2月定例会一般質問(3月2日)


地震対策について
【質問】
 おはようございます。お許しを頂きましたので、県民クラブを代表いたしまして知事をはじめ執行部のみなさまにご質問をさせていただきます。
 昨年来、度重なる台風災害、中越地震そしてスマトラ沖地震、インド洋大津波と自然災害が猛威をふるう中、私は、今年の1月17日午前5時46分を中央公園において、高知から神戸の復興を願う市民約50人の方々とともに祈りを捧げながら迎えました。
 その中で感じたのは、震災復興のプロセスは日本社会のリスクの大きさを描き出してきた10年間でもあったのだということです。この間、雇用破壊、住宅破壊、年金破壊、生活破壊などが顕著になる中で、一人の人間の幸せを実現することが他の人間をけ落とすことではなく、他の人間の幸せにもつながるような共生を求める考え方を踏まえた行政の責任によるセーフティネットをどう構えるのかが、真剣に考えられなければならない時期に来ていると思います。
 阪神淡路大震災の直後、被災地では、どうみても悲惨な状況としか言えない、ごった返した避難所や避難先の公園などのテント村の中で、人々がやさしくなり、助け合って、分かち合って厳しい日々をしのいでいく光景が見受けられ、「震災後、ひとはみんなやさしくなった」と言われたそうです。しかし、このことから我々が教訓にしなければならないのは、「震災前から、ひとはやさしくなければならない」と思うのです。
 昨日、18年前に旧国鉄を国労に所属しているという理由だけで「組合差別による不当解雇」をされた北海道国労北見闘争団の仲間が東京に向けて1047キロのマラソンキャラバンを高知からスタートさせました。その目指すゴールは東京ではなく「人間の尊厳の回復」です。
 また、昨日、厚生労働省に提出された「ハンセン病問題に関する検証会議」最終報告書では強制隔離を続けた国家的人権侵害が断ぜられたのです。しかし、この報告書もハンセン病患者たちの人間の尊厳の回復の闘いの成果だと思うのです。
 さらに、県内においても絶えることのない差別落書き事件など悪質な差別や偏見による人権侵害に対して「人権侵害救済」に関する法整備を求める声として高まりつつあります。
 今の日本というリスク社会からどう人権を守るのかという人々の要請に行政は一つ一つ応えていかなければならないと思うのです。
 そこで、これから私が質問させていただくいくつか課題の根底には、是非、人が大切にされる理念を据えていただいて知事以下執行部のみなさまがたにご答弁願いたいと思います。
 まず、最初に、私が初質問以来こだわってきました南海地震対策の条例化についてであります。知事は、昨年の7月定例会で「できるだけ早く条例化に向けての取り組みが進むように庁内での検討を進めていきたいと思う。」と若干前向きの姿勢を示されてきました。そして、一月の定例記者会見では「南海地震対策の条例、どういう名称になっていくか、また内容になっていくかはまったくこれからのことだが、条例づくりのチームを立ち上げてはどうかということを危機管理課の方とも話を進めている」との考え方を示されました。
 実は、私どもの会派では、昨年までの知事の姿勢ではいつのことになるのかも分からないということで、年明け早々に9月定例会を目途に議員提案の条例化を目指そうということで、市民の声・仁清会の同僚議員の皆さんとともに、条例化のためのプロジェクトを立ち上げ、会合なども開催してきたところです。そこに、知事の記者会見での突然の表明でありましたので、いささかの驚きを禁じ得ませんでした。
 しかし、その姿勢は一定評価することとしてお尋ねします。
 まず、条例化にあたって、県民参加の手法をとることに異論はありませんが、そのイメージと方向性をどのように考えられているのでしょうか。また、条例化の作業の目途を示して頂きたいと思います。さらに、条例化する際には、是非、高知県らしさを盛り込んだ条例としていただくことを要望しておきたいと思います。例えば「揺れと津波への予防と避難と復興までを見通す」「行政の責任と地域の支え合いと県民・事業所の自覚と努力の連携」「防災産業の育成」「高齢県という状況の中で要援護者への支援」「日頃の台風災害予防との連携」など課題は多くなろうかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、南海地震対策の大きな柱として予算化された木造住宅の耐震改修費に対する補助事業についてであります。耐震診断の結果、倒壊の恐れがあると判断された住宅を対象として1戸当たり30万円を限度とした補助を予算化されました。03年度に診断を受けた住宅のうち約8割が耐震改修が必要とされる中、とりあえず初年度に200戸の事業計画というだけでは、県民のニーズや家屋の揺れへの対策に対して、将来に向けた懸念も生じます。 
 例えば、先行例においても静岡県では昨年12月末現在の実績が2,368棟で県内旧基準木造住宅棟数約60万棟に対して、0.4%という比率であり、三重県では06年度までの4年間で400戸への支援を予定されているとのことですが、この数字は県内における既存不適格の木造住宅23万棟に対して約0.17%と想定されるようです。本県では耐震補強工事補助の対象数や目標年次をどのように見込み、耐震補強工事が必要と想定される世帯のどれほどの比率を目指すのか、土木部長にお尋ねします。 
 そして、この制度で耐震補強工事を必要とする県民のニーズを満たすことが可能なのでしょうか。また、ニーズに応えきれなかったときの不公平感・不満感に対する説明責任が果たせるのでしょうか。そして、窓口となる市町村の対応を含め充分な説明責任が果たせる体制となっていくのか土木部長にお尋ねします。  その意味でも単に耐震補強工事補助制度だけではなく、耐震補強を促すための手法を検討する必要があるのではないでしょうか。例えば、補助制度だけではなくリバースモーゲージによる融資制度などの検討や居室のみの耐震補強工事への支援、さらには補強工事はできないが防災ベッドは購入したいなどというさまざまな揺れから守るための支援メニューの検討も併せてすすめるべきではないかと考ますがいかがでしょうか、知事にお尋ねします。 

【橋本知事答弁】
 坂本議員のご質問にお答えします。  
 まず南海地震対策についてのご質問の内、条例化に向けての県民参加の方向性や作業の目途、さらには高知県らしさを盛り込んだ条例についてのお尋ねに、あわせてお答えをします。
 南海地震に備えるためには行政は基より、県民や自主防災の組織、さらには企業など様々な方々にそれぞれの立場で主体的に取り組んでいただかなくてはなりません。ですから条例づくりにあたりましても様々な立場の方が主体的に参加をされた上で出来上がった条例を自ら実行していくという意識を持っていただくことが大切です。そこでまずは、どういう形であれば各階各層の県民のみなさんが条例づくりに参加しやすいのかといったことについて、検討チームをつくって来年度から検討を進めたいと考えています。こうして県民参加の土台をつくりました上で、具体的な内容は18年度に検討を進めることにしていますが、その際に参加をいただいた県民のみなさまには充分時間をかけて議論をしていただきたいと思っています。
 また、こうした過程を大切に条例をつくっていきますことで、結果として高知県らしい条例になるものと考えています。
続いて、住宅の耐震補修に対する支援の処遇の拡大についてお尋ねがありました。
 住宅の耐震化を総合的に進めていきますためには、それぞれの人と住まいにあった対策をきめ細かく進めていく必要があります。こうした中、木造住宅の耐震改修を進めていくことが、個々の住宅被害の軽減はもとより避難路の確保や火災発生の防止など、町の安全を守ることにもつながると考えまして、今回、県と市町村が協力して個人の住宅の耐震改修を支援する制度を創設することにしました。 ただ、この支援制度以外にも一般的な住宅の融資制度や居室のみを改修する場合などの情報を提供することによりまして、個人の努力で進めていただく耐震対策もあろうかと思います。このため耐震改修の事業の普及とあわせて、様々な耐震対策の情報を集めました上、耐震化に対する相談の場などを活用して情報の提供に努めていきたいと考えています。

【見波土木部長答弁】
 平成15年度の住宅土地統計調査によれば、県内には昭和55年以前に建築された木造住宅の戸数はおよそ12万戸あり、そのうち4万戸程度は今から20年経過しても建てかえが進まないものと想定しています。耐震改修事業においては長期的にはこの半数程度のおよそ2万戸の耐震化を進めることを目標と考えています。
 予算面の制約等もありますが、事業主体となる市町村とも充分連携し、可能なかぎり県民のみなさまのニーズに応えることができるよう努力してまいります。


