員の質問に対して、「発注者側としても発注の際に複数年で契約を締結することや、労働基準法などの関係法令を遵守することなど、契約の条項に盛り込むといった対応をしていく」と述べられていますが、これからは、そのことをどう実効あるものにするのかが課題だと思います。
その際、最も考えなければならないのは、今までの公共サービス維持のためにも、そこで働く人々の労働条件をできるだけ維持することであり、雇用を安定させることであります。今日、臨時・パートと言われる年収200万円未満の不安定な労働者群が増加の一途をたどっている状況を見たとき、県民生活の安定という観点からも、次の点についてお尋ねしたいと思います。
まず、16年12月定例会での田村議員の質問に、土木部長が「今後は下請契約の締結状況や下請代金の支払い状況等の実態把握に努めていきたいと考えている。いずれにしても、公共工事における労働条件の確保については、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の附帯決議の趣旨が生かされるよう、関係団体の指導を行っていく。」と答弁されていますが、下請け契約の締結状況や下請代金の支払い状況などの実態をどう把握されているのか。また、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の附帯決議の趣旨が生かされるよう、関係団体の指導はどのように行われたのか、この項は土木部長にお尋ねします。
次に、昨年12月定例会で、私の質問に答えて、土木部から「工事規模や内容に応じて、評価項目及び評価基準の策定を行い、総合評価入札制度にできるところから取り組んでいく」との見解が示されましたが、公共事業だけでなく、高知県の全ての入札制度においても、談合防止の意味合いからだけでなく、「環境配慮」「障害者の法定雇用率の達成など、福祉施策の実現」「男女平等参画の取り組み」「公正労働基準の確立」「南海地震対策への地域貢献」などの要素を盛り込んだ、総合評価・政策入札制度を取り入れることについて、どのようにお考えか、お伺います。
そして、入札を希望する企業等にも、このような社会的価値の実現に向けた取り組みを求めることが重要であり、従来の「価格入札」から社会的価値を実現するための「政策入札」に転換していくために、自治体がどのような社会的価値を追求するのかを基本条例で宣言する、いわゆる「自治体公契約条例」の制定について、どのようにお考えでしょうか、お尋ねします。
アメリカにおいても、ニューヨーク市、ロサンゼルス市を始め、120を超える自治体がリビング・ウェイジ条例つまり生活賃金条例を制定し、自治体委託や補助金事業体の労働者に対して、時給10ドルとか11ドルとか、1,000円を超える賃金を保証しているのです。これは地域市民のコンセンサスとして、「税金で低賃金労働者をつくってはならない」との考えから来ているものです。
そこで、本県においても、県の事業で低賃金・悪労働条件にあえぐいわゆるワーキングプアをつくり出すことのないよう公契約条例によって、社会保険・雇用保険などの労働福祉の状況、生活保護を上回る月額賃金の支給、退職金の制度化、労災の発生頻度などで一定基準を満たし、低劣な労働条件を押しつけないためにも、これらを義務づけ、委託予算策定時にそれらに見合う額を予算化するなどして、公正労働基準を確立するお考えはないか、お伺いします。
そして、公正労働基準を確立した上で、労務提供型のアウトソーシングについては、そこの職場で働いている従業者の雇用継続を確保することによって、サービスを後退させないよう委託先に求める考えはないかお尋ねして、この項を終わります。
次に、少子化における子供の育ちや働き方の課題について、質問させていただきます。
県においても、少子化対策のための「高知県少子化問題を考える会」を立ち上げ、行政とは異なる立場からの意見も聞き、支援策などの検討を行われているとお聞きしてます。その内容は、午前中高野議員が述べられたとおりでありますが、さまざまな視点から極めて多岐にわたる局面での支援なしに、少子化対策というのは進むものではないだろうと思います。私は、これまでにも、それぞれの局面で心配されることについて、県としての施策を充実させることを求めてきましたので、今回も何点か、基本的には健康福祉部長にお尋ねしたいと思います。
まず、12月定例会でも質問をさせていただきました助産師養成の充実の課題であります。その際に、健康福祉部長は、将来の助産師養成の体制に心配ないかのごとく答弁され、総合看護専門学校の廃止の条例が決定されましたが、年を明けて報道されるのは、全国的な産婦人科医師不足の深刻化、須崎くろしお病院での産婦人科の廃止、横浜市の日本有数の産婦人科病院での無資格助産など、お産の危機ばかりです。そんな状況の中で、1月知事に対して「助産師の養成に関する要望書」が提出されたり、6月「高知県における助産師養成の充実について」の請願が提出され、継続審査となっているなど、取り巻く環境は昨年の12月定例会当時の議論状況とは大きく変わっており、請願を審査している企画建設委員会と文化厚生委員会では、助産師の現状について合同で勉強会も開催してきたところです。
国外に目を向けてみますと、母子保健指標の水準が高いイギリス、フィンランド、ニュージーランド、ドイツなどでは、正常産は助産師が、異常産は医師が扱うという「すみ分け」をしていて、助産師教育に力を入れ、産科医師の負担を減らす工夫を行っていますし、国内でも助産師外来や院内助産所の開設など産婦人科医との役割分担や連携などが図られ、助産師パワーへの期待が高まっています。奨学金の改善で地元定着を図ると言っても、都市部での助産師の給与は、初任給で高知などと比べて二倍もの差がある月収40万円になるとすれば、都市部に流れてしまうことの懸念はぬぐい去れません。
私たちが心配してきた助産師数については、103人にまで減少し、全国で最少人数となりました。一方で、人口1,000人当たりでほぼ本県と同数の茨城県では、県立医療大学及び県立中央看護専門学校助産学科での助産師の養成をされておりますので、お尋ねをしましたところ、「専門学校の廃止など検討していない。助産師の養成は急務であり、今後も大学及び養成所における助産師の養成確保に努めていく考えだ。」との御返事をいただきました。
挙げれば、助産師の必要性は語り尽くせませんが、総合看護専門学校の助産学科だけでも存続させることは不可能なのか、改めてお尋ねします。あわせて、例えば、東高校など県有施設の一部を使用した形で、助産学科のみを存続させるとした場合、存続のために必要な経費は一年間でどれだけ見込まれるのかもお聞きします。
また、将来にわたって永劫に存続をということではなくても、せめて、女子大卒の助産師が高知県の産婦人科の現場に定着することの検証がなされ、安心して産むことができる環境の整備ができるまでの間、助産学科の存続は図れないのかについてもお尋ねします。
この課題は、周産期医療体制の整備とともに、以下にお尋ねする児童虐待や発達障害の課題にも大きく影響する子供の育ちにおいて、欠かすことのできない課題であることも御承知のことと思いつつ、本県において出産難民をつくり出すことのないよう御英断をお願いしたいと思います。
次に、児童虐待防止について、お尋ねします。
一昨日も、札幌での姉妹の虐待死が報道されていましたが、全国で、児童虐待の痛ましい事件が報道されるたびに、胸を痛められている県民の皆さんが多いことだと思います。昨年度、全国の児童相談所が対応した児童虐待件数は、過去最多の34,451件にのぼり、今年に入っての上半期で警察が摘発した虐待事件も、死亡28人を含む最多の120件にのぼっています。件数増加の背景として、関連法の改正によって、国民の通告義務や市町村の相談窓口が拡大されたことの影響があると言われていますが、果たしてそれだけなのでしょうか。
そこでお尋ねしますが、本県における児童相談所の受付件数の伸びである1.21倍に比して、対応件数の増加率が全国最高の1.8倍となっていることは、受付内容が深刻化しているということなのでしょうか。また、この数字にあらわれている背景を、どのようにとらえられているか、お聞きします。
厚労省では、さまざまな児童虐待防止のための支援策を講じられていますが、来年度から「こんにちは赤ちゃん事業」を導入し、早い段階での気づきをシステム化しようとしています。この事業は、主体が市町村となっていますが、県としての果たす役割はどのようなことが考えられるのか。また、市町村で確保しなければならない「家庭訪問者」への対応などは、どのようなことが考えられるのか、お聞きします。
また、虐待は繰り返されるということが言われますが、虐待を繰り返さずに、家族再統合を図るためには、虐待を加えた親への回復支援が図られなければなりません。その手法はさまざま検討、試行されていると思います。三重県などを始めとして幾つかの自治体でも取り入れられ始めている親への回復支援のための「MY TREE ペアレンツプログラム」というのがあり、先日も児童相談所が開催しました児童問題関係職員研修会でも紹介されていました。この虐待を繰り返す親の心を再生させると言われているプログラムをどのように評価し、虐待防止のための方策としての検討対象とお考えになっているのか、お尋ねします。
次に、いわゆる発達障害児への支援について、教育長にお尋ねします。