県庁組織のあり方について
【質問】
 次に、これからの県庁組織のあり方として、「民間との協働」をどう進めるのか。また、その際の手法としてのアウトソーシングについて、12月定例会で示された見解も踏まえて、知事にお尋ねします。
 知事はアウトソーシングを行政のスリム化以上に「官と民の役割分担を見直し、県民サービスの向上をはじめ県内に雇用を広げる仕組みをつくり、民間に任せることができる仕事は積極的にアウトソーシングしていく」と述べるとともに「アウトソースしていく前提の段階、具体に仕事を出す段階、それぞれの段階で相手の能力を測り、その後の評価もしていくという手続きを確立する」ともおっしゃっています。
 しかし、県内に雇用を広げると言っても、県庁内では雇用が減少し、コスト削減が前提となる委託雇用では県庁外の雇用もそれを上回る雇用拡大にはならないし、受け皿の競争力が弱い業態では県外への雇用拡大になるのだろうと思います。また、前提・具体化・事後の評価をしながらアウトソーシングの手続きシステムを確立されるとのことですが、「サービスの質の確保」「県内雇用の拡大」などが真に評価されつつ進んでいくのか疑問を抱かざるをえません。
 私は、むしろ「アウトソーシングありき」の前提によって、「官民協働」というより「民間丸投げ」という状態を引き起こしかねないと心配しています。さらに、その際には、県外民間ということさえ懸念されるのです。
 昨年9月、アメリカのJPモルガンが7年間で5250億円というIBMとのアウトソーシング契約をわずか1年9ヶ月で解約する事態に衝撃が走ったと言われています。
 今、90年代はじめからアウトソーシングに血道をあげてきた国内外の企業が「他人任せに未来はない」ということでインソーシングつまり自前主義に切り替えようとしてきているのです。アウトソーシング契約によってパートナー関係になったとは言え、委託先は他人であります。当たり前のことですが、委託先は委託先の立場で利益を追求します。委託先に、ある程度の裁量権を持たせることとなるアウトソーシングは契約が広範囲、長期になればなるほど作業の実際は見えなくなり、他人任せのリスクが高まることに危機感をおぼえた企業のインソーシングが始まっているのです。
 また、来年度予算で事業化される「有機農業研修施設開設事業費補助金」を見ても、折角これまで培ってきた県の環境保全型畑作振興センターや窪川アグリ体験塾を活用しながら、民間で有機農業をめざす方々や団体と連携する方法などではなく、丸々NPOに約1200万円もの補助金を出し、職員を2名も張り付けていくなどというのは本末が転倒しているのではないかと思います。その研修施設の運営の見通しにしても、年間60万円という高額の授業料で受講生の確保の見通しなどあるのか。財政状況が厳しいこの時期に、このような手法にはいささか疑問を感じざるを得ません。 
 アウトソーシングに取り組む背景として、「厳しい財政状況の中での公共サービスの維持」「県内の雇用拡大」「大量退職時代の到来」があるとしても、「今の仕事のやり方を変える」「民間のノウハウを活用した業務改革」を進めていく上で、極めて慎重な対応が必要ではないかと考えます。
 そこで知事にお尋ねしますが、知事が想定する「官民協働」のアウトソーシングの場合に、あまりにアウトソーシングありきで民間への丸投げになることが危惧されます。そうならないよう、県として蓄積しているノウハウと責任を明確にした施策の充実を図るべきだと思うのですが、いかがですか。
 次に、内部管理業務をアウトソーシングするいわゆる自治体版シェアードサービスの象徴ともいうべき総務事務センター構想に800万円の基本設計委託料を予算化していますが、昨年の新旅費システムの予算の際にも感じたのですが、大規模府県が先行している中で、それほど飛びつく必要があるのでしょうか。これは総務事務の集中化ではありませんが、埼玉県が独自の電子入札システムの開発にこだわったために、一億円を超えるシステムを一年で廃棄して、システム変更をしているということなども報道されています。その意味でも、先行県での効果やトラブルなどを見定めた上で、判断すべきだと考えますがいかがでしょうか。
 次に、本県において総務事務だけに専念している職員がいるのか。専念していないとしても総務事務が何人役として試算されているのか。本県でそれがどれだけのコスト削減につながるのか明らかにしていただくとともに、充分に精査されているのか総務部長にお尋ねします。
 また、学ぼうとする先行事例の千葉県や静岡県などにおける受託業者では、過去に年齢を理由に突然契約を切られた事件や突然の雇用解約などによる賃金等の損害賠償請求を大阪地方裁判所に提訴されるなどの企業モラルの低下も見られています。
 以上述べましたように、アウトソーシングにかげりが見え始める中、さらにさまざまな問題をはらんでいる計3600万円のアウトソーシング業務調査分析委託と総務事務集中化基本設計委託については県外企業に委託せざるをえないことも懸念される現状などをしっかりと見つめ直して、再検討していただきたいと考えますがいかがでしょうか、総務部長にお尋ねします。

【橋本知事答弁】
次に県の業務のアウトソーシングに関連して、県のノウハウと責任を明確にすべきだとのお尋ねがありました。
 現在進めていますアウトーソーシングは、民間のノウハウを県庁の業務に取り入れますことで、県庁の仕事の仕方を改革することが最大の狙いです。このため、まず県が直接担わなければならない業務は何かといった視点から業務の洗い出しを行っていますが、その上で民間にお任せできる業務は受け皿の整ったものから順次アウトソーシングを進めていきたいと考えています。
 また、アウトソーシングをする際には、適正な業務の履行が確保されますように委託先にも明確な責任を担ってもらいますし、提供していただきますサービスの品質もきちんと評価していくことにしています。このように今、県庁が持っているノウハウにこだわるのではなく、逆に民間のノウハウや提案と比較して、どちらが県民のみなさんにとってより良いサービスに結びつくのか、という視点から民間と一緒に業務の見直しを進めます中で、民間との間の新しいパートナーシップをつくっていきたいと考えています。
 県庁の各所属で共通して実施しています会計や庶務の事務といった内部の管理業務の集中化は、すでに千葉県など9つの府県で取り組まれています。また、17年度以降も愛知県など9つの道県が順次取り組む予定になっています。ですから本県でも現在の危機的な財政状況を考えますと、県庁内部の管理業務にかかるコストの削減には早急に取り組む必要があると考えています。
 また、先行している県での効果などを見定めながらというお話ですが、基本設計の検討を進めます際には、本県の内部管理の業務の現状を充分に把握することはもちろんのこと、すでに実施しています府県の取り組み状況も参考にしながら、対象になる業務の絞り込みを行うことにしています。
 このような過程を通じて、集中化のメリットを明らかにしていきたいと考えています。

【池本総務部長答弁】
 すでに総務事務の集中化を行っています千葉県など9つの府県におきましても、集中化している対象業務の内容や規模は様々ですので、これらの府県の取り組み状況も参考としながら、まず、今後本県として集中すべき対象業務の範囲や新たな業務の流れなどの基本的な事項を検討していくことにしています。
 その検討においてお話にありました総務事務の集中化の対象となる職員数や、事務にかかっているコストの削減効果につきましても、詳細な内容を精査した上でお示しをしていきたいと考えています。 
 総務事務など具体的な業務をアウトソーシングする際には、県内の雇用の創出や人材の育成のために、県内企業で対応できない特殊な技術力などを要する場合を除いて、県内の事業者に発注することを基本に考えています。
 一方、今回お話のあった2つの委託業務は、具体的な業務をアウトソーシングする前段階の基礎的な調査分析とIT技術を活用した仕組みなどを民間のノウハウを活用しながらまとめるものでございます。特にアウトソーシング業務の調査分析を行う委託業務のうち、コスト分析に関しましては独自の専門技術に基づきコスト分析用のソフト開発も行い、国や他県でも豊富な実績を持つ専門企業に委託することがアウトソーシングの検討を進める上で効率的だと考えています。 
次に総務事務の集中化における基本設計の委託業務に関しましては、今後プロポーザル方式で委託先を選定していくことになりますが、その際には県内企業でも対応できるように、発注の方針を検討していきたいと考えています。

【質問】
 次に7時消灯問題に関連するサービス残業の問題についてであります。この取り組みは時間外手当など予算の削減のためにするものではなく、職員の地域活動などへの参加を促すなどとの趣旨で行うといわれていますが、総務部長通知を見る限り「職員一人一人がコスト意識を持って、仕事のやり方や事務事業の見直しを実践し、勤務時間の効率的、効果的配分に取り組んでいく組織風土の形成をめざす」ことを求めています。
 知事は97年4月の出先機関長会議で「仕事をさばける人は、時間内で同じ仕事を終えてしまう。仕事をさばけない人がいつまでもいつまでも毎日同じ仕事をしている。そのことによって、仕事をさばく力が弱い人が、逆にもらう給料が高くなってしまう現象が起きてしまう」と述べています。仕事量や期限、人員体制を決めるのは職員本人ではなく、管理者です。それぞれの職員が同じ仕事量と同じ内容と言うことはありえませんし、労働量の根幹となる要素を管理者に決められた上で、能力論にすり替えられるとすれば、当然サービス残業が発生しやすい状況を生み出すことになると思うのです。
 全国的にも、頻繁に未払い残業の発覚事例が報道され
ています。県内においても食品スーパーチェーンで残業代不払いで強制捜査が入り、嶺北消防本部では休日勤務手当予算が足らないからと勤務報告が改ざんされるなどの事例が発生しています。
 私はこれまでにも、県庁内や警察本部におけるサービス残業問題を取り上げてきましたが、執行部はその存在を絶対認めようとしません。しかし、現状でも実在していることは職員間においては周知の事実だろうと思うわけです。組織のスリム化の中で、職員の皆さんはぎりぎりのところで働いているにもかかわらず、そのような気持ちを無視して、「サービス残業はない」と言い切る執行部に、自治体コンプライアンスを語る資格はないと言わざるをえません。職場に労働基準法遵守の組織風土と管理職の意識が改まらない限り、今回の7時消灯問題がサービス残業の温床となってしまうことを心配せざるをえません。そのためにも、今回の試行にあたって、仕事の仕方や仕組みを職場の話し合いで変えていくということで管理者が責任逃れすることなく、自らの意識を変えるぐらいのつもりで、責任持った対応をしていただきたいと思います。
 そこで知事にお尋ねしますが、県下でも発生している未払い事例や書類の改ざん問題、さらに県庁内におけるサービス残業の現状についての認識をお聞かせ下さい。また、休日の入退庁記録簿と時間外勤務命令簿の照合を行っていただきたいと考えますが、総務部長にお尋ねします。最後に七時消灯によるサービス残業を発生させないための決意を知事にお伺いします。