現在、本県では高知県発達障害児・者支援体制整備検討委員会で、「発達障害児の早期発見体制の構築」「早期発見後のフォロー体制のあり方」「学齢期等の支援について」「就労生活支援について」「個別の支援計画と関係機関の連携について」「今後の支援体制について」などが熱心に議論されています。私も、機会あるときはいろんな審議会や検討会の傍聴をしていますが、この検討会ほど傍聴者の多い検討会はあまりお目にかかったことがありません。それだけ皆さんが関心のある課題なのだと痛感しました。委員の一人からは、「適切な指導のできる先生がいない。特徴の理解とスキルアップを。養護教諭の資格を。頻繁に担任がかわりすぎる。」「自閉症の子供は変化についていくのがやっとだが、先生の側は実感としてわかっているのだろうか。」など率直な意見も述べられていました。
また、先ほど述べた児童問題関係職員研修会では、「幼児期において認知面での発達が比較的よいため、ハンディキャップの存在に気づかれにくく、早期発見とはならず、また、しつけの問題にされやすかったりして、そのことが虐待の対象にもされてしまう。」ということが、講師からも話され、問題の根深さを感じました。
そこで、お尋ねします。発達障害のある児童、生徒らへの支援を拡充するために、小中学校などから要望があれば、医師ら専門家を派遣したり、卒後の就労対策などを拡充することが必要だと思われますが、本県での対応は、どのようなことが考えられるのでしょうか。さらに、できるだけ、早い段階での支援ができるような幼児期からの体制の確立が求められていることと、一般の保護者からの相談体制の確立、また、それらに必要なマンパワーの確保についてはどう考えられているのか、この項は健康福祉部長にお尋ねします。
土佐の教育改革総括を進められている教育委員会として、「LD、ADHD等の幼児・児童・生徒への支援については、教職員の理解啓発や指導力の向上とともに、校内支援体制の早期整備が大きな課題となっている。」と特別支援教育の推進の総括で触れられています。私は、校内委員会の設置状況と特別支援教育コーディネーターの配置状況に乖離があることからも、校内支援体制というのは必ずしも十分に機能していない状況にあるのではないかと受け止めています。これの改善のためには、管理職の理解とリーダーシップの果たす役割が大きいと思いますが、本県の目指す発達障害児に対する特別支援教育のあり方と、現場でまだ充分に浸透しきれない問題点はどのようなことと考えられているか、お尋ねします。
また、今までも教育センターで行われている節目の研修で、理解を深めるためのプログラムも編成されてはいると思いますが、今後、学校現場における指導体制の充実に向けた、教員の指導力や実践力のスキルアップのための研修の場をより充実させる形で、どのように確保していくのか、お尋ねします。
産む安心や子供の育ちのつまずきなどへの支援策が充実していることは、少子化対策の大きな要素ですが、もう一つの要素である働き方について、県庁の足元の課題である「次世代育成支援計画」の具体項目について、総務部長にお尋ねします。
今年の厚生労働白書では、少子化の社会的背景の一つに、30代を中心に子育て世代の「働き過ぎ」を上げ、企業の社会的責任として「働かせ方」の見直しを求めています。県の「次世代育成支援計画」でも、項目ごとの進捗状況が公表されていますが、より前進させるためにお尋ねします。県庁職員の皆さんも、子育ての困難さにぶつかっていることをよく耳にします。その際に、幼児と最も触れあう時間が必要なときでも、残業によってその時間が制約されていることが支障になっているとの声も聞きます。そこで、「育児または介護を行う職員の深夜勤務及び時間外勤務の制限について」の取り扱いで、月24時間、年150時間を超えて時間外勤務をさせてはならないとされていますが、制限規定となった1999年以降、各年次ごとに制限を請求された事例が、行政職においてどれだけあるのか示していただきたいと思います。そして、働き方を変える意味でも、自主的残業などを放置することのないよう、職種を限定することなく、育児における時間外勤務の免除制度を創設してはどうか、お尋ねします。
また、以前より、本庁における各課の規模が小さくなっていることで、お互いの仕事をカバーし切れなくなっているために、残業を制限できずに働いているケースも多いと思われます。今回の組織再編の課室整備においても、そのことを念頭に置き一定規模の課室とすることが、次世代育成支援にもつながると考えますが、いかがでしょうか。
そして、男性職員の育児休業の取得率は、国家公務員の1.0%や民間企業の0.5%などと比較しても2.7%と高くなっていますが、他県との比較はされているのでしょうか。また、知事の「県庁の男性職員に、育児休暇を一定の期間義務づける。」という五期目の約束が実現しないのはどういう理由によるものと考えるのか、お尋ねします。
次に、これまでも質問の機会ごとに南海地震対策を取り上げさせていただきましたが、今回は消防体制の充実強化も含んで、何点か危機管理担当理事に、質問と提案をさせていただきたいと思います。
さて、既に南海地震条例検討委員会も5回の開催と、9ヶ所でのワークショップが開催され、私も検討委員会は、ほぼ全て傍聴させていただいております。当初は、焦点が定まらず少し行きつ戻りつの議論のような感じも受けましたが、3年前の9月定例会で初めて取り上げさせていただいた南海地震対策の条例の形が、少しずつ見えつつあることに期待もし、危機管理担当の皆様の御苦労に敬意を表したいと思います。
これから、質問させていただく課題は、地域での自主防災会や県民の皆さんから出されている疑問や意見をもとに、県としての考え方を聞かせていただくものです。
まず、先のことと言われるかもしれませんが、復旧・復興期には、課題となる被災地の仮設住宅や復興住宅についてであります。県内で想定される避難者数は、今年7月末に当初の46,000人から26万人へと大幅修正されました。被災後1カ月でも117,523人にのぼる中、被災世帯に対して、どれだけの仮設住宅が必要と考えており、また、その用地は確保できる見込みがあるのか。さらに、仮設の場合はまだしも、復興住宅の場合には、できるだけ細かなエリアごとに確保されなければ、それまでのコミュニティを無視した形で設置されるとなると、さまざまな悪影響が生じる恐れもあるので、それらを念頭に置くべきだと考えますがいかがでしょうか。この項は、土木部長にお尋ねします。
また、これは応急期への備えですが、昨年9月定例会予算委員会で提案させていただき、今年の高知県防災訓練には、災害救助犬の参加もコーディネートしていただきました。その後、全国的な動きを見ていますと、社団法人ジャパンケンネルクラブと、災害時における災害救助犬の出動に関する協定を締結している自治体が増加しています。県内での災害救助犬の育成への支援をどのように考えられているのか、また、災害時における県とジャパンケンネルクラブとの、災害時救援協定の締結を検討されてはどうかと思いますが、お尋ねします。
次に、自助の基本とも言われる家具転倒防止についてであります。これまでいろんな方と話す中で、家具転倒防止をしたくてもできないという方が、意外と多いことに気づかされました。自前でやる際に、タンスなど家具を置く方向がわからないとか、どうしても家具に傷をつけたくないとか、高齢者世帯や障害者なので取りつけたくても自力ではできないなどの声にぶつかります。県としても、平成26年度末までに、家具の固定を行った世帯の割合を90%とするという目標を持っている中で、公助で支援する部分もあるのではないかと思っています。例えば、宮城県は県が市町村のモデルとなる事業として先行したり、東京の千代田区、江東区、三鷹市、町田市などなど数多く、さらには県内では香南市などで家具転倒防止の取りつけ支援の事業が取り組まれています。
そこで、本県でも家具転倒防止の普及啓発事業が予算化はされていますが、家具の置き場診断、転倒防止工事のアドバイザーや請負業者など、担い手養成が必要だと考えますが、いかがでしょうか。また、高齢者独居世帯や障害者世帯など自助では、取りつけが困難な世帯が多い中、対象世帯を限定した形ででも取りつけ支援制度を創設する考えはないか、お尋ねします。
さらに、耐震診断及び耐震改修においても、対象世帯を限定の上で、現状に対する上積み支援の制度は検討できないものか、この項については、土木部長にお尋ねします。
自主防災組織の結成が順次進み始めたところですが、その活動の中で災害時の要援護者支援の議論をする際にぶつかるのが、個人情報保護の壁です。県民の皆さんの中には、個人情報保護が、共助の支障になっているのではないかという声さえも上がっています。
また、その課題を克服すべく検討された「災害時要援護者支援ネットワークづくりに向けての提言」の中で、同意方式、手挙げ方式、共有情報方式などを検討の上で、いわゆる「高知県方式」を提案されていますが、県としてこの手法を明確に採用するとまでは至っていないようにお聞きしています。しかし、今年8月にでき上がった「在宅要医療者の災害対応」パンフでは、ほぼ同趣旨の「情報提供同意書」の利用を有効として奨励しています。県として、できるだけ早期に、今後の災害時要援護者の把握の方法についての方向性を示していただきたいと考えますが、健康福祉部長の考え方をお尋ねします。
そして、今後の自主防災組織の組織化と活動の活性化に向けて、さまざまなノウハウが必要となりますので、自主防災組織先進活動事例集を作成し、活用方法を検討してはどうか、お聞きします。
次に、6月定例会で岡崎議員が質問をされた消防広域化の課題について、その議論の前提として十分に踏まえておいていただきたい点がございますので、危機管理担当理事にお尋ねします。