【橋本知事答弁】
 残業手当などの賃金の不払いが全国的にも問題になっていますし、お話にもありましたように、高知県でも高知労働局が強制捜査を行った事案や、消防本部で休日勤務報告書を改ざんするといった事案が新聞報道されています。非常に残念なことだと思います。
 また、言うまでもありませんが県庁での時間外勤務は、管理職員による命令に基づいて行う必要があります。このため管理職員には機会あるごとに時間外勤務の事前命令の徹底を指導していますし、知事部局では事前命令が実施されているかどうかの抜き打ち調査も実施しています。その調査の結果からも、時間外勤務の命令は適切に行われているとの報告を受けていますので、時間外勤務の命令を受けて業務を行った職員への時間外手当の不払い、いわゆるサービス残業はないものと考えています。
次に7時消灯についてお尋ねがありました。
 これからの県庁は職員一人ひとりがコスト意識を持って仕事のやり方や、事務事業の見直しを実践する傍ら、勤務時間の効率的で効果的な配分に自ら取り組んでいくことが求められています。このため仕事の仕方や仕組みを変えるきっかけづくりを目的に、この4月から6月までの3ヶ月間、7時の消灯を試行することにしました。ただ、7時の消灯が県民サービスの低下につながってはいけませんので、県民への説明会や関係団体との協議などは試行の対象から除いています。また、7時消灯という結果を出すために本来なら時間外勤務の命令を出すべき業務に命令をしないといったことがないように、所属長に対しては試行の趣旨を徹底したいと考えています。
 このため今後は、4月から6月までの試行期間を経て7時消灯の効果や問題点、さらには職員の意見なども集約して検証しました上で、その後の方向性を決めていきたいと考えています。

【池本総務部長答弁】
先ほど知事から答弁がありましたとおり、時間外勤務命令を受けて業務を行った職員へのいわゆる未払いサービス残業はないものと考えています。また、週休日・休日に玄関受付で記録をしています入退室確認簿は、調査管理上の必要性から記入を依頼しているもので、県庁職員のみならず来庁された県民のみなさまの行動も記録されています。庁舎管理の目的から収集された情報を目的外に使用することは、個人情報保護条例の規定に照らしても適切ではないと考えています。 こうしたことから休日の入庁記録簿と、時間外勤務命令簿の照合を行うことは考えておりません。

若年層の雇用拡大について
【質問】
 来年度予算編成にあたって「産業振興と雇用などの課題には重点的配分を心掛けた」とされています。そこで、昨年は全国39道府県で失業率が改善している中、本県は6.1%と全国で最大の悪化幅となっている状況下の雇用の問題について商工労働部長にお尋ねします。
 現在、若者の雇用の問題を論ずるときに、「ニート」という言葉が必ず登場するようになりました。義務教育を終えて、学校にも行かず、仕事もせず、職業訓練も受けていない「ニート」と呼ばれる15才〜34才までの若者たちは、10年前の約1.6倍に増加し、第一生命経済研究所の試算では2010年には100万人規模になると言われています。少子化が進む中、日本経済にも根深い影響を与え始めた働くことにも学ぶことにも踏み出せず、社会の入り口で立ち止まっている「ニート」と呼ばれる彼らの声なき声に耳を傾け、その背景を探ることも大変重要になっていると思います。
 本県における雇用に関する調査報告書では「新規学卒で採用された人の1/3が入社後三年以内に離職していた」と報告され、県経営者協会のアンケート結果では企業側からは「自分で就職先を選んでいない」「高校生自身が未熟」などの印象から「労働意欲の欠如」を問題視されており、若者の「定着率の悪さ」が報告されています。しかし、それは労働市場の需給環境が悪化している年の就職は、望まない仕事に就くことを余儀なくされることが多く、その結果若者が会社を辞めやすくなり、転職が増えてしまう。フリーターの増加にしてもその要因は企業のほうにあり、正社員採用抑制の犠牲となり正社員になれなかった若者が「やむをえず」フリーターになっているということからも、必ずしも若者の就業意識の低下とは言えない面があります。
 中越地震で解雇1038人、再就職のめどが立っていないのは599人と言われ、震災は住宅破壊とともに雇用破壊を生み出しているという雇用の危うさや、若者が働きたいのに働けない企業や日本社会の構造にこそ基本的な問題が存在していると私は思うのです。
 本県における高卒の就職内定率は一月末時点で前年同期を6.8ポイント上回る72.1%となっていますが、12月末時点では全国的には、下位から四番目となっています。そして、昨年を若干上回ったとは言え、内訳で言えば、求人は県外での内定者の増加によって、内定率を押し上げているという形になっています。
 県は一昨年から、新規高卒者雇用創出特別対策事業として約1億4千万あまりの費用を投じてきました。そして、緊急・臨時的採用の非常勤職員94人中28人と3割の方が就職につながったとお聞きしてます。
 また、昨年スタートした「ジョブカフェこうち」にはこの間一万人を超えて来訪者があり、気軽に立ち寄れる若者の相談窓口として定着しつつあるようですが、相談件数延べ2398件のうちカウンセリングを受けて追跡調査が可能な237人中28人が就職しているとお聞きしました。
 このような状況を見たとき、県として自治体の責任による雇用対策に本気で取り組まなければならない状況に差し迫っていると思います。2004年3月1日から改正公共職業安定法が施行されたことによって、自治体の無料職業紹介事業が、本年度末までに17府県11市9町1村1組合が実施または実施予定と予想以上に拡がっています。
 本県でも今年度途中から、高知市が無料職業紹介事業に取り組んで来られていることはご承知のことだと思います。
 高知市では昨年9月から無料職業紹介事業を実施し、若者就職応援セミナーなどの受講者を対象者とした職業紹介によって、受講生68名中約5割の33名が就労につながっています。実は高知市のこの事業は700万円の予算でこの効果をあげており、若干対象が異なるとは言え、県が二年間で約1億4千万円かけた新規高卒者雇用創出特別対策事業と比較したときに、高知市の効率のよさが際だってしまいます。
 その意味では、本県も各市町村やハローワークと充分な連携をとりながら、責任持った施策を講じていくべきだと思いますので、その姿勢についてお尋ねします。
 まず、新規の若年者就職支援事業が予算化されていますが、中村、安芸は別として高知市内で実施するこの内容は高知市の事業と重複する内容であり、二重行政にならないよう、より効果のある方法を検討すべきではないかと思いますが、どうでしょう。
 次に、事業の手法として民間職業紹介所に委託することとしていますが、民間職業紹介所に丸投げする手法にはいくつかの問題が危惧されます。県としてハローワークや市町村、さらには県ととりひきのある企業などと連携をとりながら、紹介活動だけでも直営で行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 若者の雇用確保に重点を置かれるとともに、いわゆる就職困難者に対しての就労支援事業というのは今後の検討の対象にならないのでしょうか。また、その場合の就職困難者とはどの範囲までが想定されるのでしょうか。他県・市町村では対象として事業展開しているところもありますが、お考えを聞かせてください。
 産業振興策が雇用の拡大にとっても必要なことは認識できますが、2003、4年で予算化したベンチャー企業支援なども含めた企業支援・産業振興策でどれだけの雇用が創出されたのか。また、2005年度ではどれだけ創出できると試算されているのかおたずねします。  
 さらに、県がワークシェアリング分としてアウトソースした事業の予算額と雇用者数を明らかにするとともに、来年度においてはどれだけの予算でどれだけ創出する見込みをたてているのか。また、産業振興策とアウトソーシング事業のそれぞれによって確保された県内労働力がどれだけ占めているのかおたずねします。
 次に、教育委員会の高校生就職支援対策の中で就職アドバイザーの配置予算が半減していることに対して、疑問の声があがっています。これは効果のある事業として評価されていたものでありますが、緊急雇用事業が終了する中で、新たに県費で継ぎ足して今年並みの予算を確保するに至らないという判断をされたとのことですが、その理由を聞かせて頂きたいと思います。さらに、この2年間の就職アドバイザーのノウハウが学校現場で継承されたものと判断しているのか教育長に併せてお聞きします。