消防救急無線のデジタル化や消防本部の管轄人口規模の拡大など、山積する課題に対応するため広域化は避けて通れないこととして議論されています。しかし、広域化は数字上の消防力の強化にはなるかもしれませんが、住民との距離が離れたり、現場への時間が多くかかるようになってしまっては、住民に安心と安全を提供することができません。確かに、現在の消防本部の中には、厳しい財政状況や市町村合併の中で、消防力基準を満たせていないところもありますが、広域化による集中・統合で、お金では買えない距離と時間を失うことのないような人的配置を始めとした議論をお願いしておきたいと思います。
そこで、お尋ねしますが、先ほど述べたように、広域化議論は、第164通常国会の参議院総務委員会で消防庁長官が答弁しているように、「市町村の消防防災体制の一層の強化であり、広域化によって消防本部の対応力が低下することがあってはならない。」という考え方を踏まえるものであり、本県においても、広域化によって体制縮小を図るものではなく、より一層現場住民に近いところの対応力を強化するために議論していくということの理解でよろしいのか、お尋ねします。
そして、消防救急無線については、県と消防関係機関による検討会を立ち上げて、より効率的な運用方法などについて検討会を行っているとのことですが、現在の議論状況はどうなっているのでしょうか。また、一斉にスタートしなければ意味がないと言われるデジタル化に伴う多額の費用負担が生じる中で、市町村負担を強めることのない適切な負担割合決定など、県の責任はどのようなことになるのか、お伺いします。
最後に、警察捜査費についてお尋ねします。
これまでにも、質問がなされていますので、重複しないように数点お尋ねします。まず、警察本部が指摘した報告内容は、「個々の執行における手続き上の誤りなどに起因するもの」と、主に捜査員の手続きミスや知識不足に起因するものとしており、特別監査報告の否定になるのではないかと、多くの皆さんが考えられています。そこで、公安委員長として、内部調査を終えてみて、2月に監査委員から出された特別監査報告の信憑性をどのようにとらえているのか、お尋ねします。
また、私が感じたのは、内部調査報告の内容がこの程度の手続き上の誤りなどに起因するというものだけなら、県警内部の通常の監査でも明らかになるような内容ではないのかというふうに考えます。なぜ今までの通常監査では判明しなかったのか、公安委員長にお尋ねします。
次に、警察本部として「その相当金額を返還」するにしても、警察本部の調査報告で示している347万余円と、監査報告で指摘されている1,791万余円のそれぞれの個別事案が違っていて、返還の妥当性が成り立つのでしょうか。監査で指摘されたものと内部調査で明らかになったものと、どちらに返還の妥当性があるのかと協議を受ける側の県は困ってしまうのではないかと思います。そこで、今回の警察本部による内部調査結果自らの信憑性を高めるためにも、警察側が、それぞれ個別事案の書面調査及び聞き取り調査内容を監査委員に明らかにし、検証してもらうことは可能だと考えますが、公安委員長はどのようにお考えでしょうか。
また、この資料が提出された場合、監査委員としては再度検証作業を行うつもりはあるか、代表監査委員にお尋ねします。
そして、知事は「ずれをどう私の立場で解消できるのか、よい解決策が思い浮かばず悩んでいる」とのことですが、この方法で検証することによって、警察本部の言う返還についての協議を行い、返還すべき案件と金額の特定が行われ、それぞれに返還の妥当性を見出すことができるものと思われますが、どのようにお考えかお尋ねをいたしまして、第一問を終わります。
◎知事(橋本大二郎君) 坂本議員の御質問にお答えをします。
まず、公共事業の再評価の手法について、お尋ねがありました。
県では、平成10年から事業採択後、10年を経過してなお継続している事業など、一定の要件に該当する公共事業につきまして、このまま事業を継続するのか、あるいは、中止するのかを判断するための公共事業の再評価を行っています。再評価を行います際には、公平な立場で判断する必要がありますので、県内の学識経験者や経済界の方、また環境やまちづくりに関する有識者、幅広い分野の皆様によります「高知県公共事業再評価委員会」にお諮りをして、御提言をいただいています。この委員会では、事業の概要や事業費、さらには進捗の状況などの資料とともに、必要な場合には現地調査も行いまして、審議をしていただいています。
また、委員会は昨年度までに、17回開催されまして、市町村の事業を含む419件の事業を対象に審議を行いました。その結果、継続して実施することになった事業が397件、中止することになった事業が22件となっています。あわせて審議の結果は、県のホームページで県民の皆様にもお示しをしています。このように、実施しています事業を再評価するに当たって、広く県民の皆様の御意見をお聞きするという点では、現在の委員会にお諮りをするという方法でも、ある程度その機能を果たしていると考えていますが、今後、委員の皆様の御意見もお聞きをしながら、より多くの県民の皆様がこの取り組みに参加できますよう、しくみなどを検討していきたいと思います。
次に、はりまや町一宮線のはりまや工区の工事につきまして、階段護岸の保存に対するよりよい方法が見つかるまでの間、工期を延長するのか、また、現状での整備は検討できないのかとの御質問がありました。関連しますので、あわせてお答えをします。
はりまや町一宮線は、昨日の谷本議員の御質問にもお答えをしましたように、高知駅周辺の連続立体交差事業や土地区画整理事業と連携をして、鉄道によって南北に分断されていた市街地の交通の円滑化を図ることを目的に計画をされています。このため、駅前から高知市が整備を進めています追手筋弥生町線までの区間は、連続立体交差事業などとの一体性や工事の進捗の具合から、引き続き整備を進めて、早期に完成させる必要があると考えています。その際、階段護岸につきましては、引き続きよりよい保存の方法を関係者と相談していきたいと考えていますが、平成21年度に完成を予定しています追手筋弥生町線から北側の区間の整備には支障のないように、その具体的な取り扱いを決めたいと考えています。
次に、追手筋弥生町線から国道32号までの区間の整備の方向性を検討するに当たって、どのような手法でどれぐらいの期間をかけるのか、また、自然環境や文化的歴史的意義を持つ水辺空間を生かしたまちづくりに方向転換することも、一つの選択肢かとの御質問がありました。これも関連しますので、あわせてお答えをします。
追手筋弥生町線から、南側の区間につきましては、昨日谷本議員の御質問にもお答えをしましたように、水辺や掘り割りという歴史的な資産を生かしたまちづくりの視点から、広く県民の皆様や高知市の御意向もお伺いをしながら、今後の方向性を検討してはどうかと考えています。その手法や期間などの具体的なことは、今後検討しなければなりませんが、これまでの予定でも、この区間の工事に着手しますのは3年ほど先の予定でしたので、皆様と話し合いながら、じっくりと議論をする時間がとれると考えています。
次に、部局の再編に関しまして、企業局と病院局の統合について、お尋ねがありました。
平成19年度の組織の改正では、県民の皆様方から見て、わかりやすい組織にすることとともに、組織や人員をスリム化して、効率的な体制を構築することなどを目的としています。その中で、今回企業局と病院局を統合することのねらいとしましては、それぞれの局で行っています庶務事務や企画部門などの統合をしますことで、組織と人員をスリム化して効率的な体制にしますことのほか、危機管理に柔軟に対応できる体制にすることもあげられます。
また、これまでは違う組織で行ってきました公営企業の運営を統合しますことで、それぞれが行っています経営改善の取り組みを、互いに学び合うきかっけにもなると考えています。
次に、課室の再編について、県民や職員の声を聞くべきではないかとのお尋ねがありました。
平成19年度の組織の改正に向けましては、ことし6月に民間企業の団体やNPO、さらには市町村職員などの皆さんで構成します「高知県組織改正検討委員会」を設置しました。また、庁内では、昨年7月に各部局で課室の規模や組織のフラット化、さらにはチーフ制に関して話し合いをしますとともに、ことし5月には、公募しました職員を含む13人のメンバーで構成します「組織改正ワーキンググループ」を設置しました。
検討委員会とワーキンググループでは、県民の目線や職員の視点で、部局の再編案への意見や課室の再編に向けたアイデアなどを議論してもらいました。それぞれの会で議論した内容は、高知県のホームページや庁内のイントラネットに掲載をしていますので、県民の皆様や職員の皆さんからも、組織の改正に対する御意見をお寄せいただける形になっています。
また、部局の再編に沿いました課室の再編に関しましては、検討委員会やワーキンググループからの意見とアイデアを踏まえまして、庁内での検討を始めています。
次に、課室の再編に関しましての議会への対応について、お尋ねがありました。
課室の編成は、事務事業の見直しなど、予算編成と密接なかかわりがありますので、例年2月中旬に内容を確定しました上、2月議会に改正の内容を報告させていただいています。平成19年度の組織の改正は、部局の再編を伴う内容になりますので、ことしの12月議会に、高知県部設置条例の改正議案を提案させていただくことにしていますが、部局の再編とあわせまして、新たな部が所管します行政の分野やテーマなど、課室の編成にもつながります事項をあわせて報告させていただきます。