【起塚商工労働部長答弁】
 まず若年就職者支援事業について高知市の事業と二重行政にならないか、また、事業は直営で行ってはどうかとのお尋ねがございました。関連いたしますのであわせてお答えをいたします。
 若年者就職支援事業は、若年者を対象としまして就職に必要な基礎研修から職業紹介までの一連の支援を行うため、県内を東部・中央部・西部に分けて実施するもので、中央部では高知市での実施を予定いたしております。高知市が実施する事業として、営業や販売などのコース別スキルアップ研修などが予定されておりますが、一方、県が行う事業としましては、就職基礎能力を育成するための研修を中心としての実施を考えております。このように県と市がそれぞれ特色ある事業を実施することにより、多様なニーズに応えることができるものと考えており、実施時期などにつきましてもお互いに連携をとりながらきめ細かな取り組みを行っていきたいと考えております。
 また、この事業は民間の専門事業者に委託して実施することとしておりますが、一連の業務について充分なノウハウを持ち実績もある事業者に委託することによりまして、事業効果も上げていきたいと考えております。なお、業務は委託いたしますが実施主体はあくまでも県でございますので、受託事業者とも常に連携を取りながら事業が適性に執行されるよう進行管理に努めてまいります。
 次に就労困難者についてのお尋ねがございました。
 障害者・母子家庭・中国からの帰国者など、ご本人が就職を臨みながら様々な制約により容易に仕事に就くことのできない方々に対する支援につきましては、就職のための職業訓練など国と県でそれぞれ役割に応じた取り組みを行っております。県では職場適応訓練や職業訓練、母子家庭等就業自立支援センターでの就職相談など行ってきておりますが、今後とも就労に不利な方々に対する支援につきましては、それぞれの関係機関との連携を強化し取り組んでまいります。
次に産業振興策による雇用創出に関するお尋ねがございました。
 厳しい雇用情勢が続く中で、本県においては産業を振興し雇用を維持拡大するための取り組みを重点に進めてきております。効果につきましては、例えば企業誘致の実績などから確かな雇用創出効果としてお示しできるものもございますが、業種によって様々な背景があり、また、事業の効果を雇用面のみで一律に評価することができないものもございますので企業支援、産業振興策全体の雇用創出効果や目標、各県内労働力というものをお示しすることは難しいと考えております。もとよりそれぞれの事業につきましては事業目標の設定や雇用面に配慮した事業の選択、事業効果の検証といったことが必要だと考えておりますので、今後ともそうした点に留意しながら雇用の維持拡大に向けて一つひとつ事業成果を着実に積み重ねてまいります。
次にワークシェアリング関係事業に関するお尋ねがありました。次の県内労働力に関するご質問と関連しますのであわせてお答えをいたします。
 ワークシェアリング関連事業は日常的に職員が行っている業務を外部に委託するというもので、県の仕事を県民と分かち合うといった趣旨の取り組みでございますので、基本的には県内の事業所等への委託を念頭に置いております。事業による雇用者数を実数で把握することは、雇用形態も様々でございますので困難でございますが、平成15年度の事業費は7982万1千円で16年度は1億2057万3千円を見込んでおります。また、平成17年度当初予算では従来のワークシェアリングも含むアウトソーシング関係事業として、1億8787万1千円を計上いたしております。

【大ア教育長答弁】
 就職アドバイザーは、就職希望の生徒の多い学校を中心に平成15年度から配置しており、事業所訪問によります求人開拓、生徒への面接指導や就職アドバイスなどを行っていただいています。この就職アドバイザーにつきましては、厳しい就職状況が続く高校生の就職を支援しますため、緊急措置として配置したものであり、このことにつきましては各配置校にも導入当初からお伝えをしております。この2年間を通じまして就職アドバイザーに期待しました役割のうち県内の求人開拓につきましては、ほぼ目的を達成し企業と学校との緊密なつながりもできたと考えています。このため3年目となる平成17年度からは事業所訪問にかける時間をかなり軽減することができますので、現在の就職アドバイザーの定員を半減し、いくつかの学校を兼務する形で充分対応できると考えています。
 また、教員も就職アドバイザーとともに事業所訪問を行っておりますのでノウハウの継承もできていると思いますし、教育委員会としましても今後も教員研修の充実などにより支援していきたいと考えています。

高知医療センターについて
【質問】
 次に、昨日、本格開院をした高知医療センターについて知事にお尋ねします。
 高知医療センターの前途に県民が多くの期待を寄せていることだと思います。しかし、これほどの医療機関の開設が県民から何故歓迎一色で迎えられないのか不思議でなりません。それは、あまりにも生い立ちからして議論百出、紆余曲折を経てきた末であり、「全国初」、将来への財政負担などへの不安からきているものだと思います。
 また、この間、私の手元に寄せられた県政アンケートの中では、この病院に期待する医療機能として高度救命救急、がんセンター機能の充実に関心が高いのはうなずけますが、それに匹敵するぐらい患者への迅速・丁寧な対応とインフォームドコンセントの充実も期待されているのも事実です。
 しかし、記載されたコメントを若干紹介しますと「アクセスへの不満や不安」が圧倒的に多く、他にも「患者さんが主人公はあたりまえ。今までは院長が主人公だったんですか」「キャッチフレーズ通りの医療センターになるように」「あまり理想を追い求めすぎずに全スタッフの心の安定した温かいふん囲気の職場になり、何よりも患者と安心の信頼関係が築けること」「高知医療センターにはあまり期待してない。高度医療の名の下に患者を選別差別しないこと。何にも増して患者の人権は大切にされるべき」「患者のためにという理念先行パフォーマンスより実を挙げて欲しい」「山のような大きな建物。ドラマの白い巨塔を思う。ドクター達のプライドの競い合いのような医療にならないようにお願いします」とたくさんの不安感が記載されていました。
 そこには、「患者さんが主人公」と言われながら、本当にそうなるのかという不安が募っていると言うことだと思います。
 紹介型の地域支援医療病院をめざす以上、紹介患者を優先し、下駄履き感覚で来る患者には受診抑制を図るため、受診の仕方さえ広く広報しなくて良いという瀬戸山氏の考え方を県民の皆さんは、直接会わなくても、肌に感じられているのだと思います。私はここに来て、医療センターのめざす「患者さんが主人公」というのは医療センターによって選別された「患者さん」になってしまうのではないかと大変危惧をしています。そのような、ことが敷居の高さとなって現れ、昨日は新しい物好きの高知でありながら、経営不安を招きかねない新患外来のすくなさでありました。
 これらの不安が現実のものになれば、この社会的実験は大失敗ということになります。そうならないための今後の対応として、基本的なことにはなりますが、次のことを尋ねておきたいと思います。
 まず、この医療センターが県民の期待に応えられる医療センターとなってもらわなければならないのですが、そのためにも開院後の患者さんの声に耳を傾けながらの柔軟な改善措置や対応を行っていくつもりなのかお伺いします。
 そして、医療の周辺サービスを担うSPCと医療コアの緊密な連携を通じた医療の質と医療サービスの確保が果たせるのか、心配な面もあります。これまでにも開院までの間に、現場の医療スタッフのさまざまな思いがSPC側に伝わらず、施設面での不十分さや運用面でのつまづきが聞こえてきました。今後はそのような連携の不十分さがないような手だてをどのようにしていくのかお尋ねします。

【橋本知事答弁】
 高知医療センターは、2月26日に入院患者さんの移送を済ませました上、昨日、県民のみなさまの大きな期待を背負ってオープンしました。この高知医療センターは「医療の主人公は患者さん」という基本理念を掲げて、医療の質やサービスの向上を目標に運営される病院です。
 また、この目標の実現のためには病院の運営に携わる全ての職員が瀬戸山病院長の「患者さんの声を宝物とする」というモットーをしっかり胸に刻み込んで、苦情や要望にもきめ細かく対応していけるようにたゆまず努力していくことが必要です。こうした姿勢のもとに、企業長や病院長を先頭に職員が一丸となって取り組んでいきますことで、患者さんが中心の医療センターが実現していくものと確信をしています。
次にSPCとの関係についてお尋ねがありました。
 高知医療センターで導入しました病院のPFIは、医療の部門を公共が担うかわりに、その周辺の関連サービスを全て民間に委ねるという全国にも例のない取り組みです。これまでの自治体病院での業務委託は、公共の側が個々の業務ごとに一方的に仕様書を作成した上で、民間の事業者はそのとおりに業務を執行するという形でした。これでは民間の事業者のノウハウは発揮されませんし、そもそも業務のあり方を公共の側と話し合うこともありません。これに対して病院のPFIでは、業務のあり方や仕事の進め方について、公共の側と民間の事業者とが知恵を出しあってより有効な対応策を構築していくことになります。このため、高知県・高知市病院組合と高知医療PFI株式会社は、PFIの事業契約を締結しまして以来、高知医療センターでのお互いの業務をどのように構築して有効に組み合わせていくかを連日協議してきたと聞いています。その課程ではお互いに厳しいやりとりや、意見の食い違いも少なくなかったと思いますが、このようにして官民の間で率直な議論がなされますことは、必ずよりよい医療サービスの提供につながっていくものと考えています。ただ、その際にはお互いの意思疎通が円滑になされる必要があることは言うまでもありません。
 今後は病院組合と高知医療PFI株式会社との間で日常の業務から運営の全般に至るまで、様々なレベルでの連携や協議の場が持たれると聞いていますので、それを通じて充分な意思の疎通が図られていくものと思います。