次に、職員の勤労意欲に関連しまして、メンタルの疾患による病休者や定年前の退職者の増加の原因、並びに改善のための手法について、お尋ねがありました。
一般的に言って、メンタルの疾患の原因は、家庭、職場、個人に大別されますし、定年前の退職の理由も個人のライフプランの多様化など、さまざまな要素が考えられますので、その原因を一概に申し上げることはできません。
一方、これからの県政運営は、限られた人と予算で県民サービスの向上を図る必要がありますので、職員の勤労意欲を高めることが大切なことは言うまでもありません。このため、日頃から管理職が職員との意志疎通を図りながら、適切な指導と助言を行いますことで、職員みずからが資質を高めながら、新しいことにチャレンジする意欲や目標を達成する喜びを感じることができますように、取り組んでいきます。と同時に、引き続き、意欲や能力、それに専門性を最大限引き出すような配置を行いますことで、職員の仕事に対するやりがいを高めていきたいと考えています。
また、職員をとりまく環境が変化します中で、メンタルヘルス対策の重要性は、ますます高まりますので、これまで取り組んできました相談窓口の設置や専門医によりますメンタルヘルス相談、さらには長期療養をしている職員の職場復帰を手助けする支援プログラムなどとあわせまして、病気の予防と適切な対応を図りますための階層別の研修を実施しますことで、職員が心身共に健康で働くことのできる職場づくりを、さらに進めていきたいと思います。
次に、職員の給与の昇格制度等の見直しについて、お尋ねがありました。
職員の給与は、その職務と責任に応じたものでなければなりません。このため、本県では、この職務給の原則に基づいて、平成9年4月にいわゆるわたりと呼ばれる不適正な制度を廃止しました。しかし、課長補佐や班長の職についていない職員に、勤続年数に応じてそれらの職に相当する給与を支給するという広い意味でのわたりは、現在も課題として残っています。このため、職務給の原則を徹底する観点から、こうした取り扱いを見直すことを職員団体に提案しました。この見直しを行いますことで、確かに全体的な給与の水準は、抑制の方向に向かいますが、職員に支給している現在の給与の額を引き下げるものではありません。年功的で横並び的なこれまでの昇格制度から、職員の仕事に取り組む姿勢や成果を適切に反映する制度に改めますことは、職員一人一人が県民サービスの向上のためにお互いに切磋琢磨することや、地位に見合った責任感を持つことにもつながりますので、ぜひ実施をしたいと考えています。
続いて、入札制度に幅広く総合評価を取り入れることや、公契約条例の制定について、お尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをします。
総合評価落札方式は、価格以外に性能と機能や技術力を加えた総合的な判断で、落札業者を決定できる点で、評価できるシステムだと思います。既に土木部では、ことしの3月に、「高知県土木部における総合評価落札方式の施行関する運用ガイドライン」を定めまして、今年度から高知県型の簡易な方式によります施行を行っています。
一方、公共工事以外の入札の場合に、評価項目は何がよいのか、また、その際、客観的に判断する評価基準はいかにあるべきかなど、難しい課題が多くありますが、検討する価値があると考えています。また、それを進めていくに当たって、公契約条例を制定することの意義には、御質問をお聞きをしていて同感できる点もありました。が、今直ちに条例で企業等に取り組みを求めるのではなく、公共工事で施行している総合評価落札方式を充実しました上で、それを他の入札にも拡充していくといった方向で検討をしていきたいと考えています。
次に、公契約条例の制定によって、一定の労働条件を義務づけてはどうか、また、アウトソーシングの際に、雇用継続を委託先に求める考えはないかとのお尋ねがありました。関連しますので、あわせてお答えをします。
労働条件の確保は、労働基準法や最低賃金法等の法律によって、最低の基準が確保されています。その上で、労働者の能力や経験、技術などに照らして、使用者との間の契約で労働条件が決定されますので、県が条例で義務づけるという手法はなじまないと思います。また、アウトソーシングにおきましても、労使間の問題は、関係の労使の間で決められるべきものですので、雇用の継続をアウトソーシングの委託の条件とする考えはありません。
次に、警察の捜査費に関しまして、調査結果を検証するための御提案について、お尋ねがありました。
今回の県警の内部調査の結果、執行手続きなどに問題があったと報告されています件数や金額は、特別監査の結果とは大きく異なっていますので、県民の皆さんが疑問を持たれることは、否定できないと思います。その違いを検証するために御提案いただきました手法は、県警の側が監査委員に内部調査の資料をすべて出すことを前提とすれば、特別監査の結果とのずれを埋めるための一つの方法だと思います。しかし、特別監査のときにも県警は、資料の一部を開示しませんでしたし、その考え方は、内部調査の後も変わってはいません。また、開示することを県警に強く促す手だてもありませんので、せっかくの御提案ですが、有効な解決策にはなり得ないのではないかと思います。
こうしたことからも、県警におかれましては、今回の内部調査の報告を出発点として、どのようにして県民の皆さんの信頼を取り戻していくのかを、具体的な行動で示していただきたいと考えています。
私からは、以上です。
◎総務部長(中澤卓史君) アウトソーシングに関連する非常勤職員の雇用問題についてのお尋ねがございました。
最初に、再就職の決まっていない元非常勤職員の方々に対しましては、本年度の途中に、県の非常勤職員の職に空きが生じた場合に、情報を提供することにしていますほか、県の臨時的任用職員を希望される場合には、最初の1回に限り、ハローワークを通さない取り扱いをすることをお伝えしているところでございます。
次に、非常勤職員の雇用期間は、一会計年度以内としていますので、雇用にかかる業務が継続しない場合は、その期間の満了によって雇用の継続を行わないことになります。アウトソーシングなどにより、非常勤職員の方々の業務がなくなるのに、県の予算を使って雇用を継続することは、県民の皆様に説明できるものではありませんので、当事者御本人に対しては心苦しいものがありますが、やむを得ないことと考えています。
また、アウトソーシングなどによって、雇用の延長を行わないことについて、所属長から非常勤職員への説明は随時行っていきますが、職員の任用に関することについて、職員団体と事前に協議を行う考えはございません。
アウトソーシング実施計画では、平成19年4月には、非常勤職員43人役の雇用の延長を行わないことになっていますが、今後、アウトソーシングに関する事業の予算や、職の見直しの経過を経て、その人数が決定されることになります。
次に、アウトソーシングに関する契約書及び仕様書に、労働関係法令の遵守の規定がなされているものが、何件中何件あるのかとのお尋ねがございました。
本年度におきまして、既に発注しましたアウトソーシング推進関連事業は、69件ございます。そのうち、契約書もしくは請書の作成が必要な業務で、法令の遵守以外に、特に労働関係法令に関する受託者の責任を明記しているものが、3件ございます。
次に、仕様書や労働関係法令の遵守と品質管理の試行に関するお尋ねがございました。
業務の履行当初には想定外の事由により、十分な体制が整わず、問題となる事例も見受けられましたが、現時点では、受託者が仕様書や労働関係法令を守らず、県民サービスの低下に繋がった事例は聞いておりません。品質ガイドラインの適用に当たりましては、まずは職員が品質管理の技術を備えることが欠かせませんので、全庁的な研修会に加えて、部局ごとにも研修会を実施し、技術の習得に努めています。試行につきましては、9月末時点で、上半期の結果をとりまとめることにしています。これまでのところ、ガイドラインの施行に当たって、特に問題があるとは聞いておりません。今後も引き続き、部局ごとの研修会を随時行い、適切な管理と品質の確保に向けた環境整備に努めてまいります。
次に、育児または介護を行う職員の深夜勤務、及び時間外勤務の制限の請求件数についてお尋ねがありました。
育児または介護を行う職員の深夜勤務及び時間外勤務の制限については、仕事と育児や介護との両立のため、平成11年度から制度を導入していますが、行政職の職員が請求した実績はありません。
また、職種を限定することなく、時間外勤務や深夜勤務を免除する制度を新たに創設することについては、現在、国家公務員においても同様の制度はありませんので、困難だと考えています。実際には、このような制度を利用しなくとも、育児や介護を行っている職員に対しては、時間外勤務や深夜勤務に関して一定の配慮をいたしております。
次に、組織改編の課室規模についてのお尋ねがありました。平成15年度の組織改正は、本庁の課室規模の見直しを行い、規模を小さくすることや課長補佐をなくすことで、責任の明確化や意志決定の迅速化を進めることを目的に実施しました。昨年7月、課室規模について、各部局で話し合いを行いましたが、平成15年度の組織改正を評価する意見がある一方で、小規模な課室のデメリットも上げられています。
平成19年度の課室の再編に向けましては、平成15年度の組織改正のメリットを生かし、特定の政策課題に適切に対応するため、小規模な課室も設置するものの、標準的な課室規模を20人前後としまして、所管する事務事業や仕事の仕方を見直すことで、県民の皆様にわかりやすく、職員にとっても仕事のしやすい組織の編成を行っていきたいと考えています。
次に、男性職員の育児休業の取得率と、育児休暇に関する知事の公約について、お尋ねがありました。
知事部局における男性職員の育児休業の取得率は、平成17年度で2.7%となっておりますが、他県との比較はできていません。国家公務員の平均1.0%と比べると、高い数字になっています。
また、平成17年3月には、職員が仕事と子育てを両立しやすい職場環境をつくり出すことを目的に、次世代育成支援行動計画を策定するとともに、子育てにより参加しやすい休暇制度とするため、育児参加休暇を創設しました。こうした休暇制度や育児休業を利用した育児に参加することは、男女共同参画型社会や少子化の課題を身をもって体験することであり、県としてなすべきことを考えるきっかけになるものと思いますが、例えば、育児休業制度においては、給与が支給されないことなどから、取得に対して消極的な意見もあり、一律的に職員に取得されることは困難と考えています。
このため、今後は行動計画の内容を着実に進めることによって、男性職員の育児参加休暇や育児休業などの取得促進に取り組んでいきたいと考えています。
以上でございます。
◎土木部長(宮崎利博君) 公共工事における下請契約の締結状況や、下請代金の支払い状況の実態などについて、お尋ねがありました。
平成16年12月議会では、田村議員の質問に対して、請負対象金額が1億円以上の工事で、調査基準価格を下回って契約する、いわゆる低入札工事について、お答えをしています。低入札工事については、まず、契約前に、見積り根拠となる労務単価や下請代金が妥当であるかを調査します。その後、工事が終わり、下請業者への支払いが完了したものについて、下請契約が適正に実施されたかどうかの実態調査を行います。この実態調査は、平成17年度に契約した低入札工事、11件から適用することとしています。このうち、現時点で支払いが完了し、調査を開始しているものは2件で、既に書面調査を終え、間もなく立入調査を行う予定です。書面調査の段階では、不適切な状況は見受けられませんでした。実態調査の結果を踏まえ、必要に応じて、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めることという参議院での附帯決議の趣旨が生かされるよう、労働基準監督署などとも連携し、元請業者や関係団体の指導を行います。
次に、南海地震における仮設住宅の必要量と、その用地の確保の見通し、さらに建設の際のコミュニティへの配慮について、お尋ねがありました。関連しますので、一括してお答えします。
地震発生時の仮設住宅の必要個数は、住家の被害状況のほかさまざまな要因により、左右されるものと考えられるため、明確な量を想定することは困難ですが、南海地震の被害想定や中越大震災、阪神淡路大震災における全半壊住家の戸数と、仮設住宅の戸数からすると、次の南海地震では、県内で数万戸に及ぶ仮設住宅が必要になると推測されます。
また、地域ごとの仮設住宅の必要戸数や、建設を想定した用地については、市町村ごとの被害想定により、あらかじめ大枠として、調査把握しておくことが必要と考えています。
さらに実際に南海地震が発生した際には、県が主体となって、可能な限り市町村や建築士等の団体の協力も得ながら、地域ごとのニーズを把握できるよう、体制の整備を進めていきます。あわせて建設の際には、地域のコミュニティに配慮して、場所の選定などを行っていきます。
次に、耐震診断、及び耐震改修において、対象世帯を限定した形での上積みの支援制度は検討できないかとのお尋ねがありました。
木造住宅の耐震診断につきましては、一軒当たり公費負担3万円、個人負担3,000円の計33,000円で診断を実施しておりますが、この個人負担が、耐震診断の推進の妨げになるとは考えにくいことから、当面は現在の制度を維持していきたいと考えています。
また、木造住宅の耐震改修につきましては、把握しているところでは、横浜市で所得税の非課税世帯を対象に、補助限度額の上積みを実施しています。本県におきましては、昨年度後半から改修補助を開始し、本年度から本格的に実施しているところですので、今後の改修の実績を見ながら、建築士や工務店の団体とも協力し、この制度の活用がより広がる方策について、検討していきます。
以上でございます。
◎健康福祉部長(畠中伸介君) 助産師養成についてのお尋ねがありました。あわせてお答えいたします。
助産師の養成につきましては、高知女子大学における看護学部の拡充で、看護学部の定員増と助産師養成の方針が示され、総合看護専門学校の機能を大学に引き継ぐこととし、総合看護専門学校を平成20年度末で廃止することを、昨年の12月議会で議決いただいたところです。
御提案のありました、他の県有施設を利用して助産師養成を行うことにつきましては、国の看護師等養成所の運営に関する指導要綱により、原則恒久的に学校運営ができること、校舎は独立した建物であることといった制約があります。
お尋ねの助産学科を運営するための年間経費につきましては、どうした形で運営するのか想定できませんが、現在の総合看護専門学校の助産学科の予算は、人件費と学生養成費を合わせると、およそ4,100万円となっています。それに施設の維持管理費が必要になると考えられます。
また、御質問にありましたように、総合看護専門学校、助産学科を存続したまま、同時に高知女子大学、看護学部で助産師の養成を行うことは、分娩看護の実習を受け入れていただいている医療機関の状況から、両校で必要となる実習事例の数を確保することが困難と見込まれ、こうした面からも総合看護専門学校を存続し、両校で助産師を養成することは困難であると考えています。
次に、児童虐待対応件数の増加率が高いことと、内容の状況及びその背景について、お尋ねがありました。
児童虐待は、全国的に増加していますが、その背景には停滞した経済状況や核家族化、子育ての孤立など、さまざまな社会状況の変化があるのではないかと言われています。本県では、御指摘のとおり、児童相談所での平成17年度の児童虐待の受付件数は、前年より27件の増加となっていますが、対応件数は、前年より73件増加し、対前年比は1.8倍で、増加率は全国最高となっています。このように、受付件数の伸びに比べ、対応件数の伸びが高くなっているという背景としましては、虐待の相談や通報があった場合には、できるだけ虐待を予防する観点から、虐待かどうか判断が微妙な場合には、虐待として積極的に対応し、子供と親の見守りを行い、事故の防止につなげるという取り組みを進めていることによるものと考えています。
虐待問題は、重要な課題ですので、昨年4月から児童相談の窓口が市町村に拡充されましたが、本県ではすべてのケースを、児童相談所で初期対応することとして、児童虐待に積極的に対応しています。
次に、「こんにちは赤ちゃん事業」に対する県の役割と、市町村の対応について、お尋ねがありました。
国は、新たな少子化対策の推進を図るため、子育て支援事業として、生後4カ月までの乳児がいるすべての家庭を訪問する「こんにちは赤ちゃん事業」を、来年度導入する予定です。この事業は、すべての家庭を早期に訪問することで、子育て不安を解消できることや、全国の過去の事例で、親から虐待を受けて死亡した子供のうち、ゼロ歳児が4割を占め、そのうち生後4カ月までの乳児のおよそ7割を占めていたことから、児童虐待の予防につながる意義のある取り組みであると考えています。
県としましては、現在、市町村で行っています新生児や乳児に対する訪問活動は、市町村間のばらつきがありまして、県全体でもおよそ50%にとどまっていることから、この事業を活用しながら、すべての乳児の訪問活動が実施できますよう、市町村に積極的に働きかけていきたいと考えています。
また、この事業では、家庭訪問者を保健師などの専門職に限らず、市町村の母子保健推進員や子育て経験者など、地域の子育てを担う人材を幅広く活用することが予定されていますので、家庭訪問者に対する研修への支援が必要と考えています。この事業を効果的に進めるためには、子供が生まれた家庭の養育環境などの情報を早期に把握し、養育支援の必要な家庭に対しては、保険師などの専門職員の対応に結びつけていくことが重要ですので、県としましては、福祉保健所や児童相談所などの専門機関と市町村が相互に連携して、子育て支援ができるよう取り組んでまいります。
次に、「MY TREE ペアレンツプログラム」に対する評価とその導入の検討について、お尋ねがございました。
「MY TREE ペアレンツプログラム」は、虐待、体罰をしている親自身が、生きる力や問題解決力などを習得し、虐待を2度と起こさないという明確な目的を持つ、親の回復支援プログラムです。このプログラムは、開発されてまだ数年しか経過してしておりませんが、家族の養育機能の再生や強化などに向けた家族療法の一つとして、三重県などの自治体でも取り入れられ始め、民間も含めますと、およそ150人の方がこのプログラムを修了しているように聞いています。児童虐待の再発防止には、虐待をしてしまった親への心のケアが重要であり、家族がそれぞれお互いを受け入れ、安全で安心して生活できる状態になる、家族の再統合への取り組みは、児童相談所の重要な役割の一つであると考えています。