学校の安全対策について
【質問】
 次に、学校の安全対策についてであります。
 2001年の池田小の児童殺傷事件以降、学校の安全対策が本格化してはいますが、直近の寝屋川市での教職員殺傷事件など、いたましい凶悪事件にこどもや教職員たちが巻き込まれるという学校の安全の危機に歯止めはかかっているとは言い難い状況にあると思います。しかし、安全や防犯ばかりが強調されて、学校が保護者から地域から閉ざされる方向へと進んでいくことにも若干の疑問を感じざるをえません。むしろ、父母や保護者、地域の人々が頻繁に学校に出入りする中で不審者が立ち入れないような雰囲気を創ることが地域で支えることにつながるのではないかと考えます。
 また、教職員に安全対策の全てを任せることにも限界があります。教職という専門性からいって、教師は授業などの中身の安全性には責任がありますが、安全を確保し、安心して教育活動が営めるように学校環境を整備する責任は行政にあるのではないかと思います。
 これらのことを踏まえて教育長にお尋ねします。
 防犯カメラなどの監視システムをはじめとしたハード面は全国平均を下回り、通学安全マップの作成は全国最低、さらに、教職員の防犯訓練の実施率03年が44位で04年の予定では実施率が上昇しているものの最下位との報道がされています。こういったことの原因はどのへんにあると考えられているのでしょうか。
 また、これらの数値があがることものぞましいことではありますが、日頃の学級運営などにおける繁忙さの中で、「まさかうちの学校では」という気持ちが働き、優先度が低くなっている面もあるのではないでしょうか。しかし、行政及び学校側にその取り組みの姿勢が明確でない限り、地域の支えあいのシステムも難しいものがあろうと思います。さまざまな事案が発生している中で、単に警備を強化するとか囲い込む形によらない、安全を優先する学校づくりをめざしてほしいと考えます。昨日知事が答弁された文部科学省の指定事業を待つだけでなく、県としての取り組む決意も示して頂きたいと思います。
 そして、学校の管理下における児童生徒及び教職員の災害を防止するための学校環境の最低基準や学校安全に関する責任体制の確立を図り、学校における安全環境に関し必要な事項や安全な教育活動の促進の措置などについて「学校安全条例」のようなものを策定し、学校現場や地域が一体となった安全で明るい学校づくりの根幹を指し示すようにしてはどうか、お伺いします。

【大ア教育長答弁】
 まず、ハード面の整備の遅れは本県の厳しい財政事情も一因であると考えています。また、通学マップの作成や防犯訓練の実施率の低さにつきましては、教育委員会や教職員の危機意識の低さも原因であると考えています。子どもたちの安全を脅かす事件はいつでもどこでも起こりうること、子どもたちの安全・学校の安全は学校だけの対応で守っていくには限界があることを念頭におきまして、これまで学校危機管理マニュアルの作成や防犯訓練・防犯教室の開催、地域との協力体制づくりなどを進めてきました。これからはハード面の整備につきましては市町村と協議しながら何らかの支援策を検討していきたいと考えています。
 また、危機意識や情報を関係者が共有するための啓発活動や、家庭・地域・関係機関の協力体制づくりにつきましては、市町村と連携をしまして一歩踏み込んで取り組んでいきたいと考えています。幸い県内には住民ボランティアのみなさんの協力で学校の安全を守る先進的な事例や、総合的な学習の時間を活用して学校全体で防災教育に取り組んでいる事例もありますので、そうした取り組みに学び、そうした取り組みを広げ、地域ぐるみで子どもたちの安全を守るという考え方を基本に実施状況の点検を繰り返しながら取り組んでまいります。
 ご提案いただきました学校安全条例の制定につきましては、こうした取り組みの成果を検証しながら判断していきたいと考えています。

自殺予防対策について
【質問】
 次に、自殺予防対策についてであります。
 知事は昨年9月定例会において、我が会派の浜田議員の質問に対して、「今後は、国による調査研究の成果や、既に青森県や秋田県などで実施されている先駆的な取り組みの情報収集を行うとともに、本人や周囲の人が早目にうつ病のサインに気づいて専門家に相談できるようにするための普及と啓発を充実するなど、できるところから取り組みを強化していく」と答弁されました。
 その後、厚生労働省の自殺死亡統計で月曜日と早朝に多発する傾向が明らかにもなりましたし、4年連続で減少していた公立小中高の児童生徒の自殺が137人と増加に転じるなど、1998年以降3万人以上の高水準で推移している自殺に対して、できるだけきめ細かな予防策が講じられることが、これまで以上に迫られていると思います。
 知事が、先駆的な取り組みと言われた秋田県は9年間もの間、自殺率ワースト一位という状況の中で、県全体では14%増加しているものの、2001年4月からモデル地区の4町では自殺予防事業に取り組み3年間で27%減少させるという成果をあげています
 本県の自殺率は02年に8位という高い水準にある中で、来年度予算において、当然何らかの取り組みがされるものと思っていました。予算要求ベースでは、500万円近い「うつ病対策事業費」が取り組まれようとしていたので、知事の言う「できるところから取り組みを強化していく」ことの具体化だと受け止めていました。しかし、結果的にはゼロ査定ということであり、残念な限りです。そこで、知事にお尋ねしますが、知事の言う「できるところからの取り組みの強化」というのは一体何をさしていたのでしょうか、お聞かせ下さい。そして、これまでに行ってきた先駆的な取り組みの情報収集から何を学び、来年度に生かそうとしているのでしょうか、お伺いします。また、自殺予防対策というのは命を守るという「県民生活の根幹を支えるもの」であるはずの事業だと思います。その対策の中でも、中心となるべき「うつ病対策事業」の必要性は考えられなかったのでしょうか、お考えをお聞かせ下さい。
 次に、教育長にお尋ねします。先程述べたように、小中高生の自殺が増加に転じているという状況に加えて、うつ病につながるリスクがある「抑うつ症状」が小学生の8%中学生の23%に見られることが北海道大学の調査で分かっておりますが、このような状況が本県における傾向としてはどうなのか。また、スクールカウンセラーや心の教育アドバイザーの配置などさまざまな相談のネットが張られている中で、根本的な課題として、自殺予防教育が子どもの段階から必要なのではないかと思いますがいかがでしょうか。
 また、こどもたちに命の尊さを教える側の先生方の中にも心を病んでおられるという状況があります。昨年度には全国の公立学校教員で精神疾患による休職が前年度と比較して約2割増しの3194人と過去最多となっています。教職員のみなさんが、みずからの悩みを早期に相談したり解決できるためのシステムも確立していただきたいと思いますが、お尋ねします。

【橋本知事答弁】
 先の9月議会で浜田議員のご質問にもお答えをしましたが、自殺の背景や要因には健康の問題や社会的・経済的な問題が複雑に絡み合っていますため、予防が難しい上、対策の実効性にも多くの課題があります。そのため秋田県などの先進地域や国からの情報収集を行ってきました。その結果、秋田県ではまだ全県的な成果にはつながっていませんが、秋田大学の医学部の協力を得て4つの町で高齢者の自殺予防に重点的に取り組まれた結果、お話にもありましたが自殺率が3年間で27%減少していることがわかりました。
 また国の調査研究でも、一部の自治体で高齢者の自殺予防に効果を上げた事例の報告がありましたが、青壮年期の自殺予防についてはこれといった効果が実証された事例は今のところ見つかっていません。この点で本県は全国に比べても30代から50代にかけての働き盛りの自殺が多いという実態がありますので、高知大学の医学部や専門の医療機関の協力と支援をいただきながら、来年度も引き続き職域の先進事例も含めて情報収集を行ってさらに検討を深めることにしました。その上で今後の自殺予防の取り組みを進めていきたいと考えています。あわせてこれまでの取り組みに加えまして、県や市町村の広報誌やインターネットなども使って、うつ病に関する啓発を進めますとともに、精神保健福祉センターなどの相談窓口の充実にも取り組んでいきたいと考えています。 