このため、本県では、家族関係の修復が必要な保護者の方に対して、中央児童相談所内に設置しています児童支援ホームを利用し、家族の関係のあり方や養育の仕方について、親子で学んでもらい、家族の関係の修復に向けた取り組みを試行しています。また、先般、児童相談所主催で、「MY TREE ペアレンツプログラム」の実践者を講師にお迎えして、虐待をする親の理解と回復支援について、児童問題に関する職員を対象に研修会を行いました。今後とも、お話にありました手法も含め、他の自治体でのさまざまな実践事例を参考にし、家族の再統合に向けた支援方法を研究していきたいと考えています。
次に、発達障害児の支援に関して、学校への支援や幼児期からの支援体制などについて、お尋ねがありました。
県では、ことし4月に療育福祉センターの中に、専門的な支援の拠点となります、発達障害者支援センターを設置し、保護者の方々からの相談はもとより、学校への支援や就労の支援などに取り組んでいます。センターにおける小中学校への支援としましては、学校から相談があった場合に、ソーシャルワーカーや心理判定員が学校を訪問し、専門的な助言を行っています。また、教職員が発達障害児に対し、適切な支援を行いますよう、学校での研修会にも職員が積極的に出向いているところです。
また、センターでは、診療や相談などに医師を含めた7名のスタッフで対応しています。その件数は、4月から8月までの5カ月間で2,265件となっておりまして、その多くは就学前のお子さんに関するもので、スタートしたばかりですが、早い段階での支援を中心に充実した対応ができていると思っています。現在、乳幼児期から成人期まで一貫した支援体制を構築するため、教育委員会と合同で、各分野の専門の方々による委員会を設置して検討を行っていますので、そのとりまとめ結果を踏まえまして、今後ともセンターと保育所や学校、市町村などの関係機関が連携した取り組みを進め、発達障害のある人とその家族への支援を、さらに充実していきたいと考えています。
最後に、災害時要支援者の把握について、お尋ねがありました。
地域で、要援護者に対する効果的な支援のネットワークづくりを進めていくためには、日頃から要援護者の情報を把握し、一人一人に対して、複数の支援者を定めるといった具体的な避難支援計画を策定しておくことが必要です。一昨年、県がとりまとめをした提言では、要援護者の把握方式として、まず、市町村が主体となって、住所、氏名といった基本情報に限定した台帳を作成した後、地域で本人の同意をもとに詳細な情報を収集することにより、個別に詳細な支援計画を定めるという高知県方式を提言しています。ただ、地域で実践していく場合には、高知県方式に限らず、例えば既にさまざまな情報が共有されている地域では、同意方式での台帳の整備も可能であると思いますし、また、希望する人について、台帳と支援計画を策定する、手挙げ方式での整備など、地域の実情に応じた方法で、要援護者を把握することになると思います。
県では、今年度、自主防災組織や町内会における要援護者への支援ネットワークづくりの手引きを作成することとしていますが、その中で、高知県方式を含めた複数の手法をお示ししたいと考えています。
以上でございます。
◎教育長(大崎博澄君) いわゆる発達障害への支援についての御質問のうち、まず、本県の目指す特別支援教育のあり方と、現場でまだ十分に浸透し切れていない問題点についてのお尋ねがございました。
発達障害を含めたすべての障害のある子供の支援につきましては、教職員の理解や指導力の向上、保護者、関係機関と連携した適切な対応など、学校全体の課題として取り組むことが必要です。中でも小中学校の通常の学級に多く在籍するLD、ADHD等の発達障害のある児童、生徒の支援につきましては、その障害の状態はさまざまであり、周囲の環境によって状態が変化することも多いため、すべての教職員が参加する校内の支援体制をつくり、一人一人の実態に応じた適切な指導や支援をしていくことが大切です。
しかしながら、現状では、各学校での取り組みに差異があることも事実だと思います。その主な原因は、御指摘のとおり、管理職や教職員の特別支援教育に対する意識の差にあろうと思います。学校教育法の改正が行われ、平成19年4月からは、これまで障害児学級など特別の場で行われていた障害のある子供の教育は、特別支援教育として、すべての教職員が携わることになりますため、管理職や教職員に対する理解啓発を一層進めていくことが必要です。
このため、平成16年度から5カ年計画で、県単独事業の特別支援教育プロジェクト事業を立ち上げております。この事業では、LD、ADHD等に関する専門的な知識を有する教員を計画的に養成するために、大学に派遣をいたしております。また、県内すべての公立小中学校に、特別支援教育学校コーディネーターを指名配置し、校内の支援体制づくりを進めています。また、医療、保健、福祉等の関係機関が連携する特別支援連携協議会の設置などのネットワークづくりや、LD、ADHD等の児童、生徒に対する指導内容、指導方法に関する指導や助言を行う巡回相談も実施をいたしております。
これらの取り組みを通じまして、管理職や教職員の理解啓発を進め、専門的な対応のできる総合的な支援体制づくりを実りあるものにしてまいります。
次に、学校現場における指導体制の充実に向けた教員のスキルアップのための、研修の場の確保についてのお尋ねがございました。
LD、ADHD、高機能自閉症等の発達障害に関する研修につきましては、すべての教員が受講する初任者、5年次、10年次の基本研修に、特別支援教育の講座を設け、特別支援教育に関する基礎的、基本的事項の理解や、学級経営とのかかわり、指導力の育成などを目的とした研修を、現在行っています。
また、教育センターでは、LD、ADHD、自閉症等の理解と支援をテーマとした専門研修を行っています。この研修を受講する通常の学級を担当する教員が、年々増加しております。発達障害や特別支援教育に関する理解が広まっていると考えています。
このほかにも、市町村や学校単位の研修会に講師を派遣し、研修を行いますとともに、障害、保健、福祉圏域ごとに設置しております特別支援連携協議会でも、研修の機会を設けています。
また、研修内容を実際に担当している子供の指導に生かす取り組みが重要であることから、校内委員会で、指導の方策について話し合い、個別の指導計画を作成するなど、研修の成果を学校全体で共有できるようにする校内支援体制づくりも進めています。発達障害のある子供たちの多くが、通常の学級に在籍していることを考えますと、通常の学級を担当する教員の発達障害に関する理解と指導力の向上は、喫緊の課題でございます。今後は、高知大学や療育福祉センターに設置されている発達支援センターとの連携、協力による質の高い研修の機会を確保し、発達障害に関する教員のスキルアップに努めてまいります。
以上でございます。
◎危機管理担当理事(中村文雄君) 地震対策と消防体制の整備についてのお尋ねがありました。
初めに、災害救助犬の育成と協定について、お答えします。本年6月に行いました高知県高知市総合防災訓練では、県内関係者の協力を得て、災害救助犬を使った倒壊家屋からの救出訓練を実施しました。災害救助犬は国内外の災害現場で多くの活動実績がありますことから、南海地震においても有効と思います。災害救助犬の育成についてお話がございましたが、効果的な災害救助犬の活動の観点から、関係者とも十分意見交換をさせていただきたいと思います。また、災害時救援協定の締結については、既に社団法人ジャパンケネルクラブ側から御提案をいただいており、現在協定締結に向けて、検討を行っています。
次に、家具転倒防止対策の担い手養成と支援制度について、お尋ねがありました。
南海地震による強い揺れや、直後に襲ってくる津波から、県民の皆様が身を守るためには、家屋の耐震補強とあわせて、家具の固定や配置の見直しなどの転倒防止対策を進めていくことが重要です。
しかしながら、平成17年3月に取りまとめた県民意識調査では、一部でも家具の固定をしたものの割合は20%と、同時に調査をした三重、和歌山、徳島県と比較して、この取り組みがおくれている現状にあります。このことは、家具固定の取り組みが県民の皆様に十分浸透してないこととあわせて、気軽に相談できる方や、家具の固定ができる者が身近にいないこと、あるいは、高齢者の独居世帯など、支援を要する所帯が多いことなどが考えられます。
このため、県ではホームセンターや建設業界など、関係団体に協力を求め、家具固定の担い手を広げていくための講習会が開催できるよう、現在準備を進めています。また、高齢者や障害者などに対する支援については、既にシルバー人材センターの行う家具転倒防止金具取りつけ費用を負担している市町村もあり、県ではこうした取り組みについて、みんなで備える防災総合補助金で支援をしています。今後は市町村との協議の場を活用して、多くの先進取り組み事例を共有し、担い手の育成や高齢者世帯などへの支援を広げていくことにより、家具転倒防止対策を進めていきます。
次に、自主防災組織の先進事例集についてのお尋ねがありまた。
南海地震などの大規模災害が発生した直後には、公的な防災機関が十分対処できないことが予想されます。このため、地域住民みずからが地震について、学び、考え、行動するためには、それぞれの地域ごとに自主防災組織を結成し、活動を継続していくことが非常に重要と考えています。既に結成された自主防災組織の中には、独自での避難場所の整備や、要援護者への支援体制の確立、市町村内での自主防災組織、連絡協議会の設立など、創意工夫しながら活発な活動をしてる団体もあります。
また、県では自主防災組織のリーダー研修や、県外の自主防災組織との交流大会の開催などにより、自主防災組織の活動の支援に努めています。お話のありました事例集の作成については、課題となっている自主防災組織の立ち上げや、活動の継続、活性化を図るためにも効果的であると考えています。今後は市町村課題検討会などで、さまざまな事例の検討を進め、先進事例集を作成するとともに、自主防災組織の設立や、活動の活性化に活用していきます。
次に、消防の広域化について、お尋ねがありました。
現在、消防を取り巻く環境は、災害や事故の多様化、及び大規模化、住民ニーズの多様化などによって、大きく変化しています。こうした状況に対応するため、消防体制の整備及び確立を図ることを目的として、消防の広域化に関する消防組織法の改正が行われました。県内の消防は、高知市以外は管内人口6万6,000人から1万3,000人の小規模消防本部であり、総じて財政的基盤が弱く、車両の更新や職員の選任配置も困難な状況にあります。加えて今後も引き続き人口減少による厳しい財政状況が予想される中で、消防力を低下させることなく、増加する緊急消防への対応など、県民のニーズにこたえていくためには、広域化による体制の整備充実が必要だと考えています。今後は市町村や消防本部に、こうした消防広域化の趣旨の周知を図るとともに、来年度立ち上げを予定しています消防広域化検討会、仮称には地域に密着した活動を行っております消防団などの参加をいただきながら、こうした方向での議論をお願いしたいと思っています。
最後に消防救急無線のデジタル化に関するお尋ねがありました。
近年、救急救命では、患者の心電図データなどを、病院に事前に送るなどのより高度なサービスが、また大規模災害等にあっては広域応援態勢の整備などが求められており、これらに対応するため消防救急無線のデジタル化が必要となっています。こうしたことから、本年5月に県や市町村、消防本部で構成する消防救急無線のデジタル化等検討会を立ち上げました。これまでに、整備の費用や通信エリアなどの協議を行い、整備に当たっては各消防本部の単独整備よりは、県の防災行政無線中継所を共同利用することで、費用を大幅に削減できることなどが確認されました。現在、これらの状況を踏まえて、その無線設備の更新時期などを協議していますが、あわせて無線の運営方法や、整備費用の負担を決定する時期などの整備計画を本年度内に取りまとめます。整備に当たっての事業主体は、市町村及び消防本部ですが、県としましても効率的な運営方法や、費用の軽減策などについて、今後とも市町村や消防本部とも十分に調整、協議を行っていきます。
以上でございます。
◎公安委員長(西山昌男君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。監査報告の信憑性をどのようにとらえているか、また手続き上の誤りが、なぜ今までの通常監査で判明しなかったのかとの御質問がありました。
まず、信憑性をどのようにとらえているかということについてでありますが、監査委員から提出された特別監査結果につきましては、知事が議会の同意を得て選任された監査委員によって出されたものであると承知しており、県警はこれを真摯に受けとめるべきものと考えております。
なお、県警の調査につきましては、対象となったすべての執行について、可能な限りの調査が実施されたもので、また公安委員会として、その進捗状況について、適宜報告を受けてきましたし、実施状況なども直接確認しており、今回の調査結果については、厳正に調査された上で出された結果であると受けとめております。
次に、今までの通常監査では、どうして判明しなかったのかということについてであります。このことについて、県警からは、これまでの監査においては、対象となる執行を抽出した上で、書面調査が中心であったということでしたが、今回の調査はこれまでの実施していなかった広範な店舗調査や、執行にかかわった全捜査員に対する聞き取り調査など、全体を対象に詳細な調査を実施したことから、今までの監査で把握されなかった事実が判明したと報告を受けております。なお、今回の調査結果をよく検証して、今後の監査のやり方に生かしていくよう県警を指導してまいりたいと考えております。
次に、調査結果の信憑性を明らかにするためにも、警察側がそれぞれの個別案件の書面調査、及び聞き取り調査内容を監査委員に明らかにし、検証することが可能だと考えるかどうかとの御質問であります。
監査委員の御意見を受けまして、県警が厳正な調査を実施し、その結果が取りまとめられたわけですが、県警からは、今回の調査結果について監査委員から説明を求められれば、説明する用意があると聞いているところであり、公安委員会といたしましても、そのような場合には、監査委員に対して、誠意をもって対応するよう県警察を指導してまいる所存であります。
以上であります。
◎代表監査委員(奴田原訂君) 坂本議員にお答えします。
調査の資料が提出された場合、監査委員としては、再度検証作業を行うつもりがあるかどうかという御質問でございます。御質問は資料の検証作業により再度監査を行うつもりかどうかとの趣旨と受けとめております。監査委員といたしましては、県議会の要求及び知事の要求に基づく特別監査は、平成18年2月22日に監査結果報告書を出したことにより、終了したものと考えております。新たな監査を行うかどうかにつきましては、特別監査の後、3月1日付けで受理いたしました、住民監査請求に基づく監査を実施いたしましたが、この監査におきまして、関係書類の全面開示及び捜査協力者への確認を求めましたところ、警察本部からは特別監査と異なることはないとの否認の回答がありました。このため監査委員といたしましては、改めて特別監査と重複する内容の調査を実施する実質的な意味はないと判断をいたしました。
また、お尋ねの再度の検証作業は、調査結果の突き合わせを意味することになると思いますが、このことにつきましては、昨日谷本議員にお答えいたしましたように、監査委員の監査と、県警の内部調査とは、そもそも設定された条件が異なっておりますし、さらに捜査員の特定につながることになりかねませんので、困難だと考えております。
なお、関連いたしますが、県警におきましては、監査委員から要請があれば、説明するとのことであります。どのように説明されるのかわかりませんが、少なくても監査委員が裏づけを取ることができないようなものなら、あえて説明を受ける意味はないのではないかと考えます。と言いますのは、監査委員の職務は監査であります。県警の言われる説明が監査の対象になるという趣旨であれば、当然先ほど申し上げましたように、特別監査と異なった条件でなければなりません。すなわち、すべてをオープンにすること。マスキングを外すこと。協力者に当たることの承認が前提でなければなりません。そして、監査結果は、公表しなければならないことになっております。こうした前提で説明されるものとして、県議会及び知事から要請があれば、監査を実施することになりますが、単なる事務的な説明にとどまって、一方的にストーリーを聞くだけになるとするならば、監査委員としては、説明を受ける必要はないと考える次第であります。
以上であります。
◎32番(坂本茂雄君) それぞれの御答弁ありがとうございました。再質問をさせていただきます。6分ほどしか残っておりませんので、本来ならばすべてに再質問したいぐらいの気持ちなんですが、少し限定させていただいた形で質問させていただきます。
まず、知事にお伺いいたしますが、1つは、はりまや町一宮線の関係で、ちょっと答弁があったのかどうかが明確でないんで、お聞きしますが。いわゆる追手筋弥生町線までの間の工期については、平成21年という目途があって、そこまでに支障のないような検討をするということで、工期そのものを変える予定はないということだろうというふうに思うんですね。そういう中で、ただ一方でよりよい方法というのは、現在の保存方法は埋設して、そこに言えば、説明の碑を置くというような形ですので、それよりもよい方法というのは、階段護岸を埋設しないという方法を、もし検討されるんであれば、工事そのものは、当初の計画どおりにはなかなかならないんではないか。ある意味では、私が提案していますような、当面現状のままという、いわゆる二車線で整備をした形で、追手筋弥生町線につなげて、そこで供用を開始するというふうなことで様子を見てみるというのも一つではないかなというふうに思うんですが、そこのところ、よりよい方法ということの意味合いと、私が先ほどお聞きした当面現状のまま整備する形でつなげるという検討というところについての御答弁がなかったように思うんですけど、そことの兼ね合いで、もし、お答えできる部分があれば、答えていただきたいというふうに思います。
それと、公契約条例等について、一定、検討する価値のあるものというふうな御回答をいただきました。ただ、私は、確かに土木の現在の総合政策入札の施行状況を踏まえるというのも一つの方法だろうと思うんですが、今、一方で今回も補正予算で、電子入札に関する、いわゆる高知CALS事業の補正予算が組まれているわけです。その意味では、入札そのものを電子入札に持っていく際に、じゃあ、今、議論をしている入札の方法が適当なのかどうか。あるいは、この間副知事の通達を始めとして県内企業を優先するというような1つの要件があった場合に、電子入札がどういう対応でできるのかとか、いうようなことなど含めて、入札のあり方そのものの一定の方向性が出ないと、CALS事業の具体に踏み込めん部分もあるんではないかというふうに、私はちょっと認識をしているんです。