【大ア教育長答弁】
 本県では、子どもたちの自殺が増加傾向にあるといった状況はありませんが、学校現場からの情報や相談室の利用が増加していることなどから子どもたちに相当なストレスがかかっていると感じています。子どもたちの抑うつ症状についての調査は行っておりませんが、こうした状況から北海道大学の調査と同様の傾向があるのではないかという懸念を持っています。今後の対応としまして、心の専門家であるスクールカウンセラーなどの配置による相談体制のさらなる充実、ケアサポート活動などによります子どもたちが互いに支え合う仲間づくり、子どもたち・保護者・関係機関の連携協力による開かれた学校づくり、子どもたちだけでなく保護者や教員も気軽に相談できる電話相談やメール相談の充実、こういったことによりまして、子どもたちが存在感や安心感を持って活動できる学校づくりを進めます。
 また、来年度から新たに命の大切さを学ぶ体験活動を導入することも計画しており、教育活動全般を通じまして命の大切さを実感できるような取り組みを継続して進めます。
次に教職員が悩みを相談したり解決できるためのシステムづくりについてお尋ねがありました。
 教育環境が厳しさを増す中で、教職員自身のメンタルヘルスも重要な課題となっています。このため心の健康の維持増進のため、学校で専門医によりますメンタルヘルス講座を開催したり、自己申告に基づいて心の健康度をチェックするシステムも取り入れています。
 また、心に悩みを持つ教職員には精神科の嘱託員によります相談の他、公立学校共済組合が高知市内に2箇所設置するカウンセリングルームで心の健康相談を行っています。この他、精神性疾患により120日を超える病気休暇や休職から職場復帰する教職員に対しましては、専門医や校長からなります心の健康対策委員がアドバイスや助言を行い、職場復帰に向けての支援を行うシステムを用意しています。
 心に悩みを持ち精神性疾患にかかる教職員が全国的に増加する傾向にあります。本県でも教職員が心の健康を維持増進していくために、どのようなことができるのかさらに検討してまいります。

知事の政治姿勢について
【質問】
 最後に知事の政治姿勢についておたずねします。
 昨年の知事選後、12月の記者会見で議会との関係に触れて「まだまだいろんなわだかまりとか思いというのはあろうと思うが、またそれに対してはねつけたり、反論したりということを繰り返すのではなく、いろいろなお気持ちなりがあるのであればそれをきちんと伺って、直接話をしながら自分の思いも述べていくというかたちにしていきたい。」と述べられました。
 これらの知事の考え方を踏まえて、私は知事と議会の関係について一定整理する意味で、知事選挙を前後して抱いている疑問について明らかにさせていただきたいと思うのです。
 まず最初に、100条委員会の調査課題となった疑惑のいくつかについて、9月定例会後の10月25日に説明文書としてその考え方を示されました。しかし、私たち議会の側としては、定例会後でもあり、説明文書に対する疑問点について、公の場でそのことを質すための場がありませんでした。そこで、「一連の疑惑とされることへの説明」と題したいわゆる「説明文書」に関してお尋ねしておきたいことがあります。
 今回の「説明文書」の中で坂本ダム談合疑惑については「もし坂本ダムの入札に談合があったとすれば、私が知事をしていた執行部の側も責任は免れませんが、当時、談合情報などがあったにもかかわらず、十分な調査を行わないまま、坂本ダムの工事の予算を通した議会の側にも、一端の責任があることになります。」と述べていますが、本当にそう考えているのでしょうか。
 坂本ダム本体工事について言えば、平成五年二月議会で予算措置を認め、平成六年一月に入札が行われており、予算審議の段階では情報としての談合情報はなく、入札という知事に執行権限のある段階で、談合疑惑が生じていたということを、まず、理解しておいていただかなければならないと思います。
 その上で、議会には、知事の権限と責任において行われた入札の談合疑惑について調査をし、不正はなかったとして提出された公共工事の請負契約について、議会としては、執行機関は不正をしないことを前提として、提出された議案を審議したものであると考えます。
 その前提を抜きにした「議会側の責任」論には問題があると思うのです。知事はそれでも「坂本ダムの工事の予算を通した議会の側にも、一端の責任があることになる」と、今でも考えておられるのかまずお伺いします。
 また、今後も知事が「議会側の責任」論に立脚されるのであれば、議会には通常捜査的調査権はない中で、一層の慎重審査を期すためにも、公共工事に関する予算案については見積資料を添付するとか、工事請負契約の締結に関する議案などについては入札関連書類一式を添付するなど議案に詳しい説明資料を添付した上で提案の上、議案審議をするという方法に改めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、この「説明文書」についてもう一点お伺いします。知事は、「説明文書」を作成するにあたって、13年前の選挙に関わった人をはじめ、県の元幹部や現役の職員など18人の方に、直接間接に話を聞かれたとのことですが、笠氏を除く17名が一部しか特定されなかったことなど残念に思っておりますが、今後に向けて明らかにしていただきたいことだけはお尋ねしておきたいと思います。
 聞き取りの中で、聞いたとされる中内県政時代の幹部職員の話では「県が発注する土木工事を、どの業者に落札させるかを調整する、天の声は確かに存在したし、業者にとっては、足を向けては眠れない存在だった」と述べられており、橋本県政のもとの元幹部の話では「橋本知事になってから、天の声がなくなったため、業界が混乱している。何とかならないかと相談を受けた」と報告されていますが、「存在した天の声」とは一体誰のことで、当時の土木部はどのような対応をしていたのかを明らかにさせることが、より談合体質の改善の一助になるのではないかと考えますが、明らかにできないのでしょうか。
新たな入札・契約制度の実施に関する検討が行われてくる中でも依然として、本山土木や安芸土木で談合があったと言わざるをえない入札が生じるなどの現状の中で本当に談合を無くしたいのであれば、何が問題なのかを議論すべきではないのかと思いますので、談合体質をなくすためにこのことから何を教訓とすべきかを併せてご答弁願います。
 次に、県警捜査費に対する知事の姿勢についてであります。捜査費に関する疑惑の発覚以降の全国状況などは、昨日牧議員が述べられたとおりでありますし、公安委員長や警察本部長の表向きの答弁は昨日聞かしていただきました。
 ただ、このような疑惑を最も嫌うはずの知事が何故「捜査費の使途状況についての調査は実施しない」との考えを示されて以降その姿勢がかたくななのか理解できませんのでお尋ねします。
 知事は1月の記者会見で捜査費関連の質問に答えて、「もし何かが過去にあったとしても、十分改善はされてきていると思うし、単に財政上の努力ということで言えば、今の財政状況に見合った色んな工夫や苦労もされてると思う」と言いながら、「きちんと検証をして、警察として改めるべき部分は改めてくださいよ」ということは、本部長には伝えているが、その検証という意味をどう捉えられるかは、そこまでは踏み込んで話していない」など極めて曖昧に取り繕っているとしか思えません。
 さらに、「知事査定段階で議論した経緯はない」と述べ、捜査費予算について「知事査定前に決着し、事務的に決めており、私の考えではない」と述べています。一方で、「知事査定前に県警本部長と話した際、さまざまな事例を出し『県民の目線や思いを踏まえてきちんと対応してください』とお願いした。少なくとも2回は話した」と述べています。
 そこで、知事にお尋ねしますが、知事として今回の捜査費関連の予算について、「県民の目線や思いを踏まえたきちんとした対応だ」と思っているのでしょうか。
 また、愛媛では要求額2150万円に対して1372万円の査定、宮城では要求額3000万円に対して2300万円の査定を行っています。宮城県浅野知事は「適正な執行を証明する資料があればいくらでも出す」と述べています。知事は県警の要求額を「こうしたわれわれの要請に基づいて組まれたと理解している」と述べていますが、単なる理解ではなく、これほど県民の関心が高い捜査費関連予算については、要求額の根拠が明確に示されるべきだとは考えないのでしょうかお尋ねします。
 次に、高知工科大学学長選と副知事選任などに見られる人事選考にへの疑問点についてお尋ねします。
 高知工科大学学長選挙を巡る混乱については、学生、保護者、県民に心配をかけていることも申し訳ないとしながら、また、自らの主張に無理があることを承知もしながら、理事会決定を否定しなければならないほど、現学長はふさわしくない人物であるのか。また、今までは学長として認めてきた基準と期待していたことは何であったのかお示しいただきたいと思います。
 また、副知事選任問題につきましては、昨日の山本議員の質問に答えて、副知事候補に期待すること、そして、そのためには最適の人物であることが述べられました。しかし、多くの県民や職員の間に生じている疑問は、その人物のかつての県庁在任期間の不祥事との関わり、その在任期間中に知事が言うほどの能力と識見、実績を残した人物であったのかということです。
 かつて県に在職していた期間の不祥事への関与の度合いが薄いことを知事は言われますが、その際の責任や県民からの疑問を上回るだけの能力と人格識見があるのかお尋ねします。
最後に、定例記者会見の中で、「購入金額も時期も明確に覚えてませんので、後ほどお示しをいたします」と言いながら、一ヶ月以上たった現在も明らかにされていませんので、別荘購入問題についておたずねします。ひとつに、別荘を購入するということ自体が少し県民の目線とはズレているのではないかと思うのですが、さらに購入金額や時期も明確に覚えていないという発言に県民のみなさんは首を傾げるのです。「明確に」と言っても聞く側は万円の単位までを聞きたいのでしょうし、時期は何年何月頃を聞ければ良かったのだと思いますが、それすら覚えていないとしたらやはり金銭感覚の桁が違うのではないかと思いたくなってくるのです。
 そういう意味では、知事は常に県民の目線ということを言われますが、このような言動も県民の目線に立っているものだとお考えでしょうか。          そこでお尋ねしますが、改めて別荘の購入金額、時期を明確にして頂きたいと思います。そして、知事は「県民の目線」に立った県政ということを良くおっしゃいますが、県政を行う場合に政治家としての自らの日常の生活水準や言動のなかにも「県民の目線」は据えられているべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

【橋本知事答弁】
 お話にもありましたように坂本ダムの建設工事は、平成5年の2月議会で予算が認められた後、平成5年度に入って談合疑惑の情報もあった中で入札が行われました。その入札の結果を受けまして、平成6年の3月議会で坂本ダム建設工事請負契約の締結に関する議案が可決されたことによって本契約が成立しています。こうしたことから説明文書では、先の百条委員会が談合(疑い)を根拠としていることは、その当時に議会でお調べになればわかったことなのではなかろうかとの私の思いを述べたものです。
 また、議会での審議の際の資料は地方自治法などで定められた標準的なものを基本にしています。事前に全てを出すとしますと様々なコストもかかってきますが、課題のある議案に関して所管の委員会からご要請のあった場合などには、情報公開条例等で制約のない限り関係の資料を全てお出しするといったスタンスでこれまでも対応をしています。
 私が知事に就任する前に、県の土木事業の入札に絡んで落札業者を調整するいわゆる「天の声」と呼ばれる仕切り役が存在したといった話を聞いて、そのことを説明文書に書きましたが、それが誰だったかは聞いてはいません。
 また、説明文書を作成するにあたって改めて当時の土木部の幹部などにも話を聞きましたが、「天の声」の存在について確認することはできませんでした。もちろん談合を疑われかねないような状況は改善しなくてはいけませんが、そのためには入札制度の透明性と競争性を確保することが最も重要なことだと考えまして、就任以来、設計金額の事前公表や公募型指名競争入札の導入など入札制度の改善を図ってきました。これからもその時代時代に合ったより適切な入札制度にしていきたいと考えています。
 この問題に関しましては県警本部長と話をしました際に、県民のみなさんが警察を見る目といったことを踏まえてきちんとした対応をすべきだと伝えています。 また捜査費の執行に関しましては、すでにいわゆる激励、慰労の廃止や内部監査の強化に加えまして、平成16年度からは執行にあたって捜査に協力されたご本人の名前が入った領収書を添付するように義務づけるといった見直しが行われています。また、その額は平成16年度の当初予算に比べますと3分の2になっていますが、これは運用の見直しをしました後の昨今の執行状況を踏まえたものだと聞いています。
 あわせて、要求額の明確な根拠が示されるべきだとのお話もありましたが、捜査費というものはそれぞれの事件に対応してその支出の内容が変わってくるものだと思います。こうした経費は例えば秘書課の交際費などもそうですが、予算を組む際も毎年度の執行状況などを勘案して計上する形を取らざるを得ません。そうした中で今回県警が示してきました見積もりの額は、県の財政状況も踏まえた適正なものだと理解しています。
 地方の、しかも新設の単科大学というハンディキャップを背負いながらこれだけの学生を集め、また、高い就職率を保っているということは現学長をはじめ教職員のみなさんの並々ならぬご尽力の結果だと思いますし、私自身たいへん感謝をしています。また、「工科大学、よくがんばっているじゃないか」といったお話もいただきますし、現学長は教育者・研究者としては素晴らしい方だと思いますので個人的にどうこう言うものではありません。ただ、目前に迫っていますいわゆる2007年問題をはじめとします、大学を取り巻く非常に厳しい環境を考えますとこうした日々の努力だけでなく、経営戦略を備えていないとこの大学が生き残っていくことは難しいと思っています。
 こうしたことから大学にはこれからの戦略づくりをお願いしてきましたが、今の体制の中では直面する危機として捉えようという雰囲気はほとんど育っていないと感じました。また、この大学を立ち上げるときに、従来の大学に特有の枠組みやしがらみにとらわれずに時代の変化やニーズに機敏に対応していける大学をめざすことを掲げましたが、最近の高知工科大学を見るかぎり、そうした建学の思いとは随分ずれてきているのではないかと感じています。また、そのことは県民のみなさんにとっても決してプラスにはならないと判断をしましたので、これを機会に県民のみなさんにもこの大学の本来のあり方をもう一度考えていただければと思いました。 
次に副知事をお願いしたいと考えている方についてお尋ねがありました。
 その方はご指摘の不祥事に関して庁内での議論には加わっていませんし、関係する百条委員会や裁判での証人にもなっていません。加えて警察からの事情聴取も受けていませんので、実質的な関与は極めて薄いと考えています。
 また、その方とは3年間いっしょに仕事をしましたので行政上の手腕や人柄もよく知っていますが、副知事としてご承認いただきましたときには、その仕事ぶりで県民のみなさまにも充分納得をしていただける方だと思っています。
 この家の購入について記者会見で「明確には憶えていません」とお答えをしましたのは、そのとおり購入の日付も金額もよく憶えていなかったからですが、昨年の9月に購入をしています。購入の代金には退職金としていただいた金額の一部を充てていますので、新たな財産が増えたわけではありませんが、資産公開の対象になります固定資産税の課税標準額は、4月以降に調べて公表したいと考えています。
 また、日々忙しく仕事をしている者がたまの休みにくつろぐ場を持つことを多くの県民のみなさんは批判的にはご覧にならないと思いますし、私自身はそうした気分転換でリフレッシュをする方が県民のみなさんのためにさらに仕事に励めますので、政治家として特に恥じることもありません。 