その意味では、公契約条例の部分については、できるだけ早くに一定の方向性を出した上で、もし電子入札をやっていくということであれば、電子入札の中でも、そのことがきちんと取り込めるような、そういうシステムにしておいていただかなければ、ただ単に一般競争入札だけを電子入札で対応しますということだけでは、ちょっとまた制度はできたもんのというような議論になってしまうんではないかというふうに考えますので、その辺についてお考えがあれば、お聞きかせいただきたいいうことと。
もう1つは、その一方で公契約条例とも関連してくるわけですけれども、その中にいろんな評価項目や基準、いろいろ難しかろうから、これから検討するということなんですが、その1つの中に、いわゆる公正労働基準というものを確立して、そして、それを受託する事業者に対しても、そのことを実現してもらうような、そういう形を先ほど述べさせてもいただいているわけですが、そこな部分は条例で義務づけるのは、なじまないとか。あるいは考えないということなんですが、そうなると、知事が、先ほどこれまでの間にも言われてきた労働関係法令等については、言うたら、そこで守ってもらうと、事業所の責任として守ってもらうということなんですが、それがなかなか守れていないという実態があるいうことなどの改善が図られないんではないかというふうに思ってますんで、ぜひその点についても、今後検討の際にはあわせて御検討いただきたいというふうに思うんです。
ちょっと総務部長に関連しますけども、総務部長にもうあえて聞きませんが、アウトソーシングの際に言われた、いわゆる遵守事項の中で、労働関係法令を遵守することというふうにうたっている契約書は、69件中3件しかなかったわけですね。これは知事がこれまでの間、そういうことを契約にうたい込んでいきますと、だからいいですという、いいですと言うか、そういうことで努力していきますというふうに言われたけども、実際が69件中3件であるというようなことを考えたら、今会計管理費として補正予算で210万円、計上されてますが、それで契約書や標準書式の検討をするということで、今回補正予算が提案されてます。それの中身もやっぱりこういったことが、きちんとうたい込まれるのかどうかとかいうようなことなど、含めて標準書式のあり方を見直す際にも、今議論していることが前提になってくるんではないかというふうに思いますので、その点についてもお考えを聞かせていただきたいというふうに思います。
時間がないですが、ちょっと助産師の関係は、言いたいんですけども、健康福祉部長に聞くんじゃなかったなあと、知事に聞いた方がよかったなというふうに思います。知事は要請を受けた際に随分理解を示してくれていたようですので、ぜひこの点も御検討をいただいておきたいということを申し添えておきます。
最後に警察の関係で、捜査費。私が言ったような形で特定をもししなかったら、警察がこれだけ返しますよと言った金額をそのまま信じるんですかということなんですね。本来例えば、50万円戻してもらいたいのに、40万円しか戻しませんと言うたときに、それで構いませんという返還する側の言い分を認めただけの形になってしまうんではないかと。それで県として返還を受け入れるということなのか。その点について、知事はどういうふうにお考えになるのかということをお聞きして、もう時間がありませんので、これで最後の質問にしたいと思います。
◎知事(橋本大二郎君) 坂本議員の再質問にお答えをいたします。
まず、追手筋弥生町線のことでございますけれども、工期は変えないということを先ほど申し上げました。それから、その中で当面現状のままで様子を見るのかというお話がございましたが、少し、詳細な話になりますし、技術的なことになりますが、私自身が今のような御提案を進めることが、なかなか難しいと思った状況を御説明をしたいと思います。と言いますのは、既に江の口に橋をかけるという工事が発注をされているわけでございますけれども、この橋が地上よりも少し高い所に取りつくことになります。そこから道路をおろしてくる。かなりの傾斜でおりてくるということになりますので、その間の西側のおうちのかさ上げなどの、また新たな対策が必要になる。そのことは、これまでの地域への御説明ですとか、住民の皆様方に御理解をいただいてきたというような手続からして、これをまた改めてやり直していくということは、大変難しいのではないかということを私自身感じました。そうしたことから、今御提案のあったような手法をとっていくことは、かなり難しいと受けとめております。
また、その中でよりよい方法とは何かということは、私は、そこまで技術的にまだ踏み込んでいろんな手法について聞いているわけではございませんので、具体的なことをお答えをすることはできませんけれども、単なる埋設なのか、埋設の中での配慮なのか、そうではないやり方なのか、そういうことも含めて、議論を検討をさしていただきたいと思っています。
次に、公契約条例と総合評価方式についてでございますけれども、私が検討に値すると申し上げたのは、あくまでも総合評価の方式を進めることは検討に値するということを申し上げましたので、公契約条例につきましては、坂本議員の御説明を聞いて、その意義には十分理解できる点があるということを申し上げたので、それ以上踏み込んで申し上げたつもりはございません。
総合評価方式に関してでございますが、高知CALSの発注と整合性はどうかという点が、御質問のポイントであったと思います。先ほども最初の御質問にお答えをいたしましたように、現在公共工事の入札に関しましては、総合評価方式による試行としての新たな入札制度を進めております。こうしたものを、ほかの一般的な他の入札制度の中にも取り入れていく、充実、拡充をしていくということをお答えをいたしましたので、そうした方向の中で当然、CALSの設計というものも考えられていくだろうということを思います。それが、どの程度まで進められるかということをこの場で申し上げることができませんけれども、そこは後でまた手戻りになるということがないように、十分注意をしながら、拡充ということを進めていければというふうに考えております。
また、あわせて総合評価の方式の中に、公正労働の基準というものを設けていってはどうかということでございますけれども、私、先ほどから申し上げておりますように、総合評価の方式、また、そういうものを公契約の条例としていくということ、それによって県が目指すべき方向性だとか、政策というものをある程度、誘導していくということは、御質問を聞いていて意味のあることだと思いました。ただ、その一例として、労働基準ということが挙がってくる。つまり法律によって、労働基準法なり、最賃法なり、そうした法律によって保護され、また法律によって決められているものを、あえて条例でというふうに事例として挙げられることに、少しなじまないものを感じております。そうした意味で、先ほどのような御答弁をいたしました。
一般的には少子化に対する対応をしておられる企業かどうかというようなものを、入札の基準に入れている県もございます。そのような意味で、総合評価の評点として、いろんな社会的に求められるものを入れていくということには、私は賛成でございますので、ぜひ、そうしたことで、また御意見をいただければということを思います。
それから、御質問ではございませんが、助産師に関しましては、私も相当な問題意識を持っております。ただ、総合看護の学校をそのまま使いながらということは、先ほど畠中部長からも御答弁をしましたように、女子大で受けていただく助産師養成の枠に関しましても、症例の実地研修をしていく、その受け入れの病院施設が限られているということが、1つの制約になっておりますので、それを総看をあえてまた開きながら、女子大にも受けていただくということが、なかなか、その意味からも難しいのではないかということを思います。ただ、助産師の問題は、産婦人科の医師不足ということも含めて、大変大きな課題だというふうに受けとめますので、今後御心配のようなことがおきないように、ぜひ取り組んでいきたいと思いますし、また、それぞれのいろんな御意見なり、現状なりを坂本議員としておつかみであれば、そういうことも教えていただければと思います。
最後に、県警の捜査費に関して、そうした特別監査の監査委員の特別監査との大きなずれ、また一般に県民が疑問を感じるだろうという現状を、是認をしたまま返還金を受け取るのかという御質問だと思います。そのことについては、そうせざるを得ないということを思います。と言うのは、先ほども申し上げましたように、この問題に関して、御提案のあったような、改めての検証ということができるのであれば、それは価値のあることですけれども、奴田原代表監査委員からも御答弁がありましたように、今の県警の対応の中で、これを改めて検証し直しても意味のあることとは思いませんし、また、そのことを強く県警に促していくという手法も、現在の法体系の中ではございません。そうした中で県警が内部調査をされて、出された金額というものは県として受けとめて、それを受け取るべきであろうということを思います。ただ、そこに多くの県民の皆さんが疑問を感じておられるということは、私は厳然たる事実だと思いますので、そのことを県警にも重く受けとめていただいて、具体的にそれに対する対応というものをお示しいただけたらと思っております。
私からは以上でございます。