【再質問】
 それぞれご答弁をいただきましたけれども、中には一切答えてないような答弁もあったように思いますので再質問をさせていただきたいと思います。
まず、南海地震対策についてでありますけれども、1つは条例化の問題はぜひ先ほど答弁されましたような形で積極的に進めていただきまして、実現に向けていただきたいというふうに思います。我々も当初は先ほど述べましたように、議員提案ででもというふうな思いで勉強会もはじめたところでしたが、そういうものを今後の条例化の中で意見を反映させながら、その策定過程に協力もしていきたいと考えております。
 それと耐震補強工事の関係ですが、先ほどの土木部長の答弁は答弁漏れじゃないんですか。あれで私の質問に全部答えているというふうに認識してますか。先ほど言いました数的なものは一定示されました。しかしそういう状況の中で県民のニーズを満たしているのかいないのか、あるいは満たしていないとすればそれらに対する不満とかいろんなものが出てくる可能性というのは必ず窓口段階であると思うんですよね。そういうところにきちんと対応していけるような姿勢や態勢を市町村段階と連携を取りながら進めていく必要があるのではないか、説明責任を果たす必要があるのではないかというふうに私はその点についてもお聞きしていると思うんですが、その点については一切答えられなかったように思いますのでお答えを願いたいと思います。
 先ほど言いましたような目標戸数にしても、例えば市町村では数がそれぞれ違ってくるわけでその市町村においてニーズに応えられているのかどうかという問題も出てくると思うんですね。その際に市町村窓口が、「これだけの今年については計画しかないのでそれ以降の要望には応えられません」とか、あるいは数が多くきましたのでクジ引きで決めますというようなそれぞれ市町村によって窓口の対応が違ってくるのかもしれませんけれども、そのこと自体がきちんと住民の方に理解を求められるような形をとっておかないと、せっかくのこの制度が住民のみなさんに信頼の得られるものになっていかないと思うんですね。あるいは利用されていかないというふうに思うんです。そこのところをきちんとお答えいただきたいと思います。
 それと知事が答弁されましたいわゆる耐震改修等を促す様々なメニューの検討でありますけれども、ぜひ情報提供ということだけでなくて、例えば県と金融機関がきちんと連携を取りながらやっていくという方法も場合によってはあろうかと思うんですね。特に私の方から言わしていただきましたリバースモーゲージの関係なんかは、知事も3期目の際に検討の公約をあげられていたわけですね。確かにあの当時は高齢者に対する生活融資的な側面で検討がされてたと思うんですけれども、ただこれを例えば耐震改修に限った場合にどういうふうな検討ができるのかとか、そういうようなことも考えていただいたらというふうに思うんです。確かに住宅金融公庫にはそういうメニューもあろうかと思いますけれども、そのところに県がどういうふうに関わるのかということも大事なことなのではないかなというふうに思いますので、その点もあわせてもう一度、単なる情報提供で済まさない、県がどういうふうな形でそれに関わりがもっていけるのかということについてもお考えをお聞かせ願いたいというふうに思います。
 それとアウトソーシング等につきましては、本当に実現できるのか、例えば品質の保障などの問題あるいは県内における受け皿の確保なども含めて、そういった面含めて私は疑問を感じている面がありますし、先ほど事例として述べました国内外における自前主義への回帰現象、そういう状況をどう捉えていくのかということなども必要ではないかというふうに思っておりますので、慎重な検討をしていただきたいというふうに思っております。先ほどとりわけ知事が言われましたそれぞれのアウトソーシングしていく際の段階段階における検証のシステム、これは早急に確立した上で具体に移していただきたいというふうに思っておりますので、その点についても今後検討に移していただきたいというふうに思います。 7時消灯問題ですが、サービス残業の私は温床になりかねない危険性をはらんでいると思っています。例えば平日は7時消灯ですから、じゃあ残った仕事を土日にということはあり得ることなんですね。仕事が一定量あるとすれば。さらには最近はかつてであればフロシキ残業ということがよく言われましたが今はフロッピー残業ですね。あるいはメール残業ですね。家のパソコンにメールで送っておいてそれで家のパソコンで仕事をするというようなことも往々にしてあるわけです。これは職場の情報の問題とも絡めての可能性があるかと思いますけれども、そういうのも先ほど言いました入退庁簿との照合につきましては、目的外使用ということであればそういうことをあらかじめ照合することを前提に記入していただくというようなことに改めれば可能なのかどうなのか、そういうふうなことも検討していただきたいというふうに思いますがいかがでしょうか。
 就労対策の関係、ぜひ全て民間の職業紹介所に任せるというやり方は問題があるということで再検討していただけないでしょうか。というのは紹介までいきますと紹介の段階でいろんな求人開拓とかをやる情報が得られるわけですね。そしたらその民間の職業紹介所は、県から委託を受けておきながら自らの有料職業紹介としての情報も得ることになっていくわけです。そこに問題はありはしないのか。あるいは県として紹介段階だけでも自前でやることで、県と直接取引のある企業との紹介事業ができたり、ハローワークなどを通さない形ででも一定の効果も生まれてくるというふうに思ってます。私がいくつか先行県で取り組まれている所に紹介しましたけれども、確かに研修過程とかは民間に委託していても紹介部分では直営でやっているというところが多く私の調査ではありました。そういう意味では紹介の部分だけでも直営でやることの方が望ましいのではないかということをもう一度お尋ねしたいと思います。
 そして産業振興、あるいは企業支援の関係がどれだけの雇用につながっているかというのを検証できていないことが非常に私は疑問です。確かに繁雑な作業にはなろうかと思いますけれども、ここが産業振興あるいは企業支援が雇用につながっていくんだということを前提に予算を組んでいるわけですから、それだったら当然それがどういうふうになっているということを年々検証しながら次の予算につなげていかないと、これは県民に対して説得力を持たないというふうに思いますので、その点についてもう一度考え方をお聞かせください。
 時間がありませんのでもう1つ知事にお伺いします。
 説明文書の中で議会との関係で「私の思いを述べた」というふうな言い方をされましたが、正確に言えばこの文書の中で坂本ダム工事の予算を通した議会という、予算という言い方はやはり適正ではなかったというふうにお考えにならないかどうかということをお聞きしておきたいと思います。
 それともう1つ捜査費関連ですけれども、昨日警察本部長から捜査費の積算根拠18ヶ月の実績に基づいて算出したということでありますけれども、我々はその実績に問題があったのではないかということを言っているわけですね。そこを知事にどうして調査していただけないのかというふうな疑問を感じるわけです。 先ほど私が例で言いました、宮城県の浅野知事のようなスタンスに立っていたいただけないのか。結局きちんとした理由があるんであればいくらでもつけますよと、それが示されないから査定せざるを得ないんだと浅野知事は言ってるわけれどもそういうスタンスに立てないでしょうか。ぜひ、捜査費と検挙率は連動していないことは明らかになっているわけです。捜査費疑惑が出る前の2001年に大幅に検挙率というのは下がっておりまして、それは窃盗犯の検挙率が下がったことによる原因がいちばん大きいんじゃないかというふうに思ういますけれども、この窃盗犯についてはあまり捜査費を使うような犯罪形態ではないというふうに思うんです。そういう意味でも捜査費を多く使うことのない犯罪によって検挙率が落ちたと、そしてそのことが捜査費と関連していないというようなことなども指摘しておきたいというふうに思います。
 時間がなくなりました。以上のことをお聞きして全ての質問を終わります。

【見波土木部長再答弁】
 耐震改修補助事業に関して、県民のニーズへの対応について再質問がございましたのでお答えをいたします。
 現在、耐震診断を昨年度からはじめたところでございますけれども、耐震診断自体を受けたいとアンケート調査でお答えになった方々は今のところ4分の1とかですね、その結果倒壊の恐れがある場合にどうしますかという問いに対して耐震改修工事を何らかの行いたいと答えられている方が現在6割程度おられるというような、現在のところのアンケートでの県民のみなさんの意見を一定把握はいたしておりますけれども、未だ耐震診断を昨年度からはじめたばかりであり、また助成事業も来年度からスタートさせるということで、県民のニーズを充分に把握しているかということに関しては、これから事業を進めながらということになります。
 従いまして、先ほどお答えいたしましたように事業主体となります市町村を通じて住民のみなさんの意向を充分把握した上で、可能な限り県民のみなさんのニーズにお応えをするよう努力してまいりたいというふうに考えております。

【橋本知事再答弁】
 まず私に関しましては、耐震改修の支援メニューに関しまして情報提供だけではなくてもう少し踏み込んだ対策を考えてはどうかというご質問でございました。 先ほどのご質問の中にもございました、リバースモーゲージは住宅金融公庫のメニューにも設けられております。ただ、四国全体でも利用が1件とか非常に少ない状況でございますので、これをなかなか支援のメニューとして考えることは難しいということを事務方とも話しておりました。ただ、先ほどのご質問を聞いておりますとそういうことについて、金融機関等ともお話し合いをしながらもう少し使いやすいような手法を考えてそれを合わせて情報提供をしていく、そんな関係をつくっていったらどうかということも含めてのご質問ではないかと思いますので、この情報提供というものが、今あるものをただ情報提供していくというだけではなくて関係をしております金融機関なりとお話をして、より使いやすい形とか、また、耐震補強ということに合わせたようなメニューづくりを民間にもお考えをいただく、そんなことも含めてそのような各関係機関との話し合いはさせていただきたいと思います。
 続いて説明文書についての再質問がございました。
 あの文書は議会向けというよりも県民向けということでございましたので、幅広い、たいへん議会答弁としては失礼な言い方ですが、アバウトな表現で予算という言い方をしましたけれども、きちんという表現であれば工事請負契約の締結議案とすべきだったと思います。その点はそのような形で受けとめていただけたらと思います。
 そして最後に3つ目に県警の捜査費について再質問がございました。
 私は先ほどからも申し上げておりますように、県警本部長にも県民の警察を見る目というものを受けとめてそうした目線に立ってきちんと対応すべきだということを申し上げ、それを受けて県警として予算を組まれております。また、予算の内容につきましても一定事務的に協議もしておりますので、このことが県民に向けて何か問題があるとは考えておりません。

【池本総務部長再答弁】
 入庁記録簿と時間外勤務命令簿の照合について重ねてお尋ねがございました。 先ほども申し上げましたように、入退室確認簿そのものが庁舎管理上の必要性から記入を依頼しているものでございまして、目的外の利用を前提とした取り扱いをすること自体が個人情報保護条例の考え方から困難ではないかと考えていますが、時間外勤務その命令の状況につきましては、毎年度ほとんどの所属に行きわたるような形で抜き打ち調査を行っております。こうしたことを通じまして時間外勤務の実態を把握してまいりたいと考えております。

【起塚商工労働部長再答弁】
 職業紹介を県の直営でやることをもう一度再検討というご質問であったと思います。これを検討するにあたりまして、議員ご指摘のとおり私どもも他県の例も一応調査もいたしました。ただ、今回はできるだけ県内業者だと思ってますし、職業紹介を民間に委託すること自体もワークシェアリングの1つになるんであろうかと思ってますし、日常的にコミュニケーションを取りながらきちっとした検証をしていけば、充分効果的な事業実施ができるのではないかというふうに思っております。
 それから雇用労働の数の把握でございますけれども、先ほど申し上げましたように各いろんな業態によりまして様々なケースがございます。私は実数ではなかなか申し上げにくいと申しましたけれども、例えばワークシェアリングでは人役というような形では把握をいたしておりますので、ちょっと申し上げますと例えば17年度であれば約4000人日役ということを想定しております。ただ議員ご指摘のとおりそういうことも踏まえまして、これから充分検証しながら事業を実施していきたいと思っておりますのでご理解をお願いします